JPH0598671A - 油圧作業機械における作業装置の振動抑制制御装置 - Google Patents

油圧作業機械における作業装置の振動抑制制御装置

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JPH0598671A
JPH0598671A JP6304092A JP6304092A JPH0598671A JP H0598671 A JPH0598671 A JP H0598671A JP 6304092 A JP6304092 A JP 6304092A JP 6304092 A JP6304092 A JP 6304092A JP H0598671 A JPH0598671 A JP H0598671A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】油圧作業機械における作業装置の振動抑制制御
装置において、作業装置の停止、起動等に際して振動を
抑制すると共に、起動時等の速度変化に際して大きな加
速度が得られるようにする。 【構成】制御ユニット7は、圧力変換器8,9から出力
される圧力信号からブームシリンダ2の推力Fを、変位
計10から出力される変位信号からブームシリンダ2の
速度Vをそれぞれ算出し、これらを所定周波数未満の振
動成分を遮断するハイパスフィルタに通した後に、それ
ぞれ所定のゲインをかけて流量指令値Δqを求め、制御
信号を第2の流量制御弁11に出力する。流量制御弁1
1は流量指令値に相当する流量をアクチュエータに補助
的に給排し、アクチュエータにダンパー作用を与えて振
動を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は油圧ショベル、クレーン
等の油圧作業機械において、ブーム、アーム等の作業装
置の停止時および起動時における振動を抑制する振動抑
制制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】油圧作業機械、例えば油圧ショベルにお
いては、図14に示すように、操作レバー3の操作によ
る流量指令をパイロット圧信号として流量制御弁4に入
力し、この流量制御弁4の作動により、油圧ポンプ1か
らブームシリンダ2のヘッド側またはロッド側への供給
される圧油の流量を制御して、ブームの動作速度を制御
している。
【0003】このような油圧作業機械においては、操作
レバー3を中立に戻してブームを急停止させるとき、パ
イロット圧信号が停止を指示して流量制御弁が中立に戻
った後も、ブームは慣性により急には停止せず、流量制
御弁4以降の油圧回路で圧油がバネの役目をして、振動
が発生する。この振動は車体に伝わり、車体のガタ等の
影響により車体の揺動を引き起こし、結果的に車体−フ
ロント全体の連成振動を生じてしまう。また、この振動
は、慣性が大きいために減衰しにくく、いつまでも振動
が収まらない。その結果、例えばバケットとの先端位置
決め等、微妙な操作が必要な場合でも、いつまでも先端
が振動していて、位置決めができないという問題が生じ
る。
【0004】このような問題に対し、特開昭62−34
788号公報においては、柔構造作業機械において、ア
ームの動作時の加速度を加速度検出器で検出し、検出し
た加速度信号をフィルタ手段に通して1次モードの加速
度信号のみを通過させ、この1次モードの加速度信号を
除去するよう流量制御弁を駆動制御して、アームの振動
を抑制する振動抑制制御装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】特開昭62−3478
8号公報に記載の従来技術は、加速度が起振力の源であ
ることから起振力そのものを制御しており、振動の抑制
には効果がある。しかしながら、この技術を比較的速い
動作速度が要求される作業装置を持つ油圧作業機械、例
えば油圧ショベルに適用した場合には、振動は効果的に
抑制されるものの、起振力のみを制御することから起動
時等、アクチュエータを大きな加速度で操作しようとし
たときにはその加速度が抑制され、大きな加速度が得ら
れず、したがって、所望速度を得るのに時間がかかり、
操作性が悪化するという問題が生じる。
【0006】本発明の目的は、油圧アクチュエータの加
速度および速度に応じて油圧アクチュエータに補助的に
圧油を給排することにより、作業装置の停止、起動等に
際して振動を抑制すると共に、操作性を悪化させない油
圧作業機械における作業装置の振動抑制制御装置を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明による油圧作業機械における作業装置の振動
抑制制御装置は、(a)前記油圧アクチュエータの推力
を得るための第1の状態量を検出する第1の検出手段
と;(b)前記アクチュエータの速度を得るための第2
の状態量を検出する第2の検出手段と;(c)前記第1
の検出手段で検出した第1の状態量とこの第1の状態量
から得たアクチュエータ推力のいずれか一方にフィルタ
ー処理を施し、所定周波数未満の振動成分を除去する第
1のフィルタ手段と;(d)前記第2の検出手段で検出
した第2の状態量とこの第2の状態量から得たアクチュ
エータ速度のいずれか一方にフィルター処理を施し、所
定周波数未満の振動成分を除去する第2のフィルタ手段
と;(e)前記フィルター処理の後、得られたアクチュ
エータ推力及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定の
ゲインをかけて流量指令値を求める演算手段と;(f)
前記流量指令値に応じて前記アクチュエータに給排され
る圧油の流量を補助的に制御する流量制御手段と;を備
えるものである。
【0008】好ましくは、第1の検出手段は、アクチュ
エータの圧力を検出する圧力センサと、圧力センサで検
出された圧力に基づきアクチュエータの推力を演算する
手段とを有する。
【0009】また、好ましくは、第2の検出手段は、ア
クチュエータの変位を検出する変位計と、変位計で検出
されたアクチュエータの変位に基づきアクチュエータの
速度を演算する手段とを有する。
【0010】更に、好ましくは、第2の検出手段は、操
作手段からの操作信号を検出する検出器と、アクチュエ
ータの推力を検出する検出器と、これら検出器で検出さ
れた操作信号とアクチュエータ推力とに基づきアクチュ
エータ速度を演算する手段とを有する。
【0011】第1及び第2のフィルター手段は、第1及
び第2の状態量からアクチュエータ推力及びアクチュエ
ータ速度を得た後に、その値にそれぞれフィルター処理
を施してもよいし、第1及び第2の状態量からアクチュ
エータ推力及びアクチュエータ速度を得る前に、その第
1及び第2の状態量にそれぞれフィルター処理を施して
もよい。
【0012】また、好ましくは、演算手段は、フィルタ
ー処理の後、得られたアクチュエータ推力及びアクチュ
エータ速度のそれぞれに所定のゲインを乗じた値を加算
することにより流量指令値を求める。
【0013】更に、好ましくは、第1および第2のフィ
ルタ手段は、それぞれ、所定周波数以上の振動成分を通
過させるハイパスフィルタである。
【0014】第1の検出手段でアクチュエータの推力を
得るための状態量を検出する代わりに、油圧アクチュエ
ータの加速度を得るための状態量を検出する検出手段を
設け、フィルター処理の後、得られたアクチュエータ加
速度及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定のゲイン
をかけて流量指令値を求めてもよい。
【0015】
【作用】フィルター処理の後、得られたアクチュエータ
推力及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定のゲイン
をかけて流量指令値を求め、この流量指令値に応じてア
クチュエータに給排される圧油の流量を補助的に制御す
ることにより、油圧アクチュエータが慣性により目標位
置を越えてさらに移動しようとするとき、その推力と速
度の大きさに対応したダンパー作用が油圧アクチュエー
タに与えられて振動が抑制される。また、推力だけで流
量指令値を決めて振動を抑制する場合には、従来技術と
同様にアクチュエータの加速度を大きくできないもの
が、推力と速度の両方を用いて流量指令値を決めている
ので、加速度が抑制される程度が小さくなり、これによ
り迅速なアクチュエータの操作が可能となり、操作性が
向上する。
【0016】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図6によ
り、油圧作業機械として油圧ショベルを例にとった場合
につき説明する。図1において、本実施例に係わる油圧
駆動回路は、油圧ポンプ1と、この油圧ポンプ1から吐
出される圧油によって駆動され、作業装置、例えば油圧
ショベルのブーム2Aを駆動する油圧アクチュエータす
なわちブームシリンダ2と、油圧ポンプ1と油圧アクチ
ュエータ2の間に接続され、操作レバー3の操作による
パイロット圧信号によって制御されて、油圧アクチュエ
ータ2に供給される圧油の流量を制御する第1の流量制
御弁4と、ポンプ1と第1の流量制御弁4の間の圧力が
設定値以上になったときに開くリリーフ弁5とを備えて
いる。
【0017】本実施例の振動抑制制御装置は以上の油圧
駆動回路に備えられるもので、制御ユニット7と、ブー
ムシリンダ2のヘッド側圧力およびロッド側圧力をそれ
ぞれ検出する圧力変換器8,9と、ブームシリンダ2の
変位すなわちピストンの位置を検出する変位計10と、
電磁式の第2の流量制御弁11とを備え、制御ユニット
7は圧力変換器8,9および変位計10からの検出信号
を入力して振動抑制のための流量指令値を演算し、対応
する制御信号を第2の流量制御弁11に出力する。第2
の流量制御弁11は、第1の流量制御弁と同様に油圧ポ
ンプ1とブームシリンダ2の間に接続され、制御ユニッ
ト7からの制御信号により駆動され、ブームシリンダ2
に給排される圧油の流量を補助的に制御する。
【0018】制御ユニット7はマイクロコンピュータで
構成され、図2に示すように、圧力変換器8,9から出
力される圧力信号と変位計10から出力される変位信号
とをデジタル信号に変換するA/Dコンバータ7aと、
中央演算装置(CPU)7bと、制御手順のプログラム
を格納するリードオンリーメモリ(ROM)7cと、演
算途中の数値を一時的に記憶するランデムアクセスメモ
リ(RAM)7dと、出力用のI/Oインターフェイス
7eと、上記の流量制御弁11に接続される増幅器7
f,7gとを備えている。
【0019】制御ユニット7は、圧力変換器8,9から
出力される圧力信号からブームシリンダ2の推力を、変
位計10から出力される変位信号からブームシリンダ2
の速度をそれぞれ算出し、これらを所定周波数未満の振
動成分を遮断するハイパスフィルタに通した後に、それ
ぞれ所定のゲインをかけて流量指令値を求め、対応する
制御信号を第2の流量制御弁11に出力する。
【0020】以下、図3に示すROM7cに格納された
制御手順プログラムのフローチャートにしたがい、本実
施例の動作を詳細に説明する。まず、手順100におい
て、圧力変換器8,9の出力および変位計10の出力を
A/Dコンバータを介して入力し、ブームシリンダ2の
ヘッド側圧力P1 およびロッド側圧力P2 とブームシリ
ンダ2の変位XをRAM7dに記憶する。
【0021】次に手順110において、ブームシリンダ
2のヘッド側圧力P1 およびロッド側圧力P2 にブーム
シリンダ2のヘッド側受圧面積A1 およびロッド側受圧
面積A2 をかけて、その差を求めることにより、ブーム
シリンダ2の推力Fを算出する。
【0022】次に手順120において、現在のブームシ
リンダ2の変位Xnと1サンプル時間前のブームシリン
ダ2の変位Xn-1 との差をサンプル時間Δtで除すこと
によって、ブームシリンダ2の速度Vを算出する。
【0023】次に手順130において、ブームシリンダ
2の推力Fと速度Vをそれぞれハイパスフィルタに通
し、ブームシリンダ2の推力Fの所定周波数以上の振動
成分(以下、高周波成分という)Fh と速度Vの所定周
波数以上の振動成分(以下、高周波成分という)Vh
算出する。すなわち、制御プログラムに予め組み込まれ
たハイパスフィルタの演算式Fh =fHPF (F)および
h =fHPF (V)を用いて処理して高周波成分Fh
h を求める。
【0024】図4にハイパスフィルタによる推力Fと速
度Vの処理概念を示す。ブームシリンダ2Aの保持圧が
例えば100Kg/cm2 にある状態で操作レバー3の
入力u(ストローク)を図4(a)のように変化させる
と、ブームシリンダ2Aの速度Vは図4(b)のように
変化し、推力Fは図4(d)のように変化する。すなわ
ち、ブームシリンダ2Aの起動時と停止時に、ブーム2
Aの自重およびこれが支持する重量の慣性と流量制御弁
4以降の油圧回路における圧油のバネ作用とにより、推
力Fは図4(d)に示すように変化し、これに伴って速
度Vも図4(b)に示すように変化する。これをハイパ
スフィルタにかけると、所定周波数未満の振動成分が遮
断され、図4(c)および(e)に示すように起動およ
び停止に伴う振動成分Vh およびFh のみが求められ
る。なお、推力Fの振動と速度Vの振動は90°の移相
のずれがある。
【0025】ここで、ハイパスフィルタ後の推力の高周
波成分Fhは推力Fから保持圧の影響を除去した値に一
致し、ブームシリンダ2の加速度と1対1に対応する。
すなわち、本実施例では、起振力の源である加速度を直
接検出する代わりに、推力Fをハイパスフィルタに通
し、所定周波数以上の振動成分Fhを求めることにより
加速度を検出している。また、ハイパスフィルタの所定
周波数は、起振力としての影響を考慮して制御対象であ
る作業装置の固有振動数以下の周波数に設定することが
好ましい。本実施例では、制御対象である作業装置には
ブーム2Aとそれが支持する重量も含まれることから、
それら全体の固有振動数以下の周波数であり、具体的に
は油圧ショベルのサイズにもよるが概ね1〜3Hzの範
囲内の値である。
【0026】次に、手順140において、ブームシリン
ダ2の推力Fの高周波成分Fhと速度Vの高周波成分V
h にそれぞれ所定のゲインKf ,Kv をかけて、両者を
加算することにより流量指令値Δqを算出し、対応する
制御信号を第2の流量制御弁11に出力し、初めに戻
る。
【0027】次に、本実施例の作用効果を図5および図
6により説明する。図5は、従来の振動抑制制御装置を
備えない油圧駆動回路に係わるブームを急停止させると
きの操作レバー3の入力u(パイロット圧)、ブームシ
リンダ2の変位X、ブームシリンダ2の速度Vおよびブ
ームシリンダ2の推力Fの時間的変化を示し、参考とし
て制御入力Δqを合わせて示している。まず、一定速度
でブーム下げの動作を行っている状態からブーム2Aを
急停止させるべく操作レバー3を中立に戻すと、図5
(a)に示すように入力uは0になり、流量制御弁4も
中立に戻る。これに伴って、それまで一定の速度Vおよ
び推力Fで下げ方向に動作中であったブームシリンダ2
が停止しようとするが、慣性によりブーム2Aは急には
停止せず、図5(c)に示すように目標位置を越えさら
に下げ続け、これに対応してブームシリンダ2の速度V
および推力Fも図5(d)および(e)に示すように変
化する。そしてその後、流量制御弁4以降の油圧回路で
圧油がバネの役目をしてブームシリンダ2が上方に押し
戻され、変位Xは増加を開始すると共に、速度Vは正の
値に転じかつ推力Fは減少を開始する。ブームシリンダ
2が所定位置まで押し戻されると、同様に圧油のバネ作
用で今度は逆ブームシリンダ2が下方に押し戻され、変
位Xは減少を開始すると共に、速度Vは負の値に転じか
つ推力Fは増加を開始する。以上のことが繰り返され、
ブーム2Aを含むフロント系に振動が発生する。この振
動が車体に加わり、車体のガタ等の影響により車体の揺
動を引き起こし、結果的に車体−フロント全体の連成振
動を生じてしまう。
【0028】これに対して、本実施例では、ブームシリ
ンダ2の速度Vおよび推力Fをハイパスフィルタに通す
ことにより、図6(d)に斜線で示すような所定周波数
以上の速度Vの振動成分Vh と、図6(e)に斜線で示
すような所定周波数以上の推力Fの振動成分Fh を求
め、これらにそれぞれ所定のゲインKf ,Kv をかけ
て、両者を加算することにより、図6(b)に示すよう
な流量指令値Δqを算出し、対応する制御信号を第2の
流量制御弁11に出力する。
【0029】流量制御弁11はこの信号を受けて所定の
開度に駆動され、ブームシリンダ2のロッド側に油圧ポ
ンプ1から流量指令値Δqに対応する流量を供給しかつ
ヘッド側の圧油をタンク12に排出する。これにより、
ブームシリンダ2にダンパー作用が与えられ、圧油の圧
縮性による振動の発生が抑制されてブームシリンダ2は
停止する。
【0030】したがって、本実施例によれば、ブームシ
リンダ2の起動時、停止時等、ブームシリンダ2の速度
変化(加速度)に起因するブーム2Aの振動が抑制さ
れ、例えばバケットとの先端位置決め等、微妙な操作が
必要な場合には、確実な位置決めができ、操作性が著し
く向上する。
【0031】また、本実施例によれば、振動抑制のため
の流量指令値Δqの決定に推力Fの高周波成分Fh だけ
でなく、速度Vの高周波成分Vhをも用いているので、
以下の効果が得られる。
【0032】振動を抑制する場合、その目的のみに着目
するならば起振力の源である推力の高周波成分(加速
度)のみから流量指令値Δqを決めれば十分である。し
かしながら、例えばブームシリンダ2の起動時には、推
力の高周波成分のみから流量指令値Δqを決めると、加
速度が直接制御されることから振動が抑制されると同時
に加速度そのものも抑制されてしまうことになる。した
がって、この場合は、加速度を大きくできず、所望速度
に達するまでの時間が長くなり、操作性が悪化する。こ
れに対し、本実施例では、推力の高周波成分のみでな
く、振動の結果である速度Vの高周波成分Vh をも用い
て流量指令値Δqを決めているので、加速度が抑制され
る程度が小さくなり、起動時に大きな加速度を得ること
ができる。
【0033】ここで、逆に、速度Vの高周波成分Vh
みから流量指令値Δqを求めた場合には、速度Vは振動
の結果であることから振動を完全に抑制することは無理
である。したがって、所望の加速度を得ながら振動を効
果的に抑制するためには推力の高周波成分Fh と速度の
高周波成分Vhの両方を用いることが必要である。この
速度の高周波成分Vh と推力の高周波成分Fh の振動抑
制への影響の度合はゲインKv ,Kf により決定され、
ゲインKv ,Kf は振動抑制と操作性改善との兼ね合い
により決定される。
【0034】以上のように本実施例によれば、応答性を
犠牲にすることなく作業装置の振動を効果的に抑制でき
る。また、フィードバック信号にフィルター処理を施す
ことにより、定常特性に影響を与えない制御系の実現が
可能となる。
【0035】本発明の第2の実施例を図7〜図9により
説明する。図7において、本実施例の振動抑制制御装置
は図1に示された制御装置における圧力変換器8,9の
代わりに加速度計12を備え、この加速度計12でブー
ム2Aの加速度αを検出し、その信号を制御ユニット7
Aに入力し、制御演算に使用する。他の部分は図1の制
御装置と同様である。
【0036】図8に図7の制御装置における制御ユニッ
ト7Aの構成を示す。図8において、制御ユニット7A
ではA/Dコンバータ7aに加速度計12からの加速度
信号αと変位計10からの変位信号Xが入力される。他
の部分は図2の制御ユニットと同様である。
【0037】図9に図8のROM7cに記憶されている
制御手順プログラムのフローチャートを示す。以下、図
9のフローチャートに従い本実施例の制御手順を説明す
る。
【0038】まず手順100AにおいてA/Dコンバー
タ7aを介して加速度計12により検出されたブーム2
Aの加速度αと変位計10により検出されたブームシリ
ンダ2の変位X(=Xn )を読み込む。
【0039】次に手順120において手順100Aで読
み込んだ変位X(Xn )と前回読み込んだ変位Xn-1
らシリンダ速度Vを算出する。その方法は先に示された
図3の制御手順120と同一である。
【0040】次に手順130Aにおいて加速度αとシリ
ンダ速度Vをハイパスフィルタを通してそれぞれ高周波
成分αh 、Vh を算出する。
【0041】ここで、加速度αに対してハイパスフィル
タを通して高周波成分αh のみとするのは重加速度によ
る定常値を除きブームの振動による加速度のみを取り出
すためである。
【0042】シリンダ速度Vに対してハイパスフィルタ
を通し高周波成分Vh のみとするのは先の図3の制御手
段130と同様にシリンダ速度の振動成分のみを取り出
すためである。
【0043】手順130Aにおけるハイパスフィルタの
演算式は先の手順130と同様のものである。また、ハ
イパスフィルタにより遮断される振動数も手順130と
同様に制御対象である作業装置の固有振動数以下の周波
数に設定することが望ましい。
【0044】次に手順140Aにおいて流量指令値Δq
の演算を行う。流量指令値Δqの演算は手順130Aで
求めたシリンダ速度Vの高周波成分Vh 、及び加速度α
の高周波成分αh にそれぞれ所定のゲインKv、Ka
乗じ両者を加算することにより求める。そして、流量指
令値Δqに対応する制御信号を第2の流量制御弁11に
出力する。
【0045】手順140Aを終了すると手順100Aへ
戻り、手順100A〜140Aを繰り返し行う。
【0046】ここで第1の実施例のシリンダ推力Fの代
わりにブームの加速度αを使用するのは推力Fと加速度
αが同じ次数のパラメータであり両者が比例関係にある
からである。その結果、第2の実施例においても第1の
実施例と同様の効果が得られる。
【0047】本発明の第3の実施例を図10〜図13に
より説明する。図10において、本実施例の振動抑制制
御装置は図1に示された制御装置における変位計10の
代わりに、操作レバー3からの操作信号であるパイロッ
ト圧力を検出する圧力変換器15,16を備え、この圧
力変換器15,16で検出したパイロット圧信号を制御
ユニット7Bに入力し、制御演算に使用する。他の部分
は図1の実施例と同様である。
【0048】図11に図10の制御装置における制御ユ
ニット7Bの構成を示す。図11において、制御ユニッ
ト7BではA/Dコンバータ7aに圧力変換器8,9及
び15,16から出力される圧力信号が入力され、増幅
器7fからは制御信号が第2の流量制御弁11に出力さ
れる。他の部分は図2の制御ユニットと同様である。
【0049】図12に図11のROM7cに記憶されて
いる制御手順プログラムのフローチャートを示す。以
下、図12のフローチャートに従い本実施例の制御手順
を説明する。
【0050】まず手順100Bにおいて、圧力変換器
8,9の出力及び圧力変換器15,16の出力をA/D
コンバータ7aを介して入力し、ブームシリンダ2のヘ
ッド側圧力P1 およびロッド側圧力P2 と操作レバー3
からのパイロット圧力PP1,PP2をRAM7dに記憶す
る。
【0051】次に手順110Bにおいて、ブームシリン
ダ2のヘッド側圧力P1 およびロッド側圧力P2 と操作
レバー3からのパイロット圧力PP1,PP2の検出値を定
常成分を除去するためにそれぞれハイパスフィルタに通
し、所定周波数以上の振動成分(以下、高周波成分とい
う)P1h,P2h,PP1h ,PP2h を算出する。すなわ
ち、制御プログラムに予め組み込まれたハイパスフィル
タの演算式Pih=fHP F (Pi )およびPPih =f
HPF (PPi)を用いてフィルター処理し(i=1,
2)、高周波成分P1h,P2h,PP1h ,PP2h を求め
る。
【0052】次に手順120Bにおいて、ブームシリン
ダ2のヘッド側圧力P1hおよびロッド側圧力P2hにブー
ムシリンダ2のヘッド側受圧面積A1 およびロッド側受
圧面積A2 をかけその差を求めることにより、ブームシ
リンダ2の推力Fhを算出する。
【0053】次に手順130Bにおいて、パイロット圧
力PP1h とパイロット圧力PP2h との差により操作信号
Phを求める。
【0054】次に手順140Bにおいて、操作信号PPh
とシリンダ推力Fh とによりシリンダ速度Vh を求め
る。図13に手順140Bの詳細を示す。このアルゴリ
ズムは現代制御理論のオブザーバを適用したものであ
る。
【0055】まず手順141において、パイロット圧力
Phと1サイクル前の制御信号Δqの差に流量制御弁4
の流量計数Cqを乗じ、流量の推定値<Qh >(<>は
推定値であることを示す。以下同様)を求める。次に手
順142において、シリンダ圧力の実効値Fh /Aと推
定値Phoの差ΔPを求める。ここで、Aはシリンダの受
圧面積である。次に手順143において、(<Qh >−
A<Vo >)/Cで求められる圧力の微分値に圧力偏差
ΔPのフィードバック値Gp ・ΔPを加え、補正した圧
力の微分値<Ph >′(′は微分を示す。以下同様)を
求める。ここで、Cはシリンダのキャバシタンス、Gp
はオブザーバの圧力ゲインである。
【0056】次に手順144において、シリンダ圧力の
1サイクル前の値<Pho>に増加分T<Ph >′を加
え、圧力の推定値<Ph>を求める。ここで、Tは1サ
イクルの単位時間である。次に手順145において、
(A<Pho>−D<Vho>)/Mで求められる速度の微
分値に圧力偏差ΔPのフィードバック値Gv ・ΔPを加
え、補正した速度の微分値<Vh >′を求める。ここ
で、Dはシリンダの粘性減衰係数、Mはショベルフロン
トの等価質量、Gv はオブザーバの速度ゲインである。
次に手順146にいて、シリンダ速度の1サイクル前の
値<Vho>の増加分T<Vh >′を加え、速度の推定値
<Vh >を求める。次に手順147において、<P
h >,<Vh >をそれぞれ1サイクル前の値<Pho>,
<Vho>として保存し、図12の手順150Bに進む。
【0057】次に手順150Bにおいて、流量指令値Δ
qの演算を行う。流量指令値Δqの演算は手順140B
で求めたシリンダ速度Vh 及び手順120Bで求めたシ
リンダーの推力Fh にそれぞれ所定のゲインKv 、Kf
を乗じ両者を加算することにより求める。そして、流量
指令値Δqに対応する制御信号を第2の流量制御弁11
に出力する。
【0058】手順150Bを終了すると手順100Bへ
戻り、手順100B〜150Bを繰り返し行う。
【0059】本実施例においても第1の実施例と同様の
効果が得られる。また、本実施例によれば、油圧シリン
ダーの圧力と操作信号であるパイロット圧力から油圧シ
リンダの推力と速度を算出するので、検出手段として安
価な圧力センサだけでを用いれば良く、振動抑制装置を
安価に製作できる。
【0060】なお、以上の実施例では、流量指令値に応
じて油圧シリンダ2に給排される圧油の流量を補助的に
制御する流量制御弁として、第1の流量制御弁4と別個
の第2の流量制御弁11を設けたが、第1の流量制御弁
4で第2の流量制御弁も兼ね、操作レバー3からの操作
信号と流量指令値とを含む制御信号を第1の流量制御弁
4に供給するようにしても良い。この場合、第1の流量
制御弁4は、好ましくは電磁制御弁で構成される。
【0061】また、上記実施例では、ハイパスフィルタ
を制御プログラムの一部として組み込み、ソフト的に構
成したが、電気回路からなる外部ハイパスフィルタを用
いてもよい。この場合、検出信号は外部ハイパスフィル
タに入力し、処理した振動成分Fh 又はαh ,Vh を制
御ユニットに入力して流量指令値Δqを求めればよい。
【0062】更に、上記実施例ではハイパスフィルタを
用いたが、要は振動に係わりのない所定周波数未満の振
動成分を遮断すればよいので、他のローカットフィル
タ、例えばバンドパスフィルタを用いてもよい。
【0063】また、図1の実施例では、ブームシリンダ
の圧力を検出して推力を求めたが、力センサを用いて直
接推力を検出してもよい。さらに、以上の実施例ではブ
ームシリンダの変位を検出して速度を求めたが、速度計
を配置して直接速度を求めてもよい。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、作業装置の停止時、起
動時等、速度が急変するときの振動が抑制されるので、
作業装置の位置決め等、微妙な操作が必要な場合に確実
な位置決めができ、操作性が著しく向上する。また、そ
の振動の抑制を応答性を犠牲にすることなく効果的に行
うことができる。更に、定常特性に影響を与えない制御
系の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による油圧作業機械における
ブームの振動抑制制御装置をその油圧駆動回路と共に示
す図である。
【図2】図1に示す振動抑制制御装置の制御ユニットの
構成を示す図である。
【図3】図2に示す制御ユニットのROMに格納された
制御手順プログラムのフローチャートである。
【図4】ハイパスフィルタの作用を示す図である。
【図5】従来の油圧作業機械における操作レバー入力、
制御入力、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、
アクチュエータ推力の時間変化を示すタイムチャートで
ある。
【図6】図1に示す実施例における操作レバー入力、制
御入力、アクチュエータ変位、アクチュエータ速度、ア
クチュエータ推力の時間変化を示すタイムチャートであ
る。
【図7】本発明の第2の実施例による油圧作業機械にお
けるブームの振動抑制制御装置をその油圧駆動回路と共
に示す図である。
【図8】図7に示す振動抑制制御装置の制御ユニットの
構成を示す図である。
【図9】図8に示す制御ユニットのROMに格納された
制御手順プログラムのフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施例による油圧作業機械に
おけるブームの振動抑制制御装置をその油圧駆動回路と
共に示す図である。
【図11】図10に示す振動抑制制御装置の制御ユニッ
トの構成を示す図である。
【図12】図11に示す制御ユニットのROMに格納さ
れた制御手順プログラムのフローチャートである。
【図13】図12に示す手順140Bの詳細を示すフロ
ーチャートである。
【図14】従来の油圧作業機械の油圧駆動回路を示す図
である。
【符号の説明】
1 油圧ポンプ 2 ブームシリンダ 2A ブーム(作業装置) 7,7A,7B 制御ユニット(フィルタ手段および演
算手段) 8,9 圧力変換器(第1の検出手段) 10 変位計(第2の検出手段) 11 流量制御弁(制御手段) 12 加速度計 15,16 圧力変換器(第2の検出手段)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小原 清隆 東京都千代田区大手町二丁目6番2号 日 立建機株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出
    される圧油によって駆動され、作業装置を駆動する油圧
    アクチュエータと、油圧ポンプと油圧アクチュエータの
    間に接続され、操作手段からの操作信号に応じて油圧ア
    クチュエータに供給される圧油の流量を制御する流量制
    御弁とを備えた油圧駆動回路を持つ油圧作業機械におけ
    る作業装置の振動抑制制御装置において、 (a)前記油圧アクチュエータの推力を得るための第1
    の状態量を検出する第1の検出手段と; (b)前記アクチュエータの速度を得るための第2の状
    態量を検出する第2の検出手段と; (c)前記第1の検出手段で検出した第1の状態量とこ
    の第1の状態量から得たアクチュエータ推力のいずれか
    一方にフィルター処理を施し、所定周波数未満の振動成
    分を除去する第1のフィルタ手段と; (d)前記第2の検出手段で検出した第2の状態量とこ
    の第2の状態量から得たアクチュエータ速度のいずれか
    一方にフィルター処理を施し、所定周波数未満の振動成
    分を除去する第2のフィルタ手段と; (e)前記フィルター処理の後、得られたアクチュエー
    タ推力及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定のゲイ
    ンをかけて流量指令値を求める演算手段と; (f)前記流量指令値に応じて前記アクチュエータに給
    排される圧油の流量を補助的に制御する流量制御手段
    と;を備えることを特徴とする油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第1の検出手
    段は、前記アクチュエータの圧力を検出する圧力センサ
    と、前記圧力センサで検出された圧力に基づき前記アク
    チュエータの推力を演算する手段とを有することを特徴
    とする振動抑制制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第2の検出手
    段は、前記アクチュエータの変位を検出する変位計と、
    前記変位計で検出されたアクチュエータの変位に基づき
    アクチュエータの速度を演算する手段とを有することを
    特徴とする振動抑制制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第2の検出手
    段は、前記操作手段からの操作信号を検出する検出器
    と、前記アクチュエータの推力を検出する検出器と、こ
    れら検出器で検出された操作信号とアクチュエータ推力
    とに基づきアクチュエータ速度を演算する手段とを有す
    ることを特徴とする振動抑制制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第1及び第2
    のフィルター手段は、前記第1の状態量から得たアクチ
    ュエータ推力及び前記第2の状態量から得たアクチュエ
    ータ速度にそれぞれフィルター処理を施すことを特徴と
    する振動抑制制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第1及び第2
    のフィルター手段は、前記第1の検出手段で検出した第
    1の状態量及び前記第2の検出手段で検出した第2の状
    態量にそれぞれフィルター処理を施すことを特徴とする
    振動抑制制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記演算手段は、
    前記フィルター処理の後、得られたアクチュエータ推力
    及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定のゲインを乗
    じた値を加算することにより前記流量指令値を求めるこ
    とを特徴とする振動抑制制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、前記第1および第
    2のフィルタ手段は、それぞれ、所定周波数以上の振動
    成分を通過させるハイパスフィルタであることを特徴と
    する振動抑制制御装置。
  9. 【請求項9】 油圧ポンプと、この油圧ポンプから吐出
    される圧油によって駆動され、作業装置を駆動する油圧
    アクチュエータと、油圧ポンプと油圧アクチュエータの
    間に接続され、操作手段の操作信号に応じて油圧アクチ
    ュエータに供給される圧油の流量を制御する流量制御弁
    とを備えた油圧駆動回路を持つ油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置において、 (a)前記油圧アクチュエータの加速度を得るための第
    1の状態量を検出する第1の検出手段と; (b)前記アクチュエータの速度を得るための第2の状
    態量を検出する第2の検出手段と; (c)前記第1の検出手段で検出した第1の状態量とこ
    の第1の状態量から得たアクチュエータ加速度のいずれ
    か一方にフィルター処理を施し、所定周波数未満の振動
    成分を除去する第1のフィルタ手段と; (d)前記第2の検出手段で検出した第2の状態量とこ
    の第2の状態量から得たアクチュエータ速度のいずれか
    一方にフィルター処理を施し、所定周波数未満の振動成
    分を除去する第2のフィルタ手段と; (e)前記フィルター処理の後、得られたアクチュエー
    タ加速度及びアクチュエータ速度のそれぞれに所定のゲ
    インをかけて流量指令値を求める演算手段と; (f)前記流量指令値に応じて前記アクチュエータに給
    排される圧油の流量を補助的に制御する流量制御手段
    と;を備えることを特徴とする油圧作業機械における作
    業装置の振動抑制制御装置。
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