JPH0611327B2 - 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法 - Google Patents

生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法

Info

Publication number
JPH0611327B2
JPH0611327B2 JP59213691A JP21369184A JPH0611327B2 JP H0611327 B2 JPH0611327 B2 JP H0611327B2 JP 59213691 A JP59213691 A JP 59213691A JP 21369184 A JP21369184 A JP 21369184A JP H0611327 B2 JPH0611327 B2 JP H0611327B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hollow fiber
active substance
physiologically active
membrane
fiber membrane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP59213691A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6190671A (ja
Inventor
清和 今井
友雄 塩見
正光 宮
昭夫 大森
弘幸 赤須
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Priority to JP59213691A priority Critical patent/JPH0611327B2/ja
Publication of JPS6190671A publication Critical patent/JPS6190671A/ja
Publication of JPH0611327B2 publication Critical patent/JPH0611327B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • External Artificial Organs (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、生理活性物質が化学的に結合されている多孔
性中空繊維膜と、その膜を使用した液の処理方法に関す
るものである。さらに詳しくは、抗性物質、ホルモン、
酵素、抗原、抗体、細胞、微生物菌体、オルガネラ、核
酸、医薬品等の化学的結合量が多く、かつ物質透過性に
優れた多層構造の多孔性中空繊維膜と、その膜を使用し
た液の処理方法に関するものである。
〔従来の技術〕
酵素や微生物菌体、さらには動植物細胞やオルガネラ、
抗原あるいは抗体、ホルモン、抗生物質、核酸、医薬品
などを物理的、化学的に固定化した材料は各種有用物質
の合成手段として、あるいは各種センサー用、医療用、
分析用などに広範囲な用途を有する。従来こうした固定
化材料として公知のものは、担体として多糖類、セルロ
ース、合成高分子、多孔性ガラス、金属酸化物、活性炭
など粒状物や、ゲル、フイルム、紙、織物、編物など
を用いるもが多く、中空繊維膜を担体とするものは比較
的少ないが、例えばバイオテクノロジー アンド バイ
オエンジニアリング22巻2643頁(1980年)には酵素溶
液を中空部に物理的にお封入する方法が示されている。
また、同誌16巻1113頁(1974年)には中空繊維モジユ
ールのモジユール筒と均質構造の中空繊維外表面間に酵
素溶液を物理的に封入する方法が示されている。さら
に、エンザイム エンジニアリング 3巻543頁(19
75年)、セパレーシヨン アンド ピユリフイケーシヨ
ン メソツズ5巻301頁(1976年)、ジヤーナル オ
ブ フードサイエンス42巻258頁(1977年)などに
は内表面側に酵素不透過性の緻密層を有し、外表面側が
フインガー構造の異方性中空繊維膜を用い、その外表面
側に酵素溶液を物理的に封入し、緻密な内表面側に基質
溶液を流す型のリアクターが開示されている。
しかしながら、これらの従来技術はいずれも緻密層とフ
イガー構造からなる異方性中空繊維膜に酵素溶液を物理
的に封入するものであり、又、基質は濃度差をドライビ
ングフオースとして拡散によつて緻密層側から多孔層側
の酵素溶液に到達し、逆拡散して再び中空部の基質溶液
側へもどるもである。従つて、生理活性物質が化学的に
結合された、緻密層と多孔層とよりなる30m2/g以上の
比表面積を有する本発明の多層構造中空繊維膜、および
該膜の多孔層表面側に被処理溶液を流し、その一部を圧
力をドライビングフオースとして膜壁を透過させつつ処
理する本発明の液処理技術はいまだ知られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
すでに述べたように生理活性物質の溶液を中空部もしく
は中空繊維外側部に封入した場合には被処理物質は拡散
により膜壁を横切り、封入部で処理され、逆拡散により
再び膜壁を横切らねばならず処理速度が遅い。被処理物
質や産生物質の分子量が大きくなると拡散係数は小さく
なるため特に処理速度が低下する。
また酵素不透過性緻密層を膜表面に有する限外過膜は
一般に異方性膜と呼ばれ、膜壁内にフインガー状の巨大
空隙を有しており、そのため膜の比表面積は小さい。そ
れ故、この種の膜に生理活性物質を化学的に固定しよう
とする場合には吸着量を多くとれず、かつフインガー部
の流路巾が広いために被処理物質と生理活性物質の接触
確率が低く、処理速度が遅いという問題がある。
さらに、均質多孔膜を化学的固定化の担体として用いた
場合は、長時間用いていると生理活性物質の経時的脱離
が起り、処理速度が低下する。また、多孔性の平膜を固
定化の担体として用い、被処理液を透過させながら処理
すると、被処理液中の不透過性成分などの膜表面への沈
着が起こり処理速度が低下し易いなどの問題がある。
〔問題点を解決するための手段および作用〕
本発明者らは以上の様な問題点を解決すべく鋭意研究を
重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、生理活性物質が化学的に結合され
た、中空繊維膜であつて、該中空繊維膜は、一方の表面
層および該表面層に接する膜壁内部に該生理活性物質が
透過しうる孔径の多孔層を有し、他方の表面積もしくは
膜壁内部に該生理活性物質が透過しえない緻密層を有
し、比表面積が30m2/g以上で、かつ膜壁内部に巨大
な空隙部を実質的に有していないことを特徴とする生理
活性物質固定多層構造中空繊維膜と、該中空繊維膜の多
孔層側に該生理活性物質よりもストークス径の小さな被
処理物質を含む溶液を流し、その一部を膜壁を透過させ
つつ処理し、得られた処理液を該中空繊維膜の膜壁を通
して取り出す液の処理方法である。
本発明において使用される中空繊維膜の第1の特徴は、
一方の表面層および該表面層に接する膜壁内部に、固定
される生理活性物質が透過しうる多孔層を有し、他方の
表面層もしくは膜壁内部に該生理活性物質が透過しえな
い緻密層を有し、かつ膜壁内部に巨大な空隙部を実質的
に有さないことである。膜壁内部に巨大な空隙部を実質
的に有さないということは、2μ以上のボイドを含まな
いことを意味する。
生理活性物質を固定した中空繊維膜を用いて被処理液体
を処理する場合、処理速度、生理活性物質の固定化量お
よび再生の面から言えば基本的には該生理活性物質が完
全透過しうる孔径の膜を利用する方が良いが、化学的に
結合しているとはいえ長時間使用すると高価な生理活性
物質が脱離し易い。本発明ではこれを防止する手段とし
て一つの膜表面層もしくは膜壁内部に生理活性物質の透
過しえない孔径の緻密層を設け、脱離を物理的にも阻止
している。一方、他の膜表面側は生理活性物質を膜壁内
に固定するための導入口として該生理活性物質が十分に
透過しうる孔径を有している必要がある。なおここでい
う生理活性物質の透過性とは、該生理活性物質の希薄水
溶液(0.1〜0.01W/V%)の過実験から次式によつ
て算出された透過率で評価されるもので、生理活性物質
が透過しえない緻密層とは該生理活性物質に対して10
%以下、さらに好ましくは3%以下の透過性しかない構
造を意味する。
尚、Cin =中空繊維入口の蛋白濃度 Cout= 同 出口の蛋白濃度 CuF =液の蛋白濃度 しかしながら本発明の場合には、緻密層と多孔層とが互
いに接しており、不可分であるため、緻密層のみの透過
率を測定しえない。従つて、実際には上記の透過率は該
生理活性物質を膜壁全体で過した際の値で示され、そ
の透過率が10%以下の場合には緻密層の存在が確認さ
れる。一方、該生理活性物質を透過しうる多孔性表面の
存在の確認が膜表面の電顕観察結果等をもとに別途行な
われる。例えば、公知文献、分子モデル等により生理活
性物質の大きさを算定し、その大きさと同等もしくはそ
れ以上の孔が一つの膜表面で観察されれば該生理活性物
質を透過しうる多孔性表面が存在するものとする。
生理活性物質の透過しうる多孔性表面層、およびそれに
接する膜壁内部の多孔層の孔径については特に限定はな
いが、該生理活性物質のストークス径の10倍以内が好
ましい。孔径が過大だと被処理物質との接触確率が減少
し、処理速度の低下を招くのみでなく、被処理液中の夾
雑物質の膜壁内部への沈着が起り、処理速度の経時的劣
化が大きい。
本発明で用いられる中空繊維膜の第2の特徴は、生理活
性物質に対する緻密層が被処理物質や被処理物質を処理
して得られる産生物質を十分透過させることである。被
処理物質や産生物質が膜を十分に透過しないと、これら
の物質の膜壁内部への蓄積が起り、本発明の目的が達成
されえない。なおここでいう十分に透過させるとは前述
の透過率が60%以上、好ましくは90%以上のことで
ある。
本発明の第3の重要な特徴は、比表面積が30m2/g以
上の多層構造中空繊維膜を用いることである。従来公知
の多層構造中空繊維膜はスポンジ層と緻密層よりなると
言われているが、実際には該スポンジ層は巨大な空胞
や、フインガー状の空隙であることが多く(異方性膜又
は非対称膜)、実質的にこれらの空隙のない微多孔性ス
ポンジ層と、緻密層とよりなる多層構造膜は少ない。巨
大な空隙を有する多層構造では確かにその緻密層によつ
て生理活性物質の流出は防止しうるが、その比表面積が
小さく、固定化量を十分にとることができない。本発明
の目的である高い固定化量、速い処理速度を達成するた
めには微多孔性スポンジ層(多孔層)と緻密層とからな
る膜で、比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2
/g以上のものを用いる必要がある。比表面積はBET
法によつて測定される。
本発明の中空繊維膜は、一方の表面層および該表面層に
接する膜壁内部が該生理活性物質が透過しうる孔径を有
する多孔層であり、他方の表面層もしくは膜壁内部が該
生理活性物質が透過しえない緻密層であるが、上述の条
件が満足される限り、内部等の膜構造は問わない。しか
しながら、できる限り多量の生理活性物質を膜壁中に固
定しようとすれば、多孔層の全膜厚に占める割合は高い
方がよく、通常は、該多孔層は一方の表面から連続して
全膜厚の50〜99%程度あることが望ましい。
本発明において用いられる中空繊維膜の素材は特に限定
はなく例えば多孔性ガラスなどの無機材料、セルロー
ス、コラーゲン、キチンなどの天然有機高分子、スチレ
ン、ポリアミド、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コール、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリレート、
ポリメチルメタクリレート、ポリビニルピロリドン、ポ
リエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリテト
ラフロロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルケト
ン、ポリアミノ酸などの合成有機高分子材料がある。こ
れらの材料は単独で用いても良いし、共重合体やポリマ
ーブレンドとして用いても良い。また光照射、放射線照
射、化学処理などにより、グラフト化や官能基の導入を
行なつた素材を用いても良いが、予め水酸基、アルデヒ
ド、カルボキシル基、アミノ基、イミド基などを有する
ものは固定化のための工程が少なく好適である。以下代
表的なものについて簡単に説明する。
ポリビニルアルコールを生理活性物質固定用中空繊維膜
素材として用いる場合には、まず膜を水不溶性とし、か
つ多孔質構造を保持するための処理が必要である。不溶
化処理の方法としてはホルマリンやベンズアルデヒド等
によるホルマール化、グルタルアルデヒド、水酸化チタ
ン等の架橋剤による架橋、電子線やガンマー線等による
架橋反応が用いられる。これ等不溶化処理によつて元の
ポリビニルアルコール中の水酸基の一部が失われるが、
本発明の生理活性物質固定用担体として用いる場合、水
酸基の残存率は好ましくは20モル%以上、さらに好ま
しくは35モル%以上である。
また膜素材としてビニルアルコール系共重合体を用いる
場合にも共重合体中のビニルアルコール残基の含有率は
好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは35モル
%以上である。残存率が20%より小さいと水酸基を利用
する結合法だけでは固定化量が少なくなり、膜の比活性
が低い。
本発明において用いられる多孔質中空繊維膜そのものは
公知の製法により製造することができる。例えばポリビ
ニルアルコールの多孔質膜は特開昭52-21420号に記載さ
れている方法により、エチレンビニルアルコール系共重
合体の多孔質膜は特開昭51-145474号に記載されている
方法をもとに製造することができる。また、これらの多
孔質中空繊維膜のプロフイールは通常内径が50μ以
上、20,000μ以下、好適には100μ以上5000μ以下、
さらに好適には175μ以上2000μ以下である。これより
細いと中空繊維膜が機械的に弱く、また集束、成形して
モジユール化した際に中空部流路側の圧損が大きくなり
すぎる。これより太いと単位体積当りの膜面積が小さく
なりすぎて十分な固定化量が得られず、被処理液の処理
効率が低い。
固定化される生理活性物質としては、酵素(含補酵
素)、微生物菌体、細胞、オルガネラ、抗原、抗体、ホ
ルモン、免疫関連物質、抗生物質、核酸、医薬品などを
あげることができる。
微生物菌体としては例えば大腸菌、枯草菌、放線菌、ブ
ドウ状球菌、メタノール菌などの細菌類、酵母、各種の
カビなどが固定される。
酵素としては、単離精製されたものの他、微生物菌体内
酵素のように細胞内に存在する酵素でも良いし、細胞か
ら抽出された酵素でも良い。あるいはまた単一の酵素だ
けでなく、複数の酵素を固定化しても良いし、補酵素
や、ATP、ADPなどと共に固定化しても良い。具体
例としては、例えばアミノ酸オキシダーゼ、カタラー
ゼ、キサンチンオキシダーゼ、グルコースオキシダー
ゼ、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、グルタ
ミン酸デヒドロゲナーゼ、チトクロムCオキシダーゼ、
チロシナーゼ、乳酸デヒデロゲナーゼ、ペルオキシダー
ゼ、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸
デヒドロゲナーゼのような酸化還元酵素、アスパラギン
酸アセチルトランスフエラーゼ、アスパラギン酸アミノ
トランスフエラーゼ、グリシンアミノトランスフエラー
ゼ、グルタミン酸−オキザロ酢酸アミノトランスフエラ
ーゼ、グルタミン酸−ピルビン酸アミノトランスフエラ
ーゼ、クレアチンホスホキナーゼ、ヒスタミンメチルト
ランスフエラーゼ、ピルビン酸キナーゼ、フラクトキナ
ーゼ、ヘキソキナーゼ、8−リジンアセチルトランスフ
エラーゼ、ロイシンアミノペプチターゼのような転移酵
素、アスパラギナーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、
アミノアミラーゼ、アミラーゼ、アルギナーゼ、L−ア
ルギニンデイミナーゼ、インペルターゼ、マルターゼ、
ラクターゼ、ウレアーゼ、ウリカーゼ、ウロキナーゼ、
エステラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、カリクレイン、
キモトリプシン、トリプシン、トロンビン、ペプシン、
パパイン、パンクレアチン、ナリンギナーゼ、ヌクレオ
チダーセ、ヒヤウロニダーゼ、プラスミン、ペクチナー
ゼ、ヘスペリジナーゼ、ペニシリナーゼ、ペニシリンア
ミダーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、ホスフアター
ゼ、リボヌクレアーゼ、レンニン、メリビアーゼ、アル
ドラーゼ、セルラーゼ、アントシアナーゼ、ナリンジナ
ーゼ、タンナーゼのような加水分解酵素、アスパラギン
酸デカルボキシラーゼ、アスパルターゼ、クエン酸リア
ーゼ、グリタミン酸デカルボキシラーゼ、ヒスチジンア
ンモニアリアーゼ、フエニルアラニンアンモニアリアー
ゼ、フマラーゼ、フマール酸ヒドラターゼ、リンゴ酸シ
ンテターゼのようなリアーゼ、アラニンラセマーゼ、グ
ルコースイソメラーゼ、グリコースホスフエートイソメ
ラーゼ、グルタミン酸ラセマーゼ、乳酸ラセマーゼ、メ
チオニンラセマーゼのような異性化酵素、アスパラギン
シンターゼ、ダルタチオンシンターゼ、ピルビン酸シン
ターゼ、DNAリガーゼなどのリガーゼ、EcoR I、Hind
III、BamH I、Sal I、Pst Iなどの制限酵素等がある。
これらの生理活性物質を多孔質中空繊維膜に固定する方
法としては、担体結合法が用いられるが、微生物菌体、
細胞、オルガネラ等を固定する際には包括法を併用して
も良い。担体結合法のうちでは共有結合法、イオン結合
法が好適であり、共有結合法としては例えばジアゾ法、
アルキル化法、ペプチド法などが好ましい。また、これ
らの化学薬品を用いる結合法の外、光や放射線の照射を
利用して共有結合や、イオン結合を行なわせることもで
きる。
不溶化処理されたポリビニルアルコールや、エチレンビ
ニルアルコール系ポリマー、セルロース等の水酸基は、
酵素、抗原、抗体、細胞、オルガネラ、微生物菌体、核
酸、ホルモン、免疫関連物質、抗生物質、医薬品などの
有する水酸基、アミノ基、カルボキシル基等と適当な試
薬によつて結合する事ができる。以下にビニルアルコー
ルの水酸基と、生理活性物質のアミノ基間の結合形成法
を例として列挙する。ここで固定化物のアミノ基をR−
NH2、ビニルアルコールを で示す。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) アクリル酸系ポリマーよりなる膜への生理活性物質の固
定は例えば次の様にして行なえる。ここで はアクリル酸系ポリマーを、R−NH2は酵素を表わす。
(10) ナイロンよりなる膜への生理活性物質の固定は例えば次
の様にして行なえる。ここで はナイロンを、R−NH2は酵素を表わす。
(11) 次に本発明の生理活性物質固定中空繊維膜を用いる液の
処理方法について述べる。本発明による液の処理方法の
特徴は、生理活性物質は透過しえないが、被処理物質や
産生物質は十分透過しうる膜を用い、被処理物質の溶液
を、圧力をドライビングフオースとして多孔層側から膜
壁内を透過させつつ該生理活性物質で処理する点にあ
る。被処理溶液を多孔層側から膜壁を透過させると、生
理活性物質は緻密層で物理的に阻止されるため、長時間
の使用に際し、生理活性物質の脱離がない。一方、被処
理物質や産生物質は該緻密層を十分透過しうるので、膜
壁内部に沈着して処理速度を劣化させる恐れがない。
本発明の処理方法のもう1つの特徴は被処理液を中空繊
維膜の多孔層側に流しておく点である。これは一般に被
処理液体は被処理物質以外の夾雑物質を含むため、該夾
雑物質の多孔層への沈着を防止する手段として行なわれ
る。
被処理液は、生理活性物質を固定した膜の反応収率、反
応速度、目的とする物質の所望の純度等により、バツチ
式、連続式のうち好適な方法で処理することができる。
また同様の見地より循環量と膜透過量の比も最適な条件
を選択することができる。被処理液の流路は中空繊維膜
の中空部でも、外表面側でも良い。通常は中空部を流す
方が有利である。また上記の様な方法で処理を行なうに
際し、本発明の中空繊維膜は単繊維としてだけでなく、
両端開口型や片端閉止型など公知のモジユール形態に集
束、成形して用いることができる。
本発明の中空繊維膜の具体的な利用例としては例えば医
療用として抗原(抗体)を固定した該中空繊維膜の多孔
部に血液を加圧導入し、該膜によつて血漿を一部分離
し、膜壁内を通過せしめつつ抗体(抗原)を選択的に吸
着除去し、悪性物質を含有しない正常血清を得、それを
再び中へ戻す方法への利用を挙げることができる。同様
にして、免疫複合体、コレステロール、フイブリノーゲ
ン、α1−グリコプロテイン、免疫抑制因子、リウマチ
因子等の除去にも利用できる。
生化学分野では例えばDNA組換え技術で育種された微
生物を中空繊維膜の膜壁内および(または)表面に固定
し、膜の一方の側より培養液と共にペプチド、アミノ
酸、糖、ATP、塩類等の低分子量原料物質を供給し、
他の側より人由来ホルモン、ポリペプチド、インターフ
エロン、ワクチンなどの高分子量生産物を得ることに利
用できる。同様に菌体外タンパク質生産菌を固定した膜
を用いて、飼料用や食料用タンパク質の生産を行なわせ
ることもできる。
食品工業の分野では例えばβ−ガラクトシダーゼを固定
した中空繊維膜に、多孔層側よチーズホエーを供給し、
ホエー中の乳糖を膜壁内を通過させつつ連続的に加水分
解することができる。本発明によれば、この際に分子量
数万のホエータンパク質も膜壁内を通過し得るため、従
来の限外過膜を担体とする酵素固定膜の欠点であるホ
エータンパク質の膜面上への濃縮、ゲル層生成と、それ
に伴なう加水分解速度の低下を防止することもできる。
本発明の対象となる被処理液としては上記の例の外、体
液、血漿、細胞や微生物の培養液、多糖類、糖蛋白、蛋
白、ペプタイド、核酸等の合成のための調製原料および
(または)生成物含有液、さらに食品工業や医薬品製造
における製造工程液、廃液などがある。
〔実施例〕 以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1および比較例1〜3 エチレンビニルアルコール(エチレン含有量32モル
%、ケン化度99.9%)よりなる数種の膜構造の異なる中
空繊維膜を用いて公知の方法により膜面積50cm2の小
型モジユールを作製した。
該モジユールの中空繊維内外に硫酸10W/V%、芒硝
25W/V%、アミノアセトアルデヒド5W/V%を含
む水溶液を流し、24時間、40℃でアミノアセタール
化を行なつたのち、純水で十分に洗浄した。次いで5μ
g/mlのインペルターゼ水溶液を中空部側に流し、1部
は膜壁を通過させつつ室温下で10時間循環し、インペ
ルターゼの固定化を行なつた。純水で十分に未結合状態
の酵素を洗浄除去した後、1W/V%のサツカロースを
含む酢酸緩衝溶液を用いpH4.5、40℃において吸着
率、比活性、活性収率の測定を行なつた。結果を表−1
に示す。なお、ここでいう吸着率とは であり、比活性とは であり、活性収率とは のことである。
また該モジユー件の多孔層側に1W/V%のサツカロー
スを含む酢酸緩衝溶液(pH4.5、40℃)を10ml/min
の速度で供給し、一部を膜壁を透過させつつ10分間循
環し、単位時間当りのグルコース生成量を測定した。結
果を表−1に示す。
吸着量、グルコース生成速度の比較から明らかな様に本
発明の膜は他の構造の膜と比較して吸着量(固定化量)
が大きく、処理速度も速い。また、固定化にともなう酵
素活性の低下も少ない。
実施例2および比較例4 実施例1と同様にして作製した固定化膜モジユールを用
い、1W/V%のサツカロース溶液を10ml/minで連続
的に多孔層側に流し、一部を膜壁を透過させる場合
(実施例2) 緻密層側に流し、一部を膜壁を透過さ
せる場合(比較例4)について、活性保持率の経時変化
を調べた。ここでいう活性保持率とは次式で計算される
ものである。
表−2に示した活性保持率の経時変化の結果から本発明
の処理方法が安定した活性を維持していることがわか
る。
実施例3および比較例5〜6 酵素としてグルコアミラーゼ(分子量7万)、被処理物
質としてマルトースを用いた他は実施例1および比較例
2〜3と同様に行なつた。結果を表−3に示す。表−3
の結果から本発明の多層構造中空繊維膜、および該中空
繊維膜を用いた液の処理方法が優れていることは明らか
である。
〔発明の効果〕 本発明によれば、生理活性物質が化学的に結合された中
空繊維膜であつて、該中空繊維膜は、一方の表面層およ
び該表面層に接する膜壁内部に該生理活性物質が透過し
うる孔径の多孔層を有し、他方の表面層もしくは膜壁内
部に該生理活性物質が透過しえない緻密層を有し、比表
面積が30m2/g以上で、かつ膜壁内部に巨大な空隙部を
実質的に有していないことを特徴とする生理活性物質固
定多層構造中空繊維膜と、該中空繊維膜の多孔層側に、
該生理活性物質よりもストークス径の小さな被処理物質
を含む溶液を流し、その一部を膜壁を透過させつつ処理
し、得られた処理液を該中空繊維膜の膜壁を通して取り
出すことを特徴とする生理活性物質固定多層構造中空繊
維膜を使用した液の処理方法を提供することができる。
本発明の生理活性物質固定多層構造中空繊維膜、および
該中空繊維膜を使用した液の処理方法は、各種有用物質
の合成手段として、あるいは各種センサー用、医療用、
分析用など、広範囲な用途を有するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生理活性物質が化学的に結合された中空繊
    維膜であって、該中空繊維膜は、一方の表面層および該
    表面層に接する膜壁内部に該生理活性物質が透過しうる
    孔径の多孔層を有し、他方の表面層もしくは膜壁内部に
    該生理活性物質が透過し得ない緻密層を有し、比表面積
    が30m/g以上で、かつ膜壁内部に巨大な空隙部を
    実質的に有していないことを特徴とする生理活性物質固
    定多層構造中空繊維膜。
  2. 【請求項2】生理活性物質が化学的に結合された中空繊
    維膜であって、一方の表面層および該表面層に接する膜
    壁内部に該生理活性物質が透過しうる孔径の多孔層を有
    し、他方の表面層もしくは膜壁内部に該生理活性物質が
    透過し得ない緻密層を有し、比表面積が30m/g以
    上で、かつ膜壁内部に巨大な空隙部を実質的に有してい
    ない多層構造中空繊維膜の多孔層側に、該生理活性物質
    よりも、ストークス径の小さな被処理物質を含む溶液を
    流し、その一部を膜壁を透過させつつ処理し、得られた
    処理液を該中空繊維膜の膜壁を通して取り出すことを特
    徴とする生理活性物質固定多層構造中空繊維膜の使用に
    よる液の処理方法。
JP59213691A 1984-10-11 1984-10-11 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法 Expired - Fee Related JPH0611327B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59213691A JPH0611327B2 (ja) 1984-10-11 1984-10-11 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP59213691A JPH0611327B2 (ja) 1984-10-11 1984-10-11 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6190671A JPS6190671A (ja) 1986-05-08
JPH0611327B2 true JPH0611327B2 (ja) 1994-02-16

Family

ID=16643386

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP59213691A Expired - Fee Related JPH0611327B2 (ja) 1984-10-11 1984-10-11 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0611327B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0183184A1 (en) * 1984-11-30 1986-06-04 Ppg Industries, Inc. Method of cultivating cellular biomaterial and glass fibers with cellular biomaterial or biomaterial
JPS63192397A (ja) * 1987-02-05 1988-08-09 Shokuhin Sangyo Bio Riakutaa グルコースの連続的製造法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51145474A (en) * 1975-06-10 1976-12-14 Kuraray Co Ltd A blood dialysis membrane with outstanding dialysis performance and a process for producing it
JPS5221420A (en) * 1975-08-12 1977-02-18 Kuraray Co Ltd Process for producing hollow polyvinyl alcohol fibers
JPS56131387A (en) * 1980-03-19 1981-10-14 Nitto Electric Ind Co Ltd Immobilized enzyme and its preparation
JPS56164789A (en) * 1980-05-21 1981-12-17 Hitachi Ltd Immobilized enzyme membrane
JPS57149509A (en) * 1981-03-09 1982-09-16 Toray Ind Inc Preparation of hollow separating membrane
JPS6111054A (ja) * 1984-06-25 1986-01-18 三菱レイヨン株式会社 血液浄化システム
JPS6120560A (ja) * 1984-07-10 1986-01-29 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸濾過膜
JPS6125566A (ja) * 1984-07-13 1986-02-04 三菱レイヨン株式会社 多孔質膜
JPS6131165A (ja) * 1984-07-23 1986-02-13 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸膜
JPS6137252A (ja) * 1984-07-31 1986-02-22 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸膜

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51145474A (en) * 1975-06-10 1976-12-14 Kuraray Co Ltd A blood dialysis membrane with outstanding dialysis performance and a process for producing it
JPS5221420A (en) * 1975-08-12 1977-02-18 Kuraray Co Ltd Process for producing hollow polyvinyl alcohol fibers
JPS56131387A (en) * 1980-03-19 1981-10-14 Nitto Electric Ind Co Ltd Immobilized enzyme and its preparation
JPS56164789A (en) * 1980-05-21 1981-12-17 Hitachi Ltd Immobilized enzyme membrane
JPS57149509A (en) * 1981-03-09 1982-09-16 Toray Ind Inc Preparation of hollow separating membrane
JPS6111054A (ja) * 1984-06-25 1986-01-18 三菱レイヨン株式会社 血液浄化システム
JPS6120560A (ja) * 1984-07-10 1986-01-29 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸濾過膜
JPS6125566A (ja) * 1984-07-13 1986-02-04 三菱レイヨン株式会社 多孔質膜
JPS6131165A (ja) * 1984-07-23 1986-02-13 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸膜
JPS6137252A (ja) * 1984-07-31 1986-02-22 三菱レイヨン株式会社 多孔質中空糸膜

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6190671A (ja) 1986-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
D'souza Immobilized enzymes in bioprocess
Brena et al. Immobilization of enzymes: a literature survey
Rosevear Immobilised biocatalysts—a critical review
Cao Carrier-bound immobilized enzymes: principles, application and design
US4004979A (en) Preparation of active proteins cross-linked to inactive proteins
Ulbricht et al. Polyacrylonitrile enzyme ultrafiltration membranes prepared by adsorption, cross-linking, and covalent binding
Abdelmajeed et al. Immobilization technology for enhancing bio-products industry
Khan Immobilized enzymes: a comprehensive review
Karav et al. Recent advances in immobilization strategies for glycosidases
Gupta et al. Unique applications of immobilized proteins in bioanalytical systems
JP2005502321A (ja) 化合物を分離、精製、濃縮、固定化、および合成するための高容量法、ならびにそれに基づく用途
Gemeiner et al. Biochemical engineering of biocatalysts immobilized on cellulosic materials
Kurokawa et al. Immobilization of enzyme onto cellulose–titanium oxide composite fiber
JPS6190672A (ja) 生理活性物質を固定した多孔性中空繊維を使用した液の処理方法
JPH0611327B2 (ja) 生理活性物質を固定した多層構造の中空繊維および該中空繊維を使用した液の処理方法
Dwevedi et al. Enzyme immobilization: a breakthrough in enzyme technology and boon to enzyme based industries
Powell Developments in immobilized-enzyme technology
JPS5835679B2 (ja) コウソハンノウノ ジツシホウホウ
JPH0364173B2 (ja)
JPS5826316B2 (ja) 酵素または微生物による連続反応方法
Giorno Membrane bioreactors
Godjevargova et al. Influence of matrix on external mass transfer resistance in immobilized urease membranes
Mazzola et al. Immobilization and characterization of L-asparaginase on hollow fibers
Keyes et al. Immobilized enzymes
Burnett Immobilized Enzymes

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees