JPH0598694A - 柱梁の接合部構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鉄筋コンクリート柱にＰＣ梁を接合一体化す
るための柱梁接合部における組立作業を容易に行なわし
めるとともに、梁下端主筋端部の配設位置や倒れ等の精
度が劣る場合でもこれに巻装すべきスパイラル筋をその
誤差に応じて容易に装着可能にする。 【構成】 鉄筋コンクリート柱１１に載置された各ＰＣ
梁１２、１３の端面から柱梁接合部２０に突出し、柱梁
接合部２０の中央を超えることなく上方に曲折延長する
梁下端主筋端部１４、１５と、各々のＰＣ梁１２、１３
につき少くとも一本の梁下端主筋端部１４、１５を同時
に外側から巻装する高強度円形スパイラル鉄筋１６、１
７とによって構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、柱梁の接合部構造に関
し、特に鉄筋コンクリート柱に、ＰＣ梁（プレキャスト
鉄筋コンクリート梁）を接合するための柱梁の接合部構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年柱梁構造を構築する際に、工事の能
率化等を図るべく各種ＰＣ梁が用いらている。かかるＰ
Ｃ梁を用いる場合、これをＰＣ柱や現場打ちコンクリー
ト柱等の鉄筋コンクリート柱と接合一体化する必要があ
り、ＰＣ梁を鉄筋コンクリート柱に接合するには、ＰＣ
梁の端面から突出させた梁下端主筋端部を、鉄筋コンク
リート柱の上方のいわゆる柱梁接合部に所定の定着性能
を有するように配置し、ここに接合コンクリートを打設
してＰＣ梁と鉄筋コンクリート柱とを一体化する。そし
て、前記柱梁接合部では、梁主筋や鉄筋コンクリート柱
の柱主筋等により鉄筋が錯綜してその配筋や加工が困難
になり、したがって特に径の大きい鉄筋を使用する場合
には、その配筋や施工を効率良く行なうため柱梁接合部
の構造について種々の提案がなされている。そして、か
かる柱梁の接合部構造として、例えば図３及び図４に示
すように、対向するＰＣ梁３０の各端面から突出する梁
下端主筋端部３１を互いに接触しないように柱梁接合部
３２の中央を超えることなくその手前で上方に曲折延長
し、かつ曲折した梁下端主筋端部３１に鉄筋やワイヤー
ロープよりなる閉鎖型ループ筋３３を嵌着したりあるい
は角型スパイラル筋３４によってこれらを囲繞すること
によって、梁下端主筋端部３１が柱梁接合部３２の中央
を超えて定着されないことにより不足する定着性能を補
うようにしたものを挙げることができる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の柱梁の接合部構造では、スペースが狭く鉄筋が錯綜
する柱梁接合部３２においてループ筋３３を嵌着したり
角型スパイラル筋３４を装着する作業が困難であるとと
もに、角型スパイラル筋はその形状が角部によって決ま
ってしまうため、囲繞すべき梁下端主筋端部３１の配設
位置や倒れ等の精度が厳しく要求され、これらの管理が
悪いと角型スパイラル筋３４の設置がさらに困難になる
とういう問題があった。

【０００４】そこで、本発明は上記問題点を解消するべ
くなされたもので、柱梁接合部における組立作業を容易
に行なうことができ、かつ梁下端主筋端部の配設位置や
倒れ等の精度が劣る場合でもその誤差に応じてスパイラ
ル筋を配置することのできる柱梁の接合部構造を提供せ
んする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を鑑
みてなされたものであり、その要旨は、ＰＣ柱、現場打
ちコンクリート柱等の鉄筋コンクリート柱にＰＣ梁を接
合するための柱梁の接合部構造であって、接合コンクリ
ートを打設する鉄筋コンクリート柱の上方の柱梁接合部
において、鉄筋コンクリート柱に端部を載置した（鉄筋
コンクリート柱の周囲に設けた支持部材上に載置してＰ
Ｃ梁の端面を柱梁接合部に臨ませる場合も含む）各ＰＣ
梁の各端面から突出するとともに柱梁接合部の中央を超
えることなく上方に曲折延長する梁下端主筋端部と、こ
の梁下端主筋端部のうち各々のＰＣ梁につき少くとも一
本の梁下端主筋端部を上方延長部の外側から同時に巻装
する高強度の円形スパイラル鉄筋とによって構成される
柱梁の接合部構造にある。

【０００６】ここで、前記高強度円形スパイラル鉄筋と
は、ＪＩＳ Ｇ ３１１２「鉄筋コンクリート用鋼棒」の
約２倍以上の降伏点強度を有する鋼棒をスパイラル状に
したものをいい、好ましくはＪＩＳ Ｇ ３１０９（ＰＣ
鋼棒）中の異径棒Ｄ種１号の規定に基づき製造された、
ＰＣ鋼棒ウルボンを使用する。

【０００７】

【作用】本発明の柱梁の接合部構造では、各ＰＣ梁の端
面から突出延長する梁下端主筋端部は柱梁接合部の中央
を超えることなく柱梁接合部に定着するので、不足する
定着性能は梁下端主筋端部の上方延長部に高強度円形ス
パイラル鉄筋を巻装して補う。そして、かかる高強度円
形スパイラル鉄筋によれば、密着積層状態にあるコイル
状の円形スパイラル鉄筋を巻装すべき梁下端主筋端部の
上部に設置し、その密着積層状態を下方に開放すること
により梁下端主筋端部の上方延長部の略全長に亘って円
形スパイラル鉄筋が巻装される。そして、梁下端主筋端
部の配設位置や倒れに多少の誤差があっても、かかる円
形スパイラル鉄筋は角部によってその平面形状がされな
いため、円周方向に緩めると円の径が大きくなり締める
と小さくなるその可変性により梁下端主筋端部の誤差を
吸収することができる。

【０００８】

【実施例】次に、本発明の一実施例を添付図面を基によ
り詳細に説明する。

【０００９】ここで、図１は本実施例の柱梁の接合部構
造１０を示す平面図、図２は側面図である。すなわち、
鉄筋コンクリート柱１１の上端には、スラブ厚分だけ上
部が削除されたいわゆるハーフＰＣ梁としてのプレキャ
スト鉄筋コンクリート梁（以下ＰＣ梁とする）１２、１
３の各端部を、図１において前後方向及び左右方向に、
図２に示すようにＰＣ梁が平面で見て十字に交差するよ
う載置する。そして、ＰＣ梁１２、１３によって囲まれ
た鉄筋コンクリート柱１１上方の柱梁接合部２０には、
ＰＣ梁１２、１３の各端面から梁下端主筋端部１４、１
５が突出延長するとともにかかる梁下端主筋端部１４、
１５を巻装する高強度円形スパイラル鉄筋１６、１７が
装着されている。さらに、ＰＣ梁１２、１３の上方には
梁上端主筋１８を配設し、スラブコンクリート２３とと
もに柱梁接合部２０に接合コンクリート１９を打設して
鉄筋コンクリート柱１１とこれから延長するＰＣ梁１
２、１３とが一体となった柱梁構造を形成するものであ
る。

【００１０】そして、前記梁下端主筋端部１４、１５
は、前記前後方向のＰＣ梁１２及び左右方向のＰＣ梁１
３の各端面から４本づつ延長し、対向する前後方向のＰ
Ｃ梁１２からの梁下端主筋端部１４あるいは左右方向の
ＰＣ梁１３からの梁下端主筋端部１５同士が互いに接
触、衝突しないように柱梁接合部２０の中央を超えるこ
となく径ｒで上方に曲折し、互いに平行に延長してい
る。また、前後方向のＰＣ梁１２は、鉄筋コンクリート
柱１１上端面の前後の端部に設けた段差部２１上に載置
されて前後方向のＰＣ梁１２と左右方向のＰＣ梁１３と
の梁底高さが異なるとともに、柱梁接合部２０おいて交
差する梁下端主筋端部１４、１５の高さがｈだけ異な
り、これによって上方に位置する梁下端主筋端部１５の
うち内側の２本は、下方に位置する梁下端主筋端部１４
の曲折部の影響を受けることなくこれの上方延長部に近
接配置されている。

【００１１】なお、本実施例では、段差部２１によって
前後方向のＰＣ梁１２と左右方向のＰＣ梁１３との梁底
高さを異ならしめたが、鉄筋コンクリート柱１１の支持
台を別途組立て、これに載置することによって梁底高さ
を異ならせることもできる。

【００１２】一方、高強度円形スパイラル鉄筋１６、１
７は、梁下端主筋端部１４、１５及び接合コンクリート
１９の拘束力を高めるために所定の梁下端主筋端部１
４、１５を囲んで二重に巻装されている。すなわち、内
側の高強度円形スパイラル鉄筋１６は、各端面から突出
する各４本の梁下端主筋端部１４、１５のうち内側に位
置する２本の梁下端主筋端部１４、１５である合計８本
の梁下端主筋端部１４、１５の上方延長部を同時に巻装
し、外側の高強度円形スパイラル鉄筋１７は、各端面か
ら突出する各４本の梁下端主筋端部１４、１５のうち外
側に位置する２本の梁下端主筋端部１４、１５を合計８
本同時に巻装する。したがって、強度の大きい高強度円
形スパイラル鉄筋１６、１７を使用することにより、ま
た各ＰＣ梁１２、１３からの梁下端主筋端部１４、１５
を同時に二重に拘束することにより梁下端主筋端部１
４、１５による定着性能を十分に補うことができる。

【００１３】そして、かかる構成を有する柱梁の接合部
構造１０は容易に組立てることができる。すなわち、ま
ず梁下端主筋端部１４、１５が鉄筋コンクリート柱１１
の柱主筋２２をかわせるよう予め梁下端主筋を埋設した
ＰＣ梁１２、１３を、左右方向のＰＣ梁１３、前後方向
のＰＣ梁１２の順序で鉄筋コンクリート柱１１上に載置
する。次に、密着積層した状態にあるコイル状の高強度
円形スパイラル鉄筋１６、１７を、番線等により巻装す
べき所定の梁下端主筋端部１４、１５を囲んでこれの上
端部に取付ける。そして、密着状態にある高強度円形ス
パイラル鉄筋１６、１７を下方に開放すれば、その下部
が弾性によって下方に移動し、梁下端主筋端部１４、１
５の上方延長部の略全長に亘ってスパイラル状にこれを
巻装するようになる。この際に、この高強度円形スパイ
ラル鉄筋１６、１７は円形スパイラル形状を有するの
で、これを部分的に円周方向にひねることによって緩め
れば円が大きく、締めると円が小さくなる円形スパイラ
ルの可変性により、梁下端主筋端部１４、１５の配設位
置や倒れに誤差があってもこれを吸収して、容易に梁下
端主筋端部１４、１５に装着することができる。

【００１４】

【発明の効果】以上のように、本発明の柱梁の接合部構
造は、各ＰＣ梁の端面から突出して柱梁接合部の中央を
超えることなく上方に曲折延長する梁下端主筋端部と、
これに巻装する高強度円形スパイラル鉄筋とによって構
成されるので、組立作業を容易に行なうことができると
ともに、梁下端主筋端部の配設位置や倒れ等の精度が劣
る場合でもその誤差を吸収してその組立をさらに容易に
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の柱梁の接合部構造の一実施例を示す側
面図である。

【図２】本発明の柱梁の接合部構造の一実施例を示す平
面図である。

【図３】従来の柱梁の接合部構造の一例を示す側面図で
ある。

【図４】従来の柱梁の接合部構造の一例を示す平面図で
ある。

【符号の説明】

１０ 接合部構造 １１ 鉄筋コンクリート柱 １２，１３ プレキャスト鉄筋コンクリート梁（ＰＣ
梁） １４，１５ 梁下端主筋端部 １６，１７ 高強度円形スパイラル鉄筋 １９ 接合コンクリート １８ 梁上端主筋 ２０ 柱梁接合部 ２１ 支持台 ２２ 柱主筋

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋コンクリート柱にＰＣ梁を接合する
   ための柱梁の接合部構造であって、鉄筋コンクリート柱
   に載置された各ＰＣ梁の端面から柱梁接合部に突出し、
   該柱梁接合部の中央を超えることなく上方に曲折延長す
   る梁下端主筋端部と、各々のＰＣ梁につき少くとも一本
   の前記梁下端主筋端部を同時に外側から巻装する高強度
   円形スパイラル鉄筋とによって構成されることを特徴と
   する柱梁の接合部構造。