JPH06107976A - 金色の金属光沢色から熱変色する熱変色性塗装膜およびこの塗装膜を製造する為に使用する塗装組成物 - Google Patents

金色の金属光沢色から熱変色する熱変色性塗装膜およびこの塗装膜を製造する為に使用する塗装組成物

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JPH06107976A
JPH06107976A JP4305793A JP30579392A JPH06107976A JP H06107976 A JPH06107976 A JP H06107976A JP 4305793 A JP4305793 A JP 4305793A JP 30579392 A JP30579392 A JP 30579392A JP H06107976 A JPH06107976 A JP H06107976A
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裕 柴橋
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 可逆的に金属光沢を有する金色から無色また
は他の色に熱変色する塗装膜とこの塗装膜を製造する為
に使用する塗装組成物を提供する。 【構成】 A.天然雲母の表面を41〜44重量%の酸
化チタンで被覆した被覆層の光学的厚さが180〜24
0nmであって粒度が5〜60μmの金色金属光沢顔料
またはさらに非熱変色着色料を含有する金色金属光沢顔
料と、 B.電子供与性化合物と電子受容性化合物と両者の呈色
反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる熱
変色材料で発色状態の色濃度の明度値が6以下で消色状
態の無色の明度値が8以上である熱変色材料と C.透明な膜形成材とからなり、Aの金属光沢顔料とB
の熱変色材料とがA:B=1:0.25〜98の重量比
で配合されている、可逆的に金色の金属光沢色から無色
に変色する熱変色性膜状物およびこの膜状物を形成する
塗装組成物とシートを包含する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金色の金属光沢熱変色性
塗装膜およびこの塗装膜を形成するのに用いられる塗装
組成物に関する。さらに詳細には、温度変化により金色
からの無色ないし他の色に色変化を呈する金属光沢調の
熱変色性塗装膜およびこの塗装膜を形成するのに用いら
れる塗装組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、温度変化により有色←→無
色、有色〔1〕←→有色〔2〕の可逆的色変化を呈する
熱変色性材は特公昭51−44706号公報、特公昭5
1−44707号公報、特公昭51−44708号公
報、特公昭52−7764号公報、特公昭51−465
48号公報、特開昭62−140881号公報等に記載
されており、これを利用して彩色した熱変色材は示温要
素、玩具要素、マジック要素等として実用に供されてい
る。しかしながら、温度変化により金色の金属光沢色か
ら無色への可逆的変化や、他の異なる有色への可逆的色
変化を呈する熱変色性材及び前記色変化を鮮明に発現さ
せる熱変色材料は、未だ知られていない。この他、色変
化を多様化させる試みは実公平3−14400号公報に
開示されている。この公報に記載されている熱変色材は
感熱液晶を真珠光沢層で覆い、真珠光沢感のある色変化
を発現させようとするものである。ところが液晶は本来
無色であり、可視光線の選択的散乱である特定の波長を
反射する為、裏面に黒つぽい不透明層が必要であり、従
って、その色変化は、黒−赤−黄−緑−青−紫−黒に見
えるため、その上に真珠光沢層を設けたとしても、前記
本発明の色変化ほど鮮明にならない。例えば、金色真珠
光沢顔料を使用した場合、その色変化は、金色−金色か
かった赤−金色かかった黄−金色かかった緑−金色かか
った青−金色かかった紫−金色となり、明瞭な変化を示
さない。又、真珠光沢色から無色の色変化を発現させる
ことが出来ず、下地を隠蔽したり、顕現させることが出
来ない。しかしながら金色は豪華な色であり、金色から
の変色は看者の目を最も強く引くためこのような変色を
する物が強く要求されている。そして塗装によりこのよ
うな被膜を形成することは容易であるので金色から熱変
色する塗装組成物に対する要求が大きい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、熱変色
性材料による金色の金属光沢色から鮮明で多彩に熱変色
させるため研究を行ない、本発明を完成させたのであ
る。本発明に用いる熱変色性材料は、液晶と異なり、熱
変色性材料自体に明瞭な色変化がある為、下層に黒っぽ
い不透明層を設けるなどの必要がなく、しかも有色−無
色の変化が出来る特徴がある。従って、前記熱変色材料
による有色−無色の熱変色性材料に金色の金属光沢顔料
を配合することにより金色の金属光沢色から無色の色変
化を視覚させることが出来る。従って、例えば黒色−白
色の熱変色材料を用いることにより、黒色から白色の色
変化を呈することが出来、前記熱変色材料に金色の金属
光沢顔料を混合することにより金色の金属光沢色から白
色の色変化を看者に視覚させることが出来る。また非熱
変色性着色剤を混合させることによる金色の金属光沢色
から有色の明瞭な色変化を視覚させることも出来る。こ
の種の色変化は前記液晶の系では発現出来ない。更に
は、熱変色性材料としてヒステリシス幅が極めて大きい
熱変色性材料いわゆる色彩記憶性感温色素を含む色材を
使用することにより、熱変色に要した熱又は冷熱を取り
去った後も変化した状態を保持させることが出来、常温
域でその状態を視覚させることも出来る効果を奏する。
こうして金色の金属光沢色の熱による色変化が明瞭に発
現されるので、本発明は、装飾分野、インテリヤ分野、
玩具、文具、情報分野に広く利用される。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、
【0005】「1. A.天然雲母の表面を41〜44
重量%の酸化チタンで被覆した被覆層の光学的厚さが1
80〜240nmであって粒度が5〜60μmの金色金
属光沢顔料と、 B.電子供与性化合物と電子受容性化合物と両者の呈色
反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる熱
変色材料で発色状態の色濃度の明度値が6以下で消色状
態の無色の明度値が8以上である熱変色材料と、 C.透明な塗装膜形成材とからなり、Aの金属光沢顔料
とBの熱変色材料とがA:B=0.25〜98:1の重
量比で配合されsいる、可逆的に金色の金属光沢色から
無色に変色する熱変色性塗装膜。 2. 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を30〜48
重量%の酸化チタンで被覆しその上を4〜10重量%の
酸化鉄で被覆した被覆層の光学的厚みが140〜240
nmであり粒度5〜60μmの金色の金属光沢顔料であ
る、1項に記載された可逆的に金色の金属光沢色から淡
黄色または染顔料の色に変色する熱変色性塗装膜。 3. 1項または2項に記載された可逆的に金色の金属
光沢色から無色に変色する熱変色性塗装膜においてさら
にC.非熱変色性染顔料を配合した、発色時の混合系の
色濃度の明度値(V1)が6以下で消色時の混合系の有
色の明度値(V2)が4以上であって(V2)−(V
1)>1である、可逆的に金色の金属光沢色から染顔料
の色に変色する熱変色性塗装膜。 4. 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を30〜48
重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10重
量%の非熱変色性有色染顔料を被覆した被覆層の光学的
厚みが140〜240nmであり粒度5〜60μmの金
色金属光沢顔料である、1項ないし3項のいずれか1項
に記載された可逆的に金色の金属光沢色から非熱変色性
染顔料の色に変色する熱変色性塗装膜。 5. 熱変色材料が電子供与性化合物と電子受容性化合
物と両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒
体をマイクロカプセルに包んだ熱変色材料である、1項
ないし4項のいずれか1項に記載された、可逆的に金色
から無色ないし淡黄色または染顔料の色に変色する熱変
色性塗装膜。 6. A.天然雲母の表面を41〜44重量%の酸化チ
タンで被覆した被覆層の光学的厚さが180〜240n
mであって粒度が5〜60μmの金色金属光沢顔料と、 B.電子供与性化合物と電子受容性化合物と両者の呈色
反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる発
色状態の色濃度の明度値が6以下で消色状態の無色の明
度値が8以上である熱変色材料と、 C.透明な塗装膜形成材とからなり、Aの金属光沢顔料
とBの熱変色材料とがA:B=0.25〜98:1の重
量比で配合されている可逆的に金色の金属光沢色から無
色に変色する熱変色性塗装組成物。 7. 6項に記載された金色金属光沢顔料と熱変色材料
と塗装膜形成材とからなる塗装組成物に非熱変色性染顔
料を配合した発色時の混合系の色濃度の明度値(V1)
が6以下で消色時の混合系の有色の明度値(V2)が4
以上であって(V2)−(V1)>1の組成物である可
逆的に金色の金属光沢色から染顔料の色に変色する熱変
色性塗装組成物。 8. 熱変色材料が電子供与性化合物と電子受容性化合
物と両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒
体をマイクロカプセルに包んだ熱変色材料である6項な
いし7項のいずれか1項に記載された、可逆的に金色か
ら無色ないし染顔料の色に変色する熱変色性塗装組成
物。 9. 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を30〜48
重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5〜10重
量%の非熱変色性有色染顔料を被覆した被覆層の光学的
厚みが140〜240nmであり粒度5〜60μmの金
色金属光沢顔料である、6項ないし8項のいずれか1項
に記載された可逆的に金属光沢色から非熱変色性染顔料
の色に変色する熱変色性塗装組成物。 10. 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を30〜4
8重量%の酸化チタンで被覆しその上を4〜10重量%
の酸化鉄で被覆した被覆層の光学的厚みが140〜24
0nmであり粒度5〜60μmの金色の金属光沢顔料で
ある、6項ないし8項のいずれか1項に記載された可逆
的に金色の金属光沢色から淡黄色に変色する熱変色性塗
装組成物。」 に関する。
【0006】本発明で使用する金色の金属光沢顔料は、
具体的には、天然雲母粒子の表面を酸化チタンで被覆し
た、金色を呈する顔料である。また、天然雲母粒子の表
面を酸化チタンで被覆し、その上層を酸化鉄で被覆した
金色金属光沢顔料も使用される。その他酸化チタンを被
覆した金色の金属光沢顔料を非熱変色性有色染顔料で被
覆した二色性金属光沢顔料も使用される。
【0007】金色の金属光沢顔料を更に具体的に説明す
れば、金色金属光沢顔料は天然雲母粒子の表面を41〜
44重量%の酸化チタンで被覆した、被覆層の光学的厚
さ180〜240nm、粒度5〜60μmの金属光沢顔
料、或いは天然雲母粒子の表面を30〜48重量%の酸
化チタンで被覆し、その上層を4〜10重量%の酸化鉄
で被覆した、被覆層の光学的厚さ180〜240nm、
粒度5〜60μmの金色金属光沢顔料、さらに天然雲母
粒子の表面を30〜48重量%の酸化チタンで被覆し、
その上層を0.5〜10重量%の非熱変色性有色染顔料
で被覆した被覆層の光学的厚さ140〜240nm、粒
度5〜60μmの二色性金色金属光沢顔料も使用出来
る。本発明の被覆層の光学的厚さとは屈折率×幾何学的
厚さのことであって、この厚さは或る一定の波長を反射
させることに関連している。言いかえれば特定の光学的
厚みが特定の波長の光を反射させるのであり、天然雲母
の表面に形成した光学的厚み180〜240nmの酸化
チタン層が550〜600nmの金色の光を反射するの
である。熱変色材料は電子供与性呈色化合物と電子受容
性化合物と呈色反応を可逆的に生起させる有機化合物媒
体の三成分を含む熱変色材料が用いられる。 熱変色材
料はマイクロカプセルに内包して使用するのが最も好ま
しい。それは種々の使用条件において熱変色材料は同一
の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することが出来る
からである。
【0008】熱変色性材料の発、消色時の明度値とは無
彩色の配列において、完全な黒を0、完全な白を10と
して、その間を明るさの感覚の差が等間隔になるように
分割したマンセル色票系の明度値を示し、有彩色の明度
は有彩色の明るさの感覚がこれと等しい無彩色の明度値
を示す。即ち、明度値が小さい程、黒色に近く、明度値
が大きい程、白色に近い為、可視光線をどの程度吸収
し、どの程度反射するかの指標に使うことができ、この
指標は、金色金属光沢顔料を透過した可視光線が熱変色
性材料でどのように反射・吸収するかを示すことにな
る。本発明の熱変色性塗装膜は前述の金色の金属光沢顔
料と熱変色性材料と塗装膜形成材により構成される。
【0009】
【作用】本発明の熱変色性塗装膜は、熱変色材の色変化
を金色の金属光沢顔料を透して視覚させるものである。
ここで、金色の金属光沢顔料の性能、即ち天然雲母粒子
の表面の酸化チタンの被覆量の被覆が41〜44重量%
であって光学的厚みが180〜240nmであることに
よる可視光線の波長の選択的干渉作用により生じる虹彩
効果、透過効果と、熱変色材料の明度値の可視光線の反
射吸収効果の相乗作用により金色の金属光沢調の多彩色
変化を視覚させることが出来る。具体的には、雲母は被
覆した酸化チタンの被覆量、即ち被覆層の厚みを調整す
ることにより、干渉時の反射光の波長を変化させる作用
を発揮する。例えば、選択的に黄色の光を反射し、紫色
の光を透過するように調製した酸化チタン被覆雲母は、
下地が黒色の場合には、透過する紫色光は熱変色材料の
黒色に吸収され、550〜600nmの黄色光のみが反
射するため、金色を呈する。一方、熱変色性材料が白色
の場合には、透過した紫色光も反射し、黄色光のみなら
ず紫色光まで反射し、可視光線の全波長を反射すること
になるため、白色に視覚される。従って、熱変色材料を
黒色←→白色に可逆的に変化させることにより、金色←
→白色の可逆的色変化を看者に視覚させる。
【0010】ここで重要なことは酸化チタンの光学的厚
みが180〜240nmであることである。この範囲の
厚みのとき550〜600nmの波長の光を反射し金色
となる。金属光沢顔料は前記の範囲内にある事により、
選択的に紫色の波長の光を透過し、その補色関係にある
黄色の波長の光を反射する特性を与え金色となる事が出
来る。前記の範囲外になると、波長選択性がなくなるか
或いは波長選択性があっても金色にならない。
【0011】酸化チタン上に酸化鉄を被覆した顔料にお
いては、上記波長選択的な反射、透過作用に加え、酸化
鉄自身の持つ紫色光を吸収し、黄色光を反射する特性が
加味される事により、より鮮やかな金色から淡黄色の可
逆的色変化を視覚させる。但し、酸化鉄自身の色により
淡黄色に着色するため、下地が白色でも被覆層は淡黄色
に見える。酸化チタンの被覆率が30重量%未満の場合
には十分な金色が出にくい為金色にするためには、酸化
鉄で10重量%を超えて被覆する必要がありその結果金
色にはなるが熱変色材料が変色しても金属光沢層は常に
金色を呈する事になり、明瞭な色変化が得られない。ま
た、酸化チタンの被覆率が48重量%を超えると選択的
に反射する光の色が黄色ではなくなる為、その後で酸化
鉄で被覆しても綺麗な金色にはならない。酸化鉄の被覆
率が4重量%未満の場合上に示した酸化鉄の効果が充分
現れず10重量%を超える場合には、金色にはなるが、
熱変色材料が変色しても金属光沢層は常に金色になり明
瞭な色変化が得られない。
【0012】酸化鉄を併用する場合は、酸化チタン被膜
の上に酸化鉄膜を形成するのが金色の金属光沢色の発現
に最も効果的である。酸化鉄の上に酸化チタンを被覆す
ると酸化チタンの反射効果が大きいので酸化鉄の効果が
小さい。酸化チタンと酸化鉄が混在すると酸化鉄が上層
にあるのにくらべ、酸化チタンが酸化鉄の反射光を遮る
場合もあるので酸化鉄の反射効率が悪くなる。酸化チタ
ン膜の上に酸化鉄膜を設けると、酸化鉄層が紫色の光を
吸収し、他の光を反射する性質があり、この光が黄色に
見えるので酸化チタン層による金属光沢を有する金色に
深みを与える効果がある。上層に酸化鉄膜があることに
よりこの層からの反射光は他の層によりさえぎられたり
反射されることがないからである。
【0013】また、天然雲母粒子の表面の酸化チタンを
被覆し、その上層に非熱変色性有色染顔料を被覆させた
金色の金属光沢顔料においては、被覆させる非熱変色性
有色染顔料の色により、さらに多種多様な色変化を表現
する事が出来、例えば、黒色←→白色の熱変色性材料と
組合わせて、金色←→ピンク色、金色←→青色、等の金
色←→有色の可逆的色変化を視覚させることが出来る。
酸化チタンの上に非熱変色性有色顔料を被覆した顔料
は、上記波長選択的な反射.透過作用により、金色に見
え、金色に影響しない範囲内で有色顔料が被覆されてい
ることにより、金色と有色顔料の色の二色性を示すこと
が出来る。酸化チタンの被覆率が30重量%未満の場合
には、十分な金色が出にくい為、有色顔料を被覆する
と、金色には見えない。また、酸化チタンの被覆率が4
8重量%を超えると、選択的に反射する光の色が黄色で
はなくなる為、金色に見えない。有色顔料の被覆率が
0.5重量%未満の場合、有色の十分な色濃度が得れな
い。10重量%を超える場合には、有色の色濃度が高す
ぎて、金色からの二色性金色にならない。各顔料は前記
の範囲内にあることにより、選択的に金色の波長の光を
透過し、その補色関係にある波長の光を反射する特性を
与えることが出来る。前記の範囲外になると波長選択性
がなくなるか或いは波長選択性はあっても金色にはなら
ない。本発明では前記金属光沢顔料と熱変色材料の混合
比が0.25〜98:1、好ましくは0.5〜95:1
に定められているので、金色からの色変化を明瞭に視覚
させる。金色光沢顔料が0.25未満では金色に見え難
いし、98を越えると熱変色材料の色変化を明瞭に視覚
できず、前記範囲内でコントラストの良好な色変化を視
覚させる。
【0014】前述のように熱変色層は電子供与性呈色化
合物と電子受容性化合物と呈色反応を可逆的に生起させ
る有機化合物媒体の三成分が用いられる。具体的には例
えば前述の特公昭51−35414号公報等に記載され
る。 (1) (イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フ
エノール性水酸基を有する化合物と(ハ)極性の置換基
を有さない鎖式脂肪族1価アルコールの三成分を必須成
分とした可逆性熱変色材料。または、 (2) (イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フ
エノール性水酸基を有する化合物と(ハ)極性の置換基
を有さない脂肪族1価アルコールと極性の置換基を有さ
ない脂肪族モノカルボン酸から得た極性の置換基を有さ
ないエステルより選んだ化合物の三成分を必須成分とし
た可逆性熱変色材料。または、 (3) (イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フ
エノール性水酸基を有する化合物と(ハ)極性の置換基
を有さない高級脂肪族1価アルコールと、極性の置換基
を有さない脂肪族モノカルボン酸と極性の置換基を有さ
ない鎖式脂肪族1価アルコールから得た極性の置換基を
有さないエステルのいずれかより選んだ化合物の三成分
を必須成分とし、これを微小カプセルに内包した可逆性
熱変色材料。あるいは、 (4) (イ)電子供与性呈色性有機化合物と(ロ)フ
エノール性水酸基を有する化合物と(ハ)極性の置換基
を有さない高級脂肪族1価アルコールと、極性の置換基
を有さない高級脂肪族モノカルボン酸と極性の置換基を
有さない鎖式脂肪族1価アルコールとから得た極性の置
換基を有さないエステルより選んだ化合物の三成分を必
須成分とし、これをビヒクル中に溶解又は分散してなる
熱変色性材料。 等である。
【0015】この他特開昭60−264285号公報に
記載されている大きなヒステリシス特性を示して変色す
る色彩記憶性感温変色性色素を含む熱変色性材料、即ち
温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形
状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させ
ていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させて
いく場合とで大きく異なる経路を辿って変色するタイプ
の変色材で低温側変色点の間の常温域において、前記低
温側変色点以下又は高温測変色点以上の温度で変化させ
た状態を記憶保持出来る特徴を有する熱変色材料も使用
される。
【0016】本発明の金色の金属光沢の熱変色塗装膜に
ついて具体的に説明する。本発明の金色の金属光沢の熱
変色塗装膜は、大別すると(A)熱変色材と金色の金属
光沢顔料と塗装膜形成材とからなる熱変色性塗装膜と
(B)熱変色性材料と非変色性着色剤と金色の金属光沢
顔料と塗装膜形成材とからなる金色の金属光沢熱変色性
塗装膜である。前記の熱変色塗装膜は支持体上に形成さ
れるが、表面に透明保護膜を設けてもよい。次に、本発
明の金色の金属光沢調熱変色塗装膜を前記した(A)と
(B)に基づき説明する。
【0017】前記した(A)の塗装膜において、前記金
色の金属光沢顔料は、粒度約5〜100μmの金色の金
属光沢顔料であり、熱変色材料が、電子供与性呈色性有
機化合物、電子受容性化合物、前記両者の呈色反応を可
逆的に生起させる有機化合物媒体の三成分の均質相溶体
からなる熱変色性材料(以下、熱変色性材料と言う)と
からなる変色材料であって、発色状態の色濃度の明度値
が6以下、消色状態の無色の明度値が8以上である熱変
色材と塗装膜形成材により構成され、金色の金属光沢色
から無色、無色から金色の金属光沢色の可逆的色変化を
呈する金色の金属光沢調熱変色塗装膜である。前記にお
いて、熱変色材料の発色状態の色濃度の明度値が6以下
にあると、金色の金属光沢顔料を透過した光を十分吸収
する能力があり、例えば、金色の金属光沢顔料の場合、
明瞭に金色の金属光沢色に見える。しかし、発色状態の
明度値が6を越える場合、金色の金属光沢顔料を透過し
た光を十分吸収できなくなり、一部は又、反射してしま
うため、明瞭な金色の金属光沢色に見えなくなる。一
方、消色状態の無色の明度値が8以上にあると金色の金
属光沢顔料を透過した光を十分反射する能力があるた
め、金色の金属光沢顔料で反射した光と熱変色性材料で
反射した光が混合し、白色光に戻るため、無色に見え
る。しかし、消色状態の明度値が8未満の場合、金色の
金属光沢顔料を透過した光を十分反射できなくなり、一
部吸収するため無色にはならず着色状態の時の金色の金
属色が残る。
【0018】(B)の塗装膜において、前記金色の金属
光沢顔料が約5〜100μmの金色の金属光沢顔料であ
り、熱変色材料が、前記熱変色性材料と非変色性の着色
剤すなわち非熱変色性の染料、顔料が混合された、発色
状態の色濃度の明度値(V)が6以下、消色状態の有
色の明度値(V)が4以上であり、且つ(V)−
(V)>1の関係を満す塗装膜から構成され、金色の
金属光沢色から有色、有色から金色の金属光沢色の可逆
的色変化を呈する金色の金属光沢調熱変色塗装膜が形成
される。前記において、発色状態の混色系の色濃度の明
度値(V)が6以下である理由は前記と同様である。
一方、消色状態の混色系の有色の明度値(V)が4以
上で、且つ前記V−V>1を満足する必要がある埋
由は、この系では非熱変色性の染料、顔料が混合され有
色となるため明度値は小さくなり、染顔料の色によって
変動する。例えば、黄色、橙色等では比較的明度値は大
きく、逆に赤色、青色等では明度値は小さくなる。しか
し、満足する色変化を得るためには消色状態の明度値は
発色状態の明度値より少なくとも1以上大であることが
必要であり、1以下の場合にはコントラストが小さすぎ
て色変化が鮮明にならない。このような条件下で4以上
の明度値があれば、例えば金色から有色、有色から金色
の可逆的色変化を呈することが出来る。しかし、4未満
になると下地の混色層の色濃度が濃くなりすぎ、透過光
を吸収するので金色が消色状態でも見えてしまう。
【0019】尚、前記した熱変色性材料の発、消色時の
明度値が小さい程、黒色に近く、明度値が大きい程、白
色に近い為、可視光線をどの程度吸収し、どの程度反射
するかの指標に使うことができ、この指標は、金色金属
光沢顔料を透過した可視光線がその下にある熱変色性材
料でどのように反射.吸収するかを示すことになる。従
って、熱変色性材料が6以下の明度値であれば、金色金
属光沢顔料を透過した可視光線を十分吸収できる能力を
持ち、その結果として、金色金属光沢顔料で反射した黄
色光のみが視覚できる為、金色に見える。また、逆に、
8以上の明度値になると、金色金属光沢顔料を透過した
可視光線を反射することになるので、金色金属光沢顔料
で反射した黄色光と熱変色性材料で反射した光の両方を
一緒に視覚することになる為、金色には見えなくなる。
【0020】明度値は熱変色性材料の変色温度以下で金
色に見え、変色温度以上で金色が消える特性を有するか
どうかの指標である。本発明の明度値は、下記の如く調
整した試料について、東京電色株式会社製TC−360
0色差計を用いて測定して求めた値である。 1. 熱変色材料(非変色性染顔料を混合させた系も含
む)の明度値の測定 (1)熱変色材料(有色←→無色)の明度値の測定 熱変色性材料10部、50%アクリル酸エステル樹脂/
キシレン溶液45部、キシレン20部及びメチルイソブ
チルケトン20部を撹拌、混合し、明度値9.1の白色
の塩化ビニールシートにスプレーガンにてスプレー塗装
し、乾燥後の厚み40μmの熱変色層を調製する。得ら
れた熱変色層の発色状態及び消色状態の明度値を測定す
る。 (2)熱変色材料(有色I←→有色II)の明度値の測
定 熱変色性材料10部、非熱変色性染顔料を所望量、50
%アクリル酸エステル樹脂/キシレン溶液45部、キシ
レン20部及びメチルイソブチルケトン20部を撹拌、
混合し、明度値9.1の白色の塩化ビニールシートにス
プレーガンにてスプレー塗装し、乾燥後の厚み40μm
の熱変色層を調製する。得られた熱変色層の発色状態及
び消色状態の明度値を測定する。
【0021】つぎに塗装膜形成材を例示する。アイオノ
マー樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂共重合樹
脂、アクリロニトリル−アクリリックスチレン共重合樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロ
ニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、
エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル−塩化ビニルグラ
フト共重合樹脂、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹
脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデ
ン共重合樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプ
ロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ハ
イインパクトポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、
ポリメチルスチレン樹脂、ポリアクリル酸エステル樹
脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、エ
ポキシアクリレート樹脂。アルキルフェノール樹脂、ロ
ジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、フ
ェノール樹脂変性アルキド樹脂、エポキシ樹脂変性アル
キド樹脂、スチレン変性アルキド樹脂、アクリル変性ア
ルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、酢酸ビニル系エマルジョ
ン樹脂、スチレン−ブタジエン系エマルジョン樹脂、ア
クリル酸エステル系エマルジョン樹脂、水溶性アルキド
樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性フ
ェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリブタジ
エン樹脂、酢酸セルローズ、硝酸セルローズ、エチルセ
ルローズ等のセルローズ誘導体が挙げられる。つぎに、
塗装組成物について説明する。塗装組成物は、前述の膜
形成材を水や有機溶剤等の展色料に溶解または分散した
組成物である。本発明は、熱変色性塗装組成物を各種の
基材に塗装し成形体の表面に熱変色性塗装膜を形成して
熱変色性成形物とすることが出来る。塗装基材は紙、合
成紙、布、不織布、合成皮革、レザー、プラスチック、
ガラス、陶磁器、金属、木材、石材等が用いられる。
又、平面状に限らず、凹凸状、繊維状等加工面を有する
ものなどいずれも使用出来る。
【0022】塗装膜の形成は、従来より公知の塗装膜形
成方法、例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グ
ラビ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、
刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗
り、ローラー塗り、浸漬塗装、等の手段により行うこと
が出来る。尚、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止
剤、一重項酸素消光剤、老化防止剤、帯電防止剤、極性
付与剤、揺変性付与剤、消泡剤、安定剤、可塑剤、難燃
剤、体質顔料、滑剤、発泡剤等の添加剤を必要に応じて
添加し、機能を向上させることができる。
【0023】
【実施例】次に本発明の具体化例を図面について説明す
る。 実施例1 図1は本発明の実施例で、1は一層からなる熱変色性塗
装膜である。1には、天然雲母の表面を43重量%の酸
化チタンで被覆した光学的厚みが210nmで、粒度が
10〜60μmの金色金属光沢顔料と2−アニリノ−3
−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン3部、ビスフ
ェノールA6部、ステアリン酸ネオベンチル50部の相
溶体からなる熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン系
硬化剤の界面重合法による微小カプセル化で得られた平
均粒子系8μmの微小カプセル形態で、発色時の明度値
が2.2、消色時の明度値が9.0である熱変色性材料
とアクリル酸エステル樹脂とからなる厚み約100μm
の熱により発色と消色を可逆的に行なう塗装膜である。
尚、前記金属光沢顔料と熱変色材料の混合重量比率は
1:1である。配合例中、部とあるは重量部であり、以
下実施例も同様である。2は入射光である、15℃以下
で熱変色性材料が発色して、入射光の一部である550
〜600nmの波長の光3を反射し、それ以外の波長の
光4を吸収すると、金色の金属光沢色となり、30℃で
熱変色性材料が消色して、透過光4を反射光5として反
射すると、入射光全てを反射することになり、金色金属
光沢色は消え無色となる。
【0024】実施例2 天然雲母の表面を43重量%の酸化チタンで被覆した、
光学的厚みが210nmで、粒度が10〜60μmの金
色金属光沢顔料と混合系の発色時の明度値が2.8、消
色時の明度値が5.5である2−アニリノ−3−メチル
−6−ジブチルアミノフルオラン3部、ビスフェノール
A6部、ステアリン酸ネオペンチル50部の相溶体から
なる熱変色性組成物をエポキシ樹脂/アミン系硬化剤の
界面重合法による微小カプセル化で得られた平均粒子系
8μmの微小カプセル形態である熱変色性材料と蛍光ピ
ンク顔料とアクリル酸エステル樹脂とからなる厚み約1
00μmの熱により、発色と消色を可逆的に行なう塗装
膜である。尚、金色金属光沢顔料と熱変色材料及び蛍光
ピンク顔料の混合比率は、1:1:0.2である。15
℃以下で熱変色性材料が発色して、入射光の一部である
550〜600nmの波長の光を反射し、それ以外の波
長の光を吸収すると、金色の金属光沢色となり、30℃
以上で熱変色性材料が消色すると金色金属光沢色は消
え、蛍光ピンク顔料の色となる。
【0025】実施例3 天然雲母の表面を36重量%の酸化チタンで被覆し、さ
らに8重量%の酸化鉄で被覆した、光学的厚みが200
nmで、粒度が10〜60μmの金色金属光沢顔料と、
混合系の発色時の明度値が2.5、消色時の明度値が
8.9である2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチル
アミノフルオラン3部、ビスフェノールA6部、ステア
リン酸ネオペンチル50部の相溶体からなる熱変色性組
成物をエポキシ樹脂/アミン系硬化剤の界面重合法によ
る微小カプセル化で得られた平均粒子径8μmの微小カ
プセル形態の熱変色性材料と蛍光黄色顔料、及びアクリ
ル酸エステル樹脂とからなる厚み約100μmの熱によ
り、発色と消色を可逆的に行なう塗装膜である。尚、金
色金属光沢顔料と熱変色性材料及び蛍光黄色顔料の混合
比率は、1:1:0.3である。15℃以下で熱変色性
材料が発色して、入射光の一部である550〜600n
mの波長の光を反射し、それ以外の波長の光を吸収する
と、金色の金属光沢色となり、30℃以上で熱変色性材
料が消色すると金色金属光沢色は消え、蛍光黄色顔料の
色となる。
【0026】実施例4 天然雲母の表面を42重量%の酸化チタンで被覆し、さ
らに2.5重量%の濃紺で被覆した、光学的厚みが21
0nmで、粒度が10〜50μmの金色から青色になる
二色性金色金属光沢顔料と、実施例1で使用した発色時
の明度値が2.2、消色時の明度値が9.0である熱変
色性材料とアクリル酸エステル樹脂とからなる厚み約1
00μmの熱により、発色と消色を可逆的に行なう塗装
膜である。尚、金色金属光沢顔料と熱変色性材料の混合
比率は、1.5:1である。15℃以下で熱変色性材料
が発色して、入射光の一部である550〜600nmの
波長の光を反射し、それ以外の波長の光を吸収すると、
金色の金属光沢色となり、30℃以上で熱変色性材料が
消色すると金色金属光沢色は消え、青色となる。
【0027】比較例1 実施例1の熱変色性材料に代え、発色時の明度値が4.
5、消色時の明度値が6.0である2−アニリノ−3−
メチル−6−ジブチルアミノフルオラン6部、ビスフェ
ノールA10部、ステアリン酸ネオペンチル25部の相
溶体からなる無色とならない熱変色性組成物をエポキシ
樹脂/アミン系硬化剤の界面重合法による微小カプセル
化で得られた平均粒子系8μmの微小カプセル形態の熱
変色性材料を使用した以外は、実施例1と同一とする。
15℃以下では熱変色性材料が発色して、入射光の一部
である550〜600nmの波長の光を反射し、それ以
外の波長の光を吸収すると、金色の金属光沢色となる。
この比較例では、30℃以上で熱変色性材料が消色して
も、透過光をまだ十分吸収することができる為、やや金
色が薄くなっただけで、依然として金色の金属光沢色に
見える。
【0028】比較例2 天然雲母の表面を43重量%の酸化チタンで被覆した、
光学的厚みが210nmで、粒度が10〜60μmの金
色金属光沢顔料と、混合系の発色時の明度値が2.4、
消色時の明度値が3.2である2−アニリノ−3−メチ
ル−6−ジブチルアミノフルオラン6部、ビスフェノー
ルA10部、ステアリン酸ネオペンチル25部の相溶体
からなる無色とならない熱変色性組成物をエポキシ樹脂
/アミン系硬化剤の界面重合法による微小カプセル化で
得られた平均粒子径8μmの微小カプセル形態の熱変色
性材料と緑色顔料、及びアクリル酸エステル樹脂とから
なる厚み約100μmの塗装膜である。尚、金色金属光
沢顔料と熱変色性材料及び緑色顔料の混合比率は、1:
1:1である。15℃以下では熱変色性材料が発色し
て、入射光の可視光線の一部である550〜600nm
の波長の光を反射し、それ以外の波長の光を吸収する
と、金色の金属光沢色となる。この比較例では、30℃
以上で熱変色性材料が消色しても、透過光をまだ十分吸
収することができる為、緑色がかっただけで、依然とし
て金色の金属光沢色に見える。
【0029】
【発明の効果】本発明の熱変色性塗装膜は、温度変化に
より金色の金属光沢色から無色又は併用した非熱変色性
着色料の色に可逆的に変色する。本発明にあっては、用
いた熱変色性材料の機能はそのまま維持され、その機能
を有効に発現出来る。即ち、前記変色において、ヒステ
リシス幅の極めて小さい熱変色性材料により熱変色塗装
膜が形成された系では、温度変化により高感度に応答し
て変色し、中間的なヒステリシス幅の熱変色性材料を適
用した系では、温度変化に相応の応答を示して変色す
る。ヒステリシス幅が極めて大きい熱変色性材料により
熱変色塗装膜が形成された系では、色変化に要した熱ま
たは冷熱を取り去った後も常温域では変化した様相を保
持しており、その様相を視覚させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例である金色の熱変色性塗装膜の
説明図である。
【符号の説明】
1 金色の金属光沢熱変色性塗装膜 2 入射光 3 一部の反射光 4 透過光 5 残部反射光

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 A.天然雲母の表面を41〜44重量%
    の酸化チタンで被覆した被覆層の光学的厚さが180〜
    240nmであって粒度が5〜60μmの金色金属光沢
    顔料と、 B.電子供与性化合物と電子受容性化合物と両者の呈色
    反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる熱
    変色材料で発色状態の色濃度の明度値が6以下で消色状
    態の無色の明度値が8以上である熱変色材料と、 C.透明な塗装膜形成材とからなり、Aの金属光沢顔料
    とBの熱変色材料とがA:B=0.25〜98:1の重
    量比で配合されている、可逆的に金色の金属光沢色から
    無色に変色する熱変色性塗装膜。
  2. 【請求項2】 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を3
    0〜48重量%の酸化チタンで被覆しその上を4〜10
    重量%の酸化鉄で被覆した被覆層の光学的厚みが140
    〜240nmであり粒度5〜60μmの金色の金属光沢
    顔料である、請求項1に記載された可逆的に金色の金属
    光沢色から淡黄色または染顔料の色に変色する熱変色性
    塗装膜。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載された可逆的に
    金色の金属光沢色から無色に変色する熱変色性塗装膜に
    おいてさらにD.非熱変色性染顔料を配合した、発色時
    の混合系の色濃度の明度値(V1)が6以下で消色時の
    混合系の有色の明度値(V2)が4以上であって(V
    2)−(V1)>1である、可逆的に金色の金属光沢色
    から染顔料の色に変色する熱変色性塗装膜。
  4. 【請求項4】 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を3
    0〜48重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5
    〜10重量%の非熱変色性有色染顔料を被覆した被覆層
    の光学的厚みが140〜240nmであり粒度5〜60
    μmの金色金属光沢顔料である、請求項1ないし3項の
    いずれか1項に記載された可逆的に金色の金属光沢色か
    ら非熱変色性染顔料の色に変色する熱変色性塗装膜。
  5. 【請求項5】 熱変色材料が電子供与性化合物と電子受
    容性化合物と両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機
    化合物媒体をマイクロカプセルに包んだ熱変色材料であ
    る、請求項1ないし4項のいずれか1項に記載された、
    可逆的に金色から無色ないし淡黄色または染顔料の色に
    変色する熱変色性塗装膜。
  6. 【請求項6】 A.天然雲母の表面を41〜44重量%
    の酸化チタンで被覆した被覆層の光学的厚さが180〜
    240nmであって粒度が5〜60μmの金色金属光沢
    顔料と、 B.電子供与性化合物と電子受容性化合物と両者の呈色
    反応を可逆的に生起させる有機化合物媒体とからなる発
    色状態の色濃度の明度値が6以下で消色状態の無色の明
    度値が8以上である熱変色材料と、 C.透明な塗装膜形成材とからなり、Aの金属光沢顔料
    とBの熱変色材料とがA:B=0.25〜98:1の重
    量比で配合されている可逆的に金色の金属光沢色から無
    色に変色する熱変色性塗装組成物。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載された金色金属光沢顔料
    と熱変色材料と塗装膜形成材とからなる塗装組成物に非
    熱変色性染顔料を配合した発色時の混合系の色濃度の明
    度値(V1)が6以下で消色時の混合系の有色の明度値
    (V2)が4以上であって(V2)−(V1)>1の組
    成物である可逆的に金色の金属光沢色から染顔料の色に
    変色する熱変色性塗装組成物。
  8. 【請求項8】 熱変色材料が電子供与性化合物と電子受
    容性化合物と両者の呈色反応を可逆的に生起させる有機
    化合物媒体をマイクロカプセルに包んだ熱変色材料であ
    る請求項6ないし7のいずれか1項に記載された、可逆
    的に金色から無色ないし染顔料の色に変色する熱変色性
    塗装組成物。
  9. 【請求項9】 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を3
    0〜48重量%の酸化チタンで被覆し、その上に0.5
    〜10重量%の非熱変色性有色染顔料を被覆した被覆層
    の光学的厚みが140〜240nmであり粒度5〜60
    μmの金色金属光沢顔料である、請求項6ないし8項の
    いずれか1項に記載された可逆的に金属光沢色から非熱
    変色性染顔料の色に変色する熱変色性塗装組成物。
  10. 【請求項10】 金色金属光沢顔料が天然雲母の表面を
    30〜48重量%の酸化チタンで被覆しその上を4〜1
    0重量%の酸化鉄で被覆した被覆層の光学的厚みが14
    0〜240nmであり粒度5〜60μmの金色の金属光
    沢顔料である、請求項6ないし8項のいずれか1項に記
    載された可逆的に金色の金属光沢色から淡黄色に変色す
    る熱変色性塗装組成物。
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