JPH0610608U - 薄板用ナット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 各種家具などの扉その他の薄板に付属品、部
品などを、取付ねじの有効ねじ部とナット本体長さを最
大限利用してねじ付け堅牢に固定することができるナッ
トを得ることである。 【構成】 一体成型により上端に鍔を突設した本体の上
端寄りに抜け止め用の突出部を設け、該鍔上端中心から
本体下端へ取付ねじ径より小径の下孔を穿設するととも
に該下孔を中心に、該下孔より細幅で前後方向のスリッ
トを、鍔上面から前記本体の上端寄りにわたつて縦設し
て鍔と本体を２つ割り状とし、該スリットによつて圧縮
したナットを薄板の取付孔に強制嵌合して鍔を薄板に掛
支させ、該鍔を介して定置した部品の取付孔から取付ね
じをナット本体の下孔内へ打ち込んでスリットを押拡げ
かつ下孔周壁に食い込み状に取り付けて該部品を薄板に
堅牢に固定する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、薄板用ナットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

厨房用その他の家具、各種機器のケース、壁面などの薄板製の扉、天板、側板 などに付属品や部品などを取り付けるには、図５のように薄板１に部品２などの 取付孔２aを貫通した取付ねじ３のねじ締めで取り付けようとしても該薄板１は 厚さが薄いのでその取付孔１aに形成される有効ねじ部はごく僅かで強いトルク で締め付けるとねじが空回りして確実な取付けによる固定はできない。仮に取り 付けられても使用中にガタがきて部品が外れてしまうので薄板に部品などを取付 ねじで直接に取り付けても決して堅牢に固定することはできない。

【０００３】 そこで、図６、７に示すような鍔付きの２股本体で構成され、薄板１に穿設し た取付孔１bに２股本体６が強制嵌合し、上端の鍔５が薄板２に掛支するように 構成したナット４を介して部品２を貫通したピッチの荒い取付ねじ３を該ナット ４に打ち込みあるいはねじ締めして取り付けていた。該取付ねじ３のピッチは打 ち込み易いように荒くなつているものである。 該ナット４の２股本体６は、図示のように前・後面が垂直で両側面が上及び下 方漸縮状のテーパ面で突出部６b、６bを形成し、鍔中央から本体６内へ取付ねじ を取付けるために、取付ねじ３よりはやや小径のいわゆる下孔５aを穿設し、こ の下孔と連通して底面中央部から上方へ削設した前後方向のスリット７を介して 両脚部６c、６cを形成し、該本体上端寄りの突出部６b、６b間は本体６の最大径 部でその寸法l₂は、薄板１に穿設した該ナット用の取付孔１bの１辺の長さl₁よ りやや長く設定されている構造である。 なお、ナット４は主として合成樹脂成形品で弾性を有し、その材質を利用して 押圧、取付ねじの打ち込みも可能である。 前記薄板の取付孔１bに掛支している鍔５の下面と本体上端との結合小径部の 寸法は図７に示すように該取付孔１bの寸法l₁とほぼ同寸で該孔に嵌合する寸法 であり、突出部６b、６b間の寸法l₂は該孔の寸法l₁よりやや大きく設定されてい るから、本体のスリット７を利用して両脚部６c、６cを内方へ圧縮させて２股本 体６を取付孔１bの下方へ強制嵌合して上端鍔５を該取付孔１bの口縁部に掛支さ せ突出部６b、６bを抜け止めとしてナット４を薄板１に嵌合定着し、部品２の通 孔２aを貫通した取付ねじ３を該下孔５a内に打込みあるいはねじ締めにより締着 して部品２を薄板１に固定している。 該取付ねじ３をその径より小さいナット本体のスリット７内に打ち込み嵌入し て該取付ねじによる両脚部６c、６cの拡開によるナット４と取付孔１bとの圧接 、抜け止め効果で部品２は確実、堅牢に薄板に固定している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

解決しようとする問題点は、部品などを取付ける薄板に、鍔付きで上端部に有 効ねじ部が形成できる下孔を設けた２股本体のナットを予め固定し、該ナットを 介して取付けられる部品を取付ねじとナットで薄板に締着しても、該取付ねじと ナットとのねじ締め有効部は、該取付ねじ上部が鍔とナットに連設した下孔長さ でねじ付けられているだけであるから、取付ねじ及びナットの全長に比較して有 効ねじ部分は少なく、ナットを成形し取り付ける製作手間及び取付け手間に比べ てねじ締め効率が悪く未だ完全な固定手段を得ていないことと、ナットを薄板に 取付けるのに突出した鍔の下位の両脚部を押圧する操作がし難いことである。

【０００５】

【課題を解決する為の手段】

本考案は、厨房家具その他の扉、天板などの薄板に部品あるいは付属品などを 取り付ける取付ねじと、ナットの有効ねじ部分を最大限とするため、ナット本体 は、両側に抜止め用の突出部を設け、上端に前記薄板の取付孔に掛支する鍔を突 設し、該鍔の上端面中央部から下方の本体上部内へ、該取付ねじ径より細幅のス リットを前後方向に削設して該鍔と本体上端部を２つ割りにするとともに、該ス リット付き鍔の中心から本体下端へ取付ねじより小径の下孔を形成したナットを 薄板の取付孔に嵌合定着して取付けられる部品を貫通して取付ねじを該ナットの 下孔に打ち込みあるいはねじ締めするようにした構成を特徴とするものである。 取付ねじによつて薄板に部品を堅牢に取付けるという目的を、ナット上端の鍔 とナット本体の上端部に削設したスリットでナット上部を２つ割りとし、かつナ ット中心に縦にねじ取付用の下孔を穿設した簡単な構成で最大限の有効ねじ部を 形成することで達成できた。

【０００６】

【作用】

本考案のナットは、上端の鍔と本体上端部とにスリットを削設してナット上部 を２つ割り構成とし、その中心にねじ取付用の下孔を縦設したので、薄板１に予 め穿設した該ナット用の取付孔に、該鍔を挟み工具などで摘んで内向きに圧縮さ せたナット本体の大径部分を通過させて本体上端の小径部分を嵌合させ、上端の 鍔を薄板の取付孔口縁に掛支させてナットを薄板に抜け止め状態に定着掛支させ 、取り付けるべき部品の通孔を鍔の下孔と合致させ、取付ねじを該部品の通孔お よび鍔の下孔上端からスリットを押し拡げ貫通させてナット本体下孔内へ打ち込 みあるいはねじ締めすることにより、ナットにねじ止めさせ、該取付ねじにより 薄板の取付孔に嵌合、接触しているナット本体上端部の小径部は押し拡げられて 該取付孔に掛支し、ナットを確実に固定するとともに取付ねじはその全長がスリ ット両側壁および本体下孔内周壁に食い込み状にねじ止められる。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案のナットの１実施例の斜視図、図３はその中央縦断正面図、図４ は中央縦断側面図であり、ナット４は合成樹脂成型品で弾性を有し、上端の鍔５ と本体６は一体に成型され、該本体６の両側上端寄りには抜け止め用の突出部６ b、６bを形成し、該鍔５の中央と本体６の上端部中央には本考案の最も要旨とす る前後方向のスリット７が断面長Ｖ字型すなわち下方漸縮状に削設されるととも に、該ナット４の中心には該スリット７より大径で、ピッチの荒い取付ねじ３よ りやや小径の下孔５aが鍔上端からナット本体６の下端部まで縦設されている。 ナット４、鍔５の形状はなんら図示のものに限定されるものではなく、部品の 形状や取付け部位によつて鍔が楕円形その他の形状、本体が断面円形その他の形 状であつても、要は上端部をスリットによつて２つ割りとし、下孔を中心に縦設 し、ナット取付孔に対する抜け止め部を本体に突設していれば、鍔を摘んで圧縮 させた本体を取付孔に強制嵌合でき、取付ねじをナットの弾性を利用して打ち込 むことができる同じ作用効果を期待できるものであればなんら問題はないもので ある。

【０００８】 図２は、部品２をナット４を介してピッチの荒い取付ねじ３によつて薄板１に 固定した状態を説明する１部縦断正面図で、ナット４は、薄板１の取付孔１bに 鍔５を介して本体６が抜止め状態に嵌合定着し、部品２の上面から下孔５aの下 端まで取付ねじ３およびナット本体６のほぼ全長にわたって打ち込み、ねじ付け た取付ねじ３がスリット７を押拡げて下孔５aの周壁に食い込み状に取付けられ 本体上端部の小径部が取付孔１bに圧接して部品２、ナット４を一体的に取付け 固定している。 該取付ねじはピッチが荒く、ナットは弾性を有する堅牢な合成樹脂成型品であ り有効ねじ部も長いから強大なトルクで取付ねじを締め付けても空回りせずに取 付ねじを取付けられ、また、打ち込むだけでナット本体のスリットを押拡げ下孔 に食い込み状に取付けられるが、該ねじ部によつて逆にねじる以外に簡単に抜き 取ることはできない構造、作用を有する。また、ナットが取付ねじ全体の保護、 安全カバーの役割もするものである。

【０００９】

【考案の効果】

本考案の薄板用ナットは、従来技術のナットと同様に合成樹脂の一体成型によ つて本体上端に鍔を突設し、本体上端寄りに抜け止め用の突出部を形成している が、上端寄りにスリットを設けて鍔と本体上部を２つ割りとし、下孔を上端から 下端まで穿設したことによつて、(１)簡単な構造であるにもかかわらず、上端に あつて摘み易く押圧力の掛かり易い突出した鍔を簡単に押圧することによつて本 体を容易に圧縮させて取付孔に嵌合できるとともに、(２)該本体の全長および下 孔全長を利用して取付ねじを取付けることができ、目的とする有効ねじ部を最大 限とすることができた。(３)該有効ねじ部が長くなつたことによつて確実な案内 、取付けが可能となり取付ねじの打ち込みミスを生じることがなくなつた。(４) したがつて前記従来技術のナットのように取付ねじの空回りも決して生じない。 とともに、(５)強大なトルクでのねじ打ちが可能となり、よつて強固な部品、ナ ットの固定が可能となつた。

【図面の簡単な説明】

【図１】ナットの一例の斜視図である。

【図２】部品を薄板に取付けた状態を説明する一部縦断
正面図である。

【図３】ナットの半縦断正面図である。

【図４】ナットの半縦断側面図である。

【図５】従来技術の一例を示す縦断面図である。

【図６】他の従来技術のナットの斜視図である。

【図７】図６のナットの使用状態を説明する一部縦断正
面図である。

【符号の説明】

１ 薄板 ２ 部品 ３ 取付ねじ ４ ナット ５ 鍔 ５a 下孔 ６ 本体 ７ スリット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 各種家具などの扉や側板等の薄板に取付
   けられる部品、付属品などを、取付けねじとの結合によ
   つて固定する主として合成樹脂で一体成形されて、該薄
   板の取付孔に掛支する鍔を上端に突設し、小径部を介し
   て該鍔に連設し両側に抜止め用の突出部を形成した本体
   からなるナットにおいて、該鍔上端面から本体の上部に
   亙って中央部前後方向に下方漸縮状のスリットを穿設し
   てナット上部を２つ割りとするとともに該スリット上端
   中心から本体下端へ、取付ねじよりやや小径の下孔を縦
   設して、該上部スリットにより本体突出部を圧縮させて
   薄板の取付孔にナット本体を嵌合掛支させ、該ナットの
   鍔に載せた部品の取付孔からスリットを介して下孔内へ
   取付ねじを打ち込みあるいはねじ締めして部品を薄板に
   取付けるようにしたことを特徴とする薄板用ナット。