JP3703430B2 - 構造用パネルと壁体構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば発電所関連施設の建屋等における壁の構築に用いる構造用パネルと、このパネルを使用した壁体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型建造物においては、従来のRC(鉄筋コンクリート)構造に代わるものとして、表面鋼板とコンクリートを組み合わせた鋼板(鋼板補強コンクリート)構造が注目されている。本構造の壁体は、対向配置した一対の面板を連結材を介して一体化した鉄鋼製の構造用パネルを用い、その所要枚数を直立状態で板面方向に連結して壁外殻を構築し、これらパネルの両面板間に挟まれた空間内にコンクリートを充填するようになされている。
【0003】
このような鋼板構造の壁体では、耐圧縮荷重は大きいが剪断力に弱いコンクリートを外側の面板で拘束した形になり、両者の特性が相互に補完し合うことから、RC構造に比較し、強度及び耐変形性が大きい上、鋼材量やコンクリート量を低減でき、しかも構造用パネル自体が取外し不要なコンクリート型枠となるため、施工性が良く、作業量の低減と工期短縮が可能になる。特に、前記連結材を両面板間に配列した多数本の緊結用鋼棒より構成し、これら鋼棒の両端と両面板とを溶接した構造用パネルによれば、両面板が多数本の鋼棒を介して強固に一体化していることから、コンクリート型枠として大きな耐圧強度が得られることに加え、鋼棒群がコンクリート中に埋入してシェアーコネクタとして機能するから、構築される壁体は強度的により優れたものとなるという利点がある。
【0004】
しかして、上記のように両面板を多数本の鋼棒を介して一体化した従来の構造用パネルは、その組立製作に際し、水平に配置した一方の面板の表面に、径大の頭部を備えた鋼棒をスタッド溶接によって一本ずつ垂直に植設すると共に、他方の面板の各鋼棒取付位置に溶接用下孔を穿設し、この面板を前記一方の面板の鋼棒群の各頭部上に各溶接用下孔が臨むように載置し、各溶接用下孔の周縁部で鋼棒の頭部に溶接して他方の面板とを接合するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構造用パネルにあっては、前記一方の面板に植設する鋼棒の各頂端を他方の面板の各溶接用下孔の位置に正確に一致させる上で、罫書き作業等で鋼棒の植設位置を高精度に設定し、且つ各鋼棒が板面に対して厳密に垂直になるようにスタッド溶接を行う必要があり、これらの作業に多大な労力及び時間を費やして製作能率が悪く、しかも両面板の間隔が大きいものほど、長い鋼棒を使用するためにスタッド溶接の作業性がより低下するという問題があった。また、従来の構造用パネルでは、前記の鋼棒の頭部に対して他方の面板の溶接用下孔の周縁部で溶接する際、その下孔部分が凹所となるのを避けるために溶接金属で下孔全体を埋めるようにしており、これによって他方の面板側での溶接作業にも非常に手間がかかる上、下孔部分での溶接金属の盛りつけによって面板表面の平滑性が損なわれることから、外観品位を確保するためにグラインダー等による表面の仕上げ加工が必要になり、それだけ工程が多くなってコスト高に繋がるという難点もあった。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて、両面板の間隔の大小に関わらず極めて容易に能率よく組立製作でき、比較的に平滑なパネル表面を有する構造用パネルと、このパネルを用いた鋼板構造の壁体を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明は、一対の対向配置した鉄鋼製面板1A,1Bが、板面に対して垂直な多数本の緊結用鋼棒2…を介して一体化されてなる構造用パネルPにおいて、前記鋼棒2はその複数本が一対の鉄鋼製保持板3,3に両端部を固着一体化した鋼棒ユニット20より構成され、各鋼棒2の両端部2a,2aが各々前記保持板3,3を貫通して外側へ突出し、前記両面板1A,1Bは各鋼棒2との対応位置に穿設された溶接用下孔4を有し、鋼棒ユニット20における各鋼棒2の突出端部2aが前記溶接用下孔4に嵌入され、この嵌入部での溶接によって前記両面板1A,1Bと鋼棒2とが固着されていることを特徴としている。
【0008】
上記構成の構造用パネルPでは、その組立製作において、各鋼棒ユニット20に一体化した複数本の鋼棒2…の突出端部2a…を面板1A又は1Bの溶接用下孔4…に嵌入させるだけで簡単に位置決めできると共に、鋼棒2…を一方の面板1Aに対して溶接する際に、水平配置した他方の面板1B上に鋼棒ユニット20…を自立状態で配列して仮組みし、この上に一方の面板1Aを載せて溶接作業を行うことができる。また、鋼棒ユニット20の保持板3,3が面板1A,1Bの溶接用下孔4の内面側周縁に接当し、スペーサとして両面板1A,1B間の間隔を一定に保つと同時に、突出端部2aの溶接用下孔4への嵌入度合を一定にし、且つ溶接部の裏当て材として機能する。しかして、鋼棒2の突出端部2aの突出高さを面板1A,1Bの厚みに略等しく設定すれば、溶接は該突出端部2aと溶接用下孔4との嵌合間隙を埋める形の栓溶接で行え、もって溶接部の凹凸が小さくなるから、溶接後の面板1A,1Bは比較的平滑な表面を有するものとなる。
【0009】
請求項2の発明は、上記請求項1の構造用パネルPにおいて、前記面板1A,1Bが少なくとも構造パネルにおける外面側に亜鉛系めっき10を施しためっき鋼板からなり、このめっき鋼板の後加工によって前記溶接用下孔4…が穿設されてなるものとしている。この場合、面板1A,1Bがめっき鋼板であることにより、当該構造用パネルPを例えば海辺に近い発電所関連施設の建屋の建設現場のように防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置しても、該面板1A,1Bの表面の腐食を生じない。一方、構造用パネルPの組立製作においては、面板1A,1Bに穿設された溶接用下孔4の内周面は亜鉛系めっき層10のない鉄鋼素地になるから、鋼棒2との溶接性は極めて良好となる。
【0010】
請求項3の発明は、上記請求項1又は2の構造用パネルPにおいて、前記鋼棒ユニット20は、各鋼棒2の前記保持板3に対する貫通部2bが径小に設定されてなるものとしている。この場合、鋼棒ユニット20の製作において、複数本の鋼棒2…の内で要所に位置するもの、例えば保持板3が帯板状の場合の両端に位置するもの、を保持板に溶接すれば、他の鋼棒は両側の保持板に挟まれて抜出不能になるために溶接が不要となる。
【0011】
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの構造用パネルPにおいて、前記鋼棒ユニット20における各鋼棒2の突出端部2aが先細テーパー状をなす構成としている。この場合、構造用パネルPの組立製作に際し、面板1A,1Bの溶接用下孔4に対する突出端部2aの嵌入操作がより容易になると共に、該突出端部2aと溶接用下孔4との嵌合間隙が面板外面側へ拡がる形になるために溶接し易くなる。
【0012】
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかに記載の構造用パネルPにおいて、前記両面板1A,1Bの左右両側に、パネル厚み方向中央側へ張出した連結用側縁部11,11が形成されてなるものとしている。この構成では、壁体の構築に際してパネルP,P同士を互いの連結用側縁部11,11の突き合わせ部分の溶接やねじ止めによって連結できると共に、パネルPの組立前の段階では面板1A,1Bが連結用側縁部11,11の存在によって剛性を有するために取扱い容易となる。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項5の構造用パネルPにおいて、前記連結用側縁部11,11の要所にボルト挿通孔11a…を有すると共に、両面板1A,1Bの左右一方側の連結用側縁部11の内面に、該ボルト挿通孔11aに臨んでナット13が溶接されてなる構成としている。この場合、壁体の構築に際してパネルP,P同士を前記ボルト挿通孔11a及びナット13を利用したボルト止めによって能率よく連結できる。
【0014】
一方、請求項7の発明に係る壁体構造は、前記請求項1〜6のいずれかの構造用パネルPの複数枚が板面方向に連結されて壁面を構成し、これら構造用パネルP…の対向する面板1A,1B間にコンクリートCが充填されてなるものである。この構成では、構造用パネルPは、両面板1A,1Bが多数本の鋼棒2…を介して強固に一体化しているため、コンクリート型枠として充分な耐圧強度を発揮する。そして構築された壁体は、各構造用パネルPの鋼棒2…がコンクリートC中に埋入して鉄筋として機能するから、強度的に優れたものとなる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図1及び図3(イ)に示す構造用パネルPは、両面に亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板からなる一対の対向配置した矩形の面板1A、1Bが、両面板1A,1B間に相互に間隔を置いて配置した多数本の鉄鋼製丸棒状の鋼棒2…を介して接合一体化されたものである。
【0017】
面板1A、1Bは、図2に示すように、両面めっき鋼板を原材として後加工により、縦横に等間隔で配列する円形の溶接用下孔4…が穿設されると共に、左右両側の全長にわたる内向きの連結用側縁11,11と、下縁全長にわたる外向きのデッキ連結縁12とが折曲形成されている。また、図6は面板1A、1Bの溶接用下孔4を設けた部分の拡大断面図であり、図中の10は亜鉛系めっき層を示す。
【0018】
なお、図2中、14は両面板1A、1Bの対向位置に穿設された円形のスリーブ用穴、15は面板1Aに穿設された正方形の埋込金具用開口部である。しかして、これらスリーブ用穴14や埋込金具用開口部15は構築する壁体の部位によって必要になるものであるから、これらの有無、数、位置は例えば図8に示すように構造用パネルPが該壁体のどの部位を構成するものであるかによって異なる。
【0019】
鋼棒2は、図2及び図4に示すように、面板1A,1Bの左右方向に沿う1列分の本数(図では7本)が一対の鉄鋼製の帯状保持板3,3に両端部を保持されて、直線状に一定間隔置きに配列した鋼棒ユニット20の形態で用いられている。
【0020】
この鋼棒ユニット20は、図4及び図5に示すように、各鋼棒2の両端部がそれぞれ帯状保持板3を貫通し、外側へ面板1A、1Bの厚みに相当する分だけ突出すると共に、この突出端部2a,2aが先細テーパー状をなしている。また、各鋼棒2の保持板3に対する貫通部2bは、当該保持板3の厚みに相当する幅で径小に設定されており、当該鋼棒2の主部との間が環状段部2cをなしている。そして、各鋼棒ユニット20においては、両端に位置する2本の鋼棒2,2のみが保持板3,3に溶接されており、他の鋼棒2…は両端部を単に保持板3の挿通孔3aに挿嵌した状態で段部2c,2cを介して両側の保持板3,3に挟まれる形で保持されている。
【0021】
一方、面板1A、1Bの溶接用下孔4…は、各鋼棒2に対応して配置しており、その孔径が鋼棒2の端部2aの基部径より若干大きく設定されている。そして、両面板1A,1Bと鋼棒2…とは、図6に示すように、各溶接用下孔4に鋼棒2の端部2aを嵌入させ、この嵌入部を栓溶接することによって一体に固着されている。なお、図6中、5は栓溶接による溶着金属を示す。
【0022】
上記構成の構造用パネルPを組立製作するには、まず面板1A,1Bの一方に対して鋼棒ユニット20…を仮組みするが、ここでは図2の上下配置に従って面板1Bに仮組みするものとして説明する。すなわち、面板1Bを内面側が上になるように水平に配置し、この面板1B上にその幅方向に沿う向きとした各鋼棒ユニット20を、鋼棒2…の片側(下側)の突出端部2a…を面板1Bの溶接用下孔4…に嵌入させ、下側になった帯状保持板3が当該面板1Bの内面に当接して自立する状態に配列する。しかして、配列の両端つまり面板1Bの長手方向の両端に位置する鋼棒ユニット20,20については、下側になった帯状保持板3の両端部等の適当な位置で当該面板1Bに溶接固着する。
【0023】
かくして面板1Bに全部の鋼棒ユニット20…を平行配置するように仮組みしたのち、その上に他方の面板1Aを載置し、該面板1Aの溶接用下孔4…に各鋼棒2…の上向きになった突出端部2a…を嵌入させ、各嵌入部を図7に示すように栓溶接して一体に固着する。そして、全ての嵌入部の栓溶接が終われば、面板1Bが上になるように全体を反転させ、仮組みしていた該面板1Bと鋼棒ユニット20…とを、溶接用下孔4…に対する各鋼棒2…の突出端部2a…の嵌入部での栓溶接によって一体に固着して構造用パネルPとする。なお、上記の反転の際、配列の両端に位置する鋼棒ユニット20,20が面板1Bに対しても固着しており、固着していない他の鋼棒ユニット20…群は両面板1A,1B間に挟まれる形になるために脱落する懸念はない。
【0024】
上述のように、この構造用パネルPの組立製作においては、面板1A,1B間に介在する鋼棒2…が鋼棒ユニット20として複数本を一体化した形で用いられているため、各鋼棒ユニット20ごとに鋼棒2…の突出端部2a…を面板1A,1Bの溶接用下孔4…に嵌入させるだけで簡単に位置決めできる上、一方の面板1Aに鋼棒ユニット20…を固着する際、まず水平にした他方の面板1B上に鋼棒ユニット20…を自立状態で配列して仮組みし、この仮組みの上に面板1Aを載せて上方から溶接を行えるから、非常に作業性がよい。しかも、前記仮組み時には鋼棒ユニット20…の全部を他方の面板1Bに対して仮止めする必要がなく、例えば配列の両端位置等の一部のものだけを溶接で仮止めしておくだけで、一方の面板1Aに対する溶接作業の終了後には全体を一体物として取り扱えるから、次の他方の面板1Bと鋼棒ユニット20…との溶接固着のための反転操作をクレーン等で容易に行える。
【0025】
更に、この鋼棒ユニット20の帯状保持板3,3が面板1A,1Bの溶接用下孔4の内面側周縁に接当してスペーサとして機能し、両面板1A,1B間の間隔を一定に保つ同時に、突出端部2aの溶接用下孔4への嵌入度合を一定にするから、高い組立精度を容易に達成でき、また該帯状保持板3,3が溶接部の裏当て材としても機能することから、嵌入部での確実な溶接を行える。
【0026】
しかして、上述のように、鋼棒ユニット20の帯状保持板3,3によって溶接用下孔4に対する各鋼棒20の突出端部2aの嵌入度合が一定になるから、該突出端部2aの突出高さを面板1A,1Bの厚みに略等しく設定すれば、溶接は該突出端部2aと溶接用下孔4との嵌合間隙を埋める形で行え、もって溶接部の凹凸が小さくなって面板1A,1Bの表面は比較的平滑となるため、グラインダー等による表面の仕上げ加工を省略でき、それだけ製作コストが低減される。
【0027】
また、特に本実施例の構造用パネルPでは、各鋼棒2の突出端部2aが先細テーパー状をなすことから、その組立製作に際し、面板1A,1Bの溶接用下孔4に対する突出端部2aの嵌入操作がより容易になると共に、該突出端部2aと溶接用下孔4との嵌合間隙が面板外面側へ拡がる形になるために溶接し易くなり、作業性がより向上する。しかして、面板1A,1Bは、連結用側縁部11,11の存在によって剛性を有するため、取扱いが容易である。
【0028】
更に、本実施例の構造用パネルPは、面板1A,1Bとして両面に亜鉛系めっき10を施しためっき鋼板を用いているため、防食性に優れており、例えば海辺に近く立地する発電所関連施設の建屋の建設現場のように防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置されても、該面板1A,1Bの腐食を生じず、もって腐食による品質低下や外観の悪化を確実に防止できる。また、この構造用パネルPの組立製作においては、従来のような鋼板のショットプライマー処理及び錆止め塗装が不要であるため、その製作工程が大幅に簡略化される。そして、面板1A,1Bの溶接用下孔4…は該めっき鋼板の後加工によって穿設され、その内周面が亜鉛系めっき層10のない鉄鋼素地になっていることから、前記の組立製作において鋼棒2の突出端部2aとの溶接性が極めて良好となり、得られた構造用パネルPは両面板1A、1Bと鋼棒2…とが強固に固着して強度的に優れたものとなる。
【0029】
なお、前記実施例では面板1A、1Bとして両面に亜鉛系めっき層10を有する両面めっき鋼板を示したが、このような亜鉛系めっき層10を構造用パネルにおける外面側のみに設けた片面めっき鋼板も使用可能である。しかして、そのめっき付着量は片面40〜200g/m2 が好ましい。すなわち、このめっき付着量は、めっき面を剥がすことなく、裸鋼材と同様の条件で鋼材の溶接を行える範囲である。しかるに、このめっき付着量が少な過ぎては防食性が不充分になり、パネルPの放置環境や放置期間によって赤錆が発生し易く、構造材としての強度等の性能低下、錆汁の付着による貰い錆、構築する壁体の外観の悪化といった問題を生起する。逆に該めっき付着量が多過ぎては、溶接性が悪化するため、パネルP,P同士の連結、該パネルPと他の構造材との接合、該パネルPに対する種々の付属部品の接合等を溶接によって行う場合に、充分な接合強度を得ることが困難になる。
【0030】
なお、両面めっき鋼板の場合、両面のめっき付着量が等しい等厚めっきに限らず、構造用パネルとしての外面側のめっきを防錆性能の確保のために厚く、内面側のめっきを溶接性向上のために薄くした差厚めっきでもよい。このような観点から、片面めっき鋼板を含めて面板1A、1Bのめっき付着量は、構造用パネルとしての外面側を40〜200g/m2 、内面側を0〜100g/m2 とするのがよい。
【0031】
また、面板1A、1Bの亜鉛系めっきは、亜鉛めっきと亜鉛合金めっきのいずれでもよい。そして、後者の亜鉛合金めっきとしては、アルミニウム−亜鉛合金のめっきが防錆力に優れる点から特に好適である。めっき手段としては、溶融めっき法を採用できる。
【0032】
一方、このような構造用パネルPのサイズは、発電所関連施設の建屋等の大型建造物における壁体を能率よく構築する上で、面板1A,1Bを幅1〜5m、長さ1〜20m、厚さ3〜6mmとし、両面板1A,1Bの間隔を250〜1500mmの範囲に設定するのがよい。
【0033】
上記構成の構造用パネルPは、その複数枚を板面方向に連結して例えば図8に示すような壁枠WFを構成し、これら構造用パネルP…の対向する面板1A,1B間にコンクリートを充填、硬化させることにより、図3(ロ)に示すように内部がコンクリートCで満たされた鋼板補強コンクリート構造の所要の壁体Wを構築する。なお、図8において、6は各パネルPIの両面板1A,1Bの上縁に溶接固着した断面T字形の鉄鋼製補強材である。また、7はスリーブ用穴14(図2参照)に嵌入して溶接固着された円筒形のスリーブであり、壁体Wを貫通して種々の配管や配線等を行うのに利用される。8は埋込金具用開口部15(図2参照)に溶接固着された埋込金具であり、一体の脚部(図示省略)をコンクリートC中に埋入しており、他の種々の付属構造部材等に対する溶接支持部として利用される。
【0034】
このような壁体Wの構築においては、各構造用パネルPの対向配置した面板1A,1Bが多数本の鋼棒2…を介して強固に一体化しているため、これらパネルP…を連結して構成される壁枠WFは、内部に充填するコンクリートCの型枠として充分な耐圧強度を発揮する。なお、亜鉛系めっき層10の表面酸化によって生じる亜鉛又は亜鉛合金の酸化皮膜はコンクリートCに対して未塗装と同等以上の付着性を示す。
【0035】
従って、構築された壁体Wは、面板1A,1B間に充填されたコンクリートCが該面板1A,1Bの内面に強く密着する上、鋼棒2…がコンクリートC中の鉄筋として機能するから、構造用パネルP…つまり壁枠WFとコンクリートCとが強固に一体化して強度的に優れたものとなる。また、面板1A,1Bの外面側の亜鉛系めっき層10は構築後の壁体Wにおける錆止め層として機能するため、溶接部の補修塗装のみで充分に耐久性を確保できる。また、より高い耐久性が求められる場合でも、各別な下地塗装を必要とせず、該亜鉛系めっき層10上に直接に仕上げ塗装を施すことができる。
【0036】
なお、壁枠WFの構築における構造用パネルP,P同士の連結は、両面板1A,1Bの溶接性が良いため、両パネルP,Pの隣接する連結用側縁11,11の重合部分を溶接することによって行えるが、連結作業の迅速化のためにボルト止め方式を採用してもよい。また構造用パネルP,P同士をボルト止め方式で仮止めした後に溶接にて固着してもよい。このボルト止め方式では、例えば図9に示すように、両方のパネルP,Pの連結用側縁11,11の所要位置に両者間で連通するボルト孔11aを穿設すると共に、片方の連結用側縁11の内面側に該ボルト孔11aに臨んでナット13を溶接固着しておき、インパクトレンチ等の適当な捻回具によってボルト14をボルト孔11a,11aを通してナット13に螺合緊締すればよい。また各パネルPの下縁のデッキ連結縁12についても、床体等のデッキに対して溶接にて連結してもよいし、ボルト孔を設けてボルト止め方式にて連結あるいは溶接前の仮止めを行うようにしてもよい。
【0037】
前記実施例では鋼棒ユニット20における一対の鉄鋼製保持板3が帯状であるものを例示したが、本発明で用いる鋼棒ユニット20は、鉄鋼製の保持板3が正方形、長方形、L字形、T字形等の他の形状であってもよく、また各鋼棒ユニット20に一体化される鋼棒2の本数や配置構成についても様々に設定できる。しかして、鋼棒ユニット20は、複数本の鋼棒2…の全部を保持板3,3に溶接固着した構造でもよいが、前記実施例のように各鋼棒2の保持板3に対する貫通部2bを径小に設定した構成とすれば、一部の鋼棒2のみを保持板3,3に溶接するだけで他の鋼棒を抜落不能に保持できるから、その製作が容易になる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、対向配置した一対の面板が両板間に配置した多数本の鋼棒を介して一体化され、その内部にコンクリートを充填して鋼板補強コンクリート構造の壁体を構築するのに使用される鉄鋼製の構造用パネルとして、前記鋼棒がその複数本を一対の鉄鋼製保持板に両端部を固着一体化した鋼棒ユニットからなり、前記保持板から突出した鋼棒の端部を面板の溶接用下孔に嵌入して、この嵌入部で溶接するようにしていることから、両面板の間隔の大小に関わらず極めて容易に能率よく組立製作できる上、高い組立精度が得られ、またパネル表面が比較的に平滑で外観に優れ、グラインダー仕上げ等を省略できるものが提供される。
【0039】
請求項2の発明によれば、上記の構造用パネルとして、面板が少なくとも構造用パネルにおける外面側に亜鉛系めっきを施した鋼板からなり、そのめっきの欠如部分が溶接部のみに限定されることになるため、防食性に優れ、例えば海辺に近い発電所関連施設の建屋の建設現場のように防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置しても、面板の腐食を生じず良好な性能及び外観を維持できるものが提供される。
【0040】
請求項3の発明によれば、上記の構造用パネルにおいて、鋼棒ユニットの各鋼棒の保持板に対する貫通部を径小に設定していることから、一部の鋼棒のみを保持板に溶接固着するだけで他の鋼棒を脱落不能に保持でき、もって該鋼棒ユニットを容易に低コストで製作できるという利点がある。
【0041】
請求項4の発明によれば、上記の構造用パネルにおいて、鋼棒ユニットの各鋼棒の突出端部を先細テーパー状としていることから、該構造パネルの組立製作における鋼棒と面板との嵌め合わせ及び溶接が容易になるという利点がある。
【0042】
請求項5の発明によれば、上記の構造用パネルにおいて、両面板の左右両側にパネル厚み方向中央側へ張出した連結用側縁部を有することから、壁体の構築に際してパネル同士を溶接やねじ止めによって容易に連結できると共に、面板自体が剛性を有して取扱い容易である。
【0043】
請求項6の発明によれば、上記の構造用パネルとして、壁体の構築に際してパネル同士をボルト止めによって能率よく連結できるものが提供される。
【0044】
請求項7の発明によれば、鋼板補強コンクリート構造の壁体として、前記の構造用パネルを使用していることから、施工性がよく、外観も良好で且つ強度的に優れたものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る壁体構築用の構造用パネルの一実施例を示す斜視図である。
【図2】 同構造用用パネルの分解斜視図である。
【図3】 同構造用パネルとこれを用いた壁体を示し、(イ)は構造用パネルの縦断側面図、(ロ)は壁体の縦断側面図である。
【図4】 鋼棒ユニットの要部の縦断側面図である。
【図5】 同構造用パネルに用いる面板の要部を示す断面図である。
【図6】 同構造用パネルに用いる面板の要部を示す断面図である。
【図7】 同構造用パネルの緊結用鋼棒との溶接部を示す断面図である。
【図8】 同構造用パネルにて構築した壁枠の斜視図である。
【図9】 同構造用パネル同士のボルト止め方式による連結を示す断面図である。
【符号の説明】
1A,1B 面板
10 亜鉛系めっき層
2 緊結用鋼棒
2a 端部
2b 貫通部
2c 段部
20 鋼棒ユニット
3 帯状保持板(鉄鋼製保持板)
4 溶接用下孔
5 溶着金属
P 構造用パネル
C コンクリート
W 壁体
WF 壁枠

Claims (7)

  1. 一対の対向配置した鉄鋼製面板が、板面に対して垂直な多数本の緊結用鋼棒を介して一体化されてなる構造用パネルにおいて、
    前記鋼棒はその複数本が一対の鉄鋼製保持板に両端部を固着一体化した鋼棒ユニットより構成され、各鋼棒の両端部が各々前記保持板を貫通して外側へ突出し、
    前記両面板は各鋼棒との対応位置に穿設された溶接用下孔を有し、
    鋼棒ユニットにおける各鋼棒の突出端部が前記溶接用下孔に嵌入され、この嵌入部での溶接によって前記両面板と鋼棒とが固着されていることを特徴とする構造用パネル。
  2. 前記面板が少なくとも構造パネルにおける外面側に亜鉛系めっきを施しためっき鋼板からなり、このめっき鋼板の後加工によって前記溶接用下孔が穿設されてなる請求項1記載の構造用パネル。
  3. 前記鋼棒ユニットは、各鋼棒の前記保持板に対する貫通部が径小に設定されてなる請求項1又は2に記載の構造用パネル。
  4. 前記鋼棒ユニットにおける各鋼棒の突出端部が先細テーパー状をなす請求項1〜3のいずれかに記載の構造用パネル。
  5. 前記両面板の左右両側に、パネル厚み方向中央側へ張出した連結用側縁部が形成されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の構造用パネル。
  6. 前記連結用側縁部の要所にボルト挿通孔を有すると共に、両面板の左右一方側の連結用側縁部の内面に、該ボルト挿通孔に臨んでナットが溶接されてなる請求項5記載の構造用パネル。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の構造用パネルの複数枚が板面方向に連結されて壁面を構成し、これら構造用パネルの対向する面板間にコンクリートが充填されてなる壁体構造。
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