JP3379972B2 - 白血球捕捉体およびその製造方法 - Google Patents

白血球捕捉体およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液成分からの白血球
除去に要する白血球捕捉体およびその製造方法に関する
ものである。さらに詳しくは、プラズマ開始グラフト重
合法により捕捉体表面にカチオン性を付与し、白血球除
去後の血液成分中に異物を混入することなく、しかも安
定した濾過流量を得ながら白血球の捕捉が可能な捕捉体
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在行われている成分輸血は、患者に必
要な血液成分だけを輸血し不要な成分を輸血しないこと
が原則である。しかし日常的に使用されている濃厚赤血
球は成分製剤といわれながら、実際には多くの白血球、
血小板および血漿が含まれている、この濃厚赤血球の輸
血の頻度が高い血液疾患(悪性不良性貧血、溶血性貧
血、悪性リンパ種など)、悪性腫瘍、腎不全、感染症、
膠原病、慢性出血性貧血などでは、白血球および血小板
に対する抗体の産生を抑制するために、また輸血副作用
が現れる患者には、その予防のために濃厚赤血球に含ま
れる白血球および血小板を取り除き純度の高い赤血球を
輸血する必要がある。最近では、輸血された血液中の分
裂能を有するリンパ球が患者の組織適合性抗体を異物と
認識して攻撃するGraft-versus-Host Disease(GVHD) が
注目され、白血球除去血液製剤の使用が増加しつつあ
る。
【0003】そこで、輸血用血液中のリンパ球の分裂能
を破裂することが必要となってくるが、この方法として
現在広く知られているものは、放射線によるリンパ球の
分裂能そのものの破裂と、濾過による白血球(リンパ
球)の捕捉が挙げられる。
【0004】放射線による方法では、リンパ球を含む血
液製剤(新鮮血、保存血、赤血球濃厚液、濃縮血小板な
ど)に1500rad(15Gy)の放射線を照射し、
リンパ球の分裂能を破壊するものである。我が国では、
血液バッグの照射はレントゲン技師を中心に放射線治療
室で行われており、1バッチ約5〜6分程で終了する。
欧米では線源にCs137 を用いる血液製剤の照射専用器
が市販されている。これを用いると400〜500ml
の血液バッグを2〜6分で照射が可能である。ライトマ
ン(Leitman) ら、Transfusion 25 (4):293-300,1985 に
よると、この線量では赤血球はもちろんのこと、血小板
や顆粒球の機能も障害されないことが報告されている。
しかし、機器設置には高価な設備と放射線取扱い責任者
による管理体制が必須であり、だれでも操作が可能とい
うわけにはいかない。また、夜間の急用の患者でしかも
リスクの高い場合には輸血が不可能なことも考えられ
る。
【0005】一方、濾過による白血球の捕捉に関して
は、操作が非常に勘弁であり、安価でしかも、だれでも
操作が可能という特徴を持っている。これは、白血球特
有の曲率が小さい物質に物理的に吸着する特徴を生かし
たもので、多孔質体を圧縮し積層させたものや径の細い
繊維を積層したりして捕捉を行っている。しかし、物理
的に白血球を捕捉しているため放射線処理のような確実
性に欠けるなどの問題点を有していた。
【0006】ジード(Zierdt)らによれば(Applied and E
nviromental Microbiology,1979,12,1166-1172) 、バク
テリア、赤血球、白血球、およびポリスチレン球などを
有する液を、各々の粒径よりも非常に大きい孔径の膜に
濾過しても、粒子が捕捉されることを見出だしている。
ジード(Zierdt)らはこの膜をノニオン性界面活性剤で処
理し、粒子が捕捉されないことを確認し、この捕捉は静
電的な相互作用に起因するものであると結論している。
さらに、ジード(Zierdt)らは、ナイロンのような溶剤流
延膜(Solvent cast membrane) は強い表面電荷を有し、
これに対し溶剤流延しない通常の繊維状セルロース材料
は表面電荷が小さいことも確認してある。
【0007】以上のことより、白血球を捕捉するために
は、表面に強い表面電荷(Zeta-potential がプラス)を
有することが悠揚であると示唆され、また化学的な捕捉
が行えるため、細孔の閉塞が予想される場合においても
孔径の大孔径化が期待できる。
【0008】具体的な表面改質方法として、たとえば米
国特許第3242073号および同第3352424号
に、吸着されたカチオン性の有機ポリ電解質を有する従
来のアニオン型フィルター濾材を用いて、液体から微生
物を除去することが記載されている。このフィルター濾
材の負の表面電荷を有する粒子を捕捉することが可能で
ある。米国特許第4178438号にはカチオン性に改
質したセルロース材料を用いた産業流出液を精製する方
法が記載されている。また、米国特許第3808305
号にはマトリックス重合体、ポリ電解質および架橋剤を
有する液体によって得られた電荷について記載されてい
る。溶剤を流延フィルムから蒸発させ、後にフィルムを
化学的に架橋結合させ不溶化を行っている。さらに、米
国特許第3944485号および同第4045352号
には、あらかじめ繊維上にモノマーを存在させてイオン
交換中空繊維を製造した後、モノマーを重合させたイオ
ン交換樹脂について記載されている。
【0009】しかしながら、アニオン型フィルター濾材
にカチオン性のポリ電解質を吸着させるだけでは、脱離
や剥離、溶出といった安全性の面で問題があり、医療機
器としては好ましいものではなく、何らかの不溶化操作
を行わなくてはならない。また、基材がポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリアミドといった難溶解性、難相
溶性である物質がフィルター濾材を構成している場合に
おいては、溶剤に制限があり、高温度、高圧力が必要と
なってくる場合が多い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】以上のように難溶解
性、難相溶性である物質が基材を構成する場合には、溶
剤に制限があったり、高温度、高圧力など危険性を伴う
ものであった。また、コーティングでは安全性に問題が
あり、コーティング後の架橋においては操作が煩雑にな
るものであった。
【0011】したがって、本発明の目的は、上述で述べ
た問題点を解決し、基材の種類にはほとんど制限がな
く、しかも、白血球捕捉能を有する物質が基材表面と化
学的に結合され、医療器具として適した安全性が期待で
きる白血球捕捉体およびその製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、白血球捕
捉体およびその製造方法について鋭意検討を行った結
果、基材表面にプラズマ開始グラフト重合法により官能
基を導入し、該官能基と白血球捕捉能を有する物質と化
学的に結合することにより上記諸目的を達成できること
を見出だし、この知見に基づき本発明を完成するに至っ
た。
【0013】すなわち、上記諸目的は、(1)白血球捕
捉体を構成する基材の少なくとも1部の表面に、プラズ
マ開始グラフト重合法により少なくとも1種の官能基を
導入し、これらの官能基と反応可能な部位を有するカチ
オン性物質とを結合させてなることを特徴とする白血球
捕捉体により達成される。
【0014】本発明の他の目的はまた、(2)カチオン
性物質が、第4級窒素を主鎖もしくは側鎖に有する化合
物である上記(1)に記載の白血球捕捉体により達成さ
れる。
【0015】本発明の他の目的はさらに、(3)前記官
能基が、酸ハライド基、イソシアナート基およびエポキ
シ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであ
る上記(1)または(2)に記載の白血球捕捉体により
達成される。
【0016】本発明の他の目的はさらにまた、(4)白
血球捕捉体の形状が、多孔質体、平膜、中空糸、中実
糸、不織布、織布、編布もしくはそれらの複合体である
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の白血球捕捉
体により達成される。
【0017】また本発明は、(5)白血球捕捉体を構成
する基材が、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジ
エン−アクリロニトリルコポリマー、ポリアミド、エー
テルアミド−ポリアミドブロックコポリマー、エチレン
−ビニルアルコールコポリマーもしくはそれらの混合物
である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の白血
球捕捉体により達成される。
【0018】本発明の他の目的は、(6)白血球捕捉体
を構成する基材の少なくとも1部の表面に、プラズマ開
始グラフト重合法により少なくとも1種の官能基を導入
し、これらの官能基と反応可能な部位を有するカチオン
性物質とを結合させることを特徴とする白血球捕捉体の
製造方法によっても達成される。
【0019】本発明の他の目的はまた、(7)カチオン
性物質が、第4級窒素を主鎖もしくは側鎖に有する化合
物である上記(6)に記載の白血球捕捉体の製造方法に
より達成される。
【0020】本発明の他の目的はさらに、(8)前記官
能基が、酸ハライド基、イソシアナート基およびエポキ
シ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種のものであ
る上記(6)または(7)に記載の白血球捕捉体の製造
方法により達成される。
【0021】本発明の他の目的はさらにまた、(9)カ
チオン性物質が、一般式(1)、
【0022】
【化1】
【0023】(式中R1 、R2 、R3 の少なくとも1つ
はアミノ基、カルボキシル基、水酸基よりなる群から選
ばれた少なくとも1種の官能基を有し、残りの部位はア
ルキル基もしくはエーテル結合、エステル結合、アミド
結合を含むアルキル基であり、同様に、R5 、R6 、R
7 の少なくとも1つにはアミノ基、カルボキシル基、水
酸基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を
有し、残りの部位はアルキル基もしくはエーテル結合、
エステル結合、アミド結合を含むアルキル基であり、R
4 はアルキレン基もしくはベンジル基、エーテル結合、
エステル結合、アミド結合を含むアルキレン基であり、
- は対イオンを示す)で表わされることを特徴とする
上記(6)ないし(8)のいずれかに記載の白血球捕捉
体の製造方法により達成される。
【0024】また本発明の他の目的は、(10)白血球
捕捉体の形状が、多孔質体、平膜、中空糸、中実糸、不
織布、織布、編布もしくはそれらの複合体である上記
(6)ないし(9)のいずれかに記載の白血球捕捉体の
製造方法により達成される。
【0025】さらに本発明の他の目的は、(11)白血
球捕捉体を構成する基材が、ポリオレフィン、ハロゲン
化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ
スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリ
レート、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマー、ポ
リアミド、エーテルアミド−ポリアミドブロックコポリ
マー、エチレン−ビニルアルコールコポリマーもしくは
それらの混合物である上記(6)ないし(10)のいず
れかに記載の白血球捕捉体の製造方法により達成され
る。
【0026】
【作用】本発明に用いられる白血球捕捉体は、該白血球
捕捉体を構成する基材の少なくとも1部の表面に、プラ
ズマ開始グラフト重合法により少なくとも1種の官能基
を導入し、これらの官能基と反応可能な部位を有するカ
チオン性物質とを結合させてなる白血球捕捉体である。
この官能基としては、−COOH、−NH3 、−OHも
考えられるが、反応性の高い酸ハライド基、イソシアナ
ート基およびエポキシ基が好ましい。また、導入される
これらの官能基を有する物質として好ましくは、酸ハラ
イド基、イソシアナート基およびエポキシ基よりなる群
から選ばれた少なくとも1種を有していればどのような
ものであっても良く、より具体的には、(メタ)アクリ
ル酸クロリド、(メタ)アクリル酸ブロマイドなどの
(メタ)アクリル酸ハライド、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルイソシアナート、3−(メタ)アクリロ
イルオキシプロピルイソシアナート、4−(メタ)アク
リロイルオキシブチルイソシアナート、(メタ)アクリ
ロイルオキシイソプロピルイソシアナート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシ−1−メチルエチルイソシアナ
ート、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エチルエ
チルイソシアナート、4−(メタ)アクリロイルオキシ
−2−エチルブチルイソシアナート、2−(メタ)アク
リロイルオキシ−2,2−ジメチルエチルイソシアナー
トなどの(メタ)アクリロイルオキシアルキルイソシア
ナート、2,3−エポキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、
2,3−エポキシイソブチル(メタ)アクリレート、
3,4−エポキシ−1−メチルブチル(メタ)アクリレ
ート、2,3−エポキシ−1−メチルエチルアクリレー
トなどのエポキシ基含有モノマーなどが挙げられる。ま
た、導入されるこれらの官能基を有する物質は2種類以
上であっても良く、基材表面に導入後、化学処理を行な
い酸ハライド基、イソシアナート基、エポキシ基等に変
換させた後、カチオン性物質と結合させても構わない。
また白血球捕捉能を有するカチオン性物質は、上記官能
基と反応すればいかなるものでも良いが、好ましくは、
酸ハライド基、イソシアナート基、エポキシ基と反応す
るアミノ基、カルボキシル基、水酸基を有しているもの
が望ましく、具体的には第4級窒素を主鎖もしくは側鎖
に有する化合物が主成分であればよい。たとえば一般式
(1)、
【0027】
【化1】
【0028】(式中R1 、R2 およびR3 の少なくとも
1つはアミノ基、カルボキシル基および水酸基よりなる
群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有し、残りの
部位はアルキル基もしくはエーテル結合、エステル結
合、アミド結合を含むアルキル基であり、同様に、
5 、R6 およびR7 の少なくとも1つにはアミノ基、
カルボキシル基および水酸基よりなる群から選ばれた少
なくとも1種の官能基を有し、残りの部位はアルキル基
もしくはエーテル結合、エステル結合、アミド結合を含
むアルキル基であり、R4 はアルキレン基もしくはベン
ジル基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合を含
むアルキレン基であり、X- は対イオンを示す)で示さ
れるカチオン性高分子などが挙げられる。
【0029】上記一般式(1)の具体的な例を挙げる
と、N,N′−テトラメチル−ジ(2−ヒドロキシ−3
−クロロプロピル)−アルキレンジアミンジクロリド、
N,N′−テトラメチル−ジ(2−カルボキシ−3−ク
ロロプロピル)−アルキレンジアミンジクロリド、N,
N′−テトラプロピル−ジ(2,3−エポキシ−2−ク
ロロメチル)−(アルキレンジアミンジクロリド、N,
N′−テトラメチル−ジ(2−ヒドロキシ−3−クロロ
プロピル)−アルキレンジアミンジブロミド、N,N′
−テトラクロロメチル−ジ(2−カルボキシ−3−クロ
ロプロピル)−アルキレンジアミンジクロリド、N,
N′−テトラメチル−ジ(3−ヒドロキシ−2−クロロ
ブチル)−アルキレンジアミンクロリド、N,N′−テ
トラメチル−ジ(2,3−エポキシ−2−クロロ−3−
ブロモプロピル)−アルキレンジアミンジクロリドなど
である。その他のカチオン性物質としては、(メタ)ア
クリル酸−(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチル
メチルアンモニウムメチルサルフェイトの共重合体、
(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリロイルオキシプロ
ピルジエチルメチルアンモニウムメチルサルフェイトの
共重合体などの(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル
酸の4級アンモニウムエステルの共重合体や主鎖にグア
ニジン、エチレンイミン、イミダゾールなどを含む重合
体およびそれらの塩などが挙げられる。
【0030】また、白血球捕捉能を有するこれらのカチ
オン性高分子は、基材に対して、0.1〜30重量%、
好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜1
5重量%であることが望ましい。
【0031】さらに本発明は、白血球捕捉体を構成する
基材の少なくとも1部の表面に、プラズマ開始グラフト
重合法により酸ハライド基、イソシアナート基およびエ
ポキシ基の少なくとも1種を導入し、これらの官能基と
反応可能な部位を有するカチオン性物質とを結合させて
なることを特徴とする白血球捕捉体の製造方法に関する
ものである。酸ハライド基、イソシアナート基またはエ
ポキシ基を導入するには、それらの反応基を分子内に有
する単量体の存在下でプラズマを照射して、基材上にプ
ラズマ重合するか、基材表面にラジカルを生成させた
後、該ラジカルを重合開始点としてプラズマ重合させれ
ばよい。たとえば基材表面にラジカルを生成させるには
水素引き抜き剤、中性子線照射、γ線照射、電子線照
射、プラズマ照射などが挙げられるが、操作性、環境性
などの点から、プラズマ照射によるラジカルの生成が好
ましい。プラズマ照射に使用するガスは特に限定され
ず、単量体ガスの存在下でもかまわないが、アルゴンの
ような不活性ガスによるプラズマ照射が好ましく、照射
時の圧力は0.01〜10torr、好ましくは0.0
5〜5torr、より好ましくは0.1〜1torrで
あることが望ましい。照射時間は基材の物性が損なわれ
なければどのような時間でも構わないが、好ましくは1
秒〜2分、より好ましくは5秒〜1分、さらに好ましく
は10〜30秒が望ましい。
【0032】また、ラジカルを有した基材と酸ハライド
基、イソシアナート基またはエポキシ基を有する物質と
を接触させるには、溶媒の存在下もしくは非存在下で直
接接しても構わないが、操作性、安全性を考慮すると、
上記官能基を有する物質をガス状で供給し、ラジカルを
有した基材と接触するのが好ましく、供給時の圧力は
0.001〜100torr、好ましくは0.01〜5
0torr、より好ましくは0.1〜10torrであ
ることが望ましい。また、供給時間は操作性の点から1
0秒〜2時間、好ましくは30秒〜1時間、より好まし
くは1分〜30分であることが望ましい。また、基材表
面に生成されたラジカルに対して直接酸ハライド基また
はイソシアナート基、エポキシ基を有する物質を結合さ
せる必要はなく、基材の物質保持や安全性確保のため
に、これらの官能基を有していない物質を導入してか
ら、酸ハライド基、イソシアナート基またはエポキシ基
を有する物質を基材表面に導入しても構わない。また、
官能基を導入した基材にカチオン性物質を結合させるに
は、重合、浸漬等の公知の方法が挙げられ、適当な溶媒
にカチオン性物質をとかしたものに一定時間浸漬するの
が好ましい。
【0033】さらに本発明は、白血球捕捉体の形状が多
孔質体、平膜、中空糸、中実糸、不織布、織布、編布も
しくはそれらの複合体であることを特徴とする白血球捕
捉体に関するものである。具体的には、容易にプラズマ
照射によるラジカルの生成が可能な多孔質体、平膜、不
織布、織布、編布もしくはそれらの複合体であることが
望ましい。また、この捕捉体が安定した濾過流量を得な
がら白血球を捕捉するのに好適な孔径は水銀圧入法によ
る測定で、0.1〜30μm、好ましくは1〜25μm
より好ましくは2〜20μmであることが望ましい。
【0034】さらに本発明は、白血球捕捉体を構成する
基材がポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポ
リエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテ
ルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、ブタジエン−
アクリロニトリルコポリマー、ポリアミド、エーテルア
ミド−ポリアミドブロックコポリマー、エチレン−ビニ
ルアルコールコポリマー、もしくはそれらの混合物であ
ることを特徴とする白血球捕捉体に関するものである。
操作上の点からポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフ
ィン、ポリウレタン、エチレン−ビニルアルコールコポ
リマーもしくはそれらの混合物であることが望ましい。
【0035】
【実施例】本発明に用いられる基材の材料としては前記
したものであれば、それが1種類もしくはそれ以上であ
ってもさしつかえない。また、基材の形状に関しても前
記したものであれば、単独形状およびそれらの複合形状
をしていてもさしつかえない。
【0036】実施例1〜4 ルビセル(東洋ポリマー株式会社製ポリウレタン多孔質
体)をメタノールで8時間ソックスレー洗浄し、十分乾
燥した後、低温プラズマ(アルゴン、0.2torr)
を20秒間照射し、288Kの温度で表1に示した各種
単量体の表面グラフト重合を行なった。該多孔質体を構
造式(2)、
【0037】
【化2】
【0038】で表されるカチオノンUK(一方社製表面
カチオン化剤)の5重量%水溶液(ピリジン0.5重量
%を含む)に60℃で12時間浸漬させ、イオン交換水
で十分洗浄後、乾燥し試料を得た。この試料をIRおよ
びESCAで評価したところ、表面にカチオン化剤の存
在が確認され、この試料は表面がカチオン化されている
ポリウレタン多孔質体であることが認められた。また、
その平均細孔径は、8μmであった。
【0039】得られた白血球捕捉体を直径25mmに打
ち抜き、専用モジュールに充填した。一方、健常人のC
PD加新鮮血から調製したCRC(WBC:3.0×1
3〜5.0×103 、PLT:1.0×105 〜3.
0×105 、RBC:3.0×106 〜5.0×1
6 )を流して白血球の捕捉能を観察した。その結果、
表面がカチオン化されているポリウレタン多孔質体は処
理以前のポリウレタン多孔質体と比較し、捕捉能が向上
していることが確認された。その結果を表1に示す。
【0040】実施例5〜6 ルビセル(東洋ポリマー株式会社製ポリウレタン多孔質
体)をメタノールで8時間ソックスレー洗浄し、十分乾
燥した後、低温プラズマ(アルゴン、0.2torr)
を20秒間照射し、288Kの温度でグリシジルアクリ
レートの表面グラフト重合を行なった。該多孔質体を3
種のカチオン化剤(PANFIX PX、エレタットU
−52、すべて一方社製表面カチオン化剤)の10重量
%水溶液(ピリジン0.5重量%を含む)に60℃、1
2時間浸漬させ、イオン交換水で十分洗浄後、乾燥し試
料を得た。
【0041】この試料をIRおよびESCAで評価した
ところ表面にカチオン化剤の存在が確認され、この試料
は表面がカチオン化されてるポリウレタン多孔質体であ
ることが認められた。また、その平均細孔径は8μmで
あった。
【0042】得られた白血球捕捉体を直径25mmに打
ち抜き、専用モジュールに充填した。一方、健常人のC
PD加新鮮血から調製したCRC(WBC:3.0×1
3〜5.0×103 、PLT:1.0×105 〜3.
0×105 、RBC:3.0×106 〜5.0×1
6 )を流して白血球の捕捉能を観察した。その結果、
表面がカチオン化されているポリウレタン多孔質体は処
理以前のポリウレタン多孔質体と比較し、捕捉能が向上
していることが確認された。その結果を表2に示す。
【0043】比較例1 ルビセル(東洋ポリマー株式会社製ポリウレタン多孔質
体)をメタノールで8時間ソックスレー洗浄し、存在し
ている不純物を取り除いた。その平均細孔径は6μmで
あった。この多孔質体を直径25mmに打ち抜き、専用
のモジュールに充填し、人新鮮全血を流して白血球の捕
捉能を観察したが、表面がカチオン化されているポリウ
レタン多孔質体ほど捕捉能はなかった。その結果を表1
に示す。
【0044】比較例2 実施例1と同様な多孔質体に対してプラズマ処理を行な
わずに、カチオノンUK水溶液に同条件にて浸漬させ
た。得られた多孔質体を直径25mmに打ち抜き、専用
のモジュールに充填し、人新鮮全血を流して白血球の捕
捉能を観察したが、表面がカチオン化されているポリウ
レタン多孔質体ほど捕捉能はなかった。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【発明の効果】本発明による白血球捕捉体の製造方法を
用いることにより白血球捕捉能を有するカチオン性重合
体を、基材表面に堅固に導入することが可能となる。し
たがって本発明によって得られる白血球捕捉体は、異物
を混入することなく安定した濾過流量を得ながら白血球
の捕捉が可能となり、優れた白血球除去率が達成できる
ものであり、こうした白血球捕捉体の利用により安全性
の面でも全く問題のない医療用具の供給が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−200656(JP,A) 特開 平4−241873(JP,A) 国際公開87/5812(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/165 A61M 1/34

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白血球捕捉体を構成する基材の少なくと
    も1部の表面に、カチオン性物質が結合されてなる白血
    球捕捉体であって、 該カチオン性物質は、該表面に、グラフト重合された少
    なくとも1種の官能基を分子内に有する単量体に結合さ
    れている ことを特徴とする白血球捕捉体。
  2. 【請求項2】 白血球捕捉体を構成する基材の少なくと
    も1部の表面に、少なくとも1種の官能基を分子内に有する単量体の存在
    下でプラズマを照射して、該表面に該単量体をグラフト
    重合法により、少なくとも1種の官能基を導入し、 これらの官能基と反応可能な部位を有するカチオン性物
    質とを結合させることを特徴とする白血球捕捉体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 白血球捕捉体を構成する基材の少なくと
    も1部の表面に、 プラズマを照射して、ラジカルを生成した後に、 該表面のラジカルに、少なくとも1種の官能基を分子内
    に有する単量体をグラフト重合して、少なくとも1種の
    官能基を導入し、 これらの官能基と反応可能な部位を有するカチオン性物
    質とを結合させることを特徴とする白血球捕捉体の製造
    方法。
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