JPH0583424U - プラスチック製の押し込みナット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 押し込みナットにおいて、下側のシャンク部
分をも、固定のために利用可能にし、ねじのねじ込みを
容易に行なえるようにする。 【構成】 シャンク２が、該シャンクの差込み端部５か
ら、孔３に対して半径方向に延びる第２の長手方向スリ
ット６によって分割されており、該第２の長手方向スリ
ット６が、前記第１の長手方向スリットに対して直角に
切り込まれており、前記第２の長手方向スリット６の端
部７が、少なくとも第１の長手方向スリットの端部８に
まで達している。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、支持プレートの開口に差込み、かつ該開口の同一の側からねじ込ま れるようになっているねじを収容するための、弾性的なプラスチック製の押し込 みナットであって、組付け方向で見て前記支持プレートの表面に載着されるヘッ ドプレートと、前記支持プレートの前記開口に適合して形成されたシャンクとが 設けられており、該シャンクが前記ヘッドプレートと一体に結合されていて、該 ヘッドプレートと共に、前記ねじのねじ山を収容するために役立つ平滑な孔によ って貫通されており、前記ヘッドプレートおよび、該ヘッドプレートに続いて設 けられた、前記シャンクの上側の部分が、前記孔に対して半径方向に延びる第１ の長手方向スリットによって分割されている形式のものに関する。

【０００２】

【従来の技術】

このような形式の押し込みナットにおいては、孔の内径が、差し込まれるよう になっているねじの外径よりも小さくなるように寸法設定されているので、ねじ はねじ込み時にねじ山を孔壁自体に刻み込み、分割されたシャンクを側方に互い に離れる方向に押圧する。そのさい、シャンク外壁は支持プレートの開口縁部に 固く押し付けられる。

【０００３】 このような形式の押し込みナットでは、押し込みナットの閉じた下側の部分が 拡開できず、ひいては固定には何ら役立たないため、充分な締め付け効果が得ら れない。それに加えて、下側のシャンク部分がたわみ性を有しないため、ねじの ねじ込みが困難になり、ねじが過剰に回転させられて折損し、破断してしまう恐 れが生じる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、下側のシャンク部分も固定のために利用可能で、ねじのねじ 込みが容易に行なえるような、冒頭で述べた形式の押し込みナットを提供するこ とである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この課題を解決するために本考案の構成では、シャンクが、該シャンクの差込 み端部から、孔に対して半径方向に延びる第２の長手方向スリットによって分割 されており、該第２の長手方向スリットが、前記第１の長手方向スリットに対し て直角に切り込まれており、前記第２の長手方向スリットの端部が、少なくとも 前記第１の長手方向スリットの端部にまで達しているようにした。

【０００６】

【考案の効果】

本考案によれば、簡単な手段により前記課題が解決されるだけでなく、薄い支 持プレートにも、厚い支持プレートにも、同じように良好に押し込みナットを固 定することができる。薄いプレートの場合には、突出した両シャンク半部が、互 いに離れる方向で大きく拡開される。これにより、保持力は著しく高められる。 厚い支持プレートの場合には、下側のシャンク部分も支持プレートの開口壁に固 く押し付けられるので、この場合にも保持力は高められる。

【０００７】

【実施例】

以下に、本考案の実施例を図面につき詳しく説明する。

【０００８】 図示の押し込みナットは、支持プレート１０の開口９に差し込み（図４）、か つ、同じ側からねじ込まれるようになっているねじ１１を収容するために役立つ （図５および図６）。

【０００９】 弾性的なプラスチック製の押し込みナットは、ヘッドプレート１と、このヘッ ドプレートに一体成形された、支持プレート１０の開口９に適合して形成された シャンク２とを有している。ヘッドプレート１とシャンク２とは、ねじ山の収容 のために役立つ平滑な孔３によって貫通されている。この場合、孔３の内径はね じ１１の外径よりも小さいので、ねじは、ねじ込まれる時にそのねじ山を押し込 みナット自体に刻み込む。

【００１０】 ヘッドプレート１、および、このヘッドプレートに続いて設けられた前記シャ ンク２の上側部分は、孔３に対して半径方向に延びる第１の長手方向スリット４ によって分割されており、これにより、両シャンク半部は、ねじ１１がねじ込ま れると、側方に向かって互いに離れる方向で押圧される（図５）。支持プレート の開口９での固定のためにシャンク材料ができるだけ多く提供されるように、第 １の長手方向スリット４はできるだけ狭く形成されている。

【００１１】 下側のシャンク部分をも固定のために利用可能にする目的で、シャンク２はシ ャンクの端部５から、孔３に対して半径方向に延びる第２の長手方向スリット６ によって分割されている。この第２の長手方向スリット６は、第１の長手方向ス リット４に対して直角に切り込まれており、この第２の長手方向スリット６の端 部７は、少なくとも第１の長手方向スリット４の端部８にまで達している。これ により、ねじ１１がねじ込まれると、下側の両シャンク半部も側方に向かって離 れる方向で押圧される（図６）。

【００１２】 ねじのねじ込み時に、シャンク２の効果的な拡開を達成するためには、両長手 方向スリット４，６の端部７，８がオーバーラップしており、第２の長手方向ス リット６が、差込み端部５を起点として上方に向かって、ヘッドプレート１の下 方に位置するシャンク部分２’にまで案内されているとより有利である。

【００１３】 このようにして両側から長手方向スリットを切り込まれた押し込みナットは、 材料と横断面積とが等しい、唯１つしか長手方向スリットを備えていない公知押 し込みナットに比べて、支持プレートの開口において、２倍よりも大きい保持力 を有していることがわかった。さらに、本考案の押し込みナットの保持力は薄い 支持プレートにおいても、厚い支持プレートにおいても同じように良好に作用す る。

【００１４】 さらに長手方向スリットを、交差するように二重に切り込むことにより、ねじ が過剰に回転させられて破断する恐れが充分に除去されていることがわかった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による押し込みナットを、図２のＩ−Ｉ
線に沿って示した縦断面図である。

【図２】本考案による押し込みナットの正面図である。

【図３】本考案による押し込みナットの平面図である。

【図４】本考案による押し込みナットを、厚い支持プレ
ートの開口に差し込む状態を示した図である。

【図５】厚い支持プレートに差し込んだ押し込みナット
を、ねじがねじ込まれた状態で示した図である。

【図６】薄い支持プレートに差し込んだ押し込みナット
を、ねじがねじ込まれた状態で示した図である。

【符号の説明】

１ ヘッドプレート、 ２ シャンク、 ２’ シャン
ク部分、 ３ 孔、４ 長手方向スリット、 ５ 差込
み端部、 ６ 長手方向スリット、 ７，８端部、 ９
開口、 １０ 支持プレート、 １１ ねじ

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 支持プレートの開口に差込み、かつ該開
   口の同一の側からねじ込まれるようになっているねじを
   収容するための、弾性的なプラスチック製の押し込みナ
   ットであって、組付け方向で見て前記支持プレートの表
   面に載着されるヘッドプレートと、前記支持プレートの
   前記開口に適合して形成されたシャンクとが設けられて
   おり、該シャンクが前記ヘッドプレートと一体に結合さ
   れていて、該ヘッドプレートと共に、前記ねじのねじ山
   を収容するために役立つ平滑な孔によって貫通されてお
   り、前記ヘッドプレートおよび、該ヘッドプレートに続
   いて設けられた、前記シャンクの上側の部分が、前記孔
   に対して半径方向に延びる第１の長手方向スリットによ
   って分割されている形式のものにおいて、前記シャンク
   （２）が、該シャンクの差込み端部（５）から、前記孔
   （３）に対して半径方向に延びる第２の長手方向スリッ
   ト（６）によって分割されており、該第２の長手方向ス
   リット（６）が、前記第１の長手方向スリット（４）に
   対して直角に切り込まれており、前記第２の長手方向ス
   リット（６）の端部（７）が、少なくとも前記第１の長
   手方向スリット（４）の端部（８）にまで達しているこ
   とを特徴とする、プラスチック製の押し込みナット。
2. 【請求項２】 前記両長手方向スリット（４，６）の前
   記端部（７，８）がオーバーラップしている、請求項１
   記載の押し込みナット。
3. 【請求項３】 前記第２の長手方向スリット（６）が前
   記差込み端部（５）を起点として上方に向かって、前記
   ヘッドプレート（１）の下方に位置するシャンク部分に
   まで案内されている、請求項２記載の押し込みナット。