JP2003193618A - 構造用パネルと壁体及び床体構造 - Google Patents

構造用パネルと壁体及び床体構造

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JP2003193618A
JP2003193618A JP2001392161A JP2001392161A JP2003193618A JP 2003193618 A JP2003193618 A JP 2003193618A JP 2001392161 A JP2001392161 A JP 2001392161A JP 2001392161 A JP2001392161 A JP 2001392161A JP 2003193618 A JP2003193618 A JP 2003193618A
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Takamasa Warisawa
隆昌 割澤
Toshiya Oniki
俊也 鬼木
Ippei Matsuo
一平 松尾
Nobuyuki Niwa
信之 丹羽
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Kajima Corp
Sumitomo Metal Steel Products Inc
Original Assignee
Kajima Corp
Sumitomo Metal Steel Products Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼板補強コンクリート構造の壁体構築に用い
る構造用パネルとして、優れた防食性と充分な溶接性を
兼ね備え、コンクリートに対する付着性がよく、組立製
作が容易であり、強度的に優れたものを提供する。 【解決手段】 両面合計のめっき付着量が80〜200
g/m2 である亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板か
らなる一対の面板1A,1B間に、板面に対する垂直方
向に沿う多数本の緊結用鋼棒2…が互に間隔を置いて配
置し、鋼棒2…の両端部2a,2aと両面板1A,1B
とが溶接にて一体化されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば発電所関連
施設の建屋等における壁及び床の構築に用いる構造用パ
ネルと、このパネルを使用した壁体及び床体構造に関す
る。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、大型建造物においては、
従来のRC(鉄筋コンクリート)構造に代わるものとし
て、表面鋼板とコンクリートを組み合わせた鋼板(鋼板
補強コンクリート)構造が注目されている。しかして、
本構造では、耐圧縮荷重は大きいが剪断力に弱いコンク
リートが外側の鋼板で拘束された形になり、両者の特性
が相互に補完し合うことから、RC構造に比較し、強度
及び耐変形性が大きい上、鋼材量やコンクリート量を低
減でき、しかも構造用パネル自体が取外し不要なコンク
リート型枠となるため、施工性が良く、作業量の低減と
工期短縮が可能になるという利点がある。
【0003】このような鋼板構造の壁体は、対向配置し
た一対の鋼板を連結材を介して一体化した構造用パネル
を用い、この構造用パネルの所要枚数を直立状態で板面
方向に連結して壁外殻を構築し、これらパネルの両側鋼
板間に挟まれた空間内にコンクリートを充填するように
なされている。また、鋼板構造の床体は、鋼板の片面に
多数本のスタッドボルトを溶接にて植設した構造用パネ
ルを用い、この構造用パネルの所要枚数をスタッドボル
トの植設側が上になる水平状態で板面方向に連結し、こ
れら構造用パネル上にコンクリートを打設し、コンクリ
ート中にスタッドボルトを埋入させるようになってい
る。
【0004】従来、鋼板構造に用いる前記構造用パネル
は、鋼板のパネル外面となる片面にショットプライマー
処理(ショットブラストによる整面とプライマー塗装)
した上で、プレス、溶接、ボルト止め等の所要の加工を
行って該構造用パネルを組み立てたのち、前記のショッ
トプライマー処理した外面に錆止め塗装を施して仕上げ
ているが、鋼板の内面についてはコンクリートの付着性
を確保するために未塗装になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
構造用パネルにおいては、施工現場に搬入してからコン
クリート打設までの期間が長くなると、放置中に未塗装
の鋼板内面が腐食して品質低下を招くという欠点があっ
た。特に、発電所関連施設の建屋の建設現場では、前記
の放置期間が半年から1年にわたることが普通である
上、発電所の立地が概して塩分の影響を受ける海岸に隣
接し、鋼材の防食面で非常に厳しい環境に置かれること
から、構造用パネルの集積部全体を防水シートで覆う等
の処置を講じていても、鋼板内面に赤錆の発生が避けら
れず、これによって構造材としての強度等の性能低下を
来す上、その錆汁が鋼板外面の塗装面に付着して貰い錆
の原因になると共に、壁や床(天井面)の外観を悪化さ
せるという問題があった。また、従来の構造用パネルで
は、前記のように組立製作に際し、鋼板のショットプラ
イマー処理及び錆止め塗装を行うことから、工程が多く
煩雑になる上、この種のパネルは一般的に大きなサイズ
であるため、その処理や塗装における作業性が悪く、多
大な労力及びエネルギーと時間を費やして製作コストが
高く付くという難点もあった。
【0006】本発明は、上述の情況に鑑み、発電所関連
施設の建屋の建設現場のように、鋼材の防食面で非常に
厳しい環境での放置期間が長期にわたる場合でも、腐食
による品質低下や外観の悪化を確実に防止でき、しかも
コンクリートに対する充分な付着性を備えると共に組立
製作も容易であり、また強度的にも優れた構造用パネル
と、これを用いた壁体及び床体構造を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の
発明に係る構造用パネルP1は、両面合計のめっき付着
量が80〜200g/m2 である亜鉛系めっきを施した
両面めっき鋼板からなる一対の対向配置した面板1A,
1B間に、板面に対する垂直方向に沿う多数本の緊結用
鋼棒2…が互に間隔を置いて配置し、これら鋼棒2…の
両端部2a,2aと前記両面板1A,1Bとが溶接によ
って一体化されてなる構成としている。
【0008】この構造用パネルP1では、その面板1
A,1Bとして両面に亜鉛系めっきを施した鋼板を用い
ていることから、発電所関連施設の建屋の建設現場のよ
うに防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置されて
も、該面板1A,1Bの腐食を生じず、また亜鉛系めっ
きの表面に生じる亜鉛又は亜鉛合金の酸化皮膜とコンク
リートCと親和性が良好であり、パネル内部に充填され
るコンクリートCに対して未塗装と同等以上の付着性が
得られる。しかも、パネルの組立製作に際して従来のよ
うな鋼板のショットプライマー処理及び錆止め塗装が不
要となる上、面板のめっき付着量が適度であることか
ら、組立製作時の面板1A,1Bと鋼棒2…や他の付属
部材との溶接、更には壁体構築時のパネルP1,P1同
士の溶接ならびに他の鉄鋼製の構造材や部品との溶接に
支障を生じない。しかして、この構造用パネルP1は、
鋼板構造の壁体に用いるものであるが、対向配置した面
板1A,1Bが多数本の鋼棒2…を介して強固に一体化
しているため、内部に充填するコンクリートCの型枠と
して充分な強度を有する上、これら鋼棒2…が内部に充
填されるコンクリートCのシェアーコネクタとして機能
する。更に構築後の壁体に仕上げ塗装を行う場合には、
面板1A,1Bの亜鉛系めっき層10が錆止め下地層と
なる。
【0009】請求項2の発明は、上記請求項1の構造用
パネルP1において、前記面板1A,1Bは、幅1〜5
m、長さ1〜20m、厚さ3〜6mmであり、両面板の
間隔が250〜1500mmの範囲にあるものとしてい
る。この構造用パネルP1では、サイズが大きいために
発電所関連施設の建屋等の大型建造物における壁体の外
殻を少ない枚数で能率よく構築できる。
【0010】請求項3の発明は、上記請求項1又は2の
構造用パネルP1において、前記面板1A,1Bに穿設
された溶接用下孔11に前記鋼棒2の端部2aが嵌入
し、この嵌入部において当該面板1A,1Bと鋼棒2と
が溶接されてなる構成としている。この場合、面板1
A,1Bに穿設された溶接用下孔11の内周面が亜鉛系
めっき層10のない鉄鋼素地になるから、鋼棒2との溶
接性は未塗装状態と同等になる。
【0011】請求項4の発明に係る壁体構造は、上記請
求項1〜3のいずれかに記載の構造用パネルP1の複数
枚が板面方向に連結されて壁面を構成し、これら構造用
パネルの対向する面板1A,1B間にコンクリートCが
充填されてなるものである。この壁体構造では、構造用
パネルP1が錆を有さず高強度であり、その内面とコン
クリートCとの付着性も良好であり、且つ該構造用パネ
ルP1の多数本の鋼棒2…がコンクリートCのシェアー
コネクタとして機能しているから、強度的に優れてお
り、また構築施工に際して構造用パネルP1,P1同士
の溶接ならびに構造用パネルP1と他の鉄鋼製の構造材
や部品との溶接を容易に行える。
【0012】一方、請求項5の発明に係る構造用パネル
P2は、両面合計のめっき付着量が80〜200g/m
2 である亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板1Cの片
面に、相互に間隔を置いて多数本の鋼棒材3…が溶接に
よって板面に対して垂直に植設されてなる構成としてい
る。
【0013】この構造用パネルP2は、鋼板構造の床体
に用いるものであるが、前記構造用パネルP1と同様
に、両面に亜鉛系めっきを施した鋼板1Cを用いている
ことから、防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置
されても該鋼板1Cの腐食を生じず、品質低下や外観の
悪化を確実に防止でき、且つコンクリートCに対する良
好な付着性を発揮する。また、当該パネルP2の組立製
作においては、鋼板1Cのショットプライマー処理及び
錆止め塗装が不要であり、工程が大幅に簡略化されると
共に、亜鉛系めっきが適度な付着量であることにより、
鋼板1Cと鋼棒材3…との溶接を支障なく行える。
【0014】請求項6の発明は、上記請求項5の構造用
パネルP2において、前記両面めっき鋼板1Cの片面
に、形鋼からなる複数本の補強フレーム30が前記鋼棒
材3…の配列間に位置して溶接固着されてなる構成とし
ている。この場合、構造用パネルP2は、補強フレーム
30により、運搬等の取り扱いが容易にする剛性が付与
されると共に、床体構築に際して補強フレーム30の両
端部で鉄骨梁等に溶接して支承させることができ、コン
クリート型枠としての耐荷重強度が向上する。
【0015】請求項7の発明は、上記請求項5又は6の
構造用パネルP2において、両面めっき鋼板1Cは、幅
1〜5m、長さ1〜20m、厚さ3〜6mmであり、鋼
棒材3の長さが80〜120mmの範囲にあるものとし
ている。この構造用パネルP2では、サイズが大きいた
めに発電所関連施設の建屋等の大型建造物における床体
の外枠を少ない枚数で構築できると共に、鋼板1Cは適
切なめっき付着量によって充分な耐蝕性と溶接性を兼ね
備えることになる。
【0016】請求項8の発明に係る床体構造は、上記請
求項5〜7のいずれかに記載の構造用パネルP2の複数
枚が板面方向に連結されて壁面を構成し、これら構造用
パネルP2…上に打設されたコンクリートC中に鋼棒材
3…が埋入してなるものである。この床体構造では、構
造用パネルP2が錆を有さず高強度であり、その内面
(上面)とコンクリートCとの付着性も良好であり、且
つ該構造用パネルP2の多数本の鋼棒材3…がアンカー
としてコンクリートC中に埋入しているから、強度的に
優れており、また構築施工に際して構造用パネルP2,
P2同士の溶接ならびに構造用パネルP2と他の鉄鋼製
の構造材や部品との溶接を容易に行える。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について、
図面を参照して具体的に説明する。図1〜図10は壁体
構築用の構造用パネルP1に係り、図11〜図13は床
体構築用の構造用パネルP2に係るものである。
【0018】図1及び図3(イ)に示す構造用パネルP
1は、両面に亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板から
なる一対の対向配置した矩形の面板1A、1Bが、両面
板1A,1B間に相互に間隔を置いて配置した多数本の
緊結用鋼棒2…を介して接合一体化されたものである。
【0019】面板1A、1Bは、図2に示すように、両
面めっき鋼板を原材として後加工により、縦横に等間隔
で配列する円形の溶接用下孔11…が穿設されると共
に、左右両側の全長にわたる内向きの連結用側縁12,
12と、下縁全長にわたる外向きのデッキ連結縁13と
が折曲形成されている。また、図5は面板1A、1Bの
溶接用下孔11を設けた部分の拡大断面図であり、図中
の10は亜鉛系めっき層を示す。
【0020】なお、図2中、14は両面板1A、1Bの
対向位置に穿設された円形のスリーブ用穴、15は面板
1Aに穿設された正方形の埋込金具用開口部である。し
かして、これらスリーブ用穴14や埋込金具用開口部1
5は構築する壁体の部位によって必要になるものである
から、これらの有無、数、位置は例えば図7に示すよう
に構造用パネルP1が該壁体のどの部位を構成するもの
であるかによって異なる。
【0021】鋼棒2は、図2及び図4に示すように、そ
の複数本(図では7本)が一対の鉄鋼製の帯状保持板
4,4に両端部を固着して、直線状に一定間隔置きに配
列した鋼棒ユニット20の形態で用いられている。この
鋼棒ユニット20は、各鋼棒2の両端部2a,2aがそ
れぞれ帯状保持板4を貫通し、外側へ面板1A、1Bの
厚みに相当する分だけ突出すると共に、この突出部分が
先細テーパー状をなしている(図6参照)。
【0022】一方、面板1A、1Bの溶接用下孔11…
は、各鋼棒2に対応して配置しており、その孔径が鋼棒
2の端部2aの基部径(最大径)と同等ないし若干大き
く設定されている。そして、両面板1A,1Bと鋼棒2
…とは、図6に示すように、各溶接用下孔11に鋼棒2
の端部2aを嵌入させ、この嵌入部を栓溶接することに
よって一体に固着されている。なお、図6中、5は栓溶
接による溶着金属を示す。
【0023】しかして、面板1A、1Bにおける両面の
亜鉛系めっき層10は、両面合計のめっき付着量が80
〜200g/m2 の範囲にあるように設定する。すなわ
ち、このめっき付着量は、めっき面を剥がすことなく、
裸鋼材と同様の条件で鋼材の溶接を行える範囲である。
しかるに、このめっき付着量が80g/m2 未満では、
防食性が不充分になり、パネルP1の放置環境や放置期
間によって赤錆が発生し易く、構造材としての強度等の
性能低下、錆汁の付着による貰い錆、構築する壁体の外
観の悪化といった問題を生起する。逆に該めっき付着量
が200g/m 2 を越えると、溶接性が悪化するため、
パネルP1,P1同士の連結、該パネルP1と他の構造
材との接合、該パネルP1に対する種々の付属部品の接
合等を溶接によって行う場合に、充分な接合強度を得る
ための品質管理が困難となり作業性が悪くなる。
【0024】なお、面板1A、1Bに用いる両面めっき
鋼板としては、両面のめっき厚さが等しい等厚めっきに
限らず、両面のめっき厚さが異なる差厚めっきを施した
ものでもよい。この差厚めっきの場合、構造用パネルと
しての外面側は防錆性能を高めるために厚くし、同内面
側は溶接性向上のために薄くするのがよいが、必要な防
食性を確保する上で両面共に40g/m2 以上のめっき
付着量が必要である。従って、両面めっき鋼板のめっき
付着量としては、より好ましくは、前記外面側が40〜
160g/m2 、内面側が40〜100g/m2 で、且
つ両面合計で前記の80〜200g/m2 となる範囲に
設定するのがよい。また、亜鉛系めっきは亜鉛めっきと
亜鉛合金めっきのいずれでもよく、後者の亜鉛合金めっ
きとしてはアルミニウム−亜鉛合金のめっきが防錆力に
優れる点から特に好適である。このめっき手段として
は、溶融めっき法及び電気めっき法を採用できる。
【0025】一方、このような構造用パネルP1のサイ
ズは、発電所関連施設の建屋等の大型建造物における壁
体を能率よく構築する上で、面板1A,1Bを幅1〜5
m、長さ1〜20m、厚さ3〜6mmとし、両面板1
A,1Bの間隔を250〜1500mmの範囲に設定す
るのがよい。
【0026】上記構成の構造用パネルP1にあっては、
面板1A,1Bとして両面に亜鉛系めっきを施した鋼板
を用いていることから、海辺に近く立地する発電所関連
施設の建屋の建設現場のように防食面で厳しい環境下で
長期にわたって放置されても、該面板1A,1Bの腐食
を生じず、もって腐食による品質低下や外観の悪化を確
実に防止できる。また、この構造用パネルP1の組立製
作においては、従来のような鋼板のショットプライマー
処理及び錆止め塗装が不要であるため、その製作工程が
大幅に簡略化されると共に、亜鉛系めっき層10が適度
な厚みであることから、組立製作時の面板1A,1Bと
鋼棒2…や他の付属部材との溶接、更には壁体構築時の
パネルP1,P1同士の溶接ならびに他の鉄鋼製の構造
材や部品との溶接に支障を生じない。
【0027】特に、この実施例の構造用パネルP1で
は、面板1A,1Bに穿設された溶接用下孔11に鋼棒
2の端部2aが嵌入し、この嵌入部において当該面板1
A,1Bと鋼棒2とが溶接されており、溶接用下孔11
の内周面が亜鉛系めっき層10のない鉄鋼素地になって
いることから、鋼棒2との溶接性が極めて良好となる。
また、鋼棒2の端部2aのテーパーは溶接時の開先加工
として機能し、少ない溶着金属量で必要な強度を確保す
ると共に、溶接による熱歪みをなくし、溶接部の外観も
綺麗にしている。
【0028】上記構成の構造用パネルP1は、その複数
枚を板面方向に連結して例えば図7に示すような壁枠W
Fを構成し、これら構造用パネルP1…の対向する面板
1A,1B間にコンクリートを充填、硬化させることに
より、図3(ロ)に示すように内部がコンクリートCで
満たされた鋼板構造の所要の壁体Wを構築する。なお、
図7において、6は各パネルPIの両面板1A,1Bの
上縁に溶接固着した断面T字形の鉄鋼製補強材である。
また、7はスリーブ用穴14(図2参照)に嵌入して溶
接固着された円筒形のスリーブであり、壁体Wを貫通し
て種々の配管や配線等を行うのに利用される。8は埋込
金具用開口部15(図2参照)に溶接固着された埋込金
具であり、一体の脚部(図示省略)をコンクリートC中
に埋入しており、他の種々の付属構造部材等に対する溶
接支持部として利用される。
【0029】このような壁体Wの構築においては、各構
造用パネルP1の対向配置した面板1A,1Bが多数本
の鋼棒2…を介して強固に一体化していることに加え、
放置中の両面板1A,1Bの腐食による強度低下もない
ため、これらパネルP1…を連結して構成される壁枠W
Fは、内部に充填するコンクリートCの型枠として充分
な耐圧強度を発揮する。また、亜鉛系めっき層10の表
面酸化によって生じる亜鉛又は亜鉛合金の酸化皮膜はコ
ンクリートCに対して未塗装と同等以上の付着性を示
す。
【0030】従って、構築された壁体Wは、面板1A,
1B間に充填されたコンクリートCが該面板1A,1B
の内面に強く密着する上、鋼棒2…がコンクリートC中
のシェアーコネクタとして機能するから、構造用パネル
P1…つまり壁枠WFとコンクリートCとが強固に一体
化して強度的に優れたものとなる。また、面板1A,1
Bの外面側の亜鉛系めっき層10は構築後の壁体Wにお
ける錆止め下地層として機能するため、壁面の仕上げ塗
装を行う場合には各別な下地塗装を必要とせず、該亜鉛
系めっき層10上に直接に仕上げ塗装を施すことができ
る。
【0031】なお、壁枠WFの構築における構造用パネ
ルP1,P1同士の連結は、両面板1A,1Bの溶接性
が良いため、両パネルP1,P1の隣接する連結用側縁
12,12の重合部分を溶接することによって行える
が、連結作業の迅速化のためにボルト止め方式を採用し
てもよい。このボルト止め方式では、例えば図8に示す
ように、両方のパネルP1,P1の連結用側縁12,1
2の所要位置に両者間で連通するボルト孔12aを穿設
すると共に、片方の連結用側縁12の内面側に該ボルト
孔12aに臨んでナット16を溶接固着しておき、イン
パクトレンチ等の適当な捻回具によってボルト17をボ
ルト孔12a,12aを通してナット16に螺合緊締す
ればよい。また各パネルP1の下縁のデッキ連結縁13
についても、床体等のデッキに対して溶接にて連結して
もよいし、ボルト孔を設けてボルト止め方式にて連結し
てもよい。
【0032】更に、構造用パネルP1の鋼棒2は、上記
実施例では鋼棒ユニット20として複数本を一体化した
形で用いているが、一本ずつ独立したものを使用しても
よい。しかして、面板1A,1Bと鋼棒2との接合は、
前記実施例のように面板1A,1Bに設けた溶接用下孔
11を利用すれば、面板1A,1Bの亜鉛系めっき層1
0を介さずに溶接できるが、該亜鉛系めっき層10が存
在しても既述のように充分な溶接性を確保できるため、
溶接用下孔11を設けずにスタッド溶接にて接合するこ
とも可能である。
【0033】図9及び図10は構造用パネルP1におけ
る面板1A,1Bと鋼棒2との接合形態の変形例を示
す。まず、図9の接合形態では、一方の面板1Aの内面
側に鋼棒2をスタッド溶接にて植設すると共に、他方の
面板1Bの対応位置には溶接用下孔11を穿設してお
き、各鋼棒2の頂部に溶接にて一体化された受け板部2
bを溶接用下孔11の位置に当接させ、該下孔11の周
縁で受け板部2cに溶接するようにしている。また図1
0の接合形態では、鋼棒2が2本のボルト21,21と
長筒状ナット22との3部材より構成されており、ボル
ト21,21をそれぞれ面板1A,1Bの内面にスタッ
ド溶接にて植設しておき、両ボルト21,21に長筒状
ナット22を螺合緊締することより、面板1A,1Bと
鋼棒2とを連結一体化するようになっている。
【0034】図11及び図12に示す構造用パネルP2
は、両面に亜鉛系めっきを施した矩形の両面めっき鋼板
1Cの片面に、多数本の鋼棒材3…がスタッド溶接によ
って板面に対して垂直に且つ縦横に配列して植設される
と共に、鋼板長手方向に沿うI形鋼からなる複数本の補
強フレーム30が鋼棒材3…の複数列(図では3列)置
きに平行に溶接固着されたものである。しかして、各鋼
棒材3は鍛造によって一体形成された径大の頭部3aを
有している。各補強フレーム30は、鋼棒材3…よりも
上下高さが大きく、両端が鋼板1Cの端縁より若干突出
している。また、鋼板1Cの短辺方向の片端に配置する
補強フレーム30は、その底面の幅半分が鋼板1Cの側
縁より外側へ張出している。
【0035】しかして、鋼板1Cにおける両面の亜鉛系
めっきは、前記構造用パネルP1の面板1A,1Bと同
様であり、亜鉛めっきと亜鉛合金めっきのいずれでもよ
く、亜鉛合金めっきではアルミニウム−亜鉛合金のめっ
きが特に好適である。そして、鋼板1Cの両面合計のめ
っき付着量は、やはり前記構造用パネルP1の面板1
A,1Bと同様に防食性と溶接性を両立させるために、
80〜200g/m2 の範囲に設定している。ただし、
この鋼板1Cにおいても、前記構造用パネルP1の面板
1A,1Bと同様に、構造用パネルP2における外面側
つまり鋼棒材3…の非植設側のめっきを厚く、同内面側
のめっきを薄くした差厚めっきを施したものも使用可能
であり、その両面の各めっき付着量は前記面板1A,1
Bの場合と同様の範囲とすることが好ましい。また、こ
のような構造用パネルP2のサイズは、発電所関連施設
の建屋等の大型建造物における床体を能率よく構築する
上で、鋼板1Cを幅1〜5m、長さ1〜20m、厚さ3
〜6mmとし、鋼棒材3…の長さを80〜120mmの
範囲に設定するのがよい。
【0036】上記構成の構造用パネルP2にあっては、
鋼板1Cとして両面に亜鉛系めっきを施したものを用い
ていることから、海辺に近く立地する発電所関連施設の
建屋の建設現場のように防食面で厳しい環境下で長期に
わたって放置されても、該鋼板1Cの腐食を生じず、も
って腐食による品質低下や外観の悪化を確実に防止でき
る。また、この構造用パネルP2の組立製作において
は、従来のような鋼板のショットプライマー処理及び錆
止め塗装が不要であるため、その製作工程が大幅に簡略
化されると共に、亜鉛系めっきが適度な厚みであること
から、組立製作時の鋼板1Cと鋼棒材3との溶接や他の
付属部材との溶接、更には床体構築時のパネルP2,P
2同士の溶接ならびに他の鉄鋼製の構造材や部品との溶
接に支障を生じない。
【0037】上記構成の構造用パネルP2は、床体構築
に際し、各パネルP2の片端に位置する補強フレーム3
0の鋼板1Cから外側へ張出した底面の幅半分に、隣接
するパネルP2の鋼板1C側縁部を重合する形で、その
所要枚数を鋼棒材3…の植設面を上向きにして板面方向
に連結し、これらパネルP2…の補強フレーム30…の
突出した両端部を床構築部の鉄骨梁上に載せて溶接固着
する。そして、図13に示すように、これらパネルP2
…上に補強フレーム30…及び鋼棒材3…が埋入するよ
うにコンクリートCを打設して硬化させることにより、
床体Sを構築する。なお、図13において、31はコン
クリートC層中に埋入されたスラブ上端筋である。
【0038】この床体Sの構築に際し、構造用パネルP
2の鋼板1Cの溶接性がよいため、構造用パネルP2,
P2同士の連結において、前記片端に位置する補強フレ
ーム30と隣接するパネルP2の鋼板1C側縁部との溶
接を容易に行えると共に、充分な接合強度が得られる。
また、各構造用パネルP2は、鋼板1Cに腐食がなく、
且つ補強フレーム30…にて補強されていることから、
大きな耐荷重強度を示し、打設されたコンクリートCが
硬化するまでの型枠として充分に機能する。
【0039】そして、構築された床体Sは、構造用パネ
ルP2に腐食による強度低下がなく、その内面(上面)
の亜鉛系めっきの表面酸化によって生じる亜鉛又は亜鉛
合金の酸化皮膜がコンクリートCに対して良好な付着性
を示し、しかも該構造用パネルP2の多数本の鋼棒材3
…がアンカーとしてコンクリートC中に埋入しているか
ら、構造用パネルP2…とコンクリートCとが強固に一
体化して強度的に優れたものとなる。また、多層の建屋
ではパネルP2の下面側は階下の天井面を構成すること
になるが、この天井面に仕上げ塗装を施す場合には鋼板
1Cの亜鉛系めっきが錆止め下地層として機能する。
【0040】なお、構造用パネルP2,P2同士の連結
は、上記実施例では片端に位置する補強フレーム30と
隣接するパネルP2の側縁部との溶接によって行ってい
るが、各パネルP2に立ち上げ側縁部を設け、これら立
ち上げ側縁部同士で前記の壁体構築用の構造用パネルP
1と同様にボルト止めする方式を採用してもよい。
【0041】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、対向配置した
一対の面板が両板間に配置した多数本の鋼棒を介して一
体化され、その内部にコンクリートを充填して鋼板補強
コンクリート構造の壁体を構築するのに使用される鉄鋼
製の構造用パネルとして、その面板として両面に特定付
着量の亜鉛系めっきを施した鋼板を用いていることか
ら、発電所関連施設の建屋の建設現場のように防食面で
厳しい環境下で長期にわたって放置されても、該面板の
腐食による品質低下や外観の悪化を確実に防止でき、し
かも面板内面と内部に充填されるコンクリートとの付着
性がよく、強度的に優れた壁体を構築できる上、該パネ
ル同士の溶接、パネルと他の構造材や部品との溶接がめ
っき面を剥がすことなく裸鋼材と同様の条件で行え、ま
た低コストで容易に組立製作できるものが提供される。
【0042】請求項2の発明によれば、上記の構造用パ
ネルとして、特に発電所関連施設の建屋の如き大型建造
物の壁体の外殻を少ない枚数で能率よく構築できるもの
が提供される。
【0043】請求項3の発明によれば、上記の構造用パ
ネルとして、面板に穿設された溶接用下孔に鋼棒の端部
を嵌入して当該嵌入部で溶接していることから、特に面
板と鋼棒との溶接強度に優れるものが提供される。
【0044】請求項4の発明によれば、鋼板補強コンク
リート構造の壁体として、前記の構造用パネルを使用し
ていることから、強度的に優れると共に、構築施工に際
して構造用パネル同士の溶接ならびに構造用パネルと他
の鉄鋼製の構造材や部品との溶接を容易に行え、また壁
面の仕上げ塗装を行う場合に錆止め用下地塗装を省略で
きるものが提供される。
【0045】請求項5の発明によれば、鋼板補強コンク
リート構造の床体を構築するのに使用される鉄鋼製の構
造用パネルとして、特定のめっき付着量の亜鉛系めっき
を施した両面めっき鋼板の片面に、相互に間隔を置いて
多数本の鋼棒材が溶接によって板面に対して垂直に植設
されていることから、発電所関連施設の建屋の建設現場
のように防食面で厳しい環境下で長期にわたって放置さ
れても、腐食による品質低下や外観の悪化を確実に防止
でき、しかも鋼板とその上に打設されるコンクリートと
の付着性がよく、強度的に優れた床体を構築できる上、
該パネル同士の溶接、パネルと他の構造材や部品との溶
接を支障なく行え、また低コストで容易に組立製作でき
るものが提供される。
【0046】請求項6の発明によれば、上記の構造用パ
ネルとして、両面めっき鋼板の片面に形鋼からなる複数
本の補強フレームが鋼棒材の配列間に位置して溶接固着
されていることから、剛性を有して運搬等の取り扱いが
容易であると共に、床体構築に際してコンクリート型枠
としての耐荷重強度により特に優れるものが提供され
る。
【0047】請求項7の発明によれば、上記の構造用パ
ネルとして、特に発電所関連施設の建屋の如き大型建造
物の床体の外殻を少ない枚数で能率よく構築できるもの
が提供される。
【0048】請求項8の発明によれば、鋼板補強コンク
リート構造の床体として、上記の構造用パネルを使用し
ていることから、強度的に優れると共に、構築施工に際
して構造用パネル同士の溶接ならびに構造用パネルと他
の鉄鋼製の構造材や部品との溶接を容易に行え、また天
井面の仕上げ塗装を行う場合に錆止め用下地塗装を省略
できるものが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る壁体構築用の構造用パネルの一
実施例を示す斜視図である。
【図2】 同構造用用パネルの分解斜視図である。
【図3】 同構造用パネルとこれを用いた壁体を示し、
(イ)は構造用パネルの縦断側面図、(ロ)は壁体の縦
断側面図である。
【図4】 同構造用パネルに用いる鋼棒ユニットの斜視
図である。
【図5】 同構造用パネルに用いる面板の要部を示す断
面図である。
【図6】 同構造用パネルの鋼棒との溶接部を示す断面
図である。
【図7】 同構造用パネルにて構築した壁枠の斜視図で
ある。
【図8】 同構造用パネル同士のボルト止め方式による
連結を示す断面図である。
【図9】 同構造用パネルの面板と鋼棒との接合の変形
例を示す断面図である。
【図10】 同構造用パネルの面板と緊結用鋼棒との接
合の他の変形例を示す断面図である。
【図11】 本発明に係る床体構築用の構造用パネルの
一実施例を示す斜視図である。
【図12】 同構造用パネルの要部の断面図である。
【図13】 同構造用パネルを用いた床体構造の縦断面
図である。
【符号の説明】
1A,1B 面板 10 亜鉛系めっき層 11 溶接用下孔 2 緊結用鋼棒 2a 端部 1C 両面めっき鋼板 3 鋼棒材 30 補強フレーム 5 溶着金属 P1,P2 構造用パネル C コンクリート W 壁体 WF 壁枠 S 床体
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 5/32 E04B 5/32 Z (72)発明者 鬼木 俊也 大阪府大阪市西区江戸堀2丁目1番1号 住友金属建 材株式会社内 (72)発明者 松尾 一平 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 (72)発明者 丹羽 信之 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 Fターム(参考) 2E162 AA01 BA02 CA11 CB02 EA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 両面合計のめっき付着量が80〜200
    g/m2 である亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板か
    らなる一対の対向配置した面板間に、板面に対する垂直
    方向に沿う多数本の緊結用鋼棒が相互に間隔を置いて配
    置し、これら鋼棒の両端部と前記両面板とが溶接によっ
    て一体化されてなる構造用パネル。
  2. 【請求項2】 前記面板は、幅1〜5m、長さ1〜20
    m、厚さ3〜6mmであり、両面板の間隔が250〜1
    500mmの範囲にある請求項1記載の構造用パネル。
  3. 【請求項3】 前記面板に穿設された溶接用下孔に前記
    鋼棒の端部が嵌入し、この嵌入部において当該面板と鋼
    棒とが溶接されてなる請求項1又は2に記載の構造用パ
    ネル。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の構造用
    パネルの複数枚が板面方向に連結されて壁面を構成し、
    これら構造用パネルの対向する面板間にコンクリートが
    充填されてなる壁体構造。
  5. 【請求項5】 両面合計のめっき付着量が80〜200
    g/m2 である亜鉛系めっきを施した両面めっき鋼板の
    片面に、相互に間隔を置いて多数本の鋼棒材が溶接によ
    って板面に対して垂直に植設されてなる構造用パネル。
  6. 【請求項6】 前記両面めっき鋼板の片面に、形鋼から
    なる複数本の補強フレームが前記鋼棒材の配列間に位置
    して溶接固着されてなる請求項5記載の構造用パネル。
  7. 【請求項7】 両面めっき鋼板は、幅1〜5m、長さ1
    〜20m、厚さ3〜6mmであり、鋼棒材の長さが80
    〜120mmの範囲にある請求項5又は6に記載の構造
    用パネル。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7のいずれかに記載の構造用
    パネルの複数枚が鋼棒材の植設面を上向きにして板面方
    向に連結され、これら構造用パネル上に打設されたコン
    クリート中に鋼棒材が埋入してなる床体構造。
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