JPH06122769A - 大環状共役系高分子化合物および大環状共役系高分子組成物 - Google Patents

大環状共役系高分子化合物および大環状共役系高分子組成物

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JPH06122769A
JPH06122769A JP5153573A JP15357393A JPH06122769A JP H06122769 A JPH06122769 A JP H06122769A JP 5153573 A JP5153573 A JP 5153573A JP 15357393 A JP15357393 A JP 15357393A JP H06122769 A JPH06122769 A JP H06122769A
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G77/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G77/60Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule in which all the silicon atoms are connected by linkages other than oxygen atoms

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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた導電性、安定性を有し、かつ容易に製
造できる高分子主鎖が共役した環状構造の繰り返しから
なる大環状共役系高分子化合物およびその組成物を提供
する。 【構成】テトラシアノエチレンと1,2−ジアミノテト
ラメチルジシランを反応させ、暗褐色の生成物を得た。
得られた高分子化合物を溶解させ、この溶液を基板上に
塗布し、乾燥した。電導度を四端子法で測定したとこ
ろ、高分子膜のみの電導度は5.5×10-3S/cm、
AsF5 ドープ後の電導度は240S/cmであった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子材料としてエレク
トロニクスの分野などに供される大環状共役系高分子化
合物および大環状共役系高分子組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、導電性を有する高分子化合物が、
そのフレキシビリティや、各種電気機器の軽量化ならび
に小型化に有効な導電性材料であること、加工性が優れ
ていることなどから注目されている。
【0003】従来、代表的な導電性高分子化合物とし
て、ポリアセチレンやポリチオフェン、ポリピロール、
ポリ-pフェニレン及びそれらの誘導体などπ共役系が鎖
上に広がった高分子や、ポリアセンなどのようにπ共役
が二次元的に広がったラダー状の高分子が数多く知られ
ている。これらの化合物は種々の有用な特性を持ってお
り産業上、多方面の分野に応用の可能性を持っている。
【0004】それにもかかわらず、次に述べるような理
由で応用に対して大きな制約がある。例えば、一般にも
知られているように、ポリアセチレンは酸素を含む気体
中で不安定であり、容易に酸化される。また、ポリチオ
フェンやポリピロール、ポリ-pフェニレンなどの芳香族
性高分子は空気中で安定であるが、それら及びそれらを
ドープして得られる材料の導電性は金属にとって変わる
ほど充分なものではない。これはこれらの高分子は、ド
−プされる以前の禁止帯巾Egがポリアセチレンほど十
分小さくないためである。また、ラダー状の高分子は溶
解性が悪く、従って、所望の形状に加工しにくく、ま
た、構造の制御が容易でないといった問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、ポリア
セチレンやポリチオフェン、ポリピロール、ポリ-pフェ
ニレン及びそれらの誘導体やポリアセンなどの高分子化
合物やそれらを主成分とする高分子組成物は空気中での
安定性や導電性、溶解性などに乏しく、実用上大きな制
約がある。
【0006】本発明は、この様な従来の技術が持つ課題
を解決し、優れた導電性、安定性を示す高分子化合物及
びそれらを主成分とする高分子組成物を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の大環状共役系高分子化合物は、高分子主鎖
が、7個以上の原子からなる共役系環状構造を含み、か
つ隣合った環が共役性基の共有化または共役結合による
連結からなるという構成を備えたものである。
【0008】前記構成においては、共役系環状構造およ
び前記共役系環の連結部の共役結合が、C−C不飽和結
合、C−N不飽和結合、N−N不飽和結合、芳香族環ま
たは複素環およびそれらの誘導体から選ばれる少なくと
も一種のπ共役結合、ならびにSi−Siのσ共役結
合、からなる群から選ばれた少なくとも一種の共役結合
であることが好ましい。
【0009】また前記構成においては、高分子主鎖が下
記化学式(化4)で表わされる環状構造を含む繰り返し
からなることが好ましい。
【0010】
【化4】
【0011】(但し、X,Yは、C−C不飽和結合基、
C−N不飽和結合基、N−N不飽和結合基、Si−Si
結合基、ならびに、芳香族環または複素環およびそれら
の誘導体から選ばれる少なくとも一種の基、からなる群
から選ばれた少なくとも一種の基を表す。α,β,γ、
δ基は、H、炭素数1〜5の低級アルキル基、−NH 2
基、−NR2 基(但しRは炭素数1〜5の低級アルキル
基を表す。)、αとβとで>NH基または>NR基(但
しRは炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。)、γと
δとで>NH基または>NR基(但しRは炭素数1〜5
の低級アルキル基を表す。)からなる群から選ばれた少
なくとも一種の基を表す。)さらに、前記構成において
は、高分子主鎖が下記化学式(化5)で表わされる環状
構造を含む繰り返しからなることが好ましい。
【0012】
【化5】
【0013】(但し、Xは、C−C不飽和結合基、C−
N不飽和結合基、N−N不飽和結合基、ならびに、芳香
族環または複素環およびそれらの誘導体から選ばれる少
なくとも一種の基、からなる群から選ばれた少なくとも
一種の基を表す。R,R’は、炭素数1〜8のアルキル
基またはフェニル基を表す。)またさらに、前記構成に
おいては、高分子主鎖が下記化学式(化6)で表わされ
る環状構造を含む繰り返しからなることが好ましい。
【0014】
【化6】
【0015】(但し、R,R’は、炭素数1〜8のアル
キル基またはフェニル基を表す。)次に本発明の大環状
共役系高分子組成物は、前述した大環状共役系高分子化
合物を主成分とし、ドープを含むという構成を備えたも
のである。
【0016】前記構成においては、ドープがヨウ素イオ
ン、フッ素イオン、臭素イオン、砒素イオンからなる群
から選ばれた少なくとも1種のイオンを含むドープであ
ることが好ましい。
【0017】
【作用】導電性高分子と言うのは、共役系が高度に発達
した高分子であり、一般の高分子材料では、禁止帯幅E
gを有する半導体的または、絶縁体的性質を示す。その
ため、より良好な導電性高分子材料の分子設計において
は、(1)禁止帯幅Egが小さい、(2)フロンティア
軌道近傍のバンド巾(価電子帯(VB)および伝導帯
(CB)のバンド巾)が大きい、つまり共役系が主鎖骨
格上に広がっている、といった条件が要求される。
【0018】本発明でいう大環状共役系高分子化合物の
モデルとして下記化学式(化7)、(化8)、(化9)
で示される環状構造を含む繰り返しからなる大環状共役
系高分子化合物を取り上げ、量子化学的解析手法の一つ
である分子軌道法を用いて理論的な解析を行なったとこ
ろ、ポリアセチレンよりも小さなEgを示し、またフロ
ンティア軌道近傍のバンド巾(VB巾、CB巾)も大き
くなることがわかった。
【0019】
【化7】
【0020】
【化8】
【0021】
【化9】
【0022】(但し、R,R’は、炭素数1〜8のアル
キル基またはフェニル基を表す。)また、前記化学式
(化4)で示される環状構造を含む繰り返しからなる大
環状共役系高分子化合物のモデルとして下記化学式(化
10)、(化11)で示される環状構造を含む繰り返し
からなる大環状共役系高分子化合物を取り上げ、同様に
理論的な解析を行なったところ、ポリアセチレンよりも
小さなEgを示し、またフロンティア軌道近傍のバンド
巾(VB巾、CB巾)も大きな値を示すことがわかっ
た。
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】(但し、R,R’は、炭素数1〜8のアル
キル基またはフェニル基を表す。)このように、環状構
造の共役系を高分子中に新たに作ることによって共役が
途切れることなく高分子全体に広がっているためEgの
減少とフロンティア軌道近傍でのバンド巾の広がりがみ
られ、導電率の大きいものが得られるのである。
【0026】本発明における大環状共役系高分子化合物
は、従来から知られているπ共役系が鎖上に広がった高
分子(例えばポリアセチレンなど)に比べ、共役系が鎖
上のみでなく、環状にも広がっているため、構造的な安
定性や、外的要因(光、熱、空気など)に対する安定性
に優れている。さらにポリチオフェン、ポリピロール、
ポリ−pフェニレン及びそれらの誘導体などに比べて
も、それらの芳香族環または複素環を大環状共役系に有
する場合の方が軌道相互作用を考慮すれば、Egが小さ
くなり、それらの高分子よりも高導電性を示す。また、
ポリアセンなどのようなπ共役が二次元的に広がったラ
ダー状の高分子と比べると、共役を形成する環構造がよ
り大きいため、溶解性にも優れており、さらに構造制御
も容易である。
【0027】また、特に前記化学式(化5)、(化
6)、(化9)、(化11)等で示されるSi−Si結
合基を含んだ大環状共役系高分子化合物は、よりすぐれ
た溶解性を有している。
【0028】また、これらの大環状共役系高分子化合物
を主成分とし、ドープを含む大環状共役系高分子組成物
は、例えばヨウ素イオンなどのイオン性物質を含んでい
るので、より高い導電性を示す。
【0029】
【実施例】本発明の大環状共役系高分子化合物におい
て、共役系環状構造および前記共役系環の連結部の共役
結合が、芳香族環または複素環およびそれらの誘導体か
ら選ばれる少なくとも一種のπ共役結合である場合、ま
たは、前記化学式(化4)において、XないしYが芳香
族環または複素環およびそれらの誘導体から選ばれる少
なくとも一種の基である場合、あるいは、前記化学式
(化5)において、Xが芳香族環または複素環およびそ
れらの誘導体から選ばれる少なくとも一種の基である場
合、芳香族環または複素環としては、ベンゼン環、ピリ
ジン環、チオフェン環などの5〜6員環の芳香族環また
は複素環が好ましく用いられる。
【0030】本発明の大環状共役系高分子化合物は、必
要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲で、例え
ば、ポリスチレンやポリカーボネートなどの汎用性絶縁
性高分子と混合した大環状共役系高分子組成物としても
使用でき、これらの高分子組成物も同様に優れた安定性
を示す。また、さらにこれらの組成物にイオン性物質を
ドープした組成物もまた、有用である。
【0031】本発明で用いるドープ物質としては、ヨウ
素イオンの他に、フッ素イオン、臭素イオン等のハロゲ
ンイオンや砒素イオンなどを使用することができる。ド
ープ物質の添加量は、本発明の高分子化合物の1繰り返
し単位に対して約1〜40モル%の範囲の量で含まれて
いることが好ましい。本発明の高分子化合物とこれらの
ドープ物質とからなる高分子組成物は、ドープ物質を含
む蒸気に本発明の高分子化合物を晒す事によって得るこ
とができる。
【0032】以下、本発明をさらに具体的な実施例に基
づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。また同様の高分子化合物、組成物を異なる
反応経路により得てもかまわない。
【0033】実施例1 3lの3つ口フラスコに、N2 ガス流入管、温度計を取
り付け、さらにマグネティックスターラーバーを入れフ
ラスコ内を充分窒素ガスで乾燥した。1lの臭化エチル
マグネシウムのテトラヒドロフラン溶液(約1mol/
l)を入れ充分乾燥後、テトラヒドロフラン(THF)
にLiAlH4 を加えた混合物を蒸留しすることによっ
て得られたTHF(1.5l)を更に加えて、50℃に
加温した。溶液を激しくかき混ぜながらアセチレンガス
を300〜400ml/minの速度で流入した。外部
からの加温を終了し、フラスコ内の温度が40℃に下が
ったところでアセチレンガスの流入を止めた。その後窒
素ガスを流入し50℃で30分加熱を続け、析出物とし
て2臭化アセチレンジマグネシウムを得た。
【0034】次にこれに1,2,4,5−テトラブロモ
ベンゼン(197g,0.5mol)とジクロロビピリ
ジルニッケル(NiCl2 (bpy) )54gのTHF(5
00ml)溶液を滴下し、50〜60℃で2時間撹拌を
続けた。この反応生成物を含む液からTHFを加熱除去
した後、ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かしシリ
カゲルカラムクロマトグラムにかけ、得られた生成物を
DMF/ヘキサン溶媒中で再結晶させ、精製物を得た。
【0035】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測
定結果は、下記の通りであった。
【0036】元素分析:C:97.9%,H:1.6%
(理論値は、C:98.3%,H:1.7%) IR:3060〜3000cm-1(芳香族C−H) 2100cm-1(炭素−炭素の三重結合) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:7.6ppm GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=100,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
7)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物と同定
された。
【0037】この高分子化合物をDMFに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布して厚さ約4μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は4.7×10-4S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は31S/cmであっ
た。尚、ドープは、室温、減圧下(10-2mmHg) におい
てAsF5 の蒸気を30分フィルムに晒すことによって
行った。
【0038】実施例2 3lの4つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流冷却
器、温度計を取り付け、さらにマグネティックスターラ
ーバーを入れフラスコ内を充分窒素ガスで乾燥した。マ
グネシウム(97.2g:4.0グラム原子)を入れ充
分乾燥後、THFにLiAlH4 を加えた混合物を蒸留
することによって得られたTHF(1.5l)を入れ
た。これに1,2,4,5−テトラブロモベンゼン(3
93.7g,1.0mol)のTHF(500ml)溶
液を滴下し、50〜60℃で2時間撹拌を続けた。こう
して得られたグリニヤール(Grignard)反応試
薬にo−ジクロロベンゼン(294g,2.0mol)
とLiCuCl4 (41g)のTHF(400ml)溶
液を摘下し、還流下4時間撹拌を続けた。その反応生成
物を含む液からTHFを加熱除去した後、DMFに溶か
しシリカゲルカラムクロマトグラムにかけ、得られた生
成物をDMF/ヘキサン溶媒中で再結晶させ、精製物を
得た。
【0039】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:95.2%,H:4.2%(理論値は、
C:95.5%,H:4.5%) IR:3040〜3000cm-1(芳香族C−H) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:8.2〜8.4ppm(s,2H) 7.8〜7.6ppm(m,4H) 7.4〜7.1ppm(m,4H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=150,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
8)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物と同定
された。
【0040】この高分子化合物をDMFに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約5μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は3.9×10-5S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は86S/cmであっ
た。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0041】実施例3 500mlの4つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流
冷却器、温度計を取り付け、さらにマグネティックスタ
ーラーバーを入れフラスコ内を充分窒素ガスで乾燥し
た。マグネシウム(9.7g:0.4グラム原子)を入
れ充分乾燥後、THFにLiAlH4 を加えた混合物を
蒸留することによって得られたTHF(150ml)を
入れた。これに1,2,4,5−テトラブロモベンゼン
(39.4g,0.1mol)のTHF(50ml)溶
液を滴下し、50〜60℃で2時間撹拌を続けた。こう
して得られたグリニヤール(Grignard)反応試
薬に1,2ジクロロテトラメチルジシラン(38g,
0.2mol)とLiCuCl 4 (3.8g)のTHF
(40ml)溶液を摘下し、還流下4時間撹拌を続け
た。その反応生成物を含む液からTHFを加熱除去した
後、DMFに溶かしシリカゲルカラムクロマトグラムに
かけ、得られた生成物をDMF/ヘキサン溶媒中で再結
晶させ、精製物を得た。
【0042】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:55.2%,H:8.2%(理論値は、
C:54.8%,H:8.5%,Si:36.6%) IR:3040〜3000cm-1(芳香族C−H) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:7.8ppm(s,2H) 0.4〜0.0ppm(m,24H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=250,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
9)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物と同定
された(ただし、前記化学式(化9)に於いて、R,
R’がいずれもメチル基の場合である)。
【0043】この高分子化合物をDMFに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約4μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は6.7×10-3S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は92S/cmであっ
た。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0044】実施例4 1lの3つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流冷却
器、温度計を取り付け、さらにマグネティックスターラ
ーバーを入れフラスコ内を充分窒素ガスで乾燥した。
1,2,4,5−テトラメチルベンゼン(25.0g:
0.19mol)の四塩化炭素溶液(500ml)を入
れN2 ガス流入下、撹拌し還流温度まで加温した。還流
温度に達した後、水銀ランプを照射しながら臭素(80
ml,3.2mol)を静かに滴下した。滴下終了後ラ
ンプ照射をさらに3日続けた。白色沈澱をろ別した。
【0045】次にこの生成物60gを1lの3つ口フラ
スコ中N2 ガスを流入したモルフォリン(400ml,
4.6mol)に加え、3日間室温で撹拌した。沈澱物
をろ別し、氷水中で3時間撹拌した後、得られた沈澱物
を回収した。さらにこの生成物(5.2g)をビーカー
中沸騰した水(10ml)−濃塩酸(10ml)溶液中
で約20秒撹拌後、直ちにNa2 SO4 ・10H2
(25g,80mmol)を加えた。この溶液をろ過
し、酢酸エチルで抽出を行い、溶媒を除去することによ
って1,2,4,5−テトラフォルミルベンゼンを得
た。
【0046】次に充分に乾燥させた1lの三つ口フラス
コに、N2 ガス流入管、還流塔および温度計、マグネテ
ィックスターラーバーをセットし、1,2,4,5−テ
トラフォルミルベンゼン(38.0g,0.2mol)
と2,6−ジアミノピリジン(43.6g,0.4mo
l)のDMF溶液(500ml)を入れ、窒素雰囲気下
で、100℃12時間加熱、撹拌した。その反応生成物
を含む液からDMFを加熱を除去した後、再度DMFに
溶かしシリカゲルカラムクロマトにかけ、得られた生成
物をDMF/ヘキサンで再結晶させ、精製物を得た。
【0047】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:71.9%,H:3.5%,N:24.
5%(理論値は、C:71.4%,H:3.6%,N:
25.0%) IR:3200cm-1(−N=CH) 3040〜3000cm-1(芳香族C−H) 1630cm-1(C=N) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:9.2ppm(s,4H) 7.9ppm(s,2H) 7.5〜7.2ppm(m,6H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=400,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
10)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物と同
定された。
【0048】この高分子化合物をDMFに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約4.5μm のフィルムを作
成した。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定し
たところ、高分子膜のみの電導度は2.4×10-3S/
cm、AsF5 ドープ後の電導度は320S/cmであ
った。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0049】実施例5 1lの3つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流冷却器
および温度計を取り付け、さらにマグネティックスター
ラーバーを入れフラスコ内を充分に乾燥させた。その
後、テトラシアノエチレン(12.8g,0.1mo
l)と1,2−ジアミノテトラメチルジシラン(29.
7g,0.2mol)のN−メチルピロリドン(NM
P)溶液300mlをフラスコ内へ入れ、窒素雰囲気下
で、130℃12時間、180℃10時間、還流温度で
12時間加熱、撹拌した。反応終了後、NMP−アセト
ン溶媒を用いて再沈を行い精製物を得た。
【0050】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:43.4%,H:6.5%,N:21.
8%(理論値は、C:43.0%,H:6.7%,N:
21.5%,Si:28.8%) IR:(2200cm-1(窒素−炭素の三重結合)が消
滅) 1620cm-1(C=N) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:2.1ppm(s,2H) 0.2ppm(m,24H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=500,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
11)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物、つ
まり前記化学式(化5)でXがC=Cの場合と同定され
た(ただし(化11)と(化5)におけるR,R’がい
ずれもメチル基の場合である)。
【0051】この高分子化合物をNMPに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約4μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は5.5×10-3S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は240S/cmであっ
た。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0052】実施例6 1lの3つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流冷却器
および温度計を取り付け、さらにマグネティックスター
ラーバーを入れフラスコ内を充分に乾燥させた。その
後、1,2,4,5−テトラシアノベンゼン(17.8
g,0.1mol)と1,2−ジアミノテトラメチルジ
シラン(29.7g,0.2mol)のNMP溶液30
0mlをフラスコ内へ入れ、窒素雰囲気下で、130℃
12時間、180℃10時間、還流温度で12時間加
熱、撹拌した。反応終了後、NMP−アセトン溶媒を用
いて再沈を行い精製物を得た。尚、図1にこの反応過程
を化学反応式で示した。尚、図1で示した化学反応式
中、Meはメチル基を表す。
【0053】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:49.6%,H:5.9%,N:19.
5%(理論値は、C:49.1%,H:6.4%,N:
19.1%,Si:25.5%) IR:3040〜3000cm-1(芳香族C−H) (2200cm-1(窒素−炭素の三重結合)が消滅) 1620cm-1(C=N) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:7.4〜7.2ppm(s,2H) 2.1ppm(s,2H) 0.2ppm(m,24H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=450,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
5)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物化合物
で、Xが4置換ベンゼンの場合と同定された(ただし、
前記化学式(化5)に於いて、R,R’がいずれもメチ
ル基の場合である)。
【0054】この高分子化合物をNMPに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約4μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は1.5×10-3S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は190S/cmであっ
た。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0055】実施例7 1lの3つ口フラスコに、N2 ガス流入管、還流冷却器
および温度計を取り付け、さらにマグネティックスター
ラーバーを入れフラスコ内を充分に乾燥させた。その
後、実施例4で得られた1,2,4,5−テトラフォル
ミルベンゼン(19.0g,0.1mol)と1,2−
ジアミノテトラメチルジシラン(29.7g,0.2m
ol)のNMP溶液300mlをフラスコ内へ入れ、窒
素雰囲気下で、120℃で12時間撹拌した。反応終了
後、NMP−アセトン溶媒を用いて再沈を行い精製物を
得た。
【0056】この精製物の元素分析、赤外吸収スペクト
ル(IR)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)およびG
PCの測定結果は、下記の通りであった。 元素分析:C:52.3%,H:7.0%,N:13.
9%(理論値は、C:52.1%,H:7.3%,N:
13.5%,Si:27.1%) IR:3040〜3000cm-1(芳香族C−H) 1620cm-1(C=N) 1590、1480cm-1(C=C) NMR:7.4〜7.2ppm(s,2H) 4.1ppm(s,4H) 0.2ppm(m,24H) GPC:(DMF溶液、ポリエチレングリコール換
算)、Mw=550,000 以上の測定結果から、得られた精製物は前記化学式(化
6)で表わされる繰り返しからなる高分子化合物化と同
定された(ただし、前記化学式(化6)に於いて、R,
R’がいずれもメチル基の場合である)。
【0057】この高分子化合物をNMPに溶解させ、ガ
ラス基板上に塗布し、厚さ約4μmのフィルムを作成し
た。得られたフィルムの電導度を四端子法で測定したと
ころ、高分子膜のみの電導度は8.5×10-3S/c
m、AsF5 ドープ後の電導度は490S/cmであっ
た。尚、ドープは実施例1と同様の条件で行った。
【0058】
【発明の効果】本発明の大環状共役系高分子化合物は、
良好な導電性、安定性を有し、容易に製造が可能な導電
性高分子化合物を提供できる。
【0059】また、高分子主鎖が前記化学式(化5)ま
たは(化6)で表わされる環状構造を含む繰り返しから
なる本発明の好ましい態様とすることにより、より溶解
性の優れた導電性高分子化合物を提供できる。
【0060】また、本発明の大環状共役系高分子化合物
を主成分とし、ドープを含む高分子組成物に於いては、
より導電性の優れた高分子組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例6における反応過程を化学反応
式で示した図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山邊 時雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子主鎖が、7個以上の原子からなる
    共役系環状構造を含み、かつ隣合った環が共役性基の共
    有化または共役結合による連結からなる大環状共役系高
    分子化合物。
  2. 【請求項2】 共役系環状構造および前記共役系環の連
    結部の共役結合が、C−C不飽和結合、C−N不飽和結
    合、N−N不飽和結合、芳香族環または複素環およびそ
    れらの誘導体から選ばれる少なくとも一種のπ共役結
    合、ならびにSi−Siのσ共役結合、からなる群から
    選ばれた少なくとも一種の共役結合である請求項1記載
    の大環状共役系高分子化合物。
  3. 【請求項3】 高分子主鎖が下記化学式(化1)で表わ
    される環状構造を含む繰り返しからなる請求項1記載の
    大環状共役系高分子化合物。 【化1】 (但し、X,Yは、C−C不飽和結合基、C−N不飽和
    結合基、N−N不飽和結合基、Si−Si結合基、なら
    びに、芳香族環または複素環およびそれらの誘導体から
    選ばれる少なくとも一種の基、からなる群から選ばれた
    少なくとも一種の基を表す。α,β,γ、δ基は、H、
    炭素数1〜5の低級アルキル基、−NH 2 基、−NR2
    基(但しRは炭素数1〜5の低級アルキル基を表
    す。)、αとβとで>NH基または>NR基(但しRは
    炭素数1〜5の低級アルキル基を表す。)、γとδとで
    >NH基または>NR基(但しRは炭素数1〜5の低級
    アルキル基を表す。)からなる群から選ばれた少なくと
    も一種の基を表す。)
  4. 【請求項4】 高分子主鎖が下記化学式(化2)で表わ
    される環状構造を含む繰り返しからなる請求項1記載の
    大環状共役系高分子化合物。 【化2】 (但し、Xは、C−C不飽和結合基、C−N不飽和結合
    基、N−N不飽和結合基、ならびに、芳香族環または複
    素環およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも一種
    の基、からなる群から選ばれた少なくとも一種の基を表
    す。R,R’は、炭素数1〜8のアルキル基またはフェ
    ニル基を表す。)
  5. 【請求項5】 高分子主鎖が下記化学式(化3)で表わ
    される環状構造を含む繰り返しからなる請求項1記載の
    大環状共役系高分子化合物。 【化3】 (但し、R,R’は、炭素数1〜8のアルキル基または
    フェニル基を表す。)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の大環状
    共役系高分子化合物を主成分とし、ドープを含む大環状
    共役系高分子組成物。
  7. 【請求項7】 ドープがヨウ素イオン、フッ素イオン、
    臭素イオン、砒素イオンからなる群から選ばれた少なく
    とも1種のイオンを含むドープである請求項6に記載の
    大環状共役系高分子組成物。
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