JPH06106864A

JPH06106864A - 昇華型熱転写用受像媒体

Info

Publication number: JPH06106864A
Application number: JP4284032A
Authority: JP
Inventors: Chiharu Nogawa; 千春野川; Hidehiro Mochizuki; 秀洋望月; Hiroyuki Kamimura; 浩之上村; Hironori Kuboyama; 浩紀久保山; Yutaka Ariga; ゆたか有賀
Original assignee: Ricoh Co Ltd
Current assignee: Ricoh Co Ltd
Priority date: 1992-09-29
Filing date: 1992-09-29
Publication date: 1994-04-19

Abstract

(57)【要約】【構成】少なくとも基体と該基体の上面に設けられた
染料受容層とから構成され、且つ該基体が繊維を主成分
とした密度０．８ｇ／ｃｍ³以下の紙を芯材とし、しか
も該芯材の染料受容層側の面に高分子物質の層（即ち樹
脂層）を設けてなる。該樹脂層はＰＥＴフィルム又はＰ
ＶＡからなることが好ましい。【効果】画像のザラツキが小さく、均一な画像が得ら
れ、しかもプリントカールも小さい。樹脂層がＰＥＴフ
ィルム又はＰＶＡからなる場合は、更に画質が向上し、
ザラツキ感のない均一な画像が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、熱昇華性染料を含有し
た転写層を有する熱転写記録媒体と組み合わせて使用さ
れる昇華型熱転写用受像媒体に関する。

【０００２】

【従来の技術】熱昇華性染料を含有した転写層を有する
熱転写記録媒体と、該記録媒体の裏面からの熱印字によ
って昇華した染料を受容する受像媒体とを用いる昇華型
熱転写記録方式は、優れた中間調記録が可能で、カラー
写真に近いフルカラーハードコピーを提供するものとし
て、近年注目されている。

【０００３】この記録方式で用いられる受像媒体として
は、合成紙、上質紙、アート紙等の紙類や、ポリオレフ
ィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフ
ィルム等のプラスチックフィルムからなる基体上に、熱
昇華性染料に対して強い染着性を示す熱可塑性のポリエ
ステル樹脂等を主成分とする染料受容層を塗布等の手段
で設けた積層体が用いられている。また、このような積
層体を昇華型熱転写用受像媒体として使用した例が特開
平３−１６７９１号、特開平３−８３６８６号公報等に
記載されており、更にセルロース繊維紙又はプラスチッ
クフィルムの受容層側に合成紙を貼着した基体を使用し
た受像媒体が特開昭６２−１９８４９７号公報に記載さ
れている。

【０００４】このような受像媒体のうち、特に均一な画
質を与え且つ感度の良い材料として、プラスチックフィ
ルム、合成紙等の内部にミクロボイドを有する基体を用
いたものが知られている。ところが、内部にミクロボイ
ドを有するフィルム等は、ミクロボイドを有しないフィ
ルム等と比べて蓄熱性が良いので、温度が上がって熱収
縮し易くなるという欠点がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は上記
従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、均質な
画質を与え、しかも媒体表面近傍に蓄熱して熱収縮を発
生することがない昇華型熱転写用受像媒体を提供するこ
とをその目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、熱昇華
性染料を含有した転写層を有する昇華型熱転写用記録媒
体と組み合わせて使用される受像媒体であって、少なく
とも基体と該基体の上面に設けられた染料受容層とから
構成され、且つ該基体が繊維を主成分とした密度０．８
ｇ／ｃｍ³以下の紙を芯材とし、しかも該芯材の染料受
容層側の面に高分子物質の層を設けたものであることを
特徴とする昇華型熱転写用受像媒体が提供される。

【０００７】即ち、本発明の昇華型熱転写用受像媒体
は、繊維を主成分とした密度が０．８ｇ／ｃｍ³以下の
紙上に高分子物質の層（以下、樹脂層と略記することが
ある）を設けたものであるが、この層にはミクロボイド
を設けていないので、表面近傍だけに蓄熱して高熱化す
ることがない。しかも、該樹脂層の下には、密度が０．
８ｇ／ｃｍ³以下の紙があるために、クッション性と断
熱性が付与されていて、画像均一性と画像濃度が良好な
ものとなる。

【０００８】以下、本発明の昇華型熱転写用受像媒体に
ついて詳細に説明する。本発明の受像媒体は、基本的に
は図１に示されるように、芯材（密度０．８ｇ／ｃｍ³
以下の紙）１上に高分子物質の層２を設けてなる基体３
と、その上に塗設された染料受容層４とから構成されて
いる。

【０００９】本発明においては、基体の芯材として繊維
を主成分とした紙が使用されるが、この場合の繊維材料
としては、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン
繊維等の合成繊維、あるいはマニラ麻、コウゾ、ミツマ
タ、パルプ等の天然繊維を単独で若しくは混合して使用
することができる。また、天然繊維単独のものについて
は、湿潤強度向上のために、天然及び合成樹脂を内添、
含浸したものを用いることもできる。紙の厚さは２０〜
３０μｍ、好ましくは５０〜２００μｍであり、密度は
０．８ｇ／ｃｍ³以下、特に０．２〜０．８ｇ／ｃｍ³の
ものが好適に使用できる。紙は白色であることが望まし
いが、有色あるいは透明であってもよい。

【００１０】本発明の受像媒体においては、紙と染料受
容層の間に、この受容層形成時に平滑性を向上させ、ま
た染料転写時の白抜けを防止する目的で樹脂層が設けら
れている。また、必要に応じて、図２に示されるよう
に、基体３の上面の受容層４と反対側、即ち基体３の下
面に、熱転写記録時の熱による受像媒体のカールの減少
及び給紙適正付与を目的として、前記と同種又は異種の
高分質物質の層（樹脂層）５を設けることもできる。

【００１１】これらの樹脂層に使用する樹脂としては、
例えばポリビニルアルコール、ポリエステル、塩化ビニ
ル／酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビ
ニル、エチレン／酢酸ビニル共重合体、アルキルチタネ
ート樹脂、酢酸ビニル／アクリル共重合体、ポリエチレ
ンイミン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリエチ
レン、エチレン／アクリル共重合体、ポリプロピレン、
アイオノマー樹脂、ポリスチレン、ポリウレタンエラス
トマー等の熱可塑性樹脂や、ポリウレタン、エポキシ系
樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。上記樹脂中には必
要に応じて硬化剤等の添加剤を添加してもよい。また、
上記樹脂の他に紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂等を用
いることもできる。

【００１２】樹脂層を基体上面又は下面に形成する方法
としては、通常の溶液コーティングの他に、エクストル
ージョンコーティング、ホットメルトコーティング等が
挙げられるが、他の任意のコーティング法によって形成
してもよい。コーティングに際して、ポリビニルアルコ
ールのような耐溶剤性のある樹脂の使用は、特に好まし
い。

【００１３】また、これらの樹脂を一旦フィルムに成形
した後で、このフィルムを基体片面又は両面に、熱接着
又は接着剤を介して貼着させることにより形成してもよ
い。このタイプの樹脂層形成に好適な樹脂は、ポリエチ
レンテレフタレートのようなポリエステル樹脂、ポリオ
レフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル系
樹脂である。また、これらの樹脂層は、白色であること
が好ましいが、透明フィルムを貼着させて使用する時
は、白色の接着剤を使用するこが好ましい。

【００１４】これらの樹脂層には、帯電防止剤や滑剤、
顔料、染料等を目的に応じて含有させることが好まし
い。樹脂層の厚さは１〜３００μｍの範囲であり、好適
には１〜２００μｍである。厚さが１μｍ未満の場合に
は、染料受容層を形成させる際にバリアー性や平滑性を
向上させる効果が乏しく、また厚さが３００μｍ超過に
なっても、格別の利点は得られない。なお、フィルムに
成形して貼合せるものとしては、価格と耐熱性を考慮す
ると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。

【００１５】本発明の染料受容層に用いる樹脂として
は、染着性を持ったセグメントを有することが必要で、
染着性を持ったセグメントとしては、例えばエステル結
合、ウレタン結合、アミド結合、尿素結合や、その他極
性の高い結合（ポリカプロラクトン、ポリスチレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル等）を含むものが
挙げられる。従って、染料受容層用樹脂としては、従来
から公知の染着性樹脂、例えばポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂
等が挙げられるが、これらの中でも特に塩化ビニル系樹
脂が好ましく用いられ、その市販品としては、例えばユ
ニオンカーバイト社製のＶＡＧＨ，ＶＹＨＨ，ＶＹＮ
Ｓ，ＶＹＨＤ，ＹＹＬＦ等や電気化学工業社製のデンカ
ビニル１０００ＭＴ、１０００Ａ、１０００Ｌ、１００
０Ｄ、ＭＨＥ１００、ＭＥ１２０、１０００ＧＫＴ等が
挙げられる。

【００１６】また、本発明においては、染料受容層中に
アミノ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、アル
キッド変性シリコーン、シリコーン樹脂等の離型剤を含
有させることができる。これらシリコーン類の使用によ
り、転写記録媒体と熱融着防止効果が向上する。その添
加量は、該受容層の樹脂量に対して１０重量％以下であ
ることが好ましい。なお、染料受容層中には、充填剤を
含有させることもできる。充填剤としては、シリカ、酸
化チタン、炭酸カルシウム等の白色顔料が挙げられ、そ
の添加量は、該受容層の樹脂量に対して５〜６０重量％
が好ましい。その他、染料受容層には、界面活性剤、紫
外線吸収剤、酸化防止剤等を適宜含有させることもでき
る。なお染料受容層の厚さは０．５〜２０μｍが好まし
く、特に好ましくは２〜５μｍである。

【００１７】なお、染料受容層の外観及び平滑性を向上
させる目的で、基体芯材に樹脂層を塗布、乾燥後に、又
は基体に染料受容層を設けた後に、全体の積層体をスー
パーカレンダーリング等の加圧手段により、平滑化処理
することができる。更に、必要に応じて、得られた受像
媒体の表面及び（又は）裏面に、界面活性剤等による帯
電防止処理を施すこともでき、また給紙適正を向上させ
ることもでき、更に顔料、染料等を適用させて媒体の多
様性をもたせるとか、画像のコントラストを変えるとい
うこともできる。

【００１８】

【実施例】次に、本発明を実施例によって更に詳細に説
明する。なお、以下において示す部は、いずれも重量基
準である。

【００１９】実施例１ポリエステル製の不織布（密度０．４２２ｇ／ｃｍ³：
商品名ハイスター０５ＴＨ−３６：広瀬製紙社製）に、
以下に示す組成の〔Ａ液〕を乾燥後１５μｍの厚さにな
るように塗布した。〔Ａ液〕塩化ビニル／酢酸ビニル／ビニルアルコール共重合体２０部（商品名デンカビニル＃１０００ＧＫＴ：電気化学工業社製）トルエン２０部メチルエチルケトン６０部塗布した積層物を乾燥して基体を得た。

【００２０】得られた基体上に以下に示す組成の〔Ｂ
液〕を乾燥後６μｍの厚さになるように塗布した。〔Ｂ液〕塩化ビニル／酢酸ビニル／ビニルアルコール共重合体２０部（商品名デンカビニル＃１０００ＧＫＴ：電気化学工業社製）シリコーン樹脂（商品名ＡＹ４２−１２５：４．５部東レダウコーニングシリコーン社製）トルエン２０部メチルエチルケトン６０部塗布した積層物を乾燥し、６０℃、２日間エージングを
行なって、受像媒体を作製した。

【００２１】一方、熱昇華性染料の転写媒体として、バ
ック層としてシリコーン硬化樹脂膜（厚さ約１μｍ）を
設けた厚さ６μｍのＰＥＴフィルム上に、下記処方のイ
ンク層用塗剤を、約２μｍの厚さに塗布して、転写媒体
を得た。〔インク層用塗剤〕ポリビニルブチラール樹脂（商品名ＢＸ−１：積水化学社製）１０部シアン用熱昇華分散染料（商品名カヤセット７１４：日本化薬社製）６部メチルエチルケトン４５部トルエン４５部

【００２２】得られた転写媒体と受像媒体とを、転写媒
体のインク層と受像媒体の染料受容層とが対面するよう
に重ね合わせ、転写媒体の裏面からサーマルヘッドで加
熱エネルギーを変えて、画像記録を行なった。なお、サ
ーマルヘッドの記録密度は６ドット／ｍｍであり、記録
出力は０〜３．５５ｍｊ／ドットであった。

【００２３】実施例２実施例１で使用したポリエステル製の不織布に、実施例
１の〔Ａ液〕を塗布する代わりに、ポリエチレンテレフ
タレートのフィルム（商品名ルミラー＃２５：東レ社
製）を接着剤を介して片面に接着したものを基体とし
た。次に、実施例１と同様にして、ポリエチレンテレフ
タレートを貼着してある面に受像層を形成し、以下同様
にして受像体を作製し、且つ画像記録を行なった。

【００２４】実施例３実施例１で使用したポリエステル製の不織布に、実施例
１の〔Ａ液〕を塗布する代わりに、以下に示す〔Ｃ液〕
を塗布したこと以外は、実施例１と同様にして受像媒体
を作製し、且つ画像記録を行なった。〔Ｃ液〕ポリビニルアルコール５０部（商品名クラレポバールＰＶＡ１１７：クラレ社製）水５０部

【００２５】比較例１実施例２で使用したポリエステル製の不織布の代わり
に、別のポリエステル製の不織布（密度０．９１９ｇ／
ｃｍ³：商品名ピュアリー０．８５Ｌ：阿波製紙社製）
を使用したこと以外は、実施例２と全く同様にして受像
媒体を作製し、且つ画像記録を行なった。

【００２６】比較例２実施例２で使用したポリエステル製の不織布の代わり
に、合成紙（商品名ユポＦＰＧ６０：王子製紙社製）を
使用したこと以外は、実施例２と全く同様にして受像媒
体を作製し、且つ画像記録を行なった。

【００２７】実施例４実施例１のポリエステル製の不織布（密度０．４２２ｇ
／ｃｍ³：商品名ハイスター０５ＴＨ−３６、広瀬製紙
社製）の代わりに、別のポリエステル製の不織布（密度
０．７２８ｇ／ｃｍ³：商品名ピュアリー０４０ＡＦ、
阿波製紙製）を使用したこと以外は、実施例１と全く同
様にして受像媒体を作製し、画像記録を行なった。

【００２８】（評価）以上のようにして得られた各受像
媒体について次の、の評価を行なった。その結果を
表１に示す。カール４ｃｍ×１０ｃｍの長方形に２１ｍｊ／ｍｍで印字し、
平らな板の上でエッジまでの距離を測った。５ｍｍ以下…○、５ｍｍ以上…× 画質０〜３．５ｍｊ／ｍｍの階調印字画像のザラツキを、目
視で評価した。ザラツキ多…×、ザラツキ小…△、ザラツキ無…○

【００２９】

【表１】

【００３０】表１から、本発明の受像媒体は、画像のザ
ラツキが小さく、均一な画像が得られ、しかもプリント
カールも小さいことが分かる。また、本発明の受像媒体
においては、高分子物質の層がＰＥＴフィルム又はポリ
ビニルアルコールからなる場合は、更に画像のザラツキ
感がなくなり、画質が向上することが分かる。

【００３１】

【発明の効果】請求項１の昇華型熱転写用受像媒体は、
基体が繊維を主成分とした密度０．８ｇ／ｃｍ³以下の
紙を芯材とし、しかもその染料受容層側の面に高分子物
質の層（即ち樹脂層）を設けたものとしたことから、基
体はクッション性と断熱性を有し、画像均一性と画像濃
度が良好である。しかも、樹脂層中には断熱性をもたせ
るミクロボイドがないので、プリント時に表面近傍に熱
が集中してしまうことがない。よって、熱収縮によるカ
ールを低減できる。

【００３２】請求項２の昇華型熱転写用受像媒体は、前
記樹脂層がポリエチレンテレフタレートフィルムからな
るという構成としたことから、表面平滑性が良好で、更
に画質が向上し、ザラツキ感の感じられない均一な画像
を得ることができるという効果が加わる。また、耐熱性
と価格の面からも有利である。

【００３３】請求項３の昇華型熱転写用受像媒体は、前
記樹脂層がポリビニルアルコールからなるという構成と
したことから、耐溶剤性を有するため、受容層形成時に
溶剤によって表面が浸されることがなくなって、更に画
質が向上し、ザラツキ感のない均一な画像を得ることが
できるという効果が加わる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る昇華型熱転写用受像媒体の一例を
示す模式断面図である。

【図２】本発明に係る昇華型熱転写用受像媒体の別の例
を示す模式断面図である。

【符号の説明】

１，芯材２，高分子物質の層３，基体４，染料受容層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者久保山浩紀東京都大田区中馬込１丁目３番６号株式会社リコー内 (72)発明者有賀ゆたか東京都大田区中馬込１丁目３番６号株式会社リコー内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】熱昇華性染料を含有した転写層を有する
昇華型熱転写用記録媒体と組み合わせて使用される受像
媒体であって、少なくとも基体と該基体の上面に設けら
れた染料受容層とから構成され、且つ該基体が繊維を主
成分とした密度０．８ｇ／ｃｍ³以下の紙を芯材とし、
しかも該芯材の染料受容層側の面に高分子物質の層を設
けたものでることを特徴とする昇華型熱転写用受像媒
体。
【請求項２】前記高分子物質の層がポリエチレンテレ
フタレートフィルムである請求項１記載の昇華型熱転写
用受像媒体。
【請求項３】前記高分子物質の層がポリビニルアルコ
ールからなる請求項１記載の昇華型熱転写用受像媒体。