JP2014136120A - 等圧調剤デバイス - Google Patents

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克己 中澤
Masataka Yotsuya
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Abstract

【課題】容器内の薬剤のエアロゾルが容器外に漏れ出ることを阻止するガス分離膜を設けた等圧調剤デバイスを提供する。
【解決手段】薬剤通液口13およびエアー流出入口15を備え、バイアル容器30のシールを貫通するための先端部を有するカニューレ11と、カニューレと一体に形成され、薬剤通液口と連通して液体をバイアル容器内に導入すること及びバイアル容器から除去することができるように構成された薬剤通路12、及びエアー流出入口と連通するエアー通路14を有する本体部10と、本体部に取り付けられ、エアー通路と流体連通して、濾過された空気がバイアル容器の外部の大気に出入りすることができるように、バイアル容器内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成された通気口22と、エアー通路と通気口の間に配置され、気体中に分散した液体を遮断するように構成されたガス分離膜24と、を有するガス分離装置20と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、等圧調剤デバイスに関する。
従来、医療等の分野において、容器(バイアル)内の薬液をシリンジに吸引して混合する際に、薬液の泡立ちを抑え、効率的に吸入する方法が報告されている(バイアル・アダプタ技法)。例えば、特許文献1には、針基部と吸入用針と調整用針とを備え、調整用針の軸方向の長さが吸入用針の軸方向の長さの2倍以上10倍以下とした薬液吸入用複合針を用い、調整用針の端部から気体を吸入して吸入用針の端部から薬液を吸入する薬液吸入方法が記載されている。
特開2010−279409号公報
ところで、バイアル・アダプタ技法においては、薬液の再調製中に、バイアル内の空気等の気体中に固体又は液体粒子が懸濁されたエアロゾル又は液滴がバイアル外に漏れ、周囲の環境を汚染しないことが必要である。特に、処置を行なう人が、薬剤との接触やエアロゾル化した薬剤を吸入することが回避されなければならない。
本発明の目的は、容器内の薬剤のエアロゾルが容器外に漏れ出ることを阻止するガス分離膜を設けた等圧調剤デバイスを提供することにある。
本発明によれば、開口部を覆って配置された貫通可能なシールを有するバイアル容器にアクセスする際にエアロゾルを遮断するための等圧調剤デバイスであって、薬剤通液口およびエアー流出入口を備え、前記バイアル容器の前記シールを貫通するための先端部を有するカニューレと、当該カニューレと一体に形成され、当該薬剤通液口と連通して液体を当該バイアル容器内に導入すること及び当該バイアル容器から除去することができるように構成された薬剤通路、並びに当該エアー流出入口と連通するエアー通路を有する本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記エアー通路と流体連通して、濾過された空気が前記バイアル容器の外部の大気に出入りすることができるように、当該バイアル容器内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成された通気口と、当該エアー通路と当該通気口の間に配置され、気体中に分散した液体を遮断するように構成されたガス分離膜と、を有するガス分離装置と、を備えることを特徴とする等圧調剤デバイスが提供される。
ここで、前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の全ての端部開口が前記通気口側に向くようにU字状に曲げられ、且つ当該端部開口と当該通気口とが連通するように当該端部開口側を支持部材により固定することにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることが好ましい。
また、前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の全ての端部開口が前記本体部の前記エアー通路側に向くようにU字状に曲げられ、且つ当該端部開口と当該エアー通路とが連通するように当該端部開口側を支持部材により固定することにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることが好ましい。
さらに、前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の前記本体部の前記エアー通路側に向けられた第1の端部開口は、当該エアー通路と連通するように第1の支持部材により固定され、当該中空繊維の当該第1の端部開口と対向する第2の端部開口は、第2の支持部材により当該第2の端部開口を封止するように固定されることにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることが好ましい。
特に、前記ガス透過性無孔膜は、前記中空繊維の外側の表面に形成されていることが好ましい。
また、前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された平膜により構成されたことが好ましい。
本発明によれば、容器内の薬剤のエアロゾルが容器外に漏れ出ることを阻止するガス分離膜を設けた等圧調剤デバイスが提供される。
本実施の形態が適用される等圧調剤デバイスの一例を説明する図である。 ガス分離装置の第1の実施の形態を説明する図である。 ガス分離装置の第2の実施の形態を説明する図である。 ガス分離装置の第3の実施の形態を説明する図である。 第4の実施の形態であるガス分離装置を取り付けた等圧調剤デバイスを説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。すなわち、実施の形態の例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に記載がない限り、本発明の範囲を限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するための一例であり、実際の大きさを表すものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。
<等圧調剤デバイス>
図1は、本実施の形態が適用される等圧調剤デバイスの一例を説明する図である。図1に示す等圧調剤デバイスは、開口部を覆って配置された貫通可能なシールを有するバイアル容器30にアクセスする際にエアロゾルを遮断するものであって、本体部10と本体部10に取り付けられたガス分離装置20とから構成されている。
本体部10は、薬剤通液口13およびエアー流出入口15を備え、カニューレ11と、カニューレ11と一体に形成されて薬剤通液口13と連通する薬剤通路12、エアー流出入口15と連通するエアー通路14を有している。また、本体部10は、バイアル取り付けハウジング31、注射器17が取り付けられるワンウエイコネクタ16を有している。
ガス分離装置20は、本体部10のエアー通路14と連通する連通管25と、エアー通路14と流体連通する通気口22と、カニューレ11のエアー通路14と通気口22の間に配置されたガス分離膜24と、を有している。そして、ガス分離膜24を収納するハウジング21を具え、ガス分離膜24は、ポッティング部23によりハウジング21内に固定されている。ここで、流体連通するとは、「エアー通路14と直接連通するものではないが、後述するガス分離膜24を介して気体(=流体)が連通し等圧に保たれる」という意味で使用している。
カニューレ11は、バイアル容器30のシールを貫通するための先端部を有している。薬剤通路12は、カニューレ11と一体に形成されて薬剤通液口13と連通して液体をバイアル容器30内に導入すること及びバイアル容器30から除去することができるように構成されている。エアー流出入口15と連通するエアー通路14を有している。
ガス分離装置20の通気口22は、本体部10のエアー通路14と連通して、濾過された空気がバイアル容器30の外部の大気に出入りすることができるように、液体がバイアル容器30に導入されるとき及びバイアル容器30から除去されるときに、バイアル容器30内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成されている。
ガス分離膜24は、気体中に分散した液体を遮断するように構成されている。すなわち、本実施の形態が適用される等圧調剤デバイスは、エアロゾルをガス分離装置20内のガス分離膜24に接触させ、且つ、エアロゾル中に液体の小滴を残し、気体はガス分離膜24を透過させることにより、気体と液体を分離している。
図2は、ガス分離装置20の第1の実施の形態を説明する図である。
図2(a)はハウジング21内におけるガス分離膜24の取り付け状態を示す断面概略図であり、図2(b)は、ポッティング部23と中空繊維からなるガス分離膜24の断面概略図であり、図2(c)は中空繊維からなるガス分離膜24におけるエアロゾルの遮断を説明する断面概略図であり、図2(d)は中空繊維からなるガス分離膜24の断面概略図である。
図2(a)に示すように、ガス分離装置20のハウジング21には、ハウジング21の入り口側に本体部10のエアー通路14と連通する連通管25が設けられ、ハウジング21の奥側にエアー通路14と流体連通する複数の通気口22が形成されている。
連通管25と通気口22の間に配置されたガス分離膜24は、中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されている。本実施の形態では、中空繊維からなるガス分離ファイバーの全ての端部開口26が通気口22側に向くようにU字状に曲げられている。そして、端部開口26と通気口22とが連通するように端部開口26側を支持部材としてのポッティング部23により固定されている。
図2(b)に示すように、ガス分離膜24は、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されている。前述したように、U字状に曲げられた中空繊維の全ての端部開口26と通気口22とが連通するように、端部開口26側がポッティング部23により固定されている。
図2(c)に示すように、本実施の形態では、薬剤等の液体がバイアル容器30に導入されるとき及びバイアル容器30から除去されるときに、エアー通路14を介してガス分離装置20のハウジング21に侵入した流体中のエアロゾル(A−SOL)は、ガス分離ファイバーから構成されたガス分離膜24の表面に形成されたガス透過性無孔膜242により遮断される。そして、ガス透過性無孔膜242により濾過された空気(A)が中空孔243に透過し、中空繊維の端部開口26から通気口22を介してハウジング21の外部に拡散し、バイアル容器30内の空気圧を外部の大気と均圧化している。
ここで、「流体」は常識的に使用されるため、液体と気体の両方を指している。また、エアロゾルは、例えば、空気中に懸濁される液滴の形状をしたものである。
図2(d)に示すように、本実施の形態では、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーの直径(D)は、通常、0.2mm〜0.6mmであり、好ましくは、0.3mm〜0.5mmである。微孔質基材241の厚さ(T)は、25μm〜200μmであり、好ましくは、50μm〜150μmである。中空孔243の直径(d)は、0.1mm〜0.4mmであり、好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。
尚、ガス透過性無孔膜242の厚さは、通常、50nm〜500nmであり、好ましくは、100nm〜200nmである。
尚、図示しないが、本実施の形態が適用される等圧調剤デバイスには、本体部10のエアー通路14とガス分離装置20のハウジング21内に設けたガス分離膜24との間に、さらに、疎水性エアフィルタを備えることもできる。疎水性エアフィルタの配置は特に限定されず、例えば、エアー通路14の中、ハウジング21の入り口側等が挙げられる。疎水性エアフィルタは、気体中に分散した液体の通過を可能にする一方で非分散液体を封じ込めるように構成されたものが好ましい。
(ガス分離膜24)
本実施の形態では、ガス分離膜24は、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されている。ガス分離ファイバーの長さ、ハウジング21内に収容されるガス分離ファイバーの本数は、バイアル容器30内の空気圧が外部の大気と均圧に到達する時間に基づき決定され、特に限定されない。本実施の形態では、ガス分離ファイバーの長さは、通常、50mm〜500mmであり、好ましくは、100mm〜200mmである。ハウジング21内に収容されるガス分離ファイバーの本数は、通常、1本〜500本であり、好ましくは、10本〜50本である。
ここで、微孔質基材241は、表面に形成されたガス透過性無孔膜242の支持体である。微孔質基材241は、通常、孔径10nm〜0.1μm程度の複数の孔を有し、空気等の気体に対し、透過性または浸透性を示す。
微孔質基材241を構成する材料としては、公知の微孔質基材形成材料(ポリマー)のいずれも用いることができる。具体的には、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スルホン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース混合エステル等が挙げられる。
より具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペンテン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体等が挙げられる。さらに、これらの樹脂を公知の方法で混練した樹脂等を例示できる。本実施の形態では、微孔質基材241として、ポリエーテルスルホン系樹脂を用いている。
本実施の形態において、ガス透過性無孔膜242は、例えば、非結晶性高分子から構成される表面層として微孔質基材241の表面に形成されている。ガス透過性無孔膜242は、流体中のエアロゾルを遮断する一方、空気等の気体を透過する。この場合、高分子鎖の結晶構造部分は気体分子を殆ど透過しない。しかし、空気等の気体は、アモルファス構造部分において、高分子鎖の熱運動により生じる自由体積を溶解拡散してガス透過性無孔膜242を透過すると考えられる。このとき、高圧側と低圧側の分圧差が駆動力となり、気体の種類によって、透過速度(溶解性と拡散性の違い)が異なるために分離が起こると考えられる。
本実施形態において、ガス透過性無孔膜242を構成する材料としては、フッ素樹脂が好ましい。また、フッ素樹脂の中でも、加工性を考慮すると、有機溶剤に溶解又は分散可能な樹脂であることが好ましい。
このようなフッ素樹脂としては、例えば、市販品のテフロン(登録商標)AFシリーズ(デュポン社製)、フルオンシリーズ(旭硝子株式会社製)、ハイフロンシリーズ(ソルベイ・ソレクシス社製)、サイトップ(旭硝子株式会社製)、THVシリーズ(住友スリーエム株式会社製)、ネオフロンシリーズ(ダイキン工業株式会社製)、カイナーシリーズ(アルケマ社製)、テドラーシリーズ(デュポン社製)、ダイニオンシリーズ(住友スリーエム株式会社製)等が挙げられる。これらは、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
フッ素樹脂を溶解又は分散する有機溶剤としては、例えば、含フッ素アルコール系溶剤、含フッ素芳香族系溶剤、フルオロカーボン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、アミド系溶剤、スルホン酸エステル系溶剤等が挙げられる。
具体的には、含フッ素アルコール系溶剤としては、例えば、CFCHOH、F(CFCHOH、(CFCHOH、F(CFCHOH、F(CFOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH、H(CFCHOH等が挙げられる。含フッ素芳香族系溶剤としては、例えば、パーフルオロベンゼン、メタキシレンヘキサフルオライド等が挙げられる。
フルオロカーボン系溶剤としては、例えば、CF(HFC−14)、CHClF(HCFC−22)、CHF(HFC−23)、CHCF(HFC−32)、CFCF(PFC−116)、CFClCFCl(CFC−113)、CHCl(HCFC−225)、CHFCF(HFC−134a)、CHCF(HFC−143a)、CHCHF(HFC−152a)、CHCClF(HCFC−141b)、CHCClF(HCFC−142b)、C(PFC−C318)等が挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、ソルベッソ100、ソルベッソ150、ヘキサン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコール、酢酸ジエチレングリコール等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド等が挙げられる。スルホン酸エステル系溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
さらに、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロパノール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(重合度3〜100)等も使用することができる。
これらの溶剤は、一種を単独で又は二種以上を混合して用いることができる。これらの中でも、溶解能、塗膜外観及び貯蔵安定性の観点から、上記各種のフッ素系溶剤、ケトン系溶剤及びエステル系溶剤が好ましい。特に、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、セロソルブアセテート、酢酸ブチル、酢酸エチル、パーフルオロベンゼン、メタキシレンヘキサフルオライド、HCFC−225、CFC−113、HFC−134a、HFC−143a及びHFC−142bがより好ましい。
ガス透過性無孔膜242の機能としては、窒素の透過係数(以下、「窒素透過係数」という)が1barrer〜900barrerである。ここで、窒素透過係数は、単位時間、単位面積、単位厚さ、単位圧力(差圧)当たりの気体透過速度であり、その材料固有の物理定数である。窒素透過係数の単位はbarrerであり、barrer=10−10cm(STP)cm/cm・sec・cmHgである。ガス透過性無孔膜242の機能として、窒素透過係数が過度に小さいと、十分な気体透過速度が得られない傾向にある。また、窒素透過係数が過度に大きいと、エアロゾルの遮断性能、即ち分離性が低下する傾向にある。
また、本実施の形態では、ガス透過性無孔膜242において、窒素の透過速度(以下、「窒素透過速度」という)に対する水素の透過速度(以下、「水素透過速度」という)の比を、窒素に対する水素の分離係数(以下、「水素/窒素分離係数」という。)と定義する。この水素/窒素分離係数が、通常、2〜15であり、好ましくは、2.5〜7.0である。上記水素/窒素分離係数が過度に大きいと、気体透過速度が低下する傾向がある。また水素/窒素分離係数が過度に小さいと、エアロゾルと空気を分離する場合に、その分離性が低下する傾向がある。
本実施形態におけるガス透過性無孔膜242では、窒素透過速度が高いことが必要である。したがって、窒素透過係数が1barrer〜900barrerであり、水素/窒素分離係数が、2〜15であることが必要である。
上述したように、ガス透過性無孔膜242の透過性能は、窒素透過係数と、水素/窒素分離係数で表現することができる。ここで、ガス透過性無孔膜242の窒素透過係数及び水素/窒素分離係数は、ガス透過性無孔膜242を構成する樹脂(以下、「水蒸気分離性樹脂」という)を層状に成形したときに、層の厚み等に左右されない素材そのものに固有の値である。そのため、水蒸気分離性樹脂の窒素透過係数及び水素/窒素分離係数を測定するには、厚みが既知で、欠陥が無い膜を用いる必要がある。
そこで、先ず、20μm〜100μm程度の厚みになるように水蒸気分離性樹脂をキャストし、素材それ自身のみからなり、平滑で気泡を含まない自立膜を作製する。得られた自立膜をJIS Z−1707に基づいて測定することにより、ガス透過性無孔膜242の窒素透過係数及び水素/窒素分離係数を求めることができる。
尚、一般的に、気体分離膜の水素/窒素分離係数(α’)は、以下の式で表記される。
α’=fH[GPU]/fN[GPU]
ここで、fHは気体分離膜自体の水素透過速度であり、fNは気体分離膜自体の窒素透過速度である。これらの気体分離膜自体の気体透過速度には、気体の溶解拡散による流束と、ピンホールによるクヌーセン流の両者が含まれており、実際の気体分離モジュールの設計では、これらの気体分離膜自体の気体透過速度を使用するのがよい。この場合の水素/窒素分離係数(α’)は、材料固有の値(物理定数ではなく、気体分離膜自体について決まる見かけの値)になる。また、クヌーセン流が無ければ、上記の(α’)は理想分離係数αに等しくなる。
ガス透過性無孔膜242の窒素透過係数及び水素/窒素分離係数は、ガス透過性無孔膜242を構成する材料の固有の物理定数であるので、窒素透過係数及び水素/窒素分離係数が上記の範囲内になるよう、材料を適宜選択することが好ましい。
すなわち、ガス透過性無孔膜242と微孔質基材241から構成される複合材料としてのガス分離膜24の気体透過性能は、窒素透過速度及び水素/窒素分離係数で表現される。本実施の形態において、ガス分離膜24は、窒素透過速度が、20GPU〜18,000GPUであることが好ましい。また、水素/窒素分離係数が3以上15未満であることが好ましい。ガス分離膜24の形状としては、中空糸状、平膜状等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
ガス分離膜24の窒素透過速度は、微孔質基材241の窒素透過速度を勘案しつつガス透過性無孔膜242の厚さを調節することにより、上述した範囲内に調整することができる。ここで、ガス透過性無孔膜242が厚くなるほどガス分離膜24の窒素透過速度は低下するが、窒素透過係数の高い微孔質基材241に比べ窒素透過係数の低いガス透過性無孔膜242は、層の厚さに対する窒素透過速度の低下の度合いが大きい。また、ガス分離膜24の水素/窒素分離係数は、ガス透過性無孔膜242と微孔質基材241とを適宜組み合わせることで、上述した範囲内に調整することができる。
(ガス分離ファイバーの製造方法)
本実施の形態において、ガス分離膜24を構成する微孔質基材241と中空繊維状である微孔質基材241からなるガス分離ファイバーの製造方法は、中空繊維状の微孔質基材241を得る工程と、微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242を積層する工程と、を含む方法である。以下、製造方法について詳術する。
中空繊維状の微孔質基材241の製造方法としては、相分離法、延伸開孔法及びトラックエッチング法等が挙げられる。これらの中でも、幅広い孔径バリエーションを作り分けることができる相分離法が好適である。相分離法としては、非溶剤誘起相分離法や熱誘起相分離法等がある。非溶剤誘起相分離法では、高分子を溶解できる溶媒に高分子を溶かし、その後に二重環状の紡糸口金より中空形成材である水や溶媒と共に、溶解した高分子溶液を吐出して非溶剤と接触させ、相分離を誘起している。また、熱誘起相分離法では、高分子を常温では溶解しないが高温で溶解する潜在溶媒に溶解し、二重環式の紡糸口金より、中空形成材である空気や溶媒と共に、溶解した高分子を吐出して空気や水と接触させることで冷却し、相分離を誘起している。本実施形態では、非溶剤誘起相分離法、熱誘起相分離法のいずれの方法も適用可能である。
以下、非溶剤誘起相分離法により、中空繊維状である微孔質基材241を製造する場合を説明する。先ず、微孔質基材241の形成材料であるポリマー素材、そのポリマー素材に対する溶媒、非溶媒を混合した後、加熱溶解して紡糸原液を調製し、得られた紡糸原液を二重管状ノズルの外側スリットから吐出すると同時に中心孔より芯液を吐出する。ノズルから吐出された紡糸原液は、空中走行部(エアギャップ)を通過させた後、凝固槽に浸漬させ、紡糸原液の凝固、相分離を行わせ(いわゆる乾湿式紡糸法)、中空糸膜を形成する。凝固槽から引き上げられた湿潤状態の中空糸膜は、過剰の溶媒、非溶媒等を除去するために洗浄槽で洗浄後、ドライヤーに通し、乾燥した中空糸膜はボビン形状に巻き取られる。
中空糸膜のポリマー素材は、溶媒に溶解し、乾湿式紡糸できることが必要である。本実施の形態では、ポリスルホンやポリエーテルスルホン等のポリスルホン系ポリマーが、細孔径を調節しやすく、強度も比較的高いので、好適に用いられる。紡糸原液中のポリマー濃度は、用いるポリマーの種類や目的とする中空糸膜の性能、物性、品質により適宜設定され、本実施の形態では、15重量%〜50重量%が好ましい。
ポリスルホン系ポリマーに対する溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン系ポリマーの凝固および相分離のコントロールのしやすさ、作業安全性、廃棄処理の観点からN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミドが好ましい。
また、紡糸原液に非溶媒を添加する場合には、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が好ましく用いられる。中でも、溶媒との相溶性や洗浄除去性、安全性の観点からトリエチレングリコール、ポリエチレングリコールがより好ましい。ポリエチレングリコールは、分子量200、400のものを用いるのが、室温で液体であり取り扱い性に優れる点でより好ましい。さらに、紡糸原液には、公知の酸化防止剤や微孔形成剤等の添加剤を必要に応じて加えることができる。紡糸原液中の溶媒/非溶媒の重量比は、紡糸原液の安定性が高まることや均質膜構造を得やすいこと等から97/3〜40/60とするのが好ましい。90/10〜50/50がより好ましく、80/20〜60/40がさらに好ましい。
本実施の形態では、芯液は紡糸原液に対して不活性なものを使用する。不活性なものとは、紡糸原液を凝固も溶解もしない流体である。不活性な液体としては、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。不活性な気体としては、窒素、アルゴン等が挙げられるが、これらに特に限定されるものではない。芯液として紡糸原液ポリマー素材に対して不活性な流体を用いると、中空糸膜の構造は、均一な構造を取りやすく、乾燥時に表面張力の影響を受け、膜構造が変化しやすいので、好適に適用することができる。芯液として活性のある液体を用いると、得られる中空糸膜は中空膜内側に緻密層を有する不均一構造となりやすく、また中空部の液体を乾燥する必要があり、乾燥に時間を要するので、本発明を適用しても十分な乾燥が得られないことがある。
次に、熱可塑性樹脂、有機液体及び無機微粉を用いた熱誘起相分離法により製造された中空糸膜からなる微孔質基材241について説明する。本実施形態において、微孔質基材241の製造方法は、有機高分子樹脂と、可塑剤と、無機物粒子とを含む混合物を溶融混練する工程と、溶融混練した混合物を成形して成形体を得る工程と、該成形体から、可塑剤を抽出して多孔性支持膜を得る工程とからなる。溶融混練する工程では、有機高分子樹脂と、可塑剤と、無機物粒子とを含む混合物を溶融混練する。
無機物粒子、可塑剤、及び有機高分子樹脂の配合量としては、無機物粒子、可塑剤、及び有機高分子樹脂の混合物の合計容量に対して、以下の範囲が好ましい。すなわち、無機物粒子は3質量%〜60質量%が好ましく、7質量%〜42質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%がさらに好ましい。無機物粒子の配合量がこの範囲内であれば、無機物粒子が可塑剤を十分に吸着することができ、混合物が粉末又は顆粒の状態に保つことができ、成形し易くなる。また、溶融する際の混合物の流動性が良く、成形性が高くなる。加えて、得られる成形品の強度が向上する。
可塑剤は20質量%〜85質量%が好ましく、30質量%〜75質量%がより好ましく、40質量%〜70質量%がさらに好ましい。可塑剤の配合量がこの範囲内であれば、十分に発達した連通孔が形成され、連通孔が十分に形成された多孔質構造とすることができる。また、成形し易くなり、機械的強度の高い多孔性支持膜が得られる。
有機高分子樹脂は5質量%〜80質量%が好ましく、10質量%〜60質量%がより好ましく、15質量%〜30質量%がさらに好ましい。有機高分子樹脂がこの範囲内であれば、多孔質構造の幹を形成する有機高分子樹脂の量が十分であり、強度や、成形性が向上する。また、連通孔が十分に形成された多孔性支持膜とすることができる。
無機物粒子、可塑剤及び有機高分子樹脂の混合法としては、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー等の配合機を用いた通常の混合法が挙げられる。混合の順序としては、無機物粒子、可塑剤及び有機高分子樹脂を同時に混合する方法、及び、無機物粒子と可塑剤とを混合して無機物粒子に可塑剤を充分に吸着させ、次に有機高分子樹脂を配合して混合する方法等が挙げられる。後者の順序で混合すると、溶融する際の成形性が向上し、得られる多孔性支持膜の連通孔が十分に発達し、さらに、機械的強度も向上する。
混合の温度は、均質な三成分組成物を得るために、混合物が溶融状態になる温度範囲、すなわち有機高分子樹脂の溶融軟化温度以上、熱分解温度以下の温度範囲にある。ただし、混合の温度は、有機高分子樹脂のメルトインデックス、可塑剤の沸点、無機物粒子の種類、さらには加熱混練装置の機能等によって適当に選択すべきである。
ここで、可塑剤とは、沸点が150℃以上の液体を指す。可塑剤は、溶融混練した混合物を成形する際に、多孔質構造を形成するのに寄与し、最終的には、抽出して取り除かれる。可塑剤としては、低温(常温)では有機高分子樹脂と相溶しないが、溶融成形時(高温)では、有機高分子樹脂と相溶するものであることが好ましい。
可塑剤は、溶解度パラメーター(SP:δ)が15〜21[(MPa)1/2]の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、18〜19[(MPa)1/2]の可塑剤である。溶解度パラメーターが15〜21[(MPa)1/2]の可塑剤の例としては、例えば、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステルやリン酸エステル等が挙げられる。これらの中でも、特にフタル酸ジオクチル(δ=18.3[(MPa)1/2](分散成分δD=16.6、極性成分δP=7.0、水素結合成分δH=3.1))、フタル酸ジブチル(δ=20.2[(MPa)1/2](δD=17.8、δP=8.6、δH=4.1))(J.BRANDRUP and E.H.IMMERGUT,POLYMER HANDBOOK THIRD EDITION,ページVII−542,1989を参照)、及びこれらの混合物が好ましい。尚、フタル酸ジオクチルは、2つのエステル部分の炭素数がそれぞれ8の化合物の総称であり、例えば、フタル酸ジ−2−エチルヘキシルが含まれる。
ここで、2種以上の可塑剤を混合する場合、以下の方法により、混合した可塑剤の溶解度パラメーターを算出することができる。
例えば、可塑剤(A)のSPがδ(A)であり、δ(A)の分散成分、極性成分、水素結合成分がそれぞれδD(A)、δP(A)、δH(A)であり、可塑剤(B)のSPがδ(B)であり、δ(B)の分散成分、極性成分、水素結合成分がそれぞれδD(B)、δP(B)、δH(B)である場合において、可塑剤(A)及び(B)をm:nの比で混合した混合物(C)のSPであるδ(C)は、δ(C)の分散成分δD(C)、極性成分δP(C)、水素結合成分δH(C)をそれぞれ求めてから、決定することができる。
δD(C)={mδD(A)+nδD(B)}/(m+n)
δP(C)={mδP(A)+nδP(B)}/(m+n)
δH(C)={mδH(A)+nδH(B)}/(m+n)
δ(C)=[{δD(C)}2+{δP(C)}2+{δH(C)}2]1/2
この混合した可塑剤のSPであるδ(C)が、15〜21[(MPa)1/2]の範囲にあることが好ましい。より好ましくは、混合する可塑剤のSPが、共に15〜21[(MPa)1/2]の範囲にあることである。
上述した可塑剤を適宜選択することによって、微孔質基材241の開孔の大きさを制御することができる。ガス透過性の観点からは、開孔は大きい方が好ましく、膜表面においては、その大きい開孔に無機物粒子が存在することで、膜表面に均一に水蒸気分離性樹脂を積層することができる。具体的には、例えば、微孔質基材241を構成する有機高分子樹脂としてポリエチレンを含む場合は、DBPを可塑剤として使用し、PVDFを含む場合は、DOPを可塑剤として使用することにより、大きな孔を有する微孔質基材241が得られる。尚、本実施の形態により得られる効果を大きく阻害しない範囲で、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、成形助剤等を必要に応じて添加してもよい。
微孔質基材241を得る工程では、溶融混練した混合物を成形する。溶融混練した混合物を成形する方法としては、Tダイ法、インフレーション法、中空のダイスを用いた方法等の押出成形、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形等が挙げられる。また、混合物を押出機、ニーダールーダー等の混練・押出両機能を有する装置により、直接成形することも可能である。成形する際に、成形体の厚みが0.01mm〜50mmとなるように成形することが好ましい。より好ましくは、0.01mm〜30mmであり、さらに好ましくは、0.02mm〜0.5mmである。厚みを薄くする場合には、前記押出成形による成形方法が好適である。また、成形方法を適宜選択することで、成形体を中空糸状にすることができる。
次に、上記の成形体から、溶剤を用いて可塑剤の抽出を行う。これにより、有機高分子樹脂が開孔及び連通孔を具備する多孔質構造を形成し、無機物粒子の少なくとも一部が開孔に存在する多孔性支持膜が得られる。尚、形成される多孔性支持膜では、連通孔の一部が開孔を形成していてもよい。抽出に用いる溶剤は、可塑剤を溶解し得るものであり、かつ、有機高分子樹脂を実質的に溶解しないものである。抽出に用いられる溶剤としては、メタノール、アセトン、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。特に、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロルエチレン等のハロゲン系炭化水素が好ましい。抽出は、回分法や向流多段法等の一般的な抽出方法により抽出することができる。可塑剤の抽出後に、溶剤の乾燥除去を行う。尚、可塑剤を除去する方法は、上記した抽出によるものに限定されるものではなく、一般的に行われている種々の方法を採用することができる。
尚、可塑剤の除去前又は除去後に、成形体を延伸し、その後収縮させる工程を有していることが好ましい。それによって、使用中に延伸時最大糸長まで伸ばした際にも切れることがなく、機械的強度が向上する。特に、成形体が中空糸状であるときは、糸の長さ方向に沿って延伸して、その後、収縮させることが好ましい。この場合、延伸及び収縮させる程度については、下記式で表される糸長収縮率が、0.3以上0.9以下の範囲であることが好ましい。
糸長収縮率={(延伸時最大糸長)−(収縮後糸長)}/{(延伸時最大糸長)−(元糸長)}
例えば、10cmの糸を延伸して20cmにし、その後、14cmにするときは、上記式より、糸長収縮率(20−14)/(20−10)=0.6となる。糸長収縮率が0.9以下であれば、気体透過性が高い。0.3以上であれば、引っ張り弾性率を低く抑えることができる。糸長収縮率は、0.50以上0.85以下であることがより好ましい。
また、破断伸度の保障の程度を表す割合Zは、0.2以上1.5以下であることが好ましい。Zは、延伸倍率をX、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率をYとしたとき、以下の式で定義できる。
Z=(延伸時最大糸長−収縮後糸長)/収縮後糸長=(XY−Y)/(X+Y−XY)
Zの値が過度に小さいと破断伸度の保障が少なくなり、過度に大きいと延伸時の破断の可能性が高くなり、さらに気体透過性も低くなる。延伸及び収縮させる工程を含むことにより、引っ張り破断伸度は低伸度での破断が極めて少なくなり、引っ張り破断伸度の分布を狭くすることができる。より好ましくは、Zは0.3以上1.0以下である。また、延伸し、次いで収縮させる工程における空間温度は、収縮の時間や物性の点から、0℃以上160℃以下の範囲が好ましい。より好ましくは0℃以上100℃以下である。0℃より低いと収縮に時間がかかり実用的でなく、160℃を越えると破断伸度の低下及び気体透過性が低くなる。
尚、微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242を積層する工程では、例えば、微孔質基材241の表面に、ディップコーティング法等によりガス透過性無孔膜242を積層する。
図3は、ガス分離装置20Bの第2の実施の形態を説明する図である。図2において説明した第1の実施の形態と共通する構成については同様な符号を使用し、その説明を省略する。
図3(a)はハウジング21内におけるガス分離膜24Bの取り付け状態を示す断面概略図であり、図3(b)は、ポッティング部23と中空繊維からなるガス分離膜24Bの断面概略図であり、図3(c)は中空繊維からなるガス分離膜24Bにおけるエアロゾルの遮断を説明する断面概略図であり、図3(d)は中空繊維からなるガス分離膜24Bの断面概略図である。
図3(a)に示すように、ガス分離装置20Bのハウジング21には、ハウジング21の入り口側に本体部10のエアー通路14と連通する連通管25が設けられ、ハウジング21の奥側にエアー通路14と流体連通する複数の通気口22が形成されている。
連通管25と通気口22の間に配置されたガス分離膜24Bは、中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されている。本実施の形態では、中空繊維からなるガス分離ファイバーの全ての端部開口26が、ハウジング21の通気口22とは反対側であって、本体部10のエアー通路14側に向くようにU字状に曲げられている。そして、端部開口26とエアー通路14とが連通するように端部開口26側を支持部材としてのポッティング部23により固定されている。
図3(b)に示すように、ガス分離膜24Bは、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されている。前述したように、U字状に曲げられた中空繊維の全ての端部開口26とエアー通路14とが連通するように、端部開口26側がポッティング部23により固定されている。
図3(c)に示すように、本実施の形態では、バイアル容器30からのエアロゾル(A−SOL)は、中空繊維からなるガス分離ファイバーの端部開口26から中空孔243に侵入し、微孔質基材241の表面に形成されたガス透過性無孔膜242により遮断される。そして、ガス透過性無孔膜242により濾過された空気(A)が、ガス分離ファイバーの外側に透過し、通気口22を介してハウジング21の外部に拡散し、バイアル容器30内の空気圧を外部の大気と均圧化している。
図3(d)に示すように、本実施の形態では、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーの直径(D)は、通常、0.2mm〜0.6mmであり、好ましくは、0.3mm〜0.5mmである。微孔質基材241の厚さ(T)は、25μm〜200μmであり、好ましくは、50μm〜150μmである。中空孔243の直径(d)は、0.1mm〜0.4mmであり、好ましくは、0.2mm〜0.3mmである。
尚、ガス透過性無孔膜242の厚さは、通常、50nm〜500nmであり、好ましくは、100nm〜200nmである。
図4は、ガス分離装置20Cの第3の実施の形態を説明する図である。図2において説明した第1の実施の形態と共通する構成については同様な符号を使用し、その説明を省略する。図4(a)はハウジング21内におけるガス分離膜24Cの取り付け状態を示す断面概略図であり、図4(b)は中空繊維からなるガス分離膜24Cの第1の端部開口としての端部開口26近傍の断面概略図であり、図4(c)は中空繊維からなるガス分離膜24Cの第2の端部開口の断面概略図である。
図4(a)に示すように、ガス分離装置20Cのハウジング21には、ハウジング21の入り口側に本体部10のエアー通路14と連通する連通管25が設けられ、ハウジング21の側面にエアー通路14と流体連通する複数の通気口22が形成されている。
ハウジング21内に取り付けられたガス分離膜24Cは、直線状に揃えられた中空繊維からなる複数のガス分離ファイバーにより構成されている。中空繊維の第1の端部開口としてのエアー通路14側に向けられた端部開口26は、エアー通路14と連通するように第1の支持部材としてのポッティング部23fにより固定されている。また、中空繊維の第1の端部開口と対向する第2の端部開口としてのハウジング21の奥側の端部は、第2の支持部材としてのポッティング部23bにより固定されている。
図4(b)に示すように、中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成されたガス分離膜24Cは、中空孔243が形成された微孔質基材241の表面にガス透過性無孔膜242が形成されている。前述したように、本実施の形態では、直線状に揃えられた中空繊維のエアー通路14側に向けられた端部開口26は、エアー通路14と連通するようにポッティング部23fにより固定されている。
一方、図4(c)に示すように、直線状に揃えられた中空繊維のハウジング21の奥側の端部は、開口することなくポッティング部23bにより封止されている。
本実施の形態では、バイアル容器30からのエアロゾル(A−SOL)は、エアー通路14側に向けられた中空繊維の端部開口26から中空孔243に侵入し、微孔質基材241の表面に形成されたガス透過性無孔膜242により遮断される。そして、ガス透過性無孔膜242により濾過された空気(A)が、ガス分離ファイバーの外側に透過し、ハウジング21の側面に設けた通気口22を介してハウジング21の外部に拡散する。
図5は、第4の実施の形態であるガス分離装置20Dを取り付けた等圧調剤デバイスを説明する図である。前述したように、図1及び図2において説明した第1の実施の形態と共通する構成については同様な符号を使用し、その説明を省略する。
図5(a)はガス分離装置20Dの取り付け状態を示す断面概略図であり、図5(b)は、図5(a)のX方向から見た平面概略図である。
図5(a)と図5(b)に示すように、本体部10に取り付けられたガス分離装置20Dは、所定の厚さを有する円盤状のハウジング21を具えている。円盤状のハウジング21は、ハウジング21の底面(図5(a)では、本体部10側の面)が、本体部10の長手方向と略平行になるように本体部10に取り付けられている。ハウジング21の入り口側(底面側)は本体部10のエアー通路14と連通している。ハウジング21の表面(図5(a)では、底面と対向する面)には、エアー通路14と流体連通する複数の通気口22が形成されている。図5(b)に示すように、通気口22は、円盤状のハウジング21の表面に均一に分散するように形成されている。
本実施の形態では、ガス分離装置20D内において、エアー通路14と通気口22の間に配置されたガス分離膜24Dは、微孔質基材としての多孔質支持膜の表面にガス透過性無孔膜としての気体分離性薄膜が形成された平膜により構成されている。平膜は、図2等で説明した中空繊維からなるガス分離膜24等とは異なり、円形で平板状の形状を有し、外周部がハウジング21の内面に固定されている。
本実施の形態では、薬剤等の液体がバイアル容器30(図1参照)に導入されるとき及びバイアル容器30から除去されるときに、エアー通路14を介してガス分離装置20Dのハウジング21に侵入した流体中のエアロゾル(A−SOL)は、平膜により構成されたガス分離膜24Dの表面に形成された気体分離性薄膜により遮断される。そして、気体分離性薄膜により濾過された空気(A)が多孔質支持膜を透過し、通気口22を介してハウジング21の外部に拡散している。
円盤状のガス分離膜24Dの直径は、特に限定されない。本実施の形態では、通常、1cm〜10cmの範囲であり、好ましくは、2cm〜5cmの範囲から適宜選択される。微孔質基材としての多孔質支持膜の厚さは、25μm〜200μmであり、好ましくは、50μm〜150μmである。また、ガス透過性無孔膜としての気体分離性薄膜の厚さは、通常、50nm〜500nmであり、好ましくは、100nm〜200nmである。
尚、ガス分離膜24Dの形状は、円形に限定されず、例えば、楕円形、四角形、三角形等から適宜選択される。
(ガス分離膜24D)
上述したように、ガス分離膜24Dを構成する平膜は、微孔質基材としての多孔質支持膜と、気体分離性樹脂を主成分として含むガス透過性無孔膜としての気体分離性薄膜とを有する。好ましくは、多孔質支持膜の表面及び/又は内部に、気体分離性薄膜が存在する形態を有する。尚、本明細書中において「主成分」とは、構成成分の60質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上含まれていることをいう。
(多孔質支持膜)
本実施の形態において、ガス分離膜24Dを構成する微孔質基材としての多孔質支持膜とは、膜の表裏をつなぐ貫通した微細な穴を有する膜からなる支持体であり、その形状はフィルム状であり、素材は問わない。素材としては、例えば、アセテート、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス繊維、ポリオレフィン、ポリエーテルサルホン、セルロース等が例示できる。これらの中でも、気体分離性薄膜を構成する樹脂溶液を塗工する際の作業性の点からポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とするものが好ましく、ポリエチレンを主成分とするものがさらに好ましい。
ここで用いるポリエチレンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等が挙げられる。これらは1種のみでも2種以上を組み合わせて使用することもできる。またホモポリマーのみならず、エチレンとプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のαオレフィンとの共重合体等のコポリマー、あるいはグラフトポリマー等も使用できる。また、これらの混合物であってもかまわない。また、上記ポリオレフィンの分子量は、10万以上が好ましい。
また、これらのポリエチレン成分に加え、耐熱性付与の目的で超高分子量ポリエチレンを加えることもできる。耐熱性や強度を付与することにより、高温環境下で気体分離膜を使用した場合にも寸法や形状の安定性が向上する。ここで超高分子量ポリエチレンとは、粘度平均分子量が30万以上であるポリエチレンである。ポリエチレンのホモポリマーのみならず、エチレン単位に対してプロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィンの単位を4モル%以下の割合で含む共重合体(線状共重合ポリエチレン)であってもよい。
超高分子量ポリエチレンの粘度平均分子量は、加工しやすさ等の観点から400万以下が好ましく、より好ましくは50万〜250万である。この中から数種類の超高分子量ポリエチレンを選択してブレンドしてもかまわない。中でも、粘度平均分子量150万以上500万未満、50万以上150万未満、30万以上50万未満のポリエチレンの中から二種類または三種類を混合すると、混合するポリエチレン同士の親和性が増し、耐熱性等の性能を十分に引き出すことができるので好ましい。この平均分子量は、多段重合や樹脂のブレンド等によって調整することができる。好ましくは重量平均分子量100万以上の超高分子量ポリエチレンと重量平均分子量50万以下の高密度ポリエチレンのブレンド物である。
超高分子量ポリエチレンの含有量は、加工のしやすさから、微多孔膜を構成する樹脂の全重量に対して、5質量%〜100質量%が好ましく、より好ましくは10質量%〜50質量%、さらに好ましくは10質量%〜40質量%である。
ガス分離膜24Dに強度や耐熱性が必要とされる場合、必要に応じてポリプロピレンを加えることができる。使用しうるポリプロピレンとしては、アイソタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、プロピレン・エチレン共重合体、1−ブテン・プロピレン共重合体等が使用できる。好ましくは90%以上のアイソタクチックインデックスを有するポリプロピレンが挙げられる。また、その粘度平均分子量は10万以上300万以下であることが好ましく、15万以上200万以下がより好ましく、20万以上100万以下が特に好ましい。ポリプロピレンを添加する場合、その含有比率は、微多孔膜を構成する樹脂の全重量に対して3重量%〜50重量%が好ましく、より好ましくは5重量%〜40重量%、さらに好ましくは5重量%〜30重量%である。尚、ここでいう分子量とはゲル浸透クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography)により求められる分子量のことである。
さらに、上記の樹脂成分に加えて、無機充填材、酸化防止剤等の成分を加えることもできる。無機充填物としては、例えば、シリカ、マイカ、タルク等が挙げられ、それらを単独で用いても或いは混合物で用いてもよい。無機充填材の含量は、微多孔膜の全重量に対して、好ましくは5質量%〜80質量%、より好ましくは10質量%〜60質量%、さらに好ましくは20質量%〜50質量%である。ただし、機械的強度が特に要求される場合には、無機充填材の使用量は0.1質量%未満にすると好ましく、より好ましくは0.05質量%未満である。この範囲にとどめることにより、長時間使用した場合にも微小クラックが生成することがなく、微多孔膜の強度が維持できる。
さらに、多孔質支持膜は、網目構造状のミクロフィブリルより形成された高分子微多孔膜である場合、孔径が微細となるために特に好ましい。網目構造上のミクロフィブリルにより構成された微多孔膜であることにより、孔径が小さく、孔径分布が狭くなるため、気体分離性薄膜の形成が容易になるので、膜厚をより薄くすることができる。
ここで網目構造状のミクロフィブリルとは、延伸により高度に配向することにより得られた微多孔膜に見られる微細な連続構造体をいい、紐状又は繊維状等の形状を呈するものである。微多孔膜の表面構造は、ミクロフィブリルが均一に分散した網目構造からなることが好ましい。
このように、ミクロフィブリルが均一に分散することにより、当該網目構造状のミクロフィブリルは実質的に密着することなく、ミクロフィブリル相互間に間隙を形成しつつ、交差、連結、又は枝分かれして三次元的な網目構造を形成する。その結果、多孔質支持膜は、ミクロフィブリルによって区分された微細な間隙(以下、ミクロフィブリル間隔という。)からなる表面構造を有する高分子微多孔膜となる。
多孔質支持膜が、ミクロフィブリル構造を有する微多孔膜である場合、このミクロフィブリル間隙が微多孔膜の孔となる。この場合、当該空隙の間隔を微多孔膜の孔径と定義することができる。当該空隙の形状は、円形、楕円形、多角形、不定形等種々の構造が採用可能である。なかでも、その大きさが均一であることが、良好な透過性と気体分離性樹脂の均一な薄膜を得る上で好ましい。ミクロフィブリルの太さは、フィブリル全体の80%以上が、20nm以上200nm以下であることが好ましい。このフィブリルの形状は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察することができる。また、SEMによる形状観察の際に、ミクロフィブリルの太さを測定することができる。
(多孔質支持膜の製造方法)
多孔質支持膜の製造方法としては、前述した非溶剤誘起相分離法や熱誘起相分離法等の相分離法により、微多孔膜を得る方法を採用することができる。特に、熱誘起相分離法により得られた微多孔膜は、気孔率が良好で孔径分布指数が小さい微多孔膜が得られるので好ましい。このような微多孔膜の製法には、以下のような相分離法と二軸延伸を組み合わせた製法が、上記のような構造や物性を得ることができるため好ましい。
すなわち、初めに、微多孔膜を構成する成分の混合物を、含まれる樹脂成分の融点以上の温度で、可塑剤(溶媒)に溶解する。ここで得られた溶液を、当該溶液に含まれる樹脂の結晶化温度以下にまで冷却して高分子ゲルを生成させる。次に、当該高分子ゲルを用いて成膜を行い(成膜工程)、得られた膜を二軸延伸する(延伸工程)。その後、膜から可塑剤を除去する(可塑剤除去工程)。このように、成膜工程と可塑剤除去工程が含まれる微多孔膜の製法を相分離法という。
以下、主成分がポリエチレンである場合の微多孔膜の製造方法を説明する。
ここで、可塑剤として、その沸点以下の温度でポリエチレンと均一な溶液を形成し得る有機化合物を用いる。その具体例として、デカリン、キシレン、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n−デカン、n−ドデカン、流動パラフィン等のパラフィン油等が挙げられる。これらのうち、パラフィン油、ジオクチルフタレート、デカリンが好ましい。高分子ゲル中の可塑剤の割合は特に限定はされないが、好ましくは20%〜90%、より好ましくは50%〜80%である。この範囲であると、適当な気孔率を有する微多孔膜を連続成形で得ることが容易となる。
成膜方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、押出機に原料の樹脂粉末と可塑剤とを供給し、両者を200℃程度の温度で溶融混錬する。次に、通常のハンガーコートダイ、Tダイから冷却ロールの上へキャストすることにより、数十μm〜数mmの膜厚のシートを連続的に成形する。シートの成形方法としては、プレスによる冷却固化、あるいはTダイにより成形する方法が好ましい。中でも、Tダイにより成形する方法がより好ましい。
次に、得られたシートを少なくとも一軸方向に延伸することによって延伸膜とする。延伸方法は特に限定はされないが、テンター法、ロール法、圧延法等が使用できる。このうち、テンター法による同時二軸延伸が特に好ましい。延伸温度は常温から高分子ゲルの融点までの温度で行うことができ、好ましくは80℃〜140℃、さらに好ましくは100℃〜130℃である。延伸倍率は面積による倍率で4倍〜400倍が好ましく、より好ましくは8倍〜200倍、さらに好ましくは16倍〜100倍である。この範囲であると、強度が十分で気孔率が適当な微多孔膜を得ることができる。また、延伸が容易であるため、生産性もよい。
さらに、延伸膜から可塑剤を除去することによって微多孔膜を得る。可塑剤の除去方法は特に限定されない。例えば、可塑剤としてパラフィン油やジオクチルフタレートを使用する場合は、これらを塩化メチレンやメチルエチルケトン等の有機溶媒で抽出する。そして、有機溶媒を抽出後の膜を、その融解温度以下の温度で加熱乾燥することによって、可塑剤をより十分に除去することができる。また、例えば、可塑剤としてデカリン等の低沸点化合物を使用する場合は、微多孔膜の融解温度以下の温度で加熱乾燥するだけで除去することができる。いずれの場合も、膜の収縮による物性の低下を防ぐため、膜を固定する等して拘束しながら可塑剤を除去することが好ましい。透過性の改善や、寸法安定性を高めるため、必要に応じて、上記で得られた微多孔膜に融解温度以下の温度で熱処理を施すことも好ましい。
(ガス分離膜24Dの製造方法)
ガス分離膜24Dを製造する方法は特に限定されるものではない。例えば、0.01質量%以上50質量%以下の濃度のガス透過性無孔膜樹脂溶液を微多孔膜表面に塗工し、ガス透過性無孔膜を形成する方法が好ましい。より好ましくは、10質量%以下であり、ガス透過性無孔膜樹脂溶液の濃度を低濃度にすることにより、微多孔膜に薄い皮膜を形成することができる。
ガス透過性無孔樹脂溶液を溶解させる溶媒としては、使用する気体分離性樹脂の良溶媒でかつ室温から300℃の範囲に沸点を有する溶媒を選択するとよい。例えば、フッ素系ガス透過性樹脂を使用する場合は、フッ素系溶剤が好ましく、炭化水素系ガス透過性樹脂を使用する場合には、炭化水素系の溶剤が好ましい。
尚、このような低濃度溶液を使用すると、微多孔膜内にガス透過性無孔樹脂が入り、均一な薄い皮膜が微多孔膜表面にできにくい場合がある。このため、使用する微多孔基材の孔径、表面張力、溶解パラメーターにあわせて、ガス透過性無孔樹脂の濃度、表面張力、分子量、溶解パラメーター、溶媒の粘度、極性、表面張力等を調整することが好ましい。例えば、ガス透過性無孔樹脂の分子量を高める、あるいは、ガス透過性無孔樹脂との相互作用の強い溶媒を用いると、多孔体表面に皮膜が形成されやすくなるので好ましい。このように、ガス透過性無孔樹脂の分子量、溶媒の種類、溶液の粘度、および塗布量を適宜選択して組み合わせることにより、微多孔基材表面に破れ等が起こりにくい信頼性の高い極薄い皮膜を形成させることができる。
塗工の方法としては、フィルム状の微多孔製基材の片面あるいは両面に所定量のガス透過性無孔樹脂溶液を塗布し、乾燥させる方法が好ましい。この場合、塗布方法は、ディップ塗工法、グラビア塗工法、ダイ塗工法、噴霧塗工法等が好ましい。また、ディップ塗工法では、フィルム状の微多孔基材をガス透過性無孔樹脂溶液の入った槽に浸漬した後、リバースロールやキスロール等で、所定のガス透過性無孔樹脂皮膜が形成されるように微多孔性基材表面の溶液量を調整してから、乾燥させる方法が特に好ましい。さらに、ガス透過性無孔樹脂薄膜と微多孔質基材の密着性を向上させるために、微多孔基材表面を放電等の処理をすることが好ましい。
以上、詳述したように、本実施の形態が適用される等圧調剤デバイスは、バイアル容器30にアクセスする際に薬剤のエアロゾルを遮断するためのものである。希釈液がバイアルに加えられて、乾燥又は凍結乾燥された形の薬剤が再構成される場合に、薬剤の粒子が周囲大気を汚染することなく、バイアル容器30内の空気が加えられた希釈液によって変位され、排出される。薬剤がバイアル容器30から抜き取られ、又は吸引されると、周囲大気からの空気がガス分離装置20を通ってバイアル容器30の内部に吸い込まれ、それによって、空気中の細菌及び粒子状物質がバイアル容器30の内部を汚染することなく、バイアル容器30の空気圧と周囲大気が均圧化される。
また、本発明を幾つかの好ましい実施の形態に関して記載したが、当業者には明らかな他の実施の形態も本発明の範囲内にある。4種類の実施の形態を図示したが、かかる実施の形態は本発明の単なる例であり、決して限定的なものではない。
10…本体部、11…カニューレ、12…薬剤通路、13…薬剤通液口、14…エアー通路、15…エアー流出入口、16…ワンウエイコネクタ、17…注射器、20,20B,20C…ガス分離装置、21…ハウジング、22…通気口、23,23b,23f…ポッティング部、24,24B,24C…ガス分離膜、25…連通管、26…端部開口、30…バイアル容器、241…微孔質基材、242…ガス透過性無孔膜、243…中空孔

Claims (6)

  1. 開口部を覆って配置された貫通可能なシールを有するバイアル容器にアクセスする際にエアロゾルを遮断するための等圧調剤デバイスであって、
    薬剤通液口およびエアー流出入口を備え、前記バイアル容器の前記シールを貫通するための先端部を有するカニューレと、当該カニューレと一体に形成され、当該薬剤通液口と連通して液体を当該バイアル容器内に導入すること及び当該バイアル容器から除去することができるように構成された薬剤通路、並びに当該エアー流出入口と連通するエアー通路を有する本体部と、
    前記本体部に取り付けられ、前記エアー通路と流体連通して、濾過された空気が前記バイアル容器の外部の大気に出入りすることができるように、当該バイアル容器内の空気圧を外部の大気と均圧化することができるように構成された通気口と、当該エアー通路と当該通気口の間に配置され、気体中に分散した液体を遮断するように構成されたガス分離膜と、を有するガス分離装置と、
    を備えることを特徴とする等圧調剤デバイス。
  2. 前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の全ての端部開口が前記通気口側に向くようにU字状に曲げられ、且つ当該端部開口と当該通気口とが連通するように当該端部開口側を支持部材により固定することにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の等圧調剤デバイス。
  3. 前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の全ての端部開口が前記本体部の前記エアー通路側に向くようにU字状に曲げられ、且つ当該端部開口と当該エアー通路とが連通するように当該端部開口側を支持部材により固定することにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の等圧調剤デバイス。
  4. 前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された中空繊維からなるガス分離ファイバーにより構成され、当該中空繊維の前記本体部の前記エアー通路側に向けられた第1の端部開口は、当該エアー通路と連通するように第1の支持部材により固定され、当該中空繊維の当該第1の端部開口と対向する第2の端部開口は、第2の支持部材により当該第2の端部開口を封止するように固定されることにより前記ガス分離装置の内側に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の等圧調剤デバイス。
  5. 前記ガス透過性無孔膜は、前記中空繊維の外側の表面に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の等圧調剤デバイス。
  6. 前記ガス分離膜は、微孔質基材の表面にガス透過性無孔膜が形成された平膜により構成されたことを特徴とする請求項1に記載の等圧調剤デバイス。
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