JPH0597985A - バインダー用ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

バインダー用ポリエステル及びその製造方法

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JPH0597985A
JPH0597985A JP3284216A JP28421691A JPH0597985A JP H0597985 A JPH0597985 A JP H0597985A JP 3284216 A JP3284216 A JP 3284216A JP 28421691 A JP28421691 A JP 28421691A JP H0597985 A JPH0597985 A JP H0597985A
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polyester
acid
mol
binder
glycol
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JP3284216A
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Takashi Murakami
敬 村上
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポリエステル繊維に対する接着性に優れ、低
温でも短時間の熱処理で接着可能であり、且つ優れた嵩
高保持性、耐ドライクリーニング性、親水性を有する不
織布を得るに適したバインダー用ポリエステルを提供す
る。 【構成】 全酸成分に対する共重合割合として、テレフ
タル酸65〜90モル%、2,6―ナフタレンジカルボ
ン酸35〜10モル%、ヘキサメチレングリコール80
モル%以上、平均分子量1000〜3000の単官能ポ
リオキシアルキレングリコール0.1〜1.0モル%を
共重合した、固有粘度が0.5以上のバインダー用ポリ
エステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はバインダー用ポリエステ
ル及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、ポリエ
ステル繊維間の接着に適し比較的低温かつ極めて短時間
の熱処理で充分な接着強度が得られ、且つ優れた嵩保持
性、耐クリーニング性及び親水性を有する不織布を製造
するに適した、特にバインダー繊維用として好適なバイ
ンダー用ポリエステル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】繊維間を熱融着して不織布を製造するた
めのバインダー繊維は従来より知られており、例えばポ
リエチレンを接着成分とするポリプロピレンとの芯鞘複
合繊維、エチレン・酢酸ビニル共重合体を接着成分とす
るポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する
ことがある)との複合繊維等がある。近年、繊維分野、
特に不織布分野でPETを代表とするポリエステル繊維
の役割が大きくなり、生産効率・省エネルギー・公害防
止等の観点より熱接着で繊維集合体あるいは繊維製品、
特に不織布を製造する要求が大となり、ポリエステル用
のバインダー繊維が強く望まれている。
【0003】上記のバインダー繊維は、接着性成分同志
の熱接着性はもちろん良好であるが、不織布用等の如く
他の主体繊維と混合して使用する場合は、接着可能な主
体繊維の種類が非常に限定され、ポリエステル繊維に接
着可能なものは得られていない。例えば、ポリエチレン
は自己接着は行うが、化学構造の異なる一般の市販繊維
にはほとんど接着しない。また、共重合ナイロンは、ナ
イロン繊維には接着するが同じ縮合系ポリマーよりなる
ポリエステル繊維には接着し難い。さらに、エチレン・
ビニルアルコール共重合体は、溶解度パラメーターの比
較的近いレーヨン・ビニロンあるいはナイロンには接着
性を示すが、やはりポリエステルには接着し難い。ポリ
エステル繊維を接着させるには、化学構造及び溶解度パ
ラメーターの類似性よりポリエステル系ポリマーを接着
成分として用いるのが、常識的にも考え得るところであ
る。実際、ポリエステルを接着相手とする溶剤溶解型あ
るいはホット・メルト型の接着剤としては多くの共重合
ポリエステルが提案されている。
【0004】しかしながら、不織布等の製造において
は、生産効率・省エネルギー等の観点より、約100〜
150℃の比較的低温かつ極めて短時間(10秒以下)
の熱処理で熱接着させる方法が一般に採用されるため、
PET又はポリブチレンテレフタレート(以下、PBT
と称することがある)をベースとした共重合ポリエステ
ルを接着性成分とする場合には、その共重合成分(例え
ばイソフタル酸、ジエチレングリコール等)の量を大量
にして、軟化開始温度を大幅に低下せしめる必要があ
る。しかしその場合には、共重合ポリエステルの結晶性
は大幅に低下して結晶化速度も遅くなるため、紡糸後の
繊維束をケンスに収めるかボビンに巻き取る際、単繊維
間あるいは繊維束間での膠着が激しく、紡糸繊維を得る
ことは困難となる。また、たとえ繊維化できたとして
も、短時間の熱処理では充分に接着しなかったり、接着
処理時に粘着トラブルが多発する等の難点がある。
【0005】かかる問題点を解決するための方法として
は、テレフタル酸にかえて脂肪族ジカルボン酸を用い
る、あるいはエチレングリコールやブチレングリコール
にかえてより長鎖のアルキレングリコールを用いて、ポ
リエステルの結晶性を維持しながら融点を低下させる方
法が考えられる。
【0006】しかしながら、実際には前者の方法では、
得られるポリエステルの熱安定性が低いため、例えば溶
融紡糸してバインダー繊維となす際に熱分解し易く、ま
たPETの如き芳香族ポリエステル繊維に対する接着力
が小さいといった問題点がある。
【0007】一方後者の方法では、炭素数が7以上で奇
数のポリメチレングリコール(ポリアルキレングリコー
ル)から得られるポリエステルの融点は100℃以下と
なるため、得られる接着処理製品の耐熱性が不充分とな
り実用には供し得ない。また、炭素数が8以上の長鎖の
ポリアルキレングリコールは極めて高価であるばかりで
なく、沸点が非常に高く重縮合反応性も低いため、工業
的規模の生産に適さない。さらには、炭素数5のペンタ
メチレングリコールは比較的安価で、得られるポリエス
テルの融点も134℃と比較的低く、バインダー用とし
て適当と考えられるものの、該ポリエステルは結晶化速
度が極めて遅いため、例えばバインダー繊維となす際に
膠着し易く、工業的に安定に生産できないといった問題
点がある。
【0008】これに対してヘキサメチレングリコールを
用いたポリエステルは、適度の結晶性、結晶化速度、及
び融点を有しているため、該ポリエステルを接着性成分
とするバインダー繊維はすでに提案されている(例え
ば、特開昭52―96235号公報、特開昭57―13
3217号公報参照)。
【0009】しかしながら、本発明者の検討によれば、
かかるバインダー繊維はポリエステル繊維に対して良好
な接着性を示すものの、未だ下記の点で不充分なもので
あった。 これらのバインダー繊維を用いて得られる不織布は
風合がソフトである反面、嵩高保持性に劣るため荷重を
かけた状態で保管すると嵩が小さくなり、商品価値が低
下する。 ポリヘキサメチレンテレフタレート又はこれにイソ
フタル酸を一部共重合した共重合ポリエステルは、テト
ラクロルエチレン、ソルベントナフサ等のドライクリー
ニング用溶剤に対する抵抗性が非常に低いため、衣料用
の接着芯地のようにドライクリーニングに供される用途
には使用できない。 ポリヘキサメチレンテレフタレートは本質的に疎水
性であるため、生理用品の表装材などに使用した場合、
体液の通過性が不充分なことがある。 ポリエステルのガラス転移点が約―10℃と極めて
低温であるため、従来のポリエステル用生産設備ではペ
レット化が困難となる場合が多い。
【0010】以上のように、ポリエステル繊維の接着に
適したバインダー用ポリエステルとして充分満足のいく
ものは、未だ得られていないのが実状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題を鑑みなされたもので、その目的は、P
ETをはじめとする芳香族ポリエステル繊維に対する接
着強度が優れ、特に100〜150℃といった低温でも
短時間の熱処理で接着可能であり、また優れた嵩高保持
性、耐ドライクリーニング性、及び親水性を有する不織
布の得られるバインダー繊維を製造するに適したバイン
ダー用ポリエステル及びその製造方法を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成せんと鋭意検討した結果、2,6―ナフタレンジカ
ルボン酸及び単官能ポリオキシアルキレングリコールを
特定量共重合したヘキサメチレンテレフタレート系ポリ
エステルは、前記の欠点が解消されることを見い出し本
発明に到達した。
【0013】すなわち、本発明によれば、(1)全酸成
分に対する共重合割合として、テレフタル酸を65〜9
0モル%、2,6―ナフタレンジカルボン酸を35〜1
0モル%、ヘキサメチレングリコールを80モル%以
上、及び下記一般式で表される平均分子量が1000〜
3000の単官能ポリオキシアルキレングリコールを
0.1〜1.0モル%含み、且つ固有粘度が0.5以上
であるバインダー用ポリエステル、 R―O―(CH2 CH2 O)n ―H [式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す。]が
提供され、また、(2)全酸成分に対する共重合割合と
して、テレフタル酸を65〜90モル%、2,6―ナフ
タレンジカルボン酸を35〜10モル%、ヘキサメチレ
ングリコールを80モル%以上、及び上記一般式で表さ
れる平均分子量が1000〜3000の単官能ポリオキ
シアルキレングリコールを0.1〜1.0モル%含有す
るポリエステルを製造するに際し、アルキルチタネート
及び/又はその縮合体と有機カルボン酸及び/又はその
酸無水物との反応生成物を該ポリエステル重縮合反応の
触媒とし、かつ、該反応生成物中のチタン原子に対して
1/40〜20モル倍のアルキルスルホン酸金属塩を色
相改良剤として用いるバインダー用ポリエステルの製造
方法、が提供される。
【0014】本発明のバインダー用ポリエステルは、全
酸成分に対する共重合割合として、テレフタル酸を65
〜90モル%、2,6―ナフタレンジカルボン酸を35
〜10モル%含むことが必要である。2,6―ナフタレ
ンジカルボン酸の共重合割合が10モル%未満の場合に
は、最終的に得られる接着処理品例えば不織布の嵩高保
持性及び耐ドライクリーニング性が低下し、一方35モ
ル%を越える場合には、得られるポリエステルの融点が
高くなりすぎ、通常熱接着処理に採用される熱処理条件
では接着し難くなるため好ましくない。
【0015】また、グリコール成分としては、ヘキサメ
チレングリコールを80モル%以上含むことが必要であ
る。ヘキサメチレングリコールの共重合割合が80モル
%未満の場合には、前述の如く、融点が低下したり結晶
性が低下したりするため、バインダー用としては好まし
くなくなる。なお、本発明においては、上記本発明の要
件を満足する範囲内で、ヘキサメチレングリコール以外
の他種グリコール成分、例えばエチレングリコール、テ
トラメチレングリコール、ペンタメチレングリコールな
どを共重合してもよいが、通常は共重合しない方が望ま
しい。
【0016】さらに本発明のポリエステルにおいては、
下記式で示される平均分子量が1000〜3000の単
官能ポリオキシアルキレングリコールを、0.1〜1.
0モル%、好ましくは0.3〜0.7モル%共重合して
いることが必要である。 R―O―(CH2 CH2 O)n ―H 式中Rはアルキル基またはアリール基で、なかでも炭素
数1〜4のアルキル基又はフェニル基が好ましい。
【0017】かかる単官能ポリオキシアルキレングリコ
ールの平均分子量が1000未満の場合あるいはその共
重合量が0.1モル%未満の場合には、単官能ポリオキ
シアルキレングリコール共重合に基づく結晶化速度向上
効果、親水性向上効果が発現されず、該ポリエステルの
膠着抑制が不充分となるとともに、得られる接着処理製
品(例えば不織布)の嵩高保持性、耐ドライクリーニン
グ性、及び親水性が不充分となるため好ましくない。一
方、平均分子量が3000を越える場合には、ポリエス
テルとの共重合性が低下して単にブレンドされたのみの
状態になるためと推定され、嵩高保持性、耐ドライクリ
ーニング性、あるいは親水性が改善されるといった本発
明の効果は得られなくなるので好ましくない。また、共
重合量が1モル%を越える場合には、該ポリエステルの
重合反応速度が大幅に低下するとともに、得られるポリ
エステルの熱安定性及び色調が低下し、最終的に得られ
る接着処理製品の嵩高保持性あるいは耐クリーニング性
が低下するため好ましくない。
【0018】本発明においては、上述の如く、2,6―
ナフタレンジカルボン酸と単官能ポリオキシアルキレン
グリコールとを同時に共重合することによって初めて本
発明の目的が達成されるのであって、それぞれ単独のみ
を共重合したものにあっては、嵩高保持性や耐ドライク
リーニング性といった特性が不充分となるのである。な
お、本発明のバインダー用ポリエステルは、オルソクロ
ロフェノール中30℃で測定した固有粘度が0.5以
上、好ましくは0.6以上であることが必要であり、
0.5未満の場合には、該ポリエステルの機械的特性が
低下するためと推定され、最終的に得られる接着処理製
品(例えば不織布)の強度が不充分となるため好ましく
ない。
【0019】以上に詳述した本発明のバインダー用ポリ
エステルは、従来公知の任意の方法で製造することがで
きる。例えば前記カルボン酸成分とグリコール成分とを
触媒の存在下又は非存在下、エステル化反応又はエステ
ル交換反応せしめて、ビスグリコールエステル及び/又
はその初期縮合物を得、次いで重縮合触媒存在下重縮合
反応せしめて、容易に得ることができる。
【0020】この際、重縮合触媒としてチタン化合物、
特にアルキルチタネート及び/又はその縮合物と有機カ
ルボン酸及び/又はその酸無水物との反応生成物を用い
ると、重縮合反応速度が速くなり、高重合度のポリエス
テルが容易に得られるので好ましい。かかる反応生成物
の製造に用いられるアルキルチタネートとしては、炭素
数3〜4のアルキル基を有するもの、特にテトラプロピ
ルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ
ブチルチタネートが好ましく、また有機カルボン酸とし
ては、酢酸、プロピオン酸等の脂肪族カルボン酸、及び
フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリ
ット酸等の芳香族多価カルボン酸があげられ、特にトリ
メリット酸の酸無水物等が好ましい。なお、これらを反
応させる条件については特に限定する必要はなく、例え
ば各成分をエチレングリコール等の溶媒に溶解し、約8
0℃で約60分間反応させることにより容易に得られ
る。
【0021】また、重縮合触媒の使用量については特に
限定する必要はないが、あまりに少ないと重縮合反応速
度が遅く、一方あまりに多すぎると得られるポリエステ
ルの色相が悪化(黄変)する傾向にある。したがって、
使用する触媒の種類によって適宜変更することが大切で
あるが、前記反応生成物の場合では、ポリエステルの全
酸成分に対して反応生成物中のチタン原子が0.005
〜0.1モル%、特に0.01〜0.05モル%となる
量にするのが好ましい。
【0022】また、前記反応生成物を重縮合触媒として
使用する場合には、色相改良剤としてアルキルスルホン
酸金属塩、特にA―SO3 Mで表わされる化合物を併用
することが好ましい。但し、式中、AはC1 〜C20のア
ルキル基、Mはアルカリ金属、又はアルカリ土類金属で
あって、特にK、Na、1/2Caが好ましく、これら
は2種以上を併用してもよい。かかるアルキルスルホン
酸金属塩は、前記反応生成物中のチタン原子のモル数に
対して1/40〜20モル倍、特に1/20〜5モル倍
の範囲になるよう用いるのが好ましく、1/40モル倍
未満の場合にあってはポリエステル着色を抑制できず熱
安定性も低くなる傾向にある。一方20モル倍を越える
場合には、着色防止の効果は飽和するだけでなく、重縮
合反応時に著しい発泡現象を引き起こすと同時に、紡糸
工程でパック圧上昇、糸切れ等の、また延伸工程で糸切
れ等のトラブルが多発する傾向にあるので好ましくな
い。なお、前記重縮合触媒と色相改良剤の添加時期は、
重縮合反応開始前であれば任意であり、両者を別々に添
加しても、また同時に添加してもよい。また、色相改良
剤については、重縮合反応開始後であっても該反応が完
結する以前であれば、添加時期を遅らせることも可能で
ある。
【0023】本発明のバインダー用ポリエステルは、単
独で紡糸した繊維として使用してもよいが、他の溶融紡
糸可能なポリマーとともに紡糸した複合繊維として用い
るほうがより好ましい。かかるポリマーとしては、繊維
形成性で融点が180℃以上の熱可塑性ポリマーであれ
ば任意のものが用いられ、例えばPET、PBT、ナイ
ロン―6、ナイロン―6,6等が好ましく用いられる。
かかる複合繊維としては、サイドバイサイド型複合繊
維、芯鞘型複合繊維等任意の形態をとり得るが、本発明
のバインダー用ポリエステルを鞘成分とし、PET、P
BT等の繊維形成性ポリエステルを芯成分とした、芯鞘
型複合繊維が特に好ましい。なお、本発明のバインダー
用ポリエステル中には、少量の添加剤、たとえば艶消
剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤、紫外線吸収剤を
含んでいてもよい。
【0024】
【発明の効果】以上に詳述した本発明のバインダー用ポ
リエステルは、結晶化速度に優れているために、チップ
化工程や製糸化工程等で膠着等が発生せず、また、得ら
れる接着処理製品、特に該ポリエステルをバインダー繊
維とし他繊維と混合して接着処理不織布を製造した場
合、強度が大きく、かつ優れた嵩高保持性、耐ドライク
リーニング性、親水性を有する不織布が容易に得られる
といった特徴を有する。また、本発明の製造法によれ
ば、特定の重合触媒と色相改良剤が併用されているの
で、色調及び熱安定性の特に良好なポリエステルが生産
性良く得られ、その工業的意義は極めて大きい。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明する。実施例中の部は重量部を示す。また、各種特
性は下記の方法により評価した。
【0026】 固有粘度[η] オルソクロルフェノールを溶媒として30℃で測定し、
その相対粘度から常法により求めた。
【0027】 色相 L値およびb値 ハンター型色差計を用いて測定した値であり、L値が高
いほど白度が高く、b値が低いほど黄色味が低いことを
示す。すなわち色相良好なることを示す。
【0028】 接着強度 バインダー繊維の製造 得られたバインダー用ポリエステルを鞘とし、固有粘度
[η]が0.64のPETを芯として、口金孔径0.3
5mm、孔数250、口金温度285℃、芯/鞘=50/
50重量比で吐出して複合繊維となし、800m/分で
引きとった。この糸状を水浴中80℃で3.8倍に延伸
し、続いて水浴中90℃で10%収縮させ、さらに押込
みクリンパーによって捲縮率10%の捲縮を与えた。得
られた捲縮糸条を51mmおよび60mmに切断し、単糸デ
ニール6デニールの芯鞘複合バインダー繊維を得た。
【0029】接着強度の測定 得られたバインダー繊維(6デニール×60mm)と、同
じく捲縮率10%のPETからなるステープルファイバ
ー(6デニール×60mm)とをカード内で重量比20:
80の割合でブレンドしてスライバーを作成し、引き抜
き強力を測定した。一方、同様にして作成したスライバ
ーを5g/cm2 の荷重下、150℃で30秒間熱処理し
て引き抜き強力を測定し、次式により接着強度を求め
た。 接着強度=(熱処理後の引き抜き強力)/(熱処理前の
引き抜き強力)
【0030】 嵩高保持性 得られたバインダー繊維(6デニール×51mm)と、同
じく10%の捲縮率を有するPETのステープルファイ
バー(6デニール×51mm)とをカード内でブレンド
(重量比20:80)して1m2 当たり150gの目付
を有するウエブを得、150℃に調整した熱風炉中で5
分間加熱した。このようにして得られたウエブを1辺2
0cmの正方形に切り取り、全体の重量が約80gになる
ように積み重ね、重さ5000gの板をのせて24時間
放置したのち荷重を取り除き、5分間経過後の高さを測
定して次式から求めた。 嵩高保持性=(荷重をかけた後のウエブ高さ)/(荷重
をかける前のウエブ高さ)×100
【0031】 耐ドライクリーニング性 得られたバインダー繊維(6デニール×60mm)10g
を、パークレン(1,1,2,2―テトラクロルエチレ
ン)500gに浸漬し、80℃で1時間攪拌したのち、
濾過・洗浄して乾燥し、重量減量率を求めた。すなわ
ち、減量率の数字が小さいほど、耐ドライクリーニング
性は良好であることを示す。
【0032】 親水性 前記のバインダー繊維の製造において、糸状に捲縮を与
えずに5mmに切断し、繊維濃度が0.03%になるよう
に水中に分散させ、熊谷理機工業(株)製角型シートマ
シンで50g/m2 にハンド抄紙した。次いでこの不織
布を150℃にコントロールされた熊谷理機工業(株)
製K.R.K.型回転乾燥機に湿潤状態で供給し、乾燥
及び熱処理を同時に行って評価用紙を作成した。この評
価用紙をコットンリンターパルプ上に乗せ、ビュレット
から水滴を一滴滴下し、紙上に落下した水滴の集合状態
がなくなるまでの時間を肉眼で測定した。この時間が短
いほど親水性は良好であることを示す。
【0033】なお、実施例中で使用した略号は下記のも
のである。 TA :テレフタル酸 NA :2,6―ナフタレンジカルボン酸 AS :平均炭素数14のアルキルスルホン酸ナトリ
ウム POAG:ポリエチレングリコールモノフェニルエーテ
ル TMT :無水トリメリット酸とテトラブチルチタネー
トとの反応生成物 TBT :テトラブチルチタネート
【0034】
【実施例1】 チタン触媒(TMT)の調製 エチレングリコール2.5部に無水トリメリット酸0.
8部を溶解した後、テトラブチルチタネート0.7部
(無水トリメリット酸に対し1/2モル)を滴下し、空
気中常圧下80℃に保持して60分間反応せしめた。そ
の後常温まで冷却し、アセトン15部を加えて反応生成
物を析出せしめ、濾別して100℃下2時間乾燥せしめ
た。得られた反応生成物中のチタン含有量は11.5重
量%であった。
【0035】共重合ポリエステルの合成 ジメチルテレフタレート824.5部、2,6―ジメチ
ルナフタレート183部、ヘキサメチレングリコール7
67部、平均分子量1500の、片末端をフェニルエー
テルの形にした単官能ポリエチレングリコール37.5
部、及びエステル交換触媒として酢酸マンガン1.23
部を、攪拌機、精留塔、及びメタノール留出コンデンサ
ーを設けた反応器に仕込み、130℃から220℃に徐
々に昇温しながら加熱し、反応の結果精製するメタノー
ルを系外に留出せしめてエステル交換反応せしめた。反
応開始後3時間で内温は220℃に達し、320部のメ
タノールが留出した。ここで安定剤としてトリメチルホ
スフェート0.77部を加え、さらに重縮合触媒として
上記の方法で得たTMT0.57部を添加した後、平均
炭素数14のアルキルスルホン酸ナトリウム0.31部
を添加した。この反応混合物を、攪拌機及びグリコール
留出コンデンサーを設けた反応器に移し、220℃から
260℃に徐々に昇温するとともに常圧から1mmHgの高
真空に圧力を下げながら重縮合反応せしめた。全重縮合
反応時間3時間で[η]0.602のポリマーを得た。
このポリマーの色相はL値75.3、b値2.0であ
り、融点は138℃であった。このポリマーを使用した
バインダー繊維の接着強度は36、嵩高保持性は81、
親水性を表わす時間は3秒、パークレン減量率は7%で
あった。
【0036】
【実施例2〜7、比較例1〜7】ジメチルテレフタレー
ト、2,6―ジメチルナフタレート、ポリエチレングリ
コールモノフェニルエーテルの添加量を、得られる共重
合ポリエステルの組成が表1に記載のとおりになるよう
変更し、かつ、TMT及びASの添加量を表1に記載の
如くする以外は実施例1と同様に行った。結果は表1及
び表2に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全酸成分に対する共重合割合として、テ
    レフタル酸を65〜90モル%、2,6―ナフタレンジ
    カルボン酸を35〜10モル%、ヘキサメチレングリコ
    ールを80モル%以上、及び下記一般式で表される平均
    分子量が1000〜3000の単官能ポリオキシアルキ
    レングリコールを0.1〜1.0モル%含み、且つ固有
    粘度が0.5以上であるバインダー用ポリエステル。 R―O―(CH2 CH2 O)n ―H [式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す。]
  2. 【請求項2】 全酸成分に対する共重合割合として、テ
    レフタル酸を65〜90モル%、2,6―ナフタレンジ
    カルボン酸を35〜10モル%、ヘキサメチレングリコ
    ールを80モル%以上、及び下記一般式で表される平均
    分子量が1000〜3000の単官能ポリオキシアルキ
    レングリコールを0.1〜1.0モル%含有するポリエ
    ステルを製造するに際し、アルキルチタネート及び/又
    はその縮合体と有機カルボン酸及び/又はその酸無水物
    との反応生成物を該ポリエステル重縮合反応の触媒と
    し、かつ、該反応生成物中のチタン原子に対して1/4
    0〜20モル倍のアルキルスルホン酸金属塩を色相改良
    剤として用いるバインダー用ポリエステルの製造方法。 R―O―(CH2 CH2 O)n ―H [式中、Rはアルキル基またはアリール基を示す。]
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