JPH06101959B2 - 誘導電動機の低騒音駆動方法 - Google Patents

誘導電動機の低騒音駆動方法

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JPH06101959B2
JPH06101959B2 JP62123039A JP12303987A JPH06101959B2 JP H06101959 B2 JPH06101959 B2 JP H06101959B2 JP 62123039 A JP62123039 A JP 62123039A JP 12303987 A JP12303987 A JP 12303987A JP H06101959 B2 JPH06101959 B2 JP H06101959B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はPWMインバータによる誘導電動機の制御方式に
関するもので、被駆動誘導電動機の運転速度にかかわら
ずそのPWMインバータを構成する各スイッチング素子の
スイッチング周波数を略一定に保持することにより、電
流の高調波周波数が電動機の種々の機械共振周波数と重
なることから生じる騒音の増加を防止する制御方法に関
するものである。
〔従来の技術〕
本発明の適用対象となるトルク制御方式は、電気学会論
文誌Bの106巻1号第9ページの「瞬時すべり周波数制
御に基づく誘導電動機の新高速トルク制御法」なる論文
に記載されている。
この論文は、電動機入力電圧を検出し、これを制御回路
内で積分したものを電動機磁束としている。すなわち、
いわゆる磁束演算形の制御方式であり、磁束ベクトルの
長さが与えられた磁束指令に追従し、かつ円軌跡を描く
ようなインバータ出力電圧を選ぶ。
また、電動機発生トルクを前記磁束と電動機入力電流の
ベクトル積として演算し、その大きさが与えられたトル
ク指令に追従するようなインバータ出力電圧を選ぶ。制
御は磁束およびトルクの瞬時値が所定の誤差内に保持さ
れるよう行われ、インバータ出力電圧は高速度で時々刻
々更新される。
第2図は上記論文に記載された制御方式に、本出願人が
先に特願昭61−99228号により提案したPWMインバータの
出力電圧検出方式を採用したトルク制御系のブロック図
であり、直流電圧源1より正母線1aおよび負母線1bを経
て、3相PWMインバータ3を介して3相誘導電動機6に
給電する。制御回路7は指令および検出された電流,電
圧信号を処理し、PWMインバータ3のスイッチング素子
の通電信号を発生する。
PWMインバータ3はトランジスタなどのスイッチング素
子とダイオードをそれぞれ逆並列接続してなる6個のア
ームから構成されているが、3個の切換スイッチSu
Sv,Swとして表すことができる。
PWMインバータ3の各出力端子から電流検出器5u,5v,5
wを経て3相誘導電動機に給電すると共に、直流側正負
母線1a,1b間に電圧検出器2が接続され、これら検出器
と後述するスイッチ状態変数表から各相電流および各相
電圧が検出できるようになっている。
3相かご形誘導電動機の1次端子電圧および電流をそれ
ぞれ とし、3次電流を とすると、電圧方程式は ただし、記号 は直軸,横軸すなわちd,q2軸変換された量のベクトル表
示であり、例えば はd軸成分をv1d,q軸成分をv1qとすると で示され、 も同様に定義される。なお、式左辺のはd,q両軸成
分とも0の場合を表し、かご形回転子の場合2次電圧は
このようにとなる。
式における定数は R1;1次巻線抵抗 L11;1次インダクタンス R2;2次巻線抵抗 L22;3次インダクタンス M;相互インダクタンス は回転角速度、pは微分演算子、jはベクトル積を
表す。
一方、磁束の定義として、 式の第1行を展開して 式を代入し、整理すると 両辺を積分すると すなわち、電動機1次磁束は式の積分演算により求め
られる。
各切換スイッチSu,Sv,Swは、正母線1a側に倒れる場合
と負母線1b側に倒れる場合とがあり、中間位置をとるこ
とはない。前者を状態1,後者を状態0とするとインバー
タの出力状態は下に示すスイッチ状態変数表ですべてを
表すことができる。
ここに、kは切換スイッチ状態を示す番号で、この8通
りしか存在しない。また、 はd,q2軸成分で表したスイッチ状態変数で、実際のd,q
軸電圧v1d,v1qは、これに直流電圧源1の電圧Vと を乗じ と表せる。
先のスイッチ状態変数表を図示したのが第3図であり、
v1の横の括弧内は切換スイッチSu,Sv,Swの状態を示し
ており、kが増加するに従って時計方向に60°ずつステ
ップする電圧ベクトルを表している。
なお、k=1およびk=7は零ベクトルと呼ばれるもの
で、図では原点に一致する。k=0およびk=7はそれ
ぞれインバータの出力を決定する第2図の切換スイッチ
Su,Sv,Swがすべて正母線1a側に倒れるか、または負母
線1b側に倒れるかの違いはあるが、誘導電動機6の線間
電圧はいずれも0となり、3相短絡モードである。ま
た、u,v,w相の基順軸は後述する式により、それぞれ
k=1,k=3,k=5の方向に対応する。
瞬時トルクTは式の のベクトル積として式により求められる。
ここで、φ1d,φ1qおよびi1d,i1qはそれぞれ をd,q2軸に分解したときの各成分である。
ブロック701および703bは切換スイッチSu,Sv,Swの状
態と電圧検出器2で検出した直流電圧源1の電圧Vとか
を算出するブロックであり、スイッチ状態変数表と式
とから算出される。
ブロック702は電流検出器5u,5v,5wにより検出された
3相電流iu,iv,iwを、次式によりd,q2軸成分に変換す
るブロックである。
この に、ブロック703aにおいて1次巻線抵抗R1を乗じ、ブロ
ック704において から1次巻線抵抗R1の積を減算する。
ブロック705は式に従って磁束を積分演算するブロッ
クであり、 のd,q両軸成分φ1d,φ1qが求められ、ブロック710にて
磁束ベクトル長φが次式により求められる。
更に、ブロック710では、第4図の磁束状態図に示すよ
うに、 のd軸を基準とする時計方向の回転角θが、境界線とし
て30°,90°,150°,210°,270°,330°の60°毎に仕切
られるどの領域に属しているかによって制御フラグfθ
を次のように発生する。
−30°≦θ<30°;fθ=I 30°≦θ<90°;fθ=II 90°≦θ<150°;fθ=III 150°≦θ<210°;fθ=IV 210°≦θ<270°;fθ=V 270°≦θ<330°;fθ=VI 第6図はヒステリシスコンパレータの状態図で、磁束ベ
クトル長φが磁束指令値▲φ* 1▼に対し、誤差限界Δ
φを用いて となるように制御するための制御フラグfφを発生す
る。すなわち、磁束ベクトル長φが増加して上限であ
に達すると減磁を指令する制御フラグfφ=0を発生
し、また磁束ベクトル長φが減少して下限である に達すると増磁を指令する制御フラグfφ=1を発生す
る。
かくして、磁束ベクトル長φは第6図に示される矢印
の方向にリミットサイクルを描くようにして制御される
ことになるが、実際には、ブロック706で式により算
出された磁束ベクトル長φがブロック708において磁
束指令値▲φ* 1▼から減算され、ブロック711において
第6図の状態制御図に従い制御フラグfφ=1,0を発生
する。
第6図に示した磁束のリミットサイクルは、第4図に関
していえば、 のベクトルの頭部が常に図示された円環部分に存在する
ように制御されていることに対応する。
第6図による制御フラグfφと第4図で説明した制御フ
ラグfφとが組み合わされて、例えばfφ=1,fθ=I
の制御フラグが立っているとすると、領域が−30°≦θ
<30°における増磁モードを意味するから、 に積分されるべき は円の外向き成分を持ったものとなり、第3図からk=
1,2,6のいずれかのみが選ばれる可能性がある。
ブロック707はブロック702,705の両出力のベクトル積を
式により演算し瞬時トルクTを算出するブロックであ
り、ブロック709においてトルク指令T*から瞬時トルク
Tを減算し、トルク指令T*と式により求められた瞬時
トルクTとの差が所定の誤差限界以内に押えられるよう
に、ブロック712において第7図の状態制御図に従って
制御フラグfτを発生する。
第7図は3値ヒステリシスコンパレータの状態図で、電
動機力行時はトルク偏差T*−Tが上限値ΔT1(ΔT1
0)に達すると、加速モードの制御フラグfτ=1を発
生する。電動機が加速されてトルク偏差が下限値−ΔT2
(ΔT2<0)に達すると、零ベクトルモードの制御フラ
グfτ=0を発生し、トルクが漸減して再び偏差が増加
し上限値ΔT1に達すると加速モードに移り、第7図の上
半部のヒステリシスループを矢印方向に周回するリミッ
トサイクルを描く。
これを時間領域にて表すと第5図のトルク波形図に示す
ごとく瞬時トルクTは変動し、トルク指令T*を挾んで
上,下の偏差分の和ΔT1+ΔT2である許容誤差ΔTの帯
域内を、最大値T1,最小値T2として往復する。
次に、電動機が回生制動を行っている時は第7図の下半
部のヒステリシスループを描くことになり、トルク偏差
が負の下限値ΔT1(ΔT1>0)に達すると減速モードの
制御フラグfτ=−1を発生する。以下、力行時と同様
に矢印の方向のリミットサイクルを繰り返えす。かくし
てブロック712は制御フラグfτ=1,0,−1を出力す
る。
ブロック713はブロック710,711,712から出力される3個
の制御フラグfθ,fφ,fτの各組み合わせに最も適した
インバータ出力電圧を決定するブロックであり、第4図
で説明した1次磁束▲▼のベクトル長と回転方向お
よび速度をこれら3個の制御フラグfθ,fφ,fτが制御
する。
例えば前述のごとく制御フラグfφ=1,fθ=Iの場合
には、電圧ベクトルをスイッチ状態変数表のkに従って で表すとすると、電圧ベクトルとして選ばれる可能性が
あるのはk=1,2,6のいずれかであるが、このとき制御
フラグfτ=1ならば、時計方向に回転する成分を持つ
ベクトルk=2すなわち が選ばれる。もしfτ=−1のときは fτ=0のときは零ベクトルで、 が選ばれる。
次に示すスイッチングテーブルは、3個の制御フラグf
φ,fθ,fτのすべての組み合わせについて出力電圧ベク
トルの番号kの値を示したものである。
各演算サイクル毎にブロック713においてこのスイッチ
ングテーブルを参照することにより、インバータ3へス
イッチング信号を送り、磁束およびトルクの瞬時制御が
行われる。
インバータ周波数は第4図の の回転速度と考えることができるが、これは外部から与
えられるものではなく、式による電圧ベクトルの積算
結果として生じるものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕 一般にPWMインバータのスイッチング周波数は電動機の
速度と共に上昇するが、周波数の変動途中で電動機電流
の高調波分の周波数が電動機の磁気回路を含む構造体の
共振周波数に一致すると、共鳴状態となり騒音が著しく
増大する欠点があった。
前述の新高速トルク制御法におけるインバータにおいて
も、平均スイッチング周波数は速度と共に変化し、低速
で低く電動機の加速と共に高くなり、高速領域では再び
低くなる。通常スイッチング周波数はインバータを構成
するスイッチング素子1個当りについての値であり、電
動機電流の高調波周波数はスイッチング周波数の2,4,6
……2n倍周波数を中心とする側帯波群で構成される。そ
の2倍周波数の高調波を基本脈動周波数と呼ぶことにす
る。
第8図は前述の制御法において定常運転時に発生する電
流高調波スペクトラムを示す。本方式のような瞬時値制
御の場合は時々刻々スイッチング周期が変化するため、
定立したスペクトルは現れ難く、分析期間で平均化した
周波数が現れるため、ピークの前後に分散したスペクト
ルとなる。
第8図において、f1はインバータ周波数であり、f2は基
本脈動周波数、f3はその倍周波の一つを示し、それぞれ
ピークの前後に分散した周波数を含んでいる。faおよび
fbは構造体の共振周波数を示す。
第9図は電動機電流の基本脈動周波数f2が速度に対して
変化する様子を示すグラフであり、トルクの3値ヒステ
リシスコンパレータの許容誤差ΔT、すなわち上,下の
偏差分の和ΔT1+ΔT2をパラメータとしている。上側か
らA,B,C,D,E,Fの順に許容誤差ΔTが小さい場合を示
し、曲線Aは許容誤差ΔTが最も小さく、曲線Fは許容
誤差が最も大きい場合を示す。
実験の結果、磁束のヒステリシスコンパレータの許容誤
差限界Δφをパラメータとしても、略同様の基本脈動周
波数特性が得られた。
電動機の中間速度域において基本脈動周波数f2が大きく
なる理由は次のように解釈される。すなわち、 は概略次に示す式,により与えられる。
電圧印加時すなわち電流増加時 3相短絡モード時すなわち電流減少時 ここに、 l;1次巻線漏れインダクタンス R1;1次巻線抵抗 である。
は略円軌跡を画き、その値は急変しないため、式で与
えられる瞬時トルクTの値はほぼ式,による の挙動と等しく、指数関数状に増減を反復し最大値T1
最小値T2の間を往復する。
第10図は第5図のトルク波形図をより詳細に示したもの
で(a)は低速時、(b)は中速時、(c)は高速時に
おける瞬時トルク波形図である。1次電圧の絶対値 は常に一定であるから、電動機誘起電圧の絶対値 が小さい低速時においてはトルクの増加は急峻で減衰は
緩慢であるのに対し、高速時においては電動機誘起電圧
の絶対値 が大きくなるのでトルクの増加は緩慢で減衰は急唆とな
る。
また、中速時にはトルクの増加および減小時共に低速時
と高速時のほぼ中間の状況となり、従って平均スイッチ
ング周波数は低速時および高速時よりも高くなる。
以上詳細に説明したように、従来の磁束およびトルクの
瞬時制御方式によると、電動機速度の変化に伴いPWMイ
ンバータとしての基本脈動周波数も変動し、高調波電流
の調波数も変動するため、これが構造体の機械的共振周
波数に一致したとき共鳴状態となり、騒音が著しく増大
するという欠点を有していたのである。
すなわち、第9図に示したように、トルクの許容誤差Δ
Tが比較的小さいB曲線の場合は、構造体の共振周波数
faについては常用速度範囲外で共鳴を生ずることになる
が、構造体の共振周波数fbについては常用速度範囲内で
共鳴を生じてしまう。
また、トルクの許容誤差ΔTが比較的大きいE曲線の場
合は、構造体の共振周波数fbには基本脈動周波数は達し
ないが、構造体の共振周波数faについては常用速度範囲
内で共鳴を生じてしまう。
このように、トルクの許容誤差ΔTを適宜に選ぶことで
は、電動機の磁気回路を含む構造体の共振周波数に共鳴
する状態を生じることを避けることはできなかった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明にかかる誘導電動機の低騒音駆動方法は、従来の
瞬時磁束および瞬時トルク制御方法において、トルクま
たは磁束の許容誤差を変更することにより、電動機速度
に対する基本脈動周波数の関係が変化することに注目
し、電動機速度の関数信号によって瞬時磁束および瞬時
トルクの指令値に対する許容誤差のうち少なくともいず
れか一方を可変制御することにより、電動機速度の低速
域から高速域にわたってインバータの平均スイッチング
周波数が略一定となるよう制御することを特徴とするも
のである。
PWMインバータの基本脈動周波数f2が電動機構造体の機
械的共振周波数fa,fb等に合致しないよう、これら共振
周波数fa,fb等より上または下の周波数帯域に限定して
用いれば、共鳴状態を生じることなく低騒音化が実現で
きる。
トルクの許容誤差ΔTを可変制御する場合を例にとって
第9図を用いて説明すると、電動機構造体の機械的共振
周波数faおよびfbよりも高い基本脈動周波数f2′付近で
常にPWMインバータ3を運転するためには、曲線Aが電
動機電流基本脈動周波数f2′を通過する点P1及びP4にお
ける電動機速度においては、曲線Aの場合のトルク許容
誤差ΔTとすればよく、曲線Bが周波数f2′を通過する
点P2およびP3における電動機速度においては、曲線Bの
場合のトルク許容誤差ΔTとすればよい。
第9図に示した電動機電流の基本脈動周波数f2の電動機
速度に対する変化を、パラメータであるトルクの許容誤
差ΔTをより細分して実測して描くことにより、第11図
に示した電動機速度に対するトル許容誤差の関係グラフ
のごとく、滑らかな曲線を得ることができる。図中の点
P1〜P4は第9図の点P1〜P4に対応するトルク許容誤差を
示し、曲線上の他の点は前記のより詳細な測定および内
挿法により求めたものである。
同様に、電動機構造体の共振周波数faおよびfbのいずれ
よりも低い基本脈動周波数f2″付近で常にPWMインバー
タ3を運転するためには、第9図の曲線D,E,Fがそれぞ
れ電動機電流基本脈動周波数f2″を通過する点Q1,Q6
Q2,R5,Q3,Q4の各点における電動機速度において、そ
れぞれ曲線D,E,Fの場合のトルク許容誤差とすればよ
い。
基本脈動周波数f2′の場合と同様に、基本脈動周波数
f2″付近で常にPWMインバータ3を運転するための電動
機速度に対するトルク許容誤差ΔTの関係を第11図に示
す。図中の点Q1〜Q6は第9図の点Q1〜Q6に対応するトル
ク許容誤差ΔTを示している。
前記のようにして得て第11図に示した電動機速度に対す
るトルク許容誤差の関係を記憶しておき、何らかの方法
によって得た電動機速度の関数信号からトルク許容誤差
を決定して制御することにより、基本脈動周波数f2をほ
ぼ一定にして運転することができる。
なお、基本脈動周波数f2が電動機構造体の共振周波数
fa,fb等に近付かなければよいのであるから、第11図の
関数はさほど高精度でなくてもよい。
電動機の速度信号を得る方法は、速度計発電機を付属し
ておきこの出力を利用してもよいが、1次磁束▲▼
の単位時間における回転角度を内部的に演算することに
よっても得られる。
以上、トルクの許容誤差ΔTを可変制御する場合につい
て詳細に説明したが、磁束の誤差限界Δφを可変制御す
ることによっても、ほぼ同様の効果を得ることができ
る。この場合には第9図の電動機電流の基本脈動周波数
f2の電動機速度に対する関係のパラメータがトルク許容
誤差ΔTであったのに代えて、パラメータを磁束の許容
誤差限界Δφとして測定しておき、これによって第11図
に示したトルク許容誤差と電動機速度の関係に代えて、
磁束の許容誤差と電動機速度の関係を得て記億しておけ
ばよい。
同様に、トルク許容誤差と磁束許容誤差に所定の関係を
持たせておけば、前記の手法によって両者を可変制御す
ることが可能なことは明らかである。
〔作用〕
前記のごとくにしてPWMインバータの瞬時磁束および瞬
時トルクの指令値に対する許容誤差のうち少なくとも一
方を可変制御することにより、電動機電流の基本脈動周
波数は電動機構造体の共振周波数fa,fb等を避けた高周
波帯f2′または低周波帯f2″にほぼ一定に保持すること
ができる。
従って基本脈動周波数の倍周波もほぼ一定周波数とな
り、電動機構造体の共振周波数に一致することを避ける
ことができ、共鳴現象による騒音の発生を防止できる。
〔実施例〕
第1図は本発明にかかる誘導電動機の低騒音駆動方法の
一実施例のブロック図である。本実施例の第2図と異な
るところは、ブロック712の内蔵する3値ヒステリシス
コンパレータを許容誤差が可変のものに置き代えてブロ
ック712′としたこと、前回の演算サイクルにおける を記憶し、今回の と比較して の回転速度ωを演算するブロック714と、第11図に示
した各電動機速度におけるトルク許容誤差の関数テーブ
ルを記憶したブロック715とを追加したことである。
本実施例においてもブロック713においてブロック710,7
11および712′から送られる3個の制御フラグfθ,fφ
およびfτにより、スイッチングテーブルを参照して最
適のインバータ出力電圧を決定し、インバータ3へスイ
ッチング信号を送り、磁束およびトルクの瞬時制御が行
われるのは第2図に示した従来方法の場合と同じであ
る。
ただし、本実施例においてはブロック714において電動
機速度とほぼ等価の の回転速度ωを算出し、その出力によってブロック71
5においてトルクの許容誤差ΔTを選定してブロック71
2′に送り、ブロック712′に内蔵する3値ヒステリシス
コンパレータの上限値ΔT1および下限値ΔT2を変更して
いるので、電動機電流の基本脈動周波数はブロック715
において選定した周波数f2′またはf2″のいずれかのほ
ぼ一定値で運転される。
本実施例ではブロック714において電動機速度の近似値
を内部的に算出しブロック715へ送ったが、電動機に速
度計発電機を取り付ける等により直接的速度関数信号を
外部からブロック715へ送ってもよい。
以上説明した本実施例はトルクの許容誤差ΔTを可変制
御するものであるが、ブロック711に内蔵する磁束のヒ
ステリシスコンパレータの誤差限界Δφを可変とし、ブ
ロック715に記憶する関数テーブルを各電動機速度にお
ける磁束許容誤差の関数テーブルに代えることにより、
磁束の許容誤差Δφを可変制御することによってもほぼ
同様の効果を得ることができる。
また、先にも述べたが同様の考え方により、トルクおよ
び磁束の両許容誤差を可変制御とすることも可能であ
る。
〔発明の効果〕
以上詳細に説明したように、本発明にかかる誘導電動機
の低騒音駆動方法によれば、磁束およびトルクの指令値
に対する許容誤差のうち少なくともいずれか一方を電動
機速度の関数信号によって連続可変することにより、イ
ンバータのスイッチング周波数を略一定に保ち、電動機
電流の高調波周波数が電動機構造体の機械的共振周波数
と一致することにより生じる騒音の増大を防止すること
ができる。
本方法によれば、インバータを構成するスイッチング素
子として高速素子を使用し、10〜40kHzの高周波スイッ
チングを行うことにより低騒音化を行う方式に比べて、
特にスイッチング周波数を高めることなく低騒音化が実
現できる。
従って、高周波スイッチング素子の利用が困難とされる
中〜大容量の誘導電動機の低騒音化に適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる誘導電動機の低騒音駆動方法の
一実施例のブロック図、第2図は従来の瞬時磁束および
トルク制御系の一例のブロック図、第3図はスイッチ状
態変数表によるインバータの出力電圧ベクトル図、第4
図は電動機の1次磁束ベクトルの瞬時制御方法を示す磁
束状態図、第5図はトルク波形図、第6図は磁束のヒス
テリシスコンパレータの状態図、第7図はトルクの3値
ヒステリシスコンパレータの状態図、第8図は定常運転
時に発生する電流高調波スペクトラム、第9図は電動機
速度に対する電動機電流基本脈動周波数のグラフ、第10
図は第5図のトルク波形図をより詳細に示したもので、
(a)は低速時,(b)は中速時,(c)は高速時にお
ける瞬時トルク波形図であり、第11図は電動機速度に対
するトルク許容誤差の関係を示すグラフである。 1……直流電圧源、2……電圧検出器、3……PWMイン
バータ、5u,5v,5w……電流検出器、6……誘導電動
機、7……制御回路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静止座標系における電圧および電流ベクト
    ル成分信号から磁束ベクトルおよびトルクの瞬時値を演
    算し、該磁束演算値の大きさとその指令値との誤差が所
    定の許容範囲を越えると磁束増加もしくは磁束減少を指
    令する第1制御フラグを発生する2値ヒステリシス・コ
    ンパレータと、前記トルク演算値とその指令値との誤差
    が所定の許容範囲を越える場合および所定の許容範囲内
    に収まっている場合に応じてトルク増加・減少もしくは
    現状保持を指令する第2制御フラグを発生する3値ヒス
    テリシス・コンパレータと、磁束ベクトル成分の大きさ
    と符号から該磁束ベクトルが現在円周を区分したどの円
    弧領域に存在するかを示す第3制御フラグを発生する磁
    束位置検出手段とを具えるとともに、これら3個の制御
    フラグ値の組み合わせによりトルク応答を最適化する電
    圧ベクトルを発生するインバータのスイッチング状態を
    直接指定することにより、誘導電動機の発生トルクを指
    令値に追従制御するとともに磁束ベクトルが近似的円軌
    跡を描くように制御する方法において、インバータの平
    均スイッチング周波数の2倍周波数で表される基本トル
    ク脈動周波数が、電動機速度に応じて変化する様子を前
    記3値ヒステリシス・コンパレータにおけるトルクの許
    容誤差または前記2値ヒステリシス・コンパレータにお
    ける磁束の許容誤差ごとに測定記録し、この測定結果に
    基づき前記基本トルク脈動周波数が電動機構造体の機械
    的共振周波数より常に上または下となるように、電動機
    速度に応じて少なくともいずれか一方の許容誤差を選択
    制御することにより、電動機の低速域から高速域にわた
    ってインバータの平均スイッチング周波数を略一定に制
    御することを特徴とする誘導電動機の低騒音駆動方法。
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