JPH06106037A - チューブ状多孔質複層膜及びその製造方法 - Google Patents

チューブ状多孔質複層膜及びその製造方法

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JPH06106037A
JPH06106037A JP28051292A JP28051292A JPH06106037A JP H06106037 A JPH06106037 A JP H06106037A JP 28051292 A JP28051292 A JP 28051292A JP 28051292 A JP28051292 A JP 28051292A JP H06106037 A JPH06106037 A JP H06106037A
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porous ptfe
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tubular
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 固−液分離を目的とする濾過材として好適
な、高気孔率で、かつ、目的や用途に応じて、チューブ
内面の膜構造を広範囲に制御することが可能な、優れた
濾過性能を有するチューブ状の多孔質PTFE複合膜を
提供すること。 【構成】 多孔質四弗化エチレン樹脂チューブ(a)の
内面に、多孔質四弗化エチレン樹脂シート(b1)また
は多孔質四弗化エチレン樹脂シートと四弗化エチレン樹
脂より低融点の合成樹脂シートとを積層した流体透過性
積層シート(b2)からなる少なくとも一層が熱融着に
より一体的に固定されていることを特徴とするチューブ
状多孔質複層膜、及びその製造方法。該チューブ状多孔
質複層膜を用いたチューブ状多孔質複層膜モジュール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多孔質四フッ化エチレ
ン樹脂チューブと多孔質四フッ化エチレン樹脂シートと
を複合化してなるチューブ状多孔質複層膜に関し、さら
に詳しくは、液体などの濾過に利用することができる濾
過性能に優れたチューブ状多孔質複層膜、その製造方
法、及び該チューブ状多孔質複層膜を用いたチューブ状
多孔質複層膜モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】四フッ化エチレン樹脂(以下、PTFE
と略記)を材料とする多孔質材料は、PTFE自体のも
つ耐熱性、耐薬品性、耐候性、不燃性などの特性、さら
には非粘着性、低摩擦係数等の表面特性に加えて、多孔
質であるため、可撓性、流体透過性、微粒子の捕集・濾
過性、低誘電率・誘電正接等の特性が付加されており、
これら独自の特性から広範な分野で利用されている。
【0003】多孔質PTFEは、一般に、繊維と該繊維
によって互いに連結された結節とからなる微細繊維状組
織を有しており、孔径の均一性に優れていることから、
チューブ状またはシート状に成型され、例えば、各種フ
ィルター、防水膜、脱気膜、電池用隔膜、オイル塗布部
材等として広く利用されている。特に、多孔質PTFE
チューブは、チューブの壁部を選択的透過膜として利用
する分離膜であって、単位体積当りの膜面積を増大させ
るために、多本数集束し、ケース(外筒)に収納してモ
ジュール化したものは、内圧式膜モジュールと称する固
−液分離濾過装置として、大容量、高精度の濾過用途に
効力を発揮している。
【0004】多孔質PTFEチューブは、通常、PTF
Eファインパウダーにナフサ等の液状潤滑剤を混和し、
押出し等によりチューブ状に成型し、次いで、液状潤滑
剤を乾燥除去し、あるいは除去せずに、成型物を少なく
とも一軸方向に延伸する。熱収縮防止状態にて燒結温度
の約327℃以上に加熱して、延伸した構造を燒結固定
すると、強度が向上した孔径0.1〜10μm程度の多
孔質PTFEチューブが得られる(特公昭42−135
60号公報)。
【0005】ところが、従来の多孔質PTFEチューブ
には、いくつかの欠点があった。第一に、孔径が0.1
〜0.2μm程度の小さい領域においては、気孔率(体
積中に占める空隙の割合)が非常に低いものしか得るこ
とができないため、流体の透過性が非常に小さいことで
ある。従来の長手方向(一軸方向)の延伸加工では、延
伸倍率を小さくする程、小孔径化できるが、同時に気孔
率が小さくなってしまう。気孔率を上げるためには、チ
ューブを径方向に膨張させる等の方法が考えられるが、
製造可能なサイズあるいはコスト面等での制約があり、
実用化が困難である。
【0006】第二に、多孔質PTFEチューブを濾過膜
として使用するには、PTFEの融点である約327℃
以上で燒結処理することにより、十分な強度を付与する
ことが必要であるが、特に気孔率の低いものを燒結する
場合、PTFEの低い熱伝導率のために該チューブの内
面まで十分燒結すると、外表面が過燒結状態となり、繊
維が互いに融着し、ついには孔がつぶれてしまい、さら
に濾過性能が低下する等の問題があった。
【0007】これらの問題点を克服する手段として、多
孔質PTFEチューブの外面に多孔質PTFEシート
(フィルムを含む)を巻き付ける方法が提案されている
(実公平4−3607号公報、特公昭52−9074号
公報)。即ち、比較的孔径が大きく、高気孔率の多孔質
PTFEチューブを支持層とし、その外面に高気孔率か
つ小孔径の多孔質PTFEシートを巻き付け、この被覆
した多孔質PTFEシートの層を濾過層とするものであ
る。さらに、PTFEヤーンの編組体による補強層を設
けることも提案されている(実公平4−3607号公
報)。
【0008】しかしながら、多孔質PTFEチューブの
外面に多孔質PTFEシートを巻き付けた構造のチュー
ブ状濾過材を内圧式濾過用途に用いる場合、下記のよう
な問題点がある。
【0009】第一に、前記チューブ状濾過材をチューブ
状濾過膜として、被処理流体をチューブの内側から外側
に長期間にわたり濾過または透過させると、被処理流体
に与えられた圧力によりチューブの一部に膨れが発生
し、その結果、外面に巻き付けた多孔質PTFEシート
の一部に剥離が生じて、濾過精度が損なわれる。この問
題は、最外面にヤーン等の編組体による補強層を設ける
ことにより、ある程度克服することができるが、必ずし
も十分ではない。また、編組体の線径を太くしたり、あ
るいは開口率を低くして、補強効果を高めると、透過性
能に悪影響を及ぼす。
【0010】第二に、被処理流体が高濃度でかつ種々の
形状の固形分を含む固−液分離においては、多くの場合
クロスフロー濾過方式が用いられるが、前記チューブ状
濾過材を使用してクロスフロー濾過方式を適用すると、
急速な目詰まりを生じ易いという問題がある。即ち、循
環濾過で内圧式の場合、チューブ内面を被処理流体が流
れ、一旦膜面に付着した粒子を流束により洗うことによ
り、濾過寿命を伸ばすことが行われている。この場合で
も、実際には目詰りによる濾過性能の低下が起こるが、
濾過寿命の長短は、特にチューブ内面の孔径及び孔構造
に左右される。したがって、被処理流体中の固形分の大
きさ及びその分布により、これに適したチューブ内面の
孔径及び孔構造を選択できることが望ましい。
【0011】ところが、多孔質PTFEチューブの外面
に多孔質PTFEシートを巻き付けた構造のチューブ状
濾過材では、内面が多孔質PTFEチューブであるた
め、孔径及び孔構造の制御に制約がある。多孔質PTF
Eチューブは、通常、長手方向にのみ延伸するため、孔
構造がスリット状のものに限定され、しかも、濾過膜と
して好ましい高気孔率のものとした場合、必然的に大孔
径となってしまう。そうすると、被処理流体中の固形分
の大きさの分布が広く、特に粒径の大きな固形分を多く
含む場合、大粒子がチューブ状濾過材の膜表面、即ち、
多孔質PTFEチューブ内面の孔の中に完全に入り込
み、孔を閉塞してしまう。これが原因で急速な目詰まり
を起こす場合がある。一方、これを防ぐため、多孔質P
TFEチューブ内面の孔径を小さくすると、低気孔率と
なり、流体の透過性が悪化する。
【0012】このように、多孔質PTFEチューブの外
面に多孔質PTFEシートを巻き付けた構造のチューブ
状濾過材を、流体をチューブの内側から外側に濾過する
内圧式の濾過材として使用する場合、多くの解決すべき
課題を残していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、固−
液分離を目的とする濾過材として好適なチューブ状の多
孔質PTFE複合膜を提供することにある。本発明の目
的は、より具体的には、高気孔率で、かつ、目的や用途
に応じて、チューブ内面の膜構造を広範囲に制御するこ
とが可能な、優れた濾過性能を有するチューブ状の多孔
質PTFE複合膜を提供することにある。
【0014】本発明者は、前記従来技術の問題点を克服
するために鋭意研究した結果、多孔質PTFEチューブ
の内面に、一層または二層以上の多孔質PTFEシート
を熱融着により一体的に固定した構造のチューブ状多孔
質複層膜が、前記目的を達成できることを見出した。
【0015】このチューブ状多孔質複層膜は、その内面
に多孔質PTFEシートからなる層を配置しているた
め、使用目的に応じて内面の孔径や孔構造を容易に制御
することができる。また、このチューブ状多孔質複層膜
は、実用に耐える強度を有すると共に、流体をチューブ
の内側から外側に濾過する濾過材として使用した場合、
チューブの膨れによる層間の剥離が抑制される。さら
に、大孔径かつ高気孔率の多孔質PTFEチューブを支
持層とし、小孔径かつ高気孔率の多孔質PTFEシート
を濾過層として内側に配置することにより、流体の透過
性と濾過性能に優れたチューブ状濾過材を得ることがで
き、チューブ内面多孔構造の粒子による目詰まりも防ぐ
ことができる。
【0016】また、このチューブ状多孔質複層膜は、棒
状支持体の外周面に、未焼成の多孔質PTFEシートを
巻き付け、その上に、未焼成の多孔質PTFEチューブ
をかぶせて、管軸方向への熱収縮防止状態にて燒結処理
することにより作成することができる。
【0017】多孔質PTFEシート相互間、あるいは多
孔質PTFEシートと多孔質PTFEチューブ間の接着
性を向上させるために、ポリプロピレン不織布等のPT
FEより低融点の合成樹脂シートを多孔質PTFEシー
トの一部分または全面に積層して使用することができ
る。
【0018】このチューブ状多孔質複層膜は、単位体積
当りの膜面積を増大させるために、多本数集束し、外筒
内に収納してモジュール化することができる。本発明
は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものであ
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれ
ば、多孔質四弗化エチレン樹脂チューブ(a)の内面
に、多孔質四弗化エチレン樹脂シート(b1)または多
孔質四弗化エチレン樹脂シートと四弗化エチレン樹脂よ
り低融点の合成樹脂シートとを積層した流体透過性積層
シート(b2)からなる少なくとも一層が熱融着により
一体的に固定されていることを特徴とするチューブ状多
孔質複層膜が提供される。
【0020】また、本発明によれば、棒状支持体の外周
面に、未焼成の多孔質四弗化エチレン樹脂シート(b
1)または未焼成の多孔質四弗化エチレン樹脂シートと
四弗化エチレン樹脂より低融点の合成樹脂シートとを積
層した流体透過性積層シート(b2)を少なくとも一重
に巻き付けて、その上に、少なくとも一軸方向に延伸さ
れた多孔質四弗化エチレン樹脂チューブ(a)を被覆
し、次いで、該多孔質四弗化エチレン樹脂チューブの管
軸方向への熱収縮を防止した状態にて、四弗化エチレン
樹脂の融点以上の温度に加熱して燒結処理し、しかる
後、棒状支持体を抜き取ることを特徴とするチューブ状
多孔質複層膜の製造方法が提供される。
【0021】さらに、本発明によれば、前記チューブ状
多孔質複層膜を複数本束ねた集束体を外筒内に収納し、
該集束体の少なくとも一方の端末部において、外筒と集
束体との間隙、及びチューブ状多孔質複層膜相互の間隙
を封止用樹脂にて封止してなることを特徴とするチュー
ブ状多孔質複層膜モジュールが提供される。
【0022】以下、本発明について詳述する。本発明の
チューブ状多孔質複層膜は、チューブ内面に、高気孔率
で、かつ、厚み、孔径及び孔構造を広範囲に変化させた
ものが製造可能な多孔質PTFEシートを熱融着により
固定一体化したものであり、特に、流体をチューブ内側
から外側に濾過または透過させる用途において優れた性
能を発揮する。
【0023】本発明のチューブ状多孔質複層膜は、濾過
目的や被処理液体の性状(固形分の大きさ、分布等)に
応じて、チューブ内面の気孔率、孔径、孔構造、膜厚等
を決定することができるため、濾過性能に優れていると
共に、外側の多孔質PTFEチューブが支持層となり、
濾過層となる内側の多孔質PTFEシート層を補強し、
精度の高い濾過を可能とする。また、特に高圧で濾過す
る場合以外は、外側に編組体等の補強層は不用であり、
ケースにおさめてモジュール化する場合も、その充填率
を高くすることができる。
【0024】本発明で使用する多孔質PTFEシート
は、常法により製造することができ、所望に応じて多種
多様な孔径、気孔率、孔構造、膜厚のものを選択するこ
とができる。例えば、孔径は0.01〜10μmの範
囲、厚みは10μm〜5mmの範囲、気孔率は30〜9
0%の範囲から選択することができ、孔構造について
も、一軸延伸によるスリット状だけではなく、二軸延伸
による編目状とすることが可能であり、その繊維径も容
易に制御することができる。さらに、予備濾過等の必要
性がある場合、孔径や孔構造の異なる2種以上の多孔質
PTFEシートのラミネート膜とすることもできる。
【0025】本発明で使用する多孔質PTFEチューブ
は、通常、支持体層として強度を付与する役割を持つ場
合が多く、したがって、流体の透過性を上げるため、強
度の許す限り肉厚を薄くし、かつ、内面の多孔質PTF
Eシートに比べ、大孔径かつ高気孔率とすることが望ま
しい。この多孔質PTFEチューブは、常法により製造
することができる。
【0026】多孔質PTFEシートのチューブ内面にお
ける固定状態については、例えば、テープ状の多孔質P
TFEシートをスパイラル状に傾斜巻き付けを一重また
は二重以上同方向または反対方向に重ね巻きにしたも
の、あるいは、多孔質PTFEシートをのり巻き状に一
重または二重以上に重ね巻きにしたものでもよい。濾過
精度の安定性と流体透過性の双方から考えて、二重巻き
が好ましい。
【0027】多孔質PTFEシート同士あるいは該シー
トと多孔質PTFEチューブとの接着性を高めることが
特に必要な場合には、多孔質PTFEシートの一部分あ
るいは全面にPTFEより融点が低く、かつ、濾過材と
しての実用性能を阻害しない材質の合成樹脂シートを予
めラミネートしておくことにより、融着をより確実なも
のとすることができる。例えば、多孔質PTFEシート
の一部分に無孔質FEP(四弗化エチレン−六弗化プロ
ピレン共重合体)シートなどの弗素樹脂シートをラミネ
ートしたものを使用することができる。また、多孔質P
TFEシートの全面にポリプロピレンやポリエステルな
どの不織布をラミネートしたものを使用することができ
る。これらの積層したシートは、勿論、多孔質PTFE
シートが本来持っている流体透過性を本質的に損なうも
のではなく、それ自体、流体透過性を有していなければ
ならない。
【0028】本発明のチューブ状多孔質複層膜は、多本
数束ねてケース(外筒)に収納し、これらチューブ状多
孔質複層膜の両端部を開口させ、一方または両方の端に
おいて、チューブ集束体とケースとの間、及びチューブ
状多孔質複層膜相互の間を封止用樹脂にて封止すれば、
チューブ状多孔質複層膜モジュールを得ることができ
る。このチューブ状多孔質複層膜モジュールは、大容
量、高精度濾過を実現可能とするものである。
【0029】本発明のチューブ状多孔質複層膜を製造す
るには、棒状支持体の外周面に、未焼成の多孔質PTF
Eシートを一重または二重以上に巻き付けて、その上
に、少なくとも一軸方向に延伸された多孔質PTFEチ
ューブを被覆し、次いで、該多孔質PTFEチューブの
管軸方向への熱収縮を防止した状態にて、PTFEの融
点(約327℃)以上の温度に加熱して燒結処理し、し
かる後、棒状支持体を抜き取ればよい。多孔質PTFE
シートは、接着性を向上させるために、PTFEより低
融点の合成樹脂シートを積層して使用してもよい。
【0030】棒状支持体としては、耐熱性の材質からな
るもの、例えば、ステンレス等の金属製円筒や円柱を使
用することができる。多孔質PTFEシート及び多孔質
PTFEチューブは、いずれも未焼成のものを使用する
が、完全に焼成されたものでなければよく、いわゆる半
焼成のものも使用することができ、この半焼成のものも
本発明の範囲内に含まれる。棒状支持体の外周面に、未
焼成の多孔質PTFEシートを巻き付けるには、テープ
状の多孔質PTFEシートをスパイラル状に傾斜巻き付
けする方法、多孔質PTFEシートをのり巻き状に巻き
付ける方法などがあり、一重に巻き付けるか、あるいは
二重以上、同方向または反対方向に重ね巻きする。
【0031】棒状支持体の外周面に、多孔質PTFEシ
ートを巻き付けて、その上に、多孔質PTFEチューブ
をかぶせ、該多孔質PTFEチューブの管軸方向への熱
収縮を防止した状態にて、約327℃以上の温度で燒結
処理すると、多孔質PTFEチューブが径方向に収縮
し、かつ、多孔質PTFEシートの層と熱融着する。合
成樹脂シートを介在させた場合には、該合成樹脂シート
を介して両者が熱融着する。燒結処理後、棒状支持体を
抜き取ることにより、容易に定尺で、内径のバラツキの
少ないチューブ状多孔質複層膜を得ることができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明について、実施例及び比較例を
挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例
のみに限定されるものではない。
【0033】[実施例1]外径3.5mmφ、長さ12
00mmLのステンレス棒に、未焼成で二軸延伸した平
均孔径0.1μm、幅20mm、厚み40μmの多孔質
PTFEシートをスパイラル状に傾斜巻き付けした後、
その外面に、内径4.2mmφ、肉厚0.5mm、気孔
率80%の未焼成の多孔質PTFEチューブをかぶせ、
チューブ両端を針金で縛って拘束した。これを約360
℃で20分間の条件で燒結処理し、冷却後、両端を裁断
して、ステンレス棒を抜き取り、チューブ状多孔質複層
膜を得た。その構造は、図1(断面図)及び図2(透視
図)に示すとおりである。図1及び図2は、多孔質PT
FEチューブ(1)の内側に、多孔質PTFEシート
(2)がスパイラル状に傾斜巻き付けされていることを
示す。
【0034】得られたチューブ状多孔質複層膜(複層品
A)の膜物性を表1に示す。比較のため、多孔質PTF
Eチューブの外側に多孔質PTFEシートをスパイラル
状に傾斜巻き付けしたこと以外は同様にして作成した複
層品(B)、及び多孔質PTFEチューブ単体(C)に
ついても、膜物性を測定し、表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】次に、上記で得られたチューブ状多孔質複
層膜を7本束ね、内径20mmφ、長さ1000mmの
ポリスルホン外筒におさめ、両端における集束体と外筒
との間、及びチューブ状多孔質複層膜相互の間をエポキ
シ樹脂にて封止し、両端が開口したモジュールを製作し
た(図3)。図3において、複数本のチューブ状多孔質
複層膜(3)束は、ポリスルホン外筒(4)に収納さ
れ、両端部分でエポキシ樹脂により封止(5)されてい
る。被処理原液は、入口(6)から出口(7)の方向に
チューブ内を流れ、濾液は外筒(4)に設けられた出口
(8、8)から外部に導かれる。
【0037】このチューブ状多孔質複層膜モジュールに
ついて、透水性及び固−液分離テストを実施した。比較
のために、多孔質PTFEチューブの外側に多孔質PT
FEシートをスパイラル状に傾斜巻き付けした複層品
(B)、及び多孔質PTFEチューブ単体(C)につい
ても、モジュール化し、透水性及び固−液分離テストを
実施した。透水性能については、表1に、流量について
は、図4に示した。
【0038】これらのテストで使用した流体は、水酸化
第二鉄を固形分濃度1400mg/lで含む水性分散液
であり、濾過条件は、入口圧力が2.0kg/cm
2で、出口圧力が0.7kg/cm2であった。また、濾
過方式は、内圧循環式濾過方式(クロスフロー方式)と
した。
【0039】図4において、Aは、本発明のチューブ状
多孔質複層膜を用いて作成したモジュール、Bは、多孔
質PTFEチューブの外側に多孔質PTFEシートをス
パイラル状に傾斜巻き付けした複層品を用いて作成した
モジュール、また、Cは、多孔質PTFEチューブ単体
を用いて作成したモジュールを表し、それぞれの流量の
経時変化を示す。
【0040】表1及び図4から明らかなように、本発明
のチューブ状多孔質複層膜は、高気孔率で、処理能力に
優れ、かつ、信頼性も高いことが分かる。また、各モジ
ュールについて、濾液をサンプリングし、吸光度測定に
より、被処理液体のリークの有無を調査したところ、本
発明のチューブ状多孔質複層膜を用いて作成したモジュ
ール、及び多孔質PTFEチューブ単体を用いて作成し
たモジュールについては、120分経過後もリークは認
められなかったが、多孔質PTFEチューブの外側に多
孔質PTFEシートをスパイラル状に傾斜巻き付けした
複層品を用いて作成したモジュールの場合には、120
分経過後にリークが確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明のチューブ状多孔質複層膜は、高
気孔率でかつチューブ内面に、目的、用途に応じて、広
範囲な膜構造の層を配置することが可能で、その結果、
従来に比べ濾過性能を大きく向上できるため、各種フィ
ルター用途、特に高濃度の固−液分離用途で好適であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチューブ状多孔質複層膜の断面図であ
る。
【図2】本発明のチューブ状多孔質複層膜の透視図であ
る。
【図3】本発明のチューブ状多孔質複層膜を用いたチュ
ーブ状多孔質複層膜モジュールの断面図である。
【図4】実施例及び比較例のチューブ状多孔質複層膜モ
ジュールの流量の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1 多孔質PTFEチューブ 2 多孔質PTFEシート 3 チューブ状多孔質複層膜 4 外筒 5 封止樹脂 6 被処理液体入口 7 被処理液体出口 8 濾液出口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質四弗化エチレン樹脂チューブ
    (a)の内面に、多孔質四弗化エチレン樹脂シート(b
    1)または多孔質四弗化エチレン樹脂シートと四弗化エ
    チレン樹脂より低融点の合成樹脂シートとを積層した流
    体透過性積層シート(b2)からなる少なくとも一層が
    熱融着により一体的に固定されていることを特徴とする
    チューブ状多孔質複層膜。
  2. 【請求項2】 棒状支持体の外周面に、未焼成の多孔質
    四弗化エチレン樹脂シート(b1)または未焼成の多孔
    質四弗化エチレン樹脂シートと四弗化エチレン樹脂より
    低融点の合成樹脂シートとを積層した流体透過性積層シ
    ート(b2)を少なくとも一重に巻き付けて、その上
    に、少なくとも一軸方向に延伸された多孔質四弗化エチ
    レン樹脂チューブ(a)を被覆し、次いで、該多孔質四
    弗化エチレン樹脂チューブの管軸方向への熱収縮を防止
    した状態にて、四弗化エチレン樹脂の融点以上の温度に
    加熱して燒結処理し、しかる後、棒状支持体を抜き取る
    ことを特徴とするチューブ状多孔質複層膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のチューブ状多孔質複層膜
    を複数本束ねた集束体を外筒内に収納し、該集束体の少
    なくとも一方の端末部において、外筒と集束体との間
    隙、及びチューブ状多孔質複層膜相互の間隙を封止用樹
    脂にて封止してなることを特徴とするチューブ状多孔質
    複層膜モジュール。
JP28051292A 1992-09-25 1992-09-25 チューブ状多孔質複層膜及びその製造方法 Expired - Fee Related JP3221095B2 (ja)

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