JPH06125984A - 吸着器とその滅菌方法 - Google Patents

吸着器とその滅菌方法

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JPH06125984A
JPH06125984A JP4303232A JP30323292A JPH06125984A JP H06125984 A JPH06125984 A JP H06125984A JP 4303232 A JP4303232 A JP 4303232A JP 30323292 A JP30323292 A JP 30323292A JP H06125984 A JPH06125984 A JP H06125984A
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JP
Japan
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adsorbent
adsorber
pressure steam
basic functional
blood
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JP4303232A
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English (en)
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Norio Inema
徳生 稲摩
Hajime Yoshida
一 吉田
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Asahi Kasei Medical Co Ltd
Original Assignee
Asahi Medical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔体表面に塩基性官能基を有する吸着剤を
高圧蒸気滅菌した際に、従来発生していた強い不快臭を
無くし、吸着器の開栓時に使用者に不快感を与えない、
吸着剤の滅菌方法と、該滅菌方法によって滅菌された吸
着器を提供する。 【構成】 多孔体表面に塩基性官能基を有する吸着剤
を、抗酸化剤を含む緩衝作用を有する水溶液中で高圧蒸
気滅菌する滅菌方法。及び抗酸化剤を含む緩衝作用を有
する水溶液中に、吸着剤を浸漬して高圧蒸気滅菌された
血液浄化用の吸着器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液中の有害成分、特
にビリルビンを吸着除去するための塩基性官能基を表面
に有する血液浄化用吸着剤を充填した吸着器の滅菌方法
及び該方法により滅菌された吸着器に関する。
【0002】
【従来の技術とその問題点】血液中の有害成分除去の目
的に、該有害成分に対して親和性のある物質、例えばア
ミノ酸や多糖類などをリガンドとして、水不溶性担体に
共有結合によって固定した吸着剤が、臨床的に多く利用
されている。更に肝疾患の治療法として、多孔体表面に
塩基性官能基を有する吸着剤を用いる血液や血漿の浄化
療法が知られている(例えば特開昭54−135497
号、特開昭55−106165号)。
【0003】これらの方法は、患者血漿を取り出して健
常な血漿と交換する血漿交換療法と比較し、血漿や補液
が不要であること、血漿の輸血によるウイルス感染など
の副作用がないことなど優れた特徴を有している。いず
れの吸着剤も臨床に使用するためには滅菌が必要であ
り、特に高圧蒸気滅菌が実施されている。しかしアミノ
酸や多糖類などのリガンドを水不溶性担体に共有結合に
よって固定した吸着剤を滅菌するに際しては、高圧蒸気
滅菌時の熱により多孔質体表面に不溶化したアミノ酸や
多糖類自身、或いは多孔質体とアミノ酸や多糖類との結
合が、熱により分解されてしまう問題点があった。アミ
ノ酸や多糖類などのリガンドを水不溶性担体に共有結合
によって固定した吸着剤でのこれら問題点を解決する方
法として抗酸化剤の存在下で高圧蒸気滅菌する方法が考
えられた(特開昭63−209663)。該発明が対象
とするリガンドはアミノ酸や多糖類、タンパク質、核
酸、脂質など本来熱に対して不安定な物質であり、高圧
蒸気滅菌によって多孔質体表面の多くのリガンドが遊離
してしまい、吸着能力の低下や処理血液中への溶出によ
る安全上の点が問題とされている。多孔体表面に塩基性
官能基を有する吸着剤では、高圧蒸気滅菌による吸着性
能の低下が見られないことより、水或いは生理食塩水中
で高圧蒸気滅菌され、特に滅菌方法の改良は検討されて
いない。
【0004】一方でこれら吸着剤を高圧蒸気滅菌すると
アミン様の強い不快臭がすることが知られている。特に
臨床での使用時に吸着剤を充填した容器、即ち吸着器
を、開栓した時に強い不快臭がすることは、医師や患者
に対して不潔感を与えるため、製品としては大きな問題
点がある。高圧蒸気滅菌した時に発生する不快臭は、吸
着剤製造過程で残留した塩基性官能基導入に用いた塩基
性モノマーが高圧蒸気滅菌で遊離して来る場合と、塩基
性官能基が熱で分解されて遊離したものである可能性と
が考えられるが、アミン臭は極微量でも臭覚に感じるた
め、いずれであっても問題である。以上のように本願発
明が対象とする多孔体表面に塩基性官能基を有する吸着
剤では、高圧蒸気滅菌による不快臭の問題を除いて、特
に吸着能力の低下や処理血液中への溶出による安全上の
点は指摘されていない。このため水或いは生理食塩水中
で高圧蒸気滅菌され、滅菌方法の改良については全く検
討が成されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多孔体表面
に塩基性官能基を有する吸着剤を高圧蒸気滅菌した際
に、従来発生していた強い不快臭を無くし、吸着器の開
栓時に使用者に不快感を与えない、吸着剤の滅菌方法
と、該滅菌方法によって滅菌された吸着器を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、この問題
点を解決すべく、特開昭63−209663においても
抗酸化剤を吸着剤と共存させるに際して考慮されていな
かったpHについても鋭意研究した結果、本発明を完成
するに至った。即ち、本発明の要旨は、多孔体表面に塩
基性官能基を有する吸着剤、(以下単に吸着剤と称す)
を高圧蒸気滅菌するに際して、抗酸化剤とアルカリ性物
質とを含む緩衝作用を有する水溶液中で高圧蒸気滅菌す
る滅菌方法、及び抗酸化剤とアルカリ性物質とを含む緩
衝作用を有する水溶液中に、吸着剤を浸漬して高圧蒸気
滅菌された血液浄化用の吸着器である。
【0007】抗酸化剤とアルカリ性物質とを含む緩衝作
用を有する水溶液のpHは、5.0以下であると多孔体
と塩基性官能基との結合が高圧蒸気滅菌時の熱によって
破壊されやすくなるため好ましくなく、また10.0以
上では使用時に高pH液が血液中に混入する危険性が生
じること、及びpHが10.0以上の水溶液が充填され
ていると使用に先立って行う充填液の置換操作時にpH
を生理条件にまで低下させるのに、pHが9.0以下の
場合と比べて多量の置換液と長時間の置換操作が必要と
なることより、好ましくない。好ましいpHは5.5以
上9.0以下であった。特にpHが6.0以上8.5以
下が最も好結果が得られた。
【0008】本発明でいうpHが5.5以上9.0以下
であることとは、滅菌直後の水溶液のpHが5.5以上
9.0以下であることを言う。滅菌前のpHは、5.5
以上9.0以下であることが望ましいが、吸着剤を水溶
液に浸漬後速やかに滅菌を行う場合は必ずしも限定され
ない。但し、pH3.0以下ではやはり塩基性官能基の
分解が起こるため滅菌前のpHは5.0以上であること
が好ましい。水溶液のpHを5.5以上9.0以下とす
るには炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性物質を該水
溶液中に加えることによってできる。この時の至適なア
ルカリ性物質の濃度は抗酸化剤の濃度によって変わる
が、通常0.0001〜1.0重量%が好ましく用いる
ことができ、特により好ましい範囲をあげるならば0.
001〜0.1重量%である。
【0009】本発明で言う抗酸化剤にはサリチル酸系、
ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール
系、リン系、硫黄系、有機金属系などが使用できるが、
この中で硫黄系の抗酸化剤が好ましく用いられる。特に
好ましい例としては亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナト
リウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリ
ウム及びこれらの塩があげられ、ピロ亜硫酸水素ナトリ
ウムが最も好ましい。抗酸化剤の濃度は低すぎると抗酸
化剤としての十分な効果が得られず、また高すぎると使
用に先立っての抗酸化剤の除去が容易に行えないため、
0.001重量%以上1.0重量%以下であることが望
ましい。更に望ましくは0.01重量%以上であり、ま
た0.1重量%以下であることが良い。
【0010】本発明者等の研究によるとアルカリ性物質
の中で特に炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムが取扱
い性も考慮して最も良好であった。あえて最も良好な例
をあげると、ピロ亜硫酸ナトリウム0.01〜0.05
%、炭酸ナトリウム0.001〜0.01%である。本
吸着剤の表面に有する塩基性官能基とは、アミン類、及
びアミン誘導体等が含まれ、3級アミンや4級アンモニ
ウム基があげられ、いずれであっても良いが、好ましい
例としてはpKaが4.0以上のものがあげられる。
【0011】塩基性官能基は、水不溶性多孔体を構成す
る高分子鎖の側鎖に存在する必要は必ずしもなく、主鎖
を形成するものでも良い。しかし、水不溶性多孔体に塩
基性官能基を側鎖として導入する方が製造法上容易であ
る。本吸着剤が有するイオン交換容量は、小さいと血液
または血漿浄化用の吸着剤として実用的な能力が乏し
く、またイオン交換容量が大きすぎると、非選択的な吸
着がやや増加する傾向にある。このため好ましいイオン
交換容量は、0.01meq/mlから100meq/
mlであり、より好ましくは、0.1meq/mlから
10meq/mlの範囲が最も望ましい。
【0012】本吸着剤で言う塩基性官能基を有する水不
溶性多孔体とは、塩基性官能基が導入できる多孔体であ
れば、無機化合物、有機化合物を問わないが、温水に対
する溶出物が少ないこと、多孔体の細孔の制御がより容
易且つ精密にできることより、有機高分子が好ましい。
このような例としては、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリメタクリレートエステル、ポリアクリレートエ
ステル、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール等のビ
ニル系化合物の重合体及び共重合体、ナイロン6或いは
66等のポリアミド系化合物、ポリエチレンテレフタレ
ート等のポリエステル系化合物、セルロース等の植物由
来の多糖類系化合物等を例示することができる。
【0013】本発明において用いられる多孔体の材料
は、塩基性官能基が0.01meq/ml以上導入でき
れば良く、以上に限定されるものではない。例示した中
では、重合の容易さ、塩基性官能基の導入の容易さよ
り、ビニル系化合物の重合体及び共重合体がより好まし
く用いられる。このような例としては、スチレン、メチ
ルスチレン、ジフェニルエチレン、エチルエチレン、ジ
メチルスチレン、ビニルナフタリン、ビニルフェナント
レン、ビニルメシチレン、3,4,6−トリメチルスチ
レン、1−ビニル−2−エチルアセチレン等の炭化水素
化合物:クロルスチレン、メトキシスチレン、ブロムス
チレン、シアノスチレン、フルオルスチレン、ジクロル
スチレン、N,N−ジメチルアミノスチレン、ニトロス
チレン、クロルメチルスチレン、トリフルオルスチレ
ン、トリフルオルメチルスチレン、アミノスチレン等の
スチレン誘導体:アクリロニトリル、α−アセトキシア
クリロニトリル等のアクリロニトリル誘導体:アクリル
酸、メタクリル酸:アクリル酸メチル、アクリル酸ラウ
リル、アクリル酸クロルメチル、アセトキシアクリル酸
エチル等のアクリル酸エステル:メタクリル酸シクロヘ
キシル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリ
ル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリ
ル、メタクリル酸ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エ
ステル:マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル:メチ
ルビニルケトン、エチルイソプロペニルケトン等のビニ
ルケトン、塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、シアン化
ビニリデン等のビニリデン化合物:アクリルアミド、メ
タクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、
N−フェニルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミ
ド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等の
アクリルアミド誘導体:酢酸ビニル、酪酸ビニル、カプ
リン酸ビニル等の脂肪酸ビニル誘導体:チオメタクリル
酸フェニル、チオアクリル酸メチル、チオ酢酸ビニル等
のチオ脂肪酸誘導体:更にN−ビニルスクシンイミド、
N−ビニルピロリドン、N−ビニルフタルイミド、N−
ビニルカルバゾールビニルフラン、2−ビニルベンドフ
ラン、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾール、メチル
ビニルイミダゾール、ビニルピラゾール、ビニルオキサ
ゾリドン、ビニルチアゾール、ビニルテトラゾール、ビ
ニルピリジン、メチルビニルピリジン、2,4−ジメチ
ル−6−ビニルトリアジン、ビニルキノリン等の異節環
状ビニル化合物がある。
【0014】本発明の吸着剤の構成単位となる架橋重合
性単量体としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエ
ン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタリン、ジビニル
エチルベンゼン、ジビニルフェナントレン、トリビニル
ベンゼン、ジビニルジフェニル、ジビニルフェニルエー
テル、ジビニルジフェニルスルフイド、ジビニルジフェ
ニルアミン、ジビニルスルホン、ジビニルケトン、ジビ
ニルフラン、ジビニルピリジン、ジビリルキノリン、ジ
(ビニルピリジノエチル)エチレンジアミン、フタル酸
ジアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸ジアリル、コ
ハク酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、ア
ジピン酸ジアリル、セバシン酸ジアリル、酒石酸ジアリ
ル、ジアリルアミン、トリアリルアミン、リン酸トリア
リル、トリカルバリル酸トリアリル、アコニット酸トリ
アリル、クエン酸トリアリル、N,N−エチレンジアク
リルアミド、N,N−エチレンジメタクリルアミド、
N,N−メチレンジメタクリルアミド、エチレングリコ
ールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタク
リレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラメタクリレート、1,3−ブチレン
グリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、トリメチルプロパントリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリア
リルイソシアヌレート、1,2,5−トリアクリロイル
ヘキサヒドロー1,3,5−トリアジン、ジアリールメ
ラミン等が含まれる。
【0015】この中で、化学的に安定で、且つ容易に官
能基を導入させるには、スチレン系の重合体及び上記ビ
ニル化合物との共重合体がより好ましく用いられる。更
に、スチレン系化合物の重合体及び上記ビニル化合物と
の共重合体が、70重量%以上含有するものが、本発明
の吸着剤に用いられる材料としては、より好ましい結果
を与える。例えば、スチレン−ジビニルベンゼン共重合
体では、スチレン、エチルベンゼン、ジビニルベンゼン
及びトルエン、オクタノール及びAIBN(アゾビスイ
ソブチロニトリル)共存化のもとで攪拌することによ
り、球形の50μmから1,000μm程度の多孔体粒
子をつくることが出来る。また、懸濁重合系でのラジカ
ル重合によっても、各種粒子径、孔径の粒子を作ること
が出来る。
【0016】本吸着剤の平均孔径や表面積などの物理的
性状はいずれであっても良いが、特にビリルビンの吸着
剤としての吸着能力の点より、平均孔径と表面積に至適
な範囲が存在する。表面積の測定法としては物理吸着
法、浸漬熱法、透過法、化学吸着法等があるが、多孔体
の細孔径や細孔体積の分布測定に用いられる水銀圧入法
によっても求められる。水銀圧入法は細孔径毎の表面積
が得られ有用である。ここで60Å以下の細孔は水銀圧
入法では正確な測定が困難であること、及び80,00
0Åを超える細孔は表面積が極端に少なく実質的に吸着
への影響が無視できることにより、孔径が60Å以上8
0,000Åのものを細孔として扱った。平均孔径は細
孔を円筒形であると仮定して、全細孔体積を細孔比表面
積によって割り算することによって求められる。本発明
で言う吸着剤はいずれの平均孔径であっても良いが、細
孔の孔径が100Å以下ではビリルビンの吸着は低下し
てしまう。このため100Å以上であることが好まし
い。一方孔径が5000Åを超えるとビリルビンの吸着
に関与する表面積が少なくなり、ビリルビンの総吸着能
力は低下してしまうことより、平均孔径が5000Å以
下、更には3000Å以下であることがより好ましい。
【0017】表面積もいずれであっても良いが、吸着能
力は表面積によって大きく影響するため、吸着剤として
の吸着能力の点で好ましい範囲がある。表面積が大きい
と吸着能力は上がり、小さいと下がることは自明であ
る。このため全細孔表面積は5m2 /ml以上であるこ
とが好ましい。より好ましくは10m2 /ml以上であ
り、更に好ましくは20m2 /ml以上である。ここで
言う細孔はできるだけ実用時に近い状態での値であるこ
とがよく、表面に被覆層を有する場合は、被覆処理後の
値を言う。また、水銀圧入法での測定時の乾燥処理によ
って形状が代わる場合は、粒子径の変化を測定し、表面
積は粒子径の変化率の2乗、細孔体積は粒子径の3乗倍
して補正することとした。即ち、粒子径が1/X倍とな
った時、表面積は1/X2 倍、細孔体積は1/X3 とな
ったとする。具体的にはみかけ比重と膨潤率による補正
を必要に応じて実施する。吸着剤表面は血液との親和性
をよくするために、親水性の、血小板の付着を制御する
ための重合体からなる被覆層を、本塩基性吸着剤の血球
と接触する表面に有していても良い。親水性被覆層は血
液適合性を上げることが本来の目的であり、血液適合性
の程度を示すことが必要であるが、血液の安定入手が困
難であること、血液間差があることなどより、共通の安
定した評価は困難である。親水性の程度は簡便に表現で
きる。あえて親水性の程度の好ましい範囲を示せば、水
中におけるシート状或いはフィルム状にした固体表面上
の空気泡の25℃での接触角で20度以上である。
【0018】親水性被覆層は使用中の剥離を防ぐために
重合体であることが望ましい。親水性被覆層の具体例を
あげると、重合体単位を単量体としての名前で例示すれ
ば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキ
シプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2
−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジエチルアミノエ
チルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレ
ート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、
メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、グリ
セロールモノメタクリレート、などのアクリル酸或いは
メタクリル酸及びその誘導体、メトキシトリエチレング
リコールなどメトキシポリエチレングリコール類、ジエ
チルアミノエチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ヒド
ロキシメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルア
ミン、ビニルアルコールなどのビニル基を有する単量
体、セグメント化ポリウレタン、セグメント化ポリエス
テル、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッ
ドフォスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドフォスフェート等のいずれかの単量体1種
以上を含む重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合
体や、ポリエチレンオキサイド鎖を有する単量体と他の
重合単量体のようなグラフト共重合体等が例示できる。
特に重合体中にヒドロキシル基を有していることが好ま
しい。ヒドロキシル基の重合体中における結合様式に特
に制限はない。
【0019】重合体は、上記重合体単位の単独重合体で
あっても良く、或いは二つ以上の共重合体であっても良
い。また塩基性官能基を持つ重合体単位を0.1から2
0重量%含む、ヒドロキシル基を有する重合体単位との
共重合体であっても良い。これら重合体は線状重合体、
グラフト重合体、架橋重合体などの重合形態には特に関
係は無い。
【0020】重合体の被覆層は、グラフト法や沈殿法、
コーティング法、多孔体表面の官能基を利用した共有結
合法など、いずれによって得られるものであっても良
い。この中でも特にコーティング法が製造操作が容易で
あり、実用上好ましい。
【0021】本吸着剤の形状としては、球状、粒状、糸
状、中空糸状、平膜状等いずれも有効に用いられるが、
体液循環時の体液の流通面より球状または粒状が最も好
ましく用いられる。球状または粒状の平均粒径は、10
μmから2500μmのものが使いやすいが、25μm
から1,000μmの範囲が好ましく、より好ましくは
50μmから600μmである。
【0022】本発明の吸着器は、吸着剤と抗酸化剤とア
ルカリ性物質とを含む緩衝作用を有する水溶液とを体液
の導出入口を備えた容器内に充填保持したものとして例
示できる。本吸着剤は単独で充填しても良く、他の吸着
剤と混合もしくは、積層しても良い。吸着剤の容量は、
体外循環に用いる場合10mlから1000ml程度が
適当である。本発明の該吸着器を体外循環で用いる場合
には、大略次の二通りの方向がある。一つには、体内か
ら取りだした血液を遠心分離もしくは膜型血漿分離器を
使用して、血漿成分と血球成分とに分離して後、血漿成
分を該吸着器に通過させ浄化した後、血球成分と合わせ
て体内に戻す方法であり、他の一つは、体内から取りだ
した血液を直接該吸着期に通過させ、浄化する方法であ
る。また、体液の通過方法としては、臨床上の必要に応
じ、あるいは設備の装置状況に応じて、連続的に通過し
てもよいし、また断続的に通液しても良い。
【0023】
【発明の効果】高圧蒸気滅菌した際に、従来発生してい
た強い不快臭を無くし、吸着器の開栓時に使用者に不快
感や不潔感を与えない血液浄化用の吸着器を提供でき
る。
【0024】
【実施例】以下に具体的例をあげて説明するが、これら
に限定されるものではない。
【実施例1】吸着剤として表面にトリメチルアンモニウ
ム基を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(三
菱化成製、ダイヤイオンHPA75、総交換容量0.5
0mEq/ml)を用いた。吸着剤の細孔孔径及びその
分布状態、表面積などの物性値は、水銀ポロシメーター
(島津製作所社製、マイクロメリティックス・ポアサイ
ザ9320)を用いて測定した。測定結果はポアプロッ
トシステム(島津製作所社製、9320−PC2(V
l.0))にて分析した。吸着剤の平均孔径は741
Å、体積基準のモード径が2,009Å、全細孔表面積
が31.2m2 /ml、全細孔体積が0.578ml/
mlであった。この吸着剤1容をピロ亜硫酸ナトリウム
0.02重量%、炭酸ナトリウム0.005重量%含む
水溶液1.5容中で密栓して、121℃、1時間の高圧
蒸気滅菌を行った。滅菌終了後のpHは6.28であっ
た。滅菌後開栓して吸着器内水溶液中のトリメチルアミ
ン量を、キャリアーガスにヘリウムを用いてガスクロマ
トグラフィーにて測定したところ、12ppmであっ
た。同時に不快臭がするか否かを5人で判定したとこ
ろ、不快臭がする0名、少しする0名、極僅かにする2
名、ほとんどしない3名であり、不快臭は非常に軽微で
あった。
【0025】
【実施例2】吸着剤として表面にトリメチルアンモニウ
ム基を有するスチレン・ジビニルベンゼン共重合体(東
京有機化学社製、総交換容量0.67mEq/ml)を
用いた。吸着剤の平均孔径は657Å、体積基準のモー
ド径が1,646Å、全細孔表面積が23.0m2 /m
l、全細孔体積が0.377ml/mlであった。この
吸着剤1容をピロ亜硫酸ナトリウム0.05重量%、炭
酸ナトリウム0.01重量%含む水溶液1.5容中で密
栓して、121℃、1時間の高圧蒸気滅菌を行った。滅
菌終了後のpHは6.18であった。滅菌後開栓して吸
着器内水溶液中のトリメチルアミン量を、実施例1と同
様にして測定したところ、7ppmであった。同時に不
快臭がするか否かを5人で判定したところ、不快臭がす
る0名、少しする0名、極僅かにする0名、ほとんどし
ない4名であり、わからない1名であり、不快臭は非常
に軽微であった。
【0026】
【実施例3】両端に吸着剤の漏れ防止用のメッシュと溶
液の流出入口とを有する、内径5.5cm長さ16cm
の円筒形容器に実施例2の吸着剤350mlをピロ亜硫
酸ナトリウム0.02重量%、炭酸ナトリウム0.00
5重量%含む水溶液と共に充填して吸着器とし、密栓し
て、121℃、1時間の高圧蒸気滅菌を行った。臨床で
の使用方法に従って生理食塩液にて吸着器内の水溶液の
置換を行ったところ、吸着器容量のおよそ2/3容量の
生理食塩液を流した時、吸着器導出口からの流出液中の
ピロ亜硫酸ナトリウムの濃度は急激に減少し、吸着器容
量の1.4倍の生理食塩液を流した時点では1ppm以
下となっていた。この時pHは生理食塩液との置換開始
直後は6.36であり、吸着器容量の3/4容量の生理
食塩液を流した時点でpH7.01と完全に中性となっ
た。
【0027】
【比較例1】実施例1の吸着剤1容を生理食塩液1.5
容中で密栓して、121℃、1時間の高圧蒸気滅菌を行
った。滅菌終了後のpHは8.21であった。滅菌後開
栓して吸着器内水溶液中のトリメチルアミン量を、実施
例1と同様にして測定したところ、31ppmであっ
た。同時に不快臭がするか否かを5人で判定したとこ
ろ、不快臭がする3名、少しする2名、極僅かにする0
名、ほとんどしない0名であり、わからない0名であ
り、全員が明らかに不快臭を感じた。
【0028】
【比較例2】実施例1の吸着剤1容をピロ亜硫酸ナトリ
ウム0.1重量%含む水溶液1.5容中で密栓して、1
21℃、1時間の高圧蒸気滅菌を行った。滅菌終了後の
pHは4.82であった。滅菌後開栓して吸着器内水溶
液中のトリメチルアミン量を、実施例1と同様にして測
定したところ、28ppmであった。同時に不快臭がす
るか否かを5人で判定したところ、不快臭がする1名、
少しする3名、極僅かにする1名、ほとんどしない0名
であり、わからない0名であり、全員が不快臭を感じ
た。
【0029】
【比較例3】ピロ亜硫酸ナトリウム0.02重量%、水
酸化ナトリウム0.01重量%含む水溶液と共に実施例
2の吸着剤を、実施例3と同様に充填して吸着器とし、
密栓して、121℃、1時間の高圧蒸気滅菌を行った。
臨床での使用方法に従って生理食塩液にて吸着器内の水
溶液の置換を行ったところ、ピロ亜硫酸ナトリウムの濃
度は実施例3と同様に吸着器容量のおよそ2/3容量の
生理食塩液を流した時、吸着器導出口からの流出液中の
濃度は急激に減少し、吸着器容量の1.4倍の生理食塩
液を流した時点では1ppm以下となっていた。しかし
この時pHは生理食塩液との置換開始直後が10.31
であったのに対し、吸着器容量の3倍容量の生理食塩液
を流した時点でもpH7.92と完全に中性とはならな
かった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抗酸化剤を含む緩衝作用を有する水溶液
    中で高圧蒸気滅菌を行うことを特徴とする多孔体表面に
    塩基性官能基を有する血液浄化用吸着剤の滅菌方法。
  2. 【請求項2】 抗酸化剤を含む緩衝作用を有する水溶液
    中に、多孔体表面に塩基性官能基を有する吸着剤を浸漬
    して高圧蒸気滅菌されたことを特徴とする血液浄化用の
    吸着器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5707882A (en) * 1994-01-26 1998-01-13 Sanyo Electric Co., Ltd. Semiconductor device for display device using thin film transistors and process of manufacturing the same
JP2008533464A (ja) * 2005-03-07 2008-08-21 ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ 滅菌法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5707882A (en) * 1994-01-26 1998-01-13 Sanyo Electric Co., Ltd. Semiconductor device for display device using thin film transistors and process of manufacturing the same
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