JPH0612790Y2 - 身体障害者用開閉式入浴装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、主に在宅において身体障害者を入浴用椅子に
座位の状態で乗せて入浴させることができる装置に関す
るものである。

「従来の技術およびその課題」 近年在宅において簡単に身体障害者を入浴させることが
できる入浴装置が要望されている。

身体障害者用入浴装置として、順送式入浴装置、車椅子
入浴装置などが考案され実用に供されている。しかしな
がら、これらの入浴装置は、主に病室、施設等において
多くの患者を能率良く入浴させるという目的で作られて
おり、大型で設置面積を多く必要とする、浴槽の昇
降に油圧を用いており専用の動力を必要とする、コス
トが高い等の要素があって在宅用には不向きである。

また、一般の在宅用浴槽に入浴されるものとしてリフト
式の入浴装置があるが、これは、上下動を伴うため入浴
者に不安感を与えるという欠点があった。また、従来よ
り扉開閉式の浴槽が知られているが（例えば、実公昭５
０−６９０７号公報参照）、この種のものは、身体障害
者専用に作られており、在宅において一般健常者との共
通使用には不向きであった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、専用の動力
を必要とせず、低コストで、かつ入浴者にとっても介助
者にとっても安心して入浴でき、しかも一般健常者との
共通使用が可能な身体障害者用開閉式入浴装置を提供す
ることを目的とする。

「課題を解決するための手段」 本考案では係る目的を達成するために、側壁の一部に開
口部が設けられた浴槽と、前記開口部を開閉する扉と、
前記浴槽の側壁開口部の近傍に立設された支柱と、該支
柱の上部から延びるアームの先端に支柱を中心として旋
回自在に取り付けられた入浴用椅子とを備えてなり、前
記扉が開かれて入浴用椅子が旋回される際、該入浴用椅
子が浴槽の側壁開口部を通って浴槽内に出入れされるこ
とを特徴としている。

「作用」 上記入浴用装置を用いて身体障害者を入浴させる場合に
は、あらかじめ浴槽の外部に出した入浴用椅子に身体障
害者を乗せ、次いで、浴槽に付設した扉を開き、入浴用
椅子を旋回させて浴槽側壁の開口部を通して身体障害者
を浴槽内に入れる。

そして、扉を閉じた後浴槽内に湯を埋め、これにより身
体障害者に入浴させる。

出浴する場合には、扉を開き、椅子を旋回させて椅子ご
と身体障害者を浴槽の外に出す。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

図面は本考案にかかる入浴装置を示す斜視図であり、こ
の図において符号１は浴槽である。浴槽１の側壁であっ
て洗い場２に面する部分１ａには開口部３が形成されて
いる。浴槽１には開口部３を開閉し得る扉４が、その上
端一側を浴槽側壁１ａにひんじ結合されて取り付けられ
ている。扉４の浴槽側壁１ａに当接する部分にはパッキ
ン５が取り付けられており、扉４が閉じられた状態で図
示せぬ締め付け金具により浴槽側壁に強く当接される
際、浴槽側壁との間の液密性が確保されるようになって
いる。なお、扉４の締め付け金具には、ねじを利用した
ものやトグル機構を利用したもの等種々考えられる。

前記浴槽１の開口部３が形成されている側壁１ａに隣接
する側壁１ｂには、支柱６が側壁１ｂの上面を貫通して
立設されている。支柱６の上端部にはアーム７が略直交
して回動自在に取り付けられている。アーム７の先端に
は支持ロッド８が支柱６と平行に取り付けられ、ロッド
８には入浴用椅子９が回転自在に取り付けられている。
入浴用椅子９は、手擦り１０を設ける、あるいは座９ａ
の高さを車椅子の座の高さに揃える等、身体障害者を乗
せるための特別な工夫が施されている。なお、１１は入
浴用椅子を旋回させるための操作用ハンドルである。

前記扉４が開かれた状態で入浴用椅子９が支柱６を中心
に旋回される際、入浴用椅子９が浴槽側壁の開口部３を
通るように、支柱６の位置、支柱６およびアーム７の長
さが設定されている。なお、入浴用椅子９は、当該入浴
装置の健常者との共通使用をより行い易くするために、
アーム７から取り外し得るようになっている。

次に、上記入浴装置を用いて身体障害者を入浴させる場
合について説明する。

まず、あらかじめ入浴用椅子９を浴槽１の外側に出して
おき、図示せぬ車椅子によって浴室まで運んだ身体障害
者を入浴用椅子９に移乗する。

次に、扉４を開き入浴用椅子９を支柱６を中心に旋回さ
せて、浴槽側壁の開口部３を通して身体障害者を浴槽内
に入れる。

そして、扉４を閉じ、図示せぬ締め付け金具によって扉
を下方に締め付けた後、浴槽１内に湯を埋め、これによ
り身体障害者を入浴させる。このとき、入浴用椅子９は
支持ロッド８を介してアーム７に対し回転自在になって
いるので、身体障害者を自由な向きで入浴させることが
できる。

出浴する場合には、扉４を開き、入浴用椅子９を前記と
は逆方向に旋回させて身体障害者を浴槽１の外側に出
す。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、介助者が手を添え
るだけで身体障害者を入浴用椅子ごと旋回させて浴槽内
に入れることができ、専用の動力を必要とせず、低コス
トで製作できる。また、入浴用椅子を旋回させる際同一
高さに保たれるので、入浴者にとっても介助者にとって
も安心して入浴でき、しかも余分な要素が椅子だけであ
り、この椅子は側方にかたすことができるため、一般健
常者との共通使用も可能となる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す斜視図である。 １……浴槽 ３……開口部 ４……扉 ６……支柱 ７……アーム ９……入浴用椅子

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】側壁の一部に開口部が設けられた浴槽と、
   前記開口部を開閉する扉と、前記浴槽の側壁開口部の近
   傍に立設された支柱と、該支柱の上部から延びるアーム
   の先端に支柱を中心として旋回自在に取り付けられた入
   浴用椅子とを備えてなり、前記扉が開かれて入浴用椅子
   が旋回される際、該入浴用椅子が浴槽の側壁開口部を通
   って浴槽内に出入れされることを特徴とする身体障害者
   用開閉式入浴装置。