JPH06126165A - 排ガス中の炭化水素類浄化用吸着材 - Google Patents

排ガス中の炭化水素類浄化用吸着材

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JPH06126165A
JPH06126165A JP4278617A JP27861792A JPH06126165A JP H06126165 A JPH06126165 A JP H06126165A JP 4278617 A JP4278617 A JP 4278617A JP 27861792 A JP27861792 A JP 27861792A JP H06126165 A JPH06126165 A JP H06126165A
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  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、炭化水素類の大きな吸着能を有
し、かつ吸着した炭化水素類の脱離温度の高い炭化水素
類浄化用吸着材を提供する。 【構成】 銀を担持した分子篩を使用して調製されたも
のである。分子篩としては、ゼオライト、多孔質カーボ
ン、黒鉛層間化合物、粘土層間化合物等がある。また、
金属で同型置換されたものであってもよい。分子篩への
銀の担持は、イオン交換法、含浸法、浸漬法等の通常の
方法によって行うことができる。この吸着材を排ガス中
の炭化水素類の浄化に使用する場合、この吸着材の下流
に排ガス浄化用触媒を配置しておく。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排ガス中の炭化水素類
を浄化するための吸着材に関する。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】自動車の
排ガス中には、炭化水素類として、主としてパラフィン
系炭化水素、オレフィン系炭化水素、芳香族系炭化水素
が含まれている。排ガス中の炭化水素類の濃度は、エン
ジンの種類、運転状態によって異なるが、一般的には 5
00〜20000ppmである。従来、このような自動車排ガスの
浄化用触媒として、炭化水素、NOX 、一酸化炭素を同時
に浄化する三元触媒が知られている。この種の三元触媒
は、所定温度以上の反応温度において充分な触媒活性を
示す。
【0003】通常、自動車エンジンの排ガス中の炭化水
素は、エンジン始動直後に特に多量に排出される。しか
し、この時の排ガスの温度は充分高くないため、三元触
媒によっては炭化水素類を効率的に浄化することができ
ないという欠点があった。そこで、三元触媒のこのよう
な欠点を補うため、三元触媒の上流にゼオライトを配置
して、三元触媒が低温である時に排出される炭化水素類
をこのゼオライトに一時的に吸着しておき、その後三元
触媒で炭化水素類を燃焼除去する方法が提案されている
(特開平2-75327 号公報、特開平2-135126号公報参
照)。
【0004】しかし、これらの方法では、ゼオライトか
らの炭化水素の脱離温度が低く、炭化水素が脱離した
際、未だ三元触媒がその触媒機能を充分に発揮できない
温度にあるため、結果として三元触媒出口の炭化水素濃
度が高くなっていた。そこで、本発明は、炭化水素類の
大きな吸着能を有し、かつ吸着した炭化水素類の脱離温
度の高い排ガス中の炭化水素類浄化用吸着材を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明に係る排
ガス中の炭化水素類浄化用吸着材は、銀を担持した分子
篩を使用して調製されたものである。前記分子篩として
は、ゼオライト、多孔質カーボン、黒鉛層間化合物、粘
土層間化合物等がある。また、金属で同型置換されたも
のであってもよい。
【0006】前記ゼオライトには、MFI型ゼオライ
ト、フォージャサイト型ゼオライト、フェリエライト、
ベータゼオライト、L型ゼオライト、モルデナイト、エ
リオナイト、チャバサイト等があるが、耐熱性の面から
MFI型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト、
ベータゼオライトが好ましい。前記MFI(Mobil five)
型とは、ZSM−5と類似の構造を指し、このZSM−
5以外にもZSM−8、ゼータ1、ゼータ3、Nu−
4、Nu−5、TZ−1、TPZ−1、TS−1等がM
FI型である。
【0007】銀の担持量は任意でよいが、例えば 0.1〜
15wt%位が好ましい。0.1 wt%より少ないと吸着性能が
不充分であり、逆に15wt%を越えても吸着性能は変わら
ない。分子篩への銀の担持は、イオン交換法、含浸法、
浸漬法等の通常の方法によって行うことができる。本発
明に係る炭化水素類浄化用吸着材は、前記銀担持分子篩
に80〜 120℃の乾燥処理を施し、更に 250〜 700℃の焼
成処理を施して調製することができる。
【0008】本発明に係る吸着材で吸着できる排ガス中
の炭化水素類とは、例えばプロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン等のパラフィン炭化水素、エチレン、プロ
ピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン等のオレフィン炭
化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化
水素である。これらの中で、本発明に係る吸着材は、特
にオレフィン炭化水素、芳香族炭化水素に対する吸着率
が高い。本発明の吸着材を排ガス中の炭化水素類の浄化
に使用する場合、この吸着材の下流に排ガス浄化用触媒
を配置しておく。
【0009】本発明の吸着材は、エンジン始動時の排ガ
ス浄化用触媒が充分機能できるほど温度が高くない時点
での排ガス中の炭化水素類を良好に吸着することができ
る。そして、エンジン始動から所定時間経って、排ガス
浄化用触媒が充分機能できるほど温度が高くなった後、
この吸着材に吸着された炭化水素類を脱離させることが
できる。この結果、炭化水素類が吸着材から脱離し始め
た時点では、排ガス浄化用触媒が充分機能できる程度に
温度が高くなっているため、排ガス浄化用触媒が低温時
に排出された炭化水素類もこの排ガス浄化用触媒によっ
て燃焼除去されることになる。
【0010】
【実施例】実施例1 硫酸アルミニウム(18水塩) 337.5g、硫酸(97%) 3
62.5g、水7841ccよりなる溶液(A液とする)、水ガラ
ス(JIS-3号ケイ酸ソーダ)5275.0g、水5000ccよりな
る溶液(B液とする)及び塩化ナトリウム 987.5g、水
2300ccよりなる溶液(C液とする)をそれぞれ用意し
た。次に、室温でC液を攪拌しながら、このC液中にA
液とB液を徐々に滴下した。
【0011】次に、この混合液中に種晶としてモルデナ
イト〔TSZ-610NAA(商品名)、東ソー(株)製〕の粉末
12.5gを添加した後、オートクレーブ(25リットル容
量)に入れ、攪拌しながら(回転数300ppm)、自己圧力
下で20時間反応させた。次に、反応混合物を冷却した
後、固形物をろ過分離した。引き続き、前記固形物に水
280リットルを加え、水洗及びろ過を繰り返した。そし
て、得られた固形物を 120℃で一昼夜乾燥させた後、 5
50℃で4時間空気中で焼成して1200gの結晶性アルミノ
シリケートを得た。この結晶性アルミノシリケートは、
X線回折の結果、MFI構造を有する公知のゼオライト
ZSM−5と構造的に類似していた。
【0012】次に、この結晶性アルミノシリケートを硝
酸アンモニウム1435gと水 10800gよりなる溶液に添加
し、室温下で3時間、攪拌、ろ過することによりアンモ
ニウム交換を行った。この操作は、イオン交換率を高め
るために、3回繰り返した。そして、得られたNH4
結晶性アルミノシリケートを 120℃で一昼夜乾燥させた
後、 550℃で4時間空気中で焼成することにより、H型
結晶性アルミノシリケートを得た。X線回折の結果、こ
のアルミノシリケートは、MFI構造であった。
【0013】次に、上記H型結晶性アルミノシリケート
10gを、硝酸銀1.33gがイオン交換水78mlに溶かされた
イオン交換溶液に添加し、室温下で4時間攪拌した。次
に、ろ過、洗浄を繰り返した後、 120℃で一昼夜乾燥
し、更に 400℃で2時間空気中で焼成することにより、
銀を担持した結晶性アルミノシリケートを得た。この結
晶性アルミノシリケートは、X線回折の結果、MFI構
造を有していた。次に、この吸着材 0.5gを石英反応管
に充填し、この反応管内に空気(45cc/分) と水 (5cc/
分) の混合物を流しながら 750℃、6時間の条件でスチ
ーミング(水熱処理)を行った。
【0014】次に、スチーミング後の吸着材に対して、
下記の通り炭化水素類の吸脱着性能を調べた。先ず、こ
の吸着材を圧縮成形して32〜64メッシュに粒度を揃えた
後、この吸着材微粒子0.05gを固定床管型反応器 (直径
7mm) に充填した。次に、この吸着材を60℃に保持した
状態で、酸素:0.3vol%、トルエン:143ppm 、N2
バランスよりなる混合標準ガスを100cc/min の流量で46
℃に保った水に通過させて前記反応器内に導入した。こ
の混合標準ガスの導入と同時に15℃/分で前記反応器内
の昇温を開始した。
【0015】そして、昇温の開始以降、反応器出口から
の排ガス中のトルエン濃度(炭素数換算値)を測定し
た。その結果を図1の曲線Aに示す。図1の曲線Aよ
り、本実施例に係る吸着材は、低温では吸着したトルエ
ンの脱離量が少なく、約 240℃の高温に至って反応器に
導入したトルエンの濃度(1000ppm:炭素数換算値)と同
じ濃度となることがわかる。
【0016】このことは、この吸着材に吸着される炭化
水素類の量が比較例1,2と比べて多く、また排ガス浄
化用触媒の温度が充分上がるまでの間、この吸着材によ
って吸着された炭化水素類が保持されていることを示し
ている。従って、このような高い温度において炭化水素
類が脱離されれば、この吸着材の下流に配置され、同じ
く高温になっている三元触媒によってエンジン始動直後
に排出された炭化水素類も燃焼除去されることになる。
【0017】実施例2 実施例1において、アンモニウム交換及びその後の焼成
処理を行わなかったこと以外は同様の処理を経て銀を担
持した結晶性アルミノシリケートを得た。この吸着材に
対して、実施例1と同様にしてスチーミング後の炭化水
素類の吸脱着性能を調べた。その結果を図1の曲線Bに
示す。図1の曲線Bより、本実施例に係る吸着材は、吸
着したトルエンを実施例1の場合より高温の約 280℃で
反応器に導入したトルエンと同じ濃度で脱離させること
がわかる。このことは、昇温速度が一定であることよ
り、実施例1より長時間、即ちより多量の炭化水素類が
吸着可能であることを示している。
【0018】実施例3 実施例1で得られたH型アルミノシリケート5gに、硝
酸銀 0.394gをイオン交換水3.75gに溶解した溶液を含
浸し、 120℃で一昼夜乾燥した後、 400℃で2時間焼成
した。この吸着材に対して、実施例1と同様にしてスチ
ーミング後の炭化水素類の吸脱着性能を調べた。その結
果を図1の曲線Cに示す。図1の曲線Cより、本実施例
に係る吸着材は、吸着したトルエンを実施例2の場合よ
り更に高温の約 320℃で反応器に導入したトルエンと同
じ濃度で脱離させることがわかる。
【0019】比較例1 実施例1において、銀イオン交換の代わりに下記のよう
に白金イオン交換を行ったこと以外は、実施例1と同様
にして白金を担持した結晶性アルミノシリケートを得
た。即ち、H型結晶性アルミノシリケート10gを、ジク
ロロテトラアンミン白金1.31gがイオン交換水39mlに溶
かされたイオン交換溶液に添加し、室温下で4時間攪拌
した。次に、ろ過、洗浄を繰り返した後、 120℃で一昼
夜乾燥し、更に 400℃で4時間空気中で焼成することに
より、白金を担持した結晶性アルミノシリケートを得
た。
【0020】この吸着材に対して、実施例1と同様にし
てスチーミング後の炭化水素類の吸脱着性能を調べた。
その結果を図1の曲線Xに示す。図1の曲線Xより、本
比較例に係る吸着材は、吸着したトルエンを約 100℃の
低温で反応器に導入したトルエンと同じ濃度で脱離させ
ることがわかる。このことは、吸着材に吸着される炭化
水素類の量が実施例1と比べて少なく、また排ガス浄化
用触媒の温度が充分上がる前に、この吸着材に吸着され
た炭化水素類が脱離することを示している。
【0021】比較例2 実施例1において、銀イオン交換の代わりに下記のよう
にパラジウムイオン交換を行ったこと以外は、実施例1
と同様にしてパラジウムを担持した結晶性アルミノシリ
ケートを得た。即ち、H型結晶性アルミノシリケート10
gを、ジクロロテトラアンミンパラジウム0.96gがイオ
ン交換水39mlに溶かされたイオン交換溶液に添加した
後、同様の処理を経てパラジウムを担持した結晶性アル
ミノシリケートを得た。
【0022】この吸着材に対して、実施例1と同様にし
てスチーミング後の炭化水素類の吸脱着性能を調べた。
その結果を図1の曲線Yに示す。図1の曲線Yより、本
比較例に係る吸着材は、吸着したトルエンを約 150℃で
反応器に導入したトルエンと同じ濃度で脱離させること
がわかる。このことは、吸着材に吸着される炭化水素類
の量が実施例1と比べて少なく、また排ガス浄化用触媒
の温度が充分上がる前に、この吸着材に吸着された炭化
水素類が脱離することを示している。
【0023】実施例4 実施例1において、H型結晶性アルミノシリケートの代
わりに市販の USYゼオライトを使用したこと以外は、実
施例1と同様にして銀を担持した結晶性アルミノシリケ
ートを得た。この吸着材に対して、実施例1と同様にし
てスチーミング後の炭化水素類の吸脱着性能を調べた。
その結果を図2の曲線Dに示す。
【0024】図2の曲線Dより、本実施例に係る吸着材
は、本実施例に係る吸着材は、低温では吸着したトルエ
ンの脱離量が少なく、約 260℃の高温に至って反応器に
導入したトルエンと同じ濃度となることがわかる。この
ことは、実施例1と同様、吸着材に吸着される炭化水素
類の量が下記比較例3と比べて多く、また排ガス浄化用
触媒の温度が充分上がるまでの間、この吸着材によって
炭化水素類が保持されていることを示している。
【0025】比較例3 実施例2において、銀イオン交換の代わりに下記のよう
にパラジウムイオン交換を行ったこと以外は、実施例2
と同様にしてパラジウムを担持した結晶性アルミノシリ
ケートを得た。即ち、市販の USYゼオライト10gを、ジ
クロロテトラアンミンパラジウム0.96gがイオン交換水
39mlに溶かされたイオン交換溶液に添加した後、同様の
処理を経てパラジウムを担持した結晶性アルミノシリケ
ートを得た。
【0026】この吸着材に対して、実施例1と同様にし
てスチーミング後の炭化水素類の吸脱着性能を調べた。
その結果を図2の曲線Zに示す。図2の曲線Zより、本
比較例に係る吸着材は、吸着したトルエンを約 170℃で
反応器に導入したトルエンと同じ濃度で脱離させること
がわかる。このことは、吸着材に吸着される炭化水素類
の量が実施例2と比べて少なく、また排ガス浄化用触媒
の温度が充分上がる前に、この吸着材に吸着された炭化
水素類が脱離することを示している。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、炭化水素類の大きな吸
着能を有し、かつ吸着した炭化水素類の脱離温度の高い
炭化水素類浄化用吸着材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜3及び比較例1,2に係る吸着材の
温度に対するトルエン濃度を測定したグラフである。
【図2】実施例4及び比較例3に係る吸着材の温度に対
するトルエン濃度を測定したグラフである。
【符号の説明】
A 実施例1に係る濃度曲線 B 実施例2に係る濃度曲線 C 実施例3に係る濃度曲線 D 実施例4に係る濃度曲線 X 比較例1に係る濃度曲線 Y 比較例2に係る濃度曲線 Z 比較例3に係る濃度曲線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銀を担持した分子篩を使用して調製され
    た排ガス中の炭化水素類浄化用吸着材。
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