JPH06104722B2 - 末端封止型芳香族ポリエーテルケトン及びその製造法 - Google Patents

末端封止型芳香族ポリエーテルケトン及びその製造法

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JPH06104722B2
JPH06104722B2 JP8144992A JP8144992A JPH06104722B2 JP H06104722 B2 JPH06104722 B2 JP H06104722B2 JP 8144992 A JP8144992 A JP 8144992A JP 8144992 A JP8144992 A JP 8144992A JP H06104722 B2 JPH06104722 B2 JP H06104722B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な末端封止型芳香
族ポリエーテルケトン及びその製造法に関するものであ
る。さらに詳しくいえば、本発明は、フェニレン基がエ
ーテル基及びケトン基を介してp‐位に連結されている
化学構造を有し、かつそのポリマー末端が不活性な芳香
族基で封止されている、耐熱性、耐薬品性及び機械的強
度などに優れ、かつ比較的容易に溶融成形しうる新規な
ポリマー及びそれを工業的に有利に製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】これまで、エーテル基及びケトン基を介
してフェニレン基がp‐位に連結されている構造を有す
る芳香族ポリエーテルケトンとしては、例えば構造式
【化4】 で表わされる、芳香環上に置換基をもたないものが知ら
れており、このものは優れた耐熱性、耐薬品性及び機械
的強度などを有するために、成形材料として注目されて
いる。
【0003】この構造式で表わされる芳香族ポリエーテ
ルケトンは、例えば4‐(p‐クロロベンゾイル)フェ
ノールのカリウム塩を加熱する方法(特公昭50−10
20号公報)、あるいはp‐フェノキシベンゾイルハラ
イドを三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒の存在下に、
フリーデル・クラフツ反応に付す方法(特公昭56−3
3419号公報)などによって製造されている。
【0004】しかしながら、このようにして得られた芳
香環上に置換基をもたない芳香族ポリエーテルケトン
は、耐熱性、耐薬品性、機械的強度などに優れているも
のの、融点が365〜367℃と極めて高いために成形
加工温度としては、400℃以上の温度が必要であっ
て、その加工が困難であるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の芳香族ポリエーテルケトンのもつ欠点を改良し、
優れた耐熱性、耐薬品性及び機械的強度を有し、かつ比
較的容易に溶融成形しうる新規なポリマー及びその製造
法を提供することを目的としてなされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記の好ま
しい特徴を有するポリマーを開発するために種々研究を
重ねた結果、先に、式(A)
【化5】 で表わされる、芳香環に置換基を有する構成単位からな
る新規な芳香族ポリエーテルケトン及び前記式(A)で
表わされる構成単位と、式(B)
【化6】 で表わされる構成単位とを所定の割合で有する新規な芳
香族ポリエーテルケトンがその目的に適合することを見
出した(特願昭59−148600号、特願昭60−1
7557号)。
【0007】本発明者は、さらに鋭意研究を進めた結
果、これらの新規な芳香族ポリエーテルケトンのアリー
ルオキシ末端又はこれとアリールハロゲノ末端とを、不
活性な芳香族基で封止してなる新規な芳香族ポリエーテ
ルケトンが、末端を封止していないものに比べてさらに
耐熱性及び溶融成形加工性に優れていることを見出し、
この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、式(A)
【化7】 で表わされる構成単位からなり、少なくともポリマーの
アリールオキシ末端が不活性な芳香族基で封止された分
子構造を有し、かつ98%硫酸中、温度30℃、濃度
0.1g/dlにおける還元粘度が0.1以上であるこ
とを特徴とする末端封止型芳香族ポリエーテルケトンを
提供するものである。
【0009】この末端封止型芳香族ポリエーテルケトン
は、例えば無溶媒又は溶媒中において、4‐(p‐ハロ
ゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノールを加熱
重縮合させ、次いで得られた重合体に、そのアリールオ
キシ末端と反応しうる芳香族化合物及び所望に応じその
アリールハロゲノ末端と反応しうる芳香族化合物を任意
の順で反応させて該アリールオキシ末端のみ又はこの末
端と該アリールハロゲノ末端の両方を封止することによ
って製造される。
【0010】本発明で用いられる原料の単量体は、式
(C)
【化8】 (式中のXはハロゲン原子である)で表わされる4‐
(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノ
ールである。好ましいハロゲン原子はフッ素原子又は塩
素原子であり、特に好ましいのはフッ素原子である。
【0011】そして、前記式(C)で表わされる4‐
(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノ
ールを加熱重縮合させ、次いで所望の芳香族系末端封止
剤を加えて封止反応させることにより、目的とする末端
封止型芳香族ポリエーテルケトンが得られる。
【0012】この際、重縮合反応を行わせる手段につい
ては特に制限はないが、次に示すような2通りの方法が
有利に用いられる。
【0013】すなわち、第1の方法は、4‐(p‐ハロ
ゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノールをアル
カリ金属塩の形で用いて加熱し、脱ハロゲン化アルカリ
金属を伴いながら重縮合させる方法である。前記アルカ
リ金属塩としてはナトリウム塩又はカリウム塩が好まし
い。
【0014】この反応は、無溶媒で実施することもでき
るし、また重縮合反応に悪影響を及ぼさない溶媒を用い
て実施することもできる。溶媒としては、常温で液体状
のものはもちろんのこと、常温で固体状であっても反応
温度において溶融状態になるものであれば使用すること
ができる。このような溶媒としては、例えばN,N‐ジ
メチルホルムアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、
N‐メチル‐2‐ピロリドン、ヘキサメチルホスホルア
ミド、テトラメチル尿素などのアミド系溶媒;ベンゾニ
トリル、トルニトリルなどのニトリル系溶媒;ジメチル
スルホン、ジエチルスルホンなどのジアルキルスルホン
類;スルホラン、メチルスルホランなどのスルホラン
類;ジフェニルスルホン、ジトリルスルホンなどのジア
リールスルホン類;ジフェニルエーテル、ジトリルエー
テルなどのジアリールエーテル類;ベンゾフェノン、ア
セトフェノン、ジトリルケトンなどのケトン類などが好
ましい。
【0015】また、重合反応温度及び反応時間は、原料
モノマーのハロゲン原子及びアルカリ金属の種類、溶媒
の有無及び種類などによって異なるが、通常150〜4
50℃の温度範囲で1分間〜50時間、好ましくは20
0〜400℃の温度範囲で5分間〜25時間程度であ
る。
【0016】前記の4‐(p‐ハロゲノベンゾイル)‐
2,6‐ジメチルフェノールのアルカリ金属塩は、任意
の方法により製造することができる。例えば、アルカリ
金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩などの水溶液、あ
るいはアルカリ金属水酸化物の低級アルコール溶液と、
4‐(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノールとを混合して反応させたのち、脱水、乾燥、あ
るいは脱アルコール、乾燥を施すことによって容易に得
られる。
【0017】重縮合反応を行わせるための好ましい第2
の方法は、4‐(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐
ジメチルフェノールをアルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水
素塩の中から選ばれた少なくとも1種の存在下に加熱し
て重縮合させる方法である。アルカリ金属の炭酸塩及び
炭酸水素塩としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム及
び炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸水素セシウムなどが
用いられる。
【0018】これらのアルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水
素塩は無水のものが好ましく、またその使用量は、4‐
(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノ
ールのモル数に対して、通常0.1〜5倍モル、好まし
くは0.3〜2倍モルの範囲で選ばれる。
【0019】この重縮合反応も無溶媒で実施することが
できるし、また前記のような溶媒を用いて実施すること
もできる。
【0020】また、反応温度及び反応時間は、原料モノ
マーのハロゲン原子の種類、アルカリ金属の炭酸塩や炭
酸水素塩の種類、溶媒の有無及び種類などによって異な
るが、通常150〜450℃の温度範囲で1分間〜50
時間、好ましくは200〜400℃の温度範囲で5分間
〜25時間程度である。
【0021】原料モノマーの4‐(p‐ハロゲノベンゾ
イル)‐2,6‐ジメチルフェノールは任意の方法によ
って製造することができるが、ハロゲン原子とヒドロキ
シル基がカルボニル基に対してそれぞれ実質的にp‐位
にあることが必要である。4‐(p‐ハロゲノベンゾイ
ル)‐2,6‐ジメチルフェノールの好ましい製造方法
の1つはp‐ハロゲン化安息香酸2,6‐ジメチルフェ
ノールエステルをフリース転位させる方法である。この
場合、ヒドロキシル基に対して2位及び6位がメチル基
で置換されているため、目的とするp‐体のものしか生
成しない。
【0022】このような重縮合方法によって得られた芳
香族ポリエーテルケトンは、原料として4‐(p‐ハロ
ゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノールを用い
る場合、前記式(A)で表わされる構成単位からなるも
のである。
【0023】この芳香族ポリエーテルケトンは、その末
端にアリールオキシ基及びアリールハロゲノ基を有して
いるが、本発明においては、芳香族化合物による末端封
止反応を行って、少なくともアリールオキシ末端の封止
を行い、また必要に応じアリールハロゲノ末端の封止も
行う。この封止反応を行う方法については特に制限はな
いが、通常次に示す方法が好ましく用いられる。
【0024】すなわち、重合反応によって所定の重合度
のポリマーを生成させたのち、引続いてこれに、(1)
アリールオキシ末端と反応しうる芳香族化合物を加え、
反応させて該アリールオキシ末端を封止する、(2)前
記操作を行ったのち、アリールハロゲノ末端と反応しう
る芳香族化合物を加え、反応させて該アリールハロゲノ
末端を封止する、(3)アリールハロゲノ末端と反応し
うる芳香族化合物を加え、反応させて該アリールハロゲ
ノ末端を封止したのち、アリールオキシ末端と反応しう
る芳香族化合物を加え、反応させて該アリールオキシ末
端を封止するなどのいずれかの方法によって、アリール
オキシ末端のみ又はアリールオキシ末端及びアリールハ
ロゲノ末端の両方を封止する。
【0025】前記アリールオキシ末端と反応しうる芳香
族化合物としては、例えば芳香族モノハロゲン化物や電
子吸引性置換基を有する芳香族モノニトロ化合物が好ま
しく用いられる。芳香族モノハロゲン化物としては、例
えばフルオロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼ
ン、ヨードベンゼンなどのモノハロゲン化ベンゼン類、
フルオロナフタレン、クロロナフタレン、ブロモナフタ
レン、ヨードナフタレンなどのモノハロゲン化ナフタレ
ン類、式(D)
【化9】 (式中のXはハロゲン原子、Qは単なる化学結合、−
O−、−S−、−CO−、−SO−、−SO−、−C
−、−C(R)−などの二価の基であり、R
及びRは低級アルキル基である)で表わされる化合
物などが挙げられる。
【0026】また、これらの芳香族モノハロゲン化物に
おいて、芳香環の1つ以上の水素原子が、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、フェニル基、シアノ基、エステ
ル基などによってさらに置換されていてもよい。
【0027】これらの芳香族モノハロゲン化物の中で、
式(E)
【化10】 (式中のXはハロゲン原子、Yは−CO−又は−SO
−である)で表わされる化合物が好適であり、その中
でも特に4‐ベンゾイル‐クロロベンゼン、4‐ベンゾ
イル‐フルオロベンゼン、4‐ベンゼンスルホニル‐ク
ロロベンゼン、4‐ベンゼンスルホニル‐フルオロベン
ゼンが好適である。
【0028】また、電子吸引性置換基を有する芳香族モ
ノニトロ化合物としては、例えばニトロベンゾニトリル
(各異性体)、シアノニトロナフタレン(各異性体)、
式(F)
【化11】 (式中のQは前記と同じ意味を示す)で表わされる化合
物、N‐フェニル‐4‐ニトロフタルイミドなどが好ま
しく用いられる。
【0029】また、これらの芳香族モノニトロ化合物に
おいて、芳香環の1つ以上の水素原子が、低級アルキル
基、低級アルコキシ基、フェニル基、シアノ基、エステ
ル基などによってさらに置換されていてもよい。
【0030】一方、アリールハロゲノ末端と反応しうる
芳香族化合物としては、芳香族モノヒドロキシル化合物
が好適であり、例えばフェノール、ナフトール、式
(G)
【化12】 (式中のQは前記と同じ意味を示す)で表わされる化合
物などが用いられる。
【0031】また、これらの芳香族モノヒドロキシル化
合物において、芳香環の1つ以上の水素原子が、低級ア
ルキル基、低級アルコキシ基、フェニル基、シアノ基、
エステル基などによってさらに置換されていてもよい。
さらに、これらの芳香族モノヒドロキシル化合物は、そ
のアルカリ金属塩として用いることもできる。
【0032】これらの末端封止剤による封止反応温度及
び反応時間は、ポリマー末端の種類や量、封止剤の種類
や量、溶媒の有無及び種類などによって異なるが、通常
150〜450℃の温度範囲で1分間〜50時間、好ま
しくは200〜400℃の温度範囲で5分間〜20時間
程度である。
【0033】また、用いられる末端封止剤の量は封止す
べきポリマー末端と等量以下であっても差し支えない
が、等量以上用いるのが好ましい。
【0034】このようにして得られた本発明の新規な末
端封止型芳香族ポリエーテルケトンは、前記式(A)で
表わされる構成単位からなる骨格を有し、少なくともポ
リマーのアリールオキシ末端が不活性な芳香族基で封止
された構造で、かつ98%硫酸中、温度30℃、濃度
0.1g/dlにおける還元粘度が0.1以上のもので
ある。この還元粘度の値については0.1以上であれ
ば、溶融成形、溶液成形あるいはその他の成形方法によ
り成形可能であり、特に制限はないが、通常0.1〜
5.0、好ましくは0.2〜3.5の範囲で選ばれる。
【0035】本発明の末端が不活性な芳香族基で封止さ
れた芳香族ポリエーテルケトンは、約230℃にガラス
転移温度を有する非晶性のポリマーである。
【0036】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定
されるものではない。なお、ポリマーの還元粘度は、9
8%硫酸を溶媒として、濃度0.1g/dl、温度30
℃で測定した値である。
【0037】実施例1 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノール25g、ジフェニルスルホン80gを、かきま
ぜ装置、温度計、窒素導入口、空冷式冷却管の付いたフ
ラスコに入れ、170℃に加熱し、均一な溶液にする。
次いで微粉末の無水炭酸ナトリウム6.19g及び無水
炭酸カリウム0.43gを加え、200℃で1時間、2
50℃で15分間、270℃で4時間、窒素雰囲気下に
かきまぜることによって重縮合反応を行った。次いで、
p‐フルオロベンゾフェノン1.25gをスルホラン1
0mlに溶解させた溶液を加え、270℃で1時間かき
まぜることによって、末端封止反応を行った。重合反応
中は黄色味を帯びた粘ちょうな溶液であったが、p‐フ
ルオロベンゾフェノンを加えてかきまぜることによっ
て、その黄色は消え、乳白色の粘ちょうな溶液に変化し
た。このことは、ポリマー末端のアルカリ金属フェノキ
シド基が消失し、末端が安定な芳香族基で封止されたこ
とを示している。
【0038】次いで、熱時、粘ちょうな反応混合物を取
り出し、冷却後、粉砕した。得られた粉末をアセトン及
び水で、それぞれ数回洗浄及び抽出操作をすることによ
ってジフェニルスルホン、スルホラン及び無機塩を除去
したのち、減圧下に150℃で乾燥することによって、
乳白色のポリマー22.2gが得られた。収率は定量的
であり、このポリマーの還元粘度は1.7であった。
【0039】このポリマーの赤外線吸収スペクトルを図
1に示す。これから分るように、2900〜2980c
−1にメチル基、1640〜1670cm−1及び1
580〜1610cm−1にカルボニル基及びそれに共
役するベンゼン環、1100〜1350cm−1にエー
テル結合による特性吸収を有している。
【0040】アルカリ金属フェノキシド基に基づく黄色
が封止反応によって消失したこと、及び赤外線吸収スペ
クトルの結果より、このポリマーはフェノキシ末端が封
止された、式
【化13】 で表わされる構造を有する末端封止型芳香族ポリエーテ
ルケトンであると同定された。
【0041】さらに、このポリマーの熱重量分析チャー
トを図2(b)に、またフェノキシ末端を封止しないポ
リマーの熱重量分析チャートを図2(a)に示す。これ
らの図から、フェノキシ末端を封止することによって、
熱分解開始温度が約430℃から約455℃と約25℃
上昇していることが分る。
【0042】また、このポリマーは約230℃にガラス
転移温度を有する非晶質のポリマーであった。
【0043】実施例2 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノール25g、ジフェニルスルホン75gを実施例1
と同様なフラスコに入れ、窒素雰囲気下にかきまぜなが
ら160℃に加熱し均一な溶液にしたのち、微粉末の無
水炭酸ナトリウム5.01g及び無水炭酸カリウム0.
72gを加え、200℃で1時間、250℃で30分
間、270〜280℃で4.5時間重縮合反応を行っ
た。次いで、スルホラン5mlに溶解させたp‐クロロ
ジフェニルスルホン2.52gを加え、275〜280
℃で1時間かきまぜながら末端封止反応を行ったとこ
ろ、黄色の粘ちょうな溶液がアイボリー色の粘ちょうな
溶液に変化した。
【0044】次いで、実施例1と同様な処理により、式
【化14】 で表わされる構造を有するフェノキシ末端が封止された
乳白色のポリマー23.4gが得られた。このポリマー
の還元粘度は1.6であった。
【0045】このポリマーの赤外線吸収スペクトルを図
3に、また熱重量分析チャートを図4に示す。
【0046】実施例3 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノール25g、スルホラン100gを実施例1と同様
なフラスコに入れ、180℃に加熱し、均一な溶液にし
たのち、微粉末の無水炭酸ナトリウム6.2g及び無水
炭酸カリウム0.6gを加え、窒素雰囲気下、200℃
で1時間、250℃で1時間、280℃で5時間かきま
ぜることによって、重縮合反応を行った。
【0047】次いで、p‐フルオロベンゾフェノン1.
2gをスルホラン10mlに溶解させた溶液を加え、2
80℃で1時間かきまぜることによってフェノキシ末端
の封止反応を行った。さらにp‐ヒドロキシジフェニル
1.1gをスルホラン10mlに溶解させた溶液を加
え、280℃で1時間かきまぜることによってフェニル
フッ素末端の封止反応を行った。次に実施例1と同様な
処理をすることによって、ほぼ定量的な収率で乳白色の
ポリマー21.9gを得た。このポリマーの還元粘度は
1.4であった。また、このポリマーは窒素気流中約4
55℃まで重量減少が認められなかった。
【0048】このポリマーは式(A)で表わされる繰り
返し単位からなり、そのフェノキシ末端が式(H)
【化15】 で表わされる芳香族基で封止され、もう一つの末端が式
(J)
【化16】 で表わされる芳香族基で封止された芳香族ポリエーテル
ケトンであると同定された。
【0049】実施例4 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノール25g、ジフェニルスルホン90gを実施例1
と同様なフラスコに入れ、180℃に加熱し均一な溶液
にしたのち、微粉末の無水炭酸ナトリウム5.8g及び
無水炭酸カリウム1.2gを加え、窒素雰囲気下、20
0℃で1時間、250℃で1時間、280℃で4時間か
きまぜることによって、重縮合反応を行った。次いで、
p‐ヒドロキシベンゾフェノン1.9gをスルホラン5
mlに溶解させた溶液を加え、280℃で1時間かきま
ぜることによってフェニルフッ素末端の封止反応を行っ
た。さらに、p‐クロロジフェニルスルホン2.4gを
スルホラン5mlに溶解させた溶液を加え、280℃で
1時間かきまぜることによって、フェノキシ末端の封止
反応を行った。次に、実施例1と同様な後処理をするこ
とによって、ほぼ定量的な収率で乳白色のポリマーを得
た。このポリマーは赤外線吸収スペクトル、NMR分析
などによって、その骨格が式(A)で表わされる繰り返
し単位からなり、そのフェノキシ末端が式(K)
【化17】 で表わされる芳香族基で封止され、もう一つの末端がベ
ンゾイルフェニル基で封止された芳香族ポリエーテルケ
トンであると同定された。このポリマーの還元粘度は
1.2であり、窒素気流中約457℃まで重量減少は認
められなかった。
【0050】実施例5 4‐(p‐クロロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェ
ノール26g、ジフェニルスルホン60g、無水炭酸カ
リウム6.9gをフラスコに入れ、かきまぜながら32
0℃で10時間反応させることによって重縮合を行っ
た。次いで、p‐クロロジフェニルスルホン2.52g
を加え、300℃で1時間反応させることによってフェ
ノキシ末端の封止を行った。次に、実施例1と同様な方
法によって後処理を行い、還元粘度0.5のポリマーを
約90%の収率で得た。
【0051】実施例6 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノール25gを用い実施例1と同様な方法により重縮
合反応を行った。次いで、スルホラン5mlに溶解させ
たp‐ニトロベンゾフェノン2.2gを加え、260℃
で1時間かきまぜながら末端封止反応を行った。次に、
実施例1と同様な処理をすることによって、ほぼ定量的
な収率で乳白色のポリマーを得た。このポリマーの赤外
線吸収スペクトル及び熱分析チャートは、実施例1で得
られたものと一致した。
【0052】実施例7 4‐(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフ
ェノールと水酸化カリウムの水溶液とを反応させたの
ち、脱水、真空乾燥(150℃)して黄色粉末の4‐
(p‐フルオロベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノ
ールのカリウム塩を得た。この28gとジフェニルスル
ホン45gをフラスコに入れ、かきまぜながら240℃
で1時間、280℃で3時間反応させることによって重
縮合を行った。次いで、スルホラン5mlに溶解させた
p‐フルオロベンゾフェノン2.0gを加え、280℃
で1時間かきまぜながら末端封止反応を行ったところ、
黄色の粘ちょうな溶液がアイボリー色の粘ちょうな溶液
に変化した。次に、実施例1と同様な処理をすることに
よって、ほぼ定量的な収率で乳白色のポリマー22gが
得られた。このポリマーの還元粘度は1.3であった。
このポリマーの赤外線吸収スペクトル及び熱分析チャー
トは、実施例1で得られたものと一致した。
【0053】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリエーテルケトンは、
ポリマー骨格として芳香環がカルボニル結合及びエーテ
ル結合によってp‐位で結合されているため、耐熱性
(窒素気流中、440℃まで重量減少がない)、耐薬品
性(濃硫酸以外の溶媒はほとんどない)及び機械的強度
が極めて優れ、しかも芳香環上に置換基をもつ構成単位
を有しているため、該置換基を有しない従来の芳香族ポ
リエーテルケトンに比べて、成形加工が比較的容易であ
って、例えば300〜400℃の温度で溶融成形しうる
などの特徴を有している。
【0054】さらに、本発明の芳香族ポリエーテルケト
ンは、少なくともポリマーのアリールオキシ末端が不活
性な芳香族基によって封止されているため、末端が封止
されていない対応する芳香族ポリエーテルケトンに比べ
ても、熱分解開始温度が10℃以上も向上するばかりで
なく、加熱成形時におけるゲル化も防止されるなど、成
形加工性が一層改善される。
【0055】本発明のポリマーは単独で、構造材、フイ
ルム、繊維、フィブリル、被覆材などに用いることがで
き、さらには他のポリマーとのブレンド物として、ある
いはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭酸カルシ
ウム、ケイ酸カルシウムなどの強化材又は充てん材を混
合した複合材料としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の末端封止型芳香族ポリエーテルケト
ンの1実施例についての拡散反射FT‐IRによる赤外
線吸収スペクトルチャート。
【図2】 (a)は(b)の末端封止型芳香族ポリエー
テルケトンに対応する末端を封止していない芳香族ポリ
エーテルケトンの熱重量分析チャート、(b)は図1の
実施例のものについての窒素気流下での熱重量分析チャ
ートを示す。
【図3】 本発明の末端封止型芳香族ポリエーテルケト
ンの別の実施例についての拡散反射FT‐IRによる赤
外線吸収スペクトルチャート。
【図4】 図3の別の実施例のものについての窒素気流
下での熱重量分析チャート。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 で表わされる構成単位からなり、少なくともポリマーの
    アリールオキシ末端が不活性な芳香族基で封止された分
    子構造を有し、かつ98%硫酸中、温度30℃、濃度
    0.1g/dlにおける還元粘度が0.1以上であるこ
    とを特徴とする末端封止型芳香族ポリエーテルケトン。
  2. 【請求項2】 不活性な芳香族基がベンゾイルフェニル
    基又はベンゼンスルホニルフェニル基である請求項1記
    載の芳香族ポリエーテルケトン。
  3. 【請求項3】 無溶媒又は溶媒中において、4‐(p‐
    ハロゲノベンゾイル)‐2,6‐ジメチルフェノールを
    加熱重縮合させ、次いで得られた重合体に、そのアリー
    ルオキシ末端と反応しうる芳香族化合物及び所望に応じ
    そのアリールハロゲノ末端と反応しうる芳香族化合物を
    任意の順で反応させて該アリールオキシ末端又はこの末
    端と該アリールハロゲノ末端とを封止することを特徴と
    する、式 【化2】 で表わされる構成単位からなり、少なくともポリマーの
    アリールオキシ末端が不活性な芳香族基で封止された分
    子構造を有し、かつ98%硫酸中、温度30℃、濃度
    0.1g/dlにおける還元粘度が0.1以上である末
    端封止型芳香族ポリエーテルケトンの製造法。
  4. 【請求項4】 アリールオキシ末端と反応しうる芳香族
    化合物が、式 【化3】 (式中のZはハロゲン原子又はニトロ基、Yはカルボニ
    ル基又はスルホニル基である)で表わされる化合物であ
    る請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 4‐(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,
    6‐ジメチルフェノールをアルカリ金属塩の形で用いる
    請求項3又は4記載の製造法。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属の炭酸塩及び炭酸水素塩の
    中から選ばれた少なくとも1種の存在下に重縮合反応及
    び末端封止反応を行う請求項3、4又は5記載の製造
    法。
  7. 【請求項7】 4‐(p‐ハロゲノベンゾイル)‐2,
    6‐ジメチルフェノールのハロゲン原子がフッ素原子又
    は塩素原子である請求項3ないし6のいずれかに記載の
    製造法。
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