JP3276456B2 - エンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着材及び該吸着材を用いた浄化血液の取得装置 - Google Patents

エンドトキシン及び/又はサイトカインの吸着材及び該吸着材を用いた浄化血液の取得装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中のエンドトキシ
ンの浄化技術に関する。
【0002】
【従来の技術】エンドトキシンは、血液中で発熱、血圧
低下、血管内凝固、ハーゲマン因子の活性化など種々の
生物活性を示すことが知られている。特に臨床の場で
は、例えば外科手術後に患者血液中に混入したエンドト
キシンによって重篤な悪性の症状を誘発することが知ら
れている。この症状の治療或いは予防の目的でポリプロ
ピレン製の不織布に、エンドトキシンとの立体的、生物
学的な結合性を有するポリミキシンBを共有結合したエ
ンドトキシン吸着器が知られている。ポリミキシンBそ
のものがエンドトキシンとの結合性を有することが知ら
れており、この性質を利用してポリミキシンBを不織布
材料に不溶化してエンドトキシンの吸着材とし、血液を
灌流して血漿中のエンドトキシンを吸着除去しようとす
るものである。しかしポリミキシンBは溶液中に溶解し
た状態ではなるほどエンドトキシンとの結合性を有する
が、本発明者らの研究によるとポリミキシンBを不溶化
することによってエンドトキシンとの結合性が著しく低
下してしまうことがわかった。これはおそらく不溶化す
ることによって担体として用いている不織布そのもの、
あるいは不織布との化学的結合手によって立体的にエン
ドトキシンとの結合を阻害するために結合力が低下する
ため、及びポリミキシンBが溶解状態と不溶化状態とで
は、ポリミキシンBとエンドトキシンとの接触が非常に
起こりにくくなるためであると考えられた。しかも担体
が不織布であり、エンドトキシンの吸着に有効に働く表
面積が少なく、やはりエンドトキシンの吸着能力の点で
十分ではなかった。
【0003】またビリルビン吸着材として臨床で使用さ
れている表面に陽性官能基を有する多孔質ビーズを充填
した容器(プラソーバBR−350、旭メディカル社
製)に、血液より血漿を分離した後血漿のみを灌流し
て、陽性官能基による静電的作用によって血漿中のエン
ドトキシンを吸着除去しようとする試みがなされてい
る。ビリルビン吸着材は、その陽性官能基による静電的
結合作用がポリミキシンBの立体的、生物学的な結合作
用よりもより遠くに及びため好ましく、しかも多孔質で
あるため先の不織布を担体とするよりも遥かに表面積は
大きく、よってより好ましいとは考えられる。しかし本
発明者らの研究によると、ビリルビン吸着材の平均細孔
径はビリルビンの吸着に適したものであり、エンドトキ
シンが進入できる細孔量が少なく、エンドトキシンの吸
着に有効に働く表面積は十分には無く、やはり満足でき
るものではなかった。しかも血漿のみを灌流するもので
あるため血球成分に付着したエンドトキシンは除去でき
ないので、エンドトキシンの除去効果の点では必ずしも
満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エン
ドトキシン含有血液の浄化、特に赤血球や白血球、血小
板などの血球成分との付着性を有するエンドトキシンに
よる生理反応を防止するための、優れた浄化材及び該浄
化材を用いてエンドトキシン含有血液中のエンドトキシ
ン及び/又は該エンドトキシンにより活性化された結果
放出されたサイトカインを吸着し、浄化された血液を取
得する装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等の研究による
とエンドトキシン含有血液においてはエンドトキシンに
よって特に白血球より癌壊死因子、インターロイキン
1、インターロイキン6などの種々のサイトカインが放
出されており、これら過剰なサイトカインが生理的悪影
響を及ぼすことがわかった。そのためサイトカイン放出
の原因となっているエンドトキシン、特に血球細胞表面
のエンドトキシンを除去し、あるいはエンドトキシンに
よって過剰に生産されたサイトカインを除去して、エン
ドトキシン含有血液の状態を改善することが重要であ
る。そこでエンドトキシン含有血液を浄化して正常な状
態の血液を製造することを目的として研究した結果、本
発明を成すに至った。即ち本発明は、下記のとおりのも
のである。表面に式(イ)で現される陽性官能基を持つ
重合体単位を0.1から20重量%含む、ヒドロキシル
基を有する重合体単位との共重合体を有し、全細孔表面
積が5m /g以上、平均孔径が100〜5000Å
の多孔質体からなる、エンドトキシンが付着した血球成
分を含む血液中のエンドトキシン及び/又は該エンドト
キシンに起因するサイトカインの吸着材。
【化1】エンドトキシンが付着した血球成分を含む血液
から、エンドトキシが付着した血球成分を含む血液中の
エンドトキシン及び/又は該エンドトキシンに起因する
サイトカインの含有量が減少した血液を取得する装置で
あって、体液の導出入口を備えた容器内に、表面に式
(イ)で現される陽性官能基を持つ重合体単位を0.1
から20重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単
位との共重合体を有し、全細孔表面積が5m /g以
上、平均孔径が100〜5000Åの多孔質体からなる
吸着材が10ml〜1000ml充填保持されたことを
特徴とする、血液の取得装置
【化1】本発明者等の研究によると、エンドトキシン含
有血液の浄化に際し、立体的・生物学的結合作用よりも
静電的作用による方がその結合作用がより遠くに且つ、
広範囲におよぶため好ましい。しかもエンドトキシンあ
るいはサイトカインが十分に内部まで進入でき、吸着材
単位容積当たりのエンドトキシン及び/又はサイトカイ
ン吸着に有効に作用する表面積を多く確保できる、至適
な細孔径を有する多孔質の吸着材であることが好まし
い。更に、エンドトキシンは赤血球や白血球、血小板な
どの血球成分に付着しており、よって血球成分を含む状
態で灌流できるものであることが好ましい。
【0006】エンドトキシンの説明 エンドトキシンとはグラム陰性菌細胞壁外膜を構成する
主成分として知られる、リポ多糖、或いはリポ多糖と蛋
白質との複合体である。リポ多糖はリピドAとポリ多糖
との多様な化合物として知られている。
【0007】官能基 本発明にいう陽性官能基とは、血漿など中性の水溶液中
で正の荷電を有する官能基であって、アミン類、及びア
ミン誘導体等が含まれ、3級及び4級アミノ基があげら
れ、いずれであっても良い。好ましい例を示すと次式
(イ)で現されるものである。式(イ)で現されるもの
は、実用時に使用されるヘパリンの非特異吸着が少ない
点からも好ましい。
【0008】
【化1】
【0009】置換基であるR1、R2、R3に特に制限
は無く、任意の置換基を与えることができるが、どこか
の置換基が重合の主鎖と共有結合によって接続されてい
るものである。例えば水素、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、フェニル基、ベンジル基などの炭化水素置換基
であっても良いし、メチロール、エチロールなどの異核
種の原子を含んだ置換基でも良く、結果として陽性官能
基のpKaが4.0以上となっていれば良い。R1とR
2、R3は2つ以上で環状となっているものでもよく、
例えばピリジン、イミダゾール、ピペリジン、ピロー
ル、ピリミジンなどがこれに相当する。
【0010】陽性官能基の一例を単量体名で例示する
と、アリルアミン、ジアリルアミン、N,N−ジメチル
アリルアミン、N,N−ジアリルピペラジン、N,N−
ジアリルアニリン、N,N−ジアリルメラミン、アミノ
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−
ジエチルアミノスチレン、ビニルベンジルアミン、ビニ
ルフェネチルアミン、N,N−ジメチルビニルフェネチ
ルアミン、N,N−ジエチルビニルフェネチルアミン、
N−プロピルビニルフェネチルアミン、ビニルピリジ
ン、2−メチル−5−ビニルピリジン、2−エチル−5
−ビニルピリジン、2−ビニルキノリン、2−ビニルイ
ミダゾール、4−ビニルイミダゾール、ビニルピラゾリ
ン、ビニルピラジン、4−ビニルピリミジン、ビニルア
ミン、ビニルカルバゾール、エチレンイミン、N−フェ
ニルエチレンイミン、N,N−ジエチル−N−ビニルフ
ェネチルアミン、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメルルアミノエチルメタクリレート、ジエチルア
ミノエチルスチレンなどのモノマーや、これらのいずれ
かを重合単位とするオリゴマーやポリマーがあげられ
る。またこれらを4級化したアンモニウム基であっても
良い。
【0011】又、例えばジエチルアミノエチルスチレ
ン、N,N−ジエチル−N−ビニルフェネチルアミン、
ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノ
エチルメタクリレートなどの、重合単位と他の重合性単
量体、例えばヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルス
チレン、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、セグ
メント化ポリウレタン、セグメント化ポリエステル等と
の共重合体であったも良い。特に重合体中にヒドロキシ
ル基を有していることが血液適合性向上の点では好まし
い。ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特に
制限はない。特に式(イ)で現される陽性官能基を持つ
重合体単位を1から50重量%含む、ヒドロキシル基を
有する重合体単位との共重合体であることが好ましい。
【0012】陽性官能基を得る方法 陽性官能基を多孔質体に不溶化する方法には、陽性官能
基を溶解した液中に浸漬、あるいは該液を噴霧すること
によってコーティングする方法、化学的に或いは放射線
や電子線を用いてのグラフト法によって多孔質体表面に
共有結合する方法、或いは化学的方法により多孔質体表
面の官能基を介して共有結合する方法などがある。多孔
質体が被覆層を有する場合はその被覆層表面に不溶化す
ることもできる。多孔質体或いはその被覆層表面に官能
基を得る方法の1例としてはハロゲン化シアン法、エピ
クロルヒドリン法、ビスエポキシド法、ブロモアセチル
ブロミド法等が知られている。具体的にはアミノ基、カ
ルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、酸無水物
基、サクシニルイミド基、塩素基、アルデヒド基、アミ
ド基、エポキシ基、トレシル基などが挙げられる。陽性
官能基は、水不溶性多孔体を構成する高分子鎖の側鎖に
存在する必要は必ずしもなく、主鎖を形成するものでも
良い。しかし、水不溶性多孔体に陽性官能基を側鎖とし
て導入する方が製造法上容易である。
【0013】官能基の量 本発明の吸着材に有する官能基の量は、イオン交換容量
(中性塩分解法による測定)で表す時、小さいと血液ま
たは血漿浄化用の浄化材として実用的な能力が乏しく、
またイオン交換容量が大き過ぎると、非選択的な浄化が
やや増加する傾向にある。このため好ましいイオン交換
容量は、0.01meq/mlから100meq/ml
であり、より好ましくは、0.05meq/mlから5
0meq/mlの範囲が最も望ましい。
【0014】多孔質体の材質 本発明に言う多孔質体とは、陽性官能基が導入できるも
のであれば、無機化合物、有機化合物を問わないが、温
水に対する溶出物が少ないこと、多孔体の細孔の制御が
より容易かつ精密にできることより、有機高分子が好ま
しい。このような例としては、ポリプロピレン、ポリス
チレン、ポリメタクリレートエステル、ポリアクリレー
トエステル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等
のビニル系化合物の重合体及び共重合体、ナイロン6或
いは66等のポリアミド系化合物、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル系化合物、セルロース等の植
物由来の多糖類系化合物等を例示することができる。本
発明において用いられる多孔質体の材料は、陽性官能基
が0.01meq/g以上導入できれば良く、以上に限
定されるものではない。例示した中では、重合の容易
さ、陽性官能基の導入の容易さより、ビニル系化合物の
重合体及び共重合体がより好ましく用いられる。このよ
うな例としては、スチレン、メチルスチレン、ジフェニ
ルエチレン、エチルエチレン、ジメチルスチレン、ビニ
ルナフタリン、ビニルフエナントレン、ビニルメシチレ
ン、3、4、6−トリメチルスチレン、1−ビニル−2
−エチルアセチレン等の炭化水素化合物:クロルスチレ
ン、メトキシスチレン、ブロムスチレン、シアノスチレ
ン、フルオルスチレン、ジクロルスチレン、N,N−ジ
メチルアミノスチレン、ニトロスチレン、クロルメチル
スチレン、トリフルオルスチレン、トリフルオルメチル
スチレン、アミノスチレン等のスチレン誘導体:アクリ
ロニトリル、α−アセトキシアクリロニトリル等のアク
リロニトリル誘導体:アクリル酸、メタクリル酸:アク
リル酸メチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸クロル
メチル、アセトキシアクリル酸エチル等のアクリル酸エ
ステル:メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ジ
メチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタク
リル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ヒドロキ
シエチル等のメタクリル酸エステル:マイレン酸ジエチ
ル、フマル酸ジエチル:メチルビニルケトン、エチルイ
ソプロペニルケトン等のビニルケトン、塩化ビニリデ
ン、臭化ビニリデン、シアン化ビニリデン等のビニリデ
ン化合物:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブ
トキシメチルアクリルアミド、N−フエニルアクリルア
ミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルア
ミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド誘導体:
酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプリン酸ビニル等の脂肪酸
ビニル誘導体:チオメタクリル酸フエニル、チオアクリ
ル酸メチル、チオ酢酸ビニル等のチオ脂肪酸誘導体:更
にN−ビニルスクシンイミド、N−ビニルピロリデン、
N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカルバゾールビニ
ルフラン、2−ビニルベンドフラン、ビニルチオフエ
ン、ビニルイミダゾール、メチルビニルイミダゾール、
ビニルピラゾール、ビニルオキサゾリドン、ビニルチア
ゾール、ビニルテトラゾール、ビニルピリジン、メチル
ビニルピリジン、2,4−ジメチル−6−ビニルトリア
ジン、ビニルキノリン等の異節環状ビニル化合物があ
る。
【0015】本発明の浄化材の構成単位となる架橋重合
性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタリン、ジビニル
エチルベンゼン、ジビニルフエナントレン、トリビニル
ベンゼン、ジビニルジフエニル、ジビニルフエニルエー
テル、ジビニルジフエニルスルフイド、ジビニルジフエ
ニルアミン、ジビニルスルホン、ジビニルケトン、ジビ
ニルフラン、ジビニルピリジン、ジビリルキノリン、ジ
(ビニルピリジノエチル)エチレンジアミン、フタル酸
ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、コ
ハク酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、ア
ジピン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、酒石酸ジアリ
ル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、リン酸トリア
リル、トリカルバリル酸トリアリル、アコニット酸トリ
アリル、クエン酸トリアリル、N,N−エチレンジアク
リルアミド、N,N−エチレンジメタクリルアミド、
N,N−メチレンジメタクリルアミド、エチレングリコ
ールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラメタクリレート、1,3ブチレング
リコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
アクリレート、トリメチルプロパントリアクリレート、
ペンタエリスリトールテトラクリレート、トリアリルイ
ソシアヌレート、1,2,5−トリアクリロイルヘキサ
ヒドロ−1,3,5−トリアジン、ジアリールメタミン
等が含まれる。この中で、化学的に安定で、且つ容易に
官能基を導入させるには、スチレン系の重合体及び上記
ビニル化合物との共重合体がより好ましく用いられる。
更に、スチレン系化合物の重合体及び上記ビニル化合物
との共重合体が、70重量%以上含有するものが、本発
明の浄化材に用いられる材料としては、より好ましい結
果を与える。例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重
合体では、スチレン、エチルベンゼン、ジビニルベンゼ
ン及びトルエン、オクタール及びAIBN(アゾビスイ
ソブチロニトリル)共存化のもとで攪拌することによ
り、球形の50μmから1000μm程度の多孔質体粒
子をつくることが出来る。また、懸濁重合系でのラジカ
ル重合によっても、各種粒子径、孔径の粒子を作ること
が出来る。
【0016】高分子被覆層 本発明の吸着材表面は、血液、特に血球成分との親和性
をよくするために、親水性の血小板の付着を制御するた
めの重合体からなる被覆層を、本吸着材の血球と接触す
る表面に有していることが好ましい。親水性被覆層は血
液適合性を上げることが本来の目的であり、血液適合性
の程度を示すことが必要であるが、評価のための血液の
入手が困難であること、血液間の個体差があることなど
より、共通の安定した評価は困難である。より簡便に親
水性の程度は表現できる。あえて親水性の程度の好まし
い範囲を示せば、水中におけるシート状或いはフィルム
状にした個体表面上の空気泡の25℃での接触角で11
0度以下である。親水性被覆層は使用中の剥離を防ぐた
めに重合体であることが望ましい。親水性被覆層の具体
例をあげると、重合体単位を単量体としての名前で例示
すれば、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシメチルスチレ
ン、ビニルアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレ
ート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ビニルア
ミン、ジエチルアミノエチルスチレン、ジエチルアミノ
エチルメタクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレートセグメント化ポリウレタン、セグメント化
ポリエステル等のブロック共重合体、ポリエチレンオキ
サイド鎖を有する単量体と他の重合単量体のようなグラ
フト共重合体等が例示できる。特に重合体中にヒドロキ
シル基を有していることが好ましい。ヒドロキシル基の
重合体中における結合様式に特に制限はない。重合体
は、上記重合体単位の単独重合体であってもよく、或い
は2つ以上の共重合体であっても良い。特に式(イ)で
現される陽性官能基を持つ重合体単位を0.1から20
重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単位との共
重合体であることが好ましい。これら重合体は線状重合
体、グラフト重合体、架橋重合体などの重合形態には特
に関係は無い。重合体の被覆層は、グラフト法や沈澱
法、コーティング法、多孔体表面の官能基を利用した共
有結合法など、いずれによって得られるものであっても
良い。この中でも特にコーティング法が製造操作が容易
であり、実用上好ましい。
【0017】吸着材の形状 本発明でいう吸着材は、糸状、スポンジ状、ビーズ状、
チップ状、中空糸状、平膜状等いずれの形状であっても
良い。この中でも取扱い性の点で糸状、スポンジ状、ビ
ーズ状が好ましく用いられ、特に糸状、スポンジ状のも
のが浄化性能の点で最も優れている。糸状のものは、そ
のまま例えば綿状にして用いることもできるし、織布、
或いは不織布状、更には短く裁断して使用することが出
来る。糸状の物の中では取扱い性や吸着性能の点で不織
布であることが好ましい。この中で体液循環時の体液の
流通の観点から球状または粒状が最も好ましく用いられ
る。球状または粒状の平均粒径は10μmから2500
μmのものが使いやすいが、25μmから1000μm
の範囲が好ましく、より好ましくは50μmから600
μmである。特に、血液を灌流するためには平均粒子径
は200μm以上であることが好ましい。
【0018】細孔の容積、面積のもとめかた 多孔質体の細孔の容積、面積は水銀圧入法による水銀圧
入曲線から得ることが出来る。ここで言う細孔は出来る
だけ実用時に近い状態での値であることが良く、表面に
被覆層を有する場合は、被覆処理後の値を言う。また、
水銀圧入法での測定時の乾燥処理によって形状が変わる
場合は、粒子径の変化を測定し、表面積は粒子径の変化
率の2乗、細孔体積は粒子径の3乗倍して補正すること
とした。即ち、粒子径が1/X倍となった時、表面積は
1/X2 倍、細孔体積は1/X3倍となったとする。具
体的にはみかけ比重と膨潤率による補正を必要に応じて
実施する。
【0019】細孔径 平均孔径は細孔を円筒形であると仮定して、全細孔体積
を細孔比表面積によって割り算することによって求めら
れる。本発明者等の研究によると細孔の孔径が100Å
未満ではエンドトキシンやサイトカインは細孔内に十分
進入出来ず、吸着材単位容積当たりのエンドトキシン含
有血液の浄化能力は低下してしまう。一方孔径が500
0Åを超えるとエンドトキシン等は細孔内に十分に進入
出来るものの表面積が低下するため浄化材単位容積当た
りのエンドトキシン含有血液の浄化能力はやはり低下し
てしまう。このため平均孔径は100Å以上5000Å
以下であることが好ましい。平均孔径のより好ましい範
囲は200Å以上であり且つ2000Å以下である。
【0020】細孔分布 エンドトキシンやサイトカイン吸着に有効に働く孔径1
00Å以上5000Å以下の細孔をより多く有している
ことが、優れた浄化能力を得るために重要である。細孔
の分布を体積基準で示すと、孔径100Å以上5000
Å以下の細孔の体積が60Å以上80,000Å以下の
全細孔体積の30%以上、より好ましくは40%以上で
あることが良い。
【0021】表面積 吸着能力は表面積によって大きく影響する。表面積が大
きいと吸着能力は上がり、小さいと下がることは自明で
ある。このため全細孔表面積は5m2 /g以上であるこ
とが好ましい。より好ましくは10m2 /g以上であ
り、更に好ましくは20m2 /g以上である。多孔質体
の場合、その細孔径が浄化対象物質に対して至適である
場合にのみその細孔内の表面積が有効に働くのである。
即ち、孔径が100Å以上5000Å以下の細孔による
表面積を多く有することが好ましい。そこで、特に孔径
100Å以上5000Å以下の細孔による表面積が3m
2 /g以上存在することが浄化能力の点で好ましく、よ
り好ましくは5m2 /g以上である。特に好ましくは1
0m2 /g以上である。
【0022】吸着器の形状 本発明の吸着材は、体液の導出入口を備えた容器内に充
填保持されて使用されるのが一般的である。容器に充填
される吸着材は、本発明の吸着材を単独で充填しても、
他の吸着材と混合もしくは、積層しても良い。吸着材の
容量は、体外循環に用いる場合10mlから1000m
l程度が適当である。本発明においては、血球成分を含
む血液を直接吸着器に通過させ、浄化する。こうするこ
とにより血球成分に付着したエンドトキシンも吸着除去
できるため、好ましい。また、吸着材への血液の通液
は、臨床上の必要に応じ、あるいは設備の装置状況に応
じて、連続的に行っても良いし、また断続的に行っても
良い。
【0023】吸着器の滅菌方法 滅菌方法は、公知の何れの方法を用いても良いが、敢え
て例を挙げるならば、オートクレーブ等の熱滅菌、エチ
レンオキサイドガス(EOG)滅菌、γ線滅菌、電子線
滅菌等の放射線滅菌、UV照射等の滅菌法を使用でき
る。吸着材は予め湿潤状態であることが、実用時の湿潤
化操作が不要になり好ましい。この点で湿潤状態で滅菌
されている方がより好ましく、よってオートクレーブ滅
菌及び放射線滅菌が好ましい滅菌方法として使用でき
る。湿潤状態での滅菌に際して、浄化材と共に吸着器に
充填される溶液は水溶液であることが好ましく、水溶液
中には、生理条件に近い浸透圧を得られるため、あるい
は生理条件に近い中性のpHが得られるため、各種塩が
溶解されていることが好ましい。
【0024】
【発明の効果】本発明の完成により、エンドトキシン含
有血液を効率良く、しかも手軽に浄化して正常に近い血
液を製造することができる。
【0025】
【実施例】吸着体として、ジメチルアンモニウム基を表
面に有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(ロー
ム・アンド・ハース社製IRA−93、総交換容量1.
20mEq/ml)にポリヒドロキシエチルメタクリレ
ートとジメチルアミノエチルメタクリレートとの共重合
体(組成比97:3)をコーティングしたものを用い
た。コーティングはメタノールに共重合体を1.0%濃
度に溶解した液を用い、窒素雰囲気下で実施した。吸着
体の細孔孔径及びその分布状態、表面積などの物性値
は、水銀ポロシメーター(島津製作所社製、マイクロメ
リティックス・ポアサイザ9320)を用いて測定し
た。測定結果はポアプロットシステム(島津製作所社
製、9320−PC2(V1.0))にて分布した。浄
化体の平均孔径は490Å、体積基準のモード径が12
00Å、全細孔表面積が41.0m2 /g、全細孔体積
が0.530ml/gであった。この浄化材を内容量4
00mlの容器に、ピロ亜硫酸ナトリウム200ppm
を含み、炭酸水素ナトリウムでpH7.2に調整した水
溶液と共に充填して、オートクレーブ滅菌して、吸着器
とした。吸着器を用いて以下のようにしてエンドトキシ
ンの吸着能力を測定した。犬血液にE.coli.由来
のリポポリサッカライドを6.5μg/ml濃度に加え
て、エンドトキシン含有血液を作成した。このエンドト
キシン含有血液を血液流量60ml/分で吸着器に灌流
してエンドトキシン浄化を行った。エンドトキシンの浄
化性は、エンドトキシン浄化血液を直ちに成犬に連続的
に注入し、成犬のエンドトキシンによる生理反応を観察
することによって測定した。この時成犬内血液量を調節
するために、注入したエンドトキシン浄化血液と同量の
血液を脱血した。灌流は2時間実施した。吸着器による
エンドトキシンの効果的な浄化により、成犬は明らかな
エンドトキシンショック性の生理反応を示さず、よって
本発明の吸着器によって血液中のエンドトキシンは効果
的に浄化されていた。
【0026】
【比較例】吸着器としてプラソーバBR−350を用
い、エンドトキシン含有血液より膜型血漿分離器で血漿
を採取し、吸着器に灌流した。この時血液流量60ml
/分、血漿流量20ml/分とした。吸着器を灌流した
血漿は膜型血漿分離器で濃縮された血球成分と混合して
エンドトキシン浄化血液とした。他は実施例と同様にし
た。結果、成犬は明らかなエンドトキシンショック性の
生理反応を示して死亡した。よってこの吸着器ではエン
ドトキシンの吸着能力が低いと判定できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 1/36 530

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に式(イ)で現される陽性官能基を
    持つ重合体単位を0.1から20重量%含む、ヒドロキ
    シル基を有する重合体単位との共重合体を有し、全細孔
    表面積が5m /g以上、平均孔径が100〜500
    0Åの多孔質体からなる、エンドトキシンが付着した血
    球成分を含む血液中のエンドトキシン及び/又は該エン
    ドトキシンに起因するサイトカインの吸着材。 【化1】
  2. 【請求項2】 エンドトキシンが付着した血球成分を含
    む血液から、エンドトキシが付着した血球成分を含む血
    液中のエンドトキシン及び/又は該エンドトキシンに起
    因するサイトカインの含有量が減少した血液を取得する
    装置であって、体液の導出入口を備えた容器内に、表面
    に式(イ)で現される陽性官能基を持つ重合体単位を
    0.1から20重量%含む、ヒドロキシル基を有する重
    合体単位との共重合体を有し、全細孔表面積が5m
    /g以上、平均孔径が100〜5000Åの多孔質体か
    らなる吸着材が10ml〜1000ml充填保持された
    ことを特徴とする、血液の取得装置。 【化1】
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