JP3278556B2 - 交流電動機制御装置 - Google Patents

交流電動機制御装置

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JP3278556B2 JP22829695A JP22829695A JP3278556B2 JP 3278556 B2 JP3278556 B2 JP 3278556B2 JP 22829695 A JP22829695 A JP 22829695A JP 22829695 A JP22829695 A JP 22829695A JP 3278556 B2 JP3278556 B2 JP 3278556B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、交流電動機制御装
置に関するものであり、より詳しくは、高回転数領域で
の運転特性を改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】交流電動機は運転されると速度起電力を
生じ、磁束一定であれば速度起電力の大きさは回転数に
比例する。したがって、磁束一定であれば印加可能な電
圧の値を速度起電力の値が越えてしまう回転数が存在す
る。この回転数以下を一般にトルク領域、以上を定出力
領域と読んでいる。定トルク領域では、磁束を一定に保
てばよいので制御は比較的簡単である。定出力領域で
は、磁束制御の可能な同期電動機や誘導電動機ではおお
よそ回転数に対して磁束を反比例に制御することが行な
われ、また、磁束制御の不可能な永久磁石電動機では電
動機巻線のインダクタンスによる電圧降下を増加させる
ことが行われている。
【0003】これら交流電動機の電流制御はd−q軸電
流制御でおこなわれることが多い。過去には交流電流の
瞬時値を同じく交流の指令値に追従制御させるべく、P
I制御器に交流動作させることも行われていたが、高周
波での追従性に欠けるため電動機の運転周波数を高くで
きなかった。しかし、d−q軸電流制御により電動機の
運転範囲拡大が可能となった。
【0004】ところが、d−q軸電流制御によっても電
動機の能力をフルに発揮しているとは言いがたい点があ
った。これを図4の永久磁石電動機の制御装置の従来例
に基づいて説明する。図4において、1は直流電源、2
はコンデンサ、3はインバータ、4は永久磁石電動機、
5はパルスエンコーダ、6U,6Wは永久磁石電動機の
U相,W相の電線に装着されたホールCT等の電流検出
器である。直流電源1はバッテリが用いられる場合、交
流電源と整流装置で構成される場合等いろいろである。
インバータ3は制御回路10により制御され、永久磁石
電動機4に可変電圧可変周波数の電圧を印加する。
【0005】制御回路10は、パルスエンコーダ5の出
力信号を入力され永久磁石電動機4の回転数ωr ,回転
角θr 等の回転情報を出力する回転検出器11と、電流
検出器6U,6Wの出力信号を受け、電流検出信号
U ,iW を出力する電流検出回路12と、永久磁石電
動機4の回転角θr に基づき電流検出信号iU ,iW
対してUVW静止座標系から電動機の磁極の回転に同期
したd−q回転座標系への変換を行い永久磁石の作る磁
束と同相の電流成分id 、永久磁石の作る磁束と直角方
向の電流成分iq を得るUVW/d−q座標変換回路1
3と、インバータ3の直流部電圧vDCを検出するための
電圧検出器14と、永久磁石電動機4の回転数ωr とイ
ンバータの直流部電圧vDCとに基づいて永久磁石電動機
4に流すべきd軸電流成分の指令値id * を出力するd
軸電流指令器15と、同じく永久磁石電動機の回転数ω
r とインバータ3の直流部電圧vDCとに基づいて永久磁
石電動機4に流すことのできるq軸電流成分の最大値i
qmaxを求め、その値で図示しない回路から与えられるq
軸電流指令値iq **をリミットして永久磁石電動機4に
流すことの可能なq軸電流指令値iq * を出力するq軸
電流指令値リミット回路16と、d軸電流指令値id *
およびq軸電流指令値iq * にそれぞれの電流検出
d ,iq が追従するようd−q軸における電圧指令値
d * およびvq * を出力するd−q軸電流制御回路1
7と、電圧指令値vd * およびvq * を直流部電圧vDC
で割算して電圧指令値vd * およびvq * を制御率αd
* およびαq *に変換する割算器18d,18qと、永
久磁石電動機4の回転角θr に基づき制御率αd * およ
びαq * に対してd−q回転座標系からUVW静止座標
系への変換を行い制御率αU * ,αV * ,αW * を出力
するd−q/UVW座標変換回路19と、制御率
αU * ,αV * ,αW * を入力してPWM信号を出力す
るPWM制御回路20と、から構成されている。
【0006】PWM制御回路20の詳細図は省略する
が、これは、三角波発生器と、三角波発生器の出力三角
波と制御率αU * ,αV * ,αW * とを比較して3相の
PWM信号を出力するコンパレータと、PWM信号それ
ぞれの極性反転信号を得る極性反転回路と、コンパレー
タ出力と極性反転回路出力のオフ論理からオン論理への
変化時に所定の時間遅れを持たせるデッドタイム回路と
からなる、ごく一般的なPWM制御回路である。先に述
べた割算器18d,18qは三角波発生器の出力三角波
の振幅とインバータ直流部電圧vDCの大きさとの比例関
係を一定に保ち、インバータ直流部電圧vDCの変動にか
かわらずd−q軸電流制御回路17のPI制御のループ
ゲインを一定に保つ役割をしている。
【0007】PWM制御回路の出力する6個のPWM信
号は、図示しないゲート回路を介して、インバータ3に
与えられ、d軸電流指令値id * およびq軸電流指令値
q * に永久磁石電動機4のd軸電流およびq軸電流が
追従するよう制御される。d軸と永久磁石の磁束方向と
を一致させ、q軸を永久磁石の磁束と直角方向にとって
いることから、永久磁石の発生トルクはq軸電流のみに
よって決まる。このことから、q軸電流はトルク分電流
とも呼ばれる。一方、d軸電流はトルクに無関係で、定
出力領域での運転を可能とするために制御される。この
ことから、d軸電流は、励磁分電流とも呼ばれる。
【0008】定出力領域で永久磁石電動機にあるトルク
分電流iq を流すときどれだけのid を流さねばならな
いかを図5及び図6のベクトル図に基づいて説明する。
ただし、図5及び図6では簡単のため永久磁石電動機4
の巻線の抵抗分を無視し、インダクタンスLのみとして
描いている。図5は無負荷、つまりトルク分電流iq
ゼロの場合である。永久磁石による磁束をφm とすると
きEm =ωr ・Φm の速度起電力が生じている。図5に
おける円弧はインバータ3の出力可能最大電圧VIMAX
半径の円弧で、この円弧内であればインバータ3が出力
可能である。したがって、誘起電圧が円弧内にあれば励
磁電流id を流す必要はない。定出力領域では、図の通
り速度起電力の方が大きいのでその差電圧をインダクタ
ンスによる電圧ドロップωr L・id で負担せねばらな
らない。したがって、無負荷時には、 id =(VIMAX−Em )/ωr L=(VIMAX−ωr ・Φ
m )/ωr L のd軸電流が必要である。定出力領域では(VIMAX−ω
r ・Φm )<0なので、id の値は負である。この式は
回転数が上昇すればするほど、必要なid が増えること
を示している。
【0009】図6は正のトルク分電流iq を流している
場合である。トルク分電流iq によりωr L・iq の電
圧降下が図のようにd軸の負方向に生じる。この場合も
インバータ3の出力電圧は半径VIMAXの円弧内に収めね
ばならない。このとき、トルク分電流iq と励磁分電流
d のベクトル和すなわち全電流it のインピーダンス
ドロップωr L・it のベクトルと速度起電力Em のベ
クトルとインバータ出力電圧VIMAXのベクトルとで三角
形が形作られるので、余弦定理から、
【0010】
【数1】 のd軸電流が必要となる。すなわち、同一回転数でもq
軸電流が大きくなると上式に応じて大きなid が要求さ
れる。逆にいえば、上式を満すだけのid を流せば十分
であり、回転数やトルク電流iq の値に応じてid を制
御すればよい。
【0011】ところが、現実の永久磁石電動機の制御装
置では上式の関係を満足する値よりもかなり大きな値の
d を流さねばならない。なぜなら、上式は定常状態で
の関係であり、id ,iq の値を変化させようとする過
渡時には図5及び図6に示したよりも大きな電圧余裕が
必要になることがあり、しかも、過渡的に電圧が不足す
ると、制御不能に陥っていまうことがあるからである。
そして、一旦、制御不能に陥ると回転数、トルク電流指
令の何れかを大幅に低下させなければ制御を復帰させる
ことができない。
【0012】これを図7に基づき説明する。図7はd−
q軸電流制御回路17の構成の一例である。図7におい
て、31d,31qは減算器、32d,32qはPI制
御回路、33d,33qは乗算器、34は減算器、35
は加算器、36は永久磁石電動機の回転数ωr を入力
し、永久磁石のインダクタンスのゲインL倍してωr
Lを出力する倍率器、37は同じく永久磁石電動機の回
転数ωr を入力し、永久磁石の作る磁束のゲインΦm
してωr ・Φm を出力する倍率器である。減算器31d
で励磁分電流指令id * から電流検出id が減算され、
その偏差がPI制御器32dでPI制御される。PI制
御器32dの出力は減算器34で乗算器33qの出力が
減算され、d軸電圧指令vd * とされる。q軸側も、同
様に、減算器32q,PI制御器32q,加算器35を
介して、q軸電圧指令vq * とされる。加算器35で
は、PI制御器32qの出力に倍率器37の出力と乗算
器33dの出力とを加算している。乗算器33d,33
qはそれぞれ電流検出id ,iq に倍率器36の出力ω
r Lを乗算し、ωr L・id ,ωr L・iq を出力す
る。
【0013】永久磁石電動機の電圧電流方程式は
【0014】
【数2】 と表わすことができるが、減算器34、加算器35はそ
れぞれ上の2式の右辺の第2項以下をPI制御器32
d,32qの出力に加算するものである。それぞれ上の
2式の右辺の第2項をPI制御器出力に加算あるいは減
算することにより、直交しているd−q軸それぞれに流
れている電流が互いに直交軸に及ぼす影響を除去するこ
とができ、また、q軸側の式の右辺第3項を加算するこ
とにより、回転数による速度起電力変化の影響を除去す
ることができる。これにより、PI制御器32d,32
qは、自相の抵抗分、インダクタンス分と設定定数の誤
差分だけを負担すればよくなる。以上のような構成の電
流制御回路により、定トルク領域では良好な電流制御が
可能となる。
【0015】次に、定出力領域で、トルク電流指令iq
* に大振幅のステップ変化を与えて急増させた場合を考
えてみる。定出力領域なので速度起電力Em =ωr ・Φ
m はすでにインバータの出力可能な最大電圧ベクトルの
大きさVIMAXを上回っている。このため、負の励磁分電
流id を流して、q軸成分電圧を下げている。このとき
のid の値としては、与えられるトルク電流指令iq *
のステップ変化後の値に見合うトルク電流が流れたとき
にも、インバータ電圧が出力可能なだけの電流であるも
のとする。すなわち、ステップ変化後の指令値に見合う
電流が流れても、定常状態ではq軸成分電圧、d軸成分
電圧のベクトル和すなわちインバータ出力電圧ベクトル
の大きさV1 は、VIMAXよりわずかに低い値であるとす
る。ここで、トルク電流指令iq * が大振幅ステップで
急増すると、q軸のPI制御器32qの出力が最大値ま
で増加して、q軸成分電圧指令値vq * の大きさが最大
値VIMAXを越えてしまう。ところが、インバータは実際
には最大値VIMAX以上の電圧は出力し得ないので、iq
の増加はゆるやかである。トルク電流iq が、指令値i
q * に達したらq軸のPI制御器32qの出力は減少
し、出力電圧指令値のベクトルとしての大きさは最大値
IMAX以下の値に復帰できる。しかし、iq が指令値i
q * に達しなければ、PI制御器32qの出力は最大値
を出力しつづけるので、そのまま制御不能となってしま
う。しかも、iq を急速に増加させようとしてPI制御
器32qの出力が最大値を出力しているというそのこと
自体によって、iq が指令値iq * に追従しにくくなる
のである。
【0016】これを図8のベクトル図で説明する。図8
において、vq1 * ,vd1 * はトルク電流指令のステップ
変化前の値iq1 * の時のd−q軸電圧指令成分ベクト
ル、vt1 * はその合成ベクトルでその値はインバータが
実際に出力している電圧のベクトルvt1と等しい。トル
ク電流指令がiq1 * からiq2 * に増加した後のある時点
での、q軸電圧指令値がvq2 * である。d軸電圧指令値
が以前と同じ値vd1 * であるとすると、それらのベクト
ル和はvt2 * となり、インバータが出力可能な範囲を越
えている。実際に出力される電圧ベクトルは円弧上のv
t2である。このため、実際に出力されるd−q軸電圧成
分はvd2,vq2となる。d軸電圧成分vd2の大きさが減
少している。d軸成分電圧の減少は励磁電流分id の減
少をうながし、励磁電流分id の減少はq軸における速
度起電力に対する励磁電流による電圧降下の減少につな
がる。すなわち、q軸電流の増加を妨げる方向に働く。
d軸電流が減少したため、d軸側のPI制御器32dが
動作し、d軸電流を復帰させるべくvd * を増加させる
が、q軸側のPI制御器32qの出力が最大値を出力し
ており、vq2 * はそれに速度起電力が加算されているの
で、そのベクトル長はvd * のベクトル長よりもはるか
におおきい。結果として、d軸側のPI制御器32dが
飽和しても、必要なd軸電流を流すようなベクトル関係
になりえないことがあり得、そのような場合には、双方
の制御器が飽和してしまうという事態に陥る。
【0017】さて図4にもどり、このような事態を避け
るため、過渡状態においても十分に電圧余裕を確保でき
るだけの負の励磁電流を流さなければならない。このた
め、d軸電流指令器15により、トルク電流指令が最大
のときにも充分で、またトルク電流指令が急変しても安
定な制御が可能なだけの大きさのid * が回転数と直流
電圧とに応じて与えられる。これにより、インバータの
出力可能最大電流がitmaxであるとすると、q軸には
(itmax 2 −id *21/2 (本明細書では、ルート記号
を使用できないので、以下、このように平方根を1/2
のべき指数で表わす。)以上のトルク電流を流すことが
できなくなる。つまり、id * を大きくした分だけ定出
力における発生可能トルクが小さくなる。これをq軸電
流指令値リミット回路16で与えている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】このため、永久磁石電
動機4の回転数−トルク曲線は図9のようになる。点線
部分が、定常状態に達することができれば出力可能な回
転数−トルク曲線であり、実線部分が、過渡状態まで含
めて考えたときに出力可能な回転数−トルク曲線であ
る。id * を充分に流すことにより定トルク領域が狭く
なり、定出力領域でのトルクが制限されている。また、
高回転数になるほどトルクが出し得なくなることから、
実際に使用できる運転周波数範囲も狭くなっている。さ
らに、励磁電流をよけいに流すため、効率も低下したも
のとなっている。
【0019】本発明は、定常状態では必要最小限の励磁
電流を流すと共に、過渡的に励磁電流の増加が必要な場
合には自動的に励磁電流の量を制御するようにし、もっ
て制御装置が制御不能に陥ることなく、交流電動機の出
力容量アップ、運転周波数範囲拡大、高効率化、定出力
範囲における制御の安定性向上を図ることができる交流
電動機制御装置を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、請求項1記載の発明は、電圧形PWMイ
ンバータから交流電動機に流される電流を、交流電動機
の磁束方向に基づき、磁束方向に平行なd軸と磁束方向
に直角なq軸とからなるd−q軸座標上の成分id ,i
q として検出し、与えられるトルク電流指令に基づいて
作成されるq軸電流指令値iq * にq軸電流iq が追従
するようq軸電圧指令値vq * を制御し、前記電圧形P
WMインバータの出力可能な電圧に基づいて作成される
d軸電流指令値id * にd軸電流id が追従するようd
軸電圧指令値vd * を制御し、前記q軸電圧指令値vq
* およびd軸電圧指令値vd * に基づいて前記電力変換
器の出力電圧を制御する交流電動機制御装置において、
前記電圧形PWMインバータの直流部電圧の検出に基づ
きこの電圧形PWMインバータの出力可能電圧に関連す
る所定値|v*IMAX|を決定し、この所定値|v*IMAX|
と前記d軸電圧指令値vd * とからvq **=(|v*IMA
X|2 −vd *21/2 で第2のq軸電圧指令値vq **を
求め、この第2のq軸電圧指令値vq **と前記q軸電圧
指令値vq *との比較に基づいて前記d軸電流指令値id
* の大きさを制御するようにし、また、前記電圧形P
WMインバータの出力可能な電流に関連する所定値|i
*IMAX|と前記d軸電流指令値id * とに基づく値(|
i*IMAX|2 −id *21/2 によって前記トルク電流指
令の大きさを制限して前記q軸電流指令値iq * とする
ようにし、更に、前記d軸電圧指令値vd * 及び前記q
軸電圧指令値vq * を前記直流部電圧の検出値で割り算
することにより、このd軸電圧指令値vd * 及びq軸電
圧指令値vq * と実際に前記電圧形PWMインバータか
ら出力されるd軸電圧vd 及びq軸電圧vq との比例関
係が保たれるようにしたこと、を特徴とする。
【0021】
【0022】
【0023】請求項2記載の発明は、請求項1記載の交
流電動機制御装置において、前記交流電動機が誘導電動
機であり、低回転時には、検出回転数ωrと、定トルク
領域における磁束の大きさを指示する定数Φとの乗算値
を、前記(|v*IMAX|2 −vd *21/2 に代えて前記
第2のq軸電圧指令値vq **として用い、また、この乗
算値が前記(|v*IMAX|2 −vd *21/2 より大きく
なる高回転時には、この(|v*IMAX|2 −vd *21/2
を前記第2のq軸電圧指令値vq **として用いる、こ
とを特徴とする。
【0024】従来例で説明したように、制御不能に陥る
原因は、回転数増加、トルク電流指令の急増等の運転条
件の変化時にd軸電流がその指令値に追従できないでい
る間に、q軸側の出力電圧指令値が増大して、ベクトル
としてインバータの出力可能な電圧以上の指令値が与え
られ、結果としてd軸電流を制御するのに十分なd軸電
圧が確保できなくなることにある。本発明では、d軸側
の制御を優先し、制御不能とならないよう、q軸側の電
圧を制御する。インバータの出力可能な最大値はq軸電
圧とd軸電圧とのベクトル和であることに着目し、イン
バータ出力電圧最大値をベクトル長|vIMAX * |で規定
し、q軸側の第2の電圧指令値として、vq **=(|v
IMAX * 2 −vd *21/2 を与え、d−q軸電流制御の
結果として定まる先の第1のq軸電圧指令値vq * が第
2の電圧指令値vd **を越えるとd軸電流指令値id *
を負方向へ増加させるようにPI制御する。また、イン
バータの出力最大電流をitmax * としたとき、トルク電
流指令値iq **の絶対値を(iimax *2−id *21/2
リミットしてq軸側電流基準iq * として電流制御回路
に与える。
【0025】すなわち、トルク分電流指令値iq **、あ
るいは回転数の増加などでd−q軸電流制御回路のp軸
側出力vq * が第2の電圧指令値vq **を超えると、q
軸側電圧のPI制御によりd軸電流指令値id * が負方
向へ増加し、d軸電流を定常時よりも多く流そうとす
る。これにより、d−q軸電流制御回路のd軸側出力v
d * は負方向へ増加し、vq **=(|v* IMAX2 −v
d *21/2 で定まる第2の電圧指令値vq **が小さくな
り、ますますd軸電流指令値id * は負方向へ増加させ
られる。d−q軸電流制御のq軸電流制御のq軸側電流
基準iq * としてはiq **を(i*2 tmax−id *21/2
でリミットしたものが与えられるので、id * が負方向
へ増加するに連れてq軸側電流基準iq * の絶対値は減
少してゆく。d−q軸電流制御のq軸側出力vq * はい
ったん増加し、トルク電流指令値id * のステップ量が
大きい場合などには飽和しているが、q軸電流基準iq
* の絶対値は減少してくるので、そのうちにiq * がi
q と等しくなり偏差ゼロとなる。これにより、vd *
減少して、インバータ出力電圧ベクトルの長さが|v*
IMAX|より小さくなり、d−q軸電流制御のd軸側の制
御が有効に働くようになる。つまり、id がid * に追
従できるようになる。これにより、d−q軸電流制御の
d軸側の制御出力vd * の大きさは減少しはじめ、第2
の電圧基準vq **=(|v* IMAX2 −vd *21/2
増加に転じる。したがって、id * は正方向へ変化す
る。すなわち、大きさとしてはid * は少しずつ減少す
る。iq *もこれにつれて少しずつ増加する。インバー
タ出力電圧ベクトルの長さが|v* IMAX|より小さくな
っているので、d軸,q軸とも電流制御が有効に働き、
電流id ,iq のどちらも指令値の変化に追従してゆ
く。最終的にiq * が安定しiq がその値に追従する
と、d−q軸電流制御回路のq軸側出力が減少し、q軸
電圧制御によりid * も減少する。
【0026】これにより、vd * の値が減少するので、
q軸側の第2の電圧指令値vq **は増加し、定常状態に
おける値まで復帰していく。d軸電流指令値id * の大
きさも定常状態において必要な最低限の電流値まで下が
ってゆく。
【0027】
【発明の実施の態様】図1は本発明の実施形態の構成を
示すブロック図である。図1において、1〜6wおよび
11〜14,17〜20の構成要素は図4の従来例と同
一の構成要素であるため重複した説明を省略する。51
は電圧ベクトル長最大値設定器でインバータ直流電圧の
大きさvDCを入力され、インバータ出力電圧ベクトル長
最大値|v* IMAX|を出力する。|v* IMAX|の値はイ
ンバータが真に出力可能な最大電圧ベクトル長よりわず
かに小さく設定される。52はq軸電圧最大値設定器
で、d−q軸電流制御回路17のd軸側出力信号vd *
とインバータ出力電圧ベクトル長最大値|v* IMAX|と
を入力されq軸側の第2の電圧指令値(vq **=(|v
* IMAX2 −vd *21/2 を出力する。53はq軸側の
第2の電圧指令値とd−q軸電流制御回路17のq軸側
出力vq * との偏差をとる減算器である。54は減算器
53の出力を入力し、d−q軸電流制御回路17のq軸
側出力vq *がq軸側の第2の電圧指令値vq **を超え
ないように制御するPI制御器である。PI制御器54
にはその出力の最大値として定数設定器55からゼロが
与えられている。すなわち、vq **>vq * であればP
I制御器54の出力はゼロであり、vq * がvq **を超
えようとすると負の値を出力する。PI制御器54の出
力はd軸電流指令id * としてd−q軸電流制御回路1
7へ与えられる。PI制御器54の出力はq軸電流最大
値設定器56にも与えられる。q軸電流最大値設定器5
6はid * を入力し、インバータの所定の出力最大電流
* tmaxとid *とに基づいてq軸電流最大値(i*2
tmax−id *21/2 を出力する。57はリミッタで、ト
ルク分電流指令iq **とq軸電流最大値(i*2 tmax−i
d *21/2 とに基づきq軸側電流基準iq * をd−q軸
電流制御回路17に出力する。
【0028】次に、図1の動作を図2を参照しつつ説明
する。図2はトルク電流指令としたときの各部動作波形
図である。図2には、トルク分電流指令iq **、d−q
軸電流制御回路17のd軸側出力信号vd * 、q軸側出
力信号vq * 、q軸側の第2の電圧指令値vq **、d軸
電流指令id * 、d軸電流id 、d軸電流のPI制御出
力PIid、q軸側電流基準iq * 、q軸電流iq 、q軸
電流の制御出力PIiqが示されている。
【0029】図2において、時刻t1 にてトルク分電流
指令iq **にゼロから大電流のステップ変化が与えられ
る。d−q軸電流制御回路17に入力されるq軸側電流
基準iq * はリミット値(i*2 1max−id *21/2 でリ
ミットされるので、もしiq **がリミット値を超えてい
ればリミット値が与えられる。q軸側電流基準iq *
ステップ変化により、d−q軸電流制御回路17のq軸
側PI制御回路32qの出力PIiqも増加する。この例
ではiq **のステップ量が大きいので、PIiqは直ちに
最大値まで達する。これにより、d−q軸電流制御回路
17のq軸側出力信号vq * もPIiqの増加分だけ増加
するが、インバータの出力可能電圧を超えた指令値を与
えても実際にはそれだけの電圧は出力し得ない。このた
めq軸電流iq の増加はゆるやかである。
【0030】従来は電圧不足のためやがて増加率が減少
し、最終的に増加率ゼロとなって、PIiqが飽和したま
まで制御不能となる場合があった。本発明では第2の電
圧指令値vq **に基づくq軸側の電圧制御をPI制御器
54で行っている。第2の電圧指令値vq **は、vq **
=(|v* IMAX2 −vd *21/2 で与えられる。すな
わち、第2の電圧指令値vq **はq軸側出力信号vq *
がこの値以下に抑えられていれば、d軸側の制御を防げ
ることがないという値である。
【0031】q軸側電流基準iq * のステップ変化によ
りq軸側出力信号vq * が第2の電圧指令値vq **を超
えると、PI制御器54はd軸電流基準id * を負方向
へ増加させる。d軸側電流のPI制御によりd−q軸電
流制御回路17のd軸側出力vd * もそれにより負側へ
増加するので、d軸電圧最大値設定器52により、vq
**=(|v* IMAX2 −vd *21/2 で与えられる第2
の電圧指令値vq **は減少し、d軸電流基準id * をま
すます負方向へ増加させる。これにより、d−q軸電流
制御回路17のd軸側出力vd * が負側へ増加し、q軸
電圧最大値設定器52により、vq **=(|v* IMAX
2 −vd *21/2 で与えられる第2の電圧指令値vq **
が減少し、d軸電流基準id * がさらにますます負方向
へ増加する、という正帰還のループが形成される。この
正帰還ループにより、d−q軸電流制御回路17のq軸
側出力信号vq * が第2の電圧指令値vq **よりも小さ
くなるか、第2の電圧指令値vq **がゼロになるまで、
第2の電圧指令値vq **は減少しつづける。図2の場合
には電圧指令値vq **はゼロに達している。これによ
り、d軸電流基準id * は急速に負方向へ増加してゆ
く。
【0032】電圧指令値vq **がゼロになった後も、d
軸電流基準id * は負方向へ増加しつづける。一方、q
軸側電流基準iq * はq軸電流最大値設定器55の出力
(i*2 tmax−id *21/2 でリミットされるので、d軸
電流基準id * の負方向への増加とともに減少してゆ
く。q軸電流iq は電圧不足によりほとんど増加できな
くなっているが、q軸側電流基準iq * のほうが減少し
つづけることにより偏差は小さくなってゆき、q軸側電
流基準iq * がq軸電流iq とほとんど同じ大きさにま
で減少する時刻t2 に至って、d−q軸電流制御回路1
7のq軸側PI制御回路32qの出力PIiqが飽和から
解け、急速に減少しはじめる。これにより、d−q軸電
流制御回路17のq軸側出力信号vq * も小さくなり、
インバータの出力電圧指令値がベクトルとして制御可能
な範囲に復帰する。これにより、d軸側の電流制御が有
効に動作するようになり、d軸電流id の値がd軸電流
基準id * に追従しやすくなる。
【0033】時刻t3 で、d軸電流id がd軸電流基準
d * に十分に近い値となり、d−q軸電流制御回路1
7のd軸側出力vd * が充分に減少している。これによ
り、ゼロになっていた第2の電圧指令値vq **が増加し
はじめる。第2の電圧指令値vq **ががd−q軸電流制
御回路17のq軸側出力信号vq * に等しくなるとd軸
電流基準id * にこれまでの負方向への増加を停止し、
d軸電流id はその値に制御される。また、q軸電流指
令iq * はそのときのd軸電流基準id * の値に基づ
き、(i*2 tmax−id *21/2 でリミットされた値とな
り、q軸電流iqはその値に等しく制御される。これに
より、d−q軸電流制御回路17のd軸側出力vd *
q軸側出力信号vq * とも定常状態における値へと低下
してゆく。最終的には(vq *2+vd *21/2 =|v*
IMAX|となるd軸側出力信号vd *、q軸側出力信号v
q * を出力するような値で、第2の電圧指令値vq **
d軸電流基準id * 、q軸電流基準iq * は安定する。
【0034】さて、以上の制御によって、定常状態にお
いては永久磁石電動機の電流id ,iq について、d−
q軸電流制御回路17のd軸側出力vd * とq軸側出力
q * のベクトル和(vq *2+vd *21/2 が電圧ベク
トル長最大値設定器51の出力|v* IMAX|に等しくな
るような値に制御されている。これは、インバータ出力
電圧を|v* IMAX|に保つための最低のd軸電流id
流され、可能な限りのq軸電流iq が流されていること
を意味している。
【0035】このように、インバータ出力電圧を|v*
IMAX|に保つための最低のd軸電流id が流され、可能
な限りのq軸電流iq が流されている状態で回転数上昇
が生じたときの動作について考えてみる。回転数上昇に
より速度起電力が増加するので、制御回路17のq軸側
出力vq * も増加する。これにより、上記と同様にし
て、第2の電圧指令値vq **がさがるが、すでに、d軸
電流id 、q軸電流iqのベクトル和がインバータ最大
電流i* tmaxに達しているので、第2の電圧指令値vq
**によるq軸電圧制御により、d軸電流基準id * が負
方向へ増加すると、それとともにq軸電流指令iq *
直ちに絞られる。回転数変化がゆるやかであれば、q軸
電流指令iq * が絞られることにより、制御回路17の
q軸側出力vq * が下がるので、vq * は第2の電圧指
令値vq **に追従することができ、回転数上昇とともに
徐々にd軸電流id が負方向へ増加、q軸電流の大きさ
qが減少するよう制御される。
【0036】回転数変化が急峻で速度起電力の増加速度
が速く、第2の電圧指令値vq **の低下に制御回路17
のq軸側出力vq * が追従できない場合には、第2の電
圧指令値vq **の低下、d軸電流基準id * の負方向へ
の増加、それによるd軸側出力vd * の増加、第2の電
圧指令値vq **のますますの低下という、最初に説明し
たトルク電流指令の急変時と同様の正帰還が生じる。こ
れにより、d軸電流基準id * が過渡的に十分に増加せ
しめられ、q軸電流指令iq * が十分に絞られるので、
制御不能になることはなく、回転数変化後の定常状態で
はインバータ出力電圧を|v* IMAX|に保つための最低
のd軸電流id が流され、可能な限りのq軸電流iq
流される。
【0037】回転数が十分に低く速度起電力の小さなト
ルク一定領域で、制御回路17のq軸側出力vq * が第
2の電圧指令値vq **を超えなければ、以上のような制
御は動作せず、d軸電流基準id * はゼロのままでd軸
側のみで制御が行われる。すなわち従来の制御装置のト
ルク一定領域での動作と同一となる。
【0038】割算器18d,18qにより、直流電圧変
動時に電流制御ループゲインが一定に保たれること、d
−q軸電流制御回路17のd軸側出力vd * 、q軸側出
力vq * と実際に出力されているとd軸電圧vd 、q軸
電圧vq との間に、d軸側出力vd * 、q軸側出力vq
* の値がPWM制御回路の三角波の振幅を超えない限り
比例関係を持つようになること、という二つの効果が得
られる。本発明では電圧指令vd * ,vq * と実際に出
力されている電圧vd ,vq とが比例関係を持つことを
積極的に利用している。
【0039】すなわち、電圧検出に基づき電圧ベクトル
長最大値設定器51の出力|v* IMAX|を制御し、可能
な限りの電圧指令vd * ,vq * を与えるよう制御す
る。従来例には示されなかったが、このように電圧指令
d * ,vq * が|v* IMAX|を超えないように制御す
るということも、実際には、すでに行われていた。しか
し、従来は制御の安定性を確保するためにかなりの電圧
余裕をみて|v* IMAX|の値を決定せねばならなかっ
た。これに対し、本発明によれば|v* IMAX|を定常状
態においてインバータが出力可能な最大電圧よりわずか
に低い値に設定すればよく、従来より高い設定電圧が可
能となる。すなわち、電圧利用率を向上させることがで
きる。ただし、これらを望まなければ電圧検出回路14
および、割算器18d,18qは省略可能である。この
場合、電圧ベクトル長最大値設定器51はインバータ直
流電圧がもっとも低いときにも出力できる値を|v*
IMAX|として設定せねばならない。この場合にも、本発
明によって、電圧検出回路14を持たない従来のシステ
ムよりは|v* IMAX|の値を高くできる。
【0040】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、永久磁石電動機の制御装置において、制御の安定性
確保のために必要以上のd軸電流id を流すことが不要
となる。しかも、トルク電流指令の急変時、回転数変化
時等には自動的にd軸電流idを急速に増加し、q軸電
流iq については変化率を制御可能な範囲に制限しなが
ら徐々にトルク分電流指令iq **に近付けていく。トル
ク分電流指令iq **にみあったq軸電流iq を流すこと
ができる場合には、もちろんそれだけの電流を流すよう
制御し、それが不可能な場合には、定常状態においてイ
ンバータ出力電圧を|v* IMAX|に保つための最低のd
軸電流id および可能な限りのq軸電流iq が自動的に
流される。したがって、永久磁石電動機のトルク特性を
図9の点線で示した理論値に近付けることが可能とな
る。すなわち、永久磁石電動機の出力容量アップ、運転
周波数範囲拡大、高効率化が可能となり、電動機の出力
容量が同一でよい場合には変換器を小型化できることに
なる。
【0041】ところで、これまでは変換器がインバータ
の場合について述べてきたが、本発明はサイクロコンバ
ータに対しても有効である。この場合、PWM制御回路
の代わりに位相制御回路が用いられる。電圧ベクトル長
最大値設定器51に入力する電圧信号は直流電圧が存在
しないため入力側交流電圧の大きさとなる。また、サイ
クロコンバータは周波数が上昇すると出力可能電圧が下
がるので、電圧ベクトル長最大値設定器51は電圧のみ
でなく周波数の関数ともなる。出力可能な電圧が周波数
によって変わる点が異なるのみで他の作用、効果等は上
記の第1の実施形態と同様である。すなわち、本発明は
電圧形変換器でd−q軸電流制御しているシステムであ
れば適用可能なものである。
【0042】また、電動機が同期電動機の場合にも図1
と同一の回路構成で対応できる。ただし、d−q軸電流
制御回路17が同期電動機の電圧電流方程式を反映した
ものとなる。しかし、d−q軸電流制御回路17をブラ
ックボックスとしてみた場合の動作は永久磁石電動機の
場合と同じであるので、その内容については省略する。
同期電動機では界磁制御が行われる点が異なるが、界磁
一定の範囲の制御に関しては永久磁石電動機の場合と同
様に動作する。同期電動機では、高速域でも定常的には
電機子側からd軸電流を流さなくてよいように、高速域
では界磁が弱められる。しかし、界磁制御に対する磁束
の応答には時間遅れがあるので、回転数上昇時の過渡現
象等を考慮して、やはり電圧の余裕を見なければならな
かった。本発明を同期電動機に適用すれば、この磁束の
応答の時間遅れを電機子側から供給するd軸電流で補
い、制御の安定性を確保することができる。本発明を同
期電動機に適用すると、高速域でも十分に磁束が弱まっ
ていれば速度起電力が小さくなることから、第2の電圧
指令値vq **の値に比べd−q軸電流制御回路17のd
軸側出力vd * がかなり小さな値となり、高速域でも定
常状態ではd軸電流id はゼロに制御されることが永久
磁石電動機の場合との相違である。過渡時に界磁制御に
よる磁束弱めが不足する場合に、第1の実施形態で説明
したのと同様に、負のd軸電流id を流し、一方でq軸
電流iq を制限して、制御の安定性を確保する。これに
より、次回弱め制御開始点を従来より高回転とすること
が可能となる。すなわち、永久磁石電動機の場合と同様
な効果が得られる。
【0043】本発明を誘導機駆動システムへ適用した場
合の実施形態を図3に示す。図3において、60は誘導
電動機である。図1においてid * をゼロあるいは負の
値の範囲とするため用いられていた定数設定器55は省
略されている。すなわち、id * は正の値を取りうる。
62は定トルク領域における磁束の大きさを指示する定
数設定器、61は乗算器で、定数設定器62の出力と回
転検出器11が出力する回転数信号ωr とを乗算した結
果を出力する。63はリミッタで、d軸電圧最大値設定
器52の出力により乗算器61の出力をリミットする。
リミッタ63の出力が第2のq軸電圧指令vq **とし
て、減算器53に与えられる。d−q軸電流制御回路1
7は誘導電動機の電圧電流方程式を反映したものとす
る。
【0044】以上の構成により、低回転では第2の電圧
指令値vq **として、乗算器61の出力が与えられる。
したがって、q軸電圧指令値vq * は回転数ωr に比例
して制御される。これにより、第1の実施形態の場合と
異なり、定トルク領域でもPI制御器54が動作し、磁
束一定となるようなd軸電流指令値id * がd−q軸電
流制御回路17に与えられる。回転数が高くなり、乗算
61の出力がq軸電圧最大値設定器52の出力より大
きくなると、q軸電圧最大値設定器52の出力が第2の
電圧指令値vq **として与えられるようになり、第1の
実施形態と同様に、定常状態においてはインバータ出力
電圧を|v* IMAX|に保つための最低のd軸電流id
よび可能な限りのq軸電流iq に制御し、過渡時に電圧
が不足する場合にはd軸電流id を弱め、一方でq軸電
流iq を制限して、制御の安定性を確保するように自動
的に制御する。これにより永久磁石電動機の場合と同様
な効果が得られる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
交流電動機の制御装置において定常状態では必要最小限
のd軸電流id を流すことで、定出力領域で可能なトル
ク分電流を従来よりも増加させることが可能となる。ま
た、運転状態の変化時には自動的にd軸電流id を急速
に増加し、q軸電流iq を制御可能な範囲に制限して、
安定な制御を実現する。これにより交流電動機のトルク
特性を定常状態での理論値に近付けることが可能とな
る。
【0046】以上により、交流電動機の出力容量アッ
プ、運転周波数範囲拡大、高効率化、変換器の小型化が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の構成図。
【図2】図1の動作を説明するための波形図。
【図3】本発明の他の実施形態の構成図。
【図4】従来例の構成図。
【図5】図4の動作を説明するためのベクトル図。
【図6】図4の動作を説明するためのベクトル図。
【図7】図4におけるd−q軸電流制御回路の構成を示
すブロック図。
【図8】図4の動作を説明するためのベクトル図。
【図9】従来例の特性図。
【符号の説明】
3 インバータ 4 永久磁石電動機(交流電動機) 11 回転検出器 12 電流検出器 13 UVW/d−q座標変換回路 14 電圧検出器 17 d−q軸電流制御回路 19 d−q/UVW座標変換回路 51 電圧ベクトル長最大値設定器 52 q軸電圧最大値設定器 54 PI制御器 55 定数設定器 56 q軸電圧最大値設定器 57 リミッタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H02P 5/408 - 5/412 H02P 7/628 - 7/632 H02P 21/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電圧形PWMインバータから交流電動機に
    流される電流を、交流電動機の磁束方向に基づき、磁束
    方向に平行なd軸と磁束方向に直角なq軸とからなるd
    −q軸座標上の成分id ,iq として検出し、与えられ
    るトルク電流指令に基づいて作成されるq軸電流指令値
    iq * にq軸電流iq が追従するようq軸電圧指令値v
    q * を制御し、前記電圧形PWMインバータの出力可能
    な電圧に基づいて作成されるd軸電流指令値id * にd
    軸電流id が追従するようd軸電圧指令値vd* を制御
    し、前記q軸電圧指令値vq * およびd軸電圧指令値v
    d * に基づいて前記電力変換器の出力電圧を制御する交
    流電動機制御装置において、 前記電圧形PWMインバータの直流部電圧の検出に基づ
    きこの電圧形PWMインバータの出力可能電圧に関連す
    る所定値|v*IMAX|を決定し、 この所定値|v*IMAX|と前記d軸電圧指令値vd * と
    からvq **=(|v*IMAX|2 −vd *21/2 で第2の
    q軸電圧指令値vq **を求め、 この第2のq軸電圧指令値vq **と前記q軸電圧指令値
    vq * との比較に基づいて前記d軸電流指令値id * の
    大きさを制御するようにし、 また、前記電圧形PWMインバータの出力可能な電流に
    関連する所定値|i*IMAX|と前記d軸電流指令値id *
    とに基づく値(|i*IMAX|2 −id *21/2によって
    前記トルク電流指令の大きさを制限して前記q軸電流指
    令値iq * とするようにし、 更に、前記d軸電圧指令値vd * 及び前記q軸電圧指令
    値vq * を前記直流部電圧の検出値で割り算することに
    より、このd軸電圧指令値vd * 及びq軸電圧指令値v
    q * と実際に前記電圧形PWMインバータから出力され
    るd軸電圧vd及びq軸電圧vq との比例関係が保たれ
    るようにしたこと、 を特徴とする交流電動機制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の交流電動機制御装置におい
    て、 前記交流電動機が誘導電動機であり、 低回転時には、検出回転数ωrと、定トルク領域におけ
    る磁束の大きさを指示する定数Φとの乗算値を、前記
    (|v*IMAX|2 −vd *21/2 に代えて前記第2のq
    軸電圧指令値vq **として用い、 また、この乗算値が前記(|v*IMAX|2 −vd *21/2
    より大きくなる高回転時には、この(|v*IMAX|2
    vd *21/2 を前記第2のq軸電圧指令値vq**として
    用いる、 ことを特徴とする交流電動機制御装置。
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