JPH0612296U - 船舶用舵 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 垂直舵骨を兼ねた単一の円筒体２を立設し、
円筒体２に複数の水平リブ板７を設ける。円筒体２の後
方に立設した舵後縁部３に舷側方向幅を徐々に増大させ
て後縁フィン４を形成する。円筒体２および舵後縁部３
の底端面と頂端面のそれぞれに両舷側に張り出す底端板
５および頂端板６を設ける。円筒体２と舵後縁部３との
間および水平リブ板７の周縁に沿った円筒体２の前方を
被覆して複数の舵板８，８ａ，９を設ける。 【効果】 従来のような多数の垂直舵骨に要した材料と
水平舵骨に要した材料が不要となり、溶接作業が直線部
のみで容易となるうえに、一方の舵板に穿設したスロッ
ト穴の加工が不要となるために作業時間が大巾に節減さ
れるなど卓越した効果を奏する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は船舶用舵に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来の船舶用舵は、図３〜図４に示すように、船首尾方向の中心線を境として 左右両側面に分割した舵板２１，２２により構成している。すなわち、一方の舵 板２１の内面の所定位置に垂直舵骨２３の一側縁と、水平舵骨２４の一側縁を溶 着して舵本体２５の格子状の骨格を構成し、その垂直舵骨２３および水平舵骨２ ４の他側には取付片２６を全長にわたって予めＴ字状に溶着している。

【０００３】 そして、前記の骨格を被覆するように予め垂直舵骨２３と水平舵骨２４に相当 する位置に所定間隔で縦横にスロット穴２７を穿設した舵板２２を、スロット穴 ２７の内周端面を取付片２６の外面に溶着することによって舵板２２を垂直舵骨 ２３と水平舵骨２４に固着し、さらに、両舵板２１、２２の舵前端部分２８と舵 後端部分２９をそれぞれ溶着するとともに、舵本体２５の上下面を頂板３０と底 板３１で被覆して舵本体２５を構成していた。尚、３２は舵頭材であり、３３は 底部ピントルである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記した従来の構成によれば、舵本体２５は一方の舵板２１の内面に 垂直舵骨２３と水平舵骨２４を溶着固定した後に、垂直舵骨２３と水平舵骨２４ の他側に取付けた取付片２６に他方の舵板２２をスロット穴２７を介して溶着し て構成するため、他方の舵板２２には多数のスロット穴２７を穿設しなければな らないので多くの作業時間を要するばかりでなく溶接の耐久性などに問題があっ た。

【０００５】 本考案は上記課題を解決するもので、多数の垂直舵骨２３および水平舵骨２４ を廃し、垂直舵骨として単一の円筒体を立設して用いた船舶用舵を提供すること を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案の船舶用舵は、垂直舵骨を兼ねて立設した単 一の円筒体に複数の水平リブ板を設け、円筒体の船首尾方向の後方に舵後縁部を 立設し、さらに舵後縁部から後縁に至る比較的短い間にわたり舷側方向幅を徐々 に増大させた後縁フィンを形成し、円筒体および舵後縁部の頂底端面を含み船舶 用舵全長にわたって両舷側に張り出す底端板および頂端板を設け、円筒体と舵後 縁部との間および水平リブ板の周縁に沿って船舶用舵の全側面を複数の舵板で被 覆した構成としたものである。

【０００７】

【作用】

上記した構成により、舵本体の骨格となる垂直舵骨を廃して円筒体を用いたこ とにより構造は簡単となり、重量は軽減し、後付けの舵板に対するスロット穴の 穿設が不要となるので作業時間を短くすることができるとともに、スロット穴を 介しての限定、断続的な溶接ではなく、連続的溶接となるので溶接が容易となる ばかりでなく溶接強度、耐久性が向上する。

【０００８】 また、プロペラ後流が舵板表面に沿って流れるに際し、頂部および底部におい て水流が舵板の上下外方に逸流することを頂・底端板が防いで、プロペラ後流を 頂端板と底端板の間に封じ込めるので、層流剥離をより生じ難くし、また、大舵 角にいたるまでプロペラ後流の水力を舵板に有効に作用させることができる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。図１〜図２において、船 舶用舵１は、垂直舵骨を兼ねて立設した円筒体２（中空，中実の選択は自由であ る）と船首尾方向の円筒体２の後方に立設した舵後縁部３を有している。また、 舵後縁部３には船首尾方向に沿って後縁に至る比較的短い間にわたり舷側方向幅 を徐々に増大させて後縁フィン４を形成してある。また、円筒体の船首尾方向の 前後にはそれぞれ複数の水平リブ板５を設けている。

【００１０】 そして、円筒体２，舵後縁部３および後縁フィン４の底端面と頂端面のそれぞ れに船首尾方向全長にわたって両舷側に張り出す底端板６および頂端板７を設け ており、円筒体２の船首尾方向の前方には前部舵板８を水平リブ板５の周縁部に 沿って設けるとともに、前部舵板８に続いて頭部舵板８ａを設けている。さらに 、円筒体２と舵後縁部３の間は後部舵板９を設けている。前部舵板８および後部 舵板９は共にそれぞれの垂直端を円筒体２に溶接固定している。かつ、前部舵板 ８および後部舵板９のそれぞれの垂直端の間に若干の間隙を設けて円筒体２の外 周面が舵面の一部を形成するようにしてもよい。

【００１１】 上記した構成においては、舵本体の骨格となる垂直舵骨を廃して円筒体２を用 いているので、水平舵骨を不要、もしくは最少限にして構造を簡単とすることが でき、重量は軽減し、従来のような後付けの舵板に対するスロット穴の穿設が不 要となるので作業時間が短くすることができ、スロット穴廃止による溶接法の改 善により、溶接の強度と耐久性が著しく改善される。

【００１２】 また、プロペラ後流が舵板表面に沿って流れるに際し、頂部および底部におい て水流が前部舵板８および後部舵板９の上下外方に逸流することを底端板６およ び頂端板７が防ぎ、プロペラ後流を頂端板７と底端板６の間に封じ込めるので、 層流剥離を生じ難くすることができ、大舵角にいたるまでプロペラ後流の水力を 前部舵板８および後部舵板９に有効に作用させることができる。

【００１３】

【考案の効果】

以上述べたように本考案によれば、従来のような多数の垂直舵骨に要した材料 と水平舵骨に要した材料が不要となり、溶接作業が直線部のみで容易となるうえ に、溶接強度と耐久性が著しく向上する。一方の舵板にスロット穴を穿設する加 工が不要となるために作業時間が大巾に節減されるなど卓越した効果を奏する。 また、プロペラ後流を頂端板と底端板の間に封じ込めて層流剥離をより生じ難く し、プロペラ後流の水力を大舵角にいたるまで舵板に有効に作用させることがで きる。

【提出日】平成５年３月８日

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００６

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案の船舶用舵は、垂直舵骨を兼ねて立設した単 一の円筒体に複数の水平リブ板を設け、円筒体の船首尾方向の後方に舵後縁部を 立設し、さらに舵後縁部から後縁に至る比較的短い間にわたり舷側方向幅を徐々 に増大させた後縁ファンを形成し、円筒体および舵後縁部の頂底端面を含み船舶 用舵全長にわたって両舷側に張り出す底端板および頂端板を設け、円筒体と舵後 縁部との間および水平リブ板の周縁に沿って船舶用舵の全側面を複数の舵板で被 覆した構成としたものである。 また、本考案の船舶用舵は、垂直舵骨を兼ねて単一の円筒体を立設し、円筒体 の船首尾方向の前方に断面円弧状の頭部舵板を立設し、円筒体の船首尾方向の後 方に舵後縁部を立設し、さらに舵後縁部から後縁に至る比較的短い間にわたり舵 側方向幅を徐々に増大させた後縁ファンを形成し、円筒体と頭部舵板および舵後 縁部の頂底端面を含み船舶用舵全長にわたって両舷側に張り出す底端板および頂 端板を設け、円筒体と頭部舵板の間および円筒体と舵後縁部の間の船舶用舵の全 側面を複数の舵板で被覆した構成としたものである。

【手続補正３】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】００１０

【補正方法】変更

【補正内容】

【００１０】 そして、円筒体２，舵後縁部３および後縁ファン４の底端面と頂端面のそれぞ れに船首尾方向全長にわたって両舷側に張り出す底端板６および頂端板７を設け ており、円筒体２の船首尾方向の前方には前部舵板８を水平リブ板５の周縁部に 沿って設けるとともに、前部舵板８に続いて頭部舵板８ａを設けている。さらに 、円筒体２と舵後縁部３の間は後部舵板９を設けている。前部舵板８および後部 舵板９は共にそれぞれの垂直端を円筒体２に溶接固定している。かつ、前部舵板 ８および後部舵板９のそれぞれの垂直端の間に若干の間隙を設けて円筒体２の外 周面が舵面の一部を形成するようにしてもよい。 また、前部舵板８と頭部舵板８ａによって構造的な強度を確保し、水平リブ板 ５を省略することも可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す船舶用舵の全体斜視図
である。

【図２】同実施例における船舶用舵の水平断面図であ
る。

【図３】同船舶用舵の全体側面図である。

【図４】図３のＡ−Ａ矢視断面図である。

【符号の説明】

１ 船舶用舵 ２ 円筒体 ３ 舵後縁部 ４ 後縁フィン ５ 底端板 ６ 頂端板 ８ 前部舵板 ９ 後部舵板

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【手続補正書】

【提出日】平成５年３月８日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 垂直舵骨を兼ねて立設した単一の円筒体
   に複数の水平リブ板を設け、円筒体の船首尾方向の後方
   に舵後縁部を立設し、さらに舵後縁部から後縁に至る比
   較的短い間にわたり舷側方向幅を徐々に増大させた後縁
   フィンを形成し、円筒体および舵後縁部の頂底端面を含
   み船舶用舵全長にわたって両舷側に張り出す底端板およ
   び頂端板を設け、円筒体と舵後縁部との間および水平リ
   ブ板の周縁に沿って船舶用舵の全側面を複数の舵板で被
   覆したことを特徴とする船舶用舵。