JPH06136493A - 直流バット溶接用高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法とその溶接方法 - Google Patents

直流バット溶接用高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法とその溶接方法

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JPH06136493A
JPH06136493A JP30958592A JP30958592A JPH06136493A JP H06136493 A JPH06136493 A JP H06136493A JP 30958592 A JP30958592 A JP 30958592A JP 30958592 A JP30958592 A JP 30958592A JP H06136493 A JPH06136493 A JP H06136493A
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welding
alloy
squeeze pressure
strength
hot water
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JP30958592A
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English (en)
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Manabu Nakai
学 中井
Shoshi Koga
古賀詔司
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 安価なアルミ2ピースホイスを製作する、高
い溶接継手強度が得られる遅効性Al−Mg−Si系合金
の製造方法とその溶接方法。 【構成】 重量%で、Mg:0.4〜1.2、Si:0.6
〜1.2、且つMg/Si:1.0以下、Cu:0.1〜1.
0、Ti:0.005〜0.5、B:0.0005〜0.0
5を含有し、更にMn:0.05〜0.6、Cr:0.05
〜0.3及びZr:0.05〜0.2のうちの1種以上を含
有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるAl−Mg
−Si系合金において、所定の製品厚さまで圧延後、4
75〜55℃に加熱し、所定時間保持後、(1)45〜6
5℃の温湯中に投入し、(2)70℃以上の温湯中に投入
して1〜10時間保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高い溶接継手強度が得ら
れる直流バット溶接用高強度遅効性Al−Mg−Si系合
金の製造方法とその溶接方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム板材を使用した自動車用2
ピースホイールのリムは、現状素材として非熱処理型A
l−Mg系合金(軟質材)の板材を用いて、主に円筒成形→
フラッシュバット溶接→ロールフォーミングの製造工程
によって低コストで生産されている。
【0003】近年、自動車の高性能化及び軽量化のため
にホイールの薄肉化が強く求められており、Al−Mg系
合金を上回る強度を有する合金として、熱処理型合金で
あるAl−Mg−Si系の規格合金6061が一部で検討
されている。6061合金は強度は高いものの成形性が
劣るため、軟質材を所定のホイール形状に仕上げた後、
溶体化・焼入れ及びT6処理を行う必要がある。このた
め、ホイール製造メーカーにとっては軟質材をホイール
成形加工するだけで製品になる非熱処理型Al−Mg系合
金に比べ、6061合金は加熱処理が更に必要となるた
め、製造コストが著しく高くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年の自動車軽量化の
要求はアルミホイールの更なる軽量化を求めているが、
自動車の高性能化及びそのスポーツ指向はタイヤに偏平
化を要求し、その結果、ホイールは大径化し、ホイール
重量は増大しつつあり、高強度な素材を使用することに
よって、ホイールの薄肉軽量化が早急に求められてい
る。
【0005】また、タイヤの偏平化はタイヤの衝撃吸収
性能を低下させ、更にホイール大径化は必然的に走行時
における縁石等へのホイールの衝突頻度を増大させるた
め、ホイールの高強度化が更に求められている。
【0006】これらのアルミホイールの軽量化及び高強
度化の要求には、ホイール素材に現状のAl−Mg系合金
を上回る強度が強く求められている。
【0007】また、自動車の軽量化の要求からホイール
全体に占めるアルミホイールの割合は、近年、増大しつ
つあるが、現状主な自動車ホイールである2ピースホイ
ールはその殆どが安価に製作できる鉄製リムが使用され
ており、アルミ2ピースホイールにおいても安価に製作
できる方法が求められている。
【0008】本発明は、かかる要請に応えて、特にAl
−Mg系合金を使用した現状のアルミ2ピースホイール
よりも高い強度を有するアルミ2ピースホイールを安価
に製作する方法を実現すべく、高い溶接継手強度が得ら
れる遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法を提供し、
またその溶接方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、先に特願平
3−42598号「スピニング加工に優れるホイール用
の遅効性Al−Mg−Si系合金とその製造法」にて、素
材メーカーで溶体化及び焼入れを終了しておき、ホイー
ルメーカーではスピニング加工後T6時効を施すだけで
高強度薄肉ホイールが得られる製造方法を提案した。こ
れによれば、溶体化焼入れ後、室温において5ヶ月以上
の長期間放置後においても時効硬化の程度が小さいた
め、スピニング加工が可能であり、且つ優れた加工表面
を優し、その後のT6人工時効にて自動車ホイールに必
要な強度が得られる。
【0010】一方、現状、鉄製自動車用ホイール製造時
に使用される溶接法はフラッシュバット溶接から、より
高速な溶接が可能で生産性が高くバリ発生が少ない直流
バット(DC−Butt)溶接に移行しつつある。しかしな
がら、アルミニウム板の直流バット溶接は非常に難しく
企業化ができなかった。
【0011】この問題を解決するために、本発明者は先
に特願平3−268813号「直流バット溶接用高力ア
ルミニウム合金」にて、材料、溶接条件を鋭意選定する
ことによって、高力アルミニウム合金においても、健全
なる品質の直流バット溶接継手を得ることができること
を提案した。
【0012】そこで、本発明者は、前記課題を解決する
ために、先の2つの提案を更に発展させ、Al−Mg−S
i系合金の成分組成及び焼入れ条件並びに溶接方法及び
条件について総合的に研究を重ねた結果、先の提案に係
るホイール用遅効性Al−Mg−Si系合金が直流バット
溶接用として新たな用途に適用可能であること、またそ
の際の固有の直流バット溶接条件を見出し、ここに本発
明を完成したものである。
【0013】すなわち、本発明は、必須成分として、M
g:0.4〜1.2%、Si:0.6〜1.2%、且つMg/
Si:1.0以下、Cu:0.1〜1.0%、Ti:0.00
5〜0.5%、B:0.0005〜0.05%を含有し、
更にMn:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜0.3%及
びZr:0.05〜0.2%のうちの1種又は2種以上を
含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるAl−M
g−Si系合金において、熱間圧延或いは冷間圧延を行
い、所定の製品厚さまで調整後、475〜550℃に加
熱し、所定の時間保持後、(1)45℃以上65℃以下の
温湯中に投入し、30分以上保持後、80℃以上の温湯
中に再投入して1時間以上12時間以下保持するか、
(2)或いは70℃以上の温湯中に投入して1時間以上1
0時間以下保持することを特徴とする遅効性を出現でき
高い直流バット溶接継手強度が得られる直流バット溶接
用高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法を要旨
とするものである。
【0014】また、他の本発明は、上記方法により製造
されたAl−Mg−Si系合金について、以下の条件にて
直流バット溶接を行うことを特徴とする高強度遅効性A
l−Mg−Si系合金の溶接方法を要旨とするものであ
る。 溶接電流:120〜360A/mm2、 溶接サイクル:10〜100Hz、 スクィズ加圧力:図1に示すA点(スクィズ加圧力1
1kgf/mm2、溶接電流120A/mm2)、B点(スクィズ
加圧力2kgf/mm2、溶接電流120A/mm2)、C点(ス
クィズ加圧力4kgf/mm2、溶接電流360A/mm2)及び
D点(スクィズ加圧力15kgf/mm2、溶接電流360A
/mm2)を結ぶ線で囲まれた範囲内のスクィズ加圧力、 アプセット圧力:溶接時にスクィズ加圧力に加えた圧
力増分0〜15kgf/mm2
【0015】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
【作用】
【0017】直流バット溶接は、接合部を突き合わせて
通電し、接合端面の接触抵抗により発熱、溶融させると
同時に加圧接合する溶接法である。このため、従来の自
由凝固による溶融溶接が不可能な化学成分の材料におい
ても、溶接条件を選定すれば、溶接接合が可能である。
【0018】この直流バット溶接は、溶接時に発生する
バリが少なく、また溶接時間が短いなど、生産性が高い
方法である。現在、鉄の溶接には一部適用が始まってい
るが、アルミニウム合金では殆ど実績がない。これは、
溶接部を均一発熱させることが非常に難しく、溶接時に
轟音が発生したり、融合不良が発生し易いこと、またこ
れらに及ぼす合金成分の影響が大きく、これまで良好な
溶接継手を得ることはできなかった。
【0019】かかる背景のもとに、本発明者は鋭意研究
を重ねた結果、材料、溶接条件の適切な選定により、A
l−Mg−Si系合金においても、健全なる品質の直流バ
ット溶接継手を得ることができることを見い出したもの
である。
【0020】まず、本発明の直流バット溶接に供される
高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法について
説明する。化学成分及び製造条件の限定理由は以下のと
おりである。
【0021】Mg、Si:Al−Mg−Si系合金は、溶体
化・焼入れ及びT6の人工時効にて、Mg2Siの化合物
を析出させ高強度を得るものであり、Mg2Siのサイズ
と密度によって強度が決定される。6061合金はSi
に対するMgの比がほぼ2であるが、本発明では、拡散
速度が速いMgのSiに対する比を1以下と低くし、室温
時効の進行を遅くした。また溶体化後、45℃以上65
℃以下の温湯中に投入し、30分以上保持後、80℃以
上の温湯中に再投入して1時間以上12時間以下保持す
るか、或いは70℃以上の温湯中に投入して1時間以上
10時間以下保持することによって、T6の人工時効時
に強化に関与する安定なクラスターを生成させ、水焼入
れ及び室温時効により生じるT6の人工時効時に強化の
関与が小さいと推定される不安定なクラスターの生成量
を減少させることにある。
【0022】しかし、Mg添加量が0.4%未満、Si添
加量が0.6%未満では、T6人工時効後においても、
強度が低く、一方、Mg添加量が1.2%を、またSi添
加量が1.2%をそれぞれ超えると成形に要する強度が
高く成形加工が困難である。よって、Mg量は0.4〜
1.2%、Si量は0.6〜1.2%の範囲とする。
【0023】Cu:Cuは強度向上に寄与する元素であ
る。しかし、Cu添加量が0.1%未満では強度が低く、
また1.0%を超えると耐食性が低下する。したがっ
て、Cu量は0.1〜1.0%の範囲とする。
【0024】Ti、B:Tiを0.005%以上0.5%以
下、Bを0.0005%以上0.05%以下で添加するこ
とにより、鋳塊の結晶粒を微細化し、ロール成形加工時
の表面肌荒れ程度を極力小さくすることができる。しか
し、Ti及びBの添加量がそれぞれ0.005%、0.0
005%より少なくてはその効果がなく、またそれぞれ
0.5%、0.05%より多くては効果が飽和し、巨大化
合物が発生する。よって、Ti量は0.005〜0.5
%、B量は0.0005〜0.05%の範囲とする。
【0025】Mn、Cr、Zr:Mn、Cr、Zrは結晶粒の
微細化、強度、電気抵抗の上昇による溶接性の向上に寄
与する元素であるが、それぞれ0.05%、0.05%、
0.05%より少なくてはその効果が少なく、溶接時に
割れが発生し易くなる。一方、それぞれ0.6%、0.3
%、0.2%より多くては粗大金属間化合物が生成し、
成形性、靭性が低下する。よって、Mn量は0.05〜
0.6%、Cr量は0.05〜0.3%、Zr量は0.05〜
0.2%の範囲とする。但し、これらのMn、Cr、Zrは
少なくとも1種を添加すれば足りる。
【0026】上記化学成分を有するAl−Mg−Si系合
金は、常法により熱間圧延又は冷間圧延を行って所定の
厚さまで調整した後、溶体化・焼入れを施すが、その条
件は以下の条件とする。
【0027】まず、溶体化のために475〜550℃に
加熱する。この温度に所定時間保持した後、45℃以上
65℃以下の温湯中に投入し、30分以上保持後、80
℃以上の温湯中に再投入して1時間以上12時間以下保
持するか、或いは70℃以上の温湯中に投入して1時間
以上12時間以下保持することによって、T6の人工時
効時に強化に関与する安定なクラスターを生成させ、水
焼入れ及び室温時効により生じるT6の人工時効時に強
化の関与が小さいと推定される不安定なクラスターの生
成量を減少させる。これにより、室温時効での時効の進
行が遅くなり(遅効性)、ロール成形加工が可能となり且
つ優れた加工表面が得られ、T6人工時効にて自動車オ
イールに必要な強度が得られる。また溶体化・焼入れ後
直流バット溶接により高い継手強度が得られる。
【0028】次に直流バット溶接の溶接条件について説
明する。
【0029】溶接条件は、溶接電流(120〜360A
/mm2)に対して図1の斜線領域内のスクィズ加圧力、す
なわち、A点(スクィズ加圧力11kgf/mm2、溶接電流
120A/mm2)、B点(スクィズ加圧力2kgf/mm2、溶
接電流120A/mm2)、C点(スクィズ加圧力4kgf/mm
2、溶接電流360A/mm2)及びD点(スクィズ加圧力1
5kgf/mm2、溶接電流360A/mm2)を結ぶ線によって
囲まれる範囲内の加圧力のもと、溶接サイクル10〜1
00サイクルで溶接し、次いで溶接時のスクィズ加圧力
に加えた圧力増分、すなわち、アプセット圧力0〜15
kgf/mm2を付加して溶接する。
【0030】ここで、図1に示す範囲外では、溶接時に
融合不良、内部ラメラー状のミクロ割れ、溶融金属の飛
散等の欠陥が生じたり、更には溶接部近傍に座屈が生じ
る可能性がある。
【0031】すなわち、スクィズ加圧力が不足すると、
安定した接触抵抗が得られずに、溶接時に溶融金属に飛
散と共に轟音を発生し、健全なる溶接部を得ることがで
きない。逆に、スクィズ加圧力が高すぎると、接合部の
接触抵抗が小さくなりすぎて界面の溶融が悪くなり、融
合不良の欠陥が生じたり、材料に座屈を生じ易くなり良
好な溶接部が得られなくなる。
【0032】また、電流密度が大きすぎると、入熱過大
となり、ラメラー状のミクロ割れが発生し易くなる。逆
に、電流密度が低すぎると電流不足のため継ぎ合わせ部
の溶融が起こらず、良好な継手が作成できない。
【0033】溶接サイクルであるが、10サイクル未満
では接合部の溶融に必要な時間がとれず、融合不良が発
生したり、加圧力が高い場合に座屈を生ずる。また、1
00サイクルを超えると、溶接部が加熱され溶融金属量
が多くなり、余盛が多くなったり時間も長くなり、経済
的にも実用的でない。
【0034】一方、アプセット圧力はスクィズ加圧力を
かけて接合した溶接部の界面を含む溶融部を押し出し、
内部欠陥を除去するためにスクィズ加圧力に更に加えら
れるが、スクィズ加圧力が高い場合は1段でも良いが、
圧力が6kgf/mm2未満では内部の溶融部が完全に押し出
されず、巻き込み状の欠陥が残ったり、素材にラメラー
状のミクロ割れ等の欠陥が残る場合があるので、6kgf
/mm2以上が望ましい。各条件で安定した溶接部を得る
ためには、スクィズ加圧力をかけて溶接後、必ずアプセ
ット圧力をかけておく方が望ましい。アプセット圧力が
15kgf/mm2を超えると溶融金属を押し出すには問題な
いが、加圧力が高いため材料に座屈を生じたり、アプセ
ット代も大きくなり易く且つ大加圧装置が必要であり、
実用的でない。
【0035】次に本発明の実施例を示す。
【0036】
【実施例1】
【0037】表1に示す化学成分を有するアルミニウム
合金鋳塊について、表2に示す条件にて、均熱処理を行
い、圧延にて得られた5mm厚の板材に、表3に示す条件
で溶体化・焼入れを行った。焼入れ後、室温にて120
日間放置した後の板材の機械的性質、及び板材に対して
表2に示す条件にて人工時効した後の機械的性質を表4
に示す。また焼入れ後室温にて120日間放置した後の
板材に対するロール成形加工の結果を同様に表4に示
す。
【0038】表4に示すように、本発明合金No.1〜N
o.4の化学成分を有するアルミニウム合金を本発明条件
1にて溶体化・焼入れすることにより、比較条件1にて
溶体化・焼入れする場合に比べて焼入れ後の室温での時
効硬化の程度が小さく、且つ120日後の人工時効によ
って比較条件1にて溶体化・焼入れする場合よりも高強
度な機械的性質が得られることが明らかである。また、
室温放置後、120日後のロール成形加工の結果は、本
発明合金No.1〜No.4に示す化学成分を有するアルミ
ニウム合金に対して本発明条件1による溶体化・焼入れ
を行った場合のみ良好な肌を有するロール成形加工が可
能なことを示すものである。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【実施例2】
【0044】表1に示す化学成分を有するアルミニウム
合金鋳塊を表2に示す条件にて均熱処理を行い、圧延に
て得られた5mm厚の板材に、表3の条件で溶体化・焼入
れを行った。焼入れ後、室温にて120日間放置した後
の板材より、198mm幅×100mmの短冊板に切断後、
表5に示す条件にて溶接を行った後の溶接継手部のミク
ロ組織及び機械的性質を調査した結果を表5に併記す
る。また、溶接後ロール成形加工を行った後の溶接部ト
リム後の切削表面状況の調査結果も同様に表5に併記す
る。
【0045】本発明範囲内の化学成分を有し、且つ溶体
化・焼入れを行ったアルミニウム合金を、本発明条件に
て直流バット溶接を行うことによって、優れたミクロ組
織を有し、高強度な溶接継手を実現することができ、且
つロール成形加工後においても良好な溶接継手を実現す
ることができる。
【0046】
【表5】
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
Al−Mg−Si系合金において溶体化・焼入れ後、直流
バット溶接を行うことにより高い継手強度を安価に得ら
れ、且つ溶体化・焼入れ後、室温にて5ヶ月以上の長期
間放置後においても時効硬化の程度が小さいためにロー
ル成形加工が可能であり、且つ優れた加工表面を実現
し、T6の人工時効にて自動車用ホイールに必要な強度
が得られるため、高強度な自動車用ホイールを安価に生
産することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】適正な溶接電流条件とスクィズ加圧力の関係を
示す図で、A点(スクィズ加圧力11kgf/mm2、溶接電
流120A/mm2)、B点(スクィズ加圧力2kgf/mm2
溶接電流120A/mm2)、C点(スクィズ加圧力4kgf/
mm2、溶接電流360A/mm2)及びD点(スクィズ加圧力
15kgf/mm2、溶接電流360A/mm2)を結ぶ線で囲ま
れた範囲内が本発明範囲を示している。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、必須成分とし
    て、Mg:0.4〜1.2%、Si:0.6〜1.2%、且つ
    Mg/Si:1.0以下、Cu:0.1〜1.0%、Ti:0.
    005〜0.5%、B:0.0005〜0.05%を含有
    し、更にMn:0.05〜0.6%、Cr:0.05〜0.3
    %及びZr:0.05〜0.2%のうちの1種又は2種以
    上を含有し、残部がAlと不可避的不純物とからなるAl
    −Mg−Si系合金において、熱間圧延或いは冷間圧延を
    行い、所定の製品厚さまで調整後、475〜550℃に
    加熱し、所定の時間保持後、(1)45℃以上65℃以下
    の温湯中に投入し、30分以上保持後、80℃以上の温
    湯中に再投入して1時間以上12時間以下保持するか、
    (2)或いは70℃以上の温湯中に投入して1時間以上1
    0時間以下保持することを特徴とする遅効性を出現でき
    高い直流バット溶接継手強度が得られる直流バット溶接
    用高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法により製造された
    Al−Mg−Si系合金について、以下の条件にて直流バ
    ット溶接を行うことを特徴とする高強度遅効性Al−Mg
    −Si系合金の溶接方法。 溶接電流:120〜360A/mm2、 溶接サイクル:10〜100Hz、 スクィズ加圧力:図1に示すA点(スクィズ加圧力1
    1kgf/mm2、溶接電流120A/mm2)、B点(スクィズ
    加圧力2kgf/mm2、溶接電流120A/mm2)、C点(ス
    クィズ加圧力4kgf/mm2、溶接電流360A/mm2)及び
    D点(スクィズ加圧力15kgf/mm2、溶接電流360A
    /mm2)を結ぶ線で囲まれた範囲内のスクィズ加圧力、 アプセット圧力:溶接時にスクィズ加圧力に加えた圧
    力増分0〜15kgf/mm2
JP30958592A 1992-10-23 1992-10-23 直流バット溶接用高強度遅効性Al−Mg−Si系合金の製造方法とその溶接方法 Pending JPH06136493A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022512990A (ja) * 2018-11-12 2022-02-07 ノベリス・インコーポレイテッド 急速に時効した高強度かつ熱処理可能なアルミニウム合金製品、及びそれを製造する方法

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