JP5619020B2 - オゾンに対して安定なポリフッ化ビニリデン製の疎水性膜 - Google Patents

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Description

本発明は、外側の外表面と内側の内表面と壁厚とを有する壁および内側に囲まれた内腔を有するフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーで作られた疎水性中空糸膜であって、前記中空糸膜の壁が、壁厚全体にわたって等方性であるスポンジ状の開放気泡の細孔構造を有しかつ指状細孔(Fingerpore)のないミクロ孔質支持層を有し、また前記支持層が壁厚の少なくとも90%にわたって広がりかつ平均直径が0.5μm未満である細孔を有する、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーで作られた疎水性中空糸膜に関する。本発明はさらに、このタイプの膜を製造するための方法に関する。
高純度の水は、例えば、医薬品産業または半導体産業における非常に様々な工業プロセスに必要である。水の品質に関する要求条件は、ここで、例えば、粒子成分または溶質に関する純度に関係するだけでなく、水に溶けているガスに関する純度(これは、多くの用途で悪影響をもたらしうる)にも関係する。この種の溶解ガスの例には、酸素、二酸化炭素、またはアンモニアがある。酸素は酸化作用があり、これは、例えば、ボイラー給水または閉鎖型冷却水循環装置において炭素鋼と接触したときに腐食問題をもたらしうる。さらに、酸素が存在すると、微生物増殖が促進されうる。超純水の製造時には、二酸化炭素が存在すると炭酸が生じえ、炭酸が解離するとき、水の伝導率の上昇、さらに、例えば、イオン交換システムへの負荷を引き起こしかねない。
こうしたガスを除去するため、通常中空糸膜の束を含む膜接触器がますます使用されている。一般に、このためには、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、またはHDPEなどの疎水性のポリオレフィンで作られた中空糸膜を使用する。こうしたタイプの膜は、例えば、米国特許第3558764号、米国特許第4664681号、または米国特許第6497752号に記載されている。膜接触器によるガス抜きの間に、ガス抜きされる水は一般に、外側の膜束の中を流れる。すなわち、膜接触器に入れられている中空糸膜の外側を流れる。ガスを除去するため、ストリッピングガスは内腔側の中空糸膜の中を流れる、あるいは内腔側を真空にする。後者の場合は特に、かなりの圧縮荷重を中空糸膜にかける。
水などの液体のガス抜きの用途のほかに、特定のガスを液体に衝突させる(すなわち、液体にガスを吸収させる)数多くの用途もある。こうしたガス吸収過程の原理は、ガス抜きの過程と似ているが、逆方向のものである。
ガス抜きまたはガス吸収の分野における多数の用途に関して、これまでに使用されてきたポリオレフィンをベースにした中空糸膜の材料特性では不十分であった。特に、先行技術のそうした膜の弱点は、酸化剤(オゾンまたは塩素)に対する耐性が弱いことである。それらの耐酸性も使用の際に十分でないことが多い。
ポリフッ化ビニリデンで作られた膜は耐薬品性および熱耐性が優れており、機械的特性も良好であることが知られている。ポリフッ化ビニリデンで作られる膜は、例えば、欧州特許出願公開第0378441号に開示されている。欧州特許出願公開第0378441号の膜は、均一で三次元の網状細孔構造を有しており、膜壁の内部にミクロ孔質ボイドがなく(すなわち、直径が10μm以上の細孔がなく)、両方の膜表面において平均直径が0.05μm〜5μm未満の範囲である細孔を有する。欧州特許出願公開第0378441号の膜は、主として精密濾過の分野での用途向けに設計されている。
非対称構造および連続細孔のポリフッ化ビニリデン製の平膜が、米国特許第5514461号に記載されている。膜の両側で細孔の平均直径が異なり、少なくとも4倍異なっている。最大細孔径(沸点法によって測定)は、およそ0.01から10μmの間の範囲である。すなわち、限外濾過および精密濾過の範囲がこうした膜で取り扱われる。
米国特許第5736051号は、膜壁全体にわたって等方性の(すなわち、実質的に均一かつ対称性の)細孔構造を有するポリフッ化ビニリデン製のむきだしの膜に関する。米国特許第5736051号の膜は、典型的には、限界濾過の分野の用途(特に、例えば、液体からウイルスを除去するため)に提供されている。膜を親水性にし、そのようにしてタンパク質の吸着の影響を少なくするために、それらには表面被覆が設けられている。
欧州特許出願公開第0734759号には、網状または繊維状構造を有するポリフッ化ビニリデン製の中空糸膜が開示されており、その膜では、複数のポリマー繊維が各繊維に沿って複数の点で互いに結合している。その際にポリマー繊維の長さはその太さよりも実質的に大きい。好ましくは、欧州特許出願公開第0734759号の中空糸膜のポリマー繊維は、中空糸膜の縦方向に向いている。欧州特許出願公開第0734759号に示されている走査電子顕微鏡画像によれば、中空糸膜は、その表面に開口部がある。膜構造に関しては、欧州特許出願公開第0734759号は、開口部によって互いにつながっている気泡質細孔を有するスポンジ状構造を有する周知の膜とは区別される。欧州特許出願公開第0734759号に開示されている中空糸膜の製造法に関しては、それは熱誘起相分離を用いた方法である。欧州特許出願公開第0734759号の方法の際だった特徴は、中空糸ノズルを離れるときに形成される中空糸が、最初にその外側が、押し出される中空糸と実質的に同じ温度であるコーティング液によって覆われることである。滞留部分を横切った後、中空糸は、冷却領域で冷却液によって冷やされ膜構造を形成する。
欧州特許出願公開第0133882号も同様に、熱誘起相分離を用いた方法でポリフッ化ビニリデン製の、特に中空糸膜を製造する方法を開示している。この方法では、中空糸ノズルから現れてくるポリマー溶液を、冷却のために、冷却媒体で満たされたU字形状に曲げられた管を通るようにして送るが、ここで、好ましくは水を冷却媒体として使用する。U字管の第1の脚の中では、その条件下において、U字管を通過する中空糸の機械的ストレスができるだけ小さく抑えられ、冷却が行われ、それによって相分離が起こり、その後に、ポリマーの多い相の少なくとも部分的な凝固が起こる。ポリマーの多い相の少なくとも部分的な凝固が起きた後、中空糸は第1の脚の終端で折れ曲がり、下から上へU字管の第2の脚を通って送られる。欧州特許出願公開第0133882号の中空糸膜は、等方性の細孔構造を有しえ、または中空糸の表面から内部の方向に勾配が付けられた異方性の細孔構造を有しえ、その表面のそれぞれの側に細孔を有する。欧州特許出願公開第0133882号の実施例に従って製造されたポリフッ化ビニリデン膜の場合、沸点法によって測定した最大孔径が0.58μmおよび0.94μmとなった。欧州特許出願公開第0133882号の膜に関して引用された用途は、水溶液または有機溶媒溶液の精密濾過および水溶液の濃縮のための膜透過蒸留である。
米国特許出願公開第2004/0135274号は、熱誘起相分離による方法で同様に製造されるフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマー製の膜に関する。米国特許出願公開第2004/0135274号の膜は、ランダムな空間方向に三次元の分枝がある等方性の網目構造を有し、目的の膜は多孔質表面を有する膜である。米国特許出願公開第2004/0135274号の説明によれば、この構造は、いわゆる湿式紡糸法に従って(すなわち、相分離が、ポリマー溶液を非溶剤中に沈めることだけで誘起される方法に従って)製造された膜の構造、ならびに粒子網目構造または気泡質構造とは異なる。米国特許出願公開第2004/0135274号の膜の実施態様は、中空糸膜の製造時に、液体冷却媒体と直接接触させて中空糸膜を冷却するのが有利である中空糸膜に関する。この場合、ポリマー溶液を作るのに用いられる溶剤は、好ましくは冷却媒体としても使用される。フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーとの冷却媒体の親和力が低い場合、得られた膜の表面は、皮膚状構造または粒状物質からなる構造を有する。米国特許出願公開第2004/0135274号の説明によれば、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーの非常に良好な溶剤を使用する場合、あるいは水、エチレングリコール、またはデカリンを使用する場合がそうである。これらの場合、所望の開放気泡の細孔表面は、延伸によって実現される。添付図では、表面は粒状または球顆状構造である。
先行技術に記載のポリフッ化ビニリデン製の膜は、高い耐薬品性および耐熱性(すなわち、ガス抜きまたはガス吸収の分野での用途でも望ましい特性)を有するが、細孔構造であるため、ガス抜きまたはガス吸収の分野で使用することができない。
それゆえに、耐酸化性が高くおよび/または耐化学薬品性の高い、またそれと同時に機械的強度が高く熱安定性の良好なガス抜きまたはガス吸収用の中空糸膜が必要とされている。
したがって、本発明の課題は、先行技術の中空糸膜よりも特性が向上した、ガス抜きまたはガス吸収用に適した中空糸膜を提供することである。さらに、本発明の目的は、改善されたこのタイプの膜の製造方法を提供することである。
前記課題は、一方で、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーからの一体型非対称疎水性中空糸膜であって、外側の外表面と内側の内表面と壁厚とを有する壁ならびに内側に囲まれた内腔を有し、前記中空糸膜の壁が、壁厚全体にわたって本質的に等方性であるスポンジ状の開放気泡の細孔構造を有するが指状細孔を有さないミクロ孔質支持層を有し、かつ前記支持層が、壁厚の少なくとも90%にわたって広がり、かつ0.5μm未満の平均直径を有する細孔を有する前記中空糸膜において、前記中空糸膜が、壁内において、支持層に隣接してその外表面に、0.01〜5μmの範囲の厚さおよび支持層と比較してより高密度の構造を有する分離層を有し、かつその外表面が、5000倍の倍率での走査電子顕微鏡による検査では細孔を有さない均質で均一な構造を有することと、前記中空糸膜が、40〜80容積%の範囲の孔隙率、25〜100μmの範囲の壁厚、100〜500μmの内腔径、ならびに少なくとも25ml/(cm2・min・bar)の窒素透過性および少なくとも250%の破断点伸びを有することを特徴とする前記疎水性中空糸膜によって解決される。
本発明との関連においては、一体型非対称膜は、分離層および支持層が同じ物質から構成されていて、膜製造時に直接一緒に形成された膜(これは、両方の層が一体型単体として互いに結合していることを意味する)と理解される。分離層から支持層へ推移するときに、膜構造に関してのみ変化が起こる。それとは対照的なのが、例えば、別個の方法ステップで高密度の層が分離層として多孔質の(多くの場合、ミクロ孔質の)支持層または支持膜に貼り付けられる、多層構造を有する複合膜である。その場合、複合膜中の支持層および分離層を形成する物質が、異なる特性を有することにもなる。
本発明による中空糸膜の特別な構造、特に、指状細孔を有さないスポンジ状の開放気泡の細孔構造を有するミクロ孔質支持層(前記支持層は、壁厚の少なくとも90%まで広がりかつ0.5μm未満の平均直径を有する細孔を含む)、および外表面の均質かつ均一で滑らかな構造が、使用の際の膜の高い強度および良好な機械的特性の基礎をなす。この構造ゆえに、本発明による膜は、支持層内でも孔径が変化する非対称構造を有する膜や、さらにまた表面及び/または支持構造が粒状または球顆状構造を有する膜とは異なる。先行技術のこうした膜は、その異なる構造ゆえに機械的特性が不十分であることがよくある。
本発明による中空糸膜の支持層の均質で等方性の構造により、機械的ストレスが起きている間に膜壁全体への負荷が均一に分散されるようになり、その分散によって圧力安定性、切断強さ、および破断時の伸びが大きくなる。機械的特性に関しては、それと共に、支持層の細孔の大きさが、述べられている範囲内に留まることも重要である。特に、支持構造にはどんな指状細孔(空洞またはマクロ孔質ボイドと呼ばれることが多く、数μmまでの大きさを有しうる)も含まれるべきではない。むしろ、支持構造は、平均直径が0.5μm未満の細孔を有するべきであり、そのようにして支持層が比較的細孔となるようにする。好ましくは、支持層中の細孔の平均直径は0.1μm未満である。
支持層中の細孔構造は、本発明によれば実質的に等方性である。この点で、一つ言えることとして、5000倍の倍率での走査電子顕微鏡による検査で壁厚の端から端までを見ると、支持層の細孔の平均直径が実質的に一定であることが理解される。言い換えれば、等方性の支持構造の領域は、実質的に一定直径である流路が壁厚の端から端まで存在する領域と見なすことができる。当然ながら、等方性支持層内の細孔の実際の大きさがいくらか変化するという事実も考慮に入れるべきである。すなわち、支持層は、たとえ走査電子顕微鏡による検査で構造が等方性に見えるとしても、すべての膜構造に当てはまるような細孔径分布をある程度有している。それゆえに、本発明との関連においては、細孔の実質的に一定の平均直径とは、膜壁全体にわたる支持層の範囲において+/−50%より大きく変化しないものと理解される。
その一方で、実質的に等方性の細孔構造は、たとえ個々の細孔が不規則または楕円の形も有しうる場合であっても、すべての細孔について平均した場合に、あらゆる空間的方向の細孔が実質的に同じ広がりを有しており、個々の空間的方向の広がりにおける偏差が20%までであるものが含まれるようなものであると理解されるべきである。したがって、本発明による膜は、一部が球形および楕円形状である孔壁で囲まれた細孔(壁の開口部によって互いにつながっている)となっている気泡質構造を有する。したがって本構造は、例えば、米国特許出願公開第2004/0135274号または欧州特許出願公開第0734759号(この開示に関して明確に参照しておく)のミクロ孔質膜などの、空間方向にランダムに向いた三次元分枝を有する網目構造とは異なる。その一方で、本発明の膜の細孔構造は、膜のポリマー構造が、フィブリル状ウェブを介して互いにつながりうる球形または球顆状粒子によって形成される、粒状または球顆状構造とは異なる。このタイプの構造の膜は、例えば、欧州特許出願公開第1230970号または国際公開第93/22034号に記載されているか、または米国特許出願公開第2004/0135274号の図6に開示されており、この開示に関してここで明確に参照しておく。
本発明によれば、疎水性中空糸膜の孔隙率は40〜80容積%の範囲である。孔隙率が80容積%より大きいと、膜の機械的特性に不利な影響が及ぶ。特に、孔隙率が高くなると、中空糸膜の圧力安定性の著しい低下が起こる。孔隙率が40容積%未満になると、膜の透過性が著しく低下することになり、その低下はまた、分離層の厚さを減らすことで回復させることはもはやできない。好ましくは、中空糸膜の孔隙率は45〜60容積%の範囲である。
前述したように、本発明による中空糸膜は、その特定の構造のゆえに、強度が高く、機械的特性が良好である。好ましくは、本発明による膜は、引張試験で測定した場合の切断強さが、少なくとも15N/mm2、特に好ましくは少なくとも19N/mm2である。同様に好ましい実施態様では、本発明による中空糸膜は破断点伸びが250〜600%であり、特に好ましくは破断点伸びが300〜500%である。
分離層の厚さがあまりに小さい場合には欠陥のリスクがあまりに大きくなるが、その一方で、ガス抜きまたはガス吸収での移動速度および透過性は、分離層の厚さがあまりに厚いと、低くなりすぎる。したがって、分離層の厚さは、好ましくは0.01μmから5μm、特に好ましくは0.1μmから2μmの間である。分離層の厚さが0.1μmから0.6μmの間である本発明による膜は、すばらしく適している。本発明による膜の分離層の厚さは、走査型電子顕微鏡法によって作られた破断写真によるまたは透過型電子顕微鏡による極めて薄い切片の特性付けによる層を測定することにより簡単な仕方で測定できる。
厚さが本発明にしたがって必要とされる範囲内にある分離層に関連した、ミクロ孔質細孔構造を有する支持層の均質かつ等方性の構造は、液体のガス吸収およびガス抜きの間、本発明による膜の使用では、ガスの透過性を十分高くするために重要である。それゆえに本発明の中空糸膜は、窒素透過性が少なくとも25ml/(cm2・min・bar)である。好ましくは、窒素透過性は少なくとも40ml/(cm2・min・bar)である。
説明した通り、支持層と比べて密度の高い構造を有する分離層は、本発明の膜の外側に配置される。5000倍の倍率の走査型電子顕微鏡法で調べると、外表面は均質かつ均一な構造を有しており、この倍率では細孔は認められない。本発明との関連において、表面の均質かつ均一な構造とは、構造要素(球顆、粒子、または針形状の要素またはフィブリル要素など)に関して、または網状の構造要素(表面に開放気泡の細孔も有する膜に起こるものなど)に関して、ミクロ孔質構造が認められない表面であると理解される。その表面にこのタイプの構造要素を有する膜は、例えば、国際公開第93/22034号に開示されている。本発明による中空糸膜の外表面は、それとは対照的に滑らかに見える。好ましくは、それは、膜表面の10×10μmの断片を原子間力顕微鏡法で測定した場合の平均粗さ値(Ra)が、100nm未満、特に好ましくは60nm未満である。
特に、液体のガス吸収およびガス抜きの分野における用途に関しては、本発明による中空糸膜は、好ましくは壁厚が35〜75μmの範囲にある。同様に、内腔径が150〜350μmの範囲にある中空糸膜が好ましい。本発明によるこのタイプの中空糸膜は、一方では透過性、他方では機械的特性に関して特にバランスが取れていることを示す。
本発明による中空糸膜は、膜形成が熱誘起相分離法によって行われる方法で製造できる。
したがって、本発明の目的はさらに、ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマー製のこのタイプの疎水性中空糸膜を製造する方法において、少なくとも
a)20〜60質量%の少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーからなるポリマー成分と80〜40質量%の溶剤系との均質溶液を製造するステップであって、ポリマー成分と溶剤系とから作られた溶液は、冷却した場合に、臨界分離温度(Entmischungstemperatur)および凝固温度を有し、さらに液体凝集状態において臨界分離温度未満で混和性ギャップを有する、製造ステップと、
b)臨界分離温度超の工具温度を有する中空糸ノズルで、溶液を、外側の外表面と内側の内表面とを有する中空糸に形状化するステップと、
c)熱力学的非平衡の液−液相分離が起きてポリマーの多い相とポリマーの少ない相とになり、その後に、凝固温度未満になって、ポリマーの多い相の凝固が起こるような速度で、凝固温度未満の冷却温度に温度調節された冷却媒体によって中空糸を冷却するステップと、
d)場合により溶剤系を中空糸から除去するステップと
を含む、ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマー製のこのタイプの疎水性中空糸膜を製造する方法であって、
この方法が、
− 溶剤系が、液体でありかつ溶解温度で互いに均質に混ざり合うことができる化合物Aおよび化合物Bを含み、さらにポリマー成分の溶剤を化合物Aとして選択し、ポリマー成分の非溶剤を化合物Bとして選択すること、
− 中空糸を、ポリマー成分と化学反応せずかつポリマー成分の強力な非溶剤である液体冷却媒体と、冷却のためにその外表面で接触させること、またその非溶剤では、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物Aと、30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度が、凝固温度との関係において、この系の凝固温度より少なくとも25%上であること、および
− 冷却媒体が化合物Bを含むこと
を特徴とする、疎水性中空糸膜を製造する方法によって実現される。
驚くべきことに、こうした方法の条件を維持することにより、フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマー製の一体型非対称中空糸膜であって、その膜が、ミクロ孔質支持層とその支持層に隣接しかつその外側でそれを覆う分離層とを有し、中空糸膜の外表面が均質かつ均一な構造を有しかつ細孔のない、中空糸膜が得られることが分かった。特に冷却媒体の選択が膜構造の形成に影響すること、特に表面構造の形成に影響することが、ここで分かった。
本発明の方法は、液−液相分離を伴う熱誘起相分離法に基づく。本発明によれば、ポリマー成分および溶剤系(化合物AおよびBを含む)により、系が均質溶液として存在する液体凝集状態の範囲と、混和性ギャップのある範囲とを有する二成分系が形成される。均質溶液として存在する範囲の外側(臨界分離温度または相分離温度未満)までこのタイプの系を冷却すると、最初に、2つの液相(つまり、ポリマーの多い相とポリマーの少ない相)への液−液の分離または相分離が起こる。凝固温度未満にさらに冷却している間に、ポリマーの多い相は凝固して三次元膜構造になる。本発明との関連においては、ポリマー成分と化合物AおよびBとから作られる系の凝固温度は、好ましくは50℃超であり、特に好ましくは100℃超である。冷却速度が十分に速ければ、熱力学的平衡状態でそうした液−液相分離は起こりえないが、熱力学的非平衡状態では起こる。しかし、その一方で、冷却速度がそれでも比較的十分にゆっくりである場合、基本的に同じ大きさの複数の液滴が形成されるのとほぼ同時に液−液相分離が起こる。得られたポリマー構造はその時、開放気泡の細孔を有するスポンジ状の気泡質微細構造である。熱誘起液−液相分離による方法を用いた別個のタイプのそのようなスポンジ状の微細多孔質構造の形成が、独国特許出願公開第2737745号に包括的に記載されており、この開示に関して、例えば、R.E.Kesting:"Synthetic Polymeric Membranes",John Wiley & Sons,1985,pp.261−264で明確に参照され、示されている。
本発明との関連においては、フッ化ビニリデンホモポリマーまたはフッ化ビニリデンコポリマーを膜形成ポリマーとして使用する。フッ化ビニリデンと少なくとも1種の更なる成分(四フッ化エチレン類、六フッ化プロピレン類、三フッ化エチレン類、三フッ化エチレン塩化物、フッ化ビニル、およびエチレンの群から選択される)とのコポリマーは、可能なフッ化ビニリデンコポリマーである。2種以上のビニリデンのホモポリマー及び/またはコポリマーの混合物を使用することもできる。好ましくは、本発明との関連においては、フッ化ビニリデンホモポリマーを使用する。好ましくは、フッ化ビニリデンホモポリマーまたはフッ化ビニリデンコポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した場合の平均分子量Mwが少なくとも1×105ダルトンである。1×105ダルトンより小さい平均分子量Mwでは、中空糸膜を製造するためにそれによって作られた溶液は、粘度があまりに低く、それから製造される中空糸膜は機械的特性が低下する。1.5×105〜1×106ダルトンの範囲の平均分子量Mwが特に好ましい。2種以上のフッ化ビニリデンのホモポリマー及び/またはコポリマー成分の混合物を使用する場合、それらはまた分子量が異なっていてもよい。必要であれば、フッ化ビニリデンホモポリマーまたはフッ化ビニリデンコポリマーは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、または成核剤などの添加剤を含むこともできる。
ポリマー成分、化合物A、および化合物Bから作られる使用組成物(ここで、化合物AとBが一緒になって溶剤系を形成する)は、一緒に単一の均質液相に変えることができなければならず、臨界分離温度(これより下では、2つの相への相分離が起こる)を有していなければならない。ただし、この温度は、同じ割合のポリマーを含むが溶剤系として化合物Aのみを含む溶液の分離温度より高い。したがって、液体凝集状態において混和性ギャップのあるポリマー成分/化合物Aの系では、臨界分離温度は、化合物Bを添加することによって上がる。化合物Bの添加により、得られる多孔質構造の細孔容積および孔径の、目標どおりの制御が可能である。
ポリマー成分の溶剤であるタイプの化合物を、化合物Aとして使用するが、そのポリマー成分は、最高でその化合物の沸点まで加熱する間にこうした化合物に完全に溶解して均質溶液となる。本発明によれば、ポリマー成分の非溶剤である化合物を化合物Bとして選択する。ポリマー成分の非溶剤は一般に、本発明との関連においては、最高でこの非溶剤の沸点まで加熱する間に、1質量%の濃度でポリマー成分が非溶剤中に溶けず均質溶液にならない化合物であると理解される。
その場合、化合物Aは更なる溶剤と混合されたものであってよい。化合物Bは、更なる非溶剤と一緒に混合物の形で使用することもできる。したがって、本発明との関連においては、化合物Aは、溶剤としての累積効果が維持される限り、単一化合物であるのみならず、種々の溶剤の混合物であるとも理解される。同様に、化合物Bも、非溶剤のとしての効果が維持される限り、種々の非溶剤の混合物と理解される。
化合物Aとしては、すなわち、少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーの溶剤としては、好ましくは、グリセリントリアセタート、グリセリンジアセタート、2−(2−ブトキシエトキシ−)エチルアセテート、フタル酸ジブチル、アジピン酸ジエチルエステル、アジピン酸ジブチルエーテル、ブチルジグリコールアセテート、ブチルグリコールアセテート、二酢酸グリコール、炭酸プロピレン、ブチロラクトン、またはε−カプロラクタムまたは既述の化合物の混合物を使用する。特に好ましくは、グリセリントリアセタートあるいはグリセリントリアセタートとε−カプロラクタムとの混合物を化合物Aとして使用する。化合物Bとしては、すなわち、ポリマー成分の非溶剤としては、アジピン酸ジオクチル、グリセリンモノアセタート、グリセリン、グリコール、ジグリコール、またはひまし油、あるいはそれらの混合物がかなり適している。アジピン酸ジオクチルまたはひまし油あるいはそれらの混合物を使用するのが特に好ましい。
膜の製造に必要なポリマーの割合、ならびに溶剤系における化合物Aと化合物Bとの比率は、簡単な試験で状態図を作って求めることができる。このタイプの状態図は、周知の方法、例えば、C.A.Smolders,J.J.van Aartsen,A.Steenbergen,"Kolloid−Z.und Z.Polymere",243(1971),pp.14−20に記載の方法で作り上げることができる。通例、あらかじめ決められた溶剤Aでは、化合物B(すなわち、ポリマー成分、化合物A、および化合物Bから作られる混合物中の非溶剤)の割合は、非溶剤(すなわち化合物B)の強さによって異なる。好ましくは、溶剤系中の化合物Bの割合は1〜45質量%である。
本発明によれば、均質溶液中の少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーの濃度は、20から60質量%の間であり、溶剤系の濃度は80から40質量%の間である。本発明による方法の好ましい実施態様では、ポリマー成分の割合は30〜50質量%であり、溶剤系(化合物AとBとからなる)の割合は70〜50質量%である。場合により、更なる物質をポリマー成分、化合物AおよびBに、あるいはまたポリマー溶液にも加えることができ、更なる物質には、酸化防止剤、成核剤、増量剤、酸素添加における膜の使用時の生体適合性(すなわち、血液適合性)を改善する成分(例えば、ビタミンE)などがある。
中空糸膜を形成するために、中空糸ノズルの環状間隙を通してポリマー溶液を押し出すと、中空糸が形成される。中空糸ノズルの中央の穴を通して液体を計量供給し、前記液体は、中空糸または中空糸膜の内腔を形成および安定化する内部充填材として機能する。そのとき、押し出された中空糸または得られた中空糸膜は、内腔に面した表面(内表面)と、内腔とは反対側に面する表面(中空糸または中空糸膜の壁によって内表面と隔てられている外表面)とを有する。
グリセリン、あるいは1:1のアジピン酸ジオクチルとひまし油から作った混合物などの液体、あるいはまた窒素または空気などのガスが、内部充填材として可能なものである。好ましくは、窒素を内部充填材として使用する。
本発明によれば、中空糸ノズルでの形成後に、中空糸は、冷却のために、その外表面で(ポリマー成分とは化学反応しない)液体冷却媒体と接触させる。その冷却媒体は、ポリマー成分の強力な非溶剤であり、化合物Bを含み、ポリマー成分と溶剤系とから作られる均質溶液を製造するのにも使用されるものである。本発明との関連において、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物Aと、30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度が、凝固温度との関係において、この系の凝固温度より少なくとも25%上である場合、液体冷却媒体は強力な非溶剤に分類されることになる。
その際、最初に30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物Aと、30質量%の液体冷却媒体とからなる均質溶液を製造し、次いでその溶液を溶解温度よりおよそ20℃上の温度まで加熱するという簡単な方法で、分離または相分離温度を求めることができる。次いで、十分に均質にするため、攪拌しながら溶液をこの温度で約0.5h保持する。その後、溶液を攪拌しながら1℃/minの冷却速度で冷却する。最初の濁りを視覚的に観測できる温度を、相分離温度とする。さらに冷却している間に、凝固温度においてポリマーの多い相のゲル化が起こる。
本発明による中空糸膜に必要な構造を形成させるために、ポリマー成分との関連で冷却媒体の非溶剤性の強さは、決定的に重要である。本発明による条件を満たす冷却媒体、すなわち、本発明の用語で言えば、ポリマー成分との関連で強力な非溶剤である冷却媒体により、本発明による構造がもたらされる。確かにポリマー成分の非溶剤であっても本発明による条件を満たさない冷却媒体、すなわち、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物Aと、30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度が、凝固温度との関係において、その系の凝固温度より25%上に満たない非溶剤の冷却媒体は、それゆえに弱い非溶剤であり、本発明による構造をもたらさない。本発明の方法の好ましい実施態様では、30質量%のポリマー成分と溶剤として使用される40質量%の化合物Aと30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度が、凝固温度との関係において、その系の凝固温度より少なくとも40%上であるような冷却媒体を使用する。
弱い非溶剤を冷却媒体として使用する場合、あるいはまた、例えばポリマー成分を工具温度以上の温度で溶かす溶剤を使用する場合、得られた膜にはもはや所望の構造はないことが見出された。温度差が少なくなるにつれて、すなわち冷却媒体の非溶剤性の強さが低下するにつれ、球顆状構造が、外表面に、また膜壁にも生じる(つまり、ますます生じる)。これにより、主に中空糸膜の機械的特性が不十分になり、特に切断強さが比較的低下する。
冷却媒体が化合物Bを含むことは本発明にとって必須である。これによって、中空糸ノズルから押し出される中空糸と冷却媒体との間で物質移動が起こりうる。このことが特に本発明による膜構造の形成(特に本発明の膜の外表面の構造および分離層の形成)につながる。特に好ましい実施態様では、冷却媒体中の化合物Bの割合は少なくとも50質量%である。
化合物B自体がポリマー成分の強力な非溶剤である場合には、冷却媒体の場合と同様に、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物Aと、30質量%の化合物Bとからなる系の分離温度が、凝固温度との関係において、この系の凝固温度より少なくとも25%上であるような、強力な非溶剤の条件を当てはめるのが特に有利である。
本発明による方法のさらに好ましい実施態様では、冷却媒体は、それぞれがポリマー成分の非溶剤である成分の均質混合物からなり、ここで、成分の全体(すなわち、それらから作られる冷却媒体)は、当然ながらポリマー成分の強力な非溶剤でなければならず、分離温度と凝固温度との差に関する本発明で必要とされる条件を満たさなければならない。
本発明による方法を実施する場合、特に押し出される中空糸の安定性に関して、冷却媒体が23℃で15〜200mPa・sの範囲の粘度を有するのが有利である。このような粘度を有する冷却媒体を使用する場合、本発明の方法を実施する際に、形成された中空糸が冷却媒体を通過するときの過程が特に安定したものとなる。
本発明による方法の好ましい実施態様では、冷却媒体は、アジピン酸ジオクチルあるいはアジピン酸ジオクチルとひまし油との混合物からなる。特に好適なものは、アジピン酸ジオクチルの割合が75〜95質量%の範囲であるアジピン酸ジオクチルとひまし油とから作られる混合物である。ひまし油の割合を変えることにより、冷却媒体の粘度を目標に合わせて調節できる。
中空糸ノズルの出口表面と冷却媒体の間にエアギャップが存在すると有利であることが分かった。そのようにすると、中空糸ノズルにおいて必要とされる温度安定性が、中空糸ノズルがより冷たい冷却媒体と直接接触する場合よりもいっそう容易に達成される。エアギャップは好ましくは5〜40mmであり、特に好ましくは8〜15mmである。
熱力学的非平衡の液−液相分離をもたらすには、冷却媒体の温度が、使用するポリマー溶液の臨界分離温度または相分離温度よりもかなり低くなければならず、それに加えて、ポリマーの多い相を凝固させるために凝固温度より低くなければならない。分離温度と冷却媒体の温度とに大きな差があると、分離層の形成が助けられる。好ましくは、冷却媒体の温度は相分離温度より少なくとも100℃低く、特に好ましくは、相分離温度より少なくとも150℃低い。冷却媒体の温度が50℃より低い場合は特に有利である。それぞれの場合に、周囲温度より低い温度まで冷却することが必要とされることがある。
好ましくは、中空糸ノズルから出した後、冷却のために、冷却媒体が置かれているシャフトまたは糸道ダクトを通過させて中空糸を送る。そうする際に、冷却媒体および中空糸は一般に、シャフトまたは糸道ダクトの中を同じ方向に通過するように送られる。好ましくは、中空糸および冷却媒体は、シャフトまたは糸道ダクトを同じ方向に通過し、冷却媒体の平均線速度は、シャフトまたは糸道ダクトを通過する形成された中空糸の引取速度より少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも40%遅い。冷却媒体の平均線速度は、本明細書では、シャフトまたは糸道ダクトの断面に対して、シャフトまたは糸道ダクトを通過する冷却媒体の体積流量と理解される。このタイプの方法の変形形態は、例えば、独国特許出願公開第2833493号または欧州特許出願公開第133882号に記載されている。
ポリマー構造の冷却および凝固、したがって膜構造の冷却および凝固の後に、一般には化合物AおよびBを成形体から除去する。この除去は、例えば抽出によって行うことができる。好ましくは、1種以上のポリマーを溶かさないが、化合物AおよびBと混ぜ合わせることのできるタイプの抽出剤を使用する。その後、膜から抽出剤を除去するために、温度を上げて乾燥させる必要がありうる。使用可能な抽出剤は、アセトン、メタノール、エタノールであり、好ましくはイソプロピルアルコールである。
以下の実施例および図に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
長手方向軸に対して垂直な実施例1による中空糸膜の破断面の、1000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例1による中空糸膜の外表面の5000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 長手方向軸に対して垂直な実施例1による中空糸膜の破断面の、5000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 実施例1による中空糸膜の外表面の10×10μmの試料について、原子間力顕微鏡法によって求めた三次元画像を示す。 長手方向軸に対して垂直な実施例2による中空糸膜の破断面の、1000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 長手方向軸に対して垂直な比較例2による中空糸膜の破断面の、5000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像(外側の領域の断面)を示す。 実施例2による中空糸膜の外表面の5000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 長手方向軸に対して垂直な比較例1による中空糸膜の破断面の、1000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 比較例1による中空糸膜の外表面の2000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 比較例1による中空糸膜の外表面の10×10μmの試料について、原子間力顕微鏡法によって求めた三次元画像を示す。 長手方向軸に対して垂直な比較例2による中空糸膜の破断面の、1000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 比較例2による中空糸膜の外表面の2000倍の倍率での走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
各例では、得られた膜の特徴を決定するのに以下の方法を用いた。
気孔率の測定:
検査する膜の少なくとも0.5gの試料を乾燥秤量する。その後、膜試料を、膜物質を濡らす(ただし、膨潤を引き起こさない)液体中に24時間入れて、液体がすべての細孔に浸透するようにする。これは、膜試料が不透明からガラスのような透明状態に変化するため、視覚的に認められる。その後、膜試料を液体から取り出し、膜試料に付着している液体をおよそ1800gでの遠心処理によって除去する。このように前処理された湿った(すなわち、液体で満たした)膜試料の質量を測定する。
気孔率(%)は、以下の式に従って求める。
Figure 0005619020
[式中、
=乾燥膜試料の質量
湿=液体で満たした湿った膜試料の質量
ρ=使用した液体の密度
ρポリマー=膜ポリマーの密度]
窒素透過性の測定:
それぞれの長さがおよそ30cmであるおよそ15〜20本の中空糸膜から、試験用セルを作る。複数の中空糸をチューブに入れ、両端をポリウレタン樹脂に埋め込む。樹脂を硬化させた後、埋め込み部分を切断しておよそ30mmの長さにし、その際に、中空糸膜の内腔を切断によって開ける。埋め込み部分の中空糸の内腔が、開口していることを確認しなければならない。試験断片を試験装置に組み込み、規定の試験圧である2.0barで窒素を吹きつける。
膜試料の壁を通過するガスの体積流量を、その試験圧力およびガス流が通過する膜試料の表面(ここでは、中空糸膜の外側を用いる)に関して求め、標準化する。得られた値(ml/(cm2・min・bar))は、窒素の透過性である。
破断力および破断点伸びの測定:
中空糸膜の破断力の測定は、標準万能材料試験機(UlmのZwickのもの)を用いて実施する。
中空糸膜の試料を、破断されるまで縦方向に一定速度で引っ張る。これに必要な力を、長さの変化の関数として測定し、力/伸びの曲線として記録する。この測定は、100mmのクランプ長および500mm/minの牽引速度で複数の中空糸膜試料に対して複数回測定して行う。事前の加重は2.5cNである。破断に必要とされる力BKは、平均数値(cN)として示す。
中空糸膜試料の破断強度σBは、破断力BKを膜壁の断面積AQに対して標準化することによって得る。
平均粗さ値R a の測定
膜表面の10×10μmの切片の表面の構造的特徴を、非常に細い針を用いた原子間力顕微鏡法によって調べ、表面の構造的特徴に関して完全な三次元情報を得る。粗さパラメーターは、DIN EN ISO 4287に基づき、得られた測定データから計算する。本中空糸膜の表面粗さを特徴付けるため、平均粗さ値Raを、中心線からのすべての粗さプロファイル値の距離の大きさ(表面全体にわたって測定)の算術平均として求める。
実施例1:
Solvay SolexisのタイプSolef 1012のPVDF粒状物を押出機内で、235〜245℃にて溶融させた。ポリマーメルトを混合機内で、50質量%のグリセリントリアセタート(成分A)と50質量%のアジピン酸ジオクチル(成分B)とからなる用剤系と共に230〜245℃にて混合し、その後均質溶液となるよう処理した。ポリマーの割合は35質量%に設定した。
この溶液を220℃に状態調節された中空糸ノズルに供給し、相分離温度超にて押し出し中空糸にした。窒素を内部充填材として使用した。5mmのエアギャップを過ぎた後、中空糸はおよそ2mの長さの糸道ダクト(この中を周囲温度に調節された冷却媒体が流れている)を通過した。アジピン酸ジオクチルとひまし油(比率90:10)の混合物を冷却媒体として使用した。この冷却媒体の場合、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用する40質量%の化合物A(グリセリントリアセタート)と、30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度は、凝固温度との関係において、この系の凝固温度よりおよそ53%上である。
中空糸(糸道ダクト中で冷却された結果、凝固したもの)を、70m/minの引取速度で糸道ダクトから引き取り、スプールに巻き付け、その後イソプロピルアルコールで抽出し、およそ60℃まで加熱し、それからオンラインで対流式オーブンにおいておよそ115℃で乾燥させた。
このようにして製造された中空糸膜は、外径が304μm、壁厚が43μmであった。窒素透過性は、測定すると、40ml/(cm2・min・bar)の値であった。中空糸膜の破断強度は26N/mm2、破断点伸びは429%であった。
中空糸膜の破断面についての走査電子顕微鏡(SEM)での検査によれば、この中空糸膜は、その壁全体にわたって非常に細かい孔のある構造をしている(図1)。5000倍の倍率での膜の外表面のSEM画像は、均質かつ均一で比較的平らな構造の表面を示しており、さらにそれには孔がない(図2)。
5000倍の倍率での膜壁の断面全体のSEM画像によれば、実質的に断面全体にわたって広がり、壁厚全体にわたって実質的に等方性であるスポンジ状の開放気泡の細孔構造を有する、指状細孔のないミクロ孔質支持層がはっきり示されており、この支持層内の細孔は平均してサイズが0.1μmより小さい(図3)。図3の画像の下側端部には、およそ0.15μmの厚さの分離層が膜の外表面に位置しているのが認められる。
原子間力顕微鏡法によって中空糸膜の外表面を調べると、平均粗さ値Raが40nmであることが突き止められた。図4は、中空糸膜の外表面の10×10μmの試料の三次元写真を示しており、それからは均一かつ平らな表面構造が認められる。
実施例2:
40質量%のグリセリンアセテートと60質量%のアジピン酸ジオクチルとの混合物を溶剤系として使用して、実施例1のようにして中空糸膜を製造した。ポリマー濃度は同様に35質量%にした。アジピン酸ジオクチルの割合が高くなっているため、この実施例のポリマー溶液は、実施例1のものと比べて分離温度が高かった。
中空糸膜は、外径が350μm、壁厚が51μmであった。窒素透過性を測定すると、46ml/(cm2・min・bar)の値となった。中空糸膜の破断強度は19.6N/mm2、破断点伸びは366%であった。
中空糸膜の破断面についての走査電子顕微鏡(SEM)での検査によれば、この中空糸膜は、同様に壁全体にわたって非常に細かい孔のある構造であることを示した(図5)。
膜壁の外側領域の断面を示す図6によれば、膜には、その外表面に厚さおよそ0.1μmの分離層があった。5000倍の倍率での膜の外表面のSEM画像は、実施例1の膜のように、均質かつ均一で比較的平らな構造の表面を示しており、さらにそれには孔がない(図7)。原子間力顕微鏡法によって測定された平均粗さ値Raは、実施例1の膜の平均粗さ値と一致する。
比較例1:
実施例1のようにして中空糸膜を製造したが、但し、冷却媒体として、50:50の比率のグリセリンアセテートとアジピン酸ジオクチルとの混合物を使用した。この冷却媒体の場合、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用する40質量%の化合物A(グリセリントリアセタート)と、30質量%の冷却媒体とからなる系の分離温度は、凝固温度との関係において、この系の凝固温度よりおよそ5%上である。
中空糸膜は、外径が313μm、壁厚が49μmであった。窒素透過性に関しては、値が75ml/(cm2・min・bar)という結果になった。
中空糸膜の破断面についての走査電子顕微鏡(SEM)での検査によれば、この中空糸膜は、実際、同様に壁全体にわたって非常に細かい孔のある構造であることを示しているが(図8)、欠陥が孤立的に存在する。5000倍の倍率でのこの膜の外表面のSEM画像において、球顆状構造が明らかに認められる(図9)。それと同時に、破断強度11N/mm2で、破断点伸びが119%であるこの比較例の中空糸膜は、機械的強度が比較的低いことを示している。図9を見て分かるように、表面がかなり構造化されているため、原子間力顕微鏡法で測定した平均粗さ値Raは、およそ145nmである。図10は、この比較例からの中空糸膜の外表面についての10×10μmの試料の三次元写真を示す。これも同様に、球粒と球粒との間に深い谷間状のへこみがある目立った表面構造を示しており、隆起をはっきり示している。
比較例2:
実施例1のようにして中空糸膜を製造したが、但し、純粋なグリセリントリアセタートを冷却媒体として使用し、またそれをポリマー溶液製造用の溶剤(成分A)としても使用した。それゆえに冷却媒体には非溶剤の性質はなかった。
このようにして製造された中空糸膜は、外径が320μm、壁厚が50μmであった。窒素透過性に関しては、値が78ml/(cm2・min・bar)という結果になった。
中空糸膜の破断面についての走査電子顕微鏡(SEM)での検査によれば、この中空糸膜は、同様に壁全体にわたって非常に細かい孔のある構造であることを示した(図11)。しかしながら、破断部分の外見は、膜壁内にかなりの球顆状領域があることを既に示している。図12に示す5000倍の倍率での膜の外表面のSEM画像によれば、表面はかなりの程度、不規則かつ非均質であり、目立つ構造要素が認められ、それらの間には表面に広がる細孔を有する領域がある程度存在しており、また支持層の多孔質構造が認められる。それと同時に、この比較例の中空糸膜は、低い機械的強度および伸びしか示さない。表面がかなり構造化されているため、平均粗さ値Raは100nmよりかなり大きい。
実施例3〜5と比較例3〜5:
実施例1のように中空糸膜を製造したが、但し、グリセリントリアセタート(溶剤)とアジピン酸ジオクチル(非溶剤)とひまし油(非溶剤)との割合を変えることにより冷却媒体の組成を変え、その非溶剤の性質を変えた。
これらの実施例および比較例に使用した冷却媒体の組成を第1表に示す。最初にこうした冷却媒体の非溶剤特性について調べた。この目的で、それぞれの場合に、30質量%のポリマー成分と、溶剤として使用される40質量%の化合物A(グリセリントリアセタート)と、30質量%のそれぞれの冷却媒体とからなるモデル系を、分離温度および凝固温度に関して調べ、さらに凝固温度との関係における分離温度(パーセント)の、結果として生じる差に関して調べた。
こうした冷却媒体を用いた場合の中空糸膜の紡糸の際に、本発明の定義に従って強力な非溶剤と分類される冷却媒体(実施例3〜5)を用いた場合、細孔を有さない均質かつ均一な構造の外表面を有する中空糸膜が得られることが分かる。それに対して比較例3〜5で使用した冷却媒体は、本発明との関連においては、ポリマー成分に対して強力な非溶剤として分類されない。それによって得られる中空糸膜は、外表面に球顆状構造要素があることを示している。したがって、比較例3〜5の中空糸膜も、強度が低く伸びの小さい不十分な機械的特性のみを有した。
Figure 0005619020
第1表:冷却媒体の非溶剤特性の調査
(T=グリセリントリアセタート;DOA=アジピン酸ジオクチル;R=ひまし油;ΔT=凝固温度を基準にした、分離温度と凝固温度との差(パーセント))

Claims (15)

  1. フッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーからの一体型非対称疎水性中空糸膜であって、外側の外表面と内側の内表面と壁厚とを有する壁ならびに内側に囲まれた内腔を有し、前記中空糸膜の壁が、壁厚全体にわたって本質的に等方性であるスポンジ状の開放気泡の細孔構造を有するが指状細孔を有さないミクロ孔質支持層を有し、かつ前記支持層が、壁厚の少なくとも90%にわたって広がり、かつ0.5μm未満の平均直径を有する細孔を有する前記中空糸膜において、
    − 前記中空糸膜が、壁内において、支持層に隣接してその外表面に、0.01〜5μmの範囲の厚さおよび支持層と比較してより高密度の構造を有する分離層を有し、かつその外表面が、5000倍の倍率での走査電子顕微鏡による検査では細孔を有さない均質で均一な構造を有することと、
    − その孔隙率が40〜80容積%の範囲であり、その壁厚が25〜100μmの範囲であり、かつその内腔径が100〜500μmであることと、
    − その窒素透過性が少なくとも25ml/(cm2・min・bar)であり、かつその破断点伸びが少なくとも250%であることと、
    を特徴とする前記疎水性中空糸膜。
  2. 前記支持層中の細孔の平均直径が0.1μm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の中空糸膜。
  3. 前記孔隙率が45〜60容積%の範囲内にあることを特徴とする、請求項1または2に記載の中空糸膜。
  4. 破断点伸びが少なくとも300%であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の中空糸膜。
  5. 前記分離層の厚さが0.01〜0.6μmの範囲であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の中空糸膜。
  6. 前記外表面が、原子間力顕微鏡法によって測定した100nm未満の平均粗さ値Raを有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の中空糸膜。
  7. 請求項1から6までのいずれか1項に記載の中空糸膜を製造する方法であって、
    a)20〜60質量%の少なくとも1種のフッ化ビニリデンのホモポリマーまたはコポリマーからのポリマー成分を80〜40質量%の溶剤系に溶かした均質溶液を製造するステップ、
    その際、前記ポリマー成分と溶剤系からの溶液は、冷却した場合に、臨界分離温度および凝固温度を有し、かつ液体凝集状態において前記臨界分離温度未満で混和性ギャップを有する、
    b)前記臨界分離温度を超える工具温度を有する中空糸ノズルで、前記溶液を、外側の外表面と内側の内表面とを有する中空糸に形成するステップと、
    c)熱力学的非平衡の液−液相分離が起きてポリマーの多い相とポリマーの少ない相とになり、その後、前記凝固温度未満で、前記ポリマーの多い相の凝固が起こる速度で、前記凝固温度未満の冷却温度に温度調節された冷却媒体によって中空糸を冷却するステップと、
    d)場合により前記溶剤系を前記中空糸から除去するステップと
    を少なくとも含む、前記中空糸膜を製造する方法において、
    − 前記溶剤系が、溶解温度で液体でありかつ互いに均質に混ざり合うことができる、化合物Aおよび化合物Bを含み、かつ化合物Aとして前記ポリマー成分についての溶剤が選択され、化合物Bが前記ポリマー成分についての非溶剤であることと、
    − 前記中空糸を、前記ポリマー成分と化学反応せずかつ前記ポリマー成分についての強力な非溶剤である液体冷却媒体と、冷却のためにその外表面で接触させ、そのために、30質量%の前記ポリマー成分と、40質量%の溶剤として使用される前記化合物Aと、30質量%の前記冷却媒体とからなる系の分離温度が、凝固温度に対して少なくとも25%だけこの系の凝固温度を上回ることと、
    − 前記冷却媒体が化合物Bを含むことと、
    を特徴とする、前記中空糸膜を製造する方法。
  8. 前記冷却媒体中の化合物Bの割合が少なくとも50質量%であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
  9. 前記冷却媒体が、それぞれが前記ポリマー成分についての非溶剤である成分からなることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
  10. 前記冷却媒体が、23℃で15〜200mPasの範囲の粘度を有することを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記中空糸ノズルから出した後、中空糸を、冷却のために、前記冷却媒体が存在する糸道ダクトに導通させ、前記中空糸および前記冷却媒体が前記糸道ダクトを同じ方向に通過し、かつ前記冷却媒体の平均線速度が、前記糸道ダクトを通過して形成された中空糸の引取速度より少なくとも20%だけ遅いことを特徴とする、請求項7から10までのいずれか1項に記載の方法。
  12. 化合物Aとして、グリセリントリアセタートまたはグリセリンジアセタートあるいはそれらの混合物を使用することを特徴とする、請求項7から11までのいずれか1項に記載の方法。
  13. 化合物Bとして、アジピン酸ジオクチル、ひまし油またはそれらの混合物を使用することを特徴とする、請求項7から12までのいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記溶剤系中の化合物Bとして、アジピン酸ジオクチル、ひまし油またはそれらの混合物を使用し、前記冷却媒体が、アジピン酸ジオクチルの割合が冷却媒体に対して70質量%以上の範囲である、アジピン酸ジオクチルとひまし油を含む混合物である、請求項7から13までのいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記冷却媒体が、30質量%の前記ポリマー成分と、40質量%の溶剤として使用される化合物Aと、30質量%の前記冷却媒体とからなる系の分離温度が、前記凝固温度に対して少なくとも40%だけ、この系の凝固温度を上回る媒体であることを特徴とする、請求項7から14までのいずれか1項に記載の方法。
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