JPH0613545B2 - ヌクレオシドホスホロチオイットおよびその合成法 - Google Patents

ヌクレオシドホスホロチオイットおよびその合成法

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JPH0613545B2
JPH0613545B2 JP61208457A JP20845786A JPH0613545B2 JP H0613545 B2 JPH0613545 B2 JP H0613545B2 JP 61208457 A JP61208457 A JP 61208457A JP 20845786 A JP20845786 A JP 20845786A JP H0613545 B2 JPH0613545 B2 JP H0613545B2
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規なヌクレオチド誘導体であるヌクレオシド
ホルホロチオイットおよびその合成法に関する。本発明
のヌクレオシドホスホロチオイットは、遺伝子工学にお
ける重要な素材であるオリゴヌクレオチドを製造する際
に有用な化合物である。本発明におけるヌクレオシドホ
スホロチオイットは一般式(1) (式中、Bは保護基としてアシル基を有することもある
核酸塩基残基を、Rはアルコキシ基を有することもあ
るトリチル基よりなる水酸基用保護基を、Rはアルキ
ル基又はアリール基よりなるリン酸基用保護基を、R
はアルキル基を、それぞれ表わす) で示されるヌクレオチド誘導体である。
(従来の技術) 現在オリゴヌクレオチドを製造する方法としては、有機
化学的方法と酵素的方法の二つの方法が開発されてお
り、有機化学的方法としては、ヌクレオシドの3′−位
と他のヌクレオシドの5′−位とをリン酸エステルの形
で結合させる縮合反応の種類によって、トリエステル
法、ジエステル法、ホスファイト法、ホスホロアミダイ
ト法などが知られている。これらの縮合反応のうち、ホ
スファイト法は、レッチンゲル(Letsin-ger)らによっ
て提案されたもので〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカ
ン・ケミカル・ソサイエティ(Journal of the America
n Chemical Society),97,3278,(197
5)〕、下記の反応式〔I〕 反応式〔I〕 (反応式〔I〕において、Rは水酸基の保護基を、
B,RおよびRは前記と同一の意味を表わす) で示されるように、5′−位水酸基を保護したヌクレオ
シドにリン酸化剤を反応させてヌクレオシドホスホロク
ロリド誘導体としたのち、このヌクレオシドホルホロク
ロリド誘導体と3′−位水酸基を保護したヌクレオシド
とを縮合させ、次いでヨウ素−水により酸化してジヌク
レオチドを得るものである。しかし、このリン酸化剤は
湿気に対して非常に不安定であるため、カルザース(Ca
ruthers)らは下記の反応式〔II〕 反応式〔II〕 (反応式〔II〕において、B,RおよびRは前記と
同一の意味を表わす) で示すように、反応式〔I〕で用いたリン酸化剤のクロ
ル基の1つをジメチルアミノ基に代えたリン酸化剤を用
いてホスホロアミダイトを得るホスホロアミダイト法を
開発した。このホスホロアミダイトは比較的安定であ
り、抽出操作により精製することが可能である。このホ
スホロアミダイトはテトラゾールで活性化したのち、縮
合反応および酸化反応を行いジヌクレオチドを得ている
〔テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letter
s),22,1859,(1981)〕。
なお、現在はジメチルアミノ基の代りにジイソプロピル
アミノ基を導入したホスホロアミダイトが一般に用いら
れている。
(発明が解決しようとする問題点) ホスホロアミダイト法によるオリゴヌクレオチドの製造
は、インターヌクレオチド結合が迅速かつ定量的に得ら
れる利点を有する反面、ホスホロアミダイト試薬が一般
的に不安定であり、とくに縮合工程のあと更に酸化工程
を必要とするなどの欠点を有している。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、オリゴヌクレオチドを製造する際のイン
ターヌクレオチド結合を、現在より迅速かつ定量的に進
行させると共に、縮合と酸化の両反応を同時におこない
得るヌクレオチド誘導体について検討を加えた結果、新
規なヌクレオチド誘導体であるヌクレオシドホスホロチ
オイットを見い出し本発明を完成したものである。
本発明のヌクレオシドホスホロチオイットは一般式(1) (式中、B,R,RおよびRは前記と同一の意味
を表わす) で示されるヌクレオチド誘導体であり、下記の反応式
〔III〕 反応式〔III〕 (反応式〔III〕において、B,R,RおよびR
は前記と同一の意味を表わす) に示すように、5′−位水酸基を保護したヌクレオシド
(3)に一般式(2) (式中、RおよびRは前記と同一の意味を表わす) で示される亜リン酸化試薬(2)たとえばアルキルチオク
ロロアルコキシホスフィンを反応させることにより合成
することができる。この反応は、5′−位水酸基を保護
基としてアルコキシ基を有することもあるトリチル基よ
りなる水酸基用保護基Rトリチル基、メトキシトリチ
ル基、ジメトキシトリチル基などの脱保護反応のさい選
択的に脱離する保護基により保護した2′−デオキシア
デノシン、2′−デオキシグアノシン、2′−デオキシ
シチジン、チミジンなどのヌクレオシド(3)1当量に対
して、1当量以上で反応を完結させるに充分な量、通常
は、1.5当量の亜リン酸化試薬(2)たとえばアルキル
チオクロロアルコキシホスフィンを、ピリジン溶媒中で
15〜25℃、3〜10分間反応を行ったのち、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーにより処理して、ヌクレ
オシドの3′−位水酸基をリン酸化したホスホロチオイ
ット(1)が得られる。また、この反応に用いる亜リン酸
試薬(2)たとえばアルキルチオクロロアルコキシホスフ
ィンは下記の反応式〔IV〕 反応式〔IV〕 (反応式〔IV〕において、RおよびRは前記と同一
の意味を表わす) で示されるように、アルキルホスホロジクロリダイトと
アルカンチオールとを、ピリジンの存在下にヘキサン中
で反応させたのち、ピリジニウム塩を除去し、蒸留する
ことにより得られるものである。なお、ヌクレオシドホ
スホロチオイット(1)および亜リン酸化試薬(2)たとえば
アルキルイオクロロアルキシホスフィンにおいて、R
としては、アルキル基またはアリール基よりなるリン酸
基用保護基であり、たとえばメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、フェニル基、キシリル基などが例示
され、Rはアルキル基であり、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基などが例示される。本発明で得た
ヌクレオシドホスホロチオイット(1)を用いてオリゴヌ
クレオチドを製造することができる。すなわち下記の反
応式〔V〕 反応式〔V〕 (反応式〔V〕において、B,R,R,Rおよび
は前記と同一の意味を表わす) で示されるように、ヌクレオシドホスホロチオイット
(1)を混合溶媒例えばジクロロメタン/ルチジン/トリ
エチルアミン中でヨウ素により活性化したのち、ひきつ
づき3′−位水酸基をベンゾイル基やアセチル基の如き
保護基により保護したヌクレオシド(4)を反応させるこ
とにより容易に縮合と酸化とを同時に行い、目的とする
インターヌクレオチド結合を形成して一般式(5) (式中、B,R,RおよびRは前記と同一の意味
を表わす) で示されるジヌクレオチド(5)が得られる。この際用い
る混合溶媒は塩基残基の種類などにより変動するので上
記に限定されるものではない。本発明の縮合および酸化
反応は通常15〜25℃で進行し、1〜5分間という短
時間で完了するが、塩基残基の種類などにより多少変動
するのでこれらに限定されるものではない。反応終了後
はカラムクロマトグラフィーなどの操作により単離精製
することができる。更にまた、より長鎖のオリゴヌクレ
オチドを製造する場合は、ジヌクレオチド(5)を1%ト
リフルオロ酢酸/クロロホルム中で処理して5′−位水
酸基の保護基例えばジメトキシトリチル基を脱離させた
のち、これにヌクレオシドホスホロチオイット(1)を反
応させてトリヌクレオチドが得られるので、これらの操
作を繰り返すことにより、目的とするオリゴヌクレオチ
ドを得る。
本発明におけるヌクレオシドホスホロチオイット(1)、
ヌクレオシド(3)および(4)の塩基残基中のアミノ基やイ
ミノ基は保護基により保護することが必要であり、通常
はアシル基が保護基として用いられる。これらの保護基
(アシル基)は酸性(80%酢酸および1%トリフルオ
ロ酢酸/クロロホルム)および中性条件下では安定であ
るが、室温でトリエチルアミン/水/ピリジン(2/1
/2,V/V/V)で処理すると徐々に脱離し、室温で
1時間濃アンモニア水で処理すると完全に脱離する。
(発明の効果) 本発明のヌクレオシドホスホロチオイットは新規なヌク
レオチド誘導体であり、遺伝子工学における重要な素材
として有用な化合物であるオリゴヌクレオチドを製造す
る際ヌクレオシドホスホロチオイットを用いることによ
り、インターヌクレオチド結合を迅速かつ定量的に進行
させるとともに、縮合と酸化の両反応を同時に行うとい
う効果がある。
以下、実施例および実験例により説明する。
(実施例および実験例) 実験例1 (エチルチオ)クロロメトキシホスフィンの合成 メチルホスホロジクロリダイト 1.0当量とエタンチオール 1.0当量とにピリジン1.0当量を加え、ヘキサン中
0℃で60分間反応した。反応終了後生成したピリジニ
ウム塩を除去し、次いで蒸留することにより沸点122
〜123℃/34mmHgの留分のエチルチオクロロメトキ
シホスフィン を収率42%で得た。
実験例2〜4 実験例1のエタンチオール の代りに、第1表記載のアルカンチオールを用いたほか
は実験例1と同様に操作して、原料のアルカンチオール
に対応する(アルキルチオ)クロロメトキシホスフィン
を得た。収率、沸点を第1表に示す。
実験例5 5′−O−ジメトキシトリチル−3−N−ベンゾイルチ
ミジンの合成 (上記の反応式において、Thはチミンを、Thbzは3−N
−ベンゾイルチミンを、TMSをトリメチルシリル基を、D
MTrはジメトキシトリチル基を表わす) ピリジン溶媒中でジイソプロピルエチルアミン5.0当
量の存在下に、チミジン 1.0当量とトリメチルシリルクロリド2.5当量とを
20℃で60分間処理して3′−および5′−水酸基を
トリメチルシリル化 したのち、塩化ベンゾイル1.5当量を加え60分間攪
拌してチミンのイミノ基をベンゾイル化 し、さらに脱トリメチルシリル化して3−N−ベンゾイ
ルチミジン を得た。次いで3−N−ベンゾイルチミジン の5′−位水酸基をジメトキシトリチルクロリド1.1
当量を用いてトリチル化し、5′−0−ジメトキシトリ
チル−3−N−ベンゾイルチミジン を収率89%(対チミジン )で得た。
実施例1 ヌクレオシドホスホロチオイットの合成 (上記の反応式において、tert Buはターシャリーブチ
ル基を、ThbZおよびDMTrは前記と同一の意味を表わす) 実験例5で得た5′−O−ジメトキシトリチル−3−N
−ベンゾイルチミジン 1当量と実験例4で得たターシャリーブチルチオクロロ
メトキシホスフィン 1.5当量を、ピリジン溶媒中20℃で10分間反応さ
せる。反応終了後ジクロロメタン/水で油出し、油出溶
媒を留去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶媒:シクロヘキサン/ジクロロメタン/ピリジン
=4/4/2)で単離して5′−O−ジメトキシトリチ
ル−3−N−ベンゾイルチミジン−3′−O−(S−タ
−シャリーブチルチオ)メチルホスホロチオイット を収率73%(対5′−O−ジメトキシトリチル−3−
N−ベンソイルチミジンで得、1H-NMRおよび31P-NMR
(第1図)により同定した。
31P-NMR 139.12ppm 実施例2〜4 実施例1のターシャリーブチルチオクロロメトキシホス
フィン の代りに、第2表記載の(アルキルチオ)クロロメトキ
シホスフィンを用いたほかは、実施例1と同様に操作し
て、原料の(アルキルチオ)クロロメトキシホスフィン
に対応するヌクレオシドホルホロチオイットを第2表記
載の収率で得、1H-NMR および31P-NMRにより固定し
た。
(以下余白) 実施例5 ジヌクレオチドの合成 (上記の反応式において、Bzはベンゾイル基を、Th,Th
bZ,tert BuおよびDMTrは前記と同一の意味を表わす) 実施例1で得た5′−O−ジメトキシトリチル−3−N
−ベンゾイルチミジン−3′−O−(S−ターシャリー
ブチルチオ)メチルホスホロチオイット 1.5量、3,3−N,O−ジベンゾイルチミジン 1.0当量およびヨウ素10当量とを、ジクロロメタン
/ルチジン/トリエチルアミン=8/1/1(V/V/
V)中で2分間反応したのち、ジクロロメタン/水によ
り押出する。押出溶媒を留去後、残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(溶媒:ジクロロメタン/メタノ
ール=99/1(V/V))で単離して、保護基により保護
されたジヌクレオチド を収率80%で単離した。次にこのジヌクレオチド を、チオフェノール/トリエチルアミン/ジオキサン=
1/1/2(V/V/V)で1時間処理し、次いで濃ア
ンモニア水で24時間、更に80%酢酸で30分間処理
して、核酸塩基部、5′−位水酸基、リン酸基の保護基
を除去したジヌクレオチド をペーパークロマトグラフィーにより単離し、71%の
収率で得た。ジヌクレオチド のHPLCパターンを第2図に示す。また、このジヌクレオ
チド をスネークベノムホスホジエステラーゼにより分解し、
液体クロマトグラフィーにより、ジオクレオチド がpT:T=1:1であることを同定した。(第3図)。
(Tはチミジンを、pTはチミジン−5′−モノホスフェ
ートを表わす。)
【図面の簡単な説明】
第1図は次のホスホロチオイットの31P-NMRスペクトル
を示す。 第2図は次のジオクレオチド(TpT)のHPLCパターンを
示す。 第3図はジヌクレオチド(TpT)の酵素分解後のHPLCパ
ターンを示す。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) (式中、Bは保護基としてアシル基を有することもある
    核酸塩基残基を、Rはアルコキシ基を有することもあ
    るトリチル基よりなる水酸基用保護基を、Rはアルキ
    ル基又はアリール基よりなるリン酸基用保護基を、R
    は、アルキル基を、それぞれ表わす) で示されるヌクレオシドホスホロチオイット。
  2. 【請求項2】5′−位水酸基を保護したヌクレオシドに
    一般式(2) (式中、Rはアルキル基又はアリール基よりなるリン
    酸基用保護基を、Rは、アルキル基を、それぞれ表わ
    す) で示される化合物を反応させることを特徴とする一般式
    (1) (式中、Bは保護基としてアシル基を有することもある
    核酸塩基残基を、Rはアルコキシ基を有することもあ
    るトリチル基よりなる水酸基用保護基を、Rはアルキ
    ル基又はアリール基よりなるリン酸基用保護基を、R
    はアルキル基を、それぞれ表わす) で示されるヌクレオシドホスホロチオイットの合成法。
JP61208457A 1986-09-04 1986-09-04 ヌクレオシドホスホロチオイットおよびその合成法 Expired - Lifetime JPH0613545B2 (ja)

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