JPH0612338Y2 - 強制燃焼式ガスバーナー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、家庭用の給湯器や風呂釜に用いられる強制
燃焼式ガスバーナーに関するものである。

［従来の技術］ 近来、給湯器や風呂釜等の家庭用のガス器具の吸排気路
にファンを挿入し、燃焼空気の供給、排気を強制的に行
うように構成した強制燃焼式のガス器具が用いられるよ
うになってきた。こうした強制燃焼式のガス器具は、自
然排気式と比較して熱交換器の吸熱性が高められ、器具
の小型化と高能力化とを図ることができ、家庭用のガス
器具として用途の広いものである。強制燃焼式のガス器
具に組込まれるガスバーナーは、ガスバーナー体内に供
給される一次空気とガスバーナー体の側面に沿って上昇
する二次空気とをファンによって強制的に送風するよう
に構成される。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、家庭用のガス器具の高能力化、小型化の要求に
より、ガスバーナーの高負荷化を図ると、従来のガスバ
ーナーは二次空気不足によって炎の不完全燃焼が生じ、
安定した燃焼を実現することが困難であった。

また、近年、ガス器具の能力変換機能が必需とされてき
たが、高負荷のガスバーナーの能力を絞ったときに、炎
のバック現象を生じる危険があり、燃焼負荷の変化に適
合することは困難であった。

また、小型のガスバーナーで高負荷化を図ると、十分な
燃焼面積が得られず、燃焼炎が激しく震動して大きな燃
焼音が生じ、ファンによって送風される燃焼空気の風切
り音とあいまって大きな騒音となり、住宅街での設置に
好ましいものではなかった。

［課題を解決するための手段］ この考案は、新規構成の強制燃焼式ガスバーナーを提供
して上記の課題を解決することを目的とするもので、板
金加工によって略左右対称に形成した側板の縁部を密接
し、ガスと一次空気との入口開口部、ガスと一次空気と
の混合部、当該混合部の上端から混合部を挟んで上方に
延設され、頂点にて閉塞する断面略逆Ｖ字状の燃焼面を
形成し、燃焼面上で垂下線に沿ってスリット炎孔を開孔
し、当該スリット炎孔を適宜のピッチ間隔で燃焼面に並
列し、スリット炎孔のピッチ間隔に対応したピッチ間隔
で交互に凹凸面を形成したコルゲート板を、各スリット
炎孔の背面に凹面を位置させて、燃焼面の背面に当接し
てガスバーナー体を形成し、ガスバーナー体内に供給さ
れる一次空気とガスバーナー体の側面に沿って上昇する
二次空気とをファンによって強制的に送風するように構
成される。

また、上記のガスバーナー体は単体で使用することもで
きるが、ガス器具の能力に対応して、バーナーケース内
に複数体を横一列に並置してバーナー部を構成すること
もできる。

以下に、この考案の構成、作用、効果を図面を用いて具
体的に説明する。

［実施例］ 図面はこの考案の実施例で、ガスバーナー体（１）は、
板金加工によって略左右対称に形成した側板の縁部を密
接して形成され、ガスと一次空気との入口開口部
（２）、ガスと一次空気との混合部（３）、当該混合部
（３）の上端から混合部（３）を挟んで上方に延設さ
れ、頂点にて閉塞する断面略逆Ｖ字状の燃焼面（４）が
形成されている。燃焼面（４）上で垂下線に沿うよう
に、すなわち、縦長状にスリット炎孔（５）が開孔さ
れ、当該スリット炎孔（５）が適宜のピッチ間隔で燃焼
面（４）に並列されている。

燃焼面（４）の背面にコルゲート板（６）が当接され、
コルゲート板（６）は、スリット炎孔（５）のピッチ間
隔に対応したピッチ間隔で交互に凹凸面が形成され、各
スリット炎孔（５）の背面に凹面（７）が位置されてい
る。したがって、凹面（７）によって、各スリット炎孔
（５）の背面に、下端で混合部（３）に開口した縦溝状
案内通路が形成されている。

以上の構成のガスバーナー体（１）は、燃焼面（４）の
頂点を中心にして一枚の鋼板を略左右対称に板金加工
し、中心線にて折曲げ、コルゲート板（６）を溶接その
他の手段で固定し、縁部をはぜ折り（８）して製作され
る。

なお、燃焼面（４）上で垂下線に沿うように開孔される
スリット炎孔（５）は、分割して形成することもでき
る。第３図に示す実施例では、スリット炎孔（５）は上
下に分割して形成され、その他、燃焼面の寸法、ガスバ
ーナー体の負荷等を勘案して、スリット炎孔を複数に分
割して燃焼面を構成しても差支えない。

この考案の強制燃焼式ガスバーナーは、ガスバーナー体
内に供給される一次空気とガスバーナー体の側面に沿っ
て上昇する二次空気とをファンによって強制的に送風す
るように構成され、ガスバーナー体（１）を単体で用い
ることもできるが、第４図及び第５図に示すように、複
数体のガスバーナー体（１）をバーナーケース（10）内
に横一列に並置してバーナー部を構成することもでき
る。

バーナーケース（10）は上面が開口した横長の直方体に
形成され、底面（11）に空気入口（12）が開孔され、当
該空気入口（12）の上流にファン（図示せず）が連結さ
れている。空気入口（12）の上方に間隔を有して、パン
チング加工によって多数の微孔を設けて形成した整流板
（13）がバーナーケース（10）内に設けられ、複数体の
ガスバーナー体（１）が所定のピッチ間隔で整流板（1
3）上に横一列に並置されている。ガスバーナー体
（１）のピッチ間隔に対応して分枝管（15）の前面にガ
スノズル（14）が突設され、各ガスバーナー体（１）の
入口開口部（２）に対向してガスノズル（14）が設けら
れ、バーナーケース（１）の上部に熱交換器が設置され
る。

［作用］ 次に、この考案の作用を、実施例のガスバーナー体
（１）について説明する。

第２図において、破線矢印は混気ガス、実線矢印は空気
の流れを示し、燃焼スイッチの投入でファンが運転され
ると、送風空気の一部は入口開口（２）からガスバーナ
ー体（１）内へ一次空気として供給され、同時にガスノ
ズル（14）からガスバーナー体（１）内へ可燃ガスが噴
出される。他の送風空気は、ガスバーナー体（１）の側
面に沿って二次空気として上昇する。ガスバーナー体
（１）内へ供給されたガスと一次空気とは混合部（３）
へ流入して混合され、下端で混合部（３）に開口したコ
ルゲート板（６）の凹面（７）内すなわち縦溝状案内通
路内へ流入する。コルゲート板（６）の凹面（７）は下
端のみ混合部（３）に開口しているので、ここで混気ガ
スの圧力が均一に絞られて凹面（７）内へ流入し、縦溝
状案内通路に案内されながら上昇し、スリット炎孔
（５）から漸次穏やかに吐出する。スリット炎孔（５）
から吐出した混気ガスは着火され、ガスバーナー体
（１）の側面に沿って上昇した二次空気が供給され、燃
焼面（４）に沿って燃焼炎を形成して燃焼する。

［効果］ この考案の特徴的な効果は次の諸点である。

混合部の上端から混合部を挟んで上方に延設され、頂点
にて閉塞する断面略逆Ｖ字状の燃焼面を形成し、スリッ
ト炎孔を適宜のピッチ間隔で燃焼面に並列し、燃焼面に
沿うように燃焼炎を形成するので、各ガスバーナー体あ
たり極めて大きな燃焼面積が得られ、ガスバーナーの高
負荷化を図ることができるとともに、ガスバーナー体の
側面に沿って上昇する二次空気はスリット炎孔間に拡散
し、スリット炎孔から吐出する混気ガスに十分に供給さ
れるので、二次空気不足による不完全燃焼を防止し、安
定した燃焼を実現することができる。

また、各スリット炎孔の背面に位置した凹面によって、
下端で混合部に連通した縦溝状案内通路が形成され、混
気ガスの圧力が均一に絞られて凹面内へ流入し、スリッ
ト炎孔から混気ガスは漸次穏やかに吐出するので、高負
荷燃焼時に炎のリフティングを防止することができると
ともに、燃焼面の背面にコルゲート板を当接して凹面が
下端で混合部に連通し、スリット炎孔が直接に混合部に
連通しない構成であるから、低負荷燃焼時の炎のバック
現象も防止することができる。したがって、バーナーの
燃焼能力の適応範囲が拡大され、燃焼負荷の変化に適合
して安定した燃焼炎を得ることができ、ガス器具の能力
変換機能に十分に対応することができる。

また、混合部の上端から混合部を挟んで上方に延設さ
れ、頂点にて閉塞する断面略逆Ｖ字状の燃焼面を形成す
るので、ガスバーナー体は極めて偏平に形成され、二次
空気は遮蔽されずにガスバーナー体間に供給されるの
で、燃焼空気の風切り音を大きく低減することができる
とともに、上記のように十分な燃焼面積が得られ、燃焼
炎が安定しているので燃焼音も低減され、従来品に比較
してはるかに静音化したガス器具が得られる。また、複
数体のガスバーナー体をバーナーケース内に横一列に並
置してバーナー部を構成する場合、上記のようにガスバ
ーナー体は極めて偏平に形成され、二次空気の拡散性に
優れるので、ガスバーナー体を高密度に並置することが
許容され、バーナー部の小型化と能力の高負荷化とをさ
らに進めることができるとともに、ガスバーナー体の本
数を増減することにより、バーナー部の能力を適宜に設
定することができる等の実用的な効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の実施例で、第１図はガスバーナー体の
一部を破断した全体斜視図、第２図は第１図のＡ−Ａ線
断面図、第３図はスリット炎孔を分割して形成した実施
例の側面図、第４図はガスバーナー体を複数体並置した
平面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ線断面図である。 １……ガスバーナー体、２……入口開口部、 ３……混合部、４……燃焼面、 ５……スリット炎孔、６……コルゲート板、 ７……凹面、10……バーナーケース

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】板金加工によって略左右対称に形成した側
   板の縁部を密接し、ガスと一次空気との入口開口部、ガ
   スと一次空気との混合部、当該混合部の上端から混合部
   を挟んで上方に延設され、頂点にて閉塞する断面略逆Ｖ
   字状の燃焼面を形成し、燃焼面上で垂下線に沿ってスリ
   ット炎孔を開孔し、当該スリット炎孔を適宜のピッチ間
   隔で燃焼面に並列し、スリット炎孔のピッチ間隔に対応
   したピッチ間隔で交互に凹凸面を形成したコルゲート板
   を、各スリット炎孔の背面に凹面を位置させて、燃焼面
   の背面に当接してガスバーナー体を形成し、ガスバーナ
   ー体内に供給される一次空気とガスバーナー体の側面に
   沿って上昇する二次空気とをファンによって強制的に送
   風するように構成した強制燃焼式ガスバーナー。
2. 【請求項２】請求項１記載のガスバーナー体の複数体
   を、バーナーケース内に横一列に並置してバーナー部を
   構成した強制燃焼式ガスバーナー。