JP3026578B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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JP3026578B2
JP3026578B2 JP2065778A JP6577890A JP3026578B2 JP 3026578 B2 JP3026578 B2 JP 3026578B2 JP 2065778 A JP2065778 A JP 2065778A JP 6577890 A JP6577890 A JP 6577890A JP 3026578 B2 JP3026578 B2 JP 3026578B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は薄膜形成装置に関し、特に、CVD法(化学的
蒸着法)の長所である強い反応性と、PVD法(物理的蒸
着法)の長所である高真空中での成膜とを同時に実現す
ることができ、且つ、多層膜及び混合膜の形成をも容易
に行うことのできる新規な薄膜形成装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、被薄膜形成基板上に薄膜を形成する薄膜形成装
置としては、CVD法やPVD法などを利用したものが良く知
られており、CVD法による装置は反応性が強く、PVD法に
よる装置は高真空中において緻密な強い薄膜を形成でき
るなどの長所を有している。
これらCVD法やPVD法などを利用した薄膜形成装置とし
ては、従来より種々のものが提案されており、その方法
も極めて多岐にわたっている。
しかし、従来の薄膜形成装置にあっては、形成された
薄膜と被薄膜形成基板(以下、基板と称する)との密着
性が弱かったり、あるいは耐熱性の無い基板上への薄膜
形成が困難であったり、また、良好な多層膜及び混合膜
を得ることが困難であるといった問題があった。また、
量産性に優れている方式のものも少なかった。
そこで、これらの問題を解決するため、本出願人は先
に、薄膜形成装置として、基板を蒸発源に対向させて対
向電極に保持し、この対向電極と蒸発源との間にグリッ
ドを配置すると共に、このグリッドと蒸発源との間に熱
電子発生用のフィラメントを配し、上記グリッドをフィ
ラメントに対して正電位にして薄膜形成を行う装置を提
案した(特開昭59−89763号公報)。
この薄膜形成装置では、蒸発源から蒸発した蒸発物質
は、先ずフィラメントからの熱電子によりイオン化さ
れ、このイオン化された蒸発物質は、グリッドを通過す
ることにより、グリッドから対向電極に向かう電界の作
用により加速されて被薄膜形成基盤に衝突し、密着性の
良い薄膜が形成されるという特徴を有している。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、上記従来の薄膜形成装置では、蒸発した蒸
発物質と、導入したガスとの化合物薄膜を形成すること
も可能であるが、単一真空槽内において多層膜等を形成
する場合には、蒸発物質により成膜条件が変化するた
め、蒸発源、フィラメント、グリッド、対電極等の配置
が同一の装置を用いた場合の反応性、膜厚分布等に問題
があった。特に、量産時に多く用いられる蒸発源−基板
間距離の長い大型の真空槽を備えた装置においては、ガ
ス圧によっては蒸発物質の平均自由行程が短くなり、ガ
スとの衝突による散乱が多くなるため、蒸発量に対して
基板上への薄膜の堆積の割合が非常に少なくなってしま
い、蒸発物質が大量に必要になり、コスト高になってし
まうという問題があった。
また、従来、混合膜形成時には、通常、混合物質を蒸
発物質として用いて蒸着を行うか、蒸発源を複数設けて
同時蒸着を行うなどの方法が用いられているが、混合物
質の蒸気圧の差や、成膜速度制御の不安定性、化合物を
蒸発源として用いた場合の組成ずれ等の影響から、良質
な薄膜を得ることが難しかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、基
板に対して極めて強い密着性を持った薄膜を形成でき、
耐熱性の無いプラスティック等も基板として用いうるこ
とが可能で、尚且つ、良好な多層膜及び混合膜形成も容
易で、量産にも対応しうる、新規な薄膜形成装置を提供
することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明による薄膜形成装置
は、活性ガス若しくは不活性ガス、あるいはこれら両者
の混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽内におい
て複数個設置された蒸発物質を蒸発させるための蒸発源
と、上記真空槽内において上記蒸発源と対向するように
配置され被薄膜形成基板を保持する対電極と、上記複数
の蒸発源の一つ以上と上記対電極との間の夫々に配備さ
れた熱電子発生用のフィラメントと、このフィラメント
と上記対電極との間に配備され蒸発物質を通過させうる
グリッドと、上記真空槽内に所定の電気的状態を実現す
るための電源手段と、上記真空槽内と上記電源手段とを
電気的に連結する導電手段とを備え、 上記フィラメントに対し、上記グリッドが正電位とな
るようにした治具構成を上記複数の蒸発源の内一つ以上
構成すると共に、各蒸発源と対電極との距離関係が夫々
異なるようにし、且つ、複数の蒸発源、グリッド、フィ
ラメント等の操作を夫々独立に行うことを可能として、
夫々別々にまたは同時に成膜操作を行うことにより、多
層膜及び混合膜を成膜可能とし、且つ、上記基板からの
距離が遠い蒸発源と該基板からの距離が近い蒸発源の
内、基板からの距離が近い側の蒸発源とその蒸発源に対
応して配備されたフィラメント及びグリッドを、防着板
で被ったことを特徴とする。
〔作用〕
本発明の薄膜形成装置においては、真空槽は、その内
部空間に活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは活性ガ
スと不活性ガスの混合ガスを導入しうるようになってお
り、蒸発源、対電極、フィラメント、グリッドは真空槽
内に配備される。
上記蒸発源は、真空槽内に二つ以上設置され、対電極
側に蒸発物質を蒸発できる構造になっており、各蒸発源
と対電極との距離関係は夫々異なるようにしており、よ
り具体的には対電極に保持された基板からの距離が遠い
蒸発源と、該基板からの距離が近蒸発源とが設けられて
いる。
上記対電極は、蒸発源に対向するように配備されてお
り、この対電極は、蒸発源と対向する側に被薄膜形成基
板を保持するようになっており、場合により基板回転等
により基板位置の移動が可能となっている。
上記グリッドは蒸発物質を通過させうるものであっ
て、蒸発源と対電極の間に介設され、電源手段により、
フィラメントに対し正電位にされる。従って、薄膜形成
時には、発生する電界はグリッドからフィラメントに向
かう。
上記フィラメントは熱電子発生用であって、蒸発源と
グリッドの間に配備される。
上記電源手段は、真空槽内に所定の電気的状態を実現
するための手段であり、この電源手段と真空槽内部が導
電手段により電気的に連結される。また、上記基板から
の距離が遠い蒸発源と該基板からの距離が近い蒸発源の
内、基板からの距離が近い側の蒸発源とその蒸発源に対
応して配備されたフィランメント及びグリッドを被う防
着板は、基板からの距離が遠い側の蒸発源から基板に向
かって飛散する蒸発物質が、基板に近い側の蒸発源に混
入したりフィラメントやグリッドに付着することを防止
する。
〔実 施 例〕
以下、本発明の実施例について図面を参照して詳細に
説明する。
第1図は本発明の一実施例を示す薄膜形成装置の概略
的構成図である。
第1図において、符号1はベルジャー、符号2はベー
スプレート、符号3はパッキングを夫々示し、ベルジャ
ー1とベースプレート2はパッキング3により一体化さ
れて真空槽を構成しており、この真空槽の内部空間に
は、符号4で示す導入パイプやバルブ等を用いた公知の
適宜の方法により、活性ガス、及び/または不活性ガス
を導入できるようになっている。また、ベースプレート
2の中央部に穿設された孔2Aは、図示されない真空系に
連結されている。
上記ベースプレート2には、真空槽内部の機密性を保
ち、且つ、ベースプレート2との電気的絶縁性を保ちつ
つ、支持体を兼ねた電極12,22,32,13,23,33が配設され
ている。これら電極12,22,32,13,23,33は、真空槽内部
と外側とを電気的に連結するものであって、他の配線具
と共に導電手段を構成している。
上記支持体兼用の電極12,22,32,13,23,33の内、一対
の電極12及び13の間には、その間にタングステン、モリ
ブデン、タンタル等の金属をボート状に形成した、抵抗
加熱式の蒸発源10,11が支持されている。
尚、蒸発源の形状は、ボート状に代えてコイル状、ま
たはルツボ状としても良い。また、このような蒸発源に
代えて電子ビーム蒸発源等、従来の真空蒸着方式で用い
られている蒸発源を適宜使用することができる。また蒸
発源10,11と基板100間の距離は蒸発物質の性質等により
夫々違っており、基板100からの距離が遠い蒸発源11
と、基板100からの距離が近い蒸発源10とが設けられて
いる。このような場合、第2図に示すように、基板100
からの距離が近い側の蒸発源10とその蒸発源10に対応し
て配備されたフィラメント20及びグリッド30を被う防着
板5を設けることにより、基板100からの距離が遠い側
の蒸発源11から基板100に向かって飛散する蒸発物質
が、基板100に近い側の蒸発源10からの蒸発物質に混入
することの防止、蒸発源10側に回り込んで混入すること
の防止、またはフィラメント20やグリッド30に付着する
ことの防止等を図ることができる。
一対の電極22及び23の間には、夫々タングステン等に
よる熱電子発生用のフィラメント20,21が支持されてい
る。このフィラメント20,21の形状は、複数本のフィラ
メントを平行に配列したり、網目状にしたりするなどし
て、蒸発源10,11から蒸発した蒸発物質の粒子の拡がり
をカバーするように定められている。
電極32,33には夫々グリッド30,31が支持されており、
このグリッド30,31は、蒸発した蒸発物質を対電極40側
へ通過させうる様に形状を定めるのであるが、この例に
おいては網目状になっている。
電極42は対電極40に接続されており、この対電極40の
蒸発源10,11に対向する側の面に、被薄膜形成基板100が
適宜の方法で保持されている。また、対電極40は、支持
体を兼ねた回転軸41等により自動運動等を行い、基板位
置を成膜空間中で移動できるようになっている。また、
電極42は図においてはそのまま接地されているが、この
間に直流電源を入れて対電極40にバイアスをかけてもよ
い。
蒸発源10,11を支持する電極12,13は、加熱用の交流電
源50,51に接続されている。尚、この電源は交流電源に
代えて直流電源にしても良く、直流電源の場合には、正
負の向きはどちらの場合でも良い。また、電源50,51は
一台で兼用し、場合によりスイッチ等によって切り換え
て使用するようにしても良い。
フィラメント20,21を支持する電極22,23は電源60,61
に接続されているが、電源60,61は、上記電源50,51と同
様に、交流、直流、及び場合により切り換え式のどれを
用いても良い。
電極32,33は、直流電圧電源70,71の正極側に接続さ
れ、同電源の負側は、図示の例では電極22,23夫々の片
側に接続される。従って、グリッド30,31はフィラメン
ト20,21に対して正電位となり、グリッド30,31とフィラ
メント20,21の間では、電界はグリッド30,31からフィラ
メント20,21へ向かう。ここで、第1図における電源70,
71の片側は、そのまま接地されているが、この間に直流
電源をいれて蒸発源10,11、及び/またはフィラメント2
0,21にバイアスをかけても良い。また、電源70,71は、
上述の他の電源と同様に切り換え式であってもよい。
尚、図中における接地は、必ずしも必要ではない。
さて、第1図に示す構成の薄膜形成装置においては、
フィラメント加熱用電源60,61とグリッド用直流電源70,
71の調節により、夫々の成膜空間に夫々安定なプラズマ
状態を作ることができ、これらのプラズマ状態は、蒸発
物質等により夫々独自の状態にすることができる。
フィラメント20,21により発生する熱電子は、導入ガ
スや蒸発物質の一部をイオン化するのに供されるが、グ
リッド30,31からの電界により引き寄せられ、最終的に
はグリッド30,31に吸収されるため、基板100へは達せ
ず、基板100に対する電子衝撃による加熱がなく、基板
温度の上昇が防止される。
尚、実際には、上記電気的接続は、導電手段の一部を
構成するスイッチを含み、これらのスイッチ操作により
蒸着プロセスを実行するのであるが、これらのスイッチ
類は、図示を省略されている。
以下、第1図に示す構成の薄膜形成装置による薄膜形
成について説明する。
第1図において、先ずベルジャー1を開き、被薄膜形
成基板100を図示の如く対電極40に保持させて、蒸発物
質を蒸発源10,11に保持させる。この蒸発物質は、勿論
どのような薄膜を形成するかに応じて定められる。
次に真空槽のベルジャー1を閉じた後、真空槽内を高
真空状態に排気した後、真空槽内に、予め活性ガス若し
くは不活性ガス、あるいはこれらの混合ガスを10〜10-3
Paの圧力で導入する。差当っての説明では、この導入ガ
スを、例えばアルゴンAr等の不活性ガスであるとする。
この状態において装置を作動させ、蒸発源10,11を加
熱すると蒸発物質が蒸発する。この蒸発物質、すなわ
ち、蒸発物質の粒子は、被薄膜形成基板100に向かって
拡がりつつ飛行するが、その一部、及び前記導入ガスが
フィラメント20,21より放出された熱電子との衝突によ
って正イオンにイオン化される。
このように、一部イオン化された蒸発物質はグリッド
30,31を通過するが、その際グリッド近傍において上下
に振動運動する熱電子,及び前記イオン化された導入ガ
スとの衝突により、さらにイオン化される。
グリッド30,31を通過した蒸発物質中、未だイオン化
されていない部分は、さらに上記イオン化された導入ガ
スとの衝突により正イオンにイオン化され、イオン化率
が高められる。このとき、真空蒸着や微量ガス導入真空
蒸着、微量ガス導入プラズマ蒸着の場合には、平均自由
行程が長く、ガス分子、イオン等との衝突による蒸発物
質の散乱が少ないため、蒸発源−基板間距離が長くても
蒸発物質の基板到達確立は高い。しかし、ガス圧が高い
場合には、蒸発物質の基板上への到達確立が低くなり、
蒸発物質が多量に必要になるため、コストが高くなって
しまう。また、膜厚分布を考えると、ガス圧が高い場合
には、蒸発源−基板間距離が短くても、ガス分子、イオ
ン等による散乱作用により蒸発物質の飛程が拡がるた
め、均一になり易いので長くする必要も無い。従って、
蒸発源−基板間距離を目的に応じて変化させた方が良
い。
さて、こうして正イオンにイオン化された蒸発物質
は、グリッド30,31から対電極40へ向かう電界の作用に
より、被蒸着基板100に向かって加速され、被蒸着基板1
00に高速で衝突付着する。
このようにして形成された薄膜は、基板へのイオン粒
子の衝突により形成されるので、基板100への密着性に
優れ、結晶性が良好である。
また、導入ガスとして、活性ガスを単独で、あるいは
不活性ガスと共に導入して成膜を行うと、蒸発物質を活
性ガスと化合させ、化合物薄膜を形成することができ
る。尚、本発明の薄膜形成装置では、蒸発物質のイオン
化率が極めて高く、且つ安定しているので、化合物薄膜
も所望の物性を持つものを、容易且つ確実に得ることが
できる。
ここで、多層膜を形成する場合について述べる。
先ず、得ようとする薄膜によって蒸発物質を選択し、
夫々の蒸発源に蒸発物質を載せる。そして、第一層目を
前述した方法によって成膜する。このとき、基板100を
回転(移動)させ、膜厚むらのないようにする。次に、
第二層目以降は、上記第一層目と同様に基板回転を行
い、第一層目に重ねて成膜し、多層膜を形成する。
以上のように、本発明の薄膜形成装置では、作製する
薄膜により蒸発源−基板間距離を変えて、作製する薄膜
に適した成膜条件で薄膜を形成できる。また、絶縁体
膜、導電体膜等の組合せの多層膜を作製する場合におい
ても、第2図に示すように、基板100からの距離が近い
側の蒸発源10とその蒸発源10に対応して配備されたフィ
ラメント20及びグリッド30を被う防着板5を設けること
により、基板100からの距離が遠い側の蒸発源11から基
板100に向かって飛散する蒸発物質(例えば絶縁物等)
が、基板100に近い側の蒸発源10からの蒸発物質に混入
したり、蒸発源10側に回り込んで混入することが防止さ
れ、また、フィラメント20やグリッド30に上記蒸発物質
(例えば絶縁物等)が付着することが防止されるので、
安定した成膜条件で膜形成を行える。また、通常の真空
蒸着と組合せて、蒸発源−基板間距離が長い方を真空蒸
着用の蒸発源とし、短い方をガス導入した上記方法の蒸
発源として、多層膜を形成することも可能である。
例えば、不活性ガスとしてアルゴン、活性ガスとして
酸素を導入して、圧力を10〜10-2Paに調整し、蒸発物質
として上方側の蒸発源にはインジウムやスズ等を選択
し、下方側の蒸発源にはSi、SiO等を用いれば、SiO2/In
2O3/SiOの三層反射帯電防止膜等を形成することができ
る。
また、混合膜形成の場合には、複数の層で同時に蒸着
し、基板を回転させることにより基板上で混合し、成膜
を行う。本成膜装置では、別々の方法で、別々の蒸着源
を用いて成膜することも可能で、夫々の成膜条件、成膜
速度、成膜空間の広さ(割合)、基板回転(移動)速度
等を変化させることによって、混合比の良い、再現性の
ある混合膜を得ることができる。
例えば、不活性ガスとしてアルゴン、活性ガスとして
酸素を導入して、圧力を10〜10-2Paに調整し、蒸発物質
として成膜空間AではCe、成膜空間BではSiOを用いれ
ば、Ce2O3(屈折率n=1.95)とSiO2(n=1.47)の混
合膜、Ti、Zrを用いれば、TiO2(n=2.4)、ZrO2(n
=2.1)の混合膜ができ、その混合比を変化させること
により屈折率を変化させることができる。
尚、上記薄膜形成装置において、蒸発源一つ以上に上
記成膜方法が用いられていれば、他の蒸発源は通常の真
空蒸着を行うようにしても良い。第3図はその場合の薄
膜形成装置の実施例を示し、第1図と同符号のものは同
様の作用効果を奏する構成部材である。また、第4図は
第3図に示す薄膜形成装置に防着板5を設置した例を示
す図である。
ところで、第1図乃至第4図に示す薄膜形成装置にお
いては、蒸発物質及び導入ガスのイオン化には、フィラ
メントによる熱電子が有効に寄与するので、10-2Pa以下
の圧力の高度の真空下においても蒸発物質のイオン化が
可能であり、このため、薄膜中へのガス分子の取り込み
を極めて少なくすることができ、高純度の薄膜を得るこ
とができる。また、薄膜の構造も極めて緻密なものとす
ることが可能であり、加えて、低い基板温度で密着性の
良い薄膜を形成することができるため、ガラスのみなら
ず、プラスティック上への光学薄膜の形成等に非常に適
した装置である。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の薄膜形成装置によれ
ば、低いガス圧力でもイオン化が高められる方法を用い
て成膜を行うため、化合物薄膜等の多層膜でも密着性良
く、緻密に形成でき、対応可能なガス圧範囲も幅広いの
で、量産時等にも均一な膜厚分布が得られやすい。
また、蒸発物質がイオン化し、高いエネルギー(電子
・イオン温度)を電気的に有するので、反応性を必要と
する成膜、結晶化を必要とする成膜を温度(反応温度、
結晶化温度)という熱エネルギーを与えずに実現できる
ので、光学薄膜等に多く用いられる多層膜、混合膜の低
温成膜が可能となる。また、絶縁体膜、導電体膜等の組
合せの多層膜を作製するような場合においても、基板か
らの距離が近い側の蒸発源とその蒸発源に対応して配備
されたフィラメント及びグリッドを被う防着板を設ける
ことにより、基板からの距離が遠い側の蒸発源から基板
に向かって飛散する蒸発物質(例えば絶縁物等)が、基
板に近い側の蒸発源からの蒸発物質に混入したり、蒸発
源側に回り込んで混入することが防止され、また、フィ
ラメントやグリッドに上記蒸発物質(例えば絶縁物等)
が付着することが防止されるので、安定した成膜条件で
膜形成を行うことが可能となる。
従って、本発明によれば、基板上に多層膜、混合膜等
が良質で精度長く、低温にて作製できるため、プラステ
ィック製光学部品等への応用範囲も広げることができ
る。また、本発明による薄膜形成装置は非常に量産性に
優れており、実用的な装置である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す薄膜形成装置の概略的構
成図、第2図は第1図に示す薄膜形成装置に防着板を設
置した場合の実施例を示す薄膜形成装置の概略的構成
図、第3図は本発明の別の実施例を示す薄膜形成装置の
概略的構成図、第4図は第3図に示す薄膜形成装置に防
着板を設置した場合の実施例を示す薄膜形成装置の概略
的構成図、である。 1……ベルジャー、2……ベースプレート、3……パッ
キング、4……ガス導入パイプ及びバルブ、5……防着
板、10,11……蒸発源、12,13,22,23,32,33……支持体兼
用の電極、20,21……フィラメント、30,31……グリッ
ド、40……対電極、41……回転軸、42……電極、50,51,
60,61……交流電源、70,71……直流電源、100……被薄
膜形成基板。
フロントページの続き (72)発明者 梅木 和博 岩手県花巻市大畑第十地割109番地 リ コー光学株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−54759(JP,A) 特開 昭55−38920(JP,A) 特開 昭60−92465(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性ガス若しくは不活性ガス、あるいはこ
    れら両者の混合ガスが導入される真空槽と、この真空槽
    内において複数個設置された蒸発物質を蒸発させるため
    の蒸発源と、上記真空槽内において上記蒸発源と対向す
    るように配置され被薄膜形成基板を保持する対電極と、
    上記複数の蒸発源の一つ以上と上記対電極との間の夫々
    に配備された熱電子発生用のフィラメントと、このフィ
    ラメントと上記対電極との間に配備され蒸発物質を通過
    させうるグリッドと、上記真空槽内に所定の電気的状態
    を実現するための電源手段と、上記真空槽内と上記電源
    手段とを電気的に連結する導電手段とを備え、 上記フィラメントに対し、上記グリッドが正電位となる
    ようにした治具構成を上記複数の蒸発源の内一つ以上構
    成すると共に、各蒸発源と対電極との距離関係が夫々異
    なるようにし、且つ、複数の蒸発源、グリッド、フィラ
    メント等の操作を夫々独立に行うことを可能として、夫
    々別々にまたは同時に成膜操作を行うことにより、多層
    膜及び混合膜を成膜可能とし、且つ、上記基板からの距
    離が遠い蒸発源と該基板からの距離が近い蒸発源の内、
    基板からの距離が近い側の蒸発源とその蒸発源に対応し
    て配備されたフィラメント及びグリッドを、防着板で被
    ったことを特徴とする薄膜形成装置。
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