JPH06115418A - 駆動・制動力配分制御装置 - Google Patents
駆動・制動力配分制御装置Info
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- JPH06115418A JPH06115418A JP28940492A JP28940492A JPH06115418A JP H06115418 A JPH06115418 A JP H06115418A JP 28940492 A JP28940492 A JP 28940492A JP 28940492 A JP28940492 A JP 28940492A JP H06115418 A JPH06115418 A JP H06115418A
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Abstract
差が基準値より大きくなったときに制御を開始する駆動
・制動力配分制御装置において、その基準値を車速に応
じて変化させることにより、無駄な配分制御を省略して
ブレーキ等にかかる負担を軽減する。 【構成】 左右・前後配分制御式の制動力配分制御装置
を、目標ヨーレイトγ* と実ヨーレイトγとの差と制御
ゲインKとの積として制動力左右差ΔBを演算し(S1
〜7)、基準値Hを車速Vが小さいほど大きくなるよう
に決定し(S9,10)、制動力左右差ΔBの絶対値が
基準値Hより大きい場合には配分制御を実行し(S1
1,14〜20)、そうでない場合には配分制御を実行
しない(S11,12)ものとする。
Description
分制御装置に関するものであり、特にそれの無駄な作動
を省略する技術に関するものである。
することが既に提案されている。この装置は一般に、複
数の車輪を備えた車両に設けられ、駆動力と制動力との
少なくとも一方の各車輪への配分を制御するものであっ
て、(a) 車両の実旋回状態量を取得する実旋回状態量取
得手段と、(b) 取得される実旋回状態量が目標旋回状態
量に追従するように配分を制御する配分制御手段とを含
むように構成され、車両の実際の挙動が常にドライバの
意思(すなわち、操縦量)に合致するように車体に発生
するヨーイングモーメントを制御する。
466号公報に記載されている。これは、前記配分制御
手段が、取得された実旋回状態量の目標旋回状態量から
の差が0でない基準値より大きくなったときに制動力配
分制御を開始し、取得される実旋回状態量が目標旋回状
態量に追従するように制動力の配分を制御する制動力配
分制御装置である。
ては、旋回状態量の実際値と目標値との差が基準値より
大きくならない限り配分制御が開始されないため、実旋
回状態量取得手段の取得誤差等により実旋回状態量に多
少の誤差が発生した程度では、配分制御が開始されず、
不要な配分制御が回避される。
装置については次のような事実があることが判明した。
すなわち、この従来装置においては、車速の大小を問わ
ず基準値が不変とされていたが、車速が小さい場合には
大きい場合に比較して、たとえ車両の挙動が不安定とな
ってもドライバにより簡単に修正することができるから
配分制御の必要性が高くなく、したがって、上記基準値
を車速に応じて可変とし、かつ、車速が小さい場合に大
きい場合より大きくすれば、本当に必要な場合に限って
配分制御が実行され、無駄な配分制御が省略されるとい
う事実が判明したのである。
つ配分制御の必要性が低いほど制御開始条件を厳しくす
れば無駄な配分制御を一層省略することができるという
事実が判明したのであり、この事実に基づき、本発明は
無駄な配分制御を一層省略することを課題としてなされ
たものである。
に本発明は、駆動・制動力配分制御装置を図1に示すよ
うに、(a) 車両の実旋回状態量を取得する実旋回状態量
取得手段1と、(b) 取得された実旋回状態量の目標旋回
状態量からの差が基準値より大きくなったときに駆動・
制動力配分制御を開始し、実旋回状態量が目標旋回状態
量に追従するように配分を制御する配分制御手段2と、
(c) 前記基準値を車速が小さい場合に大きい場合より大
きくなるように決定する制御開始基準値決定手段3とを
含むものとしたことを特徴とする。
一態様は、実旋回状態量の目標旋回状態量からの差が基
準値より大きくなったときに駆動・制動力配分制御を開
始して、実旋回状態量の目標旋回状態量からの差が基準
値以下となったときにその駆動・制動力配分制御を終了
するものとすることができる。すなわち、実旋回状態量
の目標旋回状態量からの差が基準値より大きい期間に限
って駆動・制動力配分制御を実行するものとすることが
できるのである(ただし、制御開始判定用の基準値と制
御終了判定用の基準値とは互いに異ならせることもでき
る)。また、別の態様は、実旋回状態量の目標旋回状態
量からの差が基準値より大きくなったときに駆動・制動
力配分制御を開始するが、実旋回状態量の目標旋回状態
量からの差が0となるまでその駆動・制動力配分制御を
終了しないものとすることもできる。
は、制御開始基準値決定手段3により、基準値が車速が
小さい場合に大きい場合より大きくなるように決定され
るから、車速が小さい場合に大きい場合より、配分制御
が簡単には開始されなくなり、本当に必要な場合に限っ
て配分制御が開始されることとなる。
要な場合に限って配分制御が開始されることとなるた
め、駆動・制動力配分制御装置自体にかかる負担のみな
らず、その駆動・制動力制御装置が配分制御のために使
用する装置(例えば、センタデフクラッチ,ブレーキ
等)にかかる負担も軽減されるという効果が得られる。
御装置を図面に基づいて詳細に説明する。
右にそれぞれ配置された4輪車両に設けられ、制動力の
左右・前後配分を制御するものである。この制動力配分
制御装置は図2に示す電気制御式ブレーキシステムに設
けられている。このブレーキシステムは同図に示すよう
に、マスタシリンダ10および電気制御液圧源12が2
位置弁14を介して4個の車輪FR,FL,RR,RL
の各々のブレーキのホイールシリンダ20に接続される
ことによって構成されている。2位置弁14によりホイ
ールシリンダ20の液圧源としてマスタシリンダ10と
電気制御液圧源12とのいずれかが択一可能とされてい
るのである。
に直列に並んだタンデム型であり、それら加圧室にブレ
ーキペダル24の踏力Fに応じた高さの液圧を機械的に
発生させる。そして、一方の加圧室は左右前輪FL,F
Rのホイールシリンダ20に接続され、他方の加圧室は
左右後輪RL,RRのホイールシリンダ20に接続され
ている。
0,リザーバ32から作動液を汲み上げてアキュムレー
タ30に蓄えさせるポンプ34,励磁電流に比例した高
さに液圧を制御するリニア液圧制御弁40等を主体とし
て構成されており、アキュムレータ30に蓄積された高
い液圧をリニア液圧制御弁40により適当な高さに減圧
して出力する。リニア液圧制御弁40は、スプールに互
いに逆向きに作用する磁気力と液圧とをスプール自身に
よってバランスさせることにより液圧の高さを磁気力に
対してリニアに変化させるものである。このリニア液圧
制御弁40は各ホイールシリンダ20について個々に設
けられて、各ホイールシリンダ20のブレーキ圧を互い
に独立して制御する。
0について個々に設けられている。2位置弁14は、非
通電状態では、マスタシリンダ10をホイールシリンダ
20に連通させるとともに、リニア液圧制御弁40をホ
イールシリンダ20から遮断する位置にあるが、通電状
態では、リニア液圧制御弁40をホイールシリンダ20
に連通させるとともに、マスタシリンダ10をホイール
シリンダ20から遮断する位置に切り換えられる方向切
換弁である。
弁14は、図3に示されているように、駆動回路50,
52を介してECU(Electronic Controlled Unit)6
0の出力側に接続されている。一方、このECU60の
入力側には、踏力センサ70,ヨーレイトセンサ72,
車速センサ74,操舵角センサ76,前輪荷重センサ7
8,後輪荷重センサ80,圧力センサ86等が接続され
ている。以下、それら各センサを簡単に説明する。
踏力Fを検出するものである。ヨーレイトセンサ72
は、車体に実際に発生しているヨーレイト、すなわち実
ヨーレイトγを検出するものであって、左回りのヨーレ
イトを正、右回りのヨーレイトを負として検出するもの
である。車速センサ74は、車両の走行速度である車速
Vを検出するものである。操舵角センサ76は、ステア
リングホイールの操舵角θを検出するものである。前輪
荷重センサ78および後輪荷重センサ80はそれぞれ、
左・右前輪および左・右後輪にそれぞれ作用する接地荷
重WFL,WFR,WRL,WRRを検出するものである。圧力
センサ86は、各ホイールシリンダ20について個々に
設けられていて、それのブレーキ圧Pを検出するもので
ある。
を含むコンピュータを主体として構成されており、入力
された各種信号に基づき、予め記憶させられたプログラ
ムを実行することにより、電気制御液圧源12が正常で
あるか否かを逐次判定し、正常である場合には、踏力−
ブレーキ圧制御を実行するとともに、車両制動時である
か否かを問わず左右・前後配分制御を実行する。
レーキペダル24の踏力Fに見合った大きさの車体減速
度を実現するのに適当な全制動力BTOT を想定し、その
全制動力BTOT が各輪に、接地荷重WFL,WFR,WRL,
WRRの比率に従って配分されるように、リニア液圧制御
弁40を介してブレーキ圧を制御することである。すな
わち、左前輪の基準各輪制動力BFL0 は、 (WFL/(WFL+WFR+WRL+WRR))・BTOT とされ、右前輪の基準各輪制動力BFR0 は、 (WFR/(WFL+WFR+WRL+WRR))・BTOT とされ、左後輪の基準各輪制動力BRL0 は、 (WRL/(WFL+WFR+WRL+WRR))・BTOT とされ、右後輪の基準各輪制動力BRR0 は、 (WRR/(WFL+WFR+WRL+WRR))・BTOT とされるのである。
配分制御と前後配分制御とが一緒に実行され、かつ、そ
れらが上記踏力−ブレーキ圧制御と同時に実行される制
御であって、概略的に説明すれば、車体の実ヨーレイト
γを検出し、車速Vと操舵角θとから車体の目標ヨーレ
イトγ* を決定し、踏力−ブレーキ圧制御における基準
各輪制動力B0 を基準にして、実ヨーレイトγが目標ヨ
ーレイトγ* に追従するように制動力左右・前後差(こ
れが本発明における「配分」の一態様である)を制御す
るものである。すなわち、この左右・前後配分制御は、
図4に示されているように、実ヨーレイトγの操舵応答
特性を予め設定した仮想モデル、すなわち規範モデルに
実際の車両を追従させて一致させる制御方式により、実
ヨーレイトγを規範モデルの出力である目標ヨーレイト
γ* に追従させて左右・前後配分を制御するヨーレイト
のモデル追従制御なのであり、車両制動時であるか否か
を問わず、車両の実際のステア特性がニュートラルに近
くなって車両の操縦安定性が確保されるように制動力左
右・前後差を制御するのである。この制御の詳細につい
ては後述する。
場合には、2位置弁14によりマスタシリンダ20から
の作動液の排出、すなわちブレーキペダル24の変位が
阻止されるため、ブレーキ操作感がかなり硬いものとな
る。そのため、電気制御液圧源12が有効とされた場合
でも、マスタシリンダ10が有効とされた場合とほぼ同
じようなブレーキ操作感が得られるようにするために、
図2に示されているように、マスタシリンダ10の加圧
室にノーマルクローズド型の電磁開閉弁である2位置弁
90を介してストロークシミュレータ92が接続されて
いる。電気制御液圧源12が有効とされている間、2位
置弁90が通電されて開状態に保たれることにより、マ
スタシリンダ10から排出された作動液が圧力下に蓄積
され、これにより、ブレーキペダル24の変位が擬似的
に実現されるのである。
ではない場合には、ECU60は2位置弁14を非通電
状態としてマスタシリンダ10を有効とし、ブレーキペ
ダル24の操作に応じてホイールシリンダ20のブレー
キ圧が機械的に変化させられる状態とする。
詳細に説明する。
キ圧制御に係る基準各輪制動力B0を基準にして(すな
わち、前記全制動力BTOT がほぼ維持されるように)左
右配分制御に係る制動力左右差ΔBが演算される。この
制動力左右差ΔBは、 K・(γ* −γ) として演算される。ここで「K」は制御ゲインであっ
て、車速Vが増加するにつれて増加するとともに、操舵
角θの絶対値が増加するにつれて減少するゲインであ
る。
増加するように、すなわち、車速Vが小さい場合に大き
い場合より、制動力左右差ΔBのヨーレイト偏差Δγ
(=γ * −γ)に対する変化が敏感となるように決定す
るのは、車速Vが小さい場合には大きい場合より、ドラ
イバは簡単に車両の挙動を修正する操縦を行うことがで
きるから配分制御を実行する必要性が高くないからであ
る。また、制御ゲインKを操舵角θの絶対値が増加する
につれて減少するように決定するのは、ステアリングホ
イールが中立位置近傍にある状態ではドライバはヨーレ
イト偏差Δγの発生に敏感であるのに対し、中立位置か
ら外れた位置にある状態では敏感ではなく、したがっ
て、操舵角θの絶対値が大きい場合には小さい場合より
配分制御を実行する必要性が高くないからである。この
ような特性で制御ゲインKを決定することにより、無駄
な配分制御が省略され、それに伴って無駄なブレーキ作
動も省略され、その結果、ブレーキにかかる負担(例え
ば、摩耗量)が軽減されるのである。
Kが上記のような特性で取得されるようにするために、
具体的に、制御ゲインKが部分制御ゲインK1 とK2 と
の和として演算され、かつ、部分制御ゲインK1 は車速
Vに応じて図5にグラフで表されているように変化する
可変値とされ、一方、部分制御ゲインK2 は操舵角θに
応じて図6にグラフで表されているように変化する可変
値とされている。なお、制御ゲインKの決定手法はその
他の手法を採用することができ、例えば、車速Vと操舵
角θと制御ゲインKとの関係をマップ,関数式等の形態
で予め記憶させておき、それを用いて決定する手法を採
用することもできる。
れたならば、その制動力左右差ΔBが前輪と後輪とに、
前後輪間の車輪荷重配分に応じて配分される。前記踏力
−ブレーキ圧制御において全制動力BTOT が前後輪に配
分されるのと同様に制動力左右差ΔBが配分されるので
ある。ただし、本実施例においては、左右輪のいずれか
一方のブレーキ圧Pを増加させることによって車体の向
きを修正するためのヨーイングモーメントを発生させる
ようになっていて、具体的には、車体の右回りのヨーイ
ングモーメントを増加させる必要がある場合には、右前
輪と右後輪との双方について制動力を増加させ、逆に、
車体の左回りのヨーイングモーメントを増加させる必要
がある場合には、左前輪と左後輪との双方について制動
力を増加させるように設計されている。
は、実ヨーレイトγが目標ヨーレイトγ* 以上であるた
めに(ヨーレイトは左回りが正)、目標ヨーレイトγ*
から実ヨーレイトγを引いた値であるヨーレイト偏差Δ
γが0以下である場合には、右回りのヨーイングモーメ
ントを増加させるべく、右前輪の最終各輪制動力B
FRは、 BFR0 +((WFR/(WFR+WRR))・|ΔB| となり、右後輪の最終各輪制動力BRRは、 BRR0 +((WRR/(WFR+WRR))・|ΔB| となり、左前輪の最終各輪制動力BFLは、 BFL0 となり、左後輪の最終各輪制動力BRLは、 BRL0 となる。
レイトγ* より小さいためにヨーレイト偏差Δγが0よ
り大きい場合には、左回りのヨーイングモーメントを増
加させるべく、右前輪の最終各輪制動力BFRは、 BFR0 となり、右後輪の最終各輪制動力BRRは、 BRR0 となり、左前輪の最終各輪制動力BFLは、 BFL0 +((WFL/(WFL+WRL))・ΔB となり、左後輪の最終各輪制動力BRLは、 BRL0 +((WRL/(WFL+WRL))・ΔB となる。
に左右配分制御が実行されると、最終各輪制動力Bの和
が踏力−ブレーキ圧制御における全制動力BTOT より制
動力左右差ΔBだけ増加することになる。すなわち、本
実施例においては、左右配分制御の影響が踏力−ブレー
キ圧制御に及ぶことになるが、この程度の影響は車両制
動にとって問題にはならないと考えられる。ただし、左
右配分制御の影響が踏力−ブレーキ圧制御に全く及ばな
いようにして本発明を実施することができるのはもちろ
んである。
旋回特性値ΔγC が用いられている。旋回特性値ΔγC
とは、実ヨーレイトγから目標ヨーレイトγ* を差し引
いた値に実ヨーレイトγを掛け算した値であって、次の
ような特性を有する。すなわち、車両がオーバステア特
性を示す場合には符号が正となり、アンダステア特性を
示す場合には負となり、かつ、オーバステア特性または
アンダステア特性が強いほどその絶対値が大きくなると
いう特性を有するのである。しかも、この旋回特性値Δ
γC は、車両の旋回方向が左であるか右であるかによっ
ては影響を受けない。
両がオーバステア特性を示す場合、すなわち旋回特性値
Δγc が正である場合には、前輪制動力が増加させられ
て前輪横力が減少させられる一方、後輪制動力が減少さ
せられて後輪横力が増加させられ、これにより、オーバ
ステア特性を抑制する向きのヨーイングモーメントが増
加させられる。これに対して、車両がアンダステア特性
を示す場合、すなわち旋回特性値Δγc が負である場合
には、前輪制動力が減少させられて前輪横力が増加させ
られる一方、後輪制動力が増加させられて後輪横力が減
少させられ、これにより、アンダステア特性を抑制する
向きのヨーイングモーメントが増加させられる。
と後輪制動力とは互いに逆向きに、かつ互いに等しい量
Δbずつ増減させられる。また、この増減量Δbは旋回
特性値ΔγC の絶対値が増加するにつれて増加するよう
に決定され、その結果、前後配分制御に基づくヨーイン
グモーメントが旋回特性値ΔγC の絶対値が増加するに
つれて増加させられることになる。
性を示すときには正の値を取り、アンダステア特性を示
すときには負の値を取るという特性を有する。したがっ
て、この前後配分制御においては、前輪制動力について
は、左右配分制御に係る各輪制動力とΔbとの和として
演算され、後輪制動力については、左右配分制御に係る
各輪制動力からΔbを差し引いた値として演算される。
右差ΔBの絶対値と係数Rとの積として演算され、か
つ、係数Rは、図7にグラフで表されているように、車
両がニュートラルステア特性を示す場合には「0」とな
り、オーバステア特性(図において「OS」で表す)を
示す場合には「0より大きい値」となり、アンダステア
特性(図において「US」で表す)を示す場合には「0
より小さい値」となる可変値とされている。その結果、
増減量Δbが前記のような特性で取得されることにな
る。
は、最終各輪制動力Bが次のように決定されることにな
る。すなわち、前記ヨーレイト偏差Δγが0以下である
場合(すなわち、制動力左右差ΔBが0以下である場
合)には、右前輪の最終各輪制動力BFRは、 BFR0 +((WFR/(WFR+WRR))+R)・|ΔB| となり、右後輪の最終各輪制動力BRRは、 BRR0 +((WRR/(WFR+WRR))−R)・|ΔB| となり、左前輪の最終各輪制動力BFLは、 BFL0 となり、左後輪の最終各輪制動力BRLは、 BRL0 となるように決定されるのである。
場合(すなわち、制動力左右差ΔBが0より大きい場
合)には、右前輪の最終各輪制動力BFRは、 BFR0 となり、右後輪の最終各輪制動力BRRは、 BRR0 となり、左前輪の最終各輪制動力BFLは、 BFL0 +((WFL/(WFL+WRL))+R)・ΔB となり、左後輪の最終各輪制動力BRLは、 BRL0 +((WRL/(WFL+WRL))−R)・ΔB となるように決定されるのである。
差ΔBの絶対値が0でない基準値Hを超えない限り、左
右・前後配分制御は実行されず、踏力−ブレーキ圧制御
のみが実行されるようになっている。しかも、その基準
値Hは車速Vが増加するにつれて減少するとともに、操
舵角θの絶対値が増加するようにつれて増加するように
決定される。前述のように、車速Vが小さい場合には大
きい場合より配分制御の必要性が高くなく、また、操舵
角θの絶対値が大きい場合には小さい場合より配分制御
の必要性が高くないからである。
上記のような特性で取得されるようにするために、具体
的に、基準値Hが部分基準値H1 とH2 との和として演
算され、かつ、部分基準値H1 は車速Vに応じて図8に
グラフで表されているように変化する可変値とされ、一
方、部分基準値H2 は操舵角θに応じて図9にグラフで
表されているように変化する可変値とされている。な
お、基準値Hの決定手法はその他の手法を採用すること
ができ、例えば、車速Vと操舵角θと基準値Hとの関係
をマップ,関数式等の形態で予め記憶させておき、それ
を用いて決定する手法を採用することもできる。
差ΔBの絶対値が基準値Hを超えたため左右・前後配分
制御が開始される場合には、その制動力左右差ΔBの値
をそのまま用いて制御が行われるのではなく、その制動
力左右差ΔBから基準値Hを差し引いた値を用いて制御
が行われるようになっている。基準値Hの設定により車
両の挙動が急変することを抑制するための一対策が講じ
られているのである。なお、制御の初期応答性向上を優
先させるためには、このような対策を講じない方が望ま
しい。
前後配分制御について個々に説明するとともに、それら
制御相互の関係についても説明したが、次に、それら踏
力−ブレーキ圧制御および左右・前後配分制御を実行す
るためのルーチンであって予めコンピュータのROMに
記憶させられているものを図10のフローチャートに基
づいて説明する。
う。他のステップについても同じとする)において、各
種センサから踏力F,実ヨーレイトγ,車速V,操舵角
θ,車輪荷重WFR,WFL,WRR,WRLが取り込まれる。
次に、S2において、踏力Fに応じて、踏力−ブレーキ
圧制御に係る全制動力BTOT が決定される。その後、S
3において、車輪荷重WFR,WFL,WRR,WRLに基づく
車輪荷重配分に応じて、踏力−ブレーキ圧制御に係る基
準各輪制動力BFR0 ,BFL0 ,BRR0 ,BRL0が決定さ
れる。
とから目標ヨーレイトγ* が決定される。それらパラメ
ータ相互の関係が予めコンピュータのROMに記憶させ
られており、その関係を用いて目標ヨーレイトγ* が決
定されるのである。
分制御ゲインK1 が決定され、さらに、操舵角θに応じ
て部分制御ゲインK2 が決定される。部分制御ゲインK
1 と車速Vとの関係(図5にグラフで表されている)、
および部分制御ゲインK2 と操舵角θとの関係(図6に
グラフで表されている)がそれぞれ予めコンピュータの
ROMに記憶させられていて、それら各関係を用いて部
分制御ゲインK1 ,K2 の今回値が決定されるのであ
る。続いて、S6において、それら部分制御ゲイン
K1 ,K2 の積が制御ゲインKの今回値に決定される。
その後、S7において、その制御ゲインKと前記目標ヨ
ーレイトγ* および実ヨーレイトγから、制動力左右差
ΔBの目標値が決定される。
目標ヨーレイトγ* とから旋回特性値ΔγC が演算さ
れ、さらに、その旋回特性値ΔγC に応じて係数Rの今
回値が決定される。それら旋回特性値ΔγC と係数Rと
の関係(図7にグラフで表されている)が予めコンピュ
ータのROMに記憶させられていて、その関係を用いて
係数Rの今回値が決定されるのである。
分基準値H1 が決定され、さらに、操舵角θに応じて部
分基準値H2 が決定される。部分基準値H1 と車速Vと
の関係(図8にグラフで表されている)、および部分基
準値H2 と操舵角θとの関係(図9にグラフで表されて
いる)がそれぞれ予めコンピュータのROMに記憶させ
られていて、それら各関係を用いて部分基準値H1 ,H
2 の今回値が決定されるのである。続いて、S10にお
いて、それら部分基準値H1 ,H2 の和が基準値Hの今
回値に決定される。
差ΔBの絶対値が基準値Hより大きいか否かが判定され
る。今回は基準値Hより大きくないと仮定すれば、判定
がNOとなり、S12において、前記基準各輪制動力B
FR0 等がそれぞれそのまま、最終各輪制動力BFR等とさ
れ、続いて、S13において、それら最終各輪制動力B
FR等が実現されるように、圧力センサ86でブレーキ圧
を監視しつリニア液圧制御弁40が制御される。以上で
本ルーチンの一回の実行が終了する。
ブレーキ圧制御のみの実行が繰り返されるうちに、制動
力左右差ΔBの絶対値が基準値Hより大きくなったと仮
定すれば、S11の判定がYESとなり、S14以下の
ステップが実行され、これにより、踏力−ブレーキ圧制
御のみならず左右・前後配分制御も実行されることにな
る。
左右差ΔBが0より大きいか否かが判定される。左回り
のヨーイングモーメントを増加させる必要があるか右回
りのヨーイングモーメントを増加させる必要があるかが
判定されるのである。今回は、制動力左右差ΔBが0よ
り大きいと仮定すれば、判定がYESとなり、S15に
おいて、制動力左右差ΔBから基準値Hが差し引かれる
ことによって制動力左右差ΔBが変更され、その後、S
16,17および13の実行により、その変更された制
動力左右差ΔBが実現されるようにブレーキ圧が制御さ
れる。
が0以下であると仮定すれば、S14の判定がNOとな
り、S18において、制動力左右差ΔBに基準値Hが加
算されることによって制動力左右差ΔBが変更され、そ
の後、S19,20および13の実行により、その変更
された制動力左右差ΔBが実現されるようにブレーキ圧
が制御される。
においては、配分制御の開始条件が車速Vが小さい場合
に大きい場合より厳しくされ、かつ、操舵角θの絶対値
が大きい場合に小さい場合より厳しくされているため、
本当に必要な場合に限って配分制御が実行されることと
なり、無駄な配分制御が省略されてブレーキ等にかかる
負担が軽減されるという効果が得られる。
制御特性が車速Vが小さい場合に大きい場合より鈍感と
され、かつ、操舵角θの絶対値が大きい場合に小さい場
合より鈍感とされるため、過剰な配分制御が回避される
こととなり、このことによっても、無駄な配分制御が省
略されてブレーキ等にかかる負担が軽減されるという効
果が得られる。
においては、ヨーレイトセンサ72が本発明における
「実旋回状態量取得手段1」の一態様を構成し、ECU
60の図10のS1〜4,7,8,11〜20を実行す
る部分が本発明における「配分制御手段2」の一態様を
構成し、また、ECU60の同図のS5,6,9および
10を実行する部分が車速センサ74および操舵角セン
サ76と共同して、本発明における「制御開始基準値決
定手段3」の一態様を構成しているのである。
詳細に説明したが、本発明はその他の態様で実施するこ
とができる。
ト偏差Δγがある値より大きくならない限り配分制御が
実行されないようになっていて、具体的には、各回の配
分制御がヨーレイト偏差Δγがある値より大きくなるこ
とによって開始され、その値以下となることによって終
了するようになっていた。しかし、各回の配分制御は、
ヨーレイト偏差Δγがある値より大きくならなければ開
始されないが、一旦配分制御が開始されたならば、ヨー
レイト偏差Δγがある値以下となったときではなく0と
なったときにその配分制御が終了するようにして本発明
を実施することができる。すなわち、上記実施例におい
ては、配分制御の開始条件のみならず終了条件にも不感
帯が設けられていたのであるが、開始条件には設けるが
終了条件には設けないで本発明を実施することもできる
のである。
0になることはないように決定されるようになっていた
が、例えば、車速Vおよび操舵角θが十分に大きい場合
には0となるように決定することもできる。
ける「旋回運動状態量」として車体のヨーレイトが選ば
れていたが、例えば、車体の横加速度等を選ぶこともで
きる。
シリンダ20のブレーキ圧が制御されることによって制
動力配分が直接に制御されるようになっていたが、例え
ば、アンチロック制御における各車輪のスリップ率を制
御することによって制動力配分を間接に制御することも
できる。
自動車用の駆動・制動力配分制御装置に対してのみなら
ず、電動モータを駆動源とするいわゆる電気自動車用の
駆動・制動力配分制御装置に対して適用することもでき
る。
ことなく、当業者の知識に基づいて種々の変形,改良を
施した態様で本発明を実施することができる。
る。
含む電気制御式ブレーキシステムを示すシステム図であ
る。
成を示すブロック図である。
示すブロック図である。
制御ゲインK1 との関係を示すグラフである。
分制御ゲインK2 との関係を示すグラフである。
γC と係数Rとの関係を示すグラフである。
基準値H1 との関係を示すグラフである。
分基準値H2 との関係を示すグラフである。
配分制御ルーチンを示すフローチャートである。
Claims (1)
- 【請求項1】 複数の車輪を備えた車両に設けられ、駆
動力と制動力との少なくとも一方の各車輪への配分を制
御する駆動・制動力配分制御装置において、 前記車両の実旋回状態量を取得する実旋回状態量取得手
段と、 取得された実旋回状態量の目標旋回状態量からの偏差が
基準値より大きくなったときに前記駆動・制動力配分制
御を開始し、実旋回状態量が目標旋回状態量に追従する
ように前記配分を制御する配分制御手段と、 前記基準値を車速が小さい場合に大きい場合より大きく
なるように決定する制御開始基準値決定手段とを設けた
ことを特徴とする駆動・制動力配分制御装置。
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JP28940492A JP3577088B2 (ja) | 1992-10-02 | 1992-10-02 | 駆動・制動力配分制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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ID=17742799
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