JPH06142599A - 塗膜形成方法、磁気ディスクの製造方法および光ディスクの製造方法 - Google Patents

塗膜形成方法、磁気ディスクの製造方法および光ディスクの製造方法

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JPH06142599A
JPH06142599A JP31951692A JP31951692A JPH06142599A JP H06142599 A JPH06142599 A JP H06142599A JP 31951692 A JP31951692 A JP 31951692A JP 31951692 A JP31951692 A JP 31951692A JP H06142599 A JPH06142599 A JP H06142599A
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純一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 スピンコートの際に塗膜表面への塗料飛沫の
再付着を著しく減少させることのできる塗膜形成方法を
提供する。 【構成】 剛性を有するディスク状の基板12の主面に
対向して、外周が円形で基板12以上の直径を有する整
流板31,32を設け、基板12と整流板31,32と
をほぼ同じ回転数で同軸的に回転させながらスピンコー
ト法により塗膜14を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スピンコートにより剛
性基板上に塗膜を形成する方法と、この方法を用いて磁
気ディスクや光ディスクを製造する方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】計算機等に用いられる磁気ディスク装置
には、剛性基板上に磁性層を形成したハードディスクが
用いられている。磁気ディスク装置では、近年、大容量
化、小型化が急速に進展している。
【0003】塗布型のハードディスクの磁性層は、通
常、磁性塗料をスピンコートした後、配向、硬化等を行
なって形成される。スピンコートの際には、回転してい
る基板の外周縁から磁性塗料が飛散し、塗料飛沫が基板
表面に形成された磁性塗膜上に再付着してしまう。再付
着した塗料飛沫は磁性塗膜の欠陥となり、記録再生信号
のエラーの原因となる。例えば、飛沫の再付着により塗
膜表面が凸状に盛り上がった場合、エキストラパルスと
なり、飛沫が乾燥後に脱落した場合にはミッシングパル
スとなる。
【0004】磁気ディスクの記録密度が高くなると記録
ビットが小さくなるため、従来は問題にならなかった小
さな表面欠陥も信号エラーの原因となるようになってき
ている。また、記録密度を向上させるためには磁性塗膜
を薄層化する必要があり、塗膜の薄層化は塗料振り切り
時の基板回転数の高速化や塗料の低粘度化により達成さ
れるが、これらは塗料飛沫の発生を著しく増大させる。
このように、磁気ディスクの大容量化にともなって、磁
性塗膜形成時の塗料飛沫再付着による塗膜欠陥が問題と
なっている。
【0005】なお、以上では磁気ディスクにおける問題
について説明したが、塗膜の均一性が必要とされる他の
分野、例えば光ディスクの記録膜などについても、事情
は同様である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような事
情からなされたものであり、スピンコートの際に塗膜表
面への塗料飛沫の再付着を著しく減少させることのでき
る塗膜形成方法を提供することを目的とし、また、エラ
ーの少ない磁気ディスクや光ディスクを製造できる方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。 (1)剛性を有するディスク状の基板の少なくとも一方
の主面に塗膜を形成する方法であって、前記基板の主面
のうち少なくとも塗膜が形成される主面に対向して、外
周が円形で前記基板以上の直径を有する整流板を設け、
前記基板と前記整流板とをほぼ同じ回転数で同軸的に回
転させながらスピンコート法により塗膜を形成すること
を特徴とする塗膜形成方法。 (2)前記基板の主面に対向する前記整流板表面が実質
的に平滑面である上記(1)に記載の塗膜形成方法。 (3)前記整流板が剛性円板である上記(1)または
(2)に記載の塗膜形成方法。 (4)前記基板の主面とこの主面に対向する整流板の主
面との距離を2〜300mmの範囲に保って塗膜を形成す
る上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の塗膜形成
方法。 (5)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法
を用いて磁性微粒子とバインダとを含有する磁性塗膜を
形成する工程を有することを特徴とする磁気ディスクの
製造方法。 (6)上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法
を用いて光記録膜を形成する工程を有することを特徴と
する光ディスクの製造方法。
【0008】
【作用および効果】基板主面にスピンコートにより塗膜
を形成する場合、スピンコーター容器中に基板を配設し
て回転させ、基板主面に塗料を塗布する。次いで、基板
の回転数を上げて塗料を振り切る。この振り切りの際
に、上記した塗料飛沫の再付着が生じる。
【0009】容器内で基板を回転させると、基板主面と
容器内壁との相対的な運動により両者の間に渦巻状気流
が発生する。振り切りの際に基板外周縁から飛散した塗
料は、この渦巻状気流に乗って再び塗膜表面に付着す
る。
【0010】そこで本発明では、基板と容器内壁との間
に上記した整流板を設け、この整流板を基板と同等の回
転数で回転させながらスピンコートを行なう。この結
果、渦巻状気流は整流板と容器内壁との間に発生するよ
うになり、整流板と基板との間の渦巻状気流の発生が抑
えられて、塗料飛沫の再付着は激減する。
【0011】本発明の塗膜形成方法を磁気ディスクの磁
性塗膜の形成に適用すれば、塗膜表面の凸状や凹状の欠
陥が殆どなくなって、極めてエラーが少なく、また、磁
気ヘッドの低浮上化が可能な磁気ディスクが得られる。
【0012】また、従来、光ディスクの光記録膜の形成
に際しては、塗布溶液の飛沫の付着により、既に膜化し
ている光記録膜が部分的に溶解することがあったが、本
発明の塗膜形成方法を適用すれば塗布溶液の飛沫の付着
が防げるので、光記録膜の乱れを著しく低減できる。
【0013】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。まず、本発明の塗膜形成方法を、剛性基板
の主面に塗布型の磁性層を有する磁気ディスクの製造に
適用する場合について説明する。
【0014】図1は、スピンコート法により磁性塗膜1
4を基板12の両主面に形成する場合の説明図であり、
スピンコーター容器2の概略断面図である。
【0015】ディスク状の基板12は、例えば、アルミ
ニウムやアルミニウム合金等の金属、ガラス、セラミッ
クス、エンジニアリングプラスチックス等の各種非磁性
材料により構成すればよい。これらの中では、機械的剛
性が高く加工性が良好なアルミニウムやアルミニウム合
金などを用いることが好ましい。基板の寸法は目的に応
じて選定すればよいが、通常、厚さ0.5〜1.9mm程
度、直径40〜130mm程度である。また、基板のRma
x は0.005〜0.070μm 程度であることが好ま
しい。
【0016】磁性塗膜14は、磁性微粒子とバインダと
を含有する磁性塗料を塗布して形成される。前記磁性微
粒子の種類に特に制限はないが、記録密度を高くし、ま
た、記録・再生感度を高くするためには、強磁性金属微
粒子や、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライ
ト等の六方晶系酸化物微粒子などを用いることが好まし
い。
【0017】磁性塗料は、少なくとも磁性微粒子とバイ
ンダと溶剤とを混練して調製される。用いるバインダに
特に制限はなく、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、放射線硬
化性樹脂等から目的に応じて選択すればよいが、薄層で
十分な膜強度を確保し、高い耐久性を得る必要があるこ
とから熱硬化性樹脂あるいは放射線硬化性樹脂を用いる
ことが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェ
ノール樹脂、エポキシ樹脂、ビニル共重合系樹脂、ポリ
ウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、ブチラール樹脂、ホル
マール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン
樹脂、アクリル系反応樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ
−ポリアミド樹脂、飽和ポリエステル樹脂、尿素ホルム
アルデヒド樹脂などの縮重合系の樹脂あるいは高分子量
ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合
物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポ
リマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシ
アネートの混合物、低分子量グリコール/高分子量ジオ
ール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物
など、上記の縮重合系樹脂とイソシアネート化合物など
の架橋剤との混合物、ビニル共重合系樹脂と架橋剤との
混合物、ニトロセルロース、セルロースアセトブチレー
ト等の繊維素系樹脂と架橋剤との混合物、ブタジエン−
アクリロニトリル等の合成ゴム系と架橋剤との混合物、
さらにはこれらの混合物が好適である。特に、エポキシ
樹脂とフェノール樹脂との混合物、米国特許第3,05
8,844号に記載のエポキシ樹脂とポリビニルメチル
エーテルとメチロールフェノールエーテルとの混合物、
また特開昭49−131101号に記載のビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂とアクリル酸エステルまたはメタク
リル酸エステル重合体との混合物等が好ましい。
【0018】放射線硬化性化合物の具体例としては、ラ
ジカル重合性を示す不飽和二重結合を有するアクリル
酸、メタクリル酸、あるいはそれらのエステル化合物の
ようなアクリル系二重結合、ジアリルフタレートのよう
なアリル系二重結合、マレイン酸、マレイン酸誘導体等
の不飽和結合等の放射線照射による架橋あるいは重合す
る基を熱可塑性樹脂の分子中に含有または導入した樹脂
である。 その他放射線照射により架橋重合する不飽和
二重結合を有する化合物であれば用いることができる。
放射線硬化性バインダーとして用いられる樹脂として
は、上記不飽和二重結合を樹脂の分子鎖中や末端、側鎖
に有する飽和、不飽和のポリエステル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹
脂、ポリビニルブチラール系樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノキシ樹脂、繊維素系樹脂、アクリロニトリル−ブタジ
エン共重合体、ポリブタジエン等が好適である。さら
に、オリゴマー、モノマーとして用いられる放射線硬化
性化合物としては、単官能また多官能のトリアジン系ア
クリレート、多価アルコール系アクリレート、ペンタエ
リスリトール系アクリレート、エステル系アクリレー
ト、ウレタン系アクリレートおよび上記系の単官能また
は多官能のメタクリレート化合物等が好適である。
【0019】磁性塗料中のバインダの含有量に特に制限
はないが、磁性微粒子100重量部に対し、10〜50
重量部程度とすることが好ましい。
【0020】磁性塗料の調製に用いる溶剤に特に制限は
なく、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系、イ
ソプロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコー
ル系、エチルセロソルブ、酢酸セロソルブ等のセロソル
ブ系、トルエン等の芳香族系等の各種溶剤を目的に応じ
て選択すればよい。磁性塗料中の溶剤の含有量に特に制
限はないが、磁性微粒子100重量部に対し、400〜
700重量部程度とすることが好ましい。磁性塗料に
は、必要に応じα−Al23 等の研磨剤、シリコーン
オイル等の潤滑剤、その他の各種添加物を添加してもよ
い。
【0021】磁性塗料は、ポリッシングなどにより平滑
化された基板表面に塗布される。基板の表面は、アルマ
イト等の陽極酸化膜、クロム酸等の酸化膜、Ni−P−
Cu等の無電解めっき膜、カップリング剤、硬化性樹脂
などで処理されていてもよい。
【0022】スピンコート法による磁性塗膜14の形成
工程は、基本的には、比較的低い回転数での磁性塗料の
塗布と、より高い回転数での振り切りとで構成される。
塗布および振り切りの際の基板の回転数やその回転数に
保持する時間は、目的とする塗膜厚さ、塗料の粘度、塗
料の組成、スピンコート時の雰囲気などの各種条件によ
って大きく異なるため、これらの条件に応じて適宜設定
すればよく、特に制限はないが、通常、塗布時の回転数
およびその保持時間は200〜2000rpm 程度で1秒
間〜1分間程度であり、振り切り時の回転数およびその
保持時間は1000〜7000rpm 程度で5秒間〜1分
間程度である。
【0023】本発明では、スピンコートの際に、図1に
示されるように、基板12の主面に対向して整流板3
1,32を設ける。図示例の整流板31,32は、主面
が実質的に平滑な剛性円板であり、基板12よりも直径
が大きく、基板と同軸的に配設されている。そして、ス
ピンコーター容器2内において、整流板31,32を基
板12とほぼ同じ回転数で回転させながら、磁性塗膜1
4を形成する。図示例の整流板31,32は、主面が実
質的に平滑な剛性円板である。
【0024】図示例のような整流板を設けることにより
整流板と基板との間の渦巻状気流の発生を効果的に防ぐ
ことができる。ただし、このような整流板に限らず、本
発明では、外周が円形で直径が基板と等しいか基板より
も直径の大きなものであればよく、そして、整流板の中
心軸と基板の中心軸とがほぼ一致し、これらが同軸的に
ほぼ同じ回転数で回転する構成であればよい。すなわ
ち、外周が円形であれば、整流板自体は円板状でなくて
もよい。例えば、基板主面と対向する主面を基板に向っ
て凸状としたり凹状としたりして、基板と整流板との間
の気流や気圧を制御することもできる。ただし、均一な
塗膜を形成するためには、整流板の基板に対向する面側
の形状が回転軸に対称であることが好ましい。また、塗
料飛沫の再付着につながる気流の発生を防ぐためには、
少なくとも基板に対向する面側を実質的に平滑とするこ
とが好ましい。なお、整流板の反対側面には、凸部や凹
部、あるいは溝などが形成されていてもよいが、好まし
くは平滑面とし、この面側の形状も回転軸に対称である
ことが好ましい。
【0025】整流板は剛性であっても可撓性であっても
よい。整流板の材質に特に制限はなく、例えば、各種金
属、セラミックス、樹脂等から適宜選択すればよい。
【0026】整流板は、少なくとも磁性塗膜が形成され
る主面側に設ける。すなわち、磁性塗膜を基板の片面だ
けに設ける場合、整流板は塗膜側だけに設ければよい
が、塗料飛沫の再付着を効果的に防ぐためには、片面塗
布の場合でも両側に整流板を設けることが好ましい。
【0027】図示例では、基板の両主面にほぼ同条件で
塗膜を形成するために、軸方向が鉛直線とほぼ直交する
ように基板を配設しているが、軸方向が鉛直線とほぼ一
致するように基板を配設してもよい。特に、基板の片面
だけに塗膜を形成する場合には、軸方向が鉛直線とほぼ
一致するように基板を配設することが好ましい。また、
これらの他、軸方向が鉛直線に対し任意の傾きをもつ構
成としてもよい。
【0028】基板と整流板とは、同一回転数で回転させ
るために図示例のように同一の回転軸により駆動される
ことが好ましい。この場合、基板の脱着を容易にして生
産性を高めるために、図示例のように、回転軸を、整流
板31を固定した回転軸51と整流板32を固定した回
転軸52とに分割し、回転軸52に基板を装着した後、
少なくとも一方の回転軸を移動させて、整流板と基板と
を所定の距離まで近づける構成とすることが好ましい。
なお、この場合、両回転軸は図示例のように接触ないし
嵌合していることが好ましいが、両回転軸がほぼ同じ回
転数で駆動されるのであれば、両回転軸は離れていても
よい。この場合、整流板の回転数が基板の回転数の±2
0%の範囲に収まっていることが好ましい。
【0029】基板主面と整流板との距離および整流板の
直径は特に限定されず、基板と整流板との間で渦巻状気
流の発生が抑えられるように基板の直径や回転数に応じ
て適宜設定すればよい。例えば、基板主面と整流板との
距離は、2〜300mmとすることが好ましい。基板と整
流板との間の気圧は、回転中は低く回転停止時に常圧に
戻るが、基板と整流板との距離が前記範囲未満となる
と、回転中の気圧が低くなりすぎて回転停止時に塗料飛
沫が基板主面に吸い寄せられる傾向が生じる。また、整
流板の直径は、基板の直径の1.2倍以上であることが
好ましい。整流板の直径が前記範囲未満となると磁性塗
料の再付着が増加する傾向にある。なお、整流板の直径
の上限は特にないが、基板の直径の10倍を超える直径
としても効果の著しい向上は認められない。
【0030】磁性塗膜形成後、後述する磁性微粒子を配
向する前に、塗膜の平滑化のためのレベリング工程を設
けてもよい。レベリング工程では、図示される状態のま
ま、基板を200〜3000rpm 程度の低回転数で回転
させ、この回転を1秒間〜5分間程度保持する。
【0031】磁性塗膜の形成は空気中で行なってもよい
が、溶剤蒸気を含む雰囲気中で行なうことが好ましい。
図示例では、溶剤蒸気の供給源としてスピンコーター容
器2の底部に溶剤4が貯留されている。この場合に用い
る溶剤は、磁性塗料を調製する際に使用可能なものであ
れば特に制限はなく、2種以上を用いてもよい。この場
合、雰囲気の温度は20〜50℃程度とすることが好ま
しい。このように溶剤蒸気を含む雰囲気中で磁性塗膜を
形成すれば磁性塗膜の乾燥を防止できるため、後述する
配向工程において磁性微粒子を十分に配向させることが
でき、高い保磁力角形比Sを有する磁性層を形成でき
る。なお、レベリング工程を設ける場合には、レベリン
グ工程も溶剤を含む雰囲気中で行なうことが好ましい。
【0032】磁性塗膜形成後、あるいはレベリング工程
後、磁性塗膜中の磁性微粒子の配向処理を行なう。塗膜
中の磁性微粒子は、その磁化容易軸が基板の周方向に向
くように配向されることが好ましい。このような配向を
行なうためには、磁性塗膜を挟んで同極同士が対向する
ように一対から六対程度の配向用磁石を設け、これらの
磁石間で基板を回転させることが好ましい。配向用磁石
の磁界は、塗膜中にて1000〜10000G 程度、基
板の回転数は100〜500rpm 程度、配向時間は10
秒間〜10分間程度とすることが好ましい。配向時の雰
囲気中には、前述した溶剤蒸気を存在させてもさせなく
てもよい。
【0033】配向後、必要に応じ磁性塗膜を乾燥させ
る。乾燥は100℃程度以下の温度で行なうことが好ま
しい。
【0034】次いで硬化処理を行なって磁性塗膜を硬化
し、磁性層とする。バインダが熱硬化性樹脂の場合、熱
処理温度、熱処理時間等の各種条件はバインダの種類に
応じて適宜設定すればよいが、通常、150〜300℃
程度にて1〜5時間程度である。また、放射線硬化性樹
脂の場合には、常温において3〜10Mradの線量に設定
すればよい。硬化処理時の雰囲気は不活性ガス雰囲気
中、特に窒素雰囲気中であることが好ましい。磁性塗膜
硬化後の磁性層の膜厚は、0.6μm 以下、特に0.3
μm 以下とすることが好ましい。
【0035】硬化後、磁性層表面のポリッシングを行な
うことが好ましい。ポリッシングは研磨テープ等の各種
研磨材により行なえばよい。このポリッシングにより磁
性層の表面粗さを所望の値とすることができ、また、こ
れにより磁性層の厚さを調整することも可能である。
【0036】研磨後、磁性層表面に液体潤滑剤を塗布
し、磁性層中に含浸させることが好ましい。用いる液体
潤滑剤に特に制限はないが、潤滑性が良好であることか
ら、フッ素を含む有機化合物を含有する液体潤滑剤を用
いることが好ましい。液体潤滑剤の塗布方法に制限はな
く、例えば、ディップ法、スピンコート法等を用いれば
よい。なお、このような液体潤滑剤は、磁性塗料に含有
させてもよい。
【0037】液体潤滑剤の含浸後、バニッシングを行な
うことにより、磁気ディスク表面の平滑性をさらに向上
させることが好ましい。
【0038】前述したように本発明は磁気ディスクの製
造の他、光ディスクの製造や、その他各種の塗膜形成に
適用できる。
【0039】本発明を光ディスクの製造に適用する場
合、光記録膜の形成に適用することが好ましい。この場
合の光記録膜としては塗布により形成可能なものであれ
ば特に制限はなく、例えば、光吸収色素を含有する光記
録膜が挙げられる。
【0040】このような光記録膜を形成するための塗布
溶液は、有機溶剤中に少なくとも1種の色素を溶解した
ものである。本発明において用いる光吸収色素および有
機溶剤は特に限定されないが、光吸収色素としては、例
えば、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニ
ン系、アントラキノン系、アゾ系、トリフェニルメタン
系、ピリリウムないしチアピリリウム塩系、スクワリリ
ウム系、クロコニウム系、金属錯体色素系等から1種な
いし2種以上を選択して用いればよく、また、有機溶剤
としては、例えば、アルコール系、ケトン系、エステル
系、エーテル系、芳香族系、ハロゲン化アルキル系等か
ら、用いる色素に応じて適宜選択すればよい。塗布溶液
中にはクエンチャーを混合してもよく、また、色素カチ
オンとクエンチャーアニオンとのイオン結合体を光吸収
色素として用いてもよい。クエンチャーとしては、アセ
チルアセトナート系、ビスジチオ−α−ジケトン系やビ
スフェニルジチオール系などのビスジチオール系、チオ
カテコール系、サリチルアルデヒドオキシム系、チオビ
スフェノレート系等の金属錯体が好ましい。また、窒素
のラジカルカチオンを有するアミン系化合物やヒンダー
ドアミン等のアミン系のクエンチャーも好適である。結
合体を構成する色素としては、インドレニン環を有する
シアニン色素が、またクエンチャーとしてはビスフェニ
ルジチオール金属錯体等の金属錯体色素が好ましい。
【0041】本発明により光記録膜を形成する際には、
前述した磁性塗膜形成に準じてスピンコート法により塗
布溶液を基板表面に塗布する。ただし、光記録膜の場合
には、乾燥した空気中で塗布を行なうことが好ましい。
また、雰囲気温度は15〜30℃とし、温度変動は±2
℃以内とすることが好ましい。光記録膜は塗布直後に殆
ど乾燥するが、塗布後、50〜80℃にて乾燥させるこ
とが好ましい。
【0042】なお、密着型の光ディスクとするために
は、例えば、光記録膜の上に反射層や樹脂製保護膜など
を設ける。また、エアーサンドイッチ型の光ディスクと
するためには、それぞれ光記録膜を有する一対の基板
を、光記録膜同士を対向させて空隙を介して張り合わせ
る。
【0043】本発明は、これらの用途の他、塗膜の均一
性が必要とされる種々の用途、例えば、ICやLSI等
の製造の際のフォトレジスト膜の塗設などにも好適であ
る。
【0044】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 <実施例1>磁性塗料用組成物 磁性粉 100重量部 組成 :α−Fe 保磁力:1190 Oe 長径 :0.25μm 針状比:8 α−Al23 10重量部 エポキシ樹脂 28重量部(エピコート10
04、シェル化学社製) フェノール樹脂 12重量部 (スミラックPC25、住友ベークライト社製)シリコーン
オイル 0.4重量部 溶剤 570重量部 シクロヘキサノン/イソホロン(1/1混合)
【0045】上記磁性塗料用組成物をボールミル中にて
140時間混合、分散し、磁性塗料を調製した。塗料の
粘度は660cps であった。
【0046】次に、図1に示される構成のスピンコータ
ーを用いて、基板12の両主面に磁性塗膜を形成した。
基板12には、外径95mm、内径25mm、厚さ1.28
mmのアルミニウム板を用い、整流板31,32には、外
径150mm、内径25mm、厚さ2mmのアルミニウム板を
用いた。回転軸51,52の直径は25mmとし、基板お
よび整流板との間に空間が生じないようにした。基板1
2と整流板31,32との距離は、それぞれ40mmとし
た。基板の回転数を1000rpm として10秒間磁性塗
料を塗布し、次いで、基板の回転数を4000rpm まで
上昇させて5秒間保ち、磁性塗料を振り切った。なお、
塗膜形成は、空気中にシクロヘキサノン蒸気を存在させ
た雰囲気中で行なった。雰囲気の温度は23℃とした。
【0047】次に、対向する一対の磁石間で基板を回転
させて、磁化容易軸を基板の周方向に配向させる処理を
行なった後、塗膜を乾燥させた。配向磁界の強度は塗膜
中において3000G となるようにし、基板の回転数は
200rpm 、配向時間は45秒間とした。
【0048】次に、窒素気流中で200℃にて3時間熱
処理を施し、磁性塗膜を硬化して磁性層とした。この
後、研磨テープWA10000 (日本ミクロコーティング社
製)を用いて研磨量が約0.05μm となるように磁性
層を研磨して、磁性層の厚さを調整すると共に表面を平
滑化した。
【0049】次いで、基板表面および磁性層表面を洗浄
し、濃度0.1%のフルオロカーボン(KRITOX 143CZ:
デュポン社製)のフロン溶液をディップ法により塗布し
て含浸させ、磁気ディスクNo. 1とした。
【0050】次に、図1に示されるスピンコーターにお
いて整流板31,32を使用しない以外は磁気ディスク
No. 1と同様にして、磁気ディスクNo. 2を作製した。
【0051】これらの各ディスクに対して、浮上型磁気
ヘッドを搭載した磁気ディスク装置により記録および再
生を行なって、エラー個数を測定した。測定に使用した
磁気ヘッドは、ギャップ長0.6μm のモノリシックタ
イプのMIG型ヘッドで、記録・再生時のヘッド浮上量
は0.14μm とした。測定時のディスク回転数は36
00rpm とし、記録電流はI90×2とした。I90とは、
飽和記録特性の再生出力の最大値の90%に相当する記
録電流値である。
【0052】エラー個数は、記録周波数3.3MHz 、ト
ラック送りピッチ15μm でディスク全面についてサー
ティファイを行なって、一面あたりの信号欠陥の個数で
表わした。ミッシングパルスエラー(MP)は、信号を
ディスクに記録し、その再生信号の出力が全周の平均出
力(TAA)の65%以下まで低下したときのエラーで
ある。また、エキストラパルスエラー(EP)は、信号
をディスクに書き込んだ後、直流消去を行ない、その消
え残りの信号がTAAの25%以上になったときのエラ
ーである。結果を下記表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1に示される結果から、本発明の効果が
明らかである。
【0055】<実施例2>渦巻状の連続グルーブを有す
る基板の一方の主面上に、スピンコート法により色素を
含有する光記録膜を形成した。
【0056】光記録膜形成に用いた塗布溶液は、色素お
よび有機溶剤を含有するものであり、色素としては、下
記色素A1およびA2ならびに一重項酸素クエンチャー
を用い、色素中のA1含有率は60重量%、A2含有率
は30重量%、一重項酸素クエンチャー含有率は10重
量%とした。
【0057】
【化1】
【0058】有機溶剤としては、ジアセトンアルコール
を用い、塗布溶液中の色素含有率は5重量%とした。
【0059】スピンコートには、図1に示される構成の
スピンコーターを用いた。基板には、外径120mm、内
径15mm、厚さ1.2mmのポリカーボネートを用い、整
流板には、外径150mm、内径15mm、厚さ2mmのアル
ミニウム板を用いた。回転軸の直径は15mmとし、基板
および整流板との間に空間が生じないようにした。基板
と各整流板との距離は、それぞれ40mmとした。基板の
回転数を300rpm として40秒間塗布溶液を塗布し、
次いで、基板の回転数を4000rpm まで上昇させて5
秒間保ち、塗布溶液を振り切った。
【0060】次いで、光記録膜上に、スパッタリングに
よりAu薄膜を1500A 厚に設層して反射層とし、さ
らに、紫外線硬化型樹脂を塗布した後、紫外線硬化して
5μm 厚の保護膜とし、光ディスクNo. 1を得た。
【0061】次に、図1に示されるスピンコーターにお
いて整流板31,32を使用しない以外は光ディスクN
o. 1と同様にして、光ディスクNo. 2を作製した。
【0062】これらの各ディスクに、CDレコーダーを
用いて線速度1.4m/s 、記録パワー7mWにてEFM信
号を記録し、下記表2に示す評価を行なった。
【0063】
【表2】
【0064】この結果から、本発明は光ディスクの製造
にも好適であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気ディスクの製造方法を説明するた
めのスピンコーターの概略断面図である。
【符号の説明】 12 基板 14 磁性塗膜 2 スピンコーター容器 31、32 整流板 4 溶剤 51、52 回転軸

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剛性を有するディスク状の基板の少なく
    とも一方の主面に塗膜を形成する方法であって、 前記基板の主面のうち少なくとも塗膜が形成される主面
    に対向して、外周が円形で前記基板以上の直径を有する
    整流板を設け、 前記基板と前記整流板とをほぼ同じ回転数で同軸的に回
    転させながらスピンコート法により塗膜を形成すること
    を特徴とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記基板の主面に対向する前記整流板表
    面が実質的に平滑面である請求項1に記載の塗膜形成方
    法。
  3. 【請求項3】 前記整流板が剛性円板である請求項1ま
    たは2に記載の塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記基板の主面とこの主面に対向する整
    流板の主面との距離を2〜300mmの範囲に保って塗膜
    を形成する請求項1ないし3のいずれかに記載の塗膜形
    成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の方
    法を用いて磁性微粒子とバインダとを含有する磁性塗膜
    を形成する工程を有することを特徴とする磁気ディスク
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし4のいずれかに記載の方
    法を用いて光記録膜を形成する工程を有することを特徴
    とする光ディスクの製造方法。
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