JPH06127977A - 低誘電率高強度ガラスセラミックス組成物 - Google Patents

低誘電率高強度ガラスセラミックス組成物

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JPH06127977A
JPH06127977A JP30283392A JP30283392A JPH06127977A JP H06127977 A JPH06127977 A JP H06127977A JP 30283392 A JP30283392 A JP 30283392A JP 30283392 A JP30283392 A JP 30283392A JP H06127977 A JPH06127977 A JP H06127977A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波電子部品の気密封止又は絶縁を目的と
して用いられるガラスセラミックス組成物を得る。 【構成】 ガラス粉末と耐火性物質粉末10とからな
り、耐火性物質粉末10は、誘電率が7以下の低誘電率
材料1(コージエライト、ムライト、石英ガラス、高シ
リカガラス等)を、それより機械的強度の高い高強度セ
ラミックス2(ジルコニア、アルミナ、ジルコン、酸化
すず等)で複合強化してなる複合粉末を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子部品材料として用い
られるガラスセラミックス組成物に関し、特に高周波電
子回路部品の気密封止又は絶縁を目的として用いられる
低誘電率で高強度のガラスセラミックス組成物に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子部品の気密封止又は絶縁材料
として、ガラス粉末と耐火性物質粉末とを混合してなる
ガラスセラミックス組成物が使用されている。
【0003】これらのガラスセラミックス組成物には、
焼成後の焼成体が熱的、機械的な衝撃に十分耐えうる機
械的強度を有することが要求される。また高周波電子回
路の一部を形成するリード線又は導体の封止に用いられ
るガラスセラミックス組成物においては、機械的強度の
他にも高周波信号の遅延を少なくするため、低い誘電率
を有することが必要とされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般にガラスセラミッ
クス焼成体は、ガラス粉末単体の焼成物に比べて大きな
機械的強度を有するが、その増大の程度は加える耐火性
物質粉末の種類及び量に大きく左右される。また同様に
焼成体の誘電率も添加する耐火性物質粉末によって左右
される。
【0005】例えばアルミナ、ジルコニア、ジルコン、
酸化すず、Si34 、AlN、SiC等の高融点で弾
性係数の大きい高強度セラミックスは粒子破壊を起こし
難く機械的強度の高いものである。それゆえ耐火性物質
粉末としてこれら高強度セラミックス粉末を多量に添加
すればガラスセラミックス焼成体の機械的強度を増大さ
せることができる。しかしながらこれらは誘電率が比較
的高く、例えば上記した中で最も誘電率の低いアルミナ
やジルコンでも9〜10である。従って高強度セラミッ
クス粉末を多量に使用すると、ガラスセラミックス焼成
体の誘電率は高くなってしまう。
【0006】一方、コージエライト、ムライト、石英ガ
ラス等、7以下の誘電率を示す低誘電率材料粉末の場
合、ガラスセラミックス焼成体の誘電率を低くする効果
は大きいが、これらの材料はアルミナ等に比べると強度
が低く粒子破壊を起こし易いため、機械的強度を増大さ
せる効果はあまりない。
【0007】このようにガラスセラミックス焼成体にお
いて、低誘電率化と高強度化の要求を同時に満足するこ
とは非常に難しい。そこで高強度セラミックス粉末と低
誘電率材料粉末とを併用した焼成体も種々提案されてい
るが、低い誘電率を維持しながら十分な機械的強度を有
するものは未だ存在しないのが実情である。
【0008】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
低誘電率で、しかも高強度な焼成体を得ることが可能な
ガラスセラミックス組成物を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は種々研究を行
った結果、低誘電率材料を高強度セラミックスで複合強
化してなる複合粉末を使用することにより、上記目的が
達成できることを見いだし、本発明として提案するもの
である。
【0010】即ち、本発明の低誘電率高強度ガラスセラ
ミックス組成物は、ガラス粉末と耐火性物質粉末とから
なり、該耐火性物質粉末が、誘電率が7以下の低誘電率
材料を、それより機械的強度の高い高強度セラミックス
で複合強化してなる複合粉末であることを特徴とする。
【0011】耐火性物質粉末は、誘電率が7以下の低誘
電率材料、例えばコージエライト、ムライト、石英ガラ
ス、高シリカガラス、Li2 O−Al23 −SiO2
系セラミックス、硼酸アルミニウム、CaO・Al2
3 ・2SiO2 、SrO・Al23 ・2SiO2
を、それより機械的強度の高い高強度セラミックス、例
えばジルコニア(単斜晶、正方晶、立方晶)、アルミ
ナ、ジルコン、酸化すず、ガーナイト等によって複合強
化してなる複合粉末である。なお得られる耐火性物質粉
末の誘電率が8を越えるとガラスセラミックス焼成体の
誘電率を下げる効果が殆どないため、耐火性物質粉末の
誘電率が8を越えないように高強度セラミックスの割合
を耐火性物質粉末全体の30体積%以下に抑えることが
望ましい。
【0012】また耐火性物質粉末は、図1(a)、
(b)のように、低誘電率材料1中に微粒子状やウイス
カー状等の状態で高強度セラミックス2が均一に分散し
て存在しているものが低誘電率材料の靱性を高める効果
が大きいために最も望ましいが、図1(c)、(d)の
ように、高強度セラミックス2と低誘電率材料1とが不
均一に混在している状態であっても差し支えない。この
ような耐火性物質粉末を作製する方法としては、例えば
低誘電率材料粉末と高強度セラミックス微粉末とを適当
な割合で混合し、焼成した後、粉砕することにより得る
ことができる。なお図中10は耐火性物質粉末を示して
いる。
【0013】ガラス粉末は、非晶質ガラス或は結晶性ガ
ラスの何れも使用することができる。非晶質ガラスとし
ては硼珪酸ガラスのような低誘電率ガラスが望ましく、
結晶性ガラスとしてはコージエライト、アノーサイト、
ストロンチウム長石、セルシアン、硼酸アルミ、アルミ
ノ硼酸カルシウム等の低誘電率結晶が主結晶として析出
するものが望ましい。
【0014】ガラス粉末と耐火性物質粉末との混合割合
は、ガラス粉末50〜85体積%、耐火性物質粉末15
〜50体積%の範囲にあることが望ましい。なお誘電率
の点から許容される範囲内であれば、複合強化していな
い耐火性物質粉末を併用することも可能である。
【0015】
【作用】本発明において使用する耐火性物質粉末は、低
誘電率材料を高強度セラミックスで複合強化してなる複
合粉末であるために、誘電率が低いとともに粒子の靱性
が高く、粒子破壊が起こり難い。それゆえ本発明のガラ
スセラミックス組成物を用いて作製したガラスセラミッ
クス焼成体は低誘電率で、且つ、高い機械的強度を有す
る。
【0016】
【実施例】
(実施例1)ムライト(誘電率6.5)を単斜晶ジルコ
ニア(誘電率15)で複合強化した複合粉末を耐火性物
質粉末として用いたガラスセラミックス焼成体を作製し
た。
【0017】複合粉末は次のようにして作製した。まず
合成ムライト粉末(平均粒径2.0μm)と低α線放出
タイプの単斜晶ジルコニア粉末(平均粒径0.5μm)
とをムライト90体積%、ジルコニア10体積%の割合
で混合した後、ボールミル中で48時間湿式混合粉砕し
た。次いでこれらを乾燥後、1550℃で16時間焼成
し、粉砕して平均粒径2.0μm、誘電率7.1、熱膨
張係数47×10-7/℃(30〜380℃)のムライト
−ジルコニア複合粉末を得た。なおこの複合粉末を走査
型電子顕微鏡により観察したところ、図1(a)に示す
ような、ムライト粒子内部にジルコニア微粒子が均一に
分布した状態であることがわかった。
【0018】またガラス粉末として、重量%でSiO2
65.0%、Al23 6.0%、BaO 4.0%、
Na2 O 3.0%、K2 O 2.0%、B23
0.0%の組成を有し、熱膨張係数が47×10-7/℃
(30〜380℃)、軟化点が550℃、誘電率が5.
5の非晶質ガラス(平均粒径3.5μm)を用意した。
【0019】次にガラス粉末と複合粉末とをそれぞれ7
5体積%、25体積%の割合で混合した。このガラスセ
ラミックス組成物を900℃で10分間加熱してガラス
セラミックス焼成体Aを得た。次いで得られたガラスセ
ラミックス焼成体Aを10×50×0.6mmの短冊
状、40φ×2mmの円板状、及び4×4×50mmの
角棒状にそれぞれ切断後、研磨することにより、短冊
状、円板状、角棒状の試料を作製した。さらに短冊状試
料を用いて曲げ強度(3点荷重方式)を、円板状試料を
用いて誘電率を、また角棒状試料を用いて熱膨張係数を
それぞれ測定した。その結果、ガラスセラミックス焼成
体Aは曲げ強度が1400kg/cm2 、誘電率が5.
9であり、30〜380℃における熱膨張係数が50×
10-7/℃であった。
【0020】なお比較のために、ガラス、ムライト、及
び単斜晶ジルコニアの構成比を上記と同一にし、ムライ
トと単斜晶ジルコニアとを複合化せずに用いてガラスセ
ラミックス焼成体Bを作製した。即ち、体積比でガラス
粉末75%、ムライト粉末22.5%、単斜晶ジルコニ
ア粉末2.5%を混合し、上記と同様にして成形、焼成
し、ガラスセラミックス焼成体を作製した。
【0021】得られた焼成体Bについて曲げ強度、誘電
率、熱膨張係数を測定したところ、誘電率と熱膨張係数
は本発明のガラスセラミックス組成物を用いて作製した
ガラスセラミックス焼成体Aと同じ値を示したが、曲げ
強度は900kg/cm2 であり、焼結体Aに比べて5
00kg/cm2 も低い値であった。
【0022】(実施例2)コージエライト(誘電率5)
を酸化すず(誘電率12)で複合強化した複合粉末を用
いてガラスセラミックス焼成体を作製した。
【0023】複合粉末は次のようにして作製した。まず
カオリン、マグネシア及びアルミナをコージエライトの
組成(2MgO・2Al23 ・5SiO2 )になるよ
うに配合し、ボールミルで混合粉砕した。さらに142
0℃で16時間焼成した後、粉砕して平均粒径が2.5
μmのコージエライト粉末を得た。またメタすず酸粉末
を1350℃で10時間焼成した後、粉砕し、平均粒径
0.8μmの酸化すず粉末を得た。このようにして得ら
れたコージエライト粉末と酸化すず粉末とをコージエラ
イト85体積%、酸化すず15体積%の割合で混合し、
ボールミル中で48時間湿式混合粉砕した。次いでこれ
らを乾燥後、1450℃で16時間焼成した後、粉砕し
て平均粒径2.0μm、誘電率5.7、熱膨張係数25
×10-7/℃(30〜380℃)のコージエライト−酸
化すず複合粉末を得た。なおこの複合粉末を走査型電子
顕微鏡により観察したところ、図1(C)に示すよう
な、コージエライトと酸化すずとが不均一に一体化した
状態であることがわかった。
【0024】またガラス粉末として、重量%でSiO2
35.0%、B23 25.0%、Al23 3.0
%、Na2 O 7.0%、BaO 13.0%、ZnO
17.0.%の組成を有し、熱膨張係数が62×10
-7/℃(30〜380℃)、軟化点が550℃、誘電率
5.8の非晶質ガラス(平均粒径4.0μm)を用意し
た。
【0025】上記ガラス粉末と複合粉末とをそれぞれ8
0体積%、20体積%の割合で混合して得たガラスセラ
ミックス組成物を用い、実施例1と同様にして短冊状、
円板状、及び角棒状の試料(ガラスセラミックス焼成体
C)を作製し、曲げ強度、誘電率、及び熱膨張係数をそ
れぞれ測定した。その結果、ガラスセラミックス焼成体
Cは曲げ強度が1300kg/cm2 、誘電率が5.8
であり、30〜380℃における熱膨張係数が45×1
-7/℃であった。
【0026】なお比較のために、ガラス、コージエライ
ト、及び酸化すずの構成比を上記と同一にし、コージエ
ライトと酸化すずを複合化せずに用いてガラスセラミッ
クス焼成体Dを作製した。即ち、体積比でガラス粉末8
0%、コージエライト粉末17.0%、酸化すず粉末
3.0%を混合し、上記と同様にして成形、焼成して焼
成体を作製した。
【0027】得られた焼成体Dについて曲げ強度、誘電
率、熱膨張係数を測定したところ、誘電率と熱膨張係数
はガラスセラミックス焼成体Cと同じ値を示したが、曲
げ強度は800kg/cm2 であり、焼成体Cに比べて
500kg/cm2 も低い値を示した。
【0028】(実施例3)石英ガラス(誘電率3.8)
をアルミナ(誘電率9)で複合強化した複合粉末と、通
常のアルミナ粉末を併用してガラスセラミックス焼成体
を作製した。
【0029】複合粉末は次のようにして作製した。まず
石英ガラス粉末(平均粒径1.0μm)とアルミナ粉末
(平均粒径0.5μm)とを石英ガラス80体積%、ア
ルミナ20体積%の割合で混合した。次いでこの混合物
を造粒して外径20〜100μmの粒子を作製した。さ
らにこれらを、石英ガラスのみが熔融し、アルミナが熔
融しない温度(約2000℃)の火炎中に短時間投入し
た後、ボールミルにより粉砕し、平均粒径2.0μm、
誘電率4.3、熱膨張係数18×10-7/℃(30〜3
80℃)の石英ガラス−アルミナ複合粉末を得た。なお
この複合粉末を走査型電子顕微鏡によって観察したとこ
ろ、図1(a)に示すように、石英ガラス中にアルミナ
の微粒子が均一に分散したものであることがわかった。
【0030】またガラス粉末として、重量%でCaO
14.1%、Al23 32.8%、B23 34.9
%、SiO2 9.8%、ZrO2 8.4%の組成を有
し、熱処理するとアルミノ硼酸カルシウム(CaAl2
27 )の結晶を析出し、結晶化後の熱膨張係数が5
2×10-7/℃(30〜380℃)、誘電率が6の結晶
性ガラス(平均粒径4.5μm)を用意した。
【0031】次にガラス粉末、複合粉末、及びアルミナ
粉末(平均粒径1.5μm)をそれぞれ80体積%、1
6体積%、4体積%の割合で混合して得たガラスセラミ
ックス組成物を用い、実施例1と同様にして短冊状、円
板状、及び角棒状の試料(ガラスセラミックス焼成体
E)を作製し、曲げ強度、誘電率、及び熱膨張係数をそ
れぞれ測定した。その結果、ガラスセラミックス焼成体
Eは曲げ強度が1300kg/cm2 、誘電率が5.0
であり、30〜380℃における熱膨張係数が45×1
-7/℃であった。
【0032】なお比較のために、ガラス、石英ガラス、
及びアルミナの構成比を上記と同一にし、石英ガラスと
アルミナの複合粉末を使用せずにガラスセラミックス焼
成体Fを作製した。即ち、体積比でガラス粉末80%、
石英ガラス粉末12.8%、アルミナ粉末7.2%を混
合し、上記と同様にして焼成体を作製した。
【0033】得られた焼成体Fについて曲げ強度、誘電
率、熱膨張係数を測定したところ、誘電率と熱膨張係数
はガラスセラミックス焼結体Eと同じ値を示したが、曲
げ強度は800kg/cm2 であり、焼成体Eに比べて
500kg/cm2 も低い値を示した。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の低誘電率
高強度ガラスセラミックス組成物は、耐火性物質粉末と
して、低誘電率材料を高強度セラミックスで複合強化し
てなる複合粉末を使用するために、低誘電率で、且つ、
高い機械的強度を有するガラスセラミックス焼成体を作
製することが可能である。それゆえ電子部品材料、特に
高周波電子回路部品の気密封止材料又は絶縁材料として
好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において耐火性物質粉末として使用する
複合粉末を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 低誘電率材料 2 高強度セラミックス 10 耐火性物質粉末

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス粉末と耐火性物質粉末とからな
    り、該耐火性物質粉末が、誘電率が7以下の低誘電率材
    料を、それより機械的強度の高い高強度セラミックスに
    よって複合強化してなる複合粉末であることを特徴とす
    る低誘電率高強度ガラスセラミックス組成物。
  2. 【請求項2】 耐火性物質粉末中の高強度セラミックス
    の割合が、30体積%以下であることを特徴とする請求
    項1の低誘電率高強度ガラスセラミックス組成物。
  3. 【請求項3】 耐火性物質粉末が、低誘電率材料中に高
    強度セラミックスの微粒子が均一に分散した複合粉末で
    あることを特徴とする請求項1の低誘電率高強度ガラス
    セラミックス組成物。
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