JP2711957B2 - アプセットバット溶接用アルミニウム合金材 - Google Patents

アプセットバット溶接用アルミニウム合金材

Info

Publication number
JP2711957B2
JP2711957B2 JP3358726A JP35872691A JP2711957B2 JP 2711957 B2 JP2711957 B2 JP 2711957B2 JP 3358726 A JP3358726 A JP 3358726A JP 35872691 A JP35872691 A JP 35872691A JP 2711957 B2 JP2711957 B2 JP 2711957B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
upset butt
butt welding
aluminum alloy
less
alloy material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP3358726A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05179389A (ja
Inventor
俊樹 村松
宗太郎 関田
康信 宮崎
昌弘 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP3358726A priority Critical patent/JP2711957B2/ja
Publication of JPH05179389A publication Critical patent/JPH05179389A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2711957B2 publication Critical patent/JP2711957B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動車用2ピースホ
イールのリムなど、アプセットバット溶接を施して用い
られる用途のアルミニウム合金材に関し、特にアプセッ
トバット溶接に際してその溶接部の接合性を向上させる
とともに、アプセットバット溶接部の耐応力腐食割れ性
を向上させたアルミニウム合金材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム合金を用いて自動車
用2ピースホイールのリムを製造する工程においては、
フラッシュバット溶接を使用するのが通常であったが、
最近ではアプセットバット溶接を採用することが多くな
っている。
【0003】前者のフラッシュバット溶接法は、被溶接
材の溶接面間に一定の間隔を置き、大電流を流すことに
より、放電によるフラッシュ(電気火花)を発生させて
そのフラッシュの熱によって溶接面を加熱し、溶接面表
面に薄い溶融層が形成された状態で大加圧力を加えて溶
接面を圧接させる方法である。
【0004】これに対し後者のアプセットバット溶接法
は、前述のような放電によるフラッシュの熱を利用した
ものではない点でフラッシュバット溶接法とは異なる。
すなわちアプセットバット溶接法は、被溶接材を各々電
極でクランプし、被溶接材端面を突き合わせて、最初に
所定の圧力で加圧し、加圧力を加えたままの状態で両電
極間に電圧を印加して所定の電流を流し、突き合わせ面
の接触抵抗及び材料の固有抵抗によるジュール熱により
突き合わせ面を加熱軟化させ、軟化部を加圧力により板
厚方向に押し出して接合する溶接法である。
【0005】このようなアプセットバット溶接法は、従
来用いられていたフラッシュバット溶接法と比較すれ
ば、フラッシュ代分(フラッシュにより飛散もしくはガ
ス化して消失する分)の材料が節約できるとともに、処
理時間が短縮化され、またフラッシュ発生がないため作
業が安全でしかも作業環境の汚染がなく、機器の点検も
容易になるなどの利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般にアルミニウム合
金を用いた溶接部品を製造するにあたっては、溶接後に
さらに加工を施すことが多く、アプセットバット溶接を
適用した場合もこの例に洩れない。
【0007】例えばアプセットバット溶接を適用して自
動車用2ピースホイールのリムを製造する場合、短円筒
形に丸めたアルミニウム合金板の端部同士を突き合わせ
て、その突合せ部をアプセットバット溶接した後、その
アプセットバット溶接によって押し出されたバリ部を削
除し、さらにフレアー加工、ロール成形、サイズを決定
するエクスパンド加工を経て最終的な製品に仕上げられ
る。このようにアプセットバット溶接後に各種の加工が
施されるため、接合部は加工によって伸ばされたり湾曲
せしめられたりするから、接合部が健全でなければ加工
時に割れが発生して製品の歩留り低下の原因となる。そ
こでアプセットバット溶接に用いられるアルミニウム合
金材についても、その材料自体の特性として、アプセッ
トバット溶接における接合性が良好であって、接合部で
の割れの発生の少ない材料が望まれる。
【0008】ところでアプセットバット溶接法は、従来
は主に熱延鋼板に適用されており、アルミニウム合金に
対して適用することは少なかった。そのためアルミニウ
ム合金のアプセットバット溶接における接合性に関して
も従来は充分に検討されておらず、特にアルミニウム合
金の成分組成とアプセットバット溶接における接合性と
の関係についても明確とはなっていなかったのが実情で
ある。したがって従来は、アルミニウム合金を用いてア
プセットバット溶接により溶接部品を製造しようとする
場合、接合部に割れが発生して製品歩留りの低下を招く
ような事態を、確実かつ充分に防止することは困難であ
った。
【0009】一方、自動車ホイール用のリム材で代表さ
れる、車両や船舶等の溶接構造材料としては、強度、成
形性、溶接性、耐食性に優れるAl−Mg系合金が広く
用いられている。ところで自動車用ホイール等について
は、近年は省エネルギ、省コスト等の観点から軽量化、
薄肉化の要請が強まっており、そのためより高強度を有
する材料の開発が望まれている。Al−Mg系合金にお
いてその高強度を図るためにはMg含有量の増量を図る
ことが有効である。しかしながら、Mg含有量が3.0
%以上の高MgのAl−Mg系合金においては、長期間
の経年変化によってβ相が粒界に析出し、応力腐食割れ
を生じる危険があるとされていた。したがって自動車ホ
イール用のAl−Mg系合金についても、Mgを3.0
%以上含有させて高強度化を図ることと、優れた耐応力
腐食割れ性を得ることとを同時に両立させることは困難
とされていた。
【0010】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、アプセットバット溶接における接合性が良好
であって、接合部に割れの発生するおそれが少なく、し
かも強度と接合部の耐応力腐食割れ性とが同時に優れ
た、3.0%以上のMgを含有するAl−Mg系のアル
ミニウム合金材を提供することを目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、3.0%
以上のMgを含有するAl−Mg系合金について、アプ
セットバット溶接による溶接部に関し鋭意実験・検討を
重ねた結果、アルミニウム合金に通常含まれている不純
物元素であるFe,Siの含有量を規制するとともに、
適量のBeを添加することによって、強度および成形性
を損なうことなく、アプセットバット溶接による接合部
の接合性を向上させることができ、さらに適量のCuを
添加することによって接合部の耐応力腐食割れ性を著し
く改善し得ることを見出し、この発明をなすに至った。
【0012】すなわち、本願の請求項1の発明のアプセ
ットバット溶接用アルミニウム合金材は、Mg3.0〜
5.0%、Cu0.05〜1.00%、Be0.000
1〜0.01%を含有し、かつFeが0.25%以下、
Siが0.20%以下にそれぞれ規制され、残部がAl
および不可避的不純物よりなることを特徴とするもので
ある。
【0013】また請求項2の発明のアプセットバット溶
接用アルミニウム合金材は、Mg3.0〜5.0%、C
u0.05〜1.00%、Be0.0001〜0.01
%を含有し、さらにMn0.10〜1.3%、Cr0.
05〜0.20%、Zr0.05〜0.25%、V0.
02〜0.30%、Bi0.06〜0.90%のうちの
1種または2種以上を含有し、かつFeが0.25%以
下、Siが0.20%以下にそれぞれ規制され、残部が
Alおよび不可避的不純物よりなることを特徴とするも
のである。
【0014】さらに請求項3の発明のアプセットバット
溶接用アルミニウム合金材は、請求項1もしくは請求項
2の合金材において、さらに0.25%以下のTiを単
独でもしくは0.05%以下のBと組合されて含有して
いることを特徴とするものである。
【0015】
【作用】先ずこの発明のアプセットバット溶接用アルミ
ニウム合金材の成分組成の限定理由を述べる。
【0016】Mg:Mgはこの発明で対象とするAl−
Mg系合金の必須元素であって、強度向上のために添加
される。Mg量が3.0%未満では強度向上が不充分
で、自動車用ホイール等の充分な高強度化が達成されな
い。Mg量が3.0%以上となれば従来合金では応力腐
食割れが生じるおそれがあったが、この発明の合金材で
はMg量5.0%までは充分な耐応力腐食割れ性を得る
ことができる。Mg量が5.0%を越えれば母材の耐応
力腐食割れ性が低下するとともに、加工性が低下する。
したがってMgは3.0〜5.0%の範囲内とした。
【0017】Cu:Cuの添加によって、母材および接
合部の耐応力腐食割れ性、特に接合部の耐応力腐食割れ
性が顕著に改善される。Cu量が0.05%未満ではそ
の効果が充分に得られず、一方1.00%を越えれば、
圧延時の耳割れが大きくなり、また一般的な耐食性の低
下が著しくなる。なお母材部に関しては、Cu添加によ
る耐応力腐食割れ性の改善効果は、焼鈍時の焼入れ速度
が速いほど顕著となる。
【0018】Be:Beはアルミニウム表面の酸化皮膜
の厚みを減少させる効果がある。そしてこのように酸化
皮膜を薄くすることによって、アプセットバット溶接時
における圧接による接合が強固となり、溶接後の加工時
において接合部の接合境界面からの割れの発生が減少す
る。したがってBeの添加によってアプセットバット溶
接の接合性が向上される。このような効果はBe量が
0.0001%以上で顕著となる。また一般にAl−M
g系合金にCuが添加された場合、鋳造割れが発生しや
すくなるが、Beを0.0001%以上添加することに
よって鋳造割れの発生を防止することができる。但し、
0.01%を越えてBeを添加してもこれらの効果が飽
和し、コスト上昇を招くとともに、鋳造作業時の毒性の
点からも好ましくなくなる。したがってBeの添加量は
0.0001〜0.01%の範囲内とした。
【0019】Fe,Si:FeおよびSiは通常のアル
ミニウム合金において不可避的に含有される不純物元素
であるが、この発明の場合Fe量、Si量を規制するこ
とによってアプセットバット溶接における接合性を向上
させることができる。Fe量が0.25%を越えれば、
アプセットバット溶接における接合性が低下するから、
Fe量は0.25%以下に規制する。なお、より最適な
Fe量は0.15%以下である。またSi量が0.20
%を越えてもアプセットバット溶接における接合性が低
下するから、Si量は0.20%以下に規制する。な
お、より最適なSi量は0.15%以下であり、さらに
好ましくは0.10%未満である。
【0020】Mn,Cr,Zr,V,Bi:これらの元
素はアルミニウム合金の強度をより一層向上させるとと
もに、母材の耐応力腐食割れ性をより一層向上させ、さ
らに再結晶粒の微細化を通じて成形性をさらに向上させ
る効果があるため、請求項2の発明の場合においていず
れか1種または2種以上が添加される。Mnが0.10
%未満、Crが0.05%未満、Zrが0.05%未
満、Vが0.02%未満、Biが0.06%未満では上
述の効果が充分に得られず、一方Mnが1.3%を、C
rが0.20%を、Zrが0.25%を、Vが0.30
%をそれぞれ越えれば、鋳造時に粗大金属間化合物が生
成されて、成形性、靱性、圧延性が低下する。またBi
が0.90%を越えても、耐応力腐食割れ性向上への寄
与は飽和して、コスト的に不利となり、また耐食性が低
下する。したがってMnは0.10〜1.3%、Crは
0.05〜0.20%、Zrは0.05〜0.25%、
Vは0.02〜0.30%、Biは0.06〜0.90
%の範囲内とした。
【0021】Ti,B:Tiは鋳塊結晶粒の微細化に有
効であり、またBはTiとともに添加することによって
同じく鋳塊結晶粒の微細化に寄与する。Tiが0.25
%を越えれば、またBが0.05%を越えれば鋳造時に
粗大な金属間化合物が生成されて、成形性、圧延性が低
下するから、Tiは0.25%以下、Bは0.05%以
下とした。
【0022】以上のほか、アルミニウム合金の不可避的
不純物としてZnが含有されることがあるが、Znが
0.30%を越えて含有されれば耐食性が低下するか
ら、Znは0.30%以下に抑えることが望ましい。
【0023】次にこの発明のアルミニウム合金材の製造
方法を説明する。
【0024】先ず前述のような成分組成の合金を通常の
鋳造法、例えば半連続鋳造法によって鋳造して鋳塊と
し、次いで必要に応じて均質化処理を行う。この均質化
処理は、保持温度を450〜600℃、保持時間を0.
5〜20時間とすることが好ましい。均質化処理の保持
温度が450℃未満、保持時間が0.5時間未満では、
鋳塊が充分に均質化されない。また、均質化処理の保持
温度が600℃を越えれば、表面酸化が激しくなって圧
延板の表面品質が著しく低下する。また均質化処理で2
0時間を越える保持を行っても、均質化の効果は飽和
し、エネルギー的に不経済となるだけである。
【0025】均質化処理後の鋳塊に対しては、熱間圧延
を行なって所要の板厚とする。この熱間圧延は、400
〜550℃の範囲内の温度で開始し、150〜350℃
の範囲内の温度で終了させることが好ましい。熱間圧延
開始温度が400℃未満では熱間圧延の生産性が低下
し、一方550℃を越えれば粗大な再結晶粒が出現して
圧延板の表面性能が損なわれる。熱間圧延終了温度が1
50℃未満では圧延機のトルクが過大になるとともに、
焼き付きを起こし易くなり、一方350℃を越えれば焼
鈍した時の再結晶粒が大きくなるおそれがある。
【0026】熱間圧延後には、必要に応じて冷間圧延を
行なって最終板厚とし、さらにその後280〜580℃
で焼鈍して軟質材とするのが通常である。焼鈍温度が2
80℃未満では再結晶が完全に起こらない場合があり、
一方580℃を越える高温で焼鈍すれば表面酸化が進む
ので好ましくない。焼鈍方法としては、一般に使用され
るバッチタイプの焼鈍炉(加熱速度:最大数十℃/hr、
冷却速度:数℃〜数十℃/hr)を用いた焼鈍、および連
続焼鈍炉(加熱速度:数℃〜数百℃/sec 、冷却速度:
数℃〜数百℃/sec )を用いた焼鈍のいずれでもよい。
さらに、バッチタイプの炉の炉内温度を所定の温度に保
持しておき、その炉内に数枚ずつ板を押し込んで焼鈍し
ても良く、また所定の温度に保持されたソルトバス中に
板を浸漬して焼鈍してもよい。焼鈍後の焼き入れは、水
焼き入れ、ミスト焼き入れ、強制空冷(エアー吹き付
け)のいずれでもよい。
【0027】以上のようにして得られた前記成分組成の
アルミニウム合金軟質材は、高強度を有するとともに成
形性が良好であるばかりでなく、特にアプセットバット
溶接接合部の接合性に優れ、アプセットバット溶接後に
各種の成形加工を行なっても溶接接合部に割れが発生す
るおそれが少なく、しかも母材とアプセットバット接合
部、特にアプセットバット接合部の耐応力腐食割れ性が
優れている。
【0028】なお前述の製造方法では、板材(圧延材)
を製造する場合について示したが、板材に限らず、各種
形材、棒材、あるいは線材等としても良いことはもちろ
んである。
【0029】
【実施例】表1に示す成分組成の合金鋳塊を半連続鋳造
により鋳造した。得られた厚さ450mmの鋳塊に対し5
30℃で6時間均質化処理を行い、次いで熱間圧延を4
90℃で開始し、250℃で終了させて、厚さ7.0mm
の熱延板を得た。次いで冷間圧延によって板厚5.0mm
とした。なお表1の合金No.4においては、熱間圧延上
りで板厚5.0mmとした。その後、一部の合金を除きバ
ッチ炉によって不活性雰囲気中において350℃で2時
間焼鈍して、軟質材とした。残りの合金(No.2,No.
4,No.10)については、電磁加熱炉(加熱速度:数
十℃/sec )で500℃×0.5分の焼鈍を行ない、続
いてミスト焼入れ(冷却速度:数十℃/sec )を行なっ
て軟質材とした。
【0030】このようにして製造された各合金板(厚さ
5.0mm、幅200mm)を、表2に示す一定の条件でア
プセットバット溶接し、接合部のバリを除去した後、曲
げ半径R=7.0mmで接合部を中心に180°曲げ試験
を行った。そしてこの曲げ試験による接合部での割れ発
生状況を目視により観察し、割れ発生率を調べた。ま
た、各合金板の機械的性質を調べるとともに、成形性評
価としてLDR(限界絞り比)を調べるとともに、再結
晶粒径を調べた。これらの結果を表3に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、Fe量が0.2
5%を越えかつSi量が0.20%を越えた比較合金
(No.15)、Si量が0.20%を越えた比較合金
(No.16,No.19)、Fe量が0.25%を越えた
比較合金(No.20)、およびFe量が0.25%を越
えかつBeを添加しなかった比較合金(No.17)で
は、アプセットバット溶接による接合部の曲げ試験によ
る割れ発生率が最低でも4.5%以上に達したのに対
し、Fe,Siを規制しかつBeを添加した発明合金
(No.1〜No.13)および比較合金(No.14)では
割れ発生率を1.7%以下に抑制することができた。し
たがってFe量、Si量の規制およびBeの添加がアプ
セットバット溶接における接合性の改善に有効であるこ
とが判る。なおNo.18の比較合金では、Cuを0.3
0%含有するにもかかわらず、Beを添加しなかったた
め、鋳造割れが発生してしまい、圧延が不可能となり、
その後の試験も実施できなかった。
【0035】なおこの発明の成分組成範囲内の発明合金
(No.1〜No.13)は、いずれも再結晶粒径、成形性
の点で、従来から自動車用ホイール材として使用されて
いるAl−Mg系合金であるJIS A5454合金と
比較してなんら遜色はなく、強度の面ではJIS A5
454合金よりも優れていることが明らかである。
【0036】次いで、各合金について前述のように表2
の条件でアプセットバット溶接した継ぎ手の接合部のバ
リを除去した後、成形加工に相当する圧延率30%の冷
間圧延を行い、その後応力腐食割れ促進のために120
℃で168時間の増感処理を行った。この120℃、1
68時間の増感処理は、常温での15年間程度の年月に
相当すると言われている。このようにして得た母材およ
びアプセットバット接合部を応力腐食試験に供した。こ
の応力腐食試験は、3.5%NaCl水溶液中で耐力の
80%の応力を加えた状態で、5mA/cm2 の陽極電流を
付加して実施した。この試験方法は、厳しい促進試験方
法であるが、実際の自然状態下での応力腐食割れ傾向を
良く反映するとされている試験方法である。この応力腐
食割れ試験の結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4から明らかなように、Mgを3.0%
以上含むが0.05%以上のCuを添加しなかった比較
合金(No.14〜No.17)においては、母材に比べて
アプセットバット接合部の応力腐食割れ寿命が著しく低
下しているのに対し、Mgを3.0%以上含有しかつ
0.05%以上のCuを添加した発明合金(No.1〜N
o.13)においては、アプセットバット接合部も母材
と同程度の応力腐食割れ寿命を有することが明らかであ
る。したがってCuの添加による応力腐食割れ性向上の
効果が大きいことが判る。
【0039】なお、この発明のアルミニウム合金材をア
プセットバット溶接する際の溶接条件は、表2に記載さ
れた条件に限定されないことはもちろんであり、表2以
外の条件によるアプセットバット溶接の場合にも接合性
が良好であることはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】前述の実施例からも明らかなように、こ
の発明のアプセットバット溶接用アルミニウム合金材
は、高MgのAl−Mg系合金におけるFe量およびS
i量を規制するとともに適量のBeを添加することによ
って、アプセットバット溶接による接合部の接合性を向
上させることができ、そのためアプセットバット溶接後
に成形加工を行なう場合でも接合部に割れが発生するお
それが極めて少ないから、自動車用ホイール等の製品の
歩留りを著しく向上させることができ、しかも3.0%
以上のMgを含有しているにもかかわらず、アプセット
バット溶接部の耐応力腐食割れ性を充分に確保すること
ができ、さらには高Mgのため高強度を有するから、耐
応力腐食割れを招くことなく、自動車用ホイール等の高
強度化、薄肉化を図ることができる。したがってこの発
明のアプセットバット溶接用アルミニウム合金材は、自
動車用2ピースホイールのリムで代表される溶接部品、
溶接構造材に最適であり、またそのほか各種機械部品や
電縫管などにも適用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 康信 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (72)発明者 小原 昌弘 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株 式会社 技術開発本部内 (56)参考文献 特開 昭57−210944(JP,A) 中村孝外2名著 「現代溶接技術大系 第8巻 抵抗溶接」 (昭55−1−23) 産報出版株式会社 P.155〜158

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg3.0〜5.0%(重量%、以下同
    じ)、Cu0.05〜1.00%、Be0.0001〜
    0.01%を含有し、かつFeが0.25%以下、Si
    が0.20%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよ
    び不可避的不純物よりなることを特徴とする、アプセッ
    トバット溶接部の接合性と耐応力腐食割れ性に優れたア
    プセットバット溶接用アルミニウム合金材。
  2. 【請求項2】 Mg3.0〜5.0%、Cu0.05〜
    1.00%、Be0.0001〜0.01%を含有し、
    さらにMn0.10〜1.3%、Cr0.05〜0.2
    0%、Zr0.05〜0.25%、V0.02〜0.3
    0%、Bi0.06〜0.90%のうちの1種または2
    種以上を含有し、かつFeが0.25%以下、Siが
    0.20%以下にそれぞれ規制され、残部がAlおよび
    不可避的不純物よりなることを特徴とする、アプセット
    バット溶接部の接合性と耐応力腐食割れ性に優れたアプ
    セットバット溶接用アルミニウム合金材。
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは請求項2のアプセット
    バット溶接用アルミニウム合金材において、さらに0.
    25%以下のTiを単独でもしくは0.05%以下のB
    と組合されて含有している、アプセットバット溶接部の
    接合性と耐応力腐食割れ性に優れたアプセットバット溶
    接用アルミニウム合金材。
JP3358726A 1991-12-27 1991-12-27 アプセットバット溶接用アルミニウム合金材 Expired - Lifetime JP2711957B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3358726A JP2711957B2 (ja) 1991-12-27 1991-12-27 アプセットバット溶接用アルミニウム合金材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3358726A JP2711957B2 (ja) 1991-12-27 1991-12-27 アプセットバット溶接用アルミニウム合金材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05179389A JPH05179389A (ja) 1993-07-20
JP2711957B2 true JP2711957B2 (ja) 1998-02-10

Family

ID=18460800

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3358726A Expired - Lifetime JP2711957B2 (ja) 1991-12-27 1991-12-27 アプセットバット溶接用アルミニウム合金材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2711957B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE102004050484A1 (de) * 2004-10-15 2006-04-20 Peak Werkstoff Gmbh Legierung auf Basis von Aluminium sowie Formteil aus dieser Legierung
CN102639733A (zh) * 2009-07-24 2012-08-15 美铝公司 改进的5xxx铝合金和由其制成的形变铝合金产品
CN115961187B (zh) * 2022-07-17 2024-04-26 承德石油高等专科学校 一种含Bi小变形时效Al-Mg-Sc合金及其制备方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6047899B2 (ja) * 1981-06-18 1985-10-24 スカイアルミニウム株式会社 接合部の耐応力腐食割れ性のすぐれた突合せ抵抗溶接用アルミニウム合金

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
中村孝外2名著 「現代溶接技術大系第8巻 抵抗溶接」 (昭55−1−23) 産報出版株式会社 P.155〜158

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05179389A (ja) 1993-07-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3398085B2 (ja) 溶接構造用Al合金材とその溶接継手
WO2013065761A1 (ja) 成形加工用アルミニウム合金クラッド材
JPH1180873A (ja) 連続抵抗スポット溶接性に優れた自動車用アルミニウム合金板
JPH08199278A (ja) プレス成形性および塗装焼付硬化性に優れたアルミニウム合金板およびその製造方法
JP3403333B2 (ja) 自動車用アルミニウム板材とその製造方法
JP2711957B2 (ja) アプセットバット溶接用アルミニウム合金材
JP2700838B2 (ja) 自動車ホイールリム用のロール成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法
JPH08283891A (ja) ろう付用アルミニウム合金複合材
JP7275336B1 (ja) アルミニウム合金材の製造方法及びアルミニウム合金材
JP3749627B2 (ja) プレス成形性に優れたAl合金板
JPH02122055A (ja) 成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法
JPH0328352A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法
JP2711956B2 (ja) アプセットバット溶接用アルミニウム合金材
JP2996251B2 (ja) 成形加工用アルミニウム合金圧延板およびその製造方法
JP2001026850A (ja) 管成形性に優れた熱交換器用チューブ材の製造方法
JPH09165639A (ja) 燃料タンク用アルミニウム合金板およびその製造方法
JP2001105173A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金複合材料とその製造方法
JP3763069B2 (ja) アプセットバット溶接用アルミニウム合金軟質材およびその製造法
JP4204295B2 (ja) 自動車足廻り部品用アルミニウム合金熱延板の製造方法
JPH0480109B2 (ja)
JPH10216806A (ja) Al−Mg系合金の熱間圧延方法
JP3320145B2 (ja) アプセットバット溶接用アルミニウム合金材
JPH11140610A (ja) 靱性および溶接性に優れるアルミニウム合金構造材の製造方法
JPH06200346A (ja) 成形性に優れた成形加工用アルミニウム合金およびその製造方法
JPH0931614A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金製高強度高耐熱性フィン材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19970930