JPH06101025A

JPH06101025A - 磁気記録媒体の製造装置

Info

Publication number: JPH06101025A
Application number: JP24934192A
Authority: JP
Inventors: Osamu Yoshida; 修吉田; Noriyuki Kitaori; 典之北折
Original assignee: Kao Corp
Current assignee: Kao Corp
Priority date: 1992-09-18
Filing date: 1992-09-18
Publication date: 1994-04-12

Abstract

(57)【要約】蒸発する磁性粒子による汚染が問題とならず、かつ、そ
の対処手段によって操作に新たな問題が起きない磁気記
録媒体の製造技術を提供することである。【構成】磁性材料を入れる容器と、この容器内に入れ
られた磁性材料を蒸発させる蒸発手段と、この蒸発手段
により蒸発させられた磁性粒子が堆積する支持体とを具
備してなる磁気記録媒体の製造装置であって、前記容器
の開口部の側部から立設した側壁が設けられ、この側壁
にスリットが構成されてなり、さらに前記側壁を回転さ
せる回転手段が設けられてなる磁気記録媒体の製造装
置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気記録媒体の製造装
置に関するものである。

【０００２】

【発明の背景】磁気テープ等の磁気記録媒体において
は、高密度記録化の要請から、非磁性支持体上に設けら
れる磁性層として、バインダ樹脂を用いた塗布型のもの
ではなく、バインダ樹脂を用いない金属薄膜型のものが
提案されていることは周知の通りである。

【０００３】すなわち、無電解メッキといった湿式メッ
キ手段、真空蒸着、スパッタリングあるいはイオンプレ
ーティングといった乾式メッキ手段により磁性層を構成
した磁気記録媒体が提案されている。そして、この種の
磁気記録媒体は磁性体の充填密度が高いことから、高密
度記録に適したものである。特に、蒸着手段により磁性
膜を構成する手段は、スパッタリングによる場合よりも
成膜速度が速いことから好ましいものと言われている。

【０００４】このような蒸着手段による磁気記録媒体の
製造装置は、図４のように構成されているものが一般的
である。尚、図４中、２１は冷却キャン、２２はポリエ
チレンテレフタレート（ＰＥＴ）フィルムの供給側ロー
ル、２３はＰＥＴフィルムの巻取側ロール、２４は遮蔽
板、２５はルツボ、２６は磁性金属、２７は電子銃、２
８は真空容器である。そして、真空容器２８内を所定の
真空度のものに排気した後、電子銃２７を作動させてル
ツボ２５内の磁性金属２６を蒸発させ、ＰＥＴフィルム
に対して磁性金属２６の粒子を堆積（蒸着）させること
によって磁気記録媒体が製造されている。

【０００５】ところで、このようにして蒸発する磁性粒
子のうちＰＥＴフィルムに蒸着せず、周囲の装置部品に
付着し、汚染がかなりなものになることに気付いた。こ
のことは、磁性材料の無駄がそれだけ多く、コスト高を
招来することになる。かつ、同一の装置で異なる磁性材
料を用いて別タイプの磁気記録媒体を製造するには、そ
の度に汚染（付着）物質のクリーニング作業を完璧に行
うことが要請され、それだけ面倒で、コスト高をもたら
すものとなる。

【０００６】

【発明の開示】前記の問題点に対する研究が鋭意押し進
められて行った結果、ＰＥＴフィルムに堆積する磁性粒
子以外の磁性粒子の飛来に対して、これが真空容器２８
内壁などに付着しないようにすれば良く、その為には図
３に示す如く、ルツボ２５の周囲に筒３０を設け、図３
中、矢印方向に飛散するような蒸発粒子は筒３０に付着
させるようにすれば、真空容器２８内壁には付着せず、
真空容器２８内壁の汚染は起きず、そして筒３０が汚染
されたとしても、これの交換に要するコストは安いこと
から、筒３０を設ける技術思想が提案されるに至った。
尚、図３中、図４と同一の部分には同一の符号を付し、
詳細な説明は省略する。

【０００７】しかしながら、この技術思想にも一抹の問
題点が未解決のまま残されていた。すなわち、筒３０を
ルツボ２５の周囲に配設すると、これが透明材で構成さ
れていたとしても、磁性粒子の堆積により透明度は低下
し、不透明となって蒸発源物質の観察が行えなくなり、
これに対する制御関連動作を行い難くなる。そして、こ
れに対する検討が押し進められて行った結果、筒にスリ
ットを形成し、かつ、この筒を回転させれば、残像現象
によって筒内部の観察を行うことが出来、あたかも筒が
ない場合と同様な操作が可能となることに気付き、本発
明が達成されたのである。

【０００８】すなわち、本発明の目的は、蒸発する磁性
粒子による汚染が問題とならず、かつ、その対処手段に
よって操作に新たな問題が起きない磁気記録媒体の製造
技術を提供することである。この本発明の目的は、磁性
材料を入れる容器と、この容器内に入れられた磁性材料
を蒸発させる蒸発手段と、この蒸発手段により蒸発させ
られた磁性粒子が堆積する支持体とを具備してなる磁気
記録媒体の製造装置であって、前記容器の開口部の側部
から立設した側壁が設けられ、この側壁にスリットが構
成されてなり、さらに前記側壁を回転させる回転手段が
設けられたことを特徴とする磁気記録媒体の製造装置に
よって達成される。

【０００９】尚、この磁気記録媒体の製造装置におい
て、側壁のスリットを覆うように透明材が配設されてな
るものが好ましい。以下、本発明について更に詳しく説
明する。図１は磁気記録媒体の製造装置（蒸着装置）で
あり、１は冷却キャン、２はＰＥＴフィルム等の基板１
１の供給側ロール、３はＰＥＴフィルム１１の巻取側ロ
ール、４は遮蔽板、５はルツボ、６はＣｏ−Ｎｉなどの
磁性金属、７は真空容器、８はルツボ５上端の側部から
立設された筒、８ａは縦方向に幾つか形成されたスリッ
ト、８ｂはスリット８ａを覆う透明材、９は筒外周に形
成された歯に噛合する歯車、１０は歯車９を回転させる
モータである。

【００１０】尚、透明材８ｂは筒８に対して二重筒構造
のように構成されている。例えば、透明材８ｂは遮蔽板
４に固定されていて二重筒構造のようになっており、筒
８のみが回転するように構成できる。上記のように構成
させた装置において、真空容器７内を所定の真空度のも
のに排気した後、電子銃（図示せず）を作動させてルツ
ボ５内の磁性金属６を蒸発させ、ＰＥＴフィルム等の基
板１１に対して磁性金属６を蒸着させることによって磁
気記録媒体が製造される。

【００１１】ところで、この蒸着工程（成膜工程）にお
いて、磁性金属粒子の蒸発流は上方（基板１１）側のみ
でなく、その側方にも拡がっているのであるが、この側
方に拡がった蒸発磁性金属粒子は筒８内壁に付着するの
みであり、真空容器７内壁には付着せず、真空容器７が
汚染に見舞われるといった問題は起きない。尚、筒８を
回転させているから、筒８の内壁自体に蒸発磁性金属粒
子が付着し難いものである。従って、筒８に蒸発磁性金
属粒子が付着するにしても、その程度は一段と少ないも
のである。よって、筒８自体の交換回数は少ない。

【００１２】そして、スリット８ａが形成されている
と、スリット８ａから蒸発磁性金属粒子が多少なりとも
外部に拡散して来る恐れもあるが、スリット８ａ部分を
透明材８ｂで覆っておくことにより、蒸発磁性金属粒子
の拡散を一層なくすことが出来る。しかも、筒８をモー
タ１０の駆動力で回転させていると、スリット８ａによ
ってあたかも筒８が無い場合と同様に、その内部を充分
に観察でき、筒８を設けたことによる問題はない。

【００１３】上記のような装置によって得られた磁気記
録媒体の概略断面図を図２に示す。同図中、１１は非磁
性の基板であり、この基板１１はＰＥＴ等のポリエステ
ル、ポリアミド、ポリイミド、ポリスルフォン、ポリカ
ーボネート、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂、
セルロース系の樹脂、塩化ビニル系の樹脂といった高分
子材料、ガラスやセラミック等の無機系材料、アルミニ
ウム合金などの金属材料が用いられる。

【００１４】基板１１面上には磁性層の密着性を向上さ
せる為のアンダーコート層１２が設けられている。すな
わち、表面の粗さを適度に粗すことにより斜め蒸着法に
より構成される磁性層の密着性を向上させ、さらに磁気
記録媒体表面の表面粗さを適度なものとして走行性を改
善する為、例えばＳｉＯ₂等の粒子を含有させた厚さが
０．０１〜０．５μｍの塗膜を設けることによってアン
ダーコート層１２が構成されている。

【００１５】アンダーコート層１２の上に、上記した蒸
着装置により金属薄膜型の磁性層１３が設けられる。例
えば、１０^-4〜１０^-6Ｔｏｒｒ程度の真空雰囲気下で強
磁性金属材料を抵抗加熱、高周波加熱、電子ビーム加熱
などにより蒸発させ、基板１１のアンダーコート層１２
面上に蒸着させることにより、磁性層１３が０．０４〜
１μｍ厚形成される。尚、より高い保磁力を得る為、基
板に対して強磁性金属材料を斜めに蒸着させる斜め蒸着
法によることが好ましい。

【００１６】磁性層１３を構成する材料としては、例え
ばＦｅ，Ｃｏ，Ｎｉ等の金属の他に、Ｃｏ−Ｎｉ合金、
Ｃｏ−Ｐｔ合金、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｐｔ合金、Ｆｅ−Ｃｏ合
金、Ｆｅ−Ｎｉ合金、Ｆｅ−Ｃｏ−Ｎｉ合金、Ｆｅ−Ｃ
ｏ−Ｂ合金、Ｃｏ−Ｎｉ−Ｆｅ−Ｂ合金、Ｃｏ−Ｃｒ合
金、あるいはこれらにＡｌ等の金属を含有させたもの等
が挙げられる。

【００１７】磁性層１３の形成に際して、蒸着部分に酸
素を供給し、強制酸化させることによって磁性層１３の
表層部分を酸化させ、酸化膜による保護層１４を形成す
る。尚、この酸化膜から構成される保護層１４の厚さは
数十Å程度のものであり、この程度の厚さの酸化膜は自
然酸化で構成される場合もあり、このような時には強制
酸化の手段を講じなくても良い場合がある。

【００１８】１５は酸化膜からなる保護層１４の上に設
けられた潤滑剤層である。すなわち、潤滑剤層１５が、
潤滑剤を含有させた塗料を所定の手段で塗布することに
より、約５〜５０Å、好ましくは約１０〜３０Å程度の
厚さ設けられる。１６は、基板１１の他面に設けられた
カーボンブラック等を含有させたバックコート層であ
る。

【００１９】以下、具体的な実施例を挙げて説明する。

【００２０】

【実施例】

〔実施例１〕図１に示される如くの真空蒸着装置に厚さ
９．３μｍのＰＥＴフィルム１１を装着した。そして、
先ず、真空容器７内を所定の真空度のものに排気した
後、電子銃を作動させてルツボ５内の磁性金属６を蒸発
させ、ＰＥＴフィルム１１に対して磁性金属６を１５０
０Å厚蒸着させた。この蒸着工程中、モータ１０の駆動
力で筒８は回転している。

【００２１】尚、この行程中、スリット８ａから筒８内
部を窺うことが出来、蒸着作業の制御に何等の不都合も
認められなかった。かつ、蒸発粒子によって真空容器７
内壁の部分などが汚染されることもなかった。そして、
酸素ガス導入管より酸素を供給し、蒸着膜の表面層を強
制酸化させ、数十Å厚の酸化膜による表面保護層を形成
した。

【００２２】この後、テープを取り出し、平均粒径２０
ｎｍのカーボンブラック及び塩化ビニル系樹脂とウレタ
ンプレポリマーとからなるバインダ樹脂を分散させてな
るバックコート用の塗料をダイレクトグラビア法により
磁性層とは反対側のＰＥＴフィルム１１に塗布し、乾燥
厚さが０．５μｍのバックコート層を設けた。この後、
フッ素パーフルオロポリエーテル（グレード：ＦＯＭＢ
ＬＩＮＺＤＩＡＣカルボキシル基変性、日本モンテ
ジソン社製）をフッ素不活性液体（フロリナート、ＦＣ
−８４、住友スリーエム社製）に０．１％となるよう希
釈・分散させた塗料をダイ塗工方式により乾燥後の厚さ
が２０Å程度となるように塗布し、７０℃で乾燥させ
た。

【００２３】この後、所定の幅にスリットし、図２に示
す如くの磁気テープを作製した。〔実施例２〕図１に示される真空蒸着装置におけるスリ
ット８ａを覆う透明材８ｂを除去したものを用い、実施
例１と同様に行った。本実施例でも、スリット８ａから
筒８内部を窺うことが出来、蒸着作業の制御に何等の不
都合も認められなかった。

【００２４】かつ、蒸発粒子による真空容器７内壁部分
などの汚染は実質上認められないものであった。

【００２５】

【効果】本発明によれば、低コストで高性能な磁気記録
媒体を効率良く、かつ、磁性材料の無駄が少なく製造で
き、しかもその際における装置汚染の問題がないもので
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明になる磁気記録媒体の製造装置の一実施
例の概略説明図

【図２】本発明になる磁気記録媒体の概略断面図

【図３】従来の磁気記録媒体の製造装置の概略説明図

【図４】先行提案の磁気記録媒体の製造装置の概略説明
図

【符号の説明】

１冷却キャン２供給側ロール３巻取側ロール４遮蔽板５ルツボ６磁性金属７真空容器８筒８ａスリット８ｂ透明材９歯車１０モータ

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】磁性材料を入れる容器と、この容器内に
入れられた磁性材料を蒸発させる蒸発手段と、この蒸発
手段により蒸発させられた磁性粒子が堆積する支持体と
を具備してなる磁気記録媒体の製造装置であって、前記
容器の開口部の側部から立設した側壁が設けられ、この
側壁にスリットが構成されてなり、さらに前記側壁を回
転させる回転手段が設けられたことを特徴とする磁気記
録媒体の製造装置。
【請求項２】側壁のスリットを覆うように透明材が配
設されてなることを特徴とする請求項１の磁気記録媒体
の製造装置。