JP4666530B2 - 中空糸膜の製造方法 - Google Patents
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Description
更には、定期的に薬品洗浄を行って濾過能力を高く維持することも行われている。フラッシングやエアースクラビングは膜の洗浄効果が高いものの、膜に多大な負荷をかけるために膜破断の可能性が高く、それに加え、従来の膜では、これらの洗浄手段をとっても経時的な汚れ(目詰まり)の膜への蓄積は大きく、必ずしも満足のいく透水性能が得られていない問題があった。
(1)ポリフッ化ビニリデン及び有機液状体からなる混合物、又はポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体からなる混合物を、溶融混練し、押し出して中空繊維を成形し、中空繊維から有機液状体又は有機液状体及び無機微粉体を抽出するポリフッ化ビニリデン中空糸膜の製造方法において、前記有機液状体の沸点が150℃以上で、低温(常温)ではポリフッ化ビニリデンと相溶しないが、溶融成形時にポリフッ化ビニリデンと相溶する有機液状体であり、抽出終了前の中空繊維又は抽出終了後の中空繊維を延伸し、次いで延伸した後に、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率が0.3以上0.9以下の範囲となるように収縮させる工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
(2)延伸倍率をX、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率をYとしたとき、以下の式で定義できる破断伸度の保障の程度を表す率Zが、0.3以上1.0以下である前記(1)記載の製造方法。
Z=(延伸時最大糸長−収縮後糸長)/収縮後糸長=(XY−Y)/(X+Y−XY)
(3)抽出終了前の中空繊維を延伸し、次いで収縮させる工程を含む、前記(1)記載の製造方法。
(4)延伸し、次いで収縮させる工程の後に、100℃以上160℃以下で中空繊維の熱処理を行う、前記(1)記載の製造方法。
(5)混合物が、ポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体からなる、前記(1)記載の製造方法。
(6)延伸し、次いで収縮させる工程が、有機液状体の抽出前で、且つ無機微粉体の抽出前に行われる、前記(5)記載の製造方法。
(7)延伸し、次いで収縮させる工程が、有機液状体の抽出後で、且つ無機微粉体の抽出前に行われる、前記(5)記載の製造方法。
(8)収縮工程中において中空繊維が捲縮される、前記(1)記載の製造方法。
(9)エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリフッ化ビニリデンに不活性でありエチレン−ビニルアルコール共重合体を溶解する溶剤を含むエチレンービニルアルコール共重合体溶液を、抽出終了後の中空繊維に浸透させ、中空繊維から溶剤を乾燥除去する工程を含む、前記(1)記載の中空糸膜の製造方法。
(10)前記有機液状体の溶解度パラメータが18〜19(MPa)1/2である前記(1)記載の製造方法。
(11)前記(1)〜(10)のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリフッ化ビニリデン中空糸膜。
(12)前記11のポリフッ化ビニリデン中空糸膜を用いたモジュール。
本発明は、ポリフッ化ビニリデン及び有機液状体からなる混合物、又はポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体からなる混合物を、溶融混練し、押し出して中空繊維を成形し、中空繊維から有機液状体又は有機液状体及び無機微粉体を抽出する中空糸膜の製造方法において、抽出終了前の中空繊維又は抽出終了後の中空繊維を糸長方向に延伸し、次いで糸長方向に収縮させる工程を含むことを特徴としている。
原料のポリフッ化ビニリデンは、必要に応じて、少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤等の安定剤を含んでいてもよい。
本発明に用いられる有機液状体は、溶解度パラメーター(SP:δ)が15〜21(MPa)1/2の範囲にあることが望ましい。本発明においては、SPの範囲を18〜19(MPa)1/2とすることがより好ましい。
δD(C)=[mδD(A)+nδD(B)]/(m+n)
δP(C)=[mδP(A)+nδP(B)]/(m+n)
δH(C)=[mδH(A)+nδH(B)]/(m+n)
δ(C)=[[δD(C)]2+[δP(C)]2+[δH(C)]2]1/2
また、有機液状体を2種以上混合して使用する場合も、両者のSPがそれぞれ15〜21(MPa)1/2の範囲にあることが好ましいが、この範囲に限られるものではない。
また、三次元網目状構造とは、膜断面にマクロボイド(粗大孔)が実質的に存在せず、三次元のどの方向にも連通孔が存在する構造を指す。マクロボイドが膜断面に存在すると、膜強度が低下して好ましくない他、連続して存在するとリークの原因となる。マクロボイドは球形近似直径で8μm以上の空孔を指す。
ポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体の3成分を混合する場合の順序としては、3成分を同時に混合するよりも、まず無機微粉体と有機液状体を混合して無機微粉体に有機液状体を十分に吸着させ、次いでポリフッ化ビニリデンを配合して混合することが、溶融成形性や得られる多孔膜の空孔率及び機械的強度の向上の点で有利である。
中空糸状に押し出し成形され、冷却固化されて中空繊維となる。なお、ポリフッ化ビニリデンと有機液状体の2成分の場合は、ヘンシェルミキサー等による予備混練を行わずに、直接ポリフッ化ビニリデン及び有機液状体を別々に2軸押出し機等の溶融混練押出し装置に供給しても良い。混練性を上げるために、混合後に一度溶融混練を行ってペレット化し、このペレットを溶融混練押出し装置に供給し、中空糸状に押し出し成形し、冷却固化して中空繊維としても良い。
抽出終了前の中空繊維又は抽出終了後の中空繊維を延伸することにより、最終的に得られる中空糸膜の高透過性及び高強度化が期待できる。
有機液状体を含んだ中空繊維の方が、有機液状体を含んでいない中空繊維よりも、延伸時の破断が少ない。更に、有機液状体を含んだ中空繊維の方が、延伸後の中空繊維の収縮を大きくさせることができるため、延伸後の収縮率設定の自由度が増す。
本発明においては、有機液状体及び無機微粉体の両方を含む中空繊維を延伸することがより望ましい。
糸長収縮率={(延伸時最大糸長)−(収縮後糸長)}/[(延伸時最大糸長)
−(元糸長)]=(20−14)/(20−10)=0.6
糸長収縮率は0.6となる。糸長収縮率が0.9以上の場合は透水性能が低くなり易く、0.3未満の場合は引っ張り弾性率が高くなり易いため好ましくない。
本発明においては、糸長収縮率が0.50以上0.85以下の範囲内であることがより好ましい。
ここで、延伸倍率をX、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率をYとしたとき、破断伸度の保障の程度を表す率Zは、以下の式で定義できる。
Z=(延伸時最大糸長−収縮後糸長)/収縮後糸長=(XY−Y)/(X+Y−XY)
Zは0.2以上1.5以下が好ましく、より好ましくはZは0.3以上1.0以下である。Zが小さすぎると破断伸度の保障が少なくなり、Zが大きすぎると延伸時の破断の可能性が高くなる割りに透水性能が低くなる。
延伸し、次いで収縮させる工程における空間温度は、収縮の時間や物性の点から、0℃以上160℃以下の範囲が望ましく、より好ましくは0℃以上100℃以下である。0℃より低いと収縮に時間がかかり実用的でなく、160℃を越えると破断伸度の低下及び透水性能が低くなり好ましくない。
中空糸膜の内径は、中空糸管内を流れる液の抵抗(管内圧損)の観点から0.4mm以上であり、単位体積当たりの充填膜面積の観点から3.0mm以下である。0.5mm以上1.5mm以下とすることがより好適である。
なお空孔率は、以下の式より決定できる。
空孔率%=100×(湿潤膜重量[g]−乾燥膜重量[g])/水比重[g/cm3]/(膜体積[cm3])
膜体積は、以下の式膜体積[cm3]=π×{(外径[cm]/2)2−(内径[cm]/2)2}×膜長[cm]
により求めることができる。膜1本では重量が小さすぎて重量測定の誤差が大きくなる場合は、複数本の膜を用いることができる。
膜の平均孔径は、ASTM:F316−86記載の方法(別称:ハーフドライ法)にしたがって決定することができる。なお、このハーフドライ法によって決定されるのは、膜の最小孔径層の平均孔径である。
平均孔径[μm]=(2860×表面張力[mN/m])/ハーフドライ空気圧力[Pa]
平均孔径[μm]=62834.2/(ハーフドライ空気圧力[Pa])
にて求めることができる。
より求めることができる。
膜の最大孔径と平均孔径の比は、2.0未満であることが好ましい。2.0以上ではリークの問題があり、また、逆洗の効果が弱くなる。
引っ張り破断強度が大きいということは、モジュールとして濾過運転あるいはフラッシングをした時の糸切れに対して耐性が高いことを意味する。引っ張り破断強度は5MPa以上20MPa以下の範囲であることが好適である。5MPaより小さいと糸切れの頻度が増える。20MPaより大きいと透水性能が低くなる。より好ましくは7MPa以上である。
圧縮弾性率の値としては、つぶれにくさと透過性の観点から1.5MPa以上10MPa以下が好ましく、より好ましくは2MPa以上、さらに好ましくは4MPa以上である。
引っ張り弾性率は10MPa以上80MPa以下の範囲が好適である。より好ましくは10MPa以上70MPa以下、さらにより好ましくは20MPa以上60MPa以下である。10MPaより小さいと膜に腰がなく束ねてモジュールにすることが難しい。80MPaより大きいと糸がゆれる効果が少なくなる。
エタノール浸漬した後、数回純水浸漬を繰り返した約10cm長の湿潤中空糸膜の一端を封止し、他端の中空部内へ注射針を入れた。25℃の環境下にて注射針から0.1MPaの圧力にて25℃の純水を中空部内へ注入し、外面から透過してくる純水の透水量を測定し、以下の式より純水透水率を求めた。
純水透水率[L/(m2・hr)]=透過水量[L]/(π×膜内径[m]×膜有効長[m]×測定時間[hr])
ここで、膜有効長とは、注射針が挿入されている部分を除いた、正味の膜長を指す。
1)引っ張り破断強度、引っ張り破断伸度、引っ張り弾性率:
引っ張り試験機(島津製作所製:オートグラフAG−A型)を用い、湿潤した中空糸膜をチャック間距離50mm、引っ張り速度200mm/分にて引っ張り、破断時の荷重と変位から、以下の式により引っ張り破断強度及び引っ張り破断伸度を求めた。測定は温度25℃、相対湿度40〜70%の室内で行った。
引っ張り破断強度[Pa]=破断時荷重[N]/膜断面積[m2]
ここで、膜断面積[m2]=π×[(外径[m]/2)2−(内径[m]/2)2]である。
引っ張り破断伸度[%]=100×破断時変位[mm]/50[mm]
なお、引っ張り弾性率[Pa]は、上記引っ張り試験の際の0.1%変位荷重と5%変位荷重から100%変位時の荷重を求め、膜断面積で除して求めた。
圧縮測定機(島津製作所製:AGS−H/EZtest)により、5mm幅の圧縮用治具を用い湿潤した中空糸膜の長さ5mm分について、糸長方向に垂直な方向での圧縮変位と荷重を測った。圧縮速度は1mm/minで、初期中空糸膜直径に対して0.1%変位時と5%変位時の荷重から100%変位時の荷重を求め、初期中空糸外径と中空糸膜長5mmを乗じて得られる投影断面積で規格化し圧縮弾性率とした。測定は温度25℃、相対湿度40〜70%の室内で行った。
無限軌道式ベルトの厚み方向の圧縮弾性率は、乾燥試料を同様にして測定した。
40℃の純水をはった耐圧容器に、片端を封止した湿潤した中空糸膜を入れ、外表面側を純水で液密に満たし、内表面側の中空部を大気に開放した状態にした。エアーにより15秒間で水圧を0.05MPaにまで上げ、中空糸の外表面側より内表面側に濾過水を得た(外圧方式)。15秒間の濾過水量を測定し、その後さらに15秒間で圧力を0.05MPa上げ、再び15秒間の濾過水量を測定するというサイクルを続けた。なお、このサイクルを続け圧力を上げて行く途中で膜がつぶれ濾過水量が減少に転ずる。濾過水量が最大となった圧力を瞬時耐圧縮強度[Pa]とした。
エタノール浸漬した後、数回純水浸漬を繰り返した約10cm長の湿潤中空糸膜の一端を封止し、他端の中空部内へ注射針を入れた。25℃の環境下にて注射針から0.1MPaの圧力にて25℃の純水を中空部内へ注入し、外面から透過してくる純水の透水量を測定し、以下の式より純水透水率を求めた。
純水透水率[L/(m2・hr)]=透過水量[L]/(π×膜内径[m]×膜有効長[m]×測定時間[hr])
ここで、膜有効長とは、注射針が挿入されている部分を除いた、正味の膜長を指す。
GPCによるポリスチレン換算分子量。GPC測定装置:東洋ソーダ製LS−8000、カラム:GMHXL、溶媒:DMF、カラム温度:40℃。
6)膜残存シリカ量:
X線光電子分光法(XPS)により、抽出終了後の中空糸膜表面の炭素、フッ素、酸素、窒素、ケイ素の元素分析を行い、ケイ素の相対元素濃度より膜残存シリカ量(重量%)を求めた。なお、この手法では、膜表面より1nm深さあたりまでの膜残存シリカ量を測定することになる。
中空糸膜約1000本を束ね幅4cmのPET製帯に1kgの張力をかけつつ中空糸膜束の周長を測り、次式により中空糸膜の捲縮度を求めた。
捲縮度=(周長[m]/π)2/((中空糸直径[m])2×中空糸本数)
8)被覆量:
エチレン−ビニルアルコール共重合体の被覆量は以下の式により求めた。
被覆量(重量%)=100×{(エチレン−ビニルアルコール共重合体被覆ポリフッ化ビニリデン乾燥膜重量[g])−(ポリフッ化ビニリデン乾燥膜重量[g])}/(エチレン−ビニルアルコール共重合体被覆ポリフッ化ビニリデン乾燥膜重量[g])
乾燥膜は、オーブン中で60℃で恒温になるまで乾燥させて得た。
目詰まり(膜汚染)による透水性能劣化に対する耐性(耐汚染性)を判断するための指標として、図5に示す装置を用いて測定した。湿潤中空糸膜2をペンシルモジュール3(内径4mmφのチューブ4の側面に原水1の導入口と排出口を設けたモジュール)に挿入し、膜有効長11cmにて外圧方式にて濾過を行った。まず初めに純水を、膜外表面積1m2当たり1日当たり10m3透過する濾過圧力にて濾過を行って透過水5を2分間採取し、初期純水透水量とした。次いで、懸濁水である下水二次処理水を、初期純水透水量を測定したときと同じ濾過圧力にて30分間濾過を行い、濾過28分目から30分目までの2分間透過水5を採取し、懸濁水濾過時透水量とした。なお、原水の入圧及び出圧は、それぞれ圧力計6(入圧)及び7(出圧)により測定した。懸濁水濾過時の透水性能保持率を、下記の式で定義した。操作は全て25℃、膜面線速0.1m/秒にて行った。
なおここで、
濾過圧力[Pa]={(原水の入圧[Pa])+(原水の出圧[Pa])}/2
膜外表面積[m2]=π×(糸外径[m])×(膜有効長[m])
膜面線速[m/s]=4×(循環水量[m3/s])/{π(ペンシルモジュールのチューブ内径[m])2−π(膜外径[m])2}
(実施例1)
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ(日本アエロジル社製;AEROSIL−R972(商品名))23重量%、フタル酸ジオクチル30.8重量%、フタル酸ジブチル6.2重量%(二者の混合液のSP:18.59(MPa)1/2)をヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量290000のポリフッ化ビニリデン(呉羽化学工業(株)製:KFポリマー#1000(商品名))40重量%を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。
延伸して、空間温度80℃に制御した第二の加熱槽(0.8m長)を出た後に、20℃の冷却水槽の水面に位置する一対の周長が約0.20mであり且つ4山の凹凸ロールに170rpmの回転速度で中空繊維を連続的に挟んで周期的に曲げつつ冷却し、その後、第三の無限軌道式ベルト引き取り機で30m/minの速度で引き取り、また、抽出後乾燥した中空糸膜をオーブン中で140℃・2時間の加熱処理した以外は、実施例1と同様にして中空糸膜を得た。膜残存シリカ量は0.4重量%であった。
使用するポリフッ化ビニリデンポリマーを重量平均分子量が310000のポリフッ化ビニリデンポリマー(SOLVAY社製:Solef6010(商品名))にした以外は、実施例2と同様な方法で加熱処理した中空糸膜を得た。膜残存シリカ量は0.4重量%であった。
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ23重量%、フタル酸ジオクチル33.3重量%、フタル酸ジブチル3.7重量%(二者の混合液のSP:18.47(MPa)1/2)をヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量290000のポリフッ化ビニリデン40重量%を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。得られた混合物を35mmφ二軸押し出し機で更に溶融混練し、ペレットにした。このペレットを30mmφ二軸押し出し機に連続的に投入し、押し出し機先端にとりつけた円環状ノズルより、中空部内にエアーを供給しつつ、230℃にて押し出し、約20cmの空中走行を経て40℃の水槽中に10m/minの紡速で溶融押し出し及び冷却固化して、中空繊維を得た。この中空繊維を、実施例1と同様に一対の第一の無限軌道式ベルト引き取り機で10m/minの速度で引き取り、空間温度40℃に制御した第一の加熱槽(0.8m長)を経由して、更に第一の無限軌道式ベルト引き取り機と同様な第二の無限軌道式ベルト引き取り機で20m/minの速度で引き取り2.0倍に延伸した。そして更に、空間温度80℃に制御した第二の加熱槽(0.8m長)を出た後に、冷却水槽の水面に位置する一対の周長が約0.2mであり且つ4山の凹凸ロールに170rpmの回転速度で中空糸を連続的に挟んで冷却し、その後、第三の無限軌道式ベルト引き取り機で15m/minの速度で引き取り1.5倍まで延伸糸を収縮させた後、周長約3mのカセで巻き取った。
延伸による糸長増分に対する糸長収縮率は0.5である。次いで、巻き取った膜を30℃の塩化メチレン中に1時間浸漬させ、これを5回繰り返してフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチルを抽出した後、乾燥させた。次いで、50重量%エタノール水溶液に30分間浸漬し、更に水中に移して30分間浸漬して、中空繊維を水で濡らした。更に、40℃の5重量%苛性ソーダ水溶液中へ1時間浸漬し、これを2回行った。40℃の温水へ1時間浸漬することによる水洗を10回行い疎水性シリカを抽出した後、乾燥した。得られた中空繊維をオーブン中で140℃・2時間の加熱処理を行った。膜残存シリカ量は0.4重量%であった。
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ23重量%、フタル酸ジオクチル33.3重量%、フタル酸ジブチル3.7重量%(二者の混合液のSP:18.47(MPa)1/2)をヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量290000のポリフッ化ビニリデン40重量%を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。
平均一次粒径0.016μm、比表面積110m2/gの疎水性シリカ25重量%、フタル酸ジオクチル28.0重量%、フタル酸ジブチル7.0重量%(二者の混合液のSP:18.66(MPa)1/2)をヘンシェルミキサーで混合し、これに重量平均分子量290000のポリフッ化ビニリデン40重量%を添加し、再度ヘンシェルミキサーで混合した。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(日本合成化学工業製:ソアノールET3803、エチレン含量38モル%)を、水とイソプロピルアルコールの50重量%ずつの混合溶剤100重量部に対して3重量部加熱混合し溶解させた。得られたエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液中(68℃)に、実施例2で得られた加熱処理後の中空糸膜を両端の開口した150cmの中空糸膜100本からなる糸束にして5分間完全に浸漬し、溶液中から取り出した中空糸膜束を30分間室温で風乾し、次いで60℃のオーブンで1時間乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール共重合体被覆ポリフッ化ビニリデン中空糸膜を得た。
懸濁水濾過時の透水性能保持率は25%であった。
実施例7と同様の方法で得たエチレン−ビニルアルコール共重合体溶液中に、実施例5で得られた加熱処理後の中空糸膜を両端の開口した150cmの中空糸膜100本からなる糸束にして5分間完全に浸漬し、溶液中から取り出した中空糸膜束を30分間室温で風乾し、次いで60℃のオーブンで1時間乾燥することで、エチレン−ビニルアルコール共重合体被覆ポリフッ化ビニリデン中空糸膜を得た。
実施例3において、第一の引き取り機で20m/minの速度で引き取った後、延伸せずにカセに巻き取り実施例3と同様な抽出、乾燥を行った。膜残存シリカ量は0.5重量%であった。
懸濁水濾過時の透水性能保持率は14%であった。
実施例5において、延伸、収縮及び加熱処理の工程を行わなかった以外は、同様な方法で中空糸膜を得た。膜残存シリカ量は0.7重量%であった。
得られた中空糸膜は、外径1.98mm、内径1.09mmで、空孔率66%、ハーフドライ法による平均孔径は0.47μm、バブルポイント法による最大孔径は0.76μm、最大孔径と平均孔径の比は1.62、純水透水率は7900L/(m2・hr)であった。引っ張り破断強度は10.7MPa、引っ張り破断伸度は280%、引っ張り弾性率は129MPa、圧縮弾性率は6.8MPaで瞬時耐圧縮強度は1.2MPaであった。膜断面写真から、この膜は均質な連通孔からなる三次元の網目状構造を有し、内部に8μm以上のマクロボイドは認められなかった。臨界表面張力は58mN/m、捲縮度は1.43であった。
実施例6において、延伸、収縮及び加熱処理の工程を行わなかった以外は、同様な方法で中空糸膜を得た。膜残存シリカ量は1.0重量%であった。
得られた中空糸膜は、外径3.77mm、内径2.48mmで、空孔率57%、ハーフドライ法による平均孔径は0.20μm、バブルポイント法による最大孔径は0.28μm、最大孔径と平均孔径の比は1.40、純水透水率は700L/(m2・hr)であった。引っ張り破断強度は6.5MPa、引っ張り破断伸度は150%、引っ張り弾性率は55MPa、圧縮弾性率は6.6MPaで瞬時耐圧縮強度は1.0MPaであった。膜断面写真から、この膜は均質な連通孔からなる三次元の網目状構造を有し、内部に8μm以上のマクロボイドは認められなかった。臨界表面張力は54mN/m、捲縮度は1.41であった。
このように、本発明の製造方法により得られる中空糸膜は、濾過流量が高く、使用中の濾過流量低下が少なく、さらには糸切れに対する耐性の高い中空糸濾過膜であるため、水の除濁等の濾過分野において非常に好適である。
Claims (12)
- ポリフッ化ビニリデン及び有機液状体からなる混合物、又はポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体からなる混合物を、溶融混練し、押し出して中空繊維を成形し、中空繊維から有機液状体又は有機液状体及び無機微粉体を抽出するポリフッ化ビニリデン中空糸膜の製造方法において、前記有機液状体の沸点が150℃以上で、低温(常温)ではポリフッ化ビニリデンと相溶しないが、溶融成形時にポリフッ化ビニリデンと相溶する有機液状体であり、抽出終了前の中空繊維又は抽出終了後の中空繊維を延伸し、次いで延伸した後に、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率が0.3以上0.9以下の範囲となるように収縮させる工程を含むことを特徴とする、前記製造方法。
- 延伸倍率をX、延伸による糸長増分に対する糸長収縮率をYとしたとき、以下の式で定義できる破断伸度の保障の程度を表す率Zが、0.3以上1.0以下である請求項1記載の製造方法。
Z=(延伸時最大糸長−収縮後糸長)/収縮後糸長=(XY−Y)/(X+Y−XY) - 抽出終了前の中空繊維を延伸し、次いで収縮させる工程を含む、請求項1記載の製造方法。
- 延伸し、次いで収縮させる工程の後に、100℃以上160℃以下で中空繊維の熱処理を行う、請求項1記載の製造方法。
- 混合物が、ポリフッ化ビニリデン、有機液状体及び無機微粉体からなる、請求項1記載の製造方法。
- 延伸し、次いで収縮させる工程が、有機液状体の抽出前で、且つ無機微粉体の抽出前に行われる、請求項5記載の製造方法。
- 延伸し、次いで収縮させる工程が、有機液状体の抽出後で、且つ無機微粉体の抽出前に行われる、請求項5記載の製造方法。
- 収縮工程中において中空繊維が捲縮される、請求項1記載の製造方法。
- エチレン−ビニルアルコール共重合体、及びポリフッ化ビニリデンに不活性でありエチレン−ビニルアルコール共重合体を溶解する溶剤を含むエチレンービニルアルコール共重合体溶液を、抽出終了後の中空繊維に浸透させ、中空繊維から溶剤を乾燥除去する工程を含む、請求項1記載の中空糸膜の製造方法。
- 前記有機液状体の溶解度パラメータが18〜19(MPa)1/2である請求項1記載の製造方法。
- 請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法により得られたポリフッ化ビニリデン中空糸膜。
- 請求項11のポリフッ化ビニリデン中空糸膜を用いたモジュール。
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