JPH07113061B2 - 新規ポリエーテルケトン系共重合体 - Google Patents

新規ポリエーテルケトン系共重合体

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JPH07113061B2
JPH07113061B2 JP31376987A JP31376987A JPH07113061B2 JP H07113061 B2 JPH07113061 B2 JP H07113061B2 JP 31376987 A JP31376987 A JP 31376987A JP 31376987 A JP31376987 A JP 31376987A JP H07113061 B2 JPH07113061 B2 JP H07113061B2
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恒彰 田辺
伊三郎 府川
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旭化成工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規な耐熱性ポリエーテルケトン共重合体に
関するものである。さらに詳しくいえば、本発明は、高
いガラス転移温度と優れた熱安定性を有し、かつ従来の
ものよりも小さい極性をもつ耐熱性ポリエーテルケトン
共重合体に関するものである。
従来の技術 ある種の合成樹脂は、高いガラス転移点を示し、高温で
も安定に使用しうるのでエンジニアリング樹脂として、
市販され各分野で利用されている。これらの中の代表的
なものとしては、例えば芳香族ポリエーテルスルホン樹
脂「Victrex PES」(ICI社製、登録商標名)、ポリエー
テルイミド樹脂「Ultem」(GE社製、登録商標名)など
を挙げることができる。しかしながら、これらの合成樹
脂は、分子内にスルホン基又はイミド基のような極性の
大きい基を有するため、吸湿による性能変化が著しく、
また誘電率が高いことから、電気部品材料としての用途
が制限されるのを免れない上に、熱安定性も不十分であ
るため、高温で成形する際に変質を生じるという欠点が
ある。
一方、より優れた熱安定性を有する耐熱性樹脂として、
「Victrex PEEK」(ICI社製、登録商標名)に代表され
る芳香族ポリエーテルケトンがあり、このものは吸湿に
よる性能変化も少ないが、ガラス転移点が低いため高温
での力学物性が低いという欠点を有している。
発明が解決しようとする問題点 本発明は、前記したような従来の樹脂や芳香族ポリエー
テルケトンのもつ欠点を克服し、高温での使用に耐えか
つ成形時の安定性がよく、極性が小さく、吸湿性の低い
耐熱性芳香族ポリエーテルケトン共重合体を提供するこ
とを目的としてなされたものである。
問題点を解決するための手段 本発明者らは、芳香族ポリエーテルケトン構造を有し、
高温において優れた安定性を示す合成樹脂を開発するた
めに、鋭意研究を重ねた結果、芳香族ポリエーテルケト
ンのエーテル結合の一部に、ジベンゾフラン構造を導入
することによつて、その目的を達成しうることを見い出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至つた。
すなわち、本発明は (イ)式 で示される構成単位及び (ロ)一般式 (式中のAは−O−,−CO−,−S−、二価のアルキレ
ン基又は化学結合であり、nは0、1又は2である) で示される構成単位の中から選ばれる少なくとも1種の
構成単位から成る分子構造を有し、分子中の構成単位
(イ)と構成単位(ロ)とのモル比が10:90ないし99:1
の範囲内にあり、かつ濃硫酸中、濃度0.5%(重量/容
量)の溶液としたときの、25℃における還元粘度0.2dl/
g以上に相当する分子量を有するポリエーテルケトン系
共重合体を提供するものである。
本発明の重合体の例としては次のようなものがある。
とから構成された共重合体 とから構成された共重合体 とから構成された共重合体 とから構成された共重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 から構成された重合体 このようなポリエーテルケトン系共重合体は、例えばシ
リカ系触媒の存在下、2,8−ビス(4−ハロゲノベンゾ
イル)−ジベンゾフランと芳香族活性ジハライドとを、
アルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩により自己エーテ
ル化縮重合させるか、あるいはアルカリの存在下、2,8
−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)−ジベンゾフラン及
び2,8−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)−ジベンゾ
フランの少なくとも一方を成分とした芳香族活性ジハラ
イドと芳香族ジヒドロキシ化合物との重縮合反応によつ
て製造することができる。
シリカ系触媒の存在下に、2,8−ビス(4−ハロゲノベ
ンゾイル)−ジベンゾフランと芳香族活性ジハライド
を、アルカリ金属の炭酸塩又は炭酸水素塩により自己エ
ーテル化縮重合させる反応は、次の反応式に従つて進行
する。
(ただし、Xはハロゲン原子、Mはアルカリ金属、A及
びnは前記と同じ意味をもつ) この際、各原料化合物のモル比a:bは、10:90ないし99:1
の範囲で選ぶことが必要である。
このようにして得られるポリエーテルケトン系共重合体
中のエーテル酸素はアルカリ金属炭酸塩に由来するもの
である。
上記の反応において用いる一般式(IV)の芳香族活性ジ
ハライドとして、例えば、 4,4′−ジフルオロベンゾフエノン、 4,4′−ジクロロベンゾフエノン、 4,4′−ジブロモベンゾフエノン、 4,4′−ジフルオロテレフタロフエノン、 4,4′−ジクロロテレフタロフエノン、 4,4′−ジフルオロイソフタロフエノン、 4,4′−ジクロロイソフタロフエノン、 4,4′−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジフエニルエ
ーテル、 4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフエニルエー
テル、 4,4′−ビス(4−フルオロベンゾイル)ビフエニル、 4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ビフエニル、 4,4′−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジフエニルス
ルフイド、 4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフエニルスル
フイド、 4,4′−ビス(4−フルオロベンゾイル)ジフエニルメ
タン及び 4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフエニルメタ
ン などを挙げることができる。なお、これらの化合物中の
フエニレン基は、所望に応じ、前記重縮合反応に対して
不活性な置換基により置換されていてもよい。
これらの芳香族活性ジハライドは、単独で用いてもよい
し、また2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、
本発明共重合体の特性をそこなわない範囲内で、その一
部を4,4′−ジクロロジフエニルスルホンのようなスル
ホン基を含む芳香族活性ジハライドで置き換えることも
できる。
これらの芳香族活性ジハライドやこれと反応させる2,
8′−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)−ジベンゾフラ
ンのハロゲン原子としては、フツ素が反応性が高く、短
時間で高分子量体を与えるので有利であるが一般に高価
であるという欠点がある。これに対し、塩素の場合は対
応するフツ素化合物に比べると反応は遅いが触媒又は触
媒と助触媒を併用すれば反応を促進することができ、し
かも塩素化合物は安価であるので工業的に有利である。
また、この反応において用いられるアルカリ金属の炭酸
塩又は炭酸水素塩としては、例えば炭酸カリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水
素ナトリウム、炭酸ナトリウムカリウムなどが好ましく
挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。また、カリウム塩
とナトリウム塩とを比較した場合、一般にカリウム塩は
反応が速く、ナトリウム塩は副反応が少い特徴がある。
カリウム塩とナトリウム塩の混合物も好適に用いられ
る。
これらのアルカリ金属塩は微粉砕して用いる方が反応速
度が速く、またその使用量は、高重合体を得るために
は、モノマー1モルに対し、アルカリ金属として少なく
とも2g原子(炭酸塩では1モル、炭酸水素塩では2モ
ル)が必要である。過剰のアルカリ金属塩を用いること
により、反応速度を大きくすることができるが、あまり
大量のアルカリ金属塩を用いることは、製造コスト面で
不利である上、場合によつては好ましくない副反応が生
じるおそれがある。したがつて、アルカリ金属塩の好ま
しい使用量は、原料モノマー1モルに対し、炭酸塩の場
合1〜4モル、炭酸水素塩の場合2〜8モルの範囲で選
ばれる。特に好ましいアルカリ金属塩の使用量はモノマ
ー1モルに対し炭酸塩の場合1〜1.5モル、炭酸水素塩
の場合2〜3モルである。
アルカリ金属炭酸水素塩は、アルカリ金属炭酸塩に比
べ、多量に必要であり、また反応に際して水を発生する
のでこれを除去する必要があるが、反応速度が大きいと
いう特徴を有する。
この反応においては、シリカ系触媒を用いることが必要
である。このシリカ系触媒としては、例えば乾式シリ
カ、湿式シリカ、シリカゲルなどのシリカ系触媒のほか
シリカアルミナ系触媒を使用することができる。このシ
リカアルミナ系触媒としては、種々の組成のシリカアル
ミナ以外に、ゼオライト、活性白土、セピオライト、モ
ンモリロナイト、ケイソウ土などの鉱物系化合物を挙げ
ることができる。
これらの触媒は、微粉砕して用いる方が、反応が速く進
行するので好ましく、またその使用量については特に制
限はないが、通常原料モノマーに対し、0.1〜100重量
%、好ましくは1〜30重量%の範囲で選ばれる。この使
用量が0.1重量%未満では触媒の添加効果が十分に発揮
されないし、また100重量%を超えると、添加量の割に
は反応速度はあまり速くならず、むしろ反応系の粘度が
上昇して好ましくない場合がある。
またこの反応は助触媒として、銅、銅化合物やアルカリ
金属フルオリドを添加することにより促進させることが
できる。これらの助触媒の添加効果は、反応速度が比較
的遅いモノマーとして塩素化合物を用いた場合や、アル
カリ金属塩としてナトリウム塩を用いた場合に特に顕著
である。シリカ系化合物触媒が存在しない場合にはこれ
らの助触媒の効果は小さい。助触媒として用いられる銅
及び銅化合物としては金属銅及び各種の一価又は二価の
銅化合物などがあり、特に好ましいものとしては、各種
ハロゲン化第一銅(塩化第一銅,臭化第一銅、ヨー化第
一銅等),ハロゲン化第二銅(塩化第二銅,臭化第二銅
等),酸化第一銅,酸化第二銅,水酸化銅,硫酸銅,塩
基性炭酸銅,銅アセチルアセトナート,酢酸銅,硫化銅
などが挙げられる。これらは混合物として使用してもよ
いし、また、無水あるいは結晶水を含んだ形で使用して
もよい。アルカリ金属フルオリドとしては、フツ化カリ
ウム、フツ化セシウムが好適である。助触媒添加量は特
に制限はないが、触媒量に対して0.1〜10重量%が好ま
しい。
助触媒は単に触媒と共に反応系に添加してもよいし、銅
塩の場合にはあらかじめ触媒表面に担持させたり、ゼオ
ライト中のアルカリ金属イオンを銅イオンに置換して用
いることもできる。
この反応は無溶媒で行うことができるが、適当は溶媒中
で行つてもよい。一般に、重縮合による芳香族ポリエー
テルケトンの製造においては、生成する芳香族ポリエー
テルケトンが結晶質であり溶媒に溶けにくいため、300
℃以上の高温で反応を行う必要があり、したがつて高温
で安定な芳香族スルホンや芳香族ケトンなどの特殊な溶
媒を用いる必要がある。これに対し、本発明の重合体は
ジベンゾフラン単位の含有量がある値以上であれば非晶
質であるため、一般の溶媒にも可溶であつて、スルホラ
ンなどのより一般的な溶媒を用いて、300℃以下の低温
で重合を行うことも可能である。
この反応に用いることのできる溶媒については特に制限
はなく、反応温度において安定なものであれば任意の溶
媒を用いることができる。このような溶媒としては、例
えばアセトフエノン、ベンゾフエノン、イソフタロフエ
ノン、キサントン、フエノキシベンゾフエノンなどのケ
トン類、スルホラン、ジメチルスルホン、ジフエニルス
ルホンなどのスルホン類、ジメチルスルホキシド、ジフ
エニルスルホキシドなどのスルホキシド類、ジフエニル
エーテルなどのエーテル類、N−メチルピロリドン、ヘ
キサメチルリン酸トリアミドなどのアミド類、ビフエニ
ル、ターフエニル、ナフタレン、デカリンなどの炭化水
素類、塩素化ビフエニル、ジクロロベンゼンなどのハロ
ゲン化炭化水素類などが挙げられる。これらの溶媒は沸
点が高く、常圧で反応に使用しうるものであるが、加圧
下で反応させる場合には、より沸点の低い溶媒を用いる
こともできる。また、極性の高い溶媒中の方が、該重合
反応は容易に進行する傾向にある。
溶媒の使用量については特に制限はないが、反応の効率
と反応液の粘性とのかねあいから、重合体濃度が5〜50
wt/vol%となる範囲が適当である。
反応温度は、使用するハライドの種類やアルカリ金属塩
の種類等の反応条件によつて異なるが、通常150〜400℃
の範囲で選ばれる。この温度が150℃未満では反応速度
が遅すぎて実用的でなく、また400℃を超えると好まし
くない副反応が起こりやすくなる。
また、得られた重合体溶液は、より高い熱安定性を図る
ために、従来法の塩化メチル、4−フルオロベンゾフエ
ノン、4−クロロベンゾフエノン等の活性ハライド化合
物による末端安定化反応を行うこともできる。
このようにして得られた重合体溶液は、冷却固化した後
粉砕し、アセトンやメタノール等の有機溶媒および水で
洗浄するかまたは溶媒に溶解後、非溶媒中に沈殿させる
ことにより精製重合体を得る。シリカを除去する必要が
ある時はクロロホルム等の溶媒にポリマーを溶解してろ
過するかアルカリ水溶液で洗浄すればよい。また、助触
媒の銅化合物は硝酸や各種銅キレート剤含有液で処理す
ることにより、除去することができる。
次の、本発明のポリエーテルケトン系共重合体を、アル
カリの存在下、2,8−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)
−ジベンゾフラン及び2,8−ビス(4−ヒドロキシベン
ゾイル)−ジベンゾフランの少なくとも一方を成分とし
て求核置換反応により、縮重合させることによつて得る
場合は、以下の反応式に従つて行うことができる。
(式中のX,A,nは前記と同じものであり、A′,n′は前
記したA及びnと同じ意味をもつ) 上記式において4種のモノマー成分のうち1種または2
種のモノマー成分は添加しなくてもよいが、本発明の重
合体を得るためには、ジベンゾフラン構造を持つモノマ
ーの総和とその他のモノマーの総和のモル比(a+c)
/(b+d)が0.1/0.9〜0.99/0.01の範囲にあることが
必要である。
また、高重合体を得るためには、ハライドモノマーの総
和とフエノールモノマーの総和のモル比(a+b)/
(c+d)が0.95/1.0〜1.05/1.0特に好ましくは1.0/1.
0〜1.03/1.0の範囲にあることが望ましい。
この反応において用いられる一般式(IV)の芳香族活性
ジハライドとしては先に例示したものと同じものを使用
することできる。また、一般式(VII)の芳香族ジヒド
ロキシ化合物の例としては ヒドロキノン、 レゾルシン、 4,4′−ビフエノール、 4,4′−ジヒドロキシジフエニルエーテル、 4,4′−ジヒドロキシジフエニルスルフイド、 4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノン、 2,2−ビス(4−ヒドロキシフエニル)プロパン、 1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロ
キシフエニル)プロパン、 4,4′−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ジフエニル
エーテル、 ナフタレンジオール などを挙げることができる。
また4−ヒドロキシチオフエノ−ルや4,4′−ジチオハ
イドロキノンのようなチオフエノール類も同様に用いる
ことができるし、本発明の効果をそこなわない程度であ
れば、4,4′−ジヒドロキシジフエニルスルホンのよう
なスルホン基を含有する化合物を併用することもでき
る。
この反応におけるアルカリとしては、アルカリ金属の炭
酸塩や炭酸水素塩を用いることができる。これらのアル
カリ金属塩としては、前記の方法で挙げた各種のアルカ
リ金属塩を用いることができる。これらのアルカリ金属
塩は、全フエノール性モノマー1モルに対し、アルカリ
金属として0.5〜4g原子になるような割合で用いられ
る。
さらにこの方法においてはフエノール性モノマーをあら
かじめアルカリ金属塩にしておいて反応に供することも
できる。
この反応は無溶媒で行つてもよいし、適当な溶媒中で行
つてもよい。該溶媒としては、前記の方法で挙げた各種
溶媒を用いることができる。反応温度は、通常150〜400
℃の範囲で選ばれる。
重合体の末端安定化や精製も前記の方法で述べたと同様
に行うことができる。
本発明の共重合体の製造に用いる2,8−ビス(4−ハロ
ゲノベンゾイル)−ジベンゾフランは、ジベンゾフラン
と4−ハロゲノベンゾイルクロリドとをフリーデルクラ
フツ反応させることによつて、容易に製造することがで
きる。この際少量の異性体が生成するがこれらは再結晶
によつて除去することができるし、30%以下ならばその
まま反応に用いてもよい。このような異性体としては、
例えば などがある。
また、本発明の共重合体の製造に用いる2,8−ビス(4
−ヒドロキシベンゾイル)−ジベンゾフランは、前記の
2,8−ビス(4−ハロゲノベンゾイル)−ジベンゾフラ
ンを加水分解することによつて、容易に製造することが
できる。
本発明の共重合体は、前記の方法以外に、フリーデルク
ラフツ反応によつても製造することができる。例えばジ
クロロメタンのような溶媒中において、無水塩化アルミ
ニウム触媒の存在下、ジベンゾフラン二酸クロリドとジ
フエノキシベンゾフエノンとを反応させることにより、
目的の重合体が得られる。このフリーデルクラフツ反応
においても、得られる重合体は非晶性であつて溶媒に可
溶であるため、従来の結晶質ポリエーテルケトンに比べ
て、高分子量体が得られやすいが、分岐などの異種結合
が生成しやすいうえに使用後の塩化アルミニウムの処理
に問題があり、工業的方法とはいえない。
本発明のポリエーテルケトン系共重合体中の(イ)の構
成単位は、前記式(I)で示されるものであるが、その
原料化合物に由来するジベンゾフラン異性体構造を含む
ことがある。このようなものにあつても、異性体構造の
含有割合が30モル%以下であれば、特に問題はない。こ
のような(イ)構成単位の異性体構造としては、例えば
次に示すものがある。
また、本発明のジベンゾフラン構造を有する重合体はジ
ベンゾフラン単位の含有量が少ない時にはこれまで報告
されている芳香族ポリエーテルケトンと同様に結晶性で
あるが、ジベンゾフラン単位の含有量がある値以上では
非晶性になる。非晶性になる重合体組成は、重合体の種
類によつて異なるが例えば式 で表わされる重合体の場合には、およそx>0.2では非
晶性となる。
これまでに、一般式 においてxの値を種々変化させたもの、あるいはビフエ
ニル構造やナフタレン構造を導入したような種々の芳香
族ポリエーテルケトンが知られているがこれらはすべて
結晶性であつて、これまでに非晶性の全芳香族ポリエー
テルケトンは知られていない。
したがつて本発明において芳香族ポリエーテルケトンの
エーテル結合の一部をジベンゾフラン構造にすることに
より、非晶性重合体が得られることは全く予想外のこと
である。
本発明の重合体は、濃硫酸中0.5%(重量/容量)溶液
として、温度25℃において測定した還元粘度0.2dl/g以
上に相当する分子量を有することが必要である。この還
元粘度が0.2dl/g未満のものでは、機械的特性に劣り、
成形品にした場合、実用に耐えない。
発明の効果 本発明の重合体は、高いガラス転移温度を有し、高温で
使用する各種成形品やフイルムなどに適しており、ま
た、熱安定性が高いので、成形温度を高くすることがで
き、成形性に優れている。さらに、従来の耐熱性非晶質
樹脂に比べて、極性や吸湿性が低いので、吸湿による特
性の変化が少ないという特性を有しており、このような
特性が要求される用途に好適に用いられる。
また、本発明の重合体のうち特に非晶性重合体は、ポリ
エーテルケトン構造に由来する優れた熱安定性、低極性
に加えて、良好な寸法安定性、透明性をもつきわめて優
れた耐熱性樹脂である。
この重合体は任意の所望の形状、例えば射出成形品、押
出成形品、被覆、フイルム、繊維などにして用いること
ができるほか、各種耐熱エンジニアリングプラスチツク
(ポリエーテルケトン、スルホン、ポリエーテルイミ
ド、芳香族ポリエステル、PPS)や汎用エンジニアリン
グプラスチツク、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊
維、無機質などと混合し、アロイ化やコンポジツト化し
て使用することができる。
実施例 次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、
本発明はこれらの例によつてなんら限定されるものでは
ない。
実施例1 2,8−ビス(4−フルオロベンゾイル)−ジ
ベンゾフランの製造 1四つ口フラスコにジベンゾフラン63.6g(0.378モ
ル)、塩化アルミニウム126g(0.946モル)オルソジク
ロロベンゼン500mlを仕込み、水浴上で冷却して窒素雰
囲気下でかきまぜながら、p−フルオロベンゾイルクロ
リド150g(0.95モル)を約30分かけて滴下した。続いて
反応温度を100℃に上昇させ2時間その温度に保持し
た。冷却後反応物を大量のメタノール(95%)に注ぎ、
生じた沈殿を水、及びメタノールで洗浄したのち、トル
エンより再結晶して目的物114g(収率73%)を得た。こ
れはNMR解析によると約10%の異性体を含んでいた。
同様の操作で対応するクロル体〔2,8−ビス(4−クロ
ロベンゾイル)−ジベンゾフラン〕を製造した。
製造例2 2,8−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)−
ジベンゾフランの製造 1−オートクレーブに製造例1で製造した2.8−ビス
(4−フルオロベンゾイル)−ジベンゾフラン36g(87m
mol)、水酸化ナトリウム18g(450mmol)、ジメチルス
ルホキシド360ml、水180mlを仕込み、窒素置換した後か
きまぜながら1時間で130℃まで昇温し、この温度で9
時間反応させた。反応物を冷却後塩酸で中和して得られ
る白色沈殿を水洗、乾燥した後エタノールで再結晶を行
い、2,8−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)−ジベン
ゾフラン20gを得た。
実施例1 200mlフラスコに製造例1で得られた2,8−ビス(4−フ
ルオロベンゾイル)−ジベンゾフラン8.24g(0.02モ
ル)、4,4′−ジフルオロベンゾフエノン4.36g(0.02モ
ル)、炭酸カリウム9.66g(0.07モル)、シリカ(日本
アエロジル社製アエロジル300)1.0g及びベンゾフエノ
ン25gを仕込み、窒素置換した後かきまぜながら約30分
要して室温から280℃に昇温し、そのまま4時間反応さ
せた。反応液は黄色粘稠溶液となつた。これを冷却後粉
砕し、アセトン、水で繰り返し洗浄した後、クロロホル
ムに溶解して、過して大量のメタノール中へ沈殿さ
せ、白色の重合体粉末11.3gを得た。
この生成物はクロロホルムのほかに、N−メチルピロリ
ドンにも溶解し、濃硫酸中に0.5%(重量/容量)、25
℃での還元粘度は0.83dl/gであつた。この重合体は広角
X線回折より非晶質であることが確認され、またDSCで
測定したガラス転移点は207℃であつた。図1、図2に
この重合体の広角X線回折および赤外吸収スペクトルを
示す。またこの重合体の元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例2 200mlフラスコに2,8−ビス(4−フルオロベンゾイル)
−ジベンゾフラン8.24g(0.02モル)、4,4′−ジフルオ
ロテレフタロフエノン3.22g(0.01モル)、炭酸ナトリ
ウム4.24g(0.04モル)、シリカ(富士ダビソン社製サ
イロイド244)1.0g、及びジフエニルスルホン20gを仕込
み、窒素置換した後かきまぜながら約50分要して室温か
ら310℃に昇温し、そのまま7時間反応させた。反応液
は粘稠な黄色液体であつた。
この反応物を実施例1と同様に精製して白色重合体10.6
gを得た。この重合体も広角X線回折より非晶質であ
り、ガラス転移点は216℃、還元粘度は0.94dl/gであつ
た。元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例3 200mlフラスコに2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)−
ジベンゾフラン8.90g(0.02モル)、4,4′−ジクロロベ
ンゾフエノン2.51g(0.01モル)、炭酸ナトリウム3.71g
(0.035モル)、シリカ(富士ダビソン社製サイロイド2
44)1.0g、酸化第一銅20mg及びジフエニルスルホン20g
を仕込み、窒素置換した後かきまぜながら約50分要して
室温から300℃に昇温し、そのまま3時間反応させた。
反応液は粘稠な黄かつ色液体であつた。
この反応物を実施例1と同様に精製して白色重合体9.4g
を得た。この重合体も広角X線回折より非晶質であり、
ガラス転移点は219℃,還元粘度は0.78dl/gであつた。
元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例4 200mlフラスコに2,8−ビス(4−フルオロベンゾイル)
−ジベンゾフラン8.40g(0.0204モル)、4,4′−ジヒド
ロキシベンゾフエノン4.28g(0.02モル)、炭酸カリウ
ム2.76g(0.02モル)、及びベンゾフエノン20gを仕込
み、窒素置換した後かきまぜながら約50分要して室温か
ら300℃に昇温し、そのまま2時間反応させた。
反応液は粘稠な黄色液体であつた。
この反応物を実施例1と同様に精製して白色重合体11.4
gを得た。この重合体も広角X線回折より非晶質であ
り、ガラス転移点は198℃,環元粘度は0.87dl/gであつ
た。元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例5 200mlフラスコに4,4′ジフルオロテレフタロフエノン6.
569g(0.0204モル)、2,8−ビス(4−ヒドロキシベン
ゾイル)ジベンゾフラン8.16g(0.02モル)、炭酸カリ
ウム2.76g(0.02モル)及びベンゾフエノン20gを仕込
み、窒素置換した後かきまぜながら約50分要して室温か
ら300℃に昇温し、そのまま2時間反応させた。反応液
は粘稠な黄色液体であつた。
この反応物を実施例1と同様に精製して白色重合体13.6
gを得た。この重合体も広角X線回折より非晶質であ
り、ガラス転移点は202℃,環元粘度は0.77dl/gであつ
た。元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例6 200mlフラスコに2,8−ビス(4−クロロベンゾイル)−
ジベンゾフラン6.675g(0.015モル)、4,4′−ジクロロ
ベンゾフエノン1.255g(0.005モル)、4,4′−ビス(4
−ヒドロキシベンゾイル)ジフエニルエーテル8.20g
(0.02モル)、炭酸カリウム2.76g(0.02モル)及びジ
フエニルスルホン25gを仕込み、窒素置換した後かきま
ぜながら約50分要して室温から300℃に昇温し、そのま
ま4時間反応させた。反応液は粘稠な黄かつ色液体であ
つた。
この反応物を実施例1と同様に精製して白色重合体14.3
gを得た。この重合体も広角X線回折より非晶質であ
り、ガラス転移点は186℃,環元粘度は0.76dl/gであつ
た。元素分析値は構造式 で表わされるものと一致した。
実施例7〜10 実施例2の4,4′−ジフルオロテレフタロフエノンの代
りに下記の芳香族活性ジハライド0.01モルを用いて、実
施例2と同様にして下記の還元粘度を持つ重合体を得
た。
実施例11〜14 実施例4の4,4′−ジヒドロキシベンゾフエノンの代り
に下記のビスフエノールまたはチオフエノール0.02モル
を用いて実施例4と同様にして下記の還元粘度の重合体
を得た。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、それぞれ本発明の非晶質共重合体
の1例の広角X線回折チヤート及び赤外吸収スペクトル
チヤートである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)式 で示される構成単位及び (ロ)一般式 (式中のAは−O−,−CO−,−S−、二価のアルキレ
    ン基又は化学結合であり、nは0、1又は2である) で示される構成単位の中から選ばれる少なくとも1種の
    構成単位から成る分子構造を有し、分子中の構成単位
    (イ)と構成単位(ロ)とのモル比が10:90ないし99:1
    の範囲内にあり、かつ濃硫酸中、濃度0.5%(重量/容
    量)の溶液としたときの、25℃における還元粘度0.2dl/
    g以上に相当する分子量を有するポリエーテルケトン系
    共重合体。
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