JP3869252B2 - 軽量断熱瓦 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は軽量断熱瓦に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、従来の粘土瓦に比べて軽い軽量瓦としては、石綿板瓦、石綿セメント瓦、金属瓦、繊維入りセメント板瓦、樹脂瓦等があるが、いずれも薄く、重厚感が不足するものであった。これらの瓦は厚くすると重量が増し、軽量瓦としての目的が果たせない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この問題点に鑑み重厚感があり、断熱性に優れ且つ従来の粘土瓦に比べて軽い瓦を提供しようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、瓦であって、非透水層を含み、該非透水層の1の面が該瓦の表面を構成し、該非透水層の他の面に含気孔層が固着され、該含気孔層が、充填片群と、該充填片群を構成する充填片同士を結合する結合剤とを含み、前記充填片群が多孔材料から成る充填片を含む軽量断熱瓦であることにある。
【0005】
又、本発明の要旨とするところは、瓦であって、非透水層を含み、該非透水層の1の面が該瓦の表面を構成し、該非透水層の他の面に含気孔層が固着され、該含気孔層が、充填片群と、該充填片群を構成する充填片同士を結合する結合剤とを含み、前記結合剤が多孔質体から成る軽量断熱瓦であることにある。
【0006】
前記充填片群は、多孔質体から成る充填片を含み得る。
【0007】
前記軽量断熱瓦は、前記充填片同士の間に空隙が形成され得る。
【0008】
更に、本発明の要旨とするところは、非透水層を含む瓦であって、該非透水層の1の面が該瓦の表面を構成し、該非透水層の他の面に多孔質体を含む層が固着され、前記他の面に複数の突起が設けられた軽量断熱瓦であることにある。
【0009】
前記軽量断熱瓦は、前記他の面に、複数の突起が設けられ得る。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る態様を図面に基づいて詳しく説明する。図1は本発明の軽量断熱瓦2の形状を示す要部斜視模式図であり、軽量断熱瓦2は表面3に非透水層4を備え、非透水層4の裏面5に、含気孔層10を備える。非透水層4は通常の粘土瓦と同一の材質で、通常の粘土瓦の厚さを薄くした形状のものから成る層である。このものは、くん焼、施釉焼成、塩焼のいずれかの方法により焼成されており、非透水層4は水を通過させない。
【0011】
図2(a)は軽量断熱瓦2のA−A´方向の断面模式図であり、図2(b)はB−B´方向の断面模式図である。図2に示すように含気孔層10は、微細な塊状物から成る多数の充填片6と充填片6同士を結合する結合剤8とで構成される。充填片6は、軽量気泡コンクリートパネル(ALC)のような、多数の微細な気泡を含有するコンクリート材が粉砕された粒体物から成る。結合剤8はセメントが硬化されて成る。非透水層4の厚さと、含気孔層10の厚さを会わせた軽量断熱瓦2の厚さTは通常の粘土瓦の厚さ程度であり、若しくはそれより厚くすることも出来る。非透水層4の厚さは、Tの1/2〜1/4程度である。それより薄くすることも出来る。
【0012】
充填片6が多数の微細な気泡を含有するコンクリート材から成るため、このような構成の軽量断熱瓦2は厚さTが通常の粘土瓦の厚さ程度、若しくはそれ以上であっても、通常の粘土瓦より軽量である。且つ、優れた断熱性を有する。
【0013】
充填片6は、軽量気泡コンクリートパネル(ALC)のような多数の微細な気泡を含有する多孔材料のコンクリート材を粉砕機で粉砕して得ることが出来る。軽量気泡コンクリートパネル(ALC)の廃材を粉砕して得ることが、廃棄物の再利用になり好ましい。
【0014】
本発明の軽量断熱瓦を得るには、非透水層4を構成する薄い瓦状の焼き物を用意し、又、気泡を含有するコンクリート材を粉砕機で粉砕して得た充填片6から成る粉砕物と、結合剤8としてのモルタルとを混合し、ペースト状物をつくり、その焼き物の裏面に、そのペースト状物を塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後硬化させて軽量断熱瓦と成す。
【0015】
又、非透水層4を構成する薄い瓦状の焼き物を用意し、気泡を含有するコンクリート材を粉砕機で粉砕して得た充填片6から成る粉砕物と、結合剤8としての粘土等の坏土と適量の水とを混合し、ペースト状物をつくり、そのペースト状物を薄い瓦状の焼き物の裏面に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後焼成により硬化させて軽量断熱瓦と成すこともできる。
【0016】
更に、非透水層4を構成する薄い瓦状の焼き物を用意し、気泡を含有するコンクリート材を粉砕機で粉砕して得た充填片6から成る粉砕物と、結合剤8としての樹脂接着剤とを混合し、ペースト状物をつくり、そのペースト状物を薄い瓦状の焼き物の裏面に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後その接着剤を硬化させて軽量断熱瓦と成すこともできる。
【0017】
充填片6として、発泡ポリスチレンのような多孔材料から成る発泡樹脂の粉砕物を用いることが出来る。この場合、結合剤8が、硬化時にその発泡樹脂を溶解もしくは分解させない、樹脂接着剤やモルタルのような結合剤を用いる。
【0018】
本発明の他の態様においては、含気孔層10が、図3の部分拡大断面模式図に示すように、充填片6a同士の間に空隙から成る気孔20を含む。充填片6aとしては、砂、細かい砕石、コンクリートの粉砕物、ALCの粉砕物、廃プラスチックの粉砕物等の粒状塊状物を用いることが出来る。
【0019】
本発明の図3に示す態様の軽量断熱瓦を得るには、結合剤8として樹脂接着剤を用い、樹脂接着剤と充填片6aとを容積比で1:1.2から1:10の比率で混合して混合物をつくり、その混合物を薄い瓦状の焼き物の裏面に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後その接着剤を硬化させて軽量断熱瓦と成すことができる。ここで、充填片6aの容積は、充填片6aを構成する微細な塊状物の集合体のみかけの容積であり、計量用の枡で計る。又、樹脂接着剤の容積は溶剤を除く固形分の容積である。
【0020】
充填片6aが無機物から成る場合は、充填片6aと、結合剤8として、ALCの原料素材(粉砕された桂石・セメント・生石灰・発泡剤(アルミ粉末)・安定剤・水)とを混合し、ペースト状物をつくり、そのペースト状物をペースト状物をつくり、そのペースト状物を非透水層4を構成する薄い瓦状の焼き物に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後オートクレーブによる焼成により硬化させて軽量断熱瓦と成すことができる。この場合も結合剤8と充填片6aとを容積比で1:1.2から1:10の比率で混合する。
【0021】
充填片6aと、結合剤8をこのような比率で混合し成形すると、充填片6a同士の間に存在する多数の微細な間隙が結合剤8で全ては埋め尽くされずに空隙として残り、結合剤8の硬化後も空隙として残る。この空隙は、充填片6aの立体障害で生じているものであり、硬化前に充填片6aと結合剤8との混合物を成形のために加圧しても潰れずに安定して成形体の中に万遍なく且つ大きな容積を占めて存在する。この加圧は、充填片6a同士の結合剤による結合力を強化するために行われる。従って、この態様により、空隙から成る気孔が成形体の中に大きな容積を占めて万遍なく分布し、且つ強度の高い成形体から成る含気孔層を有する軽量断熱瓦を容易に安定して製造することが出来る。又、上記の充填片6aと、結合剤8との比率を1:2から1:10とすることにより、従来の発泡コンクリートやALCより、見かけ比重の小さい成形体を得ることができ、この成形体から成る含気孔層を有する軽量断熱瓦を容易に安定して製造することが出来る。
【0022】
更に、充填片6aが無機物から成る場合は、充填片6aと粘土等の坏土と、樹脂ビーズのような樹脂粉末と適量の水とを混合しそのペースト状物を作り、薄い瓦状の焼き物の裏面に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後焼成により硬化させて軽量断熱瓦と成すこともできる。この場合、焼成時に樹脂粉末が焼失もしくは分解してあとが空洞となり、この空洞が空隙から成る気孔20となる。
【0023】
あるいは、非透水層4を構成する薄い瓦状の焼き物を用意し、気泡を含有するコンクリート材を粉砕機で粉砕して得た充填片6から成る粉砕物と、結合剤8としての焼成前のALCの原料素材(粉砕された桂石・セメント・生石灰・発泡剤(アルミ粉末)・安定剤・水)とを混合し、ペースト状物をつくり、そのペースト状物を薄い瓦状の焼き物の裏面に塗布して軽量断熱瓦2の形状に成形し、その後オートクレーブによる焼成により硬化させて軽量断熱瓦と成すこともできる。
【0024】
このようにして得られる軽量断熱瓦は、結合剤8としてのALCの見かけ比重を通常のALCより小さくすることが出来る。通常は見かけ比重を小さくするとALCの強度が低下して好ましくないが、本発明においては、充填片6が混合されており、結合剤8としてのALCの見かけ比重を小さくしても成形体としては必要な強度が維持される。従って、この場合の軽量断熱瓦は、従来のALCを含気孔層10として用いた瓦に比べて更に軽量化出来る。このような態様においては、結合剤8が多孔質体から成る。
【0025】
本発明の軽量断熱瓦においては、図4に示すように、非透水層4aの裏側に、柱状の突起14を複数個設けることがことが好ましい。これにより、含気孔層10aと非透水層4aとの接着力が補強される。突起14を複数個設けることにより、含気孔層10aと非透水層4aとの接着力が全面にわたり強化される。突起14の高さは、含気孔層10の厚さより小さい値であってもよいが、含気孔層10の厚さとほぼ同じであることが接着力の補強のうえで更に好ましい。
【0026】
又、本発明の軽量断熱瓦においては、突起14の高さが、含気孔層10の厚さとほぼ同じである場合は、含気孔層10aが、通常の多孔質体から成っていてもよい。この多孔質体は圧縮強度が低いものであってもよい。更に、通常の多孔質体であって見かけ比重を小さくして圧縮強度が低くなったものでも用いることが出来る。これは、軽量断熱瓦が外部の物体により圧縮力を受けるとき、突起14がその物体に当接してこれを衝止し、含気孔層10aが圧縮される力を弱めることが出来るからである。従って、この態様では、多孔質体のかさを上げて、軽量断熱瓦の重量を更に軽量化出来る。この態様に用いられる多孔質体としては、発泡スチロール、発泡コンクリート、ALC等が挙げられる。
【0027】
図5の断面模式図に示すように、突起14bの先端部が軽量断熱瓦の面方向に張り出していることが、非透水層4bと含気孔層10bとの接着力の補強に更に好ましい。突起14bは、先端部が軽量断熱瓦の面方向に少なくとも1方向に張り出していることが好ましい。又、この張り出しは、突起14bの先端から根元の中間部に設けられてもよい。突起14bは、柱状であってもよい。板状であってもよい。
【0028】
更に、図6に示すように、非透水層4cの裏側の面が微細な突起14cの集合から成る粗面であることも、非透水層4cと含気孔層10cとの接着力の補強に有効である。微細な突起14cの高さは平均0.5mm以上であることが接着力の補強のうえで好ましい。
【0029】
本発明の軽量断熱瓦においては、非透水層4、4a、4b、4cは、焼きものから成ってもよいが、石綿板瓦、石綿セメント瓦、金属瓦、繊維入りセメント板瓦、樹脂瓦等に使用される素材から成るものであってもよい。又、本発明の軽量断熱瓦の形状は、各種の、和形がわら、洋形がわら及びそれらが変形されたもののうちから用途に応じて選択された形状にすることが出来る。
【0030】
本発明の軽量断熱瓦は、含気孔層の、非透水層が設けられた面と反対側の面に、含気孔層の少なくとも一部を覆う被覆層が設けられていてもよい。
【0031】
以上本発明の態様を説明したが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の知識に基づき種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものであり、これらの態様はいずれも本発明の範囲に属するものである。
【0032】
【発明の効果】
本発明の軽量断熱瓦は重厚感があり、且つ従来の粘土瓦に比べて軽量であり断熱性に優れる。
【0033】
本発明の軽量断熱瓦は軽量気泡コンクリートパネル(ALC)等から成る建築廃材のリサイクルに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軽量断熱瓦の態様を示す要部斜視模式図である。
【図2】図2(a)は図1の軽量断熱瓦のA−A´方向の断面模式図であり、図2(b)はB−B´方向の断面模式図である。
【図3】含気孔層の部分拡大断面模式図である。
【図4】非透水層の裏側に設けられた突起の形状を示す断面模式図である。
【図5】非透水層の裏側に設けられた突起の形状の他の態様を示す断面模式図である。
【図6】非透水層の裏側に設けられた突起の形状の更に他の態様を示す断面模式図である。
【符号の説明】
2:軽量断熱瓦
4、4a:非透水層
6、6a:充填片
8:結合剤
10:含気孔層
14、14b、14c:突起
20:気孔(空隙)
Claims (5)
- 瓦状の焼き物の裏面に、多孔材料から成る充填片と結合剤とを含む混合物を塗布して成形し、該混合物を焼成して成る軽量断熱瓦。
- 瓦状の焼き物の裏面に、充填片と結合剤とを含む混合物を塗布して成形し、該混合物を焼成して成り、硬化後の結合剤が多孔質体から成る軽量断熱瓦。
- 前記充填片が多孔材料から成る請求項2に記載の軽量断熱瓦。
- 前記充填片同士の間に空隙が形成された請求項1から3のいずれかに記載の軽量断熱瓦。
- 前記裏面に、複数の突起が設けられた請求項1から4のいずれかに記載の軽量断熱瓦。
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