JPH0610648U - 無段変速機のトルクカム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルクカムのカム面とハブのカム面との接触
による摩擦抵抗を減少させて、変速に必要な推力を低減
させることを目的とする。 【構成】 可動プーリーに固定されたトルクカム５のカ
ム面５ａと、このカム面５ａに摺接するカム面６ａを有
するハブ６とにより構成されるトルクカム機構におい
て、カム面６ａに、四フッ化エチレン（ＰＴＦＥ）と二
硫化モリブデン（ＭｏＳ_２）を含有するポリイミド樹脂
（ＰＩ）の材料からなるブロック７、又はカーボンカー
ボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材からなるブロック７のど
ちらか一方が取付けられている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、無段変速機におけるトルクカムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

従来、無段変速機は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリー と、出力軸に取付けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装された ベルトによって、入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し得るように構 成されており、変速時等にベルトに張力を与えるために、出力側プーリーの可動 プーリーにはトルクカム機構が取付けられている。 すなわち図２に示すように、出力軸１には固定プーリー２が一体状に設けられ ており、この固定プーリー２と対向して出力軸１に沿って移動可能に可動プーリ ー３が設けられており、固定プーリー２と可動プーリー３間にベルト４が掛装さ れ、このベルト４に張力を与えるために、可動プーリー３の裏側にはトルクカム ５が固定されており、このトルクカム５の右端のカム面５ａには、出力軸１に固 定されたハブ６のカム面が当接され、出力軸１の回転に伴ってハブ６が回転する ことにより、ハブ６のカム面がトルクカム５のカム面５ａに摺接して、トルクカ ム５および可動プーリー３を固定プーリー２側へ押圧し、これによりベルト４に 張力が与えられる。 しかし従来においては、トルクカム５のカム面５ａとハブ６のカム面は、金属 同士の接触であるため摩擦抵抗が大であり、両カム面の動摩擦係数μがカム面の カム角αとの関係でμ＞ｔａｎαとなってしまい、そのため可動プーリー３を固 定プーリー２と反対側へ移動させる時に大きな推力が必要となるという問題点が あった。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、変速時の推力を低減 させることのできる無段変速機のトルクカムを提供せんことを目的とし、その要 旨は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリーと、出力軸に取付 けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装されたベルトによって、 入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し、かつ前記ベルトに張力を与え るために、前記出力側プーリーにおける可動プーリーの外側面には、前記出力軸 と同心で全周に亘ってカム面が形成されたトルクカムが固設され、該トルクカム に対向するようにして前記カム面に当接するカム面を有するハブが出力軸に取付 けられてなる無段変速機において、前記両カム面の一方に、四フッ化エチレン（ ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ₂ ）を含有するポリイミド樹脂（ＰＩ） の材料からなるブロックが取付けられていることである。

【０００４】

【作用】

トルクカムのカム面又はハブのカム面の一方には、四フッ化エチレン（ＰＴＦ Ｅ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ₂ ）を含有するポリイミド樹脂（ＰＩ）からな るブロックが取付けられているために、出力軸の回転に伴ってハブが回転し、ハ ブのカム面がトルクカムのカム面に摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少されたも のとなり、このためトルクカムを固定プーリーと反対側へ移動させる時の推力が 低減される。

【０００５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１はトルクカムとハブとの斜視構成図であり、トルクカム５は、その左端外 周に形成された鍔部５ｂが前記可動プーリー３の裏側にボルトを介して取付けら れるものであり、この鍔部５ｂの反対側の右端には全周に亘りカム面５ａが形成 されており、このカム面５ａは全周を３等分して形成されたものである。

【０００６】 一方、ハブ６には、カム面５ａに対向して、カム面５ａに当接するカム面６ａ が形成されており、本例では図３で拡大図で示すように、ハブ６のカム面６ａに 凹みを設け、この凹み内に固体潤滑剤をコンポジットした材料で形成したブロッ ク７が圧入状で取付けられている。なお、このブロック７は接着剤を用いて接着 したものであっても、またピン止めしたり、埋め込んで取付けたものであっても 良い。

【０００７】 従って、トルクカム５のカム面５ａに対し、ハブ６のカム面６ａが摺接する際 に、ブロック７がカム面５ａに接触し、両カム面５ａ，６ａの摺接時における摩 擦抵抗が極めて減少される。 なお、本例ではハブ６のカム面６ａ側にブロック７を取付けたものを例示した が、ブロック７はカム面５ａ側に取付けたものであっても良い。 尚、ブロック７を形成する材料としては、四フッ化エチレン（ＰＴＦＥ）と二 硫化モリブデン（ＭｏＳ₂ ）を含んだポリイミド樹脂（ＰＩ）が用いられる。

【０００８】 このように本例においては、カム面５ａ，６ａに、四フッ化エチレン（ＰＴＦ Ｅ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ₂ ）を含んだポリイミド（ＰＩ）樹脂で形成し たブロック７が圧入状で取付けられているために、ハブ６のカム面６ａがトルク カム５のカム面５ａに摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少されたものとなり、こ のため、トルクカム５および可動プーリー３を固定プーリー２と反対側へ移動さ せる際の推力が低減される。

【０００９】

【考案の効果】

本考案は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリーと、出力軸 に取付けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装されたベルトによ って、入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し、かつ前記ベルトに張力 を与えるために、前記出力側プーリーにおける可動プーリーの外側面には、前記 出力軸と同心で全周に亘ってカム面が形成されたトルクカムが固設され、該トル クカムに対向するようにして前記カム面に当接するカム面を有するハブが出力軸 に取付けられてなる無段変速機において、前記両カム面の一方に、四フッ化エチ レン（ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ₂ ）を含有するポリイミド樹脂（ ＰＩ）の材料からなるブロックが取付けられていることにより、ハブのカム面が トルクカムのカム面に摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少され、トルクカムおよ び可動プーリーを固定プーリーと反対側へ移動させる際の推力が低減される効果 を有する。

【提出日】平成４年１０月２９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正内容】 【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、無段変速機におけるトルクカムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術及びその課題】

従来、無段変速機は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリー と、出力軸に取付けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装された ベルトによって、入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し得るように構 成されており、変速時等にベルトに張力を与えるために、出力側プーリーの可動 プーリーにはトルクカム機構が取付けられている。 すなわち図２に示すように、出力軸１には固定プーリー２が一体状に設けられ ており、この固定プーリー２と対向して出力軸１に沿って移動可能に可動プーリ ー３が設けられており、固定プーリー２と可動プーリー３間にベルト４が掛装さ れ、このベルト４に張力を与えるために、可動プーリー３の裏側にはトルクカム ５が固定されており、このトルクカム５の右端のカム面５ａには、出力軸１に固 定されたハブ６のカム面が当接され、出力軸１の回転に伴ってハブ６が回転する ことにより、ハブ６のカム面がトルクカム５のカム面５ａに摺接して、トルクカ ム５および可動プーリー３を固定プーリー２側へ押圧し、これによりベルト４に 張力が与えられる。 しかし従来においては、トルクカム５のカム面５ａとハブ６のカム面は、金属 同士の接触であるため摩擦抵抗が大であり、両カム面の動摩擦係数μがカム面の カム角αとの関係でμ＞ｔａｎαとなってしまい、そのため可動プーリー３を固 定プーリー２と反対側へ移動させる時に大きな推力が必要となるという問題点が あった。

【０００３】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、変速時の推力を低減 させることのできる無段変速機のトルクカムを提供せんことを目的とし、その要 旨は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリーと、出力軸に取付 けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装されたベルトによって、 入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し、かつ前記ベルトに張力を与え るために、前記出力側プーリーにおける可動プーリーの外側面には、前記出力軸 と同心で全周に亘ってカム面が形成されたトルクカムが固設され、該トルクカム に対向するようにして前記カム面に当接するカム面を有するハブが出力軸に取付 けられてなる無段変速機において、前記両カム面の一方に、四フッ化エチレン（ ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ_２）を含有するポリイミド樹脂（Ｐｌ） の材料からなるブロック又はカーボンカーボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材からな るブロックのどちらか一方 が取付けられていることである。

【０００４】

【作用】

トルクカムのカム面又はハブのカム面の一方には、四フッ化エチレン（ＰＴＦ Ｅ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ_２）を含有するポリイミド樹脂（ＰＩ）からな るブロック又はカーボンカーボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材からなるブロックのどちらか一方 が取付けられているために、出力軸の回転に伴ってハブが回転し、 ハブのカム面がトルクカムのカム面に摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少された ものとなり、このためトルクカムを固定プーリーと反対側へ移動させる時の推力 が低減される。

【０００５】

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１はトルクカムとハブとの斜視構成図であり、トルクカム５は、その左端外 周に形成された鍔部５ｂが前記可動プーリー３の裏側にボルトを介して取付けら れるものであり、この鍔部５ｂの反対側の右端には全周に亘りカム面５ａが形成 されており、このカム面５ａは全周を３等分して形成されたものである。

【０００６】 一方、ハブ６には、カム面５ａに対向して、カム面５ａに当接するカム面６ａ が形成されており、本例では図３で拡大図で示すように、ハブ６のカム面６ａに 凹みを設け、この凹み内に、四フッ化エチレン（ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン （ＭｏＳ_２）を含んだポリイミド（ＰＩ）樹脂で形成したブロック７、又はカー ボンカーボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材からなるブロック ７が圧入状で取付けら れている。なお、このブロック７は接着剤を用いて接着したものであっても、ま たピン止めしたり、埋め込んで取付けたものであっても良い。

【０００７】 従って、トルクカム５のカム面５ａに対し、ハブ６のカム面６ａが摺接する際 に、ブロック７がカム面５ａに接触し、両カム面５ａ，６ａの摺接時における摩 擦抵抗が極めて減少される。 なお、本例ではハブ６のカム面６ａ側にブロック７を取付けたものを例示した が、ブロック７はカム面５ａ側に取付けたものであっても良い。

【０００８】 このように本例においては、カム面５ａ，６ａに、四フッ化エチレン（ＰＴＦ Ｅ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ_２）を含んだポリイミド（ＰＩ）樹脂で形成し たブロック７又はカーボンカーボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材からなるブロック７のどちらか一方 が圧入状で取付けられているために、ハブ６のカム面６ａがト ルクカム５のカム面５ａに摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少されたものとなり 、このため、トルクカム５および可動プーリー３を固定プーリー２と反対側へ移 動させる際の推力が低減される。

【０００９】

【考案の効果】

本考案は、入力軸に取付けられた離接可能な一対の入力側プーリーと、出力軸 に取付けられた離接可能な一対の出力側プーリーとの間に掛装されたベルトによ って、入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し、かつ前記ベルトに張力 を与えるために、前記出力側プーリーにおける可動プーリーの外側面には、前記 出力軸と同心で全周に亘ってカム面が形成されたトルクカムが固設され、該トル クカムに対向するようにして前記カム面に当接するカム面を有するハブが出力軸 に取付けられてなる無段変速機において、前記両カム面の一方に、四フッ化エチ レン（ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ_２）を含有するポリイミド樹脂（ ＰＩ）の材料からなるブロック又はカーボンカーボン（Ｃ／Ｃ）コンポジット材 からなるブロックのどちらか一方 が取付けられていることにより、ハブのカム面 がトルクカムのカム面に摺接する際の摩擦抵抗が極めて減少され、トルクカムお よび可動プーリーを固定プーリーと反対側へ移動させる際の推力が低減される効 果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】トルクカムとハブとの斜視構成図である。

【図２】出力側のトルクカム周辺の断面構成図である。

【図３】トルクカムのカム面とハブのカム面との摺接状
態の拡大図である。

【符号の説明】

１ 出力軸 ２ 固定プーリー ３ 可動プーリー ５ トルクカム ５ａ カム面 ６ ハブ ６ａ カム面 ７ ブロック

─────────────────────────────────────────────────────

【手続補正書】

【提出日】平成４年１０月２９日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】全文

【補正方法】変更

【補正内容】

【書類名】 明細書

【考案の名称】 無段変速機のトルクカム

【実用新案登録請求の範囲】

【図面の簡単な説明】

【図１】トルクカムとハブとの斜視構成図である。

【図２】出力側のトルクカム周辺の断面構成図である。

【図３】トルクカムのカム面とハブのカム面との摺接状
態の拡大図である。

【符号の説明】 １ 出力軸 ２ 固定プーリー ３ 可動プーリー ５ トルクカム ５ａ カム面 ６ ハブ ６ａ カム面 ７ ブロック

【手続補正２】

【補正対象書類名】図面

【補正対象項目名】図３

【補正方法】変更

【補正内容】

【図３】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ１６Ｈ 55/56

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 入力軸に取付けられた離接可能な一対の
   入力側プーリーと、出力軸に取付けられた離接可能な一
   対の出力側プーリーとの間に掛装されたベルトによっ
   て、入力軸の回転を無段階に変速して出力軸に伝達し、
   かつ前記ベルトに張力を与えるために、前記出力側プー
   リーにおける可動プーリーの外側面には、前記出力軸と
   同心で全周に亘ってカム面が形成されたトルクカムが固
   設され、該トルクカムに対向するようにして前記カム面
   に当接するカム面を有するハブが出力軸に取付けられて
   なる無段変速機において、前記両カム面の一方に、四フ
   ッ化エチレン（ＰＴＦＥ）と二硫化モリブデン（ＭｏＳ
   ₂ ）を含有するポリイミド樹脂（ＰＩ）の材料からなる
   ブロックが取付けられていることを特徴とする無段変速
   機のトルクカム。