JPH06126167A - トランスサイレチン吸着剤 - Google Patents

トランスサイレチン吸着剤

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JPH06126167A
JPH06126167A JP4303233A JP30323392A JPH06126167A JP H06126167 A JPH06126167 A JP H06126167A JP 4303233 A JP4303233 A JP 4303233A JP 30323392 A JP30323392 A JP 30323392A JP H06126167 A JPH06126167 A JP H06126167A
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transthyretin
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plasma
adsorption
vinyl
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Hajime Yoshida
一 吉田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血漿中の他の蛋白質を吸着することなく、ト
ランスサイレチンを選択的に、しかも輸血用の血漿や補
液が不要で簡便に吸着除去または採取できる、トランス
サイレチンの吸着剤を提供する。 【構成】 水不溶性多孔体の表面に塩基性官能基を有す
る、トランスサイレチンの吸着剤。及び該吸着剤を用い
て血漿中よりトランスサイレチンを除去する方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は体液、特に血液中のトラ
ンスサイレチンの吸着剤、及び該吸着剤を用いた体液中
のトランスサイレチンの除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家族性アミロイドポリニューロパシー
は、全身にアミロイド物質の沈着が起こり、やがて死に
もいたる遺伝性の難治性疾患である。この疾患の原因物
質は異型のトランスサイレチンであるとされている。ト
ランスサイレチンはプレアルブミンとも言われる血漿蛋
白であり、ヒト血漿中ではレチノールバインディングプ
ロテインと結合していることが知られている。家族性ア
ミロイドポリニューロパシー患者血漿中のトランスサイ
レチンはその一部または全部が、トランスサイレチン遺
伝子の異常によって、トランスサイレチン構成アミノ酸
が変位した異型トランスサイレチンとなっていることが
知られている。この異型トランスサイレチンは極一部の
アミノ酸のみが変異しているため、正常なトランスサイ
レチンとの区別は容易に行えるものではない。そこで家
族性アミロイドポリニューロパシーの治療法としては、
患者血漿を取り出し、代わりに健常人血漿を輸血するこ
とによって、正常なトランスサイレチンと異型トランス
サイレチンを区別すること無く全てのトランスサイレチ
ンを除去することによって、異型トランスサイレチンも
また除去しようとする血漿交換療法が、患者に対して定
期的に施されている。
【0003】しかし血漿交換療法は輸血用の大量の血漿
が必要であること、輸血血漿によるウイルスなどの感染
の可能性があるなど、経済性や安全性の問題点があっ
た。また血漿交換療法は輸血用血漿が大量に、安定に準
備できる施設でないと実施できず、操作も煩雑であるた
め、汎用的に実施できる治療方法ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、血漿
中の他の蛋白質を吸着することなく、トランスサイレチ
ンを選択的に、しかも輸血用の血漿や補液が不要で簡便
に吸着除去または採取できる、トランスサイレチンの吸
着剤を実用化することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
の下にトランスサイレチンの吸着剤を完成すべく鋭意研
究した結果、トランスサイレチンが最も等電点の低い血
漿蛋白質の1つであることを利用して本発明をなすに至
った。即ち本発明の要旨は、水不溶性多孔体の表面に塩
基性官能基を有する、トランスサイレチンの吸着剤と、
該吸着剤を用いて血漿中よりトランスサイレチンを除去
する方法にある。
【0006】本発明にいう塩基性官能基とは、アミン
類、及びアミン誘導体等が含まれ、3級アミンや4級ア
ンモニウムがあげられ、いずれであつても良い。好まし
い例としてはpKaが4.0以上のものがあげられる。
更に血液或いは血漿は抗凝固剤として通常ヘパリンが用
いられていることより、吸着剤はヘパリンの吸着が少な
いことがより望ましい。この点より、より好ましい例を
示すと次式(イ)で現されるものである。
【0007】
【化1】
【0008】置換基であるR1、R2、R3に特に制限
は無く、任意の置換基を与えることができるが、どこか
の置換基が水不溶性多孔体の主鎖と共有結合によって接
続されているものである。例えば水素、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、フェニル基、ベンジル基などの炭化
水素置換基であっても良いし、メチロール、エチロール
などの異核種の原子を含んだ置換基でも良い。R1、R
2、R3は2つ以上で環状となっているものでもよく、
例えばピリジン、イミダゾール、ピペリジン、ピロー
ル、ピリミジンなどがこれに相当する。
【0009】塩基性官能基の一例を単量体名で例示する
と、アリルアミン、ジアリルアミン、N,N−ジメチル
アリルアミン、N,N−ジアリルピペラジン、N,N−
ジアリルアニリン、N,N−ジアリルメラミン、アミノ
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−
ジエチルアミノスチレン、ビニルペンジルアミン、ビニ
ルフェネチルアミン、N,N−ジメチルビニルフェネチ
ルアミン、N,N−ジエチルビニルフェネチルアミン、
N−プロピルビニルフェネチルアミン、ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5
−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、ビニルピラゾリ
ン、ビニルピラジン、4−ビニルピリミジン、ビニルア
ミン、ビニルカルバゾール、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミン、N,N−ジエチル−N−ビニルフ
ェネチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルスチレンなどのモノマーや、これらのいずれ
かを重合単位とするオリゴマーやポリマーがあげられ
る。またこれらを4級化したものも使用できる。これら
の中でもジエチルアミノエチルスチレン、N,N−ジエ
チル−N−ビニルフェネチルアミン、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ートがより好ましい例としてあげられる。
【0010】またこれらの重合単位と他の重合性単量
体、例えばヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチ
レン、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、セグメ
ント化ポリウレタン、セグメント化ポリエステル等との
共重合体であったも良い。特に重合体中にヒドロキシル
基を有していることが血液適合性向上の点で好ましい。
ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特に制限
はない。特に式(イ)で現される塩基性官能基を持つ重
合体単位を1から50重量%含む、ヒドロキシル基を有
する重合体単位との共重合体であることが好ましい。塩
基性官能基は、水不溶性多孔体を構成する高分子鎖の側
鎖に存在する必要は必ずしもなく、主鎖を形成するもの
でも良い。水不溶性多孔体に塩基性官能基を側鎖として
導入する方法や、塩基性官能基が重合体の時は他に共有
結合を介さずに水不溶性多孔体表面に物理的に結合させ
る方法など、塩基性官能基を水不溶性多孔体に不溶化す
る方法も選択でき、これらの方法の方が主鎖に導入する
より製造上容易である。塩基性官能基は、トランスサイ
レチンの吸着性が高いこと、他の血漿蛋白質の非特異吸
着がより少なくトランスサイレチンに対する選択性がよ
り高くなることより、オリゴマー或いはポリマー状態で
水不溶性多孔体上に不溶化した吸着剤の方がより好まし
い。この時、好ましいオリゴマー或いはポリマーの分子
量は300以上100万以下であり、特に好ましくは1
000以上10万以下であった。
【0011】塩基性官能基を、水不溶性多孔体に不溶化
する方法には、塩基性官能基を溶解した液中に浸漬、或
いは該液を噴霧することによってコーティングする方
法、化学的に或いは放射線や電子線を用いてのグラフト
法によって水不溶性多孔体表面に共有結合する方法、或
いは化学的方法により水不溶性多孔体表面の官能基を介
して共有結合する方法などがある。この中でグラフト
法、官能基を介しての共有結合法が使用時の塩基性官能
基の溶出の危険性がなく、好ましい。水不溶性多孔体が
被覆層を有する場合はその被覆層表面に不溶化すること
もできる。
【0012】水不溶性多孔体或いはその被覆層表面に官
能基を得る方法の一例としてはハロゲン化シアン法、エ
ピクロルヒドリン法、ビスエポキシド法、ブロモアセチ
ルブロミド法等が知られている。具体的にはアミノ基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、酸無水
物基、サクシニルイミド基、塩素基、アルデヒド基、ア
ミド基、エポキシ基、トレシル基などがあげられる。こ
の中で加熱滅菌時の安定性よりエピクロルヒドリン法で
誘導されるエポキシ基が特に好ましい例としてあげられ
る。
【0013】本吸着剤が表面に有する官能基の量、少な
すぎると吸着能力が低く、多すぎると血液適合性の低下
や使用時に塩基性官能基が遊離するなどの危険性が生じ
るため、水不溶性多孔体の細孔容積を含む容積当たり1
μeq/ml以上1000meq/ml以下であること
が良い。更に、あえてより好ましい範囲としては10μ
eq/ml以上10meq/ml以下があげられる。
【0014】本発明で言う水不溶性多孔体とは、塩基性
官能基が導入できる多孔体であれば、無機化合物、有機
化合物を問わないが、温水に対する溶出物が少ないこ
と、多孔体の細孔の制御がより容易且つ精密にできるこ
とより、有機高分子が好ましい。このような例として
は、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメタクリレー
トエステル、ポリアクリレートエステル、ポリアクリル
酸、ポリビニルアルコール等のビニル系化合物の重合体
及び共重合体、ナイロン6或いは66等のポリアミド系
化合物、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル
系化合物、セルロース等の植物由来の多糖類系化合物等
を例示することができる。
【0015】本発明において用いられる多孔体の材料
は、塩基性官能基が1μeq/ml以上導入できれば良
く、以上に限定されるものではない。例示した中では、
重合の容易さ、塩基性官能基の導入の容易さより、ビニ
ル系化合物の重合体及び共重合体がより好ましく用いら
れる。このような例としては、スチレン、メチルスチレ
ン、ジフェニルエチレン、エチルエチレン、ジメチルス
チレン、ビニルナフタリン、ビニルフェナントレン、ビ
ニルメシチレン、3,4,6−トリメチルスチレン、1
−ビニル−2−エチルアセチレン等の炭化水素化合物:
クロルスチレン、メトキシスチレン、ブロムスチレン、
シアノスチレン、フルオルスチレン、ジクロルスチレ
ン、N,N−ジメチルアミノスチレン、ニトロスチレ
ン、クロルメチルスチレン、トリフルオルスチレン、ト
リフルオルメチルスチレン、アミノスチレン等のスチレ
ン誘導体:アクリロニトリル、α−アセトキシアクリロ
ニトリル等のアクリロニトリル誘導体:アクリル酸、メ
タクリル酸:アクリル酸メチル、アクリル酸ラウリル、
アクリル酸クロルメチル、アセトキシアクリル酸エチル
等のアクリル酸エステル:メタクリル酸シクロヘキシ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸
グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メ
タクリル酸ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステ
ル:マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル:メチルビ
ニルケトン、エチルイソプロペニルケトン等のビニルケ
トン、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、シアン化ビニ
リデン等のビニリデン化合物:アクリルアミド、メタク
リルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−
フェニルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、
N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアク
リルアミド誘導体:酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン
酸ビニル等の脂肪酸ビニル誘導体:チオメタクリル酸フ
ェニル、チオアクリル酸メチル、チオ酢酸ビニル等のチ
オ脂肪酸誘導体:更にN−ビニルスクシンイミド、N−
ビニルピロリドン、N−ビニルフタルイミド、N−ビニ
ルカルバゾールビニルフラン、2−ビニルベンドフラ
ン、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾール、メチルビ
ニルイミダゾール、ビニルピラゾール、ビニルオキサゾ
リドン、ビニルチアゾール、ビニルテトラゾール、ビニ
ルピリジン、メチルビニルピリジン、2,4−ジメチル
−6−ビニルトリアジン、ビニルキノリン等の異節環状
ビニル化合物がある。
【0016】本発明の吸着剤の構成単位となる架橋重合
性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタリン、ジビニル
エチルベンゼン、ジビニルフェナントレン、トリビニル
ベンゼン、ジビニルジフェニル、ジビニルフェニルエー
テル、ジビニルジフェニルスルフイド、ジビニルジフェ
ニルアミン、ジビニルスルホン、ジビニルケトン、ジビ
ニルフラン、ジビニルピリジン、ジピリルキノリン、ジ
(ビニルピリジノエチル)エチレンジアミン、フタル酸
ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、コ
ハク酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、ア
ジピン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、酒石酸ジアリ
ル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、リン酸トリア
リル、トリカルバリル酸トリアリル、アコニット酸トリ
アリル、クエン酸トリアリル、N,N−エチレンジアク
リルアミド、N,N−エチレンジメタクリルアミド、
N,N−メチレンジメタクリルアミド、エチレングリコ
ールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラメタクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリア
リルイソシアヌレート、1,2,5−トリアクリロイル
ヘキサヒドロー1,3,5−トリアジン、ジアリールメ
ラミン等が含まれる。
【0017】この中で、特に好ましい例としては、化学
的に安定で、且つ容易に官能基を導入できること、球形
の50μmから1000μm程度の各種粒子径、孔径の
多孔体粒子をつくれることより、酢酸ビニルとトリアリ
ルイソシアヌレートとの共重合体や、スチレン−ジビニ
ルベンゼン共重合体などがあげられる。本発明の吸着剤
は、分子量約55,000のトランスサイレチン或いは
分子量約80,000のトランスサイレチン・レチノー
ルバインディングプロテイン複合物の吸着の場として細
孔が有効に利用できるように、排除限界分子量が10
0,000以上であることが好ましい。
【0018】吸着能力は表面積によって大きく影響す
る。表面積が大きいと吸着能力は上がり、小さいと下が
ることは自明である。このため本発明の吸着剤は、全細
孔表面積が0.5m2 /ml以上であることが好まし
い。より好ましくは1.0m2 /ml以上である。本吸
着剤表面は血液との親和性をよくするために、親水性
の、血小板の付着を制御するための重合体からなる被覆
層を、本塩基性吸着剤の血球と接触する表面に有してい
ても良い。親水性被覆層は血液適合性を上げることが本
来の目的であり、血液適合性の程度を示すことが必要で
あるが、血液の安定入手が困難であること、血液間差が
あることなどより、共通の安定した評価は困難である。
親水性の程度は簡便に表現できる。あえて親水性の程度
の好ましい範囲を示せば、水中におけるシート状或いは
フィルム状にした固体表面上の空気泡の25℃での接触
角で20度以上である。
【0019】親水性被覆層は使用中の剥離を防ぐために
重合体であることが望ましい。親水性被覆層の具体例を
あげると、重合体単位を単量体としての名前で例示すれ
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、グリ
セロールモノメタクリレート、などのアクリル酸或いは
メタクリル酸及びその誘導体、メトキシトリエチレング
リコールなどメトキシポリエチレングリコール類、ジエ
チルアミノエチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ヒド
ロキシメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルア
ミン、ビニルアルコールなどのビニル基を有する単量
体、セグメント化ポリウレタン、セグメント化ポリエス
テル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッ
ドフォスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドフォスフェート等のいずれかの単量体1種
以上を含む重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合
体や、ポリエチレンオキサイド鎖を有する単量体と他の
重合単量体のようなグラフト共重合体等が例示できる。
特に重合体中にヒドロキシル基を有していることが好ま
しい。ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特
に制限はない。
【0020】重合体は、上記重合体単位の単独重合体で
あっても良く、或いは二つ以上の共重合体であっても良
い。また塩基性官能基を持つ重合体単位を0.1から2
0重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単位との
共重合体であっても良い。これら重合体は線状重合体、
グラフト重合体、架橋重合体などの重合形態には特に関
係は無い。
【0021】重合体の被覆層は、グラフト法や沈殿法、
コーティング法、多孔体表面の官能基を利用した共有結
合法など、いずれによって得られるものであっても良
い。この中でも特にコーティング法が製造操作が容易で
あり、実用上好ましい。
【0022】こうして得られ被覆層の量、即ち被覆量
は、被覆層としての効果を発揮させるためには、吸着剤
乾燥重量あたりの被覆層の重量で表すとき、1μg/g
以上100mg/g以下であり、より好ましくは10μ
g/g以上10mg/g以下である。本吸着剤の形状と
しては、球状、粒状、糸状、中空糸状、平膜状等いずれ
も有効に用いられるが、体液循環時の体液の流通面より
球状または粒状が最も好ましく用いられる。球状または
粒状の平均粒径は、10μmから2500μmのものが
使いやすいが、25μmから1,000μmの範囲が好
ましく、より好ましくは50μmから600μmであ
る。
【0023】本発明の吸着剤は、体液の導出入口を備え
た容器内に充填保持された吸着器として使用されるのが
一般的である。本吸着剤を単独で充填しても良く、他の
吸着剤と混合もしくは、積層しても良い。吸着器の容量
は、体外循環に用いる場合10mlから1000ml程
度が適当である。該吸着器を体外循環で用いる場合に
は、大略次の二通りの方向がある。一つには、体内から
取りだした血液を遠心分離もしくは膜型血漿分離器を使
用して、血漿成分と血球成分とに分離した後、血漿成分
を吸着器に通過させ浄化した後、血球成分と合わせて体
内に戻す方法であり、他の一つは、体内から取りだした
血液を直接吸着器に通過させ、浄化する方法である。こ
の内、血漿成分を吸着器に通過させて浄化する血漿浄化
法が、吸着器内での流れ抵抗が少なく、総吸着能力も高
く出来るためより好ましい。また、体液の通過方法とし
ては、使用上の必要に応じ、あるいは設備の装置状況に
応じて、連続的に通過してもよいし、また断続的に通液
しても良い。
【0024】
【発明の効果】本発明である、表面に塩基性官能基を有
する水不溶性の多孔体からなるトランスサイレチンの吸
着剤と、該吸着剤を用いて体液中よりトランスサイレチ
ンを除去する方法によって、体液中の他の蛋白質を吸着
することなくトランスサイレチンを選択的に吸着するこ
とが、輸血用の血漿や補液を用いることなく簡便に実施
出来るため、汎用的にトランスサイレチンの吸着を行え
るようになる。
【0025】
【実施例】
【実施例1】酢酸ビニルとトリアリルイソシアヌレート
との懸濁重合により、ポリビニルアルコール製の球状の
水不溶性多孔体を得た。水不溶性多孔体は、平均粒子径
100μm、排除限界分子量約200万、窒素吸着法
(BET法)による表面積が21.7m2 /mlであっ
た。この水不溶性多孔体に、ジメチルスルフォキシド中
でエピクロルヒドリンを用いてエポキシ基を導入した。
次に水酸化ナトリウムとジメチルホルムアミドの混合溶
媒中で、ジエチルアミノエチルメタクリレートとヒドロ
キシエチルメタクリレートとの20:80(重量%)の
共重合体を反応濃度10%でエポキシ基を用いて共有結
合し、吸着剤を得た。用いたジエチルアミノエチルメタ
クリレートとヒドロキシエチルメタクリレートとの共重
合体は、ポリエチレン換算分子量が約176,000で
あった。また得られた吸着剤のイオン交換容量は90.
6μeq/mlであった。ヘパリン濃度5,000IU
/Lのヒト血漿6mlに吸着剤1mlを加え、37℃で
振盪下で2時間反応した。反応前後の血漿中のトランス
サイレチンとアルブミンの濃度をレーザーネフェロメト
リー法にて測定した。反応前のトランスサイレチン濃度
が28.7mg/dlであったのに対して反応後の濃度
は0.8mg/dl以下であり、トランスサイレチンに
対して非常に優れた吸着性を示した。一方アルブミンの
吸着は、反応前濃度が4.60g/dlであるのに対し
て反応後が4.00g/dlと非特異吸着はほとんど無
かった。
【0026】
【実施例2】実施例1と同様にして、ジエチルアミノエ
チルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレート
との50:50(重量%)の共重合体を用い、不溶化反
応時の濃度1%で吸着剤を得た。得られた吸着剤のイオ
ン交換容量は98.4μeq/mlであった。実施例1
と同様にしてトランスサイレチンとアルブミンの吸着を
測定したところ、それぞれ吸着前濃度が28.7mg/
dl、4.61g/dlであったのに対して吸着後は
1.0mg/dl、4.01g/dlであり、トランス
サイレチンに対して選択的な吸着性を示し、且つトラン
スサイレチンの吸着能力も優れていた。
【0027】
【実施例3】実施例1と同様にして、ジエチルアミノエ
チルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレート
との7:93(重量%)の共重合体を用いて吸着剤を得
た。得られた吸着剤のイオン交換容量は79.5μeq
/mlであった。実施例1と同様にしてトランスサイレ
チンとアルブミンの吸着を測定したところ、それぞれ吸
着前濃度が30.4mg/dl、4.70g/dlであ
ったのに対して吸着後は1.1mg/dl、4.40g
/dlであり、トランスサイレチンに対して選択的な吸
着性を示し、且つトランスサイレチンの吸着能力も優れ
ていた。
【0028】
【実施例4】実施例1と同様にして、ジエチルアミノエ
チルメタクリレートとヒドロキシエチルメタクリレート
との3:97(重量%)の共重合体を用いて吸着剤を得
た。実施例1と同様にしてトランスサイレチンとアルブ
ミンの吸着を測定したところ、それぞれ吸着前濃度が3
0.4mg/dl、4.70g/dlであったのに対し
て吸着後は1.0mg/dl、4.30g/dlであ
り、トランスサイレチンに対して選択的な吸着性を示
し、且つトランスサイレチンの吸着能力も優れていた。
【0029】
【実施例5】吸着剤として、ジメチルアンモニウム基を
表面に有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(ロ
ーム・アンド・ハース社製IRA−93、総交換容量
1.20mEq/ml)を用いた。吸着剤の細孔孔径及
びその分布状態、表面積などの物性値は、水銀ポロシメ
ーター(島津製作所社製、マイクロメリティックス・ポ
アサイザ9320)を用いて測定した。測定結果はポア
プロットシステム(島津製作所社製、9320−PC2
(Vl.0))にて分析した。吸着剤の平均孔径は52
3Å、体積基準のモード径が1,200Å、全細孔表面
積が41.0m2 /ml、全細孔体積が0.536ml
/mlであった。この吸着剤を用いて実施例1と同様に
してトランスサイレチンとアルブミンの吸着を測定した
ところ、それぞれ吸着前濃度が28.7mg/dl、
4.61g/dlであったのに対して吸着後は19.6
mg/dl、4.20g/dlであり、トランスサイレ
チンに対して選択的な吸着性を示し、且つトランスサイ
レチンの吸着能力も優れていた。
【0030】
【実施例6】吸着剤として表面にトリメチルアンモニウ
ム基を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(三
菱化成製、ダイヤイオンHPA75、総交換容量0.5
0mEq/ml)を用いた。吸着剤の平均孔径は741
Å、体積基準のモード径が2,009Å、全細孔表面積
が31.2m2 /ml、全細孔体積が0.578ml/
mlであった。この吸着剤を用いて実施例1と同様にし
てトランスサイレチンとアルブミンの吸着を測定したと
ころ、それぞれ吸着前濃度が28.7mg/dl、4.
61g/dlであったのに対して吸着後は1.9mg/
dl、3.94g/dlであり、トランスサイレチンに
対して選択的な吸着性を示し、且つトランスサイレチン
の吸着能力も優れていた。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水不溶性多孔体表面に塩基性官能基を有
    することを特徴とするトランスサイレチン吸着剤。
  2. 【請求項2】 水不溶性多孔体表面に塩基性官能基を有
    する吸着剤に体液を流し、体液中のトランスサイレチン
    を、前記吸着剤に選択的に吸着させることを特徴とす
    る、体液中のトランスサイレチンの除去方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014502971A (ja) * 2011-01-06 2014-02-06 サイトソーベンツ・コーポレーション 全血および血液製剤からの不純物の除去のためのポリマー性収着剤
JP2020081165A (ja) * 2018-11-20 2020-06-04 株式会社クレハ アミロイドβ除去器具、生体由来液浄化システム、アミロイドβ除去方法およびアミロイドβ除去用吸着材

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