JPH0610862Y2 - 家具キャビネット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、水栓金具等のアダプターを取り付けて用いら
れる洗面化粧台や流し台等の家具キャビネットに関す
る。

［背景技術とその問題点］ 第５図に示すものは、従来より用いられている幅狭タイ
プの洗面化粧台Ｐの背面側からの斜視図である。このよ
うな、幅狭タイプの洗面化粧台Ｐでは、キャビネット本
体５１の背面に固定された背板５２の上端と洗面ボール
カウンター５３との間に洗面ボールカウンター５３の下
面部に臨む作業用窓５４が開口されている。この作業用
窓５４は、洗面ボールカウンター５３に水栓金具等のア
ダプターを取り付ける際に、作業を行なうための開口で
あり、作業用窓５４から手を差し入れることにより、洗
面ボールカウンター５３の下面でアダプターを固定でき
るので、幅の狭い洗面化粧台Ｐでも、外部からの作業に
より容易にアダプターの取り付けを行なうことができ
る。

しかしながら、このように洗面化粧台Ｐの背面に作業用
窓５４が開口していると、据え付け後、キャビネット本
体５１の扉（図示せず）を開いて内部を覗いた時、作業
用窓５４を通して洗面化粧台Ｐの背後の壁面が見えて非
常に見映えが悪く、また、ゴキブリ等が作業用窓５４か
らキャビネット本体５１内に侵入する恐れがあり、不衛
生であった。

次に、第６図に示すものは、従来よりユニットタイプや
システムタイプで用いられている幅の広い洗面化粧台Ｑ
の背面側からの斜視図である。このような幅広タイプの
洗面化粧台Ｑでは、キャビネット本体５６の背面は、キ
ャビネット本体５６に固定された背板５７によって完全
に塞がれており、このためキャビネット本体５６の扉を
開いても、背後の壁面が見えたりすることがなく、ま
た、扉を閉じてあれば、内部にゴキブリ等が侵入する恐
れもない。

しかしながら、このタイプの洗面化粧台Ｑでは、洗面ボ
ールカウンター５８に水栓金具等のアダプターを取り付
ける際、施工者は、キャビネット本体５６の中にもぐり
込み、洗面ボールカウンター５８の下面でアダプターを
固定しなければならない。しかも、洗面ボールカウンタ
ー５８の上面でアダプターを押えて位置決めしている必
要があり、少なくとも２人の施工者を必要とし、施工性
が悪いという問題があった。

本考案は、叙上の従来例の欠点に鑑みてなされたもので
あり、その目的とするところは、水栓金具等のアダプタ
ーの取り付けをキャビネット本体の外部から行なうこと
ができ、しかも、施工後の仕上がりも良好で、衛生的な
家具キャビネットを提供することにある。

［課題を解決するための手段］ このため、本考案の家具キャビネットは、アダプターの
取付け可能なカウンターをキャビネット本体の上面に設
けた家具キャビネットにおいて、キャビネット本体の背
面に、キャビネット本体よりも高さの低い背板を前記キ
ャビネット本体側面に設けた溝に嵌入し、当該溝に沿っ
て上下摺動自在に取り付け、背板の下降時には、カウン
ター下面で作業を行なうための作業用窓をキャビネット
本体の背面上部に開口させると共に背板の上昇時には、
前記作業用窓を背板によって閉成させるようにし、キャ
ビネット背面側から背板をビスのような止め具により固
定したことを特徴としている。

［作用］ 本考案にあっては、家具キャビネット背面側から背板を
固定しているビスを取り外し、キャビネット本体側面に
設けた溝に嵌入させた背板を下げると、キャビネット本
体の背面上部に作業用窓が開口されるので、家具キャビ
ネットのカウンターにアダプターを取り付ける際には、
作業用窓からカウンターの下に手を入れて、アダプター
の固定を行なうことができる。したがって、従来のよう
に、キャビネット本体の内部にもぐり込んでアダプター
の固定を行わずともよく、アダプターの取り付け作業を
一人で容易に行なえる。

しかも、背板は、キャビネット本体の背面に、当該溝に
沿って上下摺動可能に取り付けられているので、アダプ
ターの取り付けが完了した後は、背板を持ち上げてキャ
ビネット背面側からビスにより固定することにより作業
用窓を塞ぐことができる。こうして、作業用窓を塞いだ
状態で施工しておけば、作業用窓から背後の壁面が見え
ることがなく、また、ゴキブリ等が作業用窓からキャビ
ネット本体内に侵入することもない。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を添付図に基づいて詳述する。

第１図〜第３図は、本考案の一実施例の洗面化粧台Ａを
示す。第１図に示すように、洗面化粧台Ａは、キャビネ
ット本体１の上面に洗面ボールカウンター２を取り付け
たものであり、洗面ボールカウンター２には、現場にお
いて水栓金具（図示せず）を取り付けるための上下に貫
通した孔（図示せず）が開口されている。キャビネット
本体１の底部では、下端面よりも上方に底板３が設けら
れ、底板３の上方が収納空間４となっており、キャビネ
ット本体１の前面には収納空間を開閉するための扉（図
示せず）が設けられている。また、キャビネット本体１
の側板５の後端部には、上下方向のほぼ全長にわたって
溝加工が施されており、この溝６内に背板７の両側端を
摺動自在に嵌入させてある。さらに、溝６の後ろにおい
て、両側板５間には、複数本の横棧８ａ，８ｂ，８ｃが
架設されている。この背板７は、底板３や各横棧８ａ，
８ｂ，８ｃと接続されておらず、このため底板３と各横
棧８ａ，８ｂ，８ｃの間において、溝６に沿って上下方
向に自由に摺動するようになっている。そして、この洗
面化粧台Ａは、背板７が自由に摺動できる状態（但し、
背板７を仮止めしておいても差し支えない。）で出荷さ
れる。

しかして、上記洗面化粧台Ａが現場に搬入されると、第
１図のように背板７を下降させ、キャビネット本体１の
背面上部に作業窓９を開口させる。ついで、洗面ボール
カウンター２の孔に水栓金具の固定部分を通し、洗面ボ
ールカウンター２の上面に水栓金具を立て、一方の手で
水栓金具を位置決めして保持し、キャビネット本体１の
作業用窓９から洗面ボールカウンター２の下に他方の手
を差し入れ、洗面ボールカウンター２の下面でナット等
を締め付けて水栓金具を洗面ボールカウンター２に固定
する。こうして、水栓金具の取り付けが完了したら、第
２図に示すように、背板７を持ち上げて作業用窓９を閉
じる。ここで、作業用窓９の高さと底板３から床までの
高さとは、ほぼ等しくなっているので、背板７を持ち上
げても、第３図のように背板７の下端が底板３の近くま
で上昇するだけで、背板７と底板３の間に隙間が生じな
い。こうして、背板７によって作業用窓９を塞いだ後、
第２図及び第３図に示すように、横棧８ｃの通孔１０及
び背板７を貫通させて底板３（もしくは、その補強棧３
ａ）にビス１１を打ち込み、背板７を底板３等に共止め
する。ついで、洗面化粧台Ａの背面を据付け場所の壁面
に当てて据え付け、収納空間４側から横棧８ｂの固定用
孔１２及び壁面にビス（図示せず）を打ち込み、洗面化
粧台Ａを固定する。この結果、背板７は、横棧８ｂを貫
通したビスによって固定される。

こうして、据付けが完了した後は、初めに開口していた
作業用窓９は背板７によって塞がれているので、扉を開
いて収納空間４を覗いた場合にも、背後の壁面が見える
ことがなく、施工後の仕上がりが良好となる。また、扉
を閉じれば、キャビネット本体１内部の収納空間が密閉
状態となるので、内部にゴキブリ等が侵入する恐れがな
く、衛生的に使用できる。

なお、上記実施例では、背板７を持上げた時、底板３と
背板７の間に隙間が生じないためには、作業用窓９の高
さと底板３から床までの距離がほぼ等しいか、あるいは
底板３から床までの距離の方が大きくなっている必要が
ある。

第４図に示すものは、本考案の他例であって、底板３か
ら床までの距離が作業用窓９の高さよりも小さい場合の
構造を示している。このような場合には、背板７を持ち
上げると、背板７の下端と底板３の間に隙間が生じるの
で、底板３の後端面に全幅にわたって補助板１３を取付
け、補助板１３を背板７と摺り合わせるように配置して
ある。従って、持上げられた背板７の下端と底板３の間
の隙間は、補助板１３によって塞がれる。持上げられた
背板７は、例えばビス１４によって横棧８ｃ及び補助板
１３に固定することができる。また、この補助板１３は
背板７と同じ外観のパネルを用いるのが望ましい。

なお、アダプターは、水栓金具に限るものでなく、例え
ばハンドシャワーを立てるホルダー等を洗面化粧台に取
付ける場合などにも、作業用窓は有用である。また、家
具キャビネットも、洗面化粧台に限らず、流し台、ある
いは水回りで用いられる以外のものであってもよい。

［考案の効果］ 本考案によれば、キャビネット背面側から背板を固定し
ているビスを取り外し、キャビネット本体側面の溝に嵌
入させた背板を下降させてキャビネット本体の背面上部
にアダプター固定作業を行なうための作業用窓を開口さ
せることができるので、作業用窓から手を差し込むこと
によってアダプターをカウンターの下面で固定させるこ
とができ、アダプターの取り付け作業を一人で容易に行
なうことができる。また、アダプターの取り付けが完了
した後は、当該溝に沿って背板を上昇させて作業用窓を
塞ぐことができるので、扉を開いても、作業用窓から背
後の壁面が見えることがなく、キャビネット本体内部の
見映えを良好にすることができる。また、キャビネット
本体内部にゴキブリ等が侵入する恐れがなく、衛生的に
も優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例であって、水栓金具を取り付
ける際の状態を示す一部破断した斜視図、第２図は同上
の水栓金具取り付け後の状態を示す斜視図、第３図は第
２図の一部を拡大して示す断面図、第４図は本考案の他
例を示す一部切欠した断面図、第５図は従来の洗面化粧
台を示す斜視図、第６図は洗面化粧台の別な従来例を示
す斜視図である。 １…キャビネット本体 ２…洗面ボールカウンター ７…背板 ９…作業用窓

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】アダプターの取付け可能なカウンターをキ
   ャビネット本体の上面に設けた家具キャビネットにおい
   て、 キャビネット本体の背面に、キャビネット本体よりも高
   さの低い背板を前記キャビネット本体側面に設けた溝に
   嵌入し、当該溝に沿って上下摺動自在に取り付け、背板
   の下降時には、カウンター下面で作業を行なうための作
   業用窓をキャビネット本体の背面上部に開口させると共
   に背板の上昇時には、前記作業用窓を背板によって閉成
   させるようにし、キャビネット背面側から背板をビスの
   ような止め具により固定したことを特徴とする家具キャ
   ビネット。