JPH0610400B2 - シールド掘進機の排土装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はシールド掘進機に関し、特にシールド掘進機で
掘削した土砂を排出するためのシールド掘進機の排土装
置に関するものである。

［従来の技術］ シールド掘進機は、筒状のシールドフレームの前面にカ
ッター面板を回転自在に設け、そのシールドフレーム内
にカッター室を形成し、カッター室に、カッター室内の
土砂を排出するスクリューコンベアを接続したもので、
カッター面板で掘進すると共にその土砂をカッター室内
に取り込みシールドフレーム後方に形成される掘孔にセ
グメントを張設してトンネルを構築するものである。

このシールド掘進機においては切羽崩落を防止するため
にカッター室内の土圧を測定し、その土圧が一定となる
ようスクリューコンベアの回転数を制御し、またスクリ
ューコンベアからの排出土砂をズリトロ台車に受け渡し
て搬出するか或いはホッパーに受け渡し、それをポンプ
で移送するようにしている。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、ズリトロ台車による搬送は、ズリの落下
により抗内が汚れやすく、また抗内スペースが狭くなる
などの問題がある。また圧送ポンプで移送する場合には
ポンプの吸込み効率が悪く低スランプになると著しくそ
の効率が悪くなる。さらにズリトロ台車やホッパーに土
砂を受け渡す場合において、スクリューコンベアから水
が噴発することを防止できず、土圧に見合った排土量と
することができない。また土砂中にメタンガスが含まれ
ている場合にはそのメタンガスが抗内に充満する問題が
ある。

本発明は上記事情を考慮してなされたものでカッター室
に取り込まれた土砂を能率よく地上に移送できるシール
ド掘進機の排土装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明は上記の目的を達成するために、カッター室に接
続したスクリューコンベア手段と、上部がスクリューコ
ンベア手段に接続され、スクリューコンベア手段からの
土砂を密閉した状態で収容する密閉タンクと、密閉タン
クの下部に設けられ、密閉タンク内の圧力を維持したま
ま土砂を地上まで移送する圧送ポンプとを備えたもので
ある。

［作用］ 上記構成によれば、スクリューコンベア手段からの土砂
を、そのまま比較的容量の大きな密閉タンクの上部から
導入し、そのタンク内の圧力を維持したまま、土砂を圧
送ポンプで圧送することにより能率よく移送できる。特
に含水分の多い土砂が流入した時には、土砂を沈降させ
て土砂リッチ状態で、土砂の導入量と圧送ポンプの排土
量とをバランスさせスクリューコンベア手段からの噴発
を防止し、カッター室内の圧を保ち安定した切羽で掘進
できるようにしたものである。

［実施例］ 以下本発明に係るシールド掘進機の排土装置の好適一実
施例を添付図面に基づいて説明する。

先ず、第２図によりシールド掘進機の全体を説明する。

第２図において、１はシールド掘進機で筒状のシールド
フレーム２の前面にカッター面板３が設けられ、そのカ
ッター面板３の後方のシールドフレーム２にカッター室
４が形成される。このシールド掘進機１の後方には、そ
のシールド掘進機１で掘削された掘孔にセグメント５を
張設して構築したトンネル６が形成される。このトンネ
ル６は立抗７からシールド掘進機１に搬入し、この立抗
７から順次掘進方向に形成され、その先端のセグメント
５には押込みジャッキ８が設けられシールド掘進機１を
掘進するようになっている。カッター室４にはカッター
面板３を通じて取り込まれた掘削土砂９を排出するスク
リューコンベア手段１０が接続される。このスクリュー
コンベア手段１０は、カッタ室４に接続される一次スク
リューコンベア１１と、二次スクリューコンベア１３に
フレキシブルジョイント１２を介して接続される二次ス
クリューコンベア１３とからなる。

このスクリューコンベア手段１０にフレキシブルジョイ
ント１４を介して密閉タンク１５が接続され、その密閉
タンク１５に圧送ポンプ１６が設けられ、その圧送ポン
プ１６に圧送管１７が接続され、その圧送管１７が立抗
７を介して地上に延出され、排土重量計測定装置１８に
接続される。

次に密閉タンク１５及び圧送ポンプ１６の詳細を第１図
により説明する。

密閉タンク１５は、比較的容量が大きく形成され、その
内部が、スクリーンなどの礫分離手段１９により上部室
２０と下部室２１とに分離され、その上部室２０には上
部室２０内に入った土砂９を攪拌するアジテータ２２が
設けられると共に礫分離手段１９で分離された礫２３を
上部室２０から取り出すための開閉蓋２４が設けられ
る。圧送ポンプ１６はコンクリートなどを圧送するグラ
ベルポンプと同様の構造で、下部室２１の外側面に設け
たガイド筒２５に摺動自在に設けられ、そのガイド筒２
５の穴２６から下部室２１内に出没自在なシリンダ２７
と、そのシリンダ２７内に設けられたピストン２８と、
シリンダ２７を摺動させるシリンダ用油圧シリンダ２９
と、ピストン２８を摺動させるピストン用油圧シリンダ
３０と、下部室２１に設けられ一端が圧送管１７に回転
自在に接合され他端がガイド筒２５の穴２６と整合する
切換バルブ管３１とからなる。この圧送ポンプ２１は図
では示していないが二台平行に配置され、切換バルブ管
３１が二つのガイド筒２５の穴２６に交互に整合するよ
うになっており、先ずシリンダ２７に土砂９を取り込む
場合、シリンダ用油圧シリンダ２９を伸長してシリンダ
２７を図示の二点鎖線２７ａのごとく下部室２１に侵入
させることにより、そのシリンダ２７内に土砂が取り込
まれ、次にそのシリンダ２７を下部室２７から引込めた
のちガイド筒２５の穴２６に切換バルブ管３１を合せ、
その状態でピストン用油圧シリンダ３０を伸長させてピ
ストン２８でシリンダ２７内の土砂９を、バルブ管３１
を介して圧送管７に圧送する。またこの際他方のシリン
ダ２７は土砂を取り込むよう下部室２１内に侵入させ交
互に土砂の取り込みと圧送を繰り返すことで土砂を連続
的に圧送することができる。

またこの圧送ポンプ１６による土砂９の圧送量及びスク
リューコンベア手段１０による土砂排出量の制御を再び
第２図により説明する。

先ず、密閉タンク１５の上部室２０には土圧計３２が設
けられる。土圧計３２は、上部室２０内の全圧を測定す
る全圧計と、フィルタなどにて土砂から水を分離し、そ
の水圧を測定する水圧計とからなり、土圧は、その全圧
から水圧に引いた値として計測される。この土圧計３２
の検知信号３３は圧送ポンプ制御手段３４に入力され、
検出した土圧が一定となるよう制御信号３５を出力して
圧送ポンプ駆動装置３６を制御し、圧送ポンプ１６の土
砂圧送量を制御する。すなわち圧送ポンプ駆動装置３６
は上述した圧送ポンプ１６の油圧シリンダ２９，３０と
油圧配管３７で接続され、その油圧モータ３８が制御信
号３５を受けて油圧を調整し、その圧送ポンプ１６の油
圧シリンダ２９，３０の駆動速度を制御することによ
り、圧送ポンプ１６の土砂圧送量を制御する。

また、第２図において排土重量計測装置１８は、地上に
架台３９で支持されたホッパー４０と、そのホッパー４
０上に設けられ圧送管１７に接続される計量タンク４１
と、その計量タンク４１の重量を計測する荷重計４２と
から構成される。計量タンク４１はセグメント５の１リ
ング分掘削した場合の土砂を溜める程度の容量に形成さ
れ、かつ下方ホッパー４０に土砂を排出するための開閉
ゲート４３を有すると共に土砂中の水を排水するための
排水管４４が設けられる。ホッパー４０はセグメント５
の数リング分掘削した場合の土砂を溜める程度の容量に
形成されると共に図示していないが、適宜ダンプカーな
どに土砂を受け渡すための排出用ゲートが設けられてい
る。

荷重計４２は、計量タンク４１の重量を計測し、その重
量を土量土圧制御手段４５に排土重量信号４６を出力す
る。土量土圧制御手段４５は、押込みジャッキ８の推進
速度信号４７と、推進量信号４８と、カッター室４に設
けた土圧計４９の土圧信号５０が入力されており、それ
ら信号と排土重量計測装置１８からの排土重量信号４６
とを比較し、スクリューコンベア手段１０即ち、一次ス
クリューコンベア１１と二次スクリューコンベア１３と
の駆動モータ１１ａ，１３ａの回転数を制御すべく信号
５１，５２を出力する。

すなわち、定常時は、土量土圧制御手段４５はカッター
室４の土圧信号５０によりその土圧が設定の土圧を維持
するようにスクリューコンベア手段１０に信号５１，５
２を出力し、その排土量を制御するが、排土重量計測装
置１８で計測される実排土量と、シールド掘進機１の掘
進量とを比較し、スクリューコンベア手段１０での排土
量が適正であるかどうかを判断し、その結果スクリュー
コンベア手段１０の排土量が適正であればそのままの状
態で掘進するようになし、また不適当であればその設定
の土圧値を補正してスクリューコンベア手段１０の排土
量を補正する。

尚、図において、５３は圧送管１７に接続したリンク状
の伸縮管、５４は密閉タンク１５、圧送ポンプ駆動装置
３６及び伸縮管５３を掘進と共に移動する走行台車であ
る。

次に本発明の作用を説明する。

先ず、シールド掘進機１の掘進によりカッター室４内に
取り込まれた土砂９は、上述したようにスクリューコン
ベア手段１０から密閉タンク１５に入り、圧送ポンプ１
６により圧送管１７を通じて地上の排土重量計測装置１
８に排出され、その実排土量が計測されて土量土圧制御
手段４５によりスクリューコンベア手段１０の排土量が
適正となるよう制御される。

さて第１図においてスクリューコンベア手段１０から土
砂は、その全圧が保持されたまま密閉タンク１５の上部
室２０内に導入され、アジテータ２２により攪拌されな
がら下方に移動し、スクリーンなどの礫分離手段１９に
より礫２３が分離されて下部室２１に沈降する。この下
部室２１に沈降した土砂は圧送ポンプ１６により圧送管
１７に圧送されることとなる。

この場合、密閉タンク１５内は、その全圧力が維持され
たままであり、しかも含水分の多い土砂が導入されても
土砂は沈降して下部に溜るため、圧送ポンプ１６のシリ
ンダ２７を下部室２１に侵入させてその土砂を取り込
み、それをピストン２８で圧送することができ、その土
砂の吸込効率が良好であり、しかも密閉タンク１５の水
圧はカッター室４内の水圧と略同じに維持できるのでス
クリューコンベア手段１０からの水の噴発がなく、実質
的に移送に最適な含水率で土砂を移送することが可能と
なる。

またシールド掘進機１がセグメント５の１リング或いは
数リング分掘進したのち、密閉タンク１５内にある程度
礫２３が溜まったならばセグメント５の張設時に上部室
２０の開閉蓋２４を開けてその礫２３取り出す。この場
合、密閉タンク１５が大気開放されても圧送ポンプ１６
は土圧計３２により土圧が所定値になるまでその圧送を
行なわないため、スクリューコンベア手段１０と圧送ポ
ンプ１６との排土量のマッチングが直ちに行なわれ、排
土重量計測装置１８ではスクリューコンベア手段１０の
排土量に見合った実排土量を計測することができる。

尚、上述の実施例において圧送ポンプとしてグラベルポ
ンプの例で説明したがこの形式のグラベルポンプの外に
他のグラベルポンプでもよい。またグラベルポンプのみ
ならず他の形式で土砂を搬送できるポンプであればいか
なるものでもよい。

［発明の効果］ 以上詳述してきたことから明らかなように本発明によれ
ば次の如き優れた効果を発揮する。

(1)スクリューコンベア手段に密閉タンクを接続したの
で、含水分の多い土砂が導入されても、スクリューコン
ベア手段からの噴発を防止しながら密閉タンク内の土砂
を沈降させ、土砂リッチ状態で圧送ポンプで圧送するよ
うにしたので、その移送効率がよくできる。

(2)水圧が高く噴発が生じ易い環境で排土しても水圧を
そのままに維持して土圧（掘進量）に見合った排土量を
得ることができる。

(3)密閉状態で土砂を排出できるので、土砂中にメタン
ガス等が含まれても支障がなく、かつズリにより抗内を
汚すことがない。

(4)密閉タンク内に礫分離手段を設ければ、圧送ポンプ
が礫により噛み込んだりすることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るシールド掘進機の排土装置の一実
施例を示す要部図、第２図は本発明に係るシールド掘進
機の排土装置の全体を示す図である。 図中、１はシールド掘進機、４はカッター室、１０はス
クリューコンベア手段、１５は密閉タンク、１６は圧送
ポンプ、１７は圧送管である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カッター室に接続したスクリューコンベア
   手段と、上部がスクリューコンベア手段に接続され、ス
   クリューコンベア手段からの水を含む土砂を密閉した状
   態で収容すると共に土砂を沈降落下させる密閉タンク
   と、密閉タンクの下部に溜った土砂を移送する圧送ポン
   プとを備えたことを特徴とするシールド掘進機の排土装
   置。