JPH0612024B2 - 建築用パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 発明の対象 本発明は、主として外壁材として使用される建築用パネ
ルに関する。

従来技術 建物の外壁材として使用されるパネルは、耐火性、断熱
性及び遮音性に優れていることが要求される。更に、作
業性の面からはできるだけ軽量であることが望ましい。

このような要求を満足させるものとしては、オートクレ
ーブ処理した軽量気泡コンクリート板、即ち、一般にＡ
ＬＣ（Autoclaved Lightweight Concrete）板と略称さ
れるものがある。しかし、ＡＬＣ板はその性質上、目地
等の表面パターンが予め付けにくい。また、吸水性が大
であるから、セメントモルタル等が硬化不良を起こし、
タイル等の化粧材の下地には使用しにくいという欠点が
ある。

発明の目的 本発明は、耐火性、断熱性及び遮音性のいずれの面にお
いても良好で、かつ、施工性にも優れ、ＡＬＣ板にも代
わり得る軽量な建築用パネルを提供することを目的とす
る。

発明の構成 本発明は、金属枠体に発泡ガラスビーズ等の無機系軽量
骨材をセメントモルタルとともに充填し、かつ、この充
填層の表面を無機あるいは有機系の繊維ネットで被覆し
て補強し、更にその表面を化粧モルタルで被覆したこと
を特徴とするものである。

実施例 第１図には、本発明によって得られる外壁パネル（１）
の全体図を示している。長方形の金属枠体（２）の外側
壁に沿って凹溝（３）が形成されている。第２図におい
て、（４）は、上記金属枠体（２）に発泡ガラスビーズ
等の無機系軽量骨材（５）をセメントモルタルとともに
充填して形成したパネル本体である。この無機系軽量骨
材（５）としては、発泡ガラスビーズ、パーライト、あ
るいはクレー発泡体等が使用される。パーライトという
のは、真珠岩等の破砕片を1000℃程度に急熱して結晶水
を膨脹させて得られるものである。また、クレー発泡体
とは、アルミナ珪酸塩鉱物を化学的に処理し、かつ、気
泡構造としたビーズを無機結合材を用いて成型乾燥して
得られるものである。

（６）は、金属枠体（２）裏面側のフランジ部（2a）に
設けられた補強用の繊維ネットであり、パネル化した
後、鋸等によって切断しやすいようにビニロン等の有機
系繊維あるいはガラス繊維等の無機系繊維を素材とする
ものが使用される。これら繊維素材のうちでも特に引張
強度の大きいものが望ましい。（７）は、パネル（１）
裏面側を覆う化粧モルタルである。

（８）は、同じく金属枠体（２）表面側のフランジ部
（2b）に設けられた補強用の繊維ネットである。（９）
は、パネル（１）表面側を覆う化粧モルタルであり、目
地模様が付け易いようにやや厚手に形成されている。

製造工程 次に、このような構造をした外壁パネル（１）の製造工
程を順を追って説明する。

．成型用型枠（10）に空気混和材を混入させた気泡入
りモルタルを流し込んで表面をならす（第３図）。この
モルタルは表面側の化粧モルタル（９）となるものであ
る。

．前記金属枠体（２）を第２図と上下逆向にして、一
方のフランジ部（2b）に繊維ネット（８）を張り付けた
ものを、流し込んだモルタルがまだ固まらない間に、上
記型枠（10）に入れ、そのモルタルの上に載せる（第４
図）。この繊維ネット（６）としては、例えば、有機系
のビニロンネットが使用される。もちろんガラス繊維等
無機系のものを使用しても良く、ネット以外に不織布を
用いてもよい。

．ネット（８）の上に、無機系軽量骨材（５）をバイ
ンダーのセメントモルタルと予め練り合わせたものを充
填させる（第５図）。

この無機系軽量骨材（５）には、例えば第８図に示すよ
うに、発泡ガラスビースを直径８mm程度の大きさに成型
した大粒体（11）、同じく直径3.6mm程度の大きさに成
型した中粒体（12）及び発泡ガラスビースやパーライト
をそれ以下に破砕した小粒体（13）の大、中、小３種類
の大きさのものを使用する。もちろん、大、中、小とい
うのはあくまでも相対的なものであり、必ずしも球形で
あることを必要としない。そして、軽量化するために、
これら大、中、小の粒体（11）（12）（13）をできるだ
け密集させ、セメントモルタルの量をできるだけ少なく
する。

なお、発泡ガラスビーズを使用すれば、火災時にセメン
トとガラスの成分が反応して耐火性能の向上が期待でき
る。

．無機系軽量骨材（５）等からなるパネル本体（４）
の上から、金属枠体（２）のフランジ部（2a）にネット
（６）を再び張る。なお、軽量骨材（５）がネット
（６）の目を通れば、・の操作を逆にしてもよい。

．最後に、ネット（６）の上からセメントモルタルを
塗り、化粧モルタル（７）を形成する（第７図）。この
際、裏面側の化粧モルタル（７）は、軽量骨材（５）が
はがれない程度にできるだけ薄くしておく。そして、乾
燥したら型枠（10）から完成した外壁パネル（１）を取
り出す。

なお、第９図に示すように、上記の工程において、目
地パターン用の突出部（14）（14）…を設けたゴム型
（15）等を成型用型枠（10）の下に予め設置しておくこ
とにより、型枠（10）内に流し込んだモルタルが硬化す
る際に目地模様が同時に形成される。もたろん、ゴム型
（15）に凹欠部を設けてエンボス模様とすることもでき
る。

使用例 第１０図には、このようにして得られた外壁パネル
（１）を取り付けた状態の水平断面図を示している。図
において、（16）（16）は、Ｃチャンネル縦枠（17）
と、同じくＣチャンネル横枠（18）とからなる鉄骨軸組
であり、この鉄骨軸組（16）（16）の外側面に前記パネ
ル（１）（１）が当接している。（19）は、上記縦枠
（17）（17）間に挿し込まれた固定金具（20）を構成す
る支持ボルトである。該ボルト（19）先端に設けられた
押さえプレート（21）によって前記金属枠体（２）の凹
溝（３）の取付用段部（22）が係止されている。そし
て、支持ボルト（19）の他端側に設けられたもう１個の
押さえプレート（23）を、ナット（24）を締め付けるこ
とでもって上記縦枠（17）（17）に圧接して、前記押さ
えプレート（21）を手前側に引っ張ってパネル（１）
（１）を固定している。

効果 本発明は、以上の構成であり、金属枠体に無機系軽量骨
材をセメントモルタルとともに充填し、この充填層を、
無機あるいは有機系の繊維ネットで補強し、セメントモ
ルタルで被覆したことを特徴とするものであるから、発
泡ガラスビーズ等の無機系軽量骨材を使用することによ
り、軽量かつ耐火性、断熱性及び遮音性に優れたものを
得ることができ、補強材としてビニロンネットやガラス
繊維等の有機あるいは無機系の繊維素材のものを使用す
ることにより、耐引張性、耐衝撃性を備えたものが得ら
れる。

また、少なくとも枠体以外の部分については、そのよう
な繊維ネットを用いるから、ワイヤーメッシュと比較し
て、鋸やカッター等で容易に切断することができる加工
性に富んだものを得ることができる。すなわち、この部
分にワイヤーメッシュを用いると、パネルを横断方向に
切断するためには、全切断長さに渡って金属材を切断し
なければならず、切断作業に時間を要することになる
が、この発明では、金属の枠体部分のみ切断すればその
中間部分においては、上記のように簡単に切断できるた
め、それだけ切断作業を短時間で行なうことが出来るの
である。

さらには、湿式のセメントモルタルによって表面層が形
成されるから、目地等の表面パターンが成型と同時に形
成され、そのまま外壁材として使用できるのみならず、
タイル等の下地材としても使用できる利点がある。ま
た、軸組へ取り付けるためのフレームが成型時に一体化
されるという利点もある。

特に、本発明では、主材としての芯材に単なる断熱材で
はなく無機質軽量骨材とセメントモルタルとの混合材を
用いているから、単なる断熱材を用いたものに比較して
耐火性に優れたものが得られる。また、発泡コンクリー
トではなく、単純にセメントモルタルと無機質軽量骨材
を混合させるものであるから、製造が遥かに容易であ
る。

更に、その表面を繊維ネットで補強するが、その外側の
化粧モルタルはこの繊維ネットを通して上記主材に付着
するとともに、その表面のネットによって粗面が形成さ
れているで、この粗面の付着力によっても化粧モルタル
が剥離する恐れがないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例を示す全体斜視図、第２図
は、第１図のＡ−Ａ線一部断面図、第３図〜第７図は、
製造工程を示す斜視図、第８図は、本発明に係る無機系
軽量骨材の充填状態の説明図、第９図は、表面パターン
の形成方法を示す模式図、第１０図は、取付状態を示す
水平断面図である。 （１）……金属枠体、（４）……パネル本体、（５）…
…無機系軽量骨材、（６）（８）……繊維ネット、
（７）（９）……化粧モルタル。

フロントページの続き (72)発明者 畑 実 京都府京都市伏見区淀本町225 京阪コン クリート工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭58−181729（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭54−20256（ＪＰ，Ｙ２) 実公 昭58−50008（ＪＰ，Ｙ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】金属枠体に発泡ガラスビーズ等の無機系軽
   量骨材をセメントモルタルとともに充填し、かつ、この
   充填層の表面を無機あるいは有機系の繊維ネットで被覆
   して補強し、更にその表面を化粧モルタルで被覆したこ
   とを特徴とする建築用パネル。