JPH061434U - コンクリート水路接続用鋼製アーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 排水路の深さ、幅及び形状の設計条件に応じ
て、あらゆる寸法のコンクリート水路接続用鋼製アーム
の必要量を容易に供給でき、落差の大きい排水路を容易
に施工できるようにする。 【構成】 Ｈ形鋼を主部材として切断、溶接加工して、
埋設する下辺とコンクリートパネルをＨ形溝に嵌入積重
して側壁を形成する両側支柱、若しくは両側支柱８間に
わたり上辺９、下辺を設けた接続用鋼製アームＤ，Ｂ，
Ｃと、同様な両側支柱３にわたり水路の落差２の高位に
相当する位置に中底桟５を設け、下辺から中底桟５と同
レベルまでコンクリートパネル２２を取付けて落差壁を
構成する接続用鋼製アームＡとの数種類の接続用鋼製ア
ームを形成し、それら接続用鋼製アームの表面に金属溶
射又はセラミック溶射被膜７を設けてなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はコンクリート製プレハブ水路の、主として農業用排水路の落差のある 箇所の落差支柱として使用するコンクリート水路接続用鋼製アームに関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、コンクリート製水路を構成する場合、通常はその接続部についてはコン クリート製アームが主に使用されているが、特に落差のある部分については鋼製 アームがその現場の状況に応じて加工できるために採用されている。そして、鋼 材の防食対策として長期的に耐久性のある溶融亜鉛メッキ処理されるのが通常で ある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、このような溶融亜鉛メッキ処理を施すものでは、熱歪みを生じる、 コンクリートと接触した場合、傷がついたり、剥離を生じやすい、大型製品 はメッキ槽に入らず処理できない、等の問題点がある。

【０００４】 本考案はこのような点を改良して、溶融亜鉛メッキよりも防食性が高く、耐衝 撃性、耐摩耗に優れ、また接続用鋼製アームの耐久年数が長く、素材の熱歪みも 生じない、容易に施工できるコンクリート水路の落差の大きい箇所に使用する接 続用鋼製アームを提供することを目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、水路の深さ、幅に応じて、Ｈ形鋼を主部材として 切断、溶接加工して、埋設する下辺とＨ形溝にコンクリートパネルを嵌込み積重 して側壁を形成する、直立又は上開きに傾斜した両側支柱と、若しくは両支柱間 にわたり上、下辺を設けた接続用鋼製アームと、これと同様な両側支柱にわたり コンクリート製水路の落差の高位に相当する位置に中底桟を設けた接続用鋼製ア ームとの数種類のコンクリート接続用鋼製アームを形成し、それらの接続用鋼製 アームの表面に金属溶射又はセラミック溶射により溶射被膜を設け、前記中底桟 を設けた接続用鋼製アームには、その両側支柱にわたりコンクリートパネルをそ の底部から中底桟レベルまで取付けて落差壁を構成すると共に、支柱のＨ形溝間 にコンクリートパネルを嵌入し積み重ねてコンクリート側壁を形成して、落差の あるコンクリート水路を構築するようにしたものである。

【０００６】

【作用】

本考案は上記の構成で、排水路、例えば農業用排水路を造成する場合、その排 水路の深さ、幅に応じてＨ形鋼を切断、溶接加工して所定の寸法に形成され、そ の鋼材表面に金属溶射又はセラミック溶射により溶射被膜の形成された本接続用 鋼製アームの必要量を必要な時に供給することができるので、この接続用鋼製ア ームを農業用排水路等の水路に沿って所定の間隔をおいて配置すると共に、水路 の落差のある箇所には落差の高位側に両側支柱間にわたり中底桟を設けた接続用 鋼製アームを、低位側には中底桟のない接続用鋼製アームを配置し、前記の中底 桟を設けた接続用鋼製アームには、上流側に面してその両側支柱にわたりコンク リートパネルを中底桟と同高レベルまで取付けて落差壁を形成して、それらの接 続用鋼製アームの根部を埋没固定して底面にコンクリートを打設し、水路の流れ 方向における相対向する支柱のＨ形溝にわたりコンクリートパネルを嵌入し積み 重ねてコンクリート側壁を形成させることにより、所定落差の水路を形成できる と共に、Ｈ形鋼の表面には金属溶射またはセラミック溶射による溶射被膜が形成 してあるので、溶融亜鉛メッキ製の鋼製枠に比べてコンクリートパネルを嵌め込 む際、及び接続用鋼製アームの運搬、据付時に衝撃を受けても剥離したり、傷が つきにくく、また被膜形成に素材の熱歪みがないので、施工性がよく長期に耐摩 耗性、耐衝撃性のある接続用鋼製アームで落差のあるコンクリート水路を容易に 構築できる。

【０００７】

【実施例】

本考案の実施例を図面を参照して説明すると、図１は本考案の接続用鋼製アー ムを使用して構築した農業用排水路の斜視図で、水路の落差のある箇所には、そ の落差の高位側に、Ｈ形鋼を主部材として切断、溶接加工され、鋼材表面に金属 溶射またはセラミック溶射による溶射被膜を形成したＨ形鋼材からなる両側支柱 ３，３と中底桟５を設けた接続鋼製アームＡを、低位側には同様のＨ形鋼からな る両側支柱８，８と上辺９及び下辺を設けた接続用鋼製アームＢ、或いは両側支 柱１１，１１と下辺とを設けた接続用鋼製アームＣを、構築する水路に沿って所 定間隔をおいて配置し、前記の中底桟５を設けた接続用鋼製アームＡには、上流 側に面してその両側支柱３にわたりコンクリートパネル２２を中底桟５と同レベ ルまで取付けて落差壁を形成して、それらの各鋼製アームの下辺を地中に埋設し て固定し、流れ方向の対向する支柱のＨ形溝１５，１５間に通常の長方形コンク リートパネル１８及び上面が下降傾斜した台形状コンクリートパネル１９を嵌め て積み重ねてコンクリート側壁を形成し、水路の底面１４はコンクリートを打設 して落差２のある農業用排水路１を構築したものである。

【０００８】 図２の（ａ）、（ｂ）、（ｃ）は水路の落差のある箇所に落差支柱として使用 する本考案の接続用鋼製アームを示すもので、水路の深さ、幅に応じてＨ形鋼を 主部材として切断、溶接加工して、左右に立設した両側支柱３，３と下辺４と、 その両側支柱３，３の下端にＨ形鋼材による埋め込みブロック６，６と、さらに 両側支柱３，３にわたり水路の落差の高位置に相当して中底桟５とを設けた接続 用鋼製アームＡを形成する。この鋼製アームＡの両側支柱３，３には、その中底 桟５より下方において両側支柱３，３のＨ形溝１５に間隔をおいてねじ孔２０を 有する座金２１が溶着され、水路の上流側に面してその両側支柱３，３にわたり コンクリートパネル２２をそのねじ孔２０を通じて取付ボルト２３で中底桟５と 同レベルまで数枚取付けて落差壁を形成するようにしてある。 この接続用鋼製アームＡの鋼材表面には、図２の（ｃ）に示す如く亜鉛、アル ミ、アルミ合金、銅、銅合金、ニッケル、ステンレス等の金属溶射又はセラミッ ク溶射を１００〜１２０μｍ程度の厚さにコーテイングして溶射被膜７を形成す る。

【０００９】 図３の（ａ）は前記の接続用鋼製アームＡの正面図、同（ｂ）は図２の場合と 同様にＨ形鋼を切断、溶接加工して、両側支柱８，８とその上下にわたり上、下 辺９，１０を設けた接続用鋼製アームＢ、同（ｃ）は縦寸法を短く形成した同様 の構造の接続用鋼製アームＣ、同（ｄ）は水路の深さ及び幅等により、更に強度 を要求される箇所には、両側支柱１１，１１及び下辺１２に断面積の大きいＨ形 鋼材を使用し、これを切断、溶接加工して上面開口のコの字形に形成し、両側支 柱１１，１１の下面に短尺のＨ形鋼材の埋め込みブロック１３，１３を取付けて なる接続用鋼製アームＤを構成したもので、これらの各種接続用鋼製アームＡ、 Ｂ、Ｃ、Ｄの鋼材表面にそれぞれ金属溶射又はセラミック溶射を施して厚さ１０ ０〜１２０μｍ程度の溶射被膜７が設けられている。

【００１０】 図４の（ａ）は上記の接続用鋼製アームの他の実施例を示すもので、水路の深 さ及び幅に応じて、Ｈ形鋼を主部材として切断、溶接加工して、上開きの逆ハ字 形に立設した両側支柱１６，１６と埋め込み用の下辺１７を形成し、それらの鋼 材表面には前記と同様に金属溶射又はセラミック溶射を施した溶射被膜７を形成 したコンクリート接続用鋼製アームＥを構成したもので、水路幅が広い排水路に 適用される。また図４の（ｂ）は片側使用の接続用鋼製アームＦを示すもので、 他方に疎水壁等の既存の壁面を利用して排水路を形成するような箇所の場合に使 用される。 また前記した各接続用鋼製アームの適所に設けられる吊上げ用孔等には封孔処 理後、カラー塗装するものとする。

【００１１】 上記のようにＨ形鋼を切断、溶接加工して、水路の深さ及び幅に応じてあらゆ る寸法の接続用鋼製アームをその設計条件に応じて形成すると共に、その表面に 金属溶射又はセラミック溶射被膜を形成することにより、コンクリート製アーム に代わりコストが安く、また従来の鋼製のものに比べ熱歪がなく、あらゆる寸法 の排水路に適応した接続用鋼製アームの必要量を必要なときに供給できるもので ある。尚、上記の溶射被膜面は粗面であるので、塗装をすれば強力な密着性が得 られ、溶射と塗装を併用すれば、その相乗効果により強力な重防食機能が発揮さ れる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は以上のように、コンクリートパネルのＨ形溝への嵌込みによりコンク リート側壁を形成するように、Ｈ形鋼を主部材として切断、溶接加工して、上開 きのコ字形又は逆ハ字形に立設した両側支柱と下辺、若しくは両側支柱にわたり 上、下辺を備えた接続用鋼製アームと、同様な両側支柱の中間部にわたり農業用 コンクリート製水路の落差の高位に相当する位置にＨ形鋼の中底桟を設けた接続 用鋼製アームの数種類の接続用鋼製アームを形成し、それら接続用鋼製アームの 鋼材表面にメッキに代わる金属溶射又はセラミック溶射被膜を設けたものである から、従来の溶融亜鉛メッキよりも防食性が高く、コンクリートと接触した場合 でも傷や剥離が生じにくく耐衝撃性、耐摩耗性に優れているため、据付工事の容 易性がさらに向上すると共に、鋼製アームの耐用年数を長くできる。又大型製品 でも溶射でき、しかも常温に近い加工なので素材の熱歪も生ずることがなく、寸 法が正確で、形鋼製の特徴を生かした強靭な接続用アームが得られると共に現地 据付工事も損傷防止の養生の必要なく容易に施工でき、コスト並びに施工費の節 減に寄与するところ極めて大である等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の接続用鋼製アームを使用して構築した
農業用排水路の斜視図。

【図２】（ａ）はコンクリート水路の落差支柱として使
用する本考案の接続用鋼製アームの一実施例を示す斜視
図で、コンクリートパネルの取付状態を一部切欠して示
す。（ｂ）は縦断側面図、（ｃ）はＸ−Ｘ線断面拡大
図。

【図３】（ａ）、（ｂ）、（ｃ）、（ｄ）は農業用排水
路等の水路構築に使用する本考案のコンクリート接続用
鋼製アームＡ，Ｂ，Ｃ，Ｄの一組を示す各正面図。

【図４】（ａ）及び（ｂ）は比較的幅の広い水路に用い
るコンクリート接続用鋼製アーム及び片側使用の接続用
鋼製アームを示す各正面図である。

【符号の説明】

Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ…コンクリート接続用鋼製アー
ム １…農業用排水路 ２…落差 ３，８，１１…両側支柱 ４，１０，１２，１７…下辺 ５…中底桟 ６，１３…埋め込みブロック ７…溶射被膜 ９…上辺 １４…底面 １５…Ｈ形溝 １６…両側の逆ハの字形の傾斜支柱 １８…コンクリートパネル １９…台形状コンクリートパネル ２０…ねじ孔 ２１…座金 ２２…コンクリートパネル ２３…取付ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 中嶋 康博 大阪府河内長野市美加の台６丁目10番６号 (72)考案者 棚橋 尚 岐阜県羽島市福寿町間島1518番地 丸栄コ ンクリート工業株式会社内

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水路の深さ、幅に応じてＨ形鋼を主部材
   として切断、溶接加工して、埋設する下辺とＨ形溝にコ
   ンクリートパネルを嵌入し積重して側壁を形成する両側
   支柱、又は両支柱間にわたり上、下辺を設けた接続用鋼
   製アームと、同様な両側支柱にわたり水路の落差の高位
   に相当する位置に中底桟を設け、その両側支柱にわたり
   底部から中底桟と同レベルまでコンクリートパネルを取
   付けて落差壁を構成する数種類の接続用鋼製アームの表
   面に、それぞれ金属溶射又はセラミック溶射被膜を設け
   てなるコンクリート水路接続用鋼製アーム。