JPH0614154Y2

JPH0614154Y2 - ダブルメカニカルシール型軸封装置

Info

Publication number: JPH0614154Y2
Application number: JP1079789U
Authority: JP
Inventors: 秀和高橋
Original assignee: Eagle Industry Co Ltd
Current assignee: Eagle Industry Co Ltd
Priority date: 1989-02-02
Filing date: 1989-02-02
Publication date: 1994-04-13
Anticipated expiration: 2004-02-02
Also published as: JPH02102077U

Description

【考案の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本考案は、２組のメカニカルシールを備えたダブルメカ
ニカルシール型の軸封装置に関する。

〔従来の技術〕

従来から、ダブルメカニカルシール型軸封装置の一種
に、第４図に示すような構造のものがある。

すなわちこの軸封装置は、径方向に互いに重なり合った
位置関係にある２組のメカニカルシール(104)(105)を備
えており、内径側メカニカルシール(104)のシールリン
グ(104a)および外径側メカニカルシール(105)のシール
リング(105a)は非回転であって、ともにハウジング(10
1)側に気密的に支持され、また、内径側メカニカルシー
ル(104)のメイティングリング(104b)および外径側メカ
ニカルシール(105)のメイティングリング(105b)は回転
軸(102)と一体回転するものであって、ともにハウジン
グ(101)と軸方向に対向して回転軸(102)に外装されたカ
ラー(103)に気密的に支持され、それぞれ両リング(104
a)と(104b)、(105a)と(105b)同士が対接して密封摺動面
(104c)(105c)を形成している。

ハウジング(101)には、該ハウジング(101)、カラー(10
3)および両メカニカルシール(104)(105)で囲まれた空間
(106)へ、外部の循環装置によって油などの中間液を循
環供給して密封摺動面(104c)(105c)における摺動熱や不
純物の除去（以下、フラッシングという）を行なうため
の注入孔(107)および抽出孔(108)が周方向における異な
る位置に設けられている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかし、中間液によるフラッシングを有効になすために
は、注入孔(107)から空間(106)へ流入し、その後抽出孔
(108)へ流出する中間液に、密封摺動面(104c)(105c)近
傍を経由してカラー(103)側で折り返すような顕著な流
れが形成されることが必要であるが、上記従来構造によ
ると、ハウジング(101)の注入孔(107)から空間(106)へ
流入した中間液の大半は密封摺動面(104c)(105c)近傍に
達しないまま、抽出孔(108)から流出してしまうことに
なり、十分なフラッシング効果が得られなかった。ま
た、空間(106)へ中間液を強制的に注入抽出するための
循環装置を、外部に設置する必要があった。

本考案は、このような事情から、両メカニカルシールへ
のフラッシングを効率よく行なうことを目的としてなさ
れたものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため、本考案の第１請求項に係るダ
ブルメカニカルシール型軸封装置は、ハウジングと、こ
のハウジングと軸方向に対向して回転軸に外装されたカ
ラーとの間に、径方向に互いに重なり合った位置関係に
ある内径側、外径側の２組のメカニカルシールを配置
し、ハウジング、カラーおよび両メカニカルシールで囲
まれた空間を、ハウジングとカラーの間を軸方向に延び
るバッフルスリーブで内径室と外径室とに分離し、ハウ
ジングに内径室へ開口する中間液の注入孔および外径室
へ開口する中間液の抽出孔を設けるとともに、カラーに
内径室と外径室とを連通し回転に伴なって外径側へのポ
ンプ力を生じるポンピング手段を設けたことを特徴とす
るものである。

また、本考案の第２請求項に係るダブルメカニカルシー
ル型軸封装置は、上記第１請求項の記載において、ポン
ピング手段が、両メカニカルシール間に位置してカラー
に設けたポンピングリングに、径方向または径方向に対
して適当に傾斜した方向に穿設した所要数のポンピング
孔であることを特徴とするものである。

また、本考案の第３請求項に係るダブルメカニカルシー
ル型軸封装置は、上記第１または第２請求項の記載にお
いて、抽出孔の開口に近接した位置にあって、この開口
から見て軸回転方向への中間液の流れにおける下流側
に、流体を前記開口へ導く邪魔板を設けたことを特徴と
するものである。

さらにまた、本考案の第４請求項に係るダブルメカニカ
ルシール型軸封装置は、上記第１、第２または第３請求
項の記載において、バッフルスリーブが、内径側メカニ
カルシールの密封摺動面の近傍と対応した部分において
適宜小径に形成されていることを特徴とするものであ
る。

〔作用〕

本考案の第１請求項の構成によると、ハウジング、カラ
ーおよびこれらハウジングとカラーの間に径方向に互い
に重なり合った位置関係に配置された２組のメカニカル
シールで囲まれた空間は、バッフルスリーブによって、
注入孔が開口した内径室と、抽出孔が開口した外径室に
分離しており、軸回転とともにカラーが回転することに
よって、カラーに設けたポンピング手段による内径室か
ら外径室への中間液の流れが誘起されるため、注入孔か
らの中間液が内径側メカニカルシール外周に接する内径
室、ポンピング手段、外径側メカニカルシール内周に接
する外径室を経由して効率よくフラッシングを行ない、
抽出孔より流出する。

第２請求項は、上記ポンピング手段を、カラーに設けた
ポンピングリングにポンピング孔を穿設した構成のもの
に限定したものであって、カラーとともにポンピングリ
ングが回転することによって、ポンピング孔内で外径側
への中間液の流れが誘起されるため、このポンピング孔
の外径端からの中間液を、外径側メカニカルシールの密
封摺動面近傍へ噴出させることができる。

また、第３請求項の構成によると、カラー側から外径室
へ流入し軸回転方向に回転流動しつつハウジング側へ向
かう中間液を、邪魔板が抽出孔の開口へ案内するので、
中間液の円滑な流れを実現できる。

さらに、第４請求項によると、注入孔から流入して内径
室内をカラー側（ポンピング手段側）へ向かう中間液の
流れが、バッフルスリーブに形成した小径の部分によっ
て内径側メカニカルシールの密封摺動面近傍を通るよう
案内される。

〔実施例〕

以下、本考案のダブルメカニカルシール型軸封装置を、
第１図ないし第３図に示す一実施例を参照しながら説明
する。

まず第１図において、(1)は機器のハウジング、(2)はこ
のハウジング(1)の内周に回転自在に挿通された回転
軸、(3)はハウジング(1)と軸方向に対向して回転軸(1)
の外周に固着されたカラーである。

ハウジング(1)とカラー(3)の対向面間には、径方向に互
いに重なり合った位置関係で配置された小径、大径の２
組のメカニカルシール(4)(5)が装着されている。両メカ
ニカルシール(4)(5)のシールリング(41)(51)は、それぞ
れ回り止めがなされた状態でＯリング(42)(52)を介して
ハウジング(1)に気密的に支持されているとともに、ば
ね(43)(53)でカラー(3)側へ付勢されており、また、両
メカニカルシール(4)(5)のメイティングリング(44)(54)
は、それぞれＯリング(45)(55)を介してカラー(3)に気
密的に支持されているとともに、ドライブピン(46)(56)
を介してカラー(3)と周方向に係合して回転軸(2)および
カラー(3)と一体回転するようになっており、上記シー
ルリング(41)(51)と互いに対接して密封摺動面(47)(57)
を形成している。

ハウジング(1)には、両メカニカルシール(4)(5)の間に
位置してバッフルスリーブ(6)が固定されており、この
バッフルスリーブ(6)は、ハウジング(1)、カラー(3)お
よび両メカニカルシール(4)(5)で囲まれた環状の空間
を、内径室(7)と外径室(8)に分離するように、カラー
(3)側へ向けて軸方向に延びている。また、ハウジング
(1)には、内径室(7)に開口する注入孔(9)および外径室
(8)に開口する抽出孔(10)が穿設されており、バッフル
スリーブ(6)におけるハウジング(1)との固定面である外
径鍔部(61)には、抽出孔(10)を塞がないように切欠(62)
が形成されている。そして内径側メカニカルシール(4)
の密封摺動面(47)の外周側に位置するバッフルスリーブ
(6)の端部には、環状段差部(64)を介して小径部(63)が
形成されており、この小径部(63)の内径は内径側メカニ
カルシール(4)のシールリング(41)の外径よりも小径と
なっている。

一方、カラー(3)におけるハウジング(1)側の面には、両
メカニカルシール(4)(5)のメイティングリング(44)(54)
の間に位置して、ポンピングリング(11)が突設形成され
ており、このポンピングリング(11)とその内径側に位置
する上記バッフルスリーブ(6)の小径部(63)との間の隙
間は、パッキング(13)で密封されている。ポンピングリ
ング(11)の周方向等配箇所には、内径室(7)と外径室(8)
とを連通するポンピング孔(12)が形成されている。そし
てこのポンピング孔(12)は、その内径端(12a)が内径室
(7)におけるカラー(3)側の端部に臨んで開口しており、
その外径端(12b)が外径室(8)における外径側メカニカル
シール(5)の密封摺動面(57)近傍に臨んで開口してお
り、かつ第２図に示すように、ポンピングリング(11)の
端面側から見て、外径方向に向かって反回転方向へ傾斜
するように延びている。

(14)はバッフルスリーブ(6)の外周に一体に固設した邪
魔板で、外径室(8)を周方向に対して概略的に仕切るよ
うに存在し、第３図に示すように、外径鍔部(61)の切欠
(62)から見て、すなわち抽出孔(10)の開口(10a)から見
て、回転軸(2)の回転方向への後記する中間液の流れに
おける下流側であって、上記切欠(62)（開口(10a)）の
近傍に位置している。(15)は外径側メカニカルシール
(5)のシールリング(51)の抜け止めを行なうスナップリ
ングである。

本実施例は、以上のように構成され、内径室(7)および
外径室(8)内には注入孔(9)を通じて外部から油などの中
間液が導入されている。そして、回転軸(2)が回転する
と、カラー(3)、該カラー(3)に一体に設けられたポンピ
ングリング(11)、両メカニカルシール(4)(5)のメイティ
ングリング(44)(54)は、上記回転軸(2)と一体回転す
る。

このとき、ポンピング孔(12)内には、回転に伴ない、ポ
ンピング孔(12)が外径方向に向かって反回転方向へ傾斜
していることによるスパイラル効果および遠心力によっ
て、第１図および第２図に矢印(A)で示すように、中間
液を外径側へ流動させるポンプ力が発生する。このた
め、注入孔(9)から内径室(7)へ流入した中間液は、ポン
ピング孔(12)の内径端(12a)に吸引されて内径室(7)内を
カラー(3)側へ向けて流動し、その途中、バッフルスリ
ーブ(6)の環状段差部(64)および小径部(63)に案内され
て内径側メカニカルシール(4)の密封摺動面(47)近傍を
通過する。そして、ポンピング孔(12)へ吸い込まれた中
間液は、外径室(8)における外径側メカニカルシール(5)
の密封摺動面(57)近傍へ噴出する。バッフルスリーブ
(6)と、カラー(3)と一体のポンピングリング(11)の間は
パッキング(13)によって密封されているので、外径室
(8)へ流入した中間液が内径室(7)へ漏れることはなく、
さらに、この外径室(8)内で軸回転方向への中間液の流
れは、第３図に矢印(B)で示すように邪魔板(14)によっ
て軸方向への流れに変えられ、この邪魔板(14)近傍の上
流側に位置する切欠(62)における抽出孔(10)の開口(10
a)へ向かって流出する。

すなわち本実施例によると、注入孔(9)から吸入された
中間液が、内径側メカニカルシール(4)の外周および外
径側メカニカルシール(5)の内周に接するように流動
し、密封摺動面(47)(57)で発生する熱や不純物等を十分
に除去して抽出孔(10)より吐出されるので、効率のよい
フラッシングが行なわれる。そして、邪魔板(14)が、外
径室(8)における中間液の流れを抽出孔(10)側へ案内し
て円滑な吐出を促す作用をなすので、多流量、高揚程が
得られる。また、バッフルスリーブ(6)に形成した環状
段差部(64)および小径部(63)は、内径室(7)内における
中間液の流れを密封摺動面(47)側へ案内する作用のほ
か、小径部(63)の内径は内径側メカニカルシール(4)の
シールリング(41)の外径よりも小径となっているため、
組付けの際などに、シールリング(41)、Ｏリング(42)、
ばね(43)の脱落を防止する作用を有する。

なお、ポンピング孔(12)の数や反回転方向への傾斜度等
は任意であり、放射状であってもよい。その他各部の形
状等についても、図示のものにとくに限定するものでは
ない。

〔考案の効果〕

以上説明したとおり、本考案は、径方向に互いに重なり
合った位置関係で２組のメカニカルシールを有するダブ
ルメカニカルシールにおいて、中間液の循環供給による
摺動熱除去等フラッシング効果を十分に高め、しかもポ
ンピング手段を内蔵しているので外部に循環供給装置を
設置する必要がなく、邪魔板による吐出中間液の誘導作
用により、多流量、高揚程が得られ、実施例フラッシン
グ効果の更なる向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す半断面図、第２図は同
じくポンピングリングの部分正面図、第３図は同じくバ
ッフルスリーブの部分斜視図、第４図は従来構造の一例
を示す半断面図である。 (1)……ハウジング、(2)……回転軸、(3)……カラー (4)……内径側メカニカルシール (5)……外径側メカニカルシール (6)……バッフルスリーブ、(63)……小径部 (7)……内径室、(8)……外径室、(9)……注入孔 (10)……抽出孔、(10a)……開口 (11)……ポンピングリング、(12)……ポンピング孔 (14)……邪魔板

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ハウジングと、このハウジングと軸方向に
対向して回転軸に外装されたカラーとの間に、径方向に
互いに重なり合った位置関係にある内径側、外径側の２
組のメカニカルシールを配置し、ハウジング、カラーお
よび両メカニカルシールで囲まれた空間を、ハウジング
とカラーの間を軸方向に延びるバッフルスリーブで内径
室と外径室とに分離し、ハウジングに内径室へ開口する
中間液の注入孔および外径室へ開口する中間液の抽出孔
を設けるとともに、カラーに内径室と外径室とを連通し
回転に伴なって外径側へのポンプ力を生じるポンピング
手段を設けたことを特徴とするダブルメカニカルシール
型軸封装置。
【請求項２】ポンピング手段が、両メカニカルシール間
に位置してカラーに設けたポンピングリングに、径方向
または径方向に対して適当に傾斜した方向に穿設した所
要数のポンピング孔であることを特徴とする請求項１に
記載のダブルメカニカルシール型軸封装置。
【請求項３】抽出孔の開口に近接した位置にあって、こ
の開口から見て軸回転方向への中間液の流れにおける下
流側に、流体を前記開口へ導く邪魔板を設けたことを特
徴とする請求項１または２に記載のダブルメカニカルシ
ール型軸封装置。
【請求項４】バッフルスリーブが、内径側メカニカルシ
ールの密封摺動面の近傍と対応した部分において適宜小
径に形成されていることを特徴とする請求項１、２また
は３に記載のダブルメカニカルシール型軸封装置。