JP3845127B2 - 車両のブレーキ力配分制御方法 - Google Patents
車両のブレーキ力配分制御方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3845127B2 JP3845127B2 JP15364995A JP15364995A JP3845127B2 JP 3845127 B2 JP3845127 B2 JP 3845127B2 JP 15364995 A JP15364995 A JP 15364995A JP 15364995 A JP15364995 A JP 15364995A JP 3845127 B2 JP3845127 B2 JP 3845127B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vehicle
- force distribution
- brake
- wheel
- wheel speed
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Regulating Braking Force (AREA)
- Hydraulic Control Valves For Brake Systems (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、後輪の車輪速度から前輪の車輪速度を減算した値と車輪速度差目標値とを左側および右側でそれぞれ比較した結果に基づき、左、右前輪ブレーキおよび左、右後輪ブレーキのうち少なくとも左、右後輪ブレーキのブレーキ液圧を個別に調整して左側及び右側で前後ブレーキ力配分をそれぞれ制御する車両のブレーキ力配分制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、前後の車輪速度差をなくすように前後のブレーキ力配分制御を行い、理想的なブレーキ力配分を達成するようにした技術が、たとえば特公昭51−26584号公報等により既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のものは、車両旋回時のブレーキ作動による操縦安定性への影響を考慮しておらず、前後のブレーキ力配分制御により乗員の意図するステアリング特性が得られないことがある。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、旋回ブレーキ時のステアリング特性を改善しつつ、前後ブレーキ力配分を制御し得るようにした車両のブレーキ力配分制御方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、左後輪速度から左前輪速度を減算 した値である左側の車輪速度差、および右後輪速度から右前輪速度を減算した値である右側の車輪速度差と、左右の車輪速度差目標値とを左側および右側でそれぞれ比較した結果に基づき、左、右前輪ブレーキおよび左、右後輪ブレーキのうち少なくとも左、右後輪ブレーキのブレーキ液圧を個別に調整して左側および右側で前後ブレーキ力配分をそれぞれ制御する車両のブレーキ力配分制御方法において、車両旋回時には、旋回内輪側における後輪のブレーキ力配分比が車両直進時に比べて小さくなるように少なくとも旋回内輪側の前記車輪速度差目標値を車両直進時に対し変更することを特徴とする。
【0006】
また請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、車両旋回時の旋回内輪側における後輪のブレーキ力配分比が車体速度上昇に応じて小さくなるように、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値を、車体速度上昇に応じて変化するようにして設定する。
【0007】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の構成に加えて、車両旋回時の旋回内輪側における後輪のブレーキ力配分比が車体のヨーレートの単位時間当たりの変化量の増加に応じて小さくなるように、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値を、車体のヨーレートの単位時間当たりの変化量の増加に応じて変化するようにして設定する。
【0008】
さらに請求項4記載の発明によれば、上記請求項3記載の発明の構成に加えて、車体のヨーレートを、左右従動輪の速度差に基づいて演算する。
【0009】
【作 用】
上記請求項1記載の発明の構成によれば、車両の旋回時には、少なくとも旋回内輪側で車輪速度差目標値が車両直進時に比べて変化するのに応じて、荷重の小さい旋回内輪側における後輪のブレーキ力配分比を車両直進時よりも小さくできるから、全体としてのブレーキ力の損失を回避しつつ後輪の横力を確保することが可能であり、それにより旋回時のブレーキ操作に応じてヨーレートが急変するようなことが避けられる。
【0010】
また請求項2記載の発明の構成によれば、ヨーレートが急変し易い高速での旋回中のブレーキ操作に対して、車体速度の上昇に応じて少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値を変化せしめることにより、ヨーレートの急変を避けることが可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明の構成によれば、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値がヨーレートの変化量に応じて変化せしめられ、ヨーレートの急変を抑制して車両挙動を安定化させる方向でブレーキ力制御を行うことが可能となる。
【0012】
さらに請求項4記載の発明の構成によれば、ヨーレートを直接検出する機器が不要となるとともに、旋回内輪のスリップが左右従動輪の速度差を大とし、演算されるヨーレートを大とすることに伴い、車両の不安定状態をより感度よく検知することが可能となる。
【0013】
【実施例】
以下、図面により本発明を前輪駆動車両に適用したときの一実施例について説明する。 図1ないし図6は本発明の一実施例を示すものであり、図1はブレーキ装置の液圧回路図、図2はブレーキ圧調整手段の構成を示す図、図3はブレーキ力配分制御手順を示すフローチャート、図4は図3の第2ステップでの補正係数演算手順を示すフローチャート、図5は図3の第11ステップでの制御量演算手順を示すフローチャート、図6は車体減速度による前輪ブレーキ力の制御例を示す図である。
【0014】
先ず図1において、第1および第2出力ポート1,2を有するタンデム型のマスタシリンダMにはブレーキペダル3が連動、連結されており、ブレーキペダル3の踏込み操作に応じてマスタシリンダMの第1および第2出力ポート1,2からは相互に独立したブレーキ液圧が出力される。而して第1出力ポート1には、ブレーキ圧調整手段41 を有する第1ブレーキ液圧系統51 が接続されており、右前輪WFRに装着された右前輪ブレーキBFRならびに左後輪WRLに装着された左後輪ブレーキBRLが第1ブレーキ液圧系統51 に接続される。また第2出力ポート2には、ブレーキ圧調整手段42 を有する第2ブレーキ液圧系統52 が接続されており、左前輪WFLに装着された左前輪ブレーキBFLならびに右後輪WRRに装着された右後輪ブレーキBRRが第2ブレーキ液圧系統52 に接続される。而して各ブレーキBFL,BFR,BRL,BRRは、作用するブレーキ液圧に応じたブレーキ力を発揮するものであり、たとえばディスクブレーキである。
【0015】
また左、右前輪WFL,WFRの回転速度は左、右前輪回転速度センサSFL,SFRでそれぞれ検出され、左、右後輪WRL,WRRの回転速度は左、右後輪回転速度センサSRL,SRRでそれぞれ検出される。これらの回転速度センサSFL,SFR,SRL,SRRの検出値は電子制御ユニット6に入力され、電子制御ユニット6は、回転速度センサSFL,SFR,SRL,SRRの検出値に基づいてブレーキ圧調整手段41 ,42 の作動を制御する。
【0016】
図2において、第1ブレーキ液圧系統51 におけるブレーキ圧調整手段41 は、マスタシリンダMの第1出力ポート1から出力されるブレーキ液圧を右前輪ブレーキBFRに作用させ得る電磁供給弁7F と、第1出力ポート1から出力されるブレーキ液圧を左後輪ブレーキBRLに作用させ得る電磁供給弁7R と、リザーバ8と、右前輪ブレーキBFRのブレーキ液圧をリザーバ8に解放可能な電磁解放弁9F と、左後輪ブレーキBRLのブレーキ液圧をリザーバ8に解放可能な電磁解放弁9R と、リザーバ8から汲み上げた作動液を第1出力ポート1側に戻し得る液圧ポンプ10とを備えた従来周知のアンチロックブレーキ制御装置である。而して電磁供給弁7F ,7R は、消磁時に第1出力ポート1および各車輪ブレーキBFR,BRL間を連通する状態と、励磁時に第1出力ポート1から各車輪ブレーキBFR,BRLへのブレーキ液の流れを阻止するが各車輪ブレーキBFR,BRLから第1出力ポート1側へのブレーキ液の流れを許容する状態とを切換可能であり、電磁解放弁9F ,9R は、消磁時に各車輪ブレーキBFR,BRLおよびリザーバ8間を遮断する状態と、励磁時に各車輪ブレーキBFR,BRLおよびリザーバ8間を連通する状態とを切換可能である。
【0017】
このようなブレーキ圧調整手段41 では、電磁供給弁7F ,7R および電磁解放弁9F ,9R の制御により、右前輪ブレーキBFRおよび左後輪ブレーキBRLのアンチロックブレーキ制御を実行可能であるとともに、右前輪ブレーキBFRおよび左後輪ブレーキBRLのブレーキ力配分を調整可能である。
【0018】
第2ブレーキ液圧系統52 におけるブレーキ圧調整手段42 も、上記ブレーキ圧調整手段41 と同様に構成されており、左前輪ブレーキBFLおよび右後輪ブレーキBRRのアンチロックブレーキ制御を実行可能であるとともに、左前輪ブレーキBFLおよび右後輪ブレーキBRRのブレーキ力配分を調整可能である。
【0019】
電子制御ユニット6では、図3、図4および図5で示すような手順に従って制御演算が実行されるものであり、先ず図3の第1ステップS1では、前輪回転速度ωF および後輪回転速度ωR が演算され、第2ステップS2では、補正係数演算手段141 ,142 での補正係数kの演算、ならびに車輪速度の差に基づく前後ブレーキ力配分制御を行うか否かの制御判断が実行される。
【0020】
第2ステップS2での補正係数kの演算および制御判断は、図4の手順に従って実行されるものであり、以下、図4の手順を説明すると、第1ステップM1では、定速走行状態であるか否かが判定され、定速走行状態であるときのみ次の第2ステップM2に進む。ここで第1ステップM1での判定は、たとえば後述の第3ステップM3で積算回数が規定値に達したと判定されるまでの間に回転速度ωF ,ωR の変動率が所定の変動率内に収まっているか否かによってなされるものであり、これは、加、減速によって生じるスリップの影響を排除し、タイヤ本来の動半径を極力正確に求めるためのものである。而して急旋回による誤差の生じ易い低速域や、駆動力による駆動輪のスリップが大きくなる高速域を排除するために車体速度によって判定するようにしてもよく、また舵角センサが在る場合には、舵角が大きい場合を排除するようにして舵角により判定してもよく、さらにエンジンのスロットル開度および燃料噴射量等により駆動力が計算できるときに、駆動力が大きい場合を排除するようにしてもよい。
【0021】
第2ステップM2では、前輪回転速度ωF および後輪回転速度ωR の比kO (=ωF /ωR )が演算されるとともに、その積算値kS (=kS +kO )が演算される。而して積算値kS の初期値は「0」である。
【0022】
第3ステップM3では、積算回数が規定値たとえば200回に達したかどうかが判定される。而して回転速度の計測誤差は車速が高い程大きくなるので、前記規定値は車体速度が大きい程大きく設定されるのが望ましい。第3ステップM3で規定値に達していないと判断されたときには第1ステップM1に戻り、規定値に達したと判断されたときには、第4ステップM4で積算値KS を積算回数で除すことにより、規定の積算回数での平均の回転速度比としての補正係数kが得られる。
【0023】
第5ステップM5では、前回得られた補正係数kn-1 と、今回得られた補正係数kn との差の絶対値が規定値未満であるか否かが判定され、前記絶対値が規定値未満であるときには、補正係数kが確定したものとして第6ステップM6で確定フラグがセットされ、また前記絶対値が規定値以上であるときには、補正係数kが確定していないとして第7ステップM7で確定フラグがリセットされる。すなわち、補正係数kの変動幅が規定値以上であるか否かが判断されるとともに規定値以上であるときには補正係数kが未確定であるとして確定フラグがリセットされることになる。
【0024】
さらに第8ステップM8では、積算値kS が「0」にセットされるとともに、積算回数が「0」にセットされる。而して第1ステップM1で定速走行状態ではないと判定されたときには第1ステップM1から第8ステップM8に進むことになる。
【0025】
このようにして図4のサブルーチンにより補正係数kが得られるとともに制御判断が実行されるが、これは、左側および右側でそれぞれ実行されるものであり、左、右各々の補正係数kL ,kR が求められる。
【0026】
再び図3において、補正係数kの演算および制御判断が終了した後の第3ステップS3では、全車輪WFL,WFR,WRL,WRRの車輪速度が演算される。すなわち左前輪速度VWFL 、右前輪速度VWFR 、左後輪速度VWRL および右後輪速度VWRR が、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRの回転速度をωFL,ωFR,ωRL,ωRRとし、タイヤ動半径をrとしたときにそれぞれ次のようにして演算される。
【0027】
VWFL =r×ωFL
VWFR =r×ωFR
VWRL =r×ωRL
VWRR =r×ωRR
このようにして得られた各車輪速度のうち両後輪速度VWRL ,VWRR についてはそのまま用いられるが、左、右の前輪速度VWFL ,VWFR については、補正係数kL ,KR による次のような補正が施される。
【0028】
VWFL =VWFL /kL
VWFR =VWFR /kR
ところで、上述の第2および第3ステップS2,S3の処理は、左、右輪間についても同様に実行されるものであり、それにより全四輪について正確な車輪速度が得られる。
【0029】
第4ステップS4では、左側および右側で前後の車輪速度差ΔVL ,ΔVR が次式に基づいてそれぞれ演算される。
【0030】
ΔVL =VWRL −VWFL
ΔVR =VWRR −VWFR
第5ステップS5では、ヨーレートγが従動輪すなわち左、右後輪の車輪速度に基づき次の演算式に従って演算される。
【0031】
γ=(VWRR −VWRL )/(トレッド)
さらに第6ステップS6では、車両直進時の車輪速度差目標値ΔVO が次式に従って演算される。
【0032】
ΔVO =λ・VV −d
ここで、VV は車体速度であり、左、右の後輪速度VWRL ,VWRR の平均値にフィルタリング処理を施すことにより得られ、またλ,dはそれぞれ一定値である。而してこの車輪速度差目標値ΔVO が大きくなれば、後輪側の車輪速度を速く、すなわち前輪側のブレーキ力を大きくするブレーキ力配分制御が行われるものである。
【0033】
第7ステップS7では、ヨーレートγの単位時間当たりの変化量(dγ/dt)の正、負が判定され、その判定結果に応じて第8ステップS8あるいは第9ステップS9に進み、旋回状態での内輪側の車輪速度差目標値ΔVO が補正される。而してヨーレートγの単位時間当たりの変化量(dγ/dt)が正であると判定されたときには、左旋回中であるとして第8ステップS8に進み、旋回内輪側である左側の車輪速度差目標値ΔVOLが(ΔVO +ε・VV )として補正され、またヨーレートγの単位時間当たりの変化量(dγ/dt)が負であると判定されたときには、右旋回中であるとして第9ステップS9に進み、旋回内輪側である右側の車輪速度差目標値ΔVORが(ΔVO +ε・VV )として補正される。
【0034】
第8および第9ステップS8,S9において、εは、車体速度VV ならびに|dγ/dt|をパラメータとするマップデータより求められる値であり、車体速度VV ならびに|dγ/dt|が比較的小さい領域にあってはεは「0」であり、また車体速度VV ならびに|dγ/dt|が大きくなるにつれてεは大きくなる。
【0035】
第10ステップS10では、車体速度VV に基づいて車体減速度Gが演算され、その後、第11ステップS11で、ブレーキ圧調整手段41 ,42 の制御量の演算がなされることになる。ここで第11ステップS11の処理は、図5で示す手順に従って実行されるものであり、図5の第1ステップN1では、確定フラグがセットされているか否かが判断され、確定フラグがセットされているときには、第2ステップN2において、ΔVR >ΔVOR,ΔVL >ΔVOLであるか否かが判定される。而してΔVR >ΔVOR,ΔVL >ΔVOLは、後輪速度VWRが速くなり過ぎている状態を示すものであり、このときには第3ステップN3で後輪ブレーキ力を大きくするように制御量が定められる。またΔVR ≦ΔVOR,ΔVL ≦ΔVOLであると、第2ステップN2で判定されたときは、後輪速度VWRが遅くなり過ぎている状態であり、このときには第4ステップN4で後輪ブレーキ力を小さくするように制御量が定められる。
【0036】
一方、上記確定フラグがセットされていないと判断されたときには、第5ステップN5において、車体減速度Gに応じて図6で示すように後輪ブレーキ力が変化するように制御量が定められる。ここで、図6の線L1 は、車体減速度Gが一定値に達した後には後輪ブレーキ力を一定に保持する例を示すものであり、また線L2 は車体減速度Gに応じて後輪ブレーキ力を段階的に変化させるようにした例を示すものである。
【0037】
次にこの実施例の作用について説明すると、前輪回転速度ωF および後輪回転速度ωR の比kO に基づき、設定された車輪径に対する実際の車輪径の差に対応する補正係数kが演算され、前後の車輪速度VWFL ,VWFR ;VWRL ,VWRR のうち前輪速度VWFL ,VWFR が補正係数kで補正され、後輪速度VWRL ,VWRR と、補正後の前輪速度VWFL ,VWFR とに基づいてブレーキ圧調整手段41 ,42 の制御量が演算される。したがってタイヤの動半径が変動したときにその動半径の変化を考慮したブレーキ力配分制御を適切に行うことができる。
【0038】
しかも車両の走行条件によって補正係数kが大幅に変動するような状態、たとえば坂道での駆動輪スリップ等により補正係数kが大きく変動するような場合には、前、後輪速度の比較結果に基づく制御量演算が禁止されるので、タイヤの動半径の短時間の変化による不要なブレーキ力配分制御を排除することができる。
【0039】
また車輪速度の比較に基づくブレーキ力配分制御が禁止された状態では、車体減速度Gに依存したブレーキ液圧比を得るように制御量を演算するものであるので、前、後輪速度の比較結果に基づくブレーキ力配分が禁止された状態でも或る程度のブレーキ力配分制御を行うことができる。
【0040】
さらに車両の旋回状態でのブレーキ時には、左、右の車輪速度差目標値ΔVOL,ΔVORが相互に異なるように設定される。すなわち、左旋回中には旋回内輪側である左側の車輪速度差目標値ΔVOLが(ΔVO +ε・VV )として補正されるのに対して右側の車輪速度差目標値ΔVORは車体速度VV で定まる値とされ、右旋回中には旋回内輪側である右側の車輪速度差目標値ΔVORが(ΔVO +ε・VV )として補正されるのに対して左側の車輪速度差目標値ΔVOLは車体速度VV で定まる値とされる。これにより、荷重が小さい方の旋回内輪側後輪のブレーキ力配分が小さくされてタイヤ横力が増大することに加えて、左、右のブレーキ力に差が生じることによるヨーモーメント発生により、車両旋回中の前後ブレーキ力配分制御によってヨーレートが急変することが抑えられる。
【0041】
しかも左、右の車輪速度差目標値ΔVOL,ΔVORが、それらの車輪速度差目標値ΔVOL,ΔVORの差が車体速度VV の上昇、ならびにヨーレートの単位時間当たりの変化量|dγ/dt|の増加に応じて大となるので、ヨーレートが急変し易い高速走行時ならびに急操舵時に、ヨーレートの急変を効果的に抑制することが可能となる。
【0042】
さらにヨーレートは、左右従動輪すなわち左右後輪の速度差に基づいて演算されるので、ヨーレートを直接検出する高価な機器が不要である。また旋回内輪のスリップは左右従動輪の速度差を大とし、その結果、演算されるヨーレートが大となるので、左右従動輪すなわち左右後輪の速度差に基づいてヨーレートを演算することで、車両の不安定状態をより感度よく検知することが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0044】
たとえばブレーキ圧調整手段として、アンチロックブレーキ制御装置を用いた例を示したが、後輪ブレーキの液圧のみを調整可能なブレーキ圧調整手段を用いるようにしてもよい。また上記実施例ではX配管のブレーキ装置について説明したが、全ての配管形式のブレーキ装置について本発明を適用可能である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明によれば、車両旋回時には、荷重の小さい旋回内輪側における後輪のブレーキ力配分比を車両直進時よりも小さくしてブレーキ力の損失を回避しつつ横力を増大することが可能であり、それにより旋回時のブレーキ操作に応じてヨーレートが急変するようなことを避けて前後ブレーキ力配分制御を行うことができる。
【0046】
また請求項2の発明によれば、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値を、車体速度上昇に応じて変化させて、ヨーレートが急変し易い高速走行時にヨーレートの急変を効果的に抑制することができる。
【0047】
請求項3の発明によれば、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値を、車体のヨーレートの単位時間当たりの変化量の増加に応じて変化させることにより、ヨーレートの急変を抑制して車両挙動を安定化させる方向でブレーキ力制御を行うことが可能となる。
【0048】
さらに請求項4の発明によれば、車体のヨーレートを、左右従動輪の速度差に基づいて演算するので、ヨーレートを直接検出する高価な機器が不要となるとともに、車両の不安定状態をより感度よく検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ブレーキ装置の液圧回路図である。
【図2】 ブレーキ圧調整手段の構成を示す図である。
【図3】 ブレーキ力配分制御手順を示すフローチャートである。
【図4】 図3の第2ステップでの補正係数演算手順を示すフローチャートである。
【図5】 図3の第11ステップでの制御量演算手順を示すフローチャートである。
【図6】 車体減速度による前輪ブレーキ力の制御例を示す図である。
【符号の説明】
BFL・・・左前輪ブレーキ
BFR・・・右前輪ブレーキ
BRL・・・左後輪ブレーキ
BRR・・・右後輪ブレーキ
WFL・・・左前輪
WFR・・・右前輪
WRL・・・左後輪
WRR・・・右後輪
Claims (4)
- 左後輪速度(V WRL )から左前輪速度(V WFL )を減算した値である左側の車輪速度差(ΔV L )、および右後輪速度(V WRR )から右前輪速度(V WFR )を減算した値である右側の車輪速度差(ΔV R )と、左右の車輪速度差目標値(ΔVOL,ΔVOR)とを左側および右側でそれぞれ比較した結果に基づき、左、右前輪ブレーキ(BFL,BFR)および左、右後輪ブレーキ(BRL,BRR)のうち少なくとも左、右後輪ブレーキ(BRL,BRR)のブレーキ液圧を個別に調整して左側および右側で前後ブレーキ力配分をそれぞれ制御して、前輪(WFL,WFR)のブレーキ力に対する後輪(WRL,WRR)のブレーキ力を小さくする車両のブレーキ力配分制御方法において、
車両旋回時には、旋回内輪側における後輪(W RL ,W RR )のブレーキ力配分比が車両直進時に比べて小さくなるように少なくとも旋回内輪側の前記車輪速度差目標値(ΔV OL ,ΔV OR )を車両直進時に対し変更することを特徴とする、車両のブレーキ力配分制御方法。 - 車両旋回時の旋回内輪側における後輪(W RL ,W RR )のブレーキ力配分比が車体速度上昇に応じて小さくなるように、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値(ΔV OL ,ΔV OR )を、車体速度上昇に応じて変化するようにして設定することを特徴とする請求項1記載の車両のブレーキ力配分制御方法。
- 車両旋回時の旋回内輪側における後輪(W RL ,W RR )のブレーキ力配分比が車体のヨーレートの単位時間当たりの変化量の増加に応じて小さくなるように、少なくとも旋回内輪側の車輪速度差目標値(ΔV OL ,ΔV OR )を、車体のヨーレートの単位時間当たりの変化量の増加に応じて変化するようにして設定することを特徴とする請求項1記載の車両のブレーキ力配分制御方法。
- 車体のヨーレートを、左右従動輪の速度差に基づいて演算することを特徴とする請求項3記載の車両のブレーキ力配分制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15364995A JP3845127B2 (ja) | 1995-06-20 | 1995-06-20 | 車両のブレーキ力配分制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15364995A JP3845127B2 (ja) | 1995-06-20 | 1995-06-20 | 車両のブレーキ力配分制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH092220A JPH092220A (ja) | 1997-01-07 |
JP3845127B2 true JP3845127B2 (ja) | 2006-11-15 |
Family
ID=15567162
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15364995A Expired - Fee Related JP3845127B2 (ja) | 1995-06-20 | 1995-06-20 | 車両のブレーキ力配分制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3845127B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3326876A1 (en) * | 2016-11-24 | 2018-05-30 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Braking control apparatus for vehicle |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3331939B2 (ja) * | 1997-12-26 | 2002-10-07 | 株式会社豊田中央研究所 | 車両状態量推定装置 |
JP5195871B2 (ja) | 2010-10-29 | 2013-05-15 | トヨタ自動車株式会社 | 車両用制動力制御装置 |
-
1995
- 1995-06-20 JP JP15364995A patent/JP3845127B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3326876A1 (en) * | 2016-11-24 | 2018-05-30 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Braking control apparatus for vehicle |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH092220A (ja) | 1997-01-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3132371B2 (ja) | 車輌の挙動制御装置 | |
JP2932589B2 (ja) | 車両の運動制御装置 | |
JP3463622B2 (ja) | 車輌の挙動制御装置 | |
JP3334647B2 (ja) | 車両のヨーレイト検出装置 | |
US20050102085A1 (en) | Stability factor learning method and apparatus for a vehicle and control apparatus for a vehicle | |
US6027183A (en) | Vehicle dynamics control system | |
JP2001153678A (ja) | 車体横すべり角推定装置 | |
US5829847A (en) | Vehicle motion control system | |
US6003959A (en) | Vehicle dynamics control system | |
US5842755A (en) | Braking force control system in vehicle | |
US7066559B2 (en) | Brake pressure estimating apparatus and method | |
JP3607985B2 (ja) | 車輌の車体速度推定装置及び制御装置 | |
US5855419A (en) | Process for controlling a distribution of braking force in a vehicle | |
JPH092224A (ja) | 車両のブレーキ力配分制御装置 | |
JP3267137B2 (ja) | 車輌の挙動制御装置 | |
US7097262B2 (en) | Braking force control apparatus and method for vehicle | |
JPH0911871A (ja) | 車両のブレーキ力配分制御方法 | |
US8249790B2 (en) | Vehicle behavior control device | |
JP3577088B2 (ja) | 駆動・制動力配分制御装置 | |
JP3845127B2 (ja) | 車両のブレーキ力配分制御方法 | |
JP3158978B2 (ja) | 車両の挙動制御装置 | |
JP3205684B2 (ja) | 車両のブレーキ力配分制御方法 | |
JP3324347B2 (ja) | 車両の挙動制御装置 | |
JP3275576B2 (ja) | 車輌の挙動制御装置 | |
JP3401987B2 (ja) | 車輌の挙動制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20050720 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050914 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060329 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060529 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20060601 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060802 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060818 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100825 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110825 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110825 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120825 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |