JPH06142468A - 細孔を有する表面親水性膜の製造方法 - Google Patents

細孔を有する表面親水性膜の製造方法

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JPH06142468A
JPH06142468A JP30097592A JP30097592A JPH06142468A JP H06142468 A JPH06142468 A JP H06142468A JP 30097592 A JP30097592 A JP 30097592A JP 30097592 A JP30097592 A JP 30097592A JP H06142468 A JPH06142468 A JP H06142468A
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membrane
pores
hydrophilic
treatment
film
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JP30097592A
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Toshikazu Suganuma
俊和 菅沼
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】疎水性の熱可塑性重合体を成形した膜前駆体の
片側表面若しくは両側表面を親水性化処理し、その後に
延伸することによって膜前駆体の親水性化された表面に
細孔を開口させることにより、膜表面が親水性であり、
細孔表面が疎水性の、細孔を有する表面親水性膜の製造
方法。 【効果】本発明により、膜の一方の側に液体が接し、膜
の他の側に気体が接する膜型人工肺、膜式気体溶解装
置、隔膜気液接触装置などの用途に有用な、プライミン
グ時の気泡除去性の向上が図れ、気体溶解時の望まれな
い気泡の発生の抑制を計りつつ、気体溶解速度や気体交
換速度を向上させる膜が得られる。また表面親水性化処
理速度の向上および、洗浄や乾燥工程の省略が計れ、連
続製膜工程の一部に表面親水化工程を組み込むことがで
き、膜製造工程の簡略化が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は分離膜の製造方法に関
し、膜表面が親水性化された、細孔を有する膜の製造方
法に関する。本発明は、膜の一方の側に液体が接し、膜
の他の側に気体が接する膜型人工肺、膜式気体溶解装
置、隔膜気液接触装置などの用途に使用される。
【0002】
【従来の技術】気体透過性の隔膜を介して気体(蒸気を
含む)と液体を接触させ、気体と液体の相互間で気体状
物質を移動させる場合、即ち、液体に気体を溶解させる
場合、液体から気体を除去する場合、または溶解と除去
を同時に行わしめる場合において、隔膜として、膜の液
体接触面が親水性でありかつ膜に存在する細孔の表面が
疎水性であるような膜を用いると、プライミング時の気
泡除去性の向上、気体状物質の移動効率の向上、望まれ
ない気泡の発生の抑制、運転の平易化などのメリットが
あることが知られていた(特開平1−170472、特
願平3−158541)。
【0003】このような膜を製造する方法は、疎水性の
素材で膜を成形した後、膜表面のみを親水性化処理し、
細孔表面は疎水性のまま残す方法、あるいは、親水性の
素材で膜を形成した後、細孔表面のみを疎水性化処理し
膜表面を親水性のまま残す方法が知られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、親水性
化しようとする膜表面に細孔(連通孔および/または半
連通孔)が開口している場合には、膜表面のみを親水性
にし、細孔表面を疎水性にすることはかなり困難であっ
た。例えば、疎水性素材で構成される膜に表面親水性化
処理を行うと、膜表面だけでなく細孔の表面もまた、膜
の表面からある深さまで親水性化されがちであった。こ
のため、膜が液体に接すると液体はある深さまで細孔に
入り込むこととなり、細孔に入り込んだ液体はそこに固
定されるため、膜を透過する気体は該液体中を拡散移動
しなければならず、移動速度の低下即ち、気体除去速
度、気体溶解速度あるいは気体交換速度の低下が生じて
いた。そしてまた、親水性化処理に当り細孔の表面も一
部親水性化される現象は、気体や気体状物質による親水
性化処理即ち乾式法による処理の場合に特に顕著である
ため、軽度の処理しか行えず、表面親水化の効果を十分
発揮させることが難しかった。このため乾式法は、生産
性が高く、連続製膜工程に組込むことが容易であるとい
うメリットがあるにもかかわらず、工業的に実施するこ
とが困難であった。
【0005】これらの不都合を避けるため、細孔にあら
かじめ液体を充填し、その状態で親水性化処理し、その
後充填物を除去する方法も知られていたが(特願平3−
158541に記載されている)、実際には液体を完全
にかつ過不足なく細孔内に充填することは難しく、例え
ば液体が膜表面にも付着し、表面の親水性が不十分にな
るなどの問題があった。またこの方法では乾式法のメリ
ットが半減していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、膜の表面
のみを選択的に親水性化し、細孔表面まで親水性化する
ことのない処理方法について鋭意検討した結果、本発明
に到達した。
【0007】本発明は、疎水性の熱可塑性重合体からな
り、かつ少なくとも片側表面が親水性化処理された膜前
駆体(以下、親水性化処理膜前駆体と略す)を延伸する
ことにより、膜前駆体の親水性化された表面に細孔を開
口させることを特徴とする、細孔を有する表面親水性膜
の製造方法である。次に本発明を更に詳細に説明する。
【0008】本発明は、膜の片表面若しくは両表面が親
水性であり、かつ細孔の表面は疎水性である膜の製造方
法に関する。ここでいう「膜の表面」とは、マクロにみ
た膜の表あるいは裏の面のことであり、膜が中空糸状ま
たは管状の場合には外表面または内表面のことである。
また「細孔の表面」とは、膜中に存在する連通孔若しく
は半連通孔の表面のことである。
【0009】「親水性」とは、水との接触角(静止角)
が90度未満のことをいう。膜表面の接触角は、接触角
測定装置で測定されるが、膜が細い中空糸状である場合
には測定が困難である。このような場合には膜を水面に
挿入し、水が膜表面をはい上がるかどうかを観察するこ
とで接触角を測定することができる。接触角は小さいほ
ど親水性の程度が強く、表面親水性膜の効果を発揮でき
る。
【0010】一方、「疎水性」とは、水との接触角(静
止角)が90度以上であることをいうが、細孔表面の接
触角の測定は実際上不可能である。本発明では、細孔表
面が疎水性であることの判定は、膜への水の進入の程度
で判定する。即ち、水圧を気体圧力よりわずかに、例え
ば0.05kgf/cm2高く保った試験条件にて、細孔への
水の充填や、水の気体側への漏洩が生じないことで、細
孔表面が疎水性であると判定できる。細孔への水の充填
が生じたか否かは、気体側への漏洩の有無や、膜重量の
測定で知ることができるし、また水への気体溶解速度の
測定から、気体溶解速度が大きく減少したかどうか、例
えば未処理の場合の30%以下にまで減少したかどうか
からも判定することができる。
【0011】本発明の膜素材は疎水性の熱可塑性重合体
である。疎水性の素材を用いて製造された、細孔を有す
る膜は、細孔表面が無処理で疎水性となるため、本発明
の膜の素材として好ましい。また、延伸により細孔を成
形し、その構造を固定するためには、実際上、熱可塑性
重合体であることが必要である。
【0012】本発明に用いることのできる疎水性の熱可
塑性重合体としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリ4−メチルペンテン−1等のポリオレフィ
ン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン、P
FA等の含フッ素重合体、ポリ塩化ビニリデンなどの含
塩素重合体、ポリアセタ−ル、ポリフェニレンオキシ
ド、ポリフェニレンスルフィドなどのポリエーテルやポ
リチオエ−テル、シリコン重合体、などがあげられる
が、中でも特にポリオレフィンが好ましく、ポリプロピ
レン、ポリ−4−メチルペンテン−1が特に好ましい。
その他に、ポリアセタ−ル、ポリフッ化ビニリデンが好
ましい。
【0013】また本発明で言う疎水性の熱可塑性重合体
には、親水性の重合体を疎水性化処理したもの、即ち、
疎水性物質、例えばシリコンオイルやフッ素系重合体な
どを親水性の重合体に混合し、細孔表面を疎水性化した
ものも含まれる。本発明の膜としては、弱い疎水性の重
合体であっても、同様の方法で細孔表面を強い疎水性に
することは好ましい。細孔表面の疎水性が強いほど(即
ち、水との接触角が大きいほど)、液体が細孔に進入す
る圧力が高くなり使用条件の制約が少なくなる。また疎
水性が強ければ、細孔径が大きい場合でも液体が細孔に
進入することなく使用できる。弱い親水性の素材として
は、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル等を
例示することができる。また、親水性の素材としては、
ポリアミド、ポリスルホン、ポリエ−テルスルホンを例
示することができる。
【0014】本発明に適用できる製膜法は、延伸によっ
て膜表面に細孔を発生させることができる方法であり、
重合体をキャスト製膜や溶融押し出し法などにより膜前
駆体を形成し(この段階では、前駆体内部に細孔は実質
上存在しない)、この前駆体を延伸することにより、膜
表面に開口した細孔を発生させる方法である。その中
で、溶融押し出し法により膜前駆体を形成する方法が好
適である。
【0015】この溶融押し出し−延伸による細孔の成形
方法にはいくつかの方式がある。例えば、結晶性の重合
体を適当な応力、適当な冷却条件で押し出し成形するこ
とにより、積層板状結晶を発達させ、引き続く延伸によ
り該結晶間を開裂させ多孔質化する方法(特開昭59−
196706)、重合体に固体粉末を溶融混練し、成形
後延伸することにより、重合体と粉末の界面の剥離に基
づく細孔を発生させる方法、重合体に不揮発性溶剤また
は他の重合体を溶融ブレンドし、押し出し後冷却するこ
とで相分離させ、その後延伸して細孔を発生させる方法
などがあり、さらに多数のバリエーションが知られてい
る。
【0016】また必要に応じ、延伸を多段階で行った
り、延伸の後で熱固定を行うことも可能である。本発明
には、これらの任意の方法が採用できるが、これらの中
で結晶性の重合体を溶融押し出し成形して積層板状結晶
を発達させ、延伸により開裂させ多孔質化する方法が、
細孔を高密度に成形でき、細孔径の分布が狭く、小孔径
の細孔を成形でき、かつ強度の高い膜を成形できるため
好ましい。また、多層共押し出し法により、多孔質膜中
または片側表面に非多孔質層を形成することも可能であ
る。
【0017】本発明の特徴は、延伸による多孔質化工程
の前に表面親水性化処理を行うことにある。親水性化処
理を行う段階は細孔発生の前であれば良く、例えば、溶
融押し出し直後の溶融状態、冷却固化後の高温状態、冷
却固化後の低温または室温状態、溶融成形工程と多孔質
化のための延伸工程の間において必要に応じ実施される
処理、例えば非晶延伸や熱処理(例えば特開昭59−2
29320記載のように、この段階では細孔は発生しな
い。)や膨潤処理やコーテイングなどの複合膜化処理の
前または後に実施される。
【0018】膜表面の親水性化処理法としては、通常知
られている方法、例えば、重クロム酸カリの硫酸溶液、
過マンガン酸カリの硫酸溶液、酸性過酸化水素水、次亜
塩素酸塩、過塩素酸塩、発煙硝酸等による酸化処理やス
ルホン化処理やニトロ化処理、コロナ放電処理、オゾン
処理、酸化フッ素処理、アルカリエッチング処理、イオ
ンエッチング処理、プラズマ処理、プラズマ重合、膜表
面での界面重合、膜表面でのグラフト重合、膜表面での
光重合、親水性物質(例えば親水性重合体など)のコー
ティングや膜表面への化学結合等により親水化できる。
【0019】これらの中で、乾式処理法、即ち液体を使
用しない親水化処理方法、例えばコロナ処理、プラズマ
処理(常圧プラズマ処理を含む)、オゾン処理、酸化フ
ッ素処理、光ハロゲン化処理などが好ましい。乾式法
は、洗浄や乾燥などの工程が不要で生産性が高く、ま
た、連続製膜工程の一部に組み込むことが容易である。
【0020】そして親水性化処理の後、延伸によって膜
前駆体に細孔を発生させる。延伸により成形される膜の
形状はいくつかの場合があり得る。例えば多孔質膜と呼
ばれる膜で、多数の細孔が膜の表裏を連通している膜で
ある。また例えば不均質膜や複合膜と呼ばれる膜で、個
々の細孔が膜の親水性側の面には開口しているが、他の
面には連通していない膜である。これには、膜の一方の
面にのみ細孔が開口しており、他の面には細孔が実質的
に開口していない物、膜の両面に細孔が開口しているが
個々の細孔はどちらかの面にのみ通じている物などがあ
り、後者には、膜の両面に細孔が開口しているが、膜中
に1以上の非多孔質の層があり、細孔による膜両面の連
絡が実質的に遮断されているものや、膜のそれぞれの面
に開口している細孔の連絡が遮断されている部分が、明
確な層として観察されないものなどがある。
【0021】細孔の寸法は、膜の厚み方向の全体にわた
って均一であっても良いし、分布を持った、例えば非対
称膜と呼ばれる物であってもよい。本発明において、細
孔の寸法は特に制約はないが、親水性化される側の表面
の孔径が平均直径にして10μm以下の物が好ましい。
細孔の径が大きすぎると、細孔表面が疎水性であっても
細孔内に液体が進入し易くなり、表面親水性の効果が失
われる。
【0022】本発明は、上記いずれの構造の膜の場合で
あっても、親水性化処理された面に細孔を開口させると
ころに特徴がある。即ち、いずれの場合にも、親水性化
処理時には膜前駆体には細孔が存在しないから、親水性
化処理により細孔表面が親水性化されることがない。勿
論、膜の両面ともに親水性化処理することも可能である
し、この場合には、延伸により少なくとも膜の片面に細
孔を開口させればよい。また、片側表面のみを親水性化
処理する場合には、親水性化処理されない他の面にも細
孔を開口させることも任意である。膜が中空糸型やチュ
ーブ型の場合には、膜の外表面のみを親水性化処理する
ことが、工業的に容易である。
【0023】本発明に於ては、表面親水性化処理は膜前
駆体中に細孔が全く存在しない場合だけでなく、溶融成
形後の不完全な延伸などにより、膜内部に細孔が発生し
ているが親水性化処理すべき膜表面に開口していない状
態で実施してもよい。この場合も、親水性化処理時には
前駆体内部に存在する細孔の表面は親水性化処理により
親水性化されることはない。また表面親水性化処理を、
膜前駆体の表面に少数の、もしくは浅い細孔が開口して
いる状態で行っても、最終的に形成される膜性能に重大
な影響を与えない限り問題無い。
【0024】本発明の対象となる膜の厚さは、気液接触
用隔膜として使用可能であれば特に制限はないが、好ま
しくは5〜1000μmである。膜が、強化材や基体、
例えば不織布等と複合されたものである場合には、これ
にさらに強化材や基体部分の厚さが加わる。また、本発
明の膜の形状は特に制約はない。即ち、例えば平膜、中
空糸膜、管状膜などが使用できる。特に中空糸膜は、体
積当りの表面積が大きく、また、気体交換効率が高いた
め好ましく、中空糸膜の寸法は内径1mm以下のものが
好ましい。
【0025】
【実施例】以下、実施例にて本発明を更に具体的に説明
するが、これらの例により本発明が限定されるものでは
ない。 (実施例1)メルトインデックス26のポリ(4−メチ
ルペンテン−1)を用いて、紡糸温度280℃、ドラフ
ト300で溶融紡糸を行い、得られた中空糸状の中間体
を定長で、温度210℃、処理時間30秒の熱処理を行
った後、その外表面に、放電強度6w/cm2 、滞留時
間0.32秒のコロナ放電処理を加え、その後、温度2
5℃、DR=1.3の冷延伸、温度150℃、DR=
1.4の熱延伸、および温度200℃、DR=0.9の
熱固定を行うことにより、外径260μm、内径207
μmの中空糸膜を得た。
【0026】この膜を走査型電子顕微鏡(以下SEMと
いう)で観察したところ、中空糸膜の内外両表面には直
径(長径と短径の平均)約0.1μmの長円形の細孔が
多数開口しているのが観察された。またこの中空糸膜の
断面には、外表面から内表面までの全体に渡り約0.1
μmの細孔が存在した。因みに、熱処理後の前駆体の内
外両表面には、それぞれ最終的な中空糸膜の1/300
程度の数の細孔がまばらに観察され、断面には細孔は観
察されなかった。この中空糸膜を水面に挿入すると、水
面は中空糸外表面を上方にはい上がった。このことか
ら、この中空糸膜の外表面は親水性であることが分か
る。
【0027】得られた中空糸膜を、特開昭63−255
938の実施例2に開示されているように、ポリエステ
ル糸を用いて、織り密度23本/cmの簾状に織り、こ
の簾状シートをモジュールハウジングに組み込むことに
より、図1に示した形状の、膜面積15m2 の膜モジュ
ールに組立てた。即ち、中空糸膜2の簾状シ−トが多数
の孔9が穿たれたパイプ8に巻き付けられ、その外周が
網10で被われた状態でモジュールハウジング1に収納
され、中空糸膜の両端は樹脂3にて封止されることによ
り、中空糸膜内側に接する空間11および11’と中空
糸膜外側に接する空間12および12’が隔てられてい
る。
【0028】ハウジングには、中空糸膜内側に接する空
間11および11’に通じる気体流入口4および気体流
出口5が設けられており、また中空糸膜外側に接する空
間12’に通じる液体流出口7が設けられている。多孔
パイプ8の一方の端は閉じられており、他の端は中空糸
膜外側に接する空間12に通じる液体流入口6となって
いる。このモジュールを使用して、中空糸膜の外側に
0.05kgf/cm2Gの水圧をかける漏洩試験を行
ったところ、水の漏洩は認めらなかったが、膜を濡らす
液体であるエタノールの場合には透過した。このことか
ら、細孔は膜の内外両面を互いに連絡している連通孔で
あり、かつ細孔の表面は疎水性であることが分かる。
【0029】この膜モジュールを用いて、空気溶解試験
を行った。液体導入口6から圧力2kgf/cm2 Gの
水道水を導入し、液体流出口7に接続した流量調節バル
ブ(図示せず)により流量を調節した。一方、気体導入
口4よりモジュールの中空糸膜内側に圧力2kgf/c
2 G(Gはゲージ圧を示す)の圧縮空気を導入し、導
入した空気の約90%を気体排出口5よりリークさせ
た。リーク量の調節は気体流出口5に接続した流量調節
バルブ(図示せず)により行った。液体流出口7から流
出する処理水の溶存酸素濃度をモニタ−しつつ水の流量
を変化させたところ、溶存酸素濃度が18.0ppmと
なる流量は15.7l/分であった。
【0030】[比較例1]コロナ放電処理を行わないこ
と以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を製造した。
この中空糸膜を水面に挿入すると、水面は中空糸外表面
との接触部で下方に押し込まれた。このことから、この
中空糸膜の外表面は疎水性であることが分かる。
【0031】[比較例2]コロナ放電処理を冷延伸工程
の前でなく、熱固定工程の後に行ったこと以外は、実施
例1と同様にして中空糸膜およびモジュールを製造し
た。
【0032】この中空糸膜を水面に挿入すると、水面は
中空糸外表面との接触部で上方に這い上がった。このこ
とから、この中空糸膜の外表面は親水性であることが分
かる。次いで、実施例1と同様の空気溶解試験を行った
ところ、溶存酸素濃度が18.0ppmとなる流量は1
0.5l/分と、実施例1に比べて低い値であった。
【0033】(実施例2)メルトインデックス3.5の
ポリプロピレンを用いて、紡糸温度200℃、ドラフト
270で溶融紡糸を行い、得られた中空糸状の中間体を
定長で、温度160℃、処理時間30秒の熱処理を行っ
た後、その外表面に、放電強度6w/cm 2 、滞留時間
0.32秒のコロナ放電処理を加え、続いてポリヒドロ
キシエチルメタアクリレ−トの0.5重量%エタノール
水溶液に連続的に浸漬、乾燥し、さらに、温度25℃、
DR=1.2の冷延伸、温度135℃、DR=1.4の
熱延伸、および温度150℃、DR=0.9の熱固定を
行うことにより、外径266μm、内径213μmの中
空糸膜を得た。
【0034】この膜をSEMで観察したところ、中空糸
膜の内表面には直径(長径と短径の平均)約0.2μm
の長円形の細孔が多数開口しており、外表面には、一部
非多孔質薄膜で被われた部位も見られるものの、大部分
は内表面と同様の細孔が開口しているのが観察された。
またこの中空糸膜の断面には、外表面から内表面までの
全体に渡り約0.2μmの細孔が存在した。因みに、熱
処理後の前駆体の内外両表面には、それぞれ最終的な中
空糸膜の1/100程度の数の細孔がまばらに観察さ
れ、断面には細孔は観察されなかった。この中空糸膜を
水面に挿入すると、水面は中空糸外表面を上方に這い上
がった。このことから、この中空糸膜の外表面は親水性
であることが分かる。
【0035】得られた中空糸膜をポリエステル糸にて、
織り密度23本/cmの簾状に織り、実施例1と同様の
膜面積15m2の膜モジュールに組立てた。このモジュ
ールを使用して、中空糸膜の外側に0.05kgf/c
2 Gの水圧をかける漏洩試験を行ったところ、水の漏
洩は認めらなかったが、膜を濡らす液体であるエタノー
ルの場合には透過した。このことから、細孔は膜の内外
両面を互いに連絡している連通孔であり、かつ細孔の表
面は疎水性であることが分かる。
【0036】この膜モジュールを用いて、実施例1と同
様の気体溶解試験を行った。処理水の溶存酸素濃度をモ
ニタ−しつつ水の流量を変化させたところ、溶存酸素濃
度が18.0ppmとなる流量は14.1l/分であっ
た。
【0037】(実施例3)メルトインデックス26のポ
リ(4−メチルペンテン−1)を用いて、紡糸温度29
0℃、ドラフト420で溶融紡糸を行い、得られた中空
糸状の前駆体を温度35℃、延伸倍率1.2で延伸を行
った後、温度210℃、延伸倍率0.95、処理時間5
秒の熱処理を行った。この段階の膜前駆体は透明であ
り、SEM観察によっても、内外表面、断面ともに細孔
は観察されない。この前駆体をボビン巻きのまま、25
℃で、圧力210torrの酸素/フッ素=200:1
0(体積比)混合気体に5分間接触させた後、温度25
℃、DR=1.2の冷延伸、温度150℃、DR=1.
5の熱延伸、および温度200℃、DR=0.9の熱固
定を行うことにより、外径213μm、内径168μm
の中空糸膜を得た。
【0038】この膜をSEMで観察したところ、中空糸
膜の内外両表面には直径(長径と短径の平均)約0.0
5μmの長円形の細孔が多数開口しているのが観察され
た。この中空糸膜を水面に挿入すると、水面は中空糸外
表面を上方に這い上がった。このことから、この中空糸
膜の外表面は親水性であることが分かる。
【0039】得られた中空糸膜をポリエステル糸にて、
織り密度25本/cmの簾状に織り、実施例1と同様の
膜モジュールに組立てた。このモジュールを使用して、
中空糸膜の外側に0.05kgf/cm2 Gの水圧をか
ける漏洩測定を行ったところ水の漏洩は認めらず、また
膜を濡らす液体であるエタノールの場合にも透過しなか
った。このことから、膜の内外両面にそれぞれ開口して
いる細孔は、互いに連絡しておらず、半連通孔であるこ
とが分かる。
【0040】この膜モジュールを用いて、実施例1と同
様の空気溶解試験を行った。処理水の溶存酸素濃度をモ
ニタ−しつつ水の流量を変化させたところ、溶存酸素濃
度が18.0ppmとなる流量は14.8l/分であっ
た。
【0041】また、中空糸膜の外側に接する空間にエタ
ノールを導入した後、乾燥させること無く水と置換し、
同様の空気溶解試験を行ったところ、溶存酸素濃度が1
8.0ppmとなる流量は8.8l/分に低下した。中
空糸膜の外側に開口している細孔に水が充填されたこと
により、気体の移動速度が低下したものと推定される。
【0042】(実施例4)溶融紡糸時に、ノズル下10
〜60cmの範囲を、空気で冷却する代わりに、0.4
%オゾン含有空気気流雰囲気としたこと、およびコロナ
処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の実験
を行った。
【0043】この膜をSEMで観察したところ、外表面
の細孔の数が1/3程度に減少していたこと以外は実施
例1の膜と同様の構造が観察された。この中空糸膜を水
面に挿入すると、水面は中空糸外表面を上方に這い上が
った。このことから、この中空糸膜の外表面は親水性で
あることが分かる。
【0044】また、モジュールの中空糸膜の外側に0.
05kgf/cm2 Gの水圧をかける漏洩試験を行った
ところ、水の漏洩は認めらなかったが、膜を濡らす液体
であるエタノールの場合には透過した。このことから、
細孔は膜の内外両面を互いに連絡している連通孔であ
り、かつ細孔の表面は疎水性であることが分かる。
【0045】モジュールを用いて、実施例1と同様の気
体溶解試験を行った。処理水の溶存酸素濃度をモニタ−
しつつ水の流量を変化させたところ、溶存酸素濃度が1
8.0ppmとなる流量は15.0l/分であった。
【0046】
【発明の効果】本発明により、膜の一方の側に液体が接
し、膜の他の側に気体が接する膜型人工肺、膜式気体溶
解装置、隔膜気液接触装置などの用途に有用な、プライ
ミング時の気泡除去性の向上が図れ、気体溶解時の望ま
れない気泡の発生の抑制を計りつつ、気体溶解速度や気
体交換速度を向上させる膜が得られる。また表面親水性
化処理速度の向上および、洗浄や乾燥工程の省略が計
れ、連続製膜工程の一部に表面親水化工程を組み込むこ
とができ、膜製造工程の簡略化が図れる。
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施例で使用するモジュールの
縦断面模式図である。図中の記号は以下のとおりであ
る。 1・・・・・ハウジング 2・・・・・中空糸膜 3・・・・・封止樹脂 4・・・・・気体導入口 5・・・・・気体排出口 6・・・・・液体導入口 7・・・・・液体排出口 8・・・・・多孔パイプ 9・・・・・孔 10・・・・・網 11、11’・・・・・中空糸膜内側に接する空間 12、12’・・・・・中空糸膜外側に接する空間

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性の熱可塑性重合体からなり、かつ
    少なくとも片側表面が親水性化処理された膜前駆体(以
    下、親水性化処理膜前駆体と略す)を延伸することによ
    り、膜前駆体の親水性化された表面に細孔を開口させる
    ことを特徴とする、細孔を有する表面親水性膜の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 親水性化処理膜前駆体が、疎水性の熱可
    塑性重合体を溶融押し出し成形した溶融状の膜前駆体の
    少なくとも片側表面を親水性化処理し、次いで固化させ
    たもの、若しくは該熱可塑性重合体を溶融押し出し成形
    した固体状の膜前駆体膜の少なくとも片側表面を親水性
    化処理したものである請求項1に記載の細孔を有する表
    面親水性膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 膜が、膜の表裏を連通する細孔を有する
    多孔質膜である請求項1または2記載の細孔を有する表
    面親水性膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 膜の親水性化された表面に開口している
    細孔が、膜の他の面に連通していない半連通孔である請
    求項1または2記載の細孔を有する表面親水性膜の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 膜が外表面親水性の中空糸膜である請求
    項3または4記載の細孔を有する表面親水性膜の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 熱可塑性重合体が、ポリオレフィンであ
    る請求項1、2、3、4または5記載の細孔を有する表
    面親水性膜の製造方法。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィンが、ポリプロピレンまた
    はポリ−4−メチルペンテン−1である請求項6記載の
    細孔を有する表面親水性膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 親水性化処理が、乾式親水性化処理であ
    る請求項2〜7のいずれか一に記載の細孔を有する表面
    親水性膜の製造方法。
  9. 【請求項9】 乾式親水性化処理が、コロナ処理、オゾ
    ン処理または酸化フッ素処理である請求項8記載の細孔
    を有する表面親水性膜の製造方法。
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