JP2020049468A - 複合半透膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐擦過性と通水後の高い透水性を有する複合半透膜を得る。【解決手段】基材および多孔性支持層を含む多孔性支持膜と、前記多孔性支持層上に形成された分離機能層とを備える複合半透膜であって、前記分離機能層上に設けられ、かつ重量平均分子量5000以下の親水性ポリマー(A)、および重量平均分子量30000以上の親水性ポリマー(B)を含む保護層を備えることを特徴とする複合半透膜。【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦過性に優れ、高い透水性を有する複合半透膜に関する。
一価イオンと二価イオンの混合溶液からどちらかのイオンを選択的に除去することは、多くの技術分野において必要であるか、または望まれている。例えば、海底油田から原油を回収する技術においては、回収率向上を目的として、油田内に海水を注入し、その圧力で原油を押し出す水注入法が用いられる。しかし、水注入法は、海水中に含まれる硫酸イオンと原油中に含まれるBa2+およびSr2+とによりスケールが発生し、そのスケールが原油回収用の配管を閉塞させるという問題を有している。更に、水注入法は、原油中に存在する硫酸イオン還元菌により、硫化水素が発生することで、原油の品質が低下するという問題も有している。そのため、水注入法による原油回収では、スケール対策および原油品質向上方法として、膜による海水からの硫酸イオン除去が、前処理工程として必要とされている。この前処理において、一価イオンと二価イオンの混合溶液から二価イオン(特に、硫酸イオン)だけを選択的に除去することができれば、前処理工程前後での浸透圧差が小さくなるので、海水からの硫酸イオン除去に必要なエネルギーを大幅に減少させることができる。
特許文献5には、ピペラジンとトリメシン酸クロリドを反応させて得られる複合半透膜が開示されている。
特開2010−137192号公報
半透膜が完成後、分離機能層が物理的に損傷を受けることがある。損傷の原因としては、例えば、製造後に保管のため積み重ねられたときの半透膜同士の接触、または保管用の梱包材の接触等が挙げられる、また、半透膜は、多くの場合、2枚以上の半透膜とその間に挿入された流路材とを有するエレメントに組み込まれた状態で使用される。このエレメントの組み立て時に、組立装置の部材またはエレメントの部材との接触も、分離機能層の損傷の原因となり得る。
これらの損傷を抑制するために分離機能層上に保護層を形成することが考えられる。しかしその一方で、保護層の存在によって複合半透膜の透過流量が低下するという問題がある。
本発明の目的は、透水性および耐擦過性を両立することのできる複合半透膜を供給することである。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、下記の複合半透膜を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記(1)〜(9)の構成をとる。
(1)基材および多孔性支持層を含む支持膜と、
前記多孔性支持層上に設けられ、かつ多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重合物であるポリアミドを含有する分離機能層と、
前記分離機能層上に直接又は他の層を介して設けられ、かつ重量平均分子量5000以下の親水性ポリマー(A)、および重量平均分子量30000以上の親水性ポリマー(B)を含む保護層を備えることを特徴とする複合半透膜。
(2)前記保護層の厚みが300 nm以上であることを特徴とする(1)に記載の複合半透膜。
(3)前記成分(B)に対する成分(A)の質量比が9以上である(1)または(2)に記載の複合半透膜。
(4)前記親水性ポリマーがポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の複合半透膜。
(5)前記多官能アミンが脂肪族アミンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の複合半透膜。
本発明では、保護層によって通水前の半透膜の分離機能層が保護される。一方で、保護層に含まれる重量平均分子量5000以下の親水性ポリマー(A)は、通水によって流出する。よって、保護層による通水性の低下が緩和される。このように、本発明によると耐擦過性と透水性とを両立することができる。
1.複合半透膜
本発明の複合半透膜は、基材および多孔性支持層を含む多孔性支持膜と、該多孔性支持膜上に設けられ形成されたポリアミド分離機能層とを備える。また、本発明の複合半透膜は前記ポリアミド分離機能層上に直接又は他の層を介して設けられ、かつ親水性ポリマーからなる保護層をさらに備える。
(1−1)支持膜
支持膜は、分離性能を有するポリアミド分離機能層(以下単に「分離機能層」とも記載する。)を支持し、半透膜に強度を与える。それ自体は、実質的にイオン等の分離性能を有さない。支持膜は、基材と多孔性支持層を含む。
支持膜の厚みは、得られる複合半透膜の強度およびそれをエレメントにしたときの充填密度に影響を与える。多孔性支持膜の厚みは、十分な機械的強度および充填密度を得るためには、50μm以上300μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは100μm以上250μm以下の範囲内である。
基材としては、ポリエステルおよび芳香族ポリアミドから選ばれる少なくとも一種からなる布帛が例示される。機械的および熱的に安定性の高いポリエステルを使用するのが特に好ましい。
基材に用いられる布帛としては、長繊維不織布や短繊維不織布等の不織布を好ましく用いることができる。長繊維不織布としては、熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布などが挙げられる。基材が長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。また、複合半透膜を連続製膜する工程においては、基材の製膜方向に張力がかけられることからも、基材としては、寸法安定性に優れる長繊維不織布を用いることが好ましい。
また、基材の厚みは、10μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上120μm以下の範囲内である。
多孔性支持層における孔のサイズや分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層に全体で、孔径が均一かつ微細であるか、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面即ち基材側の面まで孔径が徐々に大きくなり、かつ、分離機能層が形成される側の表面における微細孔の大きさが0.1nm以上100nm以下であることが好ましい。
多孔性支持層を構成する樹脂の種類としては、例えばポリスルホンや酢酸セルロースやポリ塩化ビニル、あるいはそれらを混合したものが好ましく使用される。化学的、機械的および熱的に安定性の高いポリスルホンが特に好ましい。
支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を、密に織ったポリエステル布あるいはポリエステル不織布の上に一定の厚さに流延し、それを水中で湿式凝固させることによって、表面の大部分が直径数10nm以下の微細な孔を有した多孔性支持膜を得ることができる。
(1−2)ポリアミド分離機能層
分離機能層は、複合半透膜において溶質の分離機能を担う層であり、本発明においてはポリアミドを含む。
ポリアミド分離機能層は、具体的には、多官能脂肪族アミンと多官能酸ハロゲン化物との界面重縮合によって得られる架橋ポリアミドからなる。
多官能脂肪族アミンとは、一分子中に2個以上のアミノ基を有する脂肪族アミンであり、好ましくはピペラジン系アミン、次の(I)に示される成分、およびこれらの誘導体である。ピペラジン系アミンとしては、例えば、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,3,5−トリメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2,3,5−トリエチルピペラジン、2−n−プロピルピペラジン、2,5−ジ−n−ブチルピペラジン、エチレンジアミンなどが例示される。上記多官能脂肪族アミンは単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよいが、性能発現の安定性から、特に、ピペラジンまたは、ジメチルピペラジンが好ましく、透水性を高める観点では、更にジメチルピペラジンが好ましい。
Figure 2020049468
(R1、R2はそれぞれ−Hまたは−(CH2)n−CH3 であり、nは、0から3の整数である。)
多官能酸ハロゲン化物とは、一分子中に2個以上のハロゲン化カルボニル基を有する酸ハロゲン化物であり、上記アミンとの反応によりポリアミドを与えるものであれば特に限定されない。多官能酸ハロゲン化物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3−ベンゼンジカルボン酸、1,4−ベンゼンジカルボン酸等のハロゲン化物を用いることができる。酸ハロゲン化物の中でも、酸塩化物が好ましく、特に経済性、入手の容易さ、取り扱い易さ、反応性の容易さ等の点から、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸の酸ハロゲン化物であるトリメシン酸クロリドが好ましい。上記多官能酸ハロゲン化物は単独で用いても、2種類以上を混合して用いてもよい。
ポリアミド分離機能層おける多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物の存在比を制御する方法としては、界面重縮合時の多官能脂肪族アミン濃度と多官能酸ハロゲン化物濃度との比率を調整する方法、多官能酸ハロゲン化物を溶解する溶媒を変える方法、界面重縮合場を界面活性剤によって乱す方法、界面重縮合途中で反応停止させる方法、界面重縮合時に反応を阻害するような添加剤を加える方法、などがある。
ポリアミド分離機能層の平均膜厚は40nm以下であることが好ましい。平均膜厚が40nm以下であれば、2価イオン除去性能を高めつつ、十分な透水性能が得られる。
ポリアミド分離機能層の膜厚は、透過型電子顕微鏡、TEMトモグラフィー、集束イオンビーム/走査型電子顕微鏡(FIB/SEM)等の観察手法を用いて分析できる。例えば、TEMトモグラフィーで観察するのであれば、複合半透膜を水溶性高分子で処理してポリアミド分離機能層の形状を保持したのち、四酸化オスミウム等で染色し観察を行う。
ポリアミド分離機能層の膜厚の平均膜厚は、少なくとも50箇所の測定値より算出される。
(1−3)保護層
保護層は、直接又は他の層を介して分離機能層上に配置され、重量平均分子量5000以下の親水性ポリマー(A)、および重量平均分子量30000以上の親水性ポリマー(B)を含む。
ポリマー(A)の重量平均分子量が5000以下であることで、保護層としての膜厚を耐擦過性向上に十分な程度に厚くする一方で、膜濾過を行う際には早期に溶出して、高い透水性を発現させることが出来る。ことのとき、ポリマー(A)としては重量平均分子量5,000以下が好ましく、さらには、300から5000の間がより好ましい。重量平均分子量が300以上であることで、分離機能層へのポリマー(A)の染みこみ量が多くなりすぎず、運転時に速やかにポリマー(A)が溶出するので、良好な造水性が得られる。
親水性ポリマー(A)として、ポリビニルアルコールは、経済性、入手の容易さ、取り扱い易さの点から好ましい。特に、ポリマー(A)としては、ポリビニルアルコールのケン化度が90%以下であることが好ましく、90%以上であると水溶性が低く、運転時の溶出が遅くなるために造水性が低下する。
ポリマー(A)、(B)のポリマー比としては、ポリマー(B)に対するポリマー(A)の質量比{ポリマー(A)の質量/ポリマー(B)の質量}を9以上とすることが好ましい。運転時に溶出するポリマー量が多いために運転時の高い透水性を発現することが出来る。
保護層を形成する親水性ポリマー(B)の重量平均分子量が30,000以上であることで、ポリマー(A)が溶出した後もポリマー(B)が膜上に残る。残ったポリマー(B)は運転中に半透膜に流路材等が接触することによる傷つきを抑制することができる。つまり、ポリマー(A)の溶出後も、ポリマー(B)による耐擦過性が実現される。ポリマー(B)による運転の耐擦過性の維持には、ポリマー(B)に対するポリマー(A)の質量比{ポリマー(A)の質量/ポリマー(B)の質量}が9.8以下であることが好ましい。
また、ポリマー(B)が膜上に残ることにより、複合半透膜の2価イオン(特に、硫酸イオン)除去性能が向上すると共に、1価イオンと2価イオンとの選択分離性が向上する。選択分離性が向上する理由の1つは、分離機能層上に残るポリマー(B)によって、膜荷電が中性化されることで、イオンと膜との静電相互作用が抑制され、その結果、膜における1価イオンの除去性を低減させることができるからである。さらに、保護層に含まれるポリマー(B)が、2価イオンよりも大きな孔を塞ぐことができる。その結果、2価イオン(特に、硫酸イオン)の除去性を高めることができると考えられる。
親水性ポリマー(B)は、ポリアミド分離機能層及び多孔性支持膜を溶解せず、また水処理操作時に溶出しないポリマーであれば特に制限されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、キトサン、及びケン化ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
特に、ポリマー(B)としては、ポリビニルアルコールのケン化度が85%以上であることが好ましい。
通水前の保護層の厚さは、特に制限されないが、300nm以上が好ましく、500nm以上であることがより好ましい。保護層の厚みが300nm以上であることで、良好な耐擦過性が得られる。また、保護層の厚さは5μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましく、1μm以下であることがさらに好ましい。保護層におけるポリマー(A)の質量比9と保護層の厚み5μm以下とを満たすことで、通水により速やかにポリマー(A)が溶出するので、良好な透水性が得られる。
2.製造方法
次に、上記複合半透膜の製造方法について説明する。製造方法は、多孔性支持膜の形成工程、分離機能層の形成工程、および保護層の形成工程を含む。
(2−1)多孔性支持膜の形成工程
多孔性支持膜の形成工程は、基材に高分子溶液を塗布する工程および溶液を塗布した前記基材を凝固浴に浸漬させて高分子を凝固させる工程を含む。
基材に高分子溶液を塗布する工程において、高分子溶液は、多孔性支持層の成分である高分子を、その高分子の良溶媒に溶解して調製する。
高分子溶液塗布時の高分子溶液の温度は、高分子としてポリスルホンを用いる場合、10℃〜60℃の範囲が好ましい。高分子溶液の温度が、この範囲内であれば、高分子が析出することがなく、高分子溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。その結果、アンカー効果により多孔性支持層が基材に強固に接合し、良好な多孔性支持膜を得ることができる。なお、高分子溶液の好ましい温度範囲は、用いる高分子の種類や、所望の溶液粘度などによって適宜調整することができる。
基材上に高分子溶液を塗布した後、凝固浴に浸漬させるまでの時間は、0.1〜5秒間の範囲であることが好ましい。凝固浴に浸漬するまでの時間がこの範囲であれば、高分子を含む有機溶媒溶液が基材の繊維間にまで充分含浸したのち固化される。なお、凝固浴に浸漬するまでの時間の好ましい範囲は、用いる高分子溶液の種類や、所望の溶液粘度などによって適宜調整することができる。
凝固浴としては、通常水が使われるが、多孔性支持層の成分である高分子を溶解しないものであればよい。凝固浴の温度は、−20℃〜100℃であることが好ましい。凝固浴の温度は、10℃〜50℃であることがさらに好ましい。凝固浴の温度が100℃以下であれば、熱運動による凝固浴面の振動を抑えることができ、膜形成後の膜表面の平滑性を保持できる。また温度が−20℃以上であれば凝固速度が維持できるため、製膜性を向上できる。
次に、このようにして得られた多孔性支持膜を、膜中に残存する溶媒を除去するために熱水洗浄してもよい。このときの熱水の温度は40℃〜100℃が好ましく、60℃〜95℃がさらに好ましい。洗浄温度が上限以下であれば、多孔性支持膜の収縮度が大きくなり過ぎず、透水性能の低下を抑制することができる。また、洗浄温度が40℃以上であれば高い洗浄効果が得られる。
(2−2)分離機能層の形成工程
次に、複合半透膜を構成する分離機能層の形成工程を説明する。ポリアミド分離機能層の形成工程では、多官能脂肪族アミンを含有する水溶液と、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液とを用い、多孔性支持膜の表面で界面重縮合を行うことにより、ポリアミド分離機能層を形成する。
多官能酸ハロゲン化物を溶解する有機溶媒としては、水と非混和性のものであって、多孔性支持膜を破壊しないものであり、かつ、架橋ポリアミドの生成反応を阻害しない、溶解性パラメーター(SP値)が15.2(MPa)1/2以上、かつ、logPが3.2以上の有機溶媒を用いる。SP値が15.2(MPa)1/2以上、かつ、logPが3.2以上であることで、界面重縮合時の多官能脂肪族アミンの分配、拡散が最適化され、官能基量を増加することができる。代表例としては、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘプタデカン、ヘキサデカンなど、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、1−デセンなどの単体あるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
多官能脂肪族アミンを含有する水溶液には、界面活性剤が含まれていることが好ましい。例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、スチレンビス(ナフタレンスルホン酸ナトリウム)などが挙げられる。界面活性剤が含まれることで、分離機能層と多孔性支持層との接着性を高める効果や、界面重合場を乱すことで官能基量が増加する効果が得られる。
多官能脂肪族アミンを含有する水溶液や多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液には、それぞれ、必要に応じて、アシル化触媒や極性溶媒、酸捕捉剤、酸化防止剤等の化合物が含まれていてもよい。
界面重縮合を多孔性支持膜上で行うために、まず、多官能脂肪族アミンを含有する水溶液で多孔性支持膜表面を被覆する。多官能脂肪族アミンを含有する水溶液で多孔性支持膜表面を被覆する方法としては、多孔性支持膜の表面がこの水溶液によって均一にかつ連続的に被覆されればよく、公知の塗布手段、例えば、水溶液を多孔性支持膜表面にコーティングする方法、多孔性支持膜を水溶液に浸漬する方法等で行えばよい。多孔性支持膜と多官能脂肪族アミンを含有する水溶液との接触時間は、5秒以上10分以下の範囲内であることが好ましく、10秒以上2分以下の範囲内であるとさらに好ましい。
次いで、過剰に塗布された水溶液を液切り工程により除去することが好ましい。液切りの方法としては、例えば膜面を垂直方向に保持して自然流下させる方法等がある。液切り後、膜面を乾燥させ、水溶液の水の全部あるいは一部を除去してもよい。
多官能脂肪族アミンとしてピペラジンを含有している場合、ピペラジンの濃度は1.0重量%以上10.0重量%以下であることが好ましい。ピペラジン濃度が1.0重量%以上であれば均一な分離機能層が形成され、十分な2価イオン除去性能が得られる。また、10.0重量%以下であれば分離機能層の厚みが厚くなり過ぎず、十分な透水性能が得られるとともに十分な2価イオン選択性が得られる。
その後、多官能脂肪族アミンを含有する水溶液で被覆した多孔性支持膜に、前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布し、界面重縮合により架橋ポリアミドの分離機能層を形成させる。界面重縮合を実施する時間は、0.1秒以上3分以下が好ましく、0.1秒以上1分以下であるとより好ましい。
前述の多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液の塗布温度は、10℃以下が好ましく、5℃以下がより好ましい。塗布温度が、10℃以下であれば分離機能層の厚みが薄くなり、透水性が高くなる。
多官能酸ハロゲン化物としてトリメシン酸クロリドを含有している場合、有機溶媒溶液におけるトリメシン酸クロリドの濃度は、0.30重量%以上0.70重量%以下程度が好ましい。トリメシン酸クロリド濃度が0.30重量%以上であれば高い2価イオン除去性が得られる。また、0.70重量%以下であれば高い2価イオン選択性が得られる。
そして多官能脂肪族アミンとしてピペラジンを、多官能酸ハロゲン化物としてトリメシン酸クロリドを含有している場合、ピペラジン濃度/トリメシン酸クロリド濃度が2.0以上33.0以下であることが好ましく、4.0以上25.0以下であることがより好ましい。この範囲内であれば、高い2価イオン選択性が得られる。
次に、反応後の有機溶媒溶液を液切り工程により除去することが好ましい。有機溶媒の除去は、例えば、膜を垂直方向に把持して過剰の有機溶媒を自然流下して除去する方法や送風機で風を吹き付けることで有機溶媒を乾燥する方法、水とエアーの混合流体で過剰の有機溶媒を除去する方法を用いることができる。特に、水とエアーの混合流体による除去が好ましい。水とエアーの混合流体を用いると、分離機能層中に水が含まれることで膨潤し、透水性が高くなる。自然流下の場合、垂直方向に把持する時間としては、1分以上5分以下の間にあることが好ましく、1分以上3分以下の間であるとより好ましい。把持する時間が1分間以上であることで目的の機能を有する分離機能層を得やすく、3分間以下であることで有機溶媒の過乾燥による欠点の発生を抑制できるので、性能低下を抑制することができる。
上述の方法により得られた複合半透膜は、さらに、25℃〜90℃の範囲内で1分間〜60分間熱水で洗浄処理する工程を付加することで、複合半透膜の溶質阻止性能や透水性能をより一層向上させることができる。
(2−3)保護層の形成工程
次に、保護層の形成工程を説明する。保護層の形成工程では、分離機能層上に直接又は他の層を介して、ポリマー成分を含有する保護層を形成する。
保護層の形成工程は、具体的には、ポリマー成分を含有する溶液をポリアミド分離機能層上に直接又は他の層(例えば、親水性樹脂を含む親水性層など)を介して塗工するステップ、およびその後に溶液を乾燥させるステップを備える。
塗工方法としては、例えば、噴霧、塗布、シャワーなどが挙げられる。溶媒としては、水の他、ポリアミド分離機能層等の性能を低下させない有機溶媒を併用してもよい。そのような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールなどの脂肪族アルコール;メトキシメタノール及びメトキシエタノールなどの低級アルコールが挙げられる。もちろん、これらは単独で用いても2種以上の混合溶媒として用いても構わない。
溶液中のポリマー成分の濃度は、0.01〜1重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.8重量%である。
溶液の温度は、該溶液が液体として存在する温度範囲であれば特に制限されないが、ポリアミド分離機能層の劣化防止の観点、及び取り扱いの容易さ等から10〜90℃であることが好ましく、10〜60℃であることがより好ましく、10〜45℃であることがさらに好ましい。 前記溶液をポリアミド分離機能層上に塗工した後、溶液を乾燥させるステップは、例えば加熱または送風等により実行される。乾燥処理を行う際の温度は特に制限されないが、20〜160℃程度であることが好ましく、40〜130℃であることがより好ましく、60〜120℃であることがさらに好ましい。乾燥温度が20℃以上であることで、乾燥にかかる時間が短縮できると共に、溶液を充分に乾燥させることで、良好な膜性能を得ることができる。一方、温度が160℃以下であることで、熱による膜の構造変化が抑制されるので、良好な膜性能が得られる。
前記ポリマー成分を架橋する方法として、以下にポリビニルアルコールを用いる場合の架橋方法を挙げる。架橋方法としては、例えば、乾燥処理後に酸性の多価アルデヒド溶液中に浸漬する方法(方法A)、また,ポリビニルアルコール及び多価アルデヒドを含有する酸性溶液をポリアミド分離機能層上に塗布し加熱乾燥して保護層を形成すると同時に、多価アルデヒドによってポリビニルアルコールをポリアミド分離機能層に架橋させる方法(方法B)が挙げられる。酸としては、無機酸でも有機酸でも構わないが、例えば、硫酸、塩酸等が使用される。更には、ポリビニルアルコール、および有機チタン系化合物、または有機ジルコニウム化合物を含有する水溶液をポリアミド分離機能層上に塗布し加熱乾燥して、架橋ポリビニルアルコールによる保護層を形成する方法(方法C)を挙げられる。経済性、操作性の容易さ等の点から方法Bがより好ましい。
前記方法Bを用いる場合、溶液中のポリビニルアルコール濃度は、0.01〜1重量%であることが好ましく、0.1〜0.7重量%がより好ましい。溶液中のポリビニルアルコール濃度が0.01重量%以上であることは、保護層としての上述の機能を得るために好適である。また、溶液中のポリビニルアルコール濃度が1重量%以下であることは、保護層としての上述の機能と膜の透水性を両立する上で好適である。
また、多価アルデヒド濃度は、0.001〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3重量%である。
酸濃度は、0.01〜1モル/リットルの範囲内、より好ましくは0.01〜0.5モル/リットルの範囲内、さらに好ましくは0.01〜0.3モル/リットルの範囲内とするとよい。濃度が0.01モル/リットル以上であることで、触媒としての酸の機能が十分に発現される。また、酸濃度が極端に高いと架橋反応を阻害することがあるが、酸濃度が1モル/リットル以下であれば、架橋反応を妨げにくい。
保護層を形成する溶液の温度は、該溶液が液体として存在する温度範囲であれば特に制限されないが、ポリアミド分離機能層の劣化防止の観点、及び取り扱いの容易さ等から10〜90℃であることが好ましく、より好ましくは10〜60℃、特に好ましくは10〜45℃である。
前記溶液をポリアミド分離機能層上に塗工した後、乾燥処理を行う際の温度は特に制限されないが、20〜160℃程度であり、好ましくは40〜130℃であり、より好ましくは60〜120℃である。温度が20℃以上であることで乾燥処理にかかる時間が短縮され、また充分な乾燥および架橋を行うことができるので、優れた膜性能が得られる。一方、温度が160℃以下であることで、膜の構造変化による膜性能低下が抑制される。
また、複合半透膜の塩阻止性、透水性、及び耐酸化剤性等を向上させるために、従来公知の各種処理を施してもよい。
3.複合半透膜の利用
本発明の複合半透膜は、二価イオンの除去に好適に用いることができる。この複合半透膜は、例えば、カン水若しくは海水からの塩分除去またはミネラル調整、および食品分野での塩分除去またはミネラル調整などに適用可能である。
本発明の複合半透膜は、プラスチックネットなどの原水流路材と、トリコットなどの透過水流路材と、必要に応じて耐圧性を高めるためのフィルムと共に、多数の孔を穿設した筒状の集水管の周りに巻回され、スパイラル型の複合半透膜エレメントとして好適に用いられる。さらに、このエレメントを直列または並列に接続して圧力容器に収納した複合半透膜モジュールとすることもできる。
また、上記の複合半透膜やそのエレメント、モジュールは、それらに原水を供給するポンプや、その原水を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、原水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものはない。
<性能評価>
後述のバーコーターによる処理を行わずに、以下の操作を行った。
(MgSO除去率)
複合半透膜に、温度25℃、pH7.0、MgSO濃度2000mg/Lに調整した塩水を操作圧力(つまり運転圧力)0.48MPaで供給して膜ろ過処理を行なった。ろ過開始3時間後から3.5時間後まで、0.5時間にわたって透過水を採取した。供給水および透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で測定して、それぞれの実用塩分、すなわちMgSO濃度を得た。こうして得られたMgSO濃度および下記式に基づいて、MgSO除去率を算出した。
MgSO除去率(%)={1−(透過液中のMgSO濃度)/(供給液中のMgSO濃度)}×100
(NaCl除去率)
複合半透膜に、温度25℃、pH7.0、NaCl濃度500ppmに調整した評価水を操作圧力0.48MPaで供給して膜ろ過処理を行なった。ろ過開始3時間後から3.5時間後まで、0.5時間にわたって透過水を採取した。供給水および透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で測定して、それぞれの実用塩分、すなわちNaCl濃度を得た。こうして得られたNaCl濃度および下記式に基づいて、NaCl除去率を算出した。
NaCl除去率(%)=100×{1−(透過水中のNaCl濃度/供給水中のNaCl濃度)}
(膜透過流束)
前項の試験において、供給水(MgSO水溶液またはNaCl水溶液)の膜透過水量を測定し、膜面1平方メートル当たり、1日の透水量(立方メートル)に換算した値を膜透過流束(m/m/日)とした。
(2価イオン選択性)
前項の試験において求めた、MgSO除去率およびNaCl除去率を用いて、下記式に基づいて、2価イオン選択性を求めた。
2価イオン選択性=(MgSO除去率)/(NaCl除去率)
<耐擦過性評価>
・スクラッチ
バーコーター(アズワン社製No10)を通水前の複合半透膜の分離機能層側の表面に接触させながら転がし、200mm/秒の速度で通過させる操作を2回行った。
・性能変化の測定
スクラッチ後、MgSO除去率を測定した。測定方法は、上述のとおりとした。
(100−スクラッチ処理した膜の除去率)/(100−スクラッチしなかった膜の除去率)を耐擦過性の評価の指標として算出した。この値が小さい(1に近い)方が耐擦過性が高いといえる。
<複合半透膜の作製>
(参考例:ベース膜)
・参考例1
抄紙法で製造されたポリエステル繊維からなる不織布(通気度1.0cc/cm/sec)上に、ポリスルホンの15重量%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を室温(25℃)で、かつ塗布厚み180μmでキャストした後、ただちに純水中に5分間浸漬することによって基材上に多孔性支持層を形成し、多孔性支持膜を作製した。
次に、この多孔性支持膜をピペラジンが1.0重量%、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムが200ppmとなるように溶解した水溶液に10秒間浸漬した後、エアーノズルから窒素を吹き付け余分な水溶液を除去し、さらにn−デカンにトリメシン酸クロリドが0.50重量%となるように溶解した溶液を、多孔性支持層の表面全体に均一塗布した(塗布温度20℃)。次に膜から余分な溶液を除去するために、膜を垂直にして液切りを行って、送風機を使い25℃の空気を吹き付けて乾燥させた。その後、80℃の純水で2分間洗浄し、複合半透膜を得た。このようにして得られた複合半透膜について性能および耐擦過性を評価したところ、表1に示すとおりであった。
・参考例2
参考例1のピペラジンを2,5−ジメチルピペラジンに変えた以外は同様に分離機能層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表1に示す。
(保護層を有する膜)
参考例1または2の膜をベース膜として、その上に保護層を以下のとおり形成した。
〈比較例1〉
参考例1で得た膜に対し、ポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.2重量%を含む水溶液を膜表面に塗布し、熱風乾燥機にて65℃で2分間乾燥し、架橋した。その後、未架橋物や酸触媒を除去するため70℃の熱水で洗浄を行い、イソプロピルアルコールを10重量%含む水溶液に10分間接触させた後、十分に水洗を行い、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表1に示す。
〈比較例2〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をポリビニルアルコール(けん化度98%、平均重合度5000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈比較例3〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈比較例4〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をポリビニルアルコール(けん化度90%、平均重合度130,000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例5〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.2重量%の水溶液をSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)0.02重量%とポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度5500)0.18重量%を含む水溶液に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈比較例6〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.2重量%の水溶液をポリビニルアルコール(けん化度89%、平均重合度25,000)0.02重量%とポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.18重量%を含む水溶液に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例1〉
比較例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.2重量%の水溶液をSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)0.02重量%とポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度5500)0.18重量%を含む水溶液に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例2〉
実施例1のSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)をSELVOL125(けん化度99.3%以上、平均重合度85000〜124000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例3〉
実施例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度5000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例4〉
実施例3のSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)をSELVOL125(けん化度99.3%以上、平均重合度85000〜124000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例5〉
参考例2で得た膜に対し、SELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)0.02重量%とポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)0.18重量%を含む水溶液を膜表面に塗布し、熱風乾燥機にて65℃で2分間乾燥し、架橋した。その後、未架橋物や酸触媒を除去するため70℃の熱水で洗浄を行い、イソプロピルアルコールを10重量%含む水溶液に10分間接触させた後、十分に水洗を行い、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例6〉
実施例5のSELVOL205(けん化度87〜89%、平均重合度31000〜50000)をSELVOL125(けん化度99.3%以上、平均重合度85000〜124000)に変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例7〉
実施例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をグリセリンに変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
〈実施例8〉
実施例1のポリビニルアルコール(けん化度88%、平均重合度500)をジグリセリンに変えた以外は同様に保護層を形成し、複合半透膜を得た。この膜の評価結果を表3に示す。
Figure 2020049468
Figure 2020049468
Figure 2020049468
表1、表3の結果から明らかなように、本発明の複合半透膜を用いることによって2価イオン(特に、硫酸イオン)を選択的にかつ高度に除去することができ、耐擦過性が高い。
本発明は、逆浸透膜、ナノ濾過膜等の半透膜に利用可能である。特に、脂肪族アミン由来のモノマー成分を含むポリアミドにより形成された分離機能層を有する半透膜はナノ濾過膜として利用可能であり、海水から2価イオン(特に、硫酸イオン)を選択的に除去することができる。そのため、海底油田から水注入法により効率的に原油を回収する際に、スケールの発生、および原油品質の低下を効果的に防止可能な注入水を、高回収率かつ安定的に海水から供給することができる。

Claims (5)

  1. 基材および多孔性支持層を含む支持膜と、
    前記多孔性支持層上に設けられ、かつ多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重合物であるポリアミドを含有する分離機能層と、
    前記分離機能層上に設けられ、かつ重量平均分子量5000以下の親水性ポリマー(A)、および重量平均分子量30000以上の親水性ポリマー(B)を含む保護層を備えることを特徴とする複合半透膜。
  2. 前記保護層の厚みが300 nm以上であることを特徴とする請求項1に記載の複合半透膜。
  3. 前記ポリマー(B)に対するポリマー(A)の質量比が9以上である請求項1または2に記載の複合半透膜。
  4. 前記親水性ポリマー(B)がポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリビニルピロリドンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合半透膜。
  5. 前記多官能アミンが脂肪族アミンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合半透膜。
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