JPH059717A - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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JPH059717A
JPH059717A JP16563991A JP16563991A JPH059717A JP H059717 A JPH059717 A JP H059717A JP 16563991 A JP16563991 A JP 16563991A JP 16563991 A JP16563991 A JP 16563991A JP H059717 A JPH059717 A JP H059717A
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JP
Japan
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grid
filament
evaporation source
counter electrode
thin film
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Application number
JP16563991A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Sato
達哉 佐藤
Wasaburo Ota
和三郎 太田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】耐熱性のない基板等にも緻密で密着性の良い薄
膜を形成でき、且つグリッドやフィラメントを真空槽内
を大気に晒すことなく移動可能とした薄膜形成装置を提
供する。 【構成】本装置は、活性ガス及び/又は不活性ガスが導
入される真空槽1’と、真空槽内において蒸発物質を蒸
発させるための蒸発源4と、真空槽内に配置され基板1
3を蒸発源に対向するように保持する対電極12と、蒸
発源と対電極との間に配備され蒸発物質を通過させうる
グリッド10と、グリッドと蒸発源との間に配置された
熱電子発生用のフィラメント8と、グリッドの電位を対
電極の電位とフィラメントの電位に対し正電位とする手
段18を有し、且つ真空槽内を大気に晒すことなくグリ
ッド(及び/又はフィラメント)を蒸発源と対電極の間
の空間に対して移動可能とする手段43,44を有する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜形成装置に関し、特
に、CVD法の長所である強い反応性と、PVD法の長
所である高真空中での成膜(緻密で強い膜が形成でき
る)とを同時に実現しうる新規な薄膜形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、被薄膜形成基板(以下、基板と称
する)上に薄膜を形成する薄膜形成装置としては、CV
D法やPVD法などを利用したものが良く知られてお
り、CVD法による装置は反応性が強く、PVD法によ
る装置は高真空中において緻密な強い薄膜を形成できる
などの長所を有している。これら、CVD法やPVD法
などを利用した薄膜形成装置としては従来より種々のも
のが提案されており、その方法も極めて多岐にわたって
いる。例えば、従来より、蒸発源と被蒸着物との間に高
周波電磁界を発生させて、活性あるいは不活性ガス中で
蒸発した物質をイオン化して真空蒸着を行う、所謂、イ
オンプレーティング法や、蒸発源と被蒸着物との間に直
流電圧を印加するDCイオンプレーティング法等が知ら
れている(特公昭52−29971号、特公昭52−2
9091号等)。しかし、これら従来の薄膜形成装置に
あっては、形成された膜の基板との密着性が弱かった
り、あるいは、耐熱性の弱いプラスチックフィルム等の
基板への膜形成が困難である、あるいは形成された薄膜
の特性が不均一であるなどの問題があった。
【0003】そこでこれらの問題を解決するため、本出
願人は先に薄膜形成装置として、蒸発源と蒸発源に対向
させて基板を保持させる対電極との間にグリッドを配
し、蒸発源とグリッドとの間に熱電子発生用のフィラメ
ントを配し、上記グリッドをフィラメントに対して正電
位にして薄膜形成を行なう装置を提案した(特公平1−
53351号)。この薄膜形成装置では、蒸発源から蒸
発した蒸発物質は、先ずフィラメントからの熱電子によ
りイオン化され、このようにイオン化された蒸発物質が
グリッドを通過すると、グリッドから対電極に向かう電
界の作用により加速されて基板に衝突し、基板上に密着
性の良い薄膜が形成されるという特徴を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記薄膜形成
装置は、蒸発源と基板との間に放電用の治具が存在する
ため、真空蒸着と反応性成膜を連続的に行ない積層膜を
作製する場合において、真空蒸着を行なう際には、反応
性成膜の場合と異なり蒸発粒子が周囲のガスやイオンな
どによる散乱で拡散することがないため、グリッドの面
内のパターンが膜厚ムラの原因となるという問題があっ
た。このため、複数の真空槽内で成膜を行なうかあるい
は同一の真空槽を用いる場合には、一旦真空槽内を大気
圧にした後に真空槽を開け、治具を取り除いてから成膜
を行なう必要があった。このため、作製した膜及び治具
を一旦大気に晒すこととなり、この際のダストの付着に
よる膜特性の劣化や、金属膜の場合には大気による膜表
面の酸化の問題があった。
【0005】この問題を解決する手段として、成膜中に
グリッドあるいは基板の何れかまたは両者を蒸着中に回
転させる、あるいは真空槽内を複数の区画に分割し、作
製する薄膜に対応する区画に基板を移動させて成膜プロ
セスを実行するという方法が考えられるが、前者の場合
にはグリッドに蒸発粒子が付着するため、SiOのよう
な絶縁膜を成膜した場合、グリッドが絶縁物で覆われる
ため、反応性成膜を行なう際に安定な放電を維持するこ
とが困難となるという問題が生ずる。また、後者におい
ては、大面積の基板に成膜する場合や多数枚の基板に成
膜する場合、真空槽を大型のものとする必要がありコス
トや設置スペース等の問題が生じる。本発明は上記事情
に鑑みてなされたものであって、基板に対して極めて強
い密着性をもった薄膜を形成でき、且つ、耐熱性のない
プラスチックフィルムなどをも基板として用いうること
ができ、さらには、グリッドあるいはフィラメントを真
空槽内を大気に晒すことなく蒸発源と対電極との間の空
間に介在しない状態にすることを可能とした新規な構成
の薄膜形成装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の薄膜形成装置は、活性ガスもしくは
不活性ガスあるいはこれら両者の混合ガスが導入される
真空槽と、この真空槽内において蒸発物質を蒸発させる
ための蒸発源と、上記真空槽内に配置され基板を上記蒸
発源に対向するように保持する対電極と、上記蒸発源と
対電極との間に配備された屈曲可能な材質で形成された
蒸発物質を通過させうるグリッドと、上記グリッドと上
記蒸発源との間に配置された熱電子発生用のフィラメン
トと、上記グリッドの電位を上記対電極の電位と上記フ
ィラメントの電位に対し正電位とする手段を有し、且つ
真空槽内を大気に晒すことなく上記グリッドを上記蒸発
源と対電極の間の空間に介在させることも介在させない
ことも可能とする手段を有することを特徴とする。
【0007】また、請求項2記載の薄膜形成装置は、活
性ガスもしくは不活性ガスあるいはこれら両者の混合ガ
スが導入される真空槽と、この真空槽内において蒸発物
質を蒸発させるための蒸発源と、上記真空槽内に配置さ
れ基板を上記蒸発源に対向するように保持する対電極
と、上記蒸発源と対電極との間に配備された蒸発物質を
通過させうるグリッドと、上記グリッドと上記蒸発源と
の間に配置された屈曲可能な導電性の材質に保持された
平行配列の熱電子発生用のフィラメントと、上記グリッ
ドの電位を上記対電極の電位と上記フィラメントの電位
に対し正電位とする手段を有し、且つ真空槽内を大気に
晒すことなく上記フィラメントを上記蒸発源と対電極の
間の空間に介在させることも介在させないことも可能と
する手段を有することを特徴とする。
【0008】また、請求項3記載の薄膜形成装置は、請
求項1及び請求項2記載の薄膜形成装置において、蒸発
源と対電極の間の空間にグリッド及びフィラメントを介
在させない場合において、上記グリッド及び上記フィラ
メントに蒸発物質が到達しないような遮蔽板を有するこ
とを特徴とする。
【0009】
【作用】以下、本発明の構成及び作用について詳細に説
明する。請求項1の発明による薄膜形成装置は、真空槽
と、対電極と、グリッドと、熱電子発生用のフィラメン
トと、蒸発源(単数または複数)と、グリッドと対電極
及びフィラメントの間を所定の電位関係とする電源手段
を有する。真空槽内には、活性ガスもしくは不活性ガス
あるいはこれら両者の混合ガスが導入される。対電極は
真空槽内に配備され、被蒸着基板を蒸発源と対向させる
ように適宜の方法により保持している。グリッドは屈曲
可能な材質で形成され、蒸発物質を通過させうるもので
あって、蒸発源と対電極の間に配備され、電源手段によ
り対電極及びフィラメントの電位に対して正電位にされ
る。熱電子発生用のフィラメントは、真空槽内の、グリ
ッドと蒸発源との間に配備され、このフィラメントによ
り発生する熱電子は、蒸発物質の一部をイオン化するの
に供される。上記蒸発源からの蒸発物質は、その一部
が、フィラメントからの電子により正イオンにイオン化
される。このように一部イオン化された蒸発物質は、グ
リッドを通過し、更に、イオン化されたガスにより正イ
オン化を促進され、グリッド−基板間の電界の作用によ
り基板の方へと加速され、基板に衝突し付着する。
【0010】尚、フィラメントからの電子は、フィラメ
ント温度に対応する運動エネルギーを持ってフィラメン
トから放射されるので、正電位のグリッドに直ちに吸引
されずに、これを通過し、グリッドによるクーロン力に
より引き戻され、更に、グリッドを通過し、と言うよう
に、グリッドを中心として振動運動を繰返し、遂にはグ
リッドに吸収されるので、基板へは達せず、基板は電子
衝撃を受けないので、それによる加熱がなく基板の温度
上昇が防止でき、プラスチックのような耐熱性のない材
質のものでも基板とすることができる。また、真空槽内
を大気に晒すことなく上記グリッドを上記蒸発源と対電
極の間の空間に介在させることも介在させないことも可
能とする手段、すなわち、真空槽内でのグリッドの移動
機構は、公知の回転導入機、あるいは直線導入機、ある
いはこれらの組合せで構成され、グリッドを巻取り機構
あるいは折りたたみ機構で移動させるものである。この
ように、請求項1の発明による装置では、グリッドの移
動機構を備えたことにより、蒸発源と基板との間に介在
するグリッドにより困難であった真空蒸着が、グリッド
を移動させることによって容易に可能となる。
【0011】次に、請求項2の発明による薄膜形成装置
は、真空槽内を大気に晒すことなくフィラメントを蒸発
源と対電極の間の空間に介在させることも介在させない
ことも可能とする手段、すなわち、フィラメントについ
て移動機構を設けたものであり、必要時にこの移動機構
によりフィラメントを蒸発源と対電極の間の空間に介在
しない位置に移動すれば、フィラメントによく用いられ
るタングステン(W)と反応するアルミニウム(Al)
やチタン(Ti)等を蒸着してもフィラメントには付着
しないので、フィラメントが上記金属に侵されず、寿命
を長くすることができる。さらに、フィラメントを構成
する線材を蒸発源からの蒸発粒子が通過しない位置に配
置するという制約もなくなるため、線材を均一に配列さ
せることができる。
【0012】次に、請求項3の発明による薄膜形成装置
は、上記請求項1及び請求項2記載の薄膜形成装置にお
いて、蒸発源と対電極の間の空間にグリッド及びフィラ
メントを介在させない場合において、上記グリッド及び
上記フィラメントに蒸発物質が到達しないような遮蔽板
を有する構成のため、移動機構を構成している治具が蒸
発粒子の付着やプラズマ衝撃を受けることがないため、
上記移動機構を構成している治具及び移動後のグリッド
及びフィラメントの汚染を防ぐことができる。また、薄
膜の治具材料による汚染を防ぐことができる。さらに、
放電が治具の形状に影響されず。安定した放電を行なう
ことが可能である。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は請求項1の発明の一実施例を示す薄
膜形成装置の概略構成図である。図1において、ベース
プレート1とベルジャー2とはパッキング21を介して
一体化され真空槽1’を形成している。ここで、ベース
プレート1の中央部には孔1Aが形成されているが、こ
の孔1Aは図示しない真空排気系に連結され、真空槽内
の気密性を維持している。そしてこのような真空槽内に
は、上方から下方に向けて順に対電極12と、グリッド
10と、フィラメント8と、蒸発源4が適宜間隔をあけ
て配設されている。また、これらの構成部材は各々支持
体を兼用する電極11,9,7,3により水平状態に保
持されている。これらの電極11,9,7,3は何れも
ベースプレート1との電気的な絶縁性を保つ状態でベー
スプレート1を貫通して真空槽外部に引き出されてい
る。すなわちこれらの電極11,9,7,3は真空槽の
内外の電気的な接続・給電を行なうもので、その他の配
線具と共に導電手段となりうるものである。尚、これら
の電極11,9,7,3のベースプレート1の貫通部に
おいては気密性が確保されている。
【0014】ここで、上記電極の内、一対の電極3によ
り支持された蒸発源4は蒸発物質を蒸発させるためのも
のであり、例えばタングステン、モリブデンなどの金属
をコイル状に形成してなる抵抗加熱式として構成されて
いる。もっともコイル状に替えて、ボート状に形成した
ものでもよい。更には、このような蒸発源に替えて電子
ビーム蒸発源など、従来の真空蒸着方式で用いられてい
る蒸発源を適宜使用することができる。一方、一対の電
極7の間には、タングステンなどによる熱電子発生用の
フィラメント8が支持されている。このフィラメント8
の形状は、複数本のフィラメント線を平行に配列した
り、あるいは網目状にしたりするなどして、蒸発源から
蒸発した蒸発物質の粒子の広がりをカバーするように定
められている。支持体兼用電極9には、グリッド10が
支持されており、このグリッド10は、蒸発物質を通過
させうる形状にその形状が定められているが、この例で
は網目状である。また、電極11に支持された対電極1
2には、上記蒸発源4に対向する面(図では下面)側に
位置させて、薄膜を形成すべき基板13が適宜の方法に
より保持されている。この状態を蒸発源4の側から見れ
ば、基板13の背後に対電極12が配備されることにな
る。
【0015】さて、支持体兼用電極3,7,9,11は
導電体であって電極としての役割を兼ねており、それら
の真空槽外へ突出した端部間は図示のように種々の電源
に接続されている。先ず、蒸発源4は一対の電極3を介
して蒸発用電源17に接続されている。次に、直流電源
18が設けられ、この直流電源18の正極側は電極9を
介してグリッド10に接続され、直流電源18の負極側
は電極11を介して対電極12に接続されている。すな
わち、グリッド10の電位は対電極12の電位に対して
正電位となるように設定されている。これにより、グリ
ッド10と対電極12間の電界はグリッド10側から対
電極12側へと向かうものとなる。尚、電極9により支
持されたグリッド10は蒸発物質を通過させうる形状、
例えば網目状に形成されている。また、フィラメント8
は一対の電極7を介して直流電源19の両端に接続され
ている。尚、図中の接地は必ずしも必要ではない。ま
た、実際には、これらの電気的接続には種々のスイッチ
類を含み、これらの操作により成膜プロセスを実現する
のであるが、これらスイッチ類は図中に示されていな
い。
【0016】真空槽内には、真空槽内を大気に晒すこと
なく上記グリッド10を蒸発源4と対電極12の間の空
間に介在させることも介在させないことも可能とする手
段、すなわち、真空槽内でのグリッド10の移動機構4
3が設けられており、図示の例では、移動機構43は、
動力伝達用のギヤ40とこのギヤ40と連結され手動や
モータ等により回転される回転軸41及びその軸受42
等によって構成される回転導入機44を介して動力を伝
達され、グリッド10を巻取るものである。図2はグリ
ッドの移動機構の具体的な構成例であるが、ここで、移
動機構の棒状支持体43a,43b,43c,43dは
絶縁物質で形成されており、上記回転導入機44との電
気的絶縁を維持できる構成となっている。ここで、棒状
支持体43a,43cは回転導入機からの動力を受け取
る部分であるが、それぞれ異なる回転導入機からの動力
を受け取っても良いし、同一の回転導入機からの動力を
受けとってグリッド10を移動させてもよい。尚、グリ
ッド10の移動の際、グリッド10には平面性を保ため
に十分な張力が与えられるものとする。また、棒状支持
体43b,43dはグリッド面に対して同一面内にはな
く、グリッド10を電極9に接触させ得る位置に配置さ
れているものとする。従って、グリッド10は電極9に
摺接した状態で回転導入機44及び移動機構43によっ
て図中の矢印方向に移動され、蒸発源4と対電極12の
間の空間に介在させることも介在させないことも可能と
なる。
【0017】次に、図3は請求項2の発明の一実施例を
示す薄膜形成装置の概略構成図であり、請求項2の発明
である、真空槽内を大気に晒すことなくフィラメント8
を蒸発源4と対電極12の間の空間に介在させることも
介在させないことも可能とする手段、すなわち、フィラ
メント8の移動機構を有する薄膜形成装置の例を示した
ものであるが、図1と同符号を付したものは同様の構成
部材であり、既に説明済であるからそれらの説明は省略
する。図3において、移動機構53は、動力伝達用のギ
ヤ50とこのギヤ50と連結され手動やモータ等により
回転される回転軸51及びその軸受52等によって構成
される回転導入機55を介して動力を伝達され、フィラ
メント8を巻取るものである。
【0018】ここで、図4は上記フィラメントの移動機
構の具体的な構成例を示したものである。フィラメント
8を構成する線は平行に配列され、ステンレスシートな
どの屈曲可能な導電性材料54にスポット溶接等の方法
で取り付けられている。フィラメント8の移動方向及び
巻取り方向はフィラメント線の長手方向と垂直な方向で
ある。ここで、棒状支持体53a,53b,53c,5
3dは絶縁物質で形成されており上記回転導入機55と
の電気的絶縁を維持できる構成となっている。ここで、
棒状支持体53a,53cは回転導入機からの動力を受
け取る部分であるが、それぞれ異なる回転導入機からの
動力を受け取っても良いし、同一の回転導入機からの動
力を受けとってフィラメント8を移動させてもよい。
尚、フィラメント8の移動の際、フィラメント8には平
面性を保ために十分な張力が与えられるものとする。ま
た、棒状支持体53b,53dはフィラメント面に対し
て同一面内にはなく、フィラメント8を電極7に常に接
触させ得る位置に配置されているものとする。従って、
フィラメント8は電極7に摺接した状態で回転導入機5
5及び移動機構53によって図中の矢印方向に移動さ
れ、蒸発源4と対電極12の間の空間に介在させること
も介在させないことも可能となる。
【0019】次に、図5、図6は請求項3の発明の実施
例を夫々示す薄膜形成装置の概略構成図である。尚、図
5、図6において、図1、図3と同符号を付したものは
同様の構成部材であり、既に説明済であるからそれらの
説明は省略する。ここで、図5に示す薄膜形成装置で
は、蒸発源4と対電極12の間の空間にグリッド10を
介在させない場合において、グリッド10に蒸発物質が
到達しないような遮蔽板60を有することを特徴とする
ものであり、また、図6は、蒸発源4と対電極12の間
の空間にグリッド10及びフィラメント8を介在させな
い場合において、グリッド10及びフィラメント8に蒸
発物質が到達しないような遮蔽板60を有することを特
徴とするものである。図5、図6の構成によれば、遮蔽
板60により、前記移動機構43、53を構成している
治具が蒸発粒子の付着やプラズマ衝撃を受けることがな
いため、移動機構を構成している治具及び移動後のグリ
ッド10及びフィラメント8の汚染を防ぐことができ
る。また、薄膜の治具材料による汚染を防ぐことができ
る。さらに、放電が治具の形状に影響されず安定した放
電を行なうことが可能である。尚、請求項1の発明にお
いては、図7に示すように、グリッド10の片側のみを
移動してグリッド10を折りたたむ機構としてもよい。
【0020】以上、各請求項に対応した薄膜形成装置の
実施例について説明したが、次に、これらの装置例によ
る薄膜形成例として、図1の薄膜形成装置による薄膜形
成について説明する。図1において、先ず、図示の如く
薄膜を形成すべき基板13を対電極12に保持させると
共に、蒸発物質を蒸発源4に保持させる。尚、蒸発物質
を構成する母材、及び導入ガス種の組合せは、勿論どの
ような薄膜を形成するかに応じて定める。例えば、Al
23薄膜を形成する場合には、蒸発物質としてAlを、
不活性ガスとしてArを、活性ガスとして酸素を選択で
きる。また、In23薄膜を形成する場合には、蒸発物
質としてIn、導入ガスとして酸素を選択することがで
きる。基板及び蒸発源をセットした後、真空槽内は予め
1/105〜1/106 Torrの圧力に真空排気にされ、
これに必要に応じて、活性ガス、もしくは不活性ガス、
あるいは、これら両者の混合ガスが1/102〜1/1
4 Torrの圧力で導入される。ここでは、説明の具体
性のため、導入ガスは、例えばアルゴンなどの不活性ガ
スであるとする。
【0021】この状態において、電源を作動させると、
フィラメント8には電流が流され、フィラメント8は抵
抗加熱により加熱され、熱電子を放射する。また、グリ
ッド10には正の電位が印加される。また、蒸発源4か
らは蒸発物質が蒸発される。蒸発源4から蒸発された蒸
発物質は広がりをもって基板13の側へ向かって飛行す
るが、その一部、及び前記導入ガスはフィラメント8よ
り放出された熱電子との衝突によって外殻電子が弾きだ
され、正イオンにイオン化される。このように、一部イ
オン化された蒸発物質はグリッド10を通過するが、そ
の際、前記のように、グリッド10の近傍において上下
に振動運動する熱電子、及び前記イオン化された導入ガ
スの衝突により、さらにイオン化率が高められる。この
ようにして、正イオンにイオン化された蒸発物質は、グ
リッド10を通過し、更に、イオン化されたガスにより
イオン化を促進され、グリッド−基板間の電界の作用に
より基板13に向かって加速され、基板13に高エネル
ギーを持って衝突付着する。これによって、非常に密着
性のよい薄膜が形成される。尚、フィラメント8から放
出された熱電子は、最終的にはその大部分がグリッド1
0に吸収され、一部の熱電子はグリッド10を通過する
が、グリッド10と基板13との間で、前記電界の作用
によって減速されるので、仮に基板13に到達しても、
同基板13を加熱するには到らない。
【0022】次に、より具体的な例について述べる。例
えば、ZnO/Au/Ti積層膜を作製する場合には、
蒸発物質としてZn,Au,Tiを、活性ガスとして酸
素を選択することができる。尚、このような積層膜を形
成する場合には、真空槽内には複数の蒸発源が設置され
ており、各蒸発物質は各蒸発源に保持される。また、こ
の場合、各蒸発源は夫々個別に電源を備えており、個別
に操作が可能とする。上記積層膜を形成する場合、最初
に、グリッド10を移動機構43により蒸発源4と対電
極12の間の空間には介在しない位置に移動させる。
尚、図1の場合では、前述したように移動機構43は巻
取り機構である。真空槽内は予め1/105〜1/106
Torrの圧力に真空排気され、初めに、Tiを、次にA
uを所定の成膜条件において真空蒸着する。次に、グリ
ッド10を移動機構43により蒸発源4と対電極12の
間の空間に介在する位置に設置し、酸素ガスを1/10
2〜1/104 Torrの圧力で導入する。この状態におい
て、電源を作動させると、フィラメント8には電流が流
され、フィラメント8は抵抗加熱により加熱され、熱電
子を放射する。また、グリッド10には正の電位が印加
される。また、蒸発源4からはZnが蒸発物質として蒸
発される。
【0023】蒸発源4から蒸発されたZnの蒸発物質は
広がりをもって基板13の側へ向かって飛行するが、そ
の一部、及び前記導入ガスはフィラメント8より放出さ
れた熱電子との衝突によって外殻電子が弾きだされ、正
イオンにイオン化される。このように、一部イオン化さ
れた蒸発物質はグリッド10を通過するが、その際、前
記のように、グリッド10の近傍において上下に振動運
動する熱電子、及び前記イオン化された導入ガスの衝突
により、さらにイオン化率が高められる。このようにし
て、正イオンにイオン化された蒸発物質は、グリッド1
0を通過し、更に、イオン化されたガスによりイオン化
を促進され、グリッド−基板間の電界の作用により基板
13に向かって加速され、基板13に高エネルギーを持
って衝突付着する。この際、酸素ガスも活性化されてい
るため、Znと反応し、非常に密着性のよいZnO薄膜
が形成される。尚、前述したように、フィラメント8か
ら放出された熱電子は、最終的にはその大部分がグリッ
ド10に吸収され、一部の熱電子はグリッド10を通過
するが、グリッド10と基板13との間で、前記電界の
作用によって減速されるので、仮に基板13に到達して
も、同基板13を加熱するには到らない。従って、プラ
スチック等の耐熱性のない基板にもZnO等の薄膜を密
着性よく形成することができる。
【0024】また、請求項2の発明によれば、フィラメ
ント8を移動機構53により蒸発源4と対電極12の間
の空間には介在しない位置に移動させることができるた
め、フィラメント8によく用いられるWと反応するAl
やTi等を蒸着しても、フィラメント8には付着しない
ので、フィラメント8が上記金属に侵されず、フィラメ
ント8の寿命を長くすることができる。さらにフィラメ
ント8を構成する金属線を蒸発源4からの蒸発粒子が通
過しない位置に配置するという制約がなくなるため、フ
ィラメントを構成する金属線を均一に配列させることが
できる。また、請求項3の発明によれば、遮蔽板60を
設けたことにより、グリッド10やフィラメント8の移
動機構を構成している治具が、蒸発粒子の付着やプラズ
マ衝撃を受けることがないため、上記移動機構を構成し
ている治具及び移動後のグリッド10及びフィラメント
8の汚染を防ぐことができる。また、薄膜の治具材料に
よる汚染を防ぐことができる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の薄膜形成
装置においては、蒸発物質のイオン化率が極めて高いた
め、真空槽内に活性ガスを単独で、あるいは不活性ガス
とともに導入して成膜を行なうことにより、蒸発物質と
活性ガスを化合させ、この化合により化合物薄膜を形成
する場合にも、所望の物性を有する薄膜を容易に得るこ
とができる。また、本発明の薄膜形成装置によれば、蒸
発物質がイオン化し、高いエネルギーを電気的に有する
(電子・イオン温度)ので、反応性を必要とする成膜、
結晶化を必要とする成膜を温度(反応温度、結晶化温
度)という熱エネルギーを与えずに実現できるので低温
成膜が可能となる。従って、耐熱性のないプラスチック
フィルムなどをも基板に使用することができる。尚、真
空槽内のガスのイオン化には、フィラメントによる熱電
子が有効に寄与するので、1/104Torr以下の圧力の
高真空下においても蒸発物質のイオン化が可能であり、
このため、薄膜の構造も極めて緻密なものとすることが
可能であり、通常、薄膜の密度はバルクの密度より小さ
いとされているが、本発明によれば、バルクの密度に極
めて近い密度の薄膜が得られることも大きな特徴の一つ
である。さらに、このような高真空下で成膜を行なえる
ことにより、薄膜中へのガス分子の取り込みを極めて少
なくすることができ、高純度の薄膜を得ることができ
る。
【0026】また、本発明の薄膜形成装置においては、
グリッドあるいはフィラメントを真空槽内を大気に晒す
ことなく蒸発源と対電極との間の空間に介在しない状態
にすることが可能であるため、真空蒸着を含む積層膜作
製プロセスにおいてもグリッドあるいはフィラメントに
よって基板に入射する蒸発粒子の飛行を妨げることがな
く、従って、基板を大気に晒すことなく真空蒸着と反応
性成膜を連続的に行なうことが可能となり、例えば、圧
電アクチュエータのように金属蒸着膜と化合物膜の積層
膜を作製する場合や、積層反射防止膜のような光学薄膜
を作製する場合に有利である。また、プラズマ中のイオ
ンによるイオンボンバードにより基板表面を清浄化した
後に真空蒸着を行ない、密着性の高い薄膜を作製するこ
とも可能である。すなわち、本発明の薄膜形成装置は、
IC、LSIなどを構成する半導体薄膜や、その電極と
しての高純度な金属薄膜の形成、さらには光学薄膜の形
成に極めて適している。特に、積層膜を作製するプロセ
スに極めて適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1記載の発明の一実施例を示す薄膜形成
装置の概略構成図である。
【図2】グリッド移動機構の一構成例を概略的に示す斜
視図である。
【図3】請求項2記載の発明の一実施例を示す薄膜形成
装置の概略構成図である。
【図4】フィラメント移動機構の一構成例を概略的に示
す斜視図である。
【図5】請求項3記載の発明の一実施例を示す薄膜形成
装置の概略構成図である。
【図6】請求項3記載の発明の別の実施例を示す薄膜形
成装置の概略構成図である。
【図7】グリッド移動機構の別の構成例を概略的に示す
斜視図である。
【符号の説明】 1 ・・・ベースプレート 1’・・・真空槽 2 ・・・ベルジャー 3,7,9,11・・・支持体兼用電極 4 ・・・蒸発源 8 ・・・フィラメント 10 ・・・グリッド 12 ・・・対電極 13 ・・・基板 17 ・・・蒸発用電源 18 ・・・直流電源 19 ・・・フィラメント用直流電源 21 ・・・パッキング 43 ・・・グリッド移動機構 44 ・・・グリッド移動機構用回転導入機 53 ・・・フィラメント移動機構 55 ・・・フィラメント移動機構用回転導入機 60 ・・・遮蔽板

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性ガスもしくは不活性ガスあるいはこれ
    ら両者の混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内
    において蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真
    空槽内に配置され基板を上記蒸発源に対向するように保
    持する対電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備され
    た屈曲可能な材質で形成された蒸発物質を通過させうる
    グリッドと、上記グリッドと上記蒸発源との間に配置さ
    れた熱電子発生用のフィラメントと、上記グリッドの電
    位を上記対電極の電位と上記フィラメントの電位に対し
    正電位とする手段を有し、且つ真空槽内を大気に晒すこ
    となく上記グリッドを上記蒸発源と対電極の間の空間に
    介在させることも介在させないことも可能とする手段を
    有することを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】活性ガスもしくは不活性ガスあるいはこれ
    ら両者の混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内
    において蒸発物質を蒸発させるための蒸発源と、上記真
    空槽内に配置され基板を上記蒸発源に対向するように保
    持する対電極と、上記蒸発源と対電極との間に配備され
    た蒸発物質を通過させうるグリッドと、上記グリッドと
    上記蒸発源との間に配置された屈曲可能な導電性の材質
    に保持された平行配列の熱電子発生用のフィラメント
    と、上記グリッドの電位を上記対電極の電位と上記フィ
    ラメントの電位に対し正電位とする手段を有し、且つ真
    空槽内を大気に晒すことなく上記フィラメントを上記蒸
    発源と対電極の間の空間に介在させることも介在させな
    いことも可能とする手段を有することを特徴とする薄膜
    形成装置。
  3. 【請求項3】請求項1及び請求項2記載の薄膜形成装置
    において、蒸発源と対電極の間の空間にグリッド及びフ
    ィラメントを介在させない場合において、上記グリッド
    及び上記フィラメントに蒸発物質が到達しないような遮
    蔽板を有することを特徴とする薄膜形成装置。
JP16563991A 1991-07-05 1991-07-05 薄膜形成装置 Pending JPH059717A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002275561A (ja) * 2001-03-13 2002-09-25 Vacuum Metallurgical Co Ltd 薄膜形成用金又は金合金材料及びその製造方法、並びにその金又は金合金を用いたハースインゴット及びその製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002275561A (ja) * 2001-03-13 2002-09-25 Vacuum Metallurgical Co Ltd 薄膜形成用金又は金合金材料及びその製造方法、並びにその金又は金合金を用いたハースインゴット及びその製造方法

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