JPH06296864A - ブラジキニンの吸着体 - Google Patents

ブラジキニンの吸着体

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JPH06296864A
JPH06296864A JP5114269A JP11426993A JPH06296864A JP H06296864 A JPH06296864 A JP H06296864A JP 5114269 A JP5114269 A JP 5114269A JP 11426993 A JP11426993 A JP 11426993A JP H06296864 A JPH06296864 A JP H06296864A
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bradykinin
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body fluid
adsorption
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Masako Ikenaga
正子 池永
Hirokazu Onodera
博和 小野寺
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血液中に生成する、アナフィラキシー様症状
の原因物質であるブラジキニンの吸着体を提供する。 【構成】 ブラジキニンの吸着表面積が10m2 /g以
上と大きく、平均細孔径が5〜5000Åの不溶性多孔
体からなるブラジキニンの吸着体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ある種のアナフィラキ
シー様症状と密接な関係を持つと考えられているブラジ
キニンを、選択的に吸着するブラジキニンの吸着体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療材料及び技術の発達に伴い、
血中の老廃物や病因物質を体外循環により除去する血液
浄化療法が臨床で利用されている。この体外循環による
血液浄化は、臨床上非常に有用であるが、一方で一部の
患者に循環中或いは循環後に、血中ブラジキニン濃度の
上昇によると思われる、低血圧、めまいなどのアナフィ
ラキシー様症状が見られる事がある。そこで、血液中か
らブラジキニンを選択的に除去する技術が望まれてい
る。しかし、上記目的に使用可能な吸着体はない。
【0003】従来ブラジキニン生成に関与するカリクレ
インの吸着体は知られていた。カリクレインは、高分子
キニノゲンに作用しブラジキニンを高分子キニノゲンか
ら遊離させる作用を有する。よって、ブラジキニン上昇
が起こりやすい医療材料を使って血液浄化を行う際、あ
らかじめ体液中のカリクレインを除去すれば血中ブラジ
キニン濃度の上昇を抑えることは可能と考えられる。し
かし、カリクレンは、ブラジキニン遊離に作用するだけ
でなく、ポジティブフィードバックし血液凝固因子であ
る第XII因子の活性化や、第VII因子に修飾を与え
て外因系凝固に作用するなどの血液凝固を助ける働きが
ある。よって、透析などのように自己の血液を浄化し再
び体内にもどす体外循環の際、ブラジキニン上昇による
アナフィラキシー様症状対策として血液中のカリクレイ
ンを除去することは血液凝固を遅らせて、治療時の出血
を多くするため問題である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
ブラジキニンを直接吸着させる吸着体はなく早急な開発
が求められていた。本発明の目的は、より安全な体外循
環を行うために、血液中のブラジキニンを選択的に除去
する吸着体及び技術を提供する事であり、アルブミン、
及び免疫グロブリン等の有用物質を非選択的に吸着する
事が少なく、また、血液凝固を遅らせることなくブラジ
キニンを選択的に吸着除去できる吸着体を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
に沿って鋭意研究した結果、表面積10m2 以上、細孔
径5−5000Åの水に不溶な多孔体を用いる事によ
り、驚くべき程高率に、かつ選択的にブラジキニンを吸
着出来る事を見いだし、本発明を完成したものである。
即ち、発明の要旨は、表面積10m2 /g以上、細孔径
5−5000Åの水不溶性多孔体からなる事を特徴とす
るブラジキニンの吸着体(以下単に本吸着体と称す)に
ある。
【0006】本吸着体が対象とするブラジキニンをより
詳細に説明すると、分子量約1.0×103 の塩基性の
ペプチドであり、平滑筋の収縮・血管拡張・毛細血管の
透過性亢進等の作用を有する。また、アナフィラキシー
症状の発現・その他の炎症作用にも関与するものであ
る。血漿中のブラジキニン生成は、活性化したカリクレ
インが高分子キニノゲンに作用し高分子キニノゲンから
ブラジキニンを遊離させることによる。また、カリクレ
インの活性化は、血液凝固因子である第XII因子が異
物面に接触することにより活性化され、その活性化型第
XII因子がカリクレインを活性化することによる。つ
まり、血漿中のブラジキニン上昇は、第XII因子が異
物面へ接触することによって起こると言える。また、カ
リクレインは、ポジティブフィードバックして更に第X
II因子を活性化する為に、ブラジキニン上昇を増強さ
せる。
【0007】第XII因子を活性化する物質としては古
くからガラス、セライト、カオリン、コラーゲンなどが
知られている。その他にはステアリン酸、エラジン酸、
スルファチドやプラスミン、前記のカリクレインなどに
よって活性化されることは公知である。また、本発明者
らの研究によれば、多くの陰性荷電をもつ医療材料表面
との接触により第XII因子が活性化し、それに伴いブ
ラジキン上昇が起こることが分かった。
【0008】血漿中の第XII因子活性化に伴い生成し
たブラジキニンは、ブラジキニン不活化酵素であるキニ
ナーゼにより不活化される為に、通常は特に重篤な問題
は引き起こさない。しかし、本発明者らの研究によれ
ば、血漿中のブラジキニン濃度が4000pg/ml以
上になると吐き気、低血圧などのアナフィラキシー様症
状が現れることが分かった。よって、体外循環などによ
り血漿中のブラジキニンが上昇した場合、生成ブラジキ
ニン濃度を4000pg/ml以下に保つか、或いは除
去する必要がある。更に安全な体外循環を行う為には、
3000pg/ml以下、最も好ましくは1000pg
/ml以下に保つか、或いは除去する必要があると考え
る。
【0009】ブラジキニン吸着体はブラジキニンを疎水
的相互作用・静電気的作用の何れの作用によって吸着す
るものであっても良いが、我々の研究によれば静電気的
作用は作用効果範囲が吸着体表面近くに限定されるため
吸着能力が低い。一方疎水的相互作用は作用効果範囲が
広いため高い吸着能力を発揮出来る。よって、吸着体と
しては疎水的相互作用による吸着が、高い吸着能力が発
揮でき、吸着選択性の高いため最も好ましい。よって、
疎水的相互作用によるブラジキニン吸着方法を用いる事
により、ブラジキニンを効果的に吸着させるのみに留ま
らず特異性にとんだ吸着体を完成することができた。
【0010】本発明者らの研究によると、接触角が20
度以上の水不溶性多孔体を用いる事により、疎水的相互
作用が有効にブラジキニン吸着に働くことを見いだし
た。つまり、接触角が20度より下限では水不溶性多孔
体の表面が親水的過ぎてブラジキニンの吸着能力が極端
に下がってしまい、血中ブラジキニンの吸着体としては
実用的な能力に乏しい。又、接触角が大き過ぎると、即
ち疎水性の程度が高くなり過ぎるとブラジキニンの吸着
能力は高くなるが、非特異的な吸着がやや増加する傾向
があるため、好ましくない。よって、好ましい接触角の
範囲は25度から110度であり、より好ましくは25
度から100度であり、最も好ましくは30度から90
度の範囲である。
【0011】ここで言う「接触角」とは、水中における
個体表面上の空気泡の接触角である。この接触角の測定
には、個体面上に置いた小液滴の形を直接スクリーン上
に投影して測定する方法や、液滴の体積、高さ、底円の
半径などの測定から液滴が球の一部分として計算より求
める方法、個体に接する液面の湾曲部が水平面となるよ
うに個体体積を鉛直位置から傾斜する際の傾斜角度の測
定、付着張力の測定などがある。本発明で言う「接触
角」は、W.C.Hamilton.J.Colloi
d Interface Sci..40.219−2
22(1972)及び、J.D.Andrade.J.
Polym.Sci.Polym.Symp..66.
313−336(1979)で示された原理及び方法に
従い、測定した接触角を言う。また、試料は、シート
状、フィルム状等の成形物を作製し、接触角の温度条件
は25度とし、10回以上測定し、その平均値を材料の
接触角の値とした。
【0012】本吸着体は、ブラジキニンの吸着表面を大
きくとれ、実用的な吸着能力を出せるという観点から、
多孔体である事が必要である。多孔体の表面積の測定法
としては物理吸着法、浸漬熱法、透過法、化学吸着法な
どがあるが、多孔体の細孔径や細孔径毎の表面積が得ら
れることから、水銀圧入法が有用である(触媒工学講座
−4、「触媒測定法」触媒学会編地人書館発行、69〜
73頁)。本発明者らの研究によると、ブラジキニンは
血液液性成分のなかでも分子量の小さい蛋白であるため
に、他の血液液性成分とでは吸着する吸着体上の細孔径
が大きく異なることがわかった。つまり、細孔径500
0Åを超えると、細孔内に他の血液液性成分が進入しや
すくなり、ブラジキニンの細孔内への進入を妨げる為吸
着体の吸着性能を著しく低下させる。そこで吸着体上の
細孔径を小さくすることでブラジキニン吸着性能を向上
できることが分かった。小さくすればするほど、吸着体
のブラジキニンに対する吸着特性は高くなるが、5Å未
満では細孔内への進入が難しくなる為吸着体としては不
適である。よってブラジキニン吸着体として好適な細孔
径は、5000Åから5Åの範囲に細孔が集まっている
ことが好ましく、更に好ましくは、2000Åから20
Åの範囲であり、最も好ましくは、50Åから500Å
の範囲が好ましい。更に、細孔径20から2000Åの
細孔容積が全体の40%以上であることが好ましく、5
0から500Åの細孔容積が60%であることが最も好
ましい。
【0013】また、本発明者らの研究によると単位吸着
材当たりの表面積は、10m2 /g未満ではブラジキニ
ンと吸着体の接触面積が少なく、十分な吸着能力を発揮
できない為好ましくない。よって、全表面積は10m2
/g以上あることが好ましく、より好ましくは20m2
/g以上であり、最も好ましい範囲は40m2 /g以上
である。
【0014】疎水的相互作用を有する材料からなる多孔
体であれば無機化合物、有機化合物を問わないが、温水
に対する溶出物が少ない事、多孔体の細孔の制御がより
容易かつ精密にできることにより、有機高分子化合物が
好ましい。このような条件を満たす有機高分子化合物を
いくつか例示すると、エチレン、プロピレン、スチレ
ン、メタクリレートエステル、アクリレートエステル、
ビニルアルコール等のビニル系化合物の重合体及び共重
合体、または架橋共重合体、ナイロン6、66等のポリ
アミド系化合物、ポリエチレンテレフタレート等のポリ
エステル系化合物等があげられいずれであっても良い。
【0015】例示した中では、重合の容易さ、細孔の調
整の容易さから、ビニル系化合物の重合体及び共重合体
がより好ましく用いられる。このようなビニル系化合物
としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−エチル
スチレン等のスチレン系化合物の重合体、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル系化合物の重合体、及び上記化合物とジビニルベン
ゼン、アクリロニトリル、ビニルピロリドン、エチレン
グルコールメタクリレート、メチルアクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコー
ルメタクリレート、1、4−ブンタジオ−ルジメタクリ
レート、1、6−ヘキサンジオールメタクリレート等の
ビニル系化合物が例示でき、これらを成分として含む共
重合体が好ましく用いられる。この中で、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロ
ピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エス
テル系化合物の重合体及び上記ビニル化合物との共重合
体がより好ましく用いられる。
【0016】水不溶性多孔体の形状としては、球状、粒
状、糸状、中空糸状、平膜状、織布状、不織布状等いず
れも有効に用いられるが、体液循環の体液量の流量面よ
り、球状または粒状が最も好ましく用いられる。球状ま
たは粒状の平均粒径10μm未満では、体液循環の体液
に淀みを生じやすくなるため好ましくない。また、25
00μmを超えると、体液と本吸着体の接触時間が短く
なり吸着能力を低下させる為好ましくない。よって、1
0〜2500μmのものが好ましい、更に25μm〜1
000μmの範囲が好ましく、特に50μm〜600μ
mの範囲が最も好ましい。
【0017】本発明の吸着体の製造方法は、塊状重合、
溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の一般的に公知の方法
であり、市販の単量体を購入し、添加剤、重合開示剤及
び単量体を溶解する溶媒と共に、それぞれの重合体の製
造方法で行われる。例えば、スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体では、スチレン、エチルベンゼン、ジビニル
ベンゼン及びトルエン、オクタノール及びAIBN(ア
ゾビスイソブチロニトリル)共存下のもとで攪拌するこ
とにより、球径50から1000μm程度の多孔体粒子
を作ることができる。また、懸濁重合系でのラジカル重
合によっても、各種粒子径、孔径の粒子を作ることがで
きる。
【0018】本発明の吸着体は、血液との親和性をよく
するために、親水性で血小板の付着を抑制できる被膜層
を有したものであっても良い。親水性被膜層は、血液適
合性を上げることが本来の目的であり、血液適合性の程
度を示すことが必要であるが、血液の安定入手が困難で
あること、血液間差があることなどより、共通の安定し
た評価は困難である。親水性の程度については、水中に
おけるシート状或いはフィルム状にした個体表面上の空
気泡の25℃での接触角で20度以上であることが好ま
しい。
【0019】親水性被膜層は使用中の剥離を防ぐ為に重
合体であることが望ましい。親水性被膜層の具体例をあ
げると、重合体単量体を単量体としての名前で例示すれ
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、N、N−ジエチル
アミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメ
タクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリ
レート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレー
ト、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノ
メタクリレート、等のアクリル酸或いはメタクリル酸及
びその誘導体、メトキシトリエチレングリコール等のメ
トキシポリエチレングリコール類、及び、ポリエチレン
グリコール類、ジエチルアミノエチルスチレン、ヒドロ
キシスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等のスチレン
誘導体、ビニルアミン、ビニルアルコール等のビニル基
を有する単量体、(セグメント化)ポリウレタン、(セ
グメント化)ポリエステル、モノ(2−メタクリロイル
オキシエチル)アシッドフォスフェート、モノ(2−ア
クリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等の
いずれかの単量体1種以上を含む重合体、ブロック共重
合体、グラフト共重合体等が例示できる。特に重合体中
にヒドロキシル基を有していることが好ましい。ヒドロ
キシル基の共重合体中における結合様式に特に制限はな
い。また、本吸着体の被膜層にメタクルリル酸やメタク
リル酸2−ジメチルアミノエチルを含む共重合体を用い
ることは、水に溶出されにくくなることから好ましい。
更に、グリシルメタクリレート等の架橋性単量体を共存
させて架橋しても良い。
【0020】重合体は、上記重合体単量体の単独重合体
であっても良く、或いは2つ以上の共重合体であっても
良い。また、塩基性官能基を持つ重合体単位を0.1か
ら20重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単位
との共重合体であっても良い。これら重合体は線状重合
体、グラフト重合体、架橋重合体などの重合形態には特
に関係はない。重合体の分子量は、使用中または、被膜
層形成後の長期保存による剥離を防ぐ為にも、1000
以下は好ましくない。また、重合体の溶媒への溶解性
が、分子量100000以上では低下することから、分
子量100000以上は好ましくない。よって、重合体
の分子量は1000から100000の範囲になること
が好ましく、更に好ましくは、1000から50000
の範囲であり、特に好ましくは、5000から1000
0の範囲である。
【0021】重合体の被膜層は、グラフト法や沈澱法、
コーティング法、多孔体表面の官能基を利用した共有結
合法など、いずれによって得られるものであっても良
い。この中でも特にコーティング法が製造操作が容易で
あり、実用上好ましい。
【0022】本吸着体は、体液の導出入口を有する容器
に充填保持されて、使用されるのが一般的である。本吸
着体は、単独または他吸着体と混合しても良好に用いら
れ、更に吸着体と他の吸着体の血液の流れる下層側に充
填しても良い。また、単独で充填した場合は、単に体液
中のブラジキニンを吸着するために単独で用いても良い
し、他の血液処理器によって生成したブラジキニンを吸
着するために、他の血液処理器の下流に用いることもで
きる。血液処理器の具体的な例を示すと、人工腎臓用の
透析器、血液成分分離装置、血漿成分分離装置、体液成
分の吸着器、白血球除去器、心臓外科における術後灌流
血からの白血球除去器、術後血液回収時の骨破片等のゴ
ミ取りフィルター、吸着材破片の体内流入防止用フィル
ター等が挙げられるが、敢えてこれに限定されるもので
はなく、ブラジキニンが上昇する血液処理器であれば良
好に用いることができる。本吸着体を充填した吸着器
(以下吸着器と呼ぶ)の使用方法の具体的な例を示す
と、吸着器の前後に血液回路チューブ、チェンバー、ク
ランプ、ローラークランプ、ドリップチェンバー、血液
ポンプ用チューブ、等の何れかもしくは、複数を含み組
み込んだ体外循環用回路または輸血用回路を用いること
もできる。また回路中に組み込まれる機材は、上記に限
定される物ではない。更に、血液処理は、回路の途中に
血液ポンプ或いは送液ポンプ或いは吸引ポンプ或いはペ
リスタポンプ等のポンプを組み込んで使用する事もでき
る。また、血液の自重による落差でも良好に用いること
ができる。本吸着体を充填した吸着器(1)の一例を図
1に示す。円筒(2)の一端開口部には、内部にフィル
ター(3)を張ったパッキング(4)を介して体液導入
口(5)を有するキャップ(6)をネジ嵌合し、円筒
(2)の他端開口部には、内側にフィルター(3′)を
張ったパッキング(4′)を介して体液導入出口(7)
を有するキャップ(8)をネジ嵌合して容器を形成し、
フィルター(3)及び(3′)の間隙に吸着体を充填保
持させて、吸着体層(9)を形成している。
【0023】本発明者らの研究によると、吸着体層
(9)には、本吸着体を単独で充填してもよく、他の吸
着体と混合もしくは、体液の導出口側に積層しても良
い。吸着体層(9)の容量は、体外循環に用いる場合1
0〜500ml程度が適当である。
【0024】体外循環による上昇したブラジキニンを吸
着除去する為に本吸着体を用いる場合には、大別して2
つの方法がある。1つは、遠心分離法や膜分離法によっ
て予め全血から分離した血漿に対して適用する方法であ
る。血漿の分離方法としては経済性の点及び血球成分の
混入が無い点で膜分離法が好ましい。図2のように血液
ポンプ(14)により血漿分離機(13)に送られた全
血を血漿成分と血球成分に分ける。分けられた血漿は、
血漿ポンプ(12)により本吸着体以外の医療材料(1
1)に送られ病因物質や老廃物などを除去する。浄化さ
れた血漿は本吸着体(10)に送られ、本吸着体以外の
医療材料の表面接触によって上昇したブラジキニンを除
去した後、血球成分と合わせて(15)体内に戻す方法
である。また、他の1つは、図3のように体内から取り
出された血液を血液ポンプ(14)により本吸着体以外
の医療材料(11)に送られ病因物質や老廃物などを除
去する。浄化された血液は本吸着体(10)に送られ、
本吸着体以外の医療材料の表面接触によって上昇したブ
ラジキニンを除去した後、体内に戻す方法である。この
2つの方法とも、ブラジキニン吸着能力に差はほとんど
認めない。よって、方法の選択は、本吸着体以外の医療
材料の吸着能力、除去能力にあった方法を選択すれば良
い。本吸着体以外の医療材料を通過したことにより生成
したブラジキニンを吸着するものであることから、本吸
着体以外の医療材料通過後に、本吸着体による吸着除去
が行えればいずれの位置であっても良い。ただし、本発
明者らの研究によると血液が異物表面に接触してからブ
ラジキニン上昇をはじめピークをむかえるまでにはある
程度の時間がかかることがわかった。この時間について
は、医療材料の素材により異なるが、ほぼ5分〜15分
の間であった。よって、本吸着体以外の医療材料の血液
接触から本吸着材への血液進入は5分以上の時間的差が
必要である。本吸着体以外の医療材料としては、血液浄
化器、吸着体、不織布を用いた白血球除去フィルター、
透析膜、濾過血漿分離膜などである。
【0025】また、血液もしくは血漿の通過速度につい
ては、本吸着体の吸着能力が非常に高い為、本吸着体の
粒度を粗くする事が出来、また、充填度を低くできるの
で吸着体層の形状の如何に拘わらず、高い通過速度を与
えることができる。その為、大量の体液処理をすること
ができる。体液の通過方法としては、臨床上の必要に応
じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に通過し
てもよいし、また断続的に通液してもよい。本吸着体以
外の医療材料は、臨床上の必要に応じ、形状及び素材の
如何に拘らず適宜組合せて使用できる。
【0026】
【発明の効果】本発明のブラジキニン吸着体は、体外循
環によりブラジキニンが上昇した体液中のブラジキニン
を高率かつ選択的に吸着除去し、アナフィラキシー様症
状を効果的に抑制する。本発明は、血液、血漿等の体液
を浄化、再生する一般的な用途に適用可能である。ま
た、本発明の吸着体は、容器充填して治療器として用い
られるに留まらず、ブラジキニンの分離精製用アフィニ
ティー吸着体としても用いることが出来る。
【0027】
【実施例1】ブラジキニン吸着体としては、メチルメタ
アクリレート・ビニルベンゼン共重合体(80:20重
量%、アンバーセップ、オルガノ社製)を用いた。この
吸着体に用いられた材料の細孔径は67nm、表面積は
275m2 /g、平均粒径は256μmであった。この
水不溶性多孔体を吸着体として用いて、以下の様な吸着
実験を行った。アルブミン(和光純薬工業製、人血清ア
ルブミン)を含む生理食塩水に、ブラジキニン(バッケ
ム社製、ブラジキニン)を、ブラジキニン濃度が400
00pg/mlとなるように調製した。この調整液5m
lに、本吸着剤1mlを加え、37℃で2時間振とうし
た。その後、吸着剤を沈澱させ、上清のみを市販のEI
Aキット(大日本製薬(株)マーキットAブラジキニ
ン)にて、残存ブラジキニン濃度を求めた。吸着実験の
結果は、元液濃度40000pg/mlに対し、吸着後
の濃度は、測定検出限界以下(1000pg/ml以
下)であった。即ち、試験液中のブラジキニンの97.
5%以上が吸着できた。
【0028】
【実施例2】実施例1に用いた吸着体に、ポリヒドロキ
シエチルメタアクリレートをコートすることにより吸着
体に親水性被膜処理した物を用い、実施例1と同様に実
験した。ポリヒドロキシエチルメタアクリレートは、ヒ
ドロキシエチルメタアクリレート60gとエタノール3
87gをフラスコに入れ、57℃にしたのち、アゾビス
イソブチロニトリル0.24gを添加し、7.5時間攪
拌しながら重合した。ポリマーのコーティングは、ポリ
マーの1重量%エタノール溶液中に吸着体を15分間浸
漬した後、吸着体を分収し、熱風乾燥した。このポリマ
ーコーティング吸着体を用いて吸着実験を行った。吸着
実験の結果は、元液濃度40000pg/mlに対し、
吸着後の濃度は、測定検出限界以下(1000pg/m
l以下)であった。即ち、試験液中のブラジキニンの9
7.5%以上が吸着できた。
【0029】
【実施例3】石油ピッチ系球状活性炭(MZ−AZ、呉
羽化学工業製)を「炭化表面を持つ水不溶性多孔体」と
して用いた。用いた活性炭の物性は、表面積980m2
/g、平均孔径50Å、粒径200μm、平均粒径は6
03μmであった。この「活性炭」を吸着体として用い
て、以下の様な吸着実験を行った。精製ブラジキニン
(バッケム社製、ブラジキニン)を、ブラジキニン濃度
が40000pg/mlとなるように生理的食塩水にて
調製した液5mlに、「活性炭」0.1mlを加え、3
7℃で2時間振とうした。その後、「活性炭」を沈澱さ
せ、上清のみを市販のEIAキット(大日本製薬(株)
マーキットAブラジキニン)にて、残存ブラジキニン濃
度を求めた。吸着実験の結果は、元液濃度40000p
g/mlに対し、吸着後の濃度は、測定検出限界以下
(1000pg/ml以下)であった。即ち、試験液中
のブラジキニンの97.5%が吸着できた。
【0030】
【比較例1】ブラジキニン吸着体としては、メチルメタ
アクリレート・ビニルベンゼン共重合体(80:20重
量%、アンバーセップ、オルガノ社製)を用いた。この
吸着体に用いられた材料の細孔径は21637nm、表
面積は0.8m2 /g、平均粒径は157μmであっ
た。吸着実験の結果、元液濃度40000pg/mlに
対し、吸着後の濃度は32000pg/mlであった。
即ち、試験液中のブラジキニン20%とほとんど吸着し
なかった。臨床的には、血中ブラジキニン濃度を100
0pg/ml以下に下げれば、アナフィラキシー様症状
は抑えられると考えられる。本比較例の吸着能力では、
1000pg/ml以下に下げる事が難しいので実用的
でない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のブラジキニン吸着体を用いた吸着器の
形態の1例を示す断面模式図である。
【図2】本発明のブラジキニン吸着体を用いて血漿中の
ブラジキニンを吸着する為の1実施態様を示す解説図。
【図3】本発明のブラジキニン吸着体を用いて全血中の
ブラジキニンを吸着する為の1実施態様を示す解説図。
【符号の説明】
1 吸着器 2 円筒 3、3′ フィルター 4、4′ パッキング 5 体液導入口 6 キャップ 7 体液導入出口 8 キャップ 9 ブラジキニン吸着体層 10ブラジキニン吸着体 11ブラジキニン吸着体以外の医療材料 12血漿ポンプ 13血漿分離器 14血液ポンプ 15血液・血漿混合部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面積10m2 /g以上、平均細孔径5
    −5000Åの水不溶性多孔体からなる事を特徴とする
    ブラジキニンの吸着体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1997010897A1 (fr) * 1995-09-20 1997-03-27 Kanegafuchi Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha Agent d'adsorption de bradykinine, procede d'elimination de bradykinine par adsorption et adsorbeur
JP2009240491A (ja) * 2008-03-31 2009-10-22 Asahi Kasei Kuraray Medical Co Ltd 体液浄化システムの作動方法

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