JP2011056437A - 濾過方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストを実現でき、さらに長期的な安定運転が可能となる濾過方法を提供とする。
【解決手段】濁質成分が無機成分を含んだ微粒子である被濾過液Lを、多孔性中空糸膜3によって濾過する濾過方法において、多孔性中空糸膜3は、熱可塑性樹脂から成り、且つ少なくとも2層からなると共に、内表面側の1層(A)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万未満、最外表面の1層(B)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万以上である多層膜であり、多孔性中空糸膜3を備えたモジュール1を用いて、多孔性中空糸膜3の外表面側から内表面側に向けて濾過することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、除濁や膜分離活性汚泥法等の濾過用途に好適であり、エアースクラビング等による膜外表面の擦過が起こりにくくかつ洗浄回復性の高い、熱可塑性樹脂より成る多孔性中空糸膜を用いた濾過方法に関する。
近年、上水における除濁等の分野において、処理水の安全性向上や設備の省スペース化という利点を持つ多孔性中空糸膜による濾過方法が広く普及しつつある。多孔性中空糸膜には、クリプトスポリジウムなどのバクテリアや濁質成分を確実に除去できる高い阻止性能、大量の水を処理するための高い透水性能、薬品洗浄や高い運転圧力を含む幅広い運転条件で長期間使用できる高い強度が要求される。更に、膜の外表面側から内表面側に濾過をおこなう外圧濾過運転においては、外表面に堆積した被濾過物を除去するためにおこなうエアースクラビングによる膜外表面の擦過、すなわち外表面の孔の閉塞が経時的な透水性能の低下を引き起こし、大きな問題となっている。
小孔径の阻止層と大孔径の強度支持層とを貼り合わせることで、高い阻止性能と高い透水性能とを併せ持つ多孔性中空糸膜を得るアイデアは、例えば特許文献1に開示されている。具体的な製法として、特許文献1では、ポリエチレンに溶剤は加えずに溶融押出しをおこない、中空糸の長手方向に高倍率延伸を行うことでラメラ結晶スタックを開裂させて開孔させて多孔膜を作製する方法である延伸開孔法を用い、同心円状に配置された2つの円環状ノズルから別々に相異なるMI値を持つポリエチレンを溶融押出しし、MI値が異なる即ち通常は分子量が異なる樹脂は延伸開孔させると異なる孔径になる性質を利用して、中空糸膜の外層側と内層側とが異なる孔径の層になるように製膜している。しかしながら、この製法は、(1)溶剤を加えない製法のため溶融体の粘度が高く、高分子量のポリマーは流動性が低く成型しにくい、(2)高倍率延伸を行うと延伸軸方向の強度は強くなるが、濾過を行う上で肝心の延伸軸とは垂直方向の強度である破裂強度および圧縮強度はむしろ低下しやすい、(3)使用しているポリエチレンのMI値からから推定される分子量が、外層が約10〜15万、内層が約4〜8万と低いためか耐擦過性が低い、等の難点があり、耐擦過性が高く高強度の膜を得ることができなかった。
また特許文献2では、粘度が高い、すなわち分子量が高いPVDFを用いることで膜長手方向の機械的強度が強く、かつ孔径分布が狭い、非対称構造の膜が開示されている。しかしながら、この膜は、膜全体が高分子量の熱可塑性樹脂で構成されているため膜の弾性率が高いためか、エアースクラビング時に糸が大きく揺れないため洗浄回復性が低い、という問題があった。
特開昭63−75116号公報 特開平07−173323号公報
上述のように、従来の多孔性中空糸膜を備えたモジュールを用いた濾過方法によれば、その膜の性状から濾過が不安定になり易く、さらに、製造コスト増につながり易く、低コストでの長期的な安定運転は困難であった。
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、除濁や膜分離活性汚泥法等の濾過用途に有効で、且つエアースクラビング等による外表面の擦過が起こりにくく洗浄回復性の高い熱可塑性樹脂より成る多孔性中空糸膜を用いることで、低コストを実現でき、さらに長期的な安定運転が可能となる濾過方法を提供とすることを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、多孔性中空糸膜の最外表面に重量平均分子量40万以上の高い分子量の熱可塑性樹脂から成る層を、内表面側に重量平均分子量40万未満の低い分子量から成る層を積層することが、外表面における高い耐擦過性とエアースクラビングによる高い洗浄回復性を両立するために、極めて重要であることを見出した。そして、このような知見を具現化した多孔性中空糸膜を用いた濾過を行うことで、上記の課題を解消し得ることを見出し、本発明にいたった。
すなわち、本発明は、濁質成分が無機成分を含んだ微粒子である被濾過液を、多孔性中空糸膜によって濾過する濾過方法において、前記多孔性中空糸膜は、熱可塑性樹脂から成り、且つ少なくとも2層からなると共に、内表面側の1層(A)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万未満、最外表面の1層(B)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万以上である多層膜であり、前記多孔性中空糸膜を備えたモジュールを用いて、前記多孔性中空糸膜の外表面側から内表面側に向けて濾過することを特徴とする。
また、前記多孔性中空糸膜の最外表面孔のアスペクト比が1/3以上3以下であることが好ましい。
また、前記多孔性中空糸膜の内表面孔のアスペクト比が1/4以上4以下であることが好ましい。
また、前記多孔性中空糸膜の1層(B)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が50万以上であることが好ましい。
また、前記被濾過液は、前記濁質成分中の無機成分比率が10質量%以上であることが好ましい。
また、前記被濾過液は、無機イオン濃度が50ppm以上であることが好ましい。
本発明に係る濾過方法によれば、低コストを実現でき、さらに長期的な安定運転が可能となる。
等方的三次元網目構造の模式図である。 球晶構造の模式図である。 多孔性中空糸膜の膜厚方向の孔径変化の例を示した模式図である。 本実施形態に係る多孔性中空糸膜を備えたモジュールを示し、(a)は浸漬型膜モジュールの模式図、(b)は多孔性中空糸膜の縦断面の模式図である。
以下、本発明を実施形態に基づき、具体的かつ詳細に説明する。まず、本実施形態に係る濾過方法を説明する前に、まず、この濾過方法で用いられる多孔性中空糸膜について説明する。
(多孔性中空糸膜)
本実施形態に係る多孔性中空糸膜は、熱可塑性樹脂から成る。熱可塑性樹脂(熱可塑性高分子)は、常温では変形しにくく弾性を有し塑性を示さないが、適当な加熱により塑性を現し、成型が可能になり、冷却して温度が下がると再びもとの弾性体に戻る可逆変化を行い、その間に分子構造など化学変化を生じない性質を持つ樹脂である(化学大辞典編集委員会編集、化学大辞典6縮刷版、共立出版、860および867頁、1963年)。
熱可塑性樹脂の例としては、14705の化学商品(化学工業日報社、2005年)の熱可塑性プラスチックの項(1069〜1125頁)記載の樹脂や、化学便覧応用編改訂3版(日本化学会編、丸善、1980年)の809−810頁記載の樹脂等を挙げることができる。具体例名を挙げると、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリビニルアルコール、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、酢酸セルロース、ポリアクリロニトリルなどである。中でも、結晶性を有する、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどは強度発現の面から好適に用いることができる。さらにそれら結晶性熱可塑性樹脂の中でも、疎水性ゆえ耐水性が高く、通常の水系液体の濾過において耐久性が期待できる、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフッ化ビニリデン等の疎水性結晶性熱可塑性樹脂がさらに好適に用いることができる。さらにこれら疎水性結晶性熱可塑性樹脂の中でも、耐薬品性等の化学的耐久性に優れるポリフッ化ビニリデンが、特に好適に用いることができる。ポリフッ化ビニリデンとしては、フッ化ビニリデンホモポリマーや、フッ化ビニリデン比率50モル%以上のフッ化ビニリデン共重合体が挙げられる。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンと、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、三フッ化塩化エチレンまたはエチレンから選ばれた1種以上との共重合体を挙げることができる。ポリフッ化ビニリデンとしては、フッ化ビニリデンホモポリマーがもっとも好ましい。
また、本実施形態に係る多孔性中空糸膜は、阻止性能、透水性能、および強度が高いレベルでバランスし、さらに外表面における高い耐擦過性とエアースクラビングによる高い洗浄回復性を両立できるように、内外少なくとも2層を有する多層膜、すなわち、多孔性多層中空糸膜である(図4(b)参照)。
多孔性中空糸膜の2層のうち、内表面側の1層(A)は、いわゆる支持層であり、多孔性中空糸膜の耐圧性等の高い機械的強度を担保すると共に、透水性をできるだけ低下させない機能を有する。また、この1層(A)は、重量平均分子量が40万未満の熱可塑性樹脂で構成される。重量平均分子量40万未満の熱可塑性樹脂で構成されていることで、中空糸膜が曲がり易く、エアースクラビング時に揺れやすいために高い洗浄性を発揮することができる。支持層に40万未満の分子量の熱可塑性樹脂を用いることで擦過を低減させる効果もある。理由は定かではないが、支持層を軟らかくすることで膜同士が接触した際の外表面における押し圧を分散・低下でき、擦過を低減させていると推測される。また、1層(A)の重量平均分子量は10万以上であれば高い機械的強度を発現することができ好ましい。より好ましくは20万以上である。
多孔性中空糸膜の外表面(最外表面)の1層(B)は、いわゆる阻止層であり、小さい表面孔径により被処理液中に含まれる異物の膜透過を阻止する機能を発揮する。また、この1層(B)は、重量平均分子量40万以上の熱可塑性樹脂で構成される。1層(B)の重量平均分子量はより好ましくは50万以上である。重量平均分子量40万以上の熱可塑性樹脂で構成されていることで、エアースクラビングによる膜外表面の擦過を抑え、長期間にわたって高い透水性能を発揮することができる。また、1層(B)の重量平均分子量は200万未満であれば膜全体がエアースクラビング時に良く揺れ、高い洗浄回復性を発揮することができるため好ましい。より好ましくは150万未満である。また、本実施形態に係る多孔性中空糸膜の外表面は、例えば、後述の実施例1に記載されているように、高分子量の熱可塑性樹脂と可塑剤、無機微粉の溶融混練物として押出・成型することで、表面平滑性が高くかつ表面硬度の高い外表面を持った膜を得ることができ、耐擦過性をより高めることができる。なお、本実施形態に係る多孔性中空糸膜では内外の2層構造であるが、3層以上であってもよく、この場合、上述の阻止層となる1層(B)は、最外表面の層が相当する。
また、1層(B)の表面、すなわち外表面孔のアスペクト比が1/3以上3以下であることが、好ましい。外表面孔のアスペクト比が1/3以上であれば、エアースクラビング等で中空糸長手方向に応力がかかった際に阻止層である外表面に亀裂が入ることがなく優れた阻止性能を長期間維持でき、3以下であればエアースクラビング等で膜円周方向に揺れた場合に擦過することによる透水性能の低下を抑えられ好ましい。外表面孔のアスペクト比は、より好ましくは1/2以上2以下、さらに好ましくは2/3以上1.5以下、である。ここでいう外表面孔のアスペクト比とは、外表面における(中空糸長手方向の平均孔径)/(中空糸円周方向の平均孔径)をいう。エアースクラビング時に中空糸膜が中空糸円周方向に揺れるため、この方向に擦過する影響が大きい。そのため、外表面の孔の円周方向の孔径が小さいと、孔の閉塞による影響がより大きく、透水性能の低下が起こりやすい。
上述の外表面孔のアスペクト比は、以下のようにして測定する。まず走査型電子顕微鏡を用い、外表面を極力多数の孔の形状が明確に確認できる程度の倍率で外表面に垂直な方向から撮影する。次に、その写真上で、中空糸長手方向およびこれに直交する方向、すなわち中空糸円周方向に各5本の線をほぼ均等な間隔で引き、それらの線が写真中の孔を横切る長さを測定する。そして、中空糸長手方向および円周方向それぞれにおいて測定値の算術平均値を求め、それぞれの方向における平均孔径とする。このようにして求めた(中空糸長手方向の平均孔径)/(中空糸円周方向の平均孔径)を外表面孔のアスペクト比とする。孔径測定の精度を上げるために、縦横計10本の線が横切る孔径の数は20個以上とするのが好ましい。孔径が0.1μmから1μm程度であれば、5000倍程度の倍率の電子顕微鏡画像を用いるのが適当である。
また、内表面側の1層(A)についても、アスペクト比が1/4以上4以下であることが、機械的強度の発現の点から好ましい。内表面孔のアスペクト比が、1/4以上であれば十分な中空糸膜の長手方向における強度、すなわち、引張強度を高くすることができ、4以下であれば中空糸膜の膜厚方向における強度、すなわち、外圧濾過の際に重要な機械的強度となる圧縮強度、破裂強度を高くすることが可能となる。内表面孔のアスペクト比は、より好ましくは1/3以上3以下、さらに好ましくは1/2以上2以下である。内表面孔のアスペクト比は、1層(A)の表面が最内表面層である場合は、外表面孔のアスペクト比と同様にして、内表面の走査型電子顕微鏡の写真から求めることができる。内表面側にさらに層がある場合は、1層(A)部分の膜長手方向の断面および膜円周方向の断面の走査型電子顕微鏡の写真から求めれば良い。
また、1層(A)は、均質な三次元網目構造を有することが好ましい。ここでいう均質とは、膜厚方向の孔径の変化が小さい構造であることを意味する。このように均質な構造とすることで、マクロボイド等の強度的に弱い部分が生じにくいから、多孔性中空糸膜の透水性を維持しながら、耐圧性等の機械的強度を高くすることが可能になる。
また、ここでいう三次元網目構造とは、樹脂が無数の柱状になり、その両端で互いに接合することで三次元構造を形成している構造をいう。この三次元網目構造について、図1を参照して説明する。なお、図1は等方的三次元網目構造の模式図であり、図2は、球晶構造の模式図を示す参考図である。
三次元網目構造では、樹脂はほぼ全部が柱状物を形成しており、いわゆる球晶構造で無数に見られる樹脂の塊状物がほとんど見られない。図1に示されるように、三次元網目構造の空隙部bは、柱状物aの接合によって形成されている。すなわち、空隙部bは、熱可塑性樹脂の柱状物aに囲まれており、空隙部bの各部分は互いに連通している。このように、用いられた樹脂のほとんどが、中空糸膜の強度に寄与しうる柱状物aを形成しているので、高い強度の支持層を形成することが可能になる。また、耐薬品性も向上する。耐薬品性が向上する理由は明確ではないが、強度に寄与しうる柱状物の数が多いため、柱状物aの一部が薬品に侵されても、層全体としての強度には大きな影響が及ばないためではないかと考えられる。一方で、図2に示されるように、球晶構造では、球晶cが部分的に密集しており、その球晶cの密集部分間の間隙が空隙部dであることがわかる。球晶構造では、塊状物に樹脂が集まっているため相対的に柱状物の数が少なく強度が低い。そのため、柱状物の一部が薬品に侵されると層全体の強度に影響が及びやすいのではないかと考えられる。
また、1層(B)も三次元網目構造であることが好ましい。膜厚方向の孔径変化は個々の孔の径が外表面から膜内部に向けて徐々に大きくなる異方的な構造としても良いし、個々の孔の径が表面からの距離によらずにほぼ均一となる均質な構造としても良いが、表面が擦過により摩耗した場合に阻止性能を維持しやすい均質な構造であることがより好ましい。
中空糸膜の断面方向(膜厚方向)での孔径変化の態様について図3を参照して説明する。図3は、中空糸膜の膜厚方向での孔径変化を示すグラフ及び多孔性中空糸膜断面の模式図を示しており、三つの態様を(1),(2),(3)に分けて示している。
図3(1)は、1層(B)が等方的な三次元網目構造である場合の膜厚方向の孔径変化を示す図であり、図3(2)は、1層(B)の孔径が厚み方向で変化する異方的な三次元網目構造である場合の孔径変化を示す図であり、さらに、図3(3)は、等方的な三次元網目構造及び異方的な三次元網目構造を複合させた構造である場合の孔径変化を示す図である。なお、図3(1)、(2)、(3)の縦軸は断面中央孔径を基準にした孔径比、横軸は膜厚を1に規格化して表示している。耐擦過性の観点からは、表面の擦過が生じても阻止性能が変化しにくいため、均質な三次元網目構造とするのが好ましい。なお、図3(1)で、1層(A)と1層(B)との境界部分は、膜厚方向に対して個々の孔の径が急激に変化する遷移層であるが、そのような境界層が存在しても良い。
多孔性中空糸膜において多層を形成する層の数および各層の厚みの比率は、目的により適宜設定することができる。濾過膜を目的とする場合、例えば2層の場合であれば、小孔径かつ薄い外層と大孔径かつ厚い内層の組み合わせとすると、緻密な細孔と高い透水性能を併せ持つために有効である。
1層(A)の厚みは、膜厚みの10/100以上99/100以下とするのが好ましい。10/100以上であればエアースクラビング等により充分に揺れて高い洗浄回復性を発揮でき、99/100以下であればその外側の阻止層により充分な阻止性能を発現できる。より好ましくは膜厚みの30/100以上97/100以下、さらに好ましくは60/100以上95/100以下である。
1層(B)の厚みは、膜厚みの1/100以上40/100以下とするのが好ましい。このように阻止層の厚みを比較的厚くすることで、望ましい阻止性能と高い透水性能の良いバランスをとったうえで、外表面が擦過により多少摩耗した場合でも高い阻止性能を維持することができる。より好ましくは膜厚の3/100以上20/100以下、さらに好ましくは5/100以上15/100以下である。
なお、1層(B)の表面孔径、すなわち外表面孔径は0.01μm以上5μm未満であることが好ましい。0.01μm以上であれば、緻密表面の濾過抵抗が小さく実用上十分な透水性を発現できると共に、擦過した場合、表面孔の閉塞による透水性能の低下が抑えられる。また、5μm未満であれば、濾過膜の重要な要求機能である除濁性能の発現が可能になるとともに、被濾過物質の多くを中空糸外表面で阻止し堆積させることができるためエアースクラビングによる洗浄回復性が高い。より好ましくは0.05μm〜2μm、さらに好ましくは0.05μm〜0.5μmである。表面孔径は、アスペクト比の測定で用いた膜長手方向の平均孔径と膜円周方向の平均孔径の算術平均により求めることができる。
1層(B)の表面における開孔率は、目的により適宜定めれば良く特に限定されないが、懸濁物質等を含む被処理液の濾過安定性の観点からは20%以上であることが好ましく、より好ましくは23%以上、さらに好ましくは25%以上である。なお、表面部分の機械的強度の観点を高める観点からは、開孔率は80%以下であることが好ましい。より好ましくは60%以下であり、さらに好ましくは50%以下である。開孔率は、例えば、国際公開公報PCT/WO 01/53213 A1に記載されているように、電子顕微鏡画像のコピーの上に透明シートを重ね、黒マジックペン等を用いて孔部分を黒く塗り潰し、その後透明シートを白紙にコピーすることにより、孔部分は黒、非孔部分は白と明確に区別し、その後に市販の画像解析ソフトを利用して求めることができる。
本実施形態に係る多孔性中空糸膜は例えば熱可塑性樹脂と有機液体との混合物を分子量違いで2種類用意し、同心円状の中空糸成形ノズルより適当な量比で溶融共押し出しし、その後、有機液体を抽出除去する事により得ることができる。有機液体と共に更に無機微粉を添加しても良い。
また、本実施形態に係る多孔性中空糸膜は、濁質成分中の無機成分比率が10質量%以上である被濾過液の濾過に好適に用いることができる。濁質成分中の無機成分比率が高いと、濾過により膜表面に堆積した無機成分が膜の擦過を促進するが、本実施形態に係る多孔性中空糸膜を用いることで、このような被濾過液の濾過においても、従来技術の膜を用いた場合と比較して擦過による透水量の低下が小さい、すなわちより低コストかつ長期的な安定運転が可能となる。濁質成分中の無機成分比率は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、である。濁質成分中の無機成分比率は、例えば、後述の実施例(7)に記載の方法により求めることができる。
さらに、本実施形態に係る多孔性中空糸膜は、被濾過液中の無機イオン濃度が50ppm以上である被濾過液の濾過に好適に用いることができる。被濾過液中の無機イオン濃度とは、被濾過液に溶解している無機成分の濃度のことを言う。通常、溶解している無機イオンの濃度は、擦過に関与しないと考えられるが、逆圧洗浄においてアルカリ等を使用した場合、膜外表面付近でpHが上がり溶解している無機成分が膜外表面で析出し、通常より擦過が進行する場合がある。このような場合にも本実施形態に係る多孔性中空糸膜を使用することで、従来技術の膜を使用した場合と比較して、より低コストかつ長期的な安定運転が可能となる。擦過に影響する無機イオンの代表例としては、例えば鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウムなどのイオンが挙げられる。被濾過液中の無機イオン濃度は、好ましくは100ppm以上、より好ましくは200ppm以上、更に好ましくは300ppm以上、である。無機イオン濃度は、例えば後述の実施例(8)に記載の方法により求めることができる。
(モジュール及び濾過方法)
濾過は、多数の多孔性中空糸膜を集積したモジュールを用いておこなうことができる。次に、このモジュールについて説明し、さらに、このモジュールを用いた濾過方法について説明する。なお、モジュールとしては、種々の態様が想定されるが、まず、浸漬型膜モジュールを例に説明する。
図4(a)に示されるように、モジュール1は、上述の多孔性中空糸膜3の束(以下「中空糸膜束」という)5を備えている。中空糸膜束5は上端部と下端部とが固定されている。モジュール1は、中空糸膜束5の上端部と下端部とを支持するステンレス製の棒材7を備えており、棒材7によって所定形状が保持されている。膜モジュール1は浸漬槽(図示せず)内に蓄えられている被濾過液L内に浸漬され、モジュール1の上方に配置されたヘッダ管を介して吸引される。その結果、浸漬槽内の被濾過液Lが中空糸膜3の外表面側から内表面側に向けて中空糸膜3を透過して濾過される(図4(b)参照)。また、浸漬槽の底部には、モジュール1の下方の位置に対応して散気管が配置されており、この散気管から散気される空気によって中空糸膜束のエアースクラビングが行われる。
上述の多孔性中空糸膜を集積したモジュールとしては、その他の態様も想定され、例えば、上述の非ケーシングタイプに限定されず、ケーシングタイプでも良い。また、モジュールの断面形状も円型や角型などでも良い。さらに、被濾過液である原水を直接的に中空糸膜により濾過しても良いし、あるいは凝集剤やオゾン等の酸化剤の添加を前処理としておこなった後に中空糸膜により濾過しても良い。濾過方式(濾過方法)としては、全量濾過方式でもクロスフロー濾過方式でも良い。加圧濾過方式あるいは吸引濾過方式でも良い。さらに、運転方法として、膜表面に堆積した被濾過物を除去する目的で用いられるエアースクラビングや逆圧洗浄を別々におこなっても良いし、同時におこなっても良い。また、逆圧洗浄に用いられる液体としては、次亜塩素酸ナトリウムや二酸化塩素、オゾン等の酸化剤等も好適に用いることができる。
本実施形態に係る濾過方法では、上述の多数の多孔性中空糸膜を備えたモジュールを利用することにより、低コストを実現でき、さらに長期的な安定運転が可能となる。
本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。以下に諸物性の測定方法について説明する。なお、測定は全て25℃で行った。
(1)糸径(mm)
多孔性中空糸膜を膜長手方向に垂直な向きにカミソリ等で薄く切り、顕微鏡を用いて断面の内径の長径と短径、外径の長径と短径を測定し、以下の式により、それぞれ内径と外径を決定した。
Figure 2011056437
Figure 2011056437
(2)純水透水率(l/m/hr/0.1MPa/25℃)
約10cm長の湿潤中空糸膜の一端を封止し、他端の中空部内へ注射針を入れ、注射針から0.1MPaの圧力にて純水を中空部内へ注入し、外表面へと透過してくる純水の透過水量を測定し、以下の式により純水透水率を決定した。
Figure 2011056437
ここに膜有効長とは、注射針が挿入されている部分を除いた、正味の膜長を指す。
(3)外表面孔および内表面孔のアスペクト比
走査型電子顕微鏡により、多孔性中空糸膜の内外両表面を極力多数の孔の形状を明確に確認できる任意の倍率で撮影した写真を用いた。その写真上で、中空糸長手方向および円周方向に各5本の線をほぼ均等な間隔で引き、それらの線が写真中の孔を横切る長さを測定した。そして、中空糸長手方向および円周方向それぞれにおいて測定値の算術平均値を求め、それぞれの方向における平均孔径とし、以下の式により外表面および内表面孔のアスペクト比をそれぞれ算出した。
Figure 2011056437
Figure 2011056437
(4)耐擦過性(%)
約10cmの湿潤長の多孔性中空糸膜を金属板の上に並べ、微小な砂粒(粒経130μm:FujiBrown FRR#120)を20質量%で水に懸濁させた被濾過液を、膜の上方70cmにセットしたノズルから0.07MPaの圧力で膜外表面に吹き付けた。15分間吹き付けた後、膜を裏返してまた10分間の吹き付けをおこなった。吹き付けの前後で、純水透水率を測定し、以下の式から耐擦過性を求めた。
Figure 2011056437
(5)洗浄回復率(%)
有効膜長2000mm、膜面積50mの加圧型中空糸膜モジュールを用い、濁度が約100度、水温が18〜25℃の砂濾過逆洗排水を29分間全量濾過した後エアースクラビングを1分間おこない、エアースクラビング前後のモジュールでの純水透水率を測定し、以下の式から洗浄回復率の測定をおこなった。エアースクラビング時のエアー流量は、4.6NL/分/モジュールとした。
Figure 2011056437
(6)重量平均分子量Mw
使用するフッ化ビニリデンホモポリマーの重量平均分子量は、GPC(東ソー製HLC−8220GPC、カラム:Shodex製KF−606M(6.0mmID×15cm)1本+KF−601(6.0mmID×15cm)1本)にて測定した。GPC試料は次のようにして作製した。まず、フッ化ビニリデンホモポリマーに溶離液(DMF)を加え、1.0mg/ml濃度となるように調整した。その後、40℃に加温(30min)し、1晩静置して溶解した。その後、0.45ミクロンフィルター(ジーエルサイエンス社製クロマトディスク25N)で濾過し、濾液をGPC試料とした。また、較正曲線はPMMAを用いて作成した。
(7)濁質成分中の無機成分比率の測定
濾過に使用する活性汚泥について、「下水試験方法上巻」(1997年版)の第3章第7節(活性汚泥有機性浮遊物質(MLVSS))271ページに記載の方法と同様にして懸濁物質中の有機成分比率を測定し、以下の式から懸濁物質中の無機成分比率を算出した。
Figure 2011056437
(8)被濾過液中の無機イオン濃度の測定
濾過に使用する活性汚泥について、「下水試験方法上巻」(1997年版)の第3章第6節の2.(活性汚泥浮遊物質)269−270ページに記載の方法で得られた濾液を、JIS K0120に記載の方法で鉄、マンガン、カルシウム、マグネシウム、ケイ素、アルミニウムの濃度を測定し、その総和を被濾過液中の無機イオン濃度とした。
(9)浸漬型中空糸膜モジュールの作製
特願2005−507211号に記載の方法と同様にして、膜面積25mの浸漬型中空糸膜モジュール(図4)を作製した。
複数の多孔性中空糸膜の両端をウレタン樹脂で接着固定し、一方の端部の外周に液密に接着固定されたカートリッジヘッドと他方端部外周に液密に接着固定された下部リングとを有し、円筒型の中空糸膜モジュールを作成した。カートリッジヘッド側、及び下部リング側接着固定層の濾過部界面間の有効長が2000mmであった。中空糸両端の接着固定層の直径は約150mmであった。
以上のようにして、浸漬型の中空糸膜モジュールを作成した。
(10)中空糸膜モジュールの実液濾過(吸引濾過)
(9)で得られた中空糸膜モジュールを使用し、8mの容積の活性汚泥槽に浸漬した。また、原水としてBODが約750mg/L、かつ表2に示した無機成分率および無機イオン濃度の異なる排水を用いた。活性汚泥中のMLSS濃度は約10000mg/Lで一定とした。透水量は、吸引ポンプにより膜の中空部を陰圧にして、全量濾過方式、モジュール透水量が0.5m/dで6ヶ月間、運転をおこなった。
上記の濾過運転は、膜曝気量6Nm/時間の空気を常に曝気しつつ、濾過/逆洗のサイクル運転とした。濾過/逆洗のタイムサイクルは濾過/逆洗:9分/1分、逆洗時の逆洗流量は濾過時の流量と同流量とした。
(11)実液での耐擦過性
(10)の実液濾過後の湿潤膜を、次の条件で洗浄した。まず、1質量%の水酸化ナトリウムと5000ppmの次亜塩素酸ソーダの混合水溶液に8時間浸漬した後、pHが中性になるまで水で洗浄した。更に2質量%の硝酸と2質量%のシュウ酸の混合水溶液に2時間浸漬した後、pHが中性になるまで水で洗浄した。このようにして得られた実液濾過後の純水透水保持率を湿潤状態、有効長10cmで測定し、下記の式にて実液での耐擦過性を算出した。
Figure 2011056437
[実施例1]
熱可塑性樹脂としてフッ化ビニリデンホモポリマー、有機液体としてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)とフタル酸ジブチルとの混合物、無機微粉として微粉シリカ(日本アエロジル社製、商品名:AEROSIL−R972)を用い、押出し機2台による2層中空糸膜の溶融押出しを行った。外層用の溶融混練物として組成がフッ化ビニリデンホモポリマー(Solvey社製Solef6020、重量平均分子量78万):フタル酸ビス(2−エチルヘキシル):フタル酸ジブチル:微粉シリカ=34.0:33.8:6.8:25.4(質量比)の溶融混練物を、内層用の溶融混練物として組成がフッ化ビニリデンホモポリマー(Solvey社製Solef6008、重量平均分子量23万):フタル酸ビス(2−エチルヘキシル):フタル酸ジブチル:微粉シリカ=36.0:35.3:5.0:23.7(質量比)の溶融混練物を、中空部形成用流体として空気を、それぞれ用い、共に240℃の樹脂温度にて、外径2.00mm、内径0.92mmの中空糸成形用ノズルから、外層:内層の理論上の膜厚比=10:90になるような量比にて押出した。
押出した中空糸状成型物は、60cmの空中走行を経た後40℃の水浴中に導き入れることで冷却固化させ、40m/分の速度でかせに巻き取った。得られた2層中空糸状押出し物を塩化メチレン中に浸漬させてフタル酸ビス(2−エチルヘキシル)およびフタル酸ジブチルを抽出除去した後、乾燥させた。次いで、50質量%のエタノール水溶液中に30分間浸漬させた後、水中に30分間浸漬し、中空糸膜を湿潤化した。次いで、20質量%NaOH水溶液中に70℃にて1時間浸漬し、さらに水洗を繰り返して微粉シリカを抽出除去した。
得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。いずれの性能も優れた値を示した。
また、得られた多孔性中空糸膜の外表面側から全膜厚の5%厚み分を外層部分、内表面側から全膜厚の50%厚み分を内層部分としてそれぞれ重量平均分子量を測定したところ、両層にそれぞれ用いたポリマーの押出し前の重量平均分子量と同じであった。以後の実施例、比較例においてもそれぞれの重量平均分子量を測定したところ、両層にそれぞれ用いたポリマーの押出し前の重量平均分子量と同じであった。
得られた多孔性中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
[実施例2]
内層用の溶融混練物にフッ化ビニリデンホモポリマー(Solvey社製Solef6010、重量平均分子量30万)を用いた以外は、実施例1と同様にして多孔性中空糸膜を得た。
得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。いずれの性能も優れた値を示した。
得られた中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
[実施例3]
実施例2で得た有機液体および無機微粉抽出除去後の多孔性中空糸膜の糸長200cmを400cmに延伸した後、自然緩和させた。その後、両端を固定せずに140℃で1.5時間熱処理をおこなうことにより糸長が縮み、最終的な糸長は260cm(最終延伸倍率1.3倍)となった。
得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。いずれの性能も優れた値を示した。
得られた中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
[実施例4]
2倍に延伸した後、糸長が縮まないように140℃、1.5時間の熱処理を中空糸膜の両端を固定しておこなった以外は、実施例3と同様にして多孔性中空糸膜を得た。最終的な糸長は400cm(最終延伸倍率2.0倍)となった。
得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。いずれの性能も優れた値を示した。
得られた中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
[実施例5]
糸長100cmを300cmに延伸し、糸長が縮まないように140℃、1.5時間の熱処理を中空糸膜の両端を固定しておこなった以外は、実施例2と同様にして多孔性中空糸膜を得た。最終的な糸長は300cm(最終延伸倍率3.0倍)となった。
得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。いずれの性能も優れた値を示した。
得られた中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
[比較例1]
外層用の溶融混練物に用いるフッ化ビニリデンホモポリマーとして、Solvey社製Solef6010、重量平均分子量30万のフッ化ビニリデンホモポリマーを用いた以外は実施例2と同様にして多孔性中空糸膜を得た。得られた膜の外径、内径、外表面孔のアスペクト比、内表面孔のアスペクト比、純水透水率、耐擦過性、洗浄回復率を表1に示す。実施例の膜とは異なり、耐擦過性が低い膜が得られた。
得られた中空糸膜を(9)に示した方法でモジュールとし、(10)に示した条件で濾過運転をおこなった。また、(11)に示した方法で実液での耐擦過性を測定した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2011056437
Figure 2011056437
Figure 2011056437
本発明により、除濁等の濾過用途に好適な、耐擦過性と洗浄回復性を両立した多孔性多層中空糸膜による、低コストかつ長期的な安定運転が可能となる濾過方法を供給できる。
1…モジュール、3…中空糸膜、(A)…多孔性中空糸膜の内表面側の1層、(B)…多孔性中空糸膜の最外表面の1層。

Claims (6)

  1. 濁質成分が無機成分を含んだ微粒子である被濾過液を、多孔性中空糸膜によって濾過する濾過方法において、
    前記多孔性中空糸膜は、熱可塑性樹脂から成り、且つ少なくとも2層からなると共に、内表面側の1層(A)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万未満、最外表面の1層(B)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が40万以上である多層膜であり、
    前記多孔性中空糸膜を備えたモジュールを用いて、前記多孔性中空糸膜の外表面側から内表面側に向けて濾過することを特徴とする濾過方法。
  2. 前記多孔性中空糸膜の最外表面孔のアスペクト比が1/3以上3以下であることを特徴とする請求項1に記載の濾過方法。
  3. 前記多孔性中空糸膜の内表面孔のアスペクト比が1/4以上4以下であることを特徴とする請求項1または2記載の濾過方法。
  4. 前記多孔性中空糸膜の1層(B)を構成する熱可塑性樹脂の重量平均分子量が50万以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の濾過方法。
  5. 前記被濾過液は、前記濁質成分中の無機成分比率が10質量%以上であることを特徴とする、請求項1記載の濾過方法。
  6. 前記被濾過液は、無機イオン濃度が50ppm以上であることを特徴とする、請求項1記載の濾過方法。
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