JPH0593717U - デバイディングシャーの切断タイミング修正装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 デバイディングシャーにおける桶回転の遅れ
時間の変動による切断長のばらつきを自動的に補正でき
るようにする。 【構成】 樋の切断点到達を検知する検知センサー１３
と，切断信号が出力されてから検知センサーが作動する
までの時間を計測する手段と，この計測時間によって切
断信号を出力するタイミングを修正する手段とを備える
ようにした。計測時間によって出力タイミングを修正す
るには，遅れ時間に関連する所定値を所定回数平均する
ための平均処理手段を備え，この平均処理結果を用いて
遅れ時間中に移送され棒材の長さ分短い長さの切断棒材
が得られるタイミングに切断信号を出力するようにする
のが望ましい。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案はデバイディングシャーの切断制御装置に係り，特に，寸法精度の良 好な切断棒材を得るためのデバイディングシャーの切断タイミング修正装置に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

所定径，所定長の金属棒材を得るための圧延機において，圧延棒材を所定長に 切断するデバイディングシャーには，図２に示すように樋を左右に回転すること によって切断する方式がある。 図２には樋の回転によって切断する方式の概要を示している。 図２において，１は圧延された棒材の移送路である。移送路１を移送される棒 材（図示せず）はロールによって圧延駆動されていて，２は最終段のロールを示 している。 ３は樋，５は切断用の刃であって，移送路１，樋３ａ，移送路７ａを移送され る棒材（図示せず）が所定の長さになると制御装置２０から出力される信号によ って第１のシリンダ４を駆動し，第１のシリンダ４は樋３を位置３ａから位置３ ｂに回転させる。棒材（図示せず）は位置５ａにある棒材切断用刃によって切断 され，切断された棒材後側（図示せず）の先端部は移送路７ｂに移送される。 その後制御装置２０から出力される信号によって第２のシリンダ６を駆動し， 刃５を位置５ａから位置５ｂに回転させる。 切断された棒材の長さが所定長になると制御装置２０からの信号によって，樋 ３を位置３ｂから位置３ａに回転させ，位置５ｂにある刃によって前述と同様に 棒材（図示せず）を切断する。 以後，棒材の移送に対応し，樋３の回転によって棒材は切断されて移送路７ａ と移送路７ｂを交互に移送される。 上述した各シリンダはソレノイドバルブ（図示せず）によって方向が切換えら れる油圧または空圧によって駆動されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで，上述したような樋の回転による棒材の切断方法によると，切断信号 が制御装置２０から出力されてから第１のシリンダ４が駆動されて棒材が切断さ れるまでに遅れ時間が存在する。 即ち，棒材が例えば２０ｍ／ｓの速度で移送されていて，１００ｍｓの遅れ時 間が存在すると，指令が出てから実際に切断されるまでの遅れのために指令がで た瞬間に切断される長さよりも２ｍ余分の長さの製品が得られることになる。 従って，温度その他の原因によって，シリンダ部の応答遅れ時間が変動すると 製品長が変動するという問題があった。 本考案は上記従来の問題点を除いて，遅れ時間の変動による切断長のばらつき を自動的に補正できるデバイディングシャーの切断タイミング修正装置を提供す ることを目的(課題)としている。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するために本考案に基づくデバイディングシャーの切断タイミ ング修正装置においては，樋の切断点到達を検知する検知センサーと，切断信号 が出力されてから検知センサーが作動するまでの遅れ時間を計測する手段と，こ の計測時間によって切断信号を出力するタイミングを修正する手段とを備えるよ うにした。計測時間によって出力タイミングを修正するには，計測された遅れ時 間に関連する所定値を所定回数平均するための平均処理手段を備え，この平均処 理結果を用いて遅れ時間中に移送され棒材の長さ分短い長さの切断棒材が得られ るタイミングに切断信号を出力するようにするのが効果的である。

【０００５】

【作用】

本考案は，上述のように構成したので，切断信号がだされるタイミングは，樋 駆動シリンダの遅れ時間によって生じる切断長の変動を生じないように修正され る。従って，樋の回転により切断して得られる製品長に大きなばらつきは発生し ない。 計測時間によって出力タイミングを修正するのに，遅れ時間に関連する所定値 を平均化し，平均結果を用いて遅れ時間中に移送される棒材の長さ分短い長さの 棒材が得られるタイミングに切断信号を出力するようにすると，各種原因によっ て遅れ時間が変動する場合にも得られる製品長に大きなばらつきは発生しない。

【０００６】

【実施例】

図１は，本考案を適用するデバイディングシャーの切断制御装置を説明する概 要構成図であって，本考案の説明に直接関係のない要素，装置類は図示を省略し ，機構装置とその配置に関する関係位置も図面構成上適当に設定して記している 。また，図２と共通の要素，装置は同一の符号を記している。 図１において，１は棒材（図示せず）を移送する固定された移送路である。移 送路１を移送される棒材（図示せず）はロールによって圧延駆動されていて，２ は最終段のロールを示している。 ロール２には詳細を後述するロール２の回転角度を計測する回転センサー１２ ，例えば，インクリメンタルのパルスエンコーダが結合されている。 回転センサー１２の出力回路は制御装置１０の入力回路に接続されている。 ８は棒材の端部を検知するセンサー例えば，環境温度より高温にある棒材の存 在を検知できるホットメタル・デテクタ（以下ＨＭＤと称す）であって制御装置 １０の入力回路に接続されている。 ３は，第１のシリンダ（油圧または空圧シリンダ，以後油圧シリンダとして説 明する）４によって回転可能に装置された樋である。樋３は制御装置１０から出 力される切断信号による第１のシリンダ４の操作によって３ａから３ｂへまたは ３ｂから３ａへ回転され回転時以外は位置３ａまたは位置３ｂに保持される。 ５は棒材切断用の刃であって，第２のシリンダ（油圧または空圧シリンダ，以 後油圧シリンダとして説明する）６によって回転可能に装置されている。 刃５は，樋３の位置に対応して制御装置１０から出力される回転信号による第 ２のシリンダ６の操作によって，樋３が位置３ａにある場合は刃５は位置５ａに 保持され，樋３が位置３ｂにある場合は刃５は位置５ｂに保持される。 第１のシリンダ４には，位置３ａにある樋３が回転し，樋３の回転によって移 送される棒材（図示せず）が切断位置５ａにある刃５によって切断される所定位 置に来たことを検知する第１の検知センサー１３ａ，例えば，近接スイッチ（以 下近接スイッチと称す）が装着されている。第１のシリンダ４にはまた，位置３ ｂにある樋３が回転して，移送される棒材が切断位置５ｂにある刃５によって切 断される所定位置に来たことを検知する第２の近接スイッチ１３ｂが装着されて いる。 即ち，近接スイッチ１３ａ，１３ｂは樋３の切断点到達を検知する検知センサ ーであって，近接スイッチ１３ａまたは１３ｂによって検知される対象構造体は 第１のシリンダ４ではなく樋３の適切な位置に設けても良い。 従って，近接スイッチ１３ａ，１３ｂが出力するタイミングは樋３の回転によ って棒材が切断されるタイミングを示すことになる。 第１の近接スイッチ１３ａ，第２の近接スイッチ１３ｂの出力回路は，必要に 応じてチャタリング防止等の機能を有するフィルタリング特性を備え，この検知 センサーの種類に対応した入力回路１４を経由して制御装置１０に接続している 。 上述した第１のシリンダ４，第２のシリンダ６は，それぞれ，出力駆動回路１ ５を経由して供給される制御装置１０からの切断信号または回転信号によって機 能されるソレノイドバルブ（図示せず）によってこれらシリンダに供給される油 圧回路（図示せず）が切換えられて駆動する。 ７ａ，７ｂは樋３の回転によって切断された後の棒材が移送される固定の移送 路である。 １６は時間計測の手段その他の基準に使用される，所定の発振周波数，例えば １０ＫＨｚの発振器である。 制御装置１０には，詳細を後述する，上述した各信号の入力回路と出力回路， 及び，切断信号が出力されてから位置センサーが作動するまでの時間を計測する 手段，切断信号が出力されてから位置センサーが作動するまでに棒材が移送され る長さの算出手段，切断信号が出力されてから位置センサーが作動するまでの時 間または移送長さ等計測された遅れ時間に関連する所定値を所定回数平均するた めの平均処理手段，この平均処理をした内容値によって切断信号を出力するタイ ミングを修正する手段等のための機能を備えている。 １１はこの圧延装置全体を管理制御する制御装置１０の上位の管理装置を示し ている。 管理装置１１または／および制御装置１０をコンピュータによって構成させた 場合は，この圧延装置に必要な機能を実行するコンピュータの一部を，本考案に 基づく切断タイミング修正のための機能や手段に使用することができる。 図１には，本考案に基づく切断タイミング修正装置を主体にして示していて， 圧延装置を機能させるに必要なその他の部品装置類の図示は省略している。

【０００７】 次に図１によって示した回路構成における本考案に基づく働きを説明する。 ロール２等の回転によって移送路１を移送される棒材（図示せず）の移送距離 はロール２の回転角度によって決定される。ロール２の回転角度は，ロール２に 結合された回転センサー１２，例えば，インクリメンタルのパルスエンコーダに よって計測される。以下回転速度センサーにインクリメンタルのパルスエンコー ダ（以下ＰＧと略記する）を使用した場合について説明する。 ロール２の回転とＰＧ１２の回転は機構的に固定され，ロール２の径は固定で ある。また，移送される棒材（図示せず）はロール２に密着しているので，ＰＧ の出力パルス間隔はパルスが出力される時間間隔における棒材（図示せず）の移 送長さに対応している。 従って，例えば，所定の信号と信号の間にＰＧ１２から出力されるパルスを制 御装置１０に設けたカウンタ機能に加え込むことによって，その信号間における 棒材移動長さを計測することができる。 即ち，ＨＭＤ８が棒材の先端部を検知してから，ＰＧ１２から出力されるパル スを制御装置１０に設けたカウンタ機能１０Ｂに加え込み，所定の条件の時にカ ウンタ１０Ｂ内の計数値をみると，その時までに移送された棒材の長さが計測で きる。 また，樋３が位置３ａにある状態において，切断信号から近接スイッチ１３ａ からの信号が得られるまでの間ＰＧ１２から出力されるパルスを制御装置１０に 設けたカウンタ機能１０Ｃに加え込むと，カウンタ機能１０Ｃの内容値から切断 信号が出力されてから樋３が機能して棒材を切断するまでの遅れ時間中に移送さ れる棒材の移送長さを計測することができる。 計測された遅れ時間中の移送長さ，即ち，補正値の平均処理手段においては， この計測された移送長さを，制御装置１０の内部に設けられた所定の記録容量を 有するシフトレジスタ機能１０Ｄに送り込む。従って，このシフトレジスタ機能 １０Ｄの最先端の記録値は押出されて消去される。このシフトレジスタ機能１０ Ｄに記録されたシフト数の移送長さデータの平均値を制御装置１０に備えた演算 機能１０Ａによって算出してこの制御装置１０に設けた記録機能１０Ｅに一時記 録し，次回の切断信号を出力するタイミング修正に使用する。 従って，切断信号を出力するタイミングを修正する手段において，切断すべき 棒材の長さによって定まる樋３を駆動する切断信号は，制御装置１０に設けた演 算機能１０Ａにおいて，設定された切断すべき棒材の長さを示す数値にＨＭＤ８ と刃５との間の距離を加えた値から上述したように算出された樋３の回転によっ て実際に切断されるまでの遅れ時間中に棒材（図示せず）が移送される長さを差 引いた値と，前述したカウンタ機能１０Ｂにカウントされた棒材（図示せず）の 移送長さを示す値とを制御装置１０に設けた比較機能１０Ｆで比較し一致したタ イミングに出される。 樋３が回転することによって同時に回転する棒材は刃５によって切断され，樋 ３から移送路１につながっている棒材は，樋３が回転して位置３ｂに到達するこ とによって移送路７ｂに送り込まれる。 以後上述の動作が繰返される。

【０００８】 上述した実施例においては切断信号の出力タイミングを修正するのに，樋３の 応答遅れ時間中に移送される棒材の移送長さを計測して指令値を修正するように したが，ロール２の回転速度によって定まる棒材が所定長さ移送される時間を遅 れ時間で修正し，修正時間だけ早く切断信号をだすようにしても良い。 即ち，例えば，発振器１６の発振周波数から作成した単位時間の間開くゲート （図示せず）を経由してＰＧ１２の出力パルスを制御装置１０内に設けたカウン タ機能１０Ｇに順次加込むと，カウンタ機能１０Ｇの内容値によって単位時間当 たりの移動長さが計測できるのでこの棒材の移動速度が算出される。 これは逆にＰＧ１２の出力２パルスの間開くゲートを経由して発振器１６から 得られる所定周波数のパルスをカウンタ機能に加込むようにしても良い。 従って，棒材の先端がＨＭＤ８を通過した後切断信号を出すべき時間が算出で きる。 切断信号が出力されてから実際に切断されるまでの遅れ時間を計測する手段に おいては，樋３が位置３ａにある状態において，この圧延装置の制御装置１０か ら所定の制御信号として上記タイミングに棒材の切断信号が出力されると，制御 装置１０内において切断信号が出力されてから近接スイッチ１３ａが検知する信 号が入力されるまでの時間を計測する。 即ち，例えば，切断信号によって開き，近接スイッチ１３ａからの信号によっ て閉じるゲート（図示せず）を経由して発振器１６から得られる所定周波数のパ ルスを制御装置１０に設けたカウンタ機能に加え込むと，カウンタ機能の内容値 から切断信号が出力されてから樋３が機能して棒材を切断するまでの遅れ時間が 演算計測できる。

【０００９】 上述の説明は本考案についての実施例における基本構成と基本実施動作につい て説明したものであって，例えば，このデバイディングシヤーの稼働を開始する 場合の最初の修正値は前日の最終値を記録しておいて使用する。或いは，オペレ ーターが従来の記録データを参照して当日の温度から定めて入力する。等の手段 が可能である。 また，このデバイディングシヤーの稼働を開始して遅れ時間中の移送長さの平 均値を求めるための所定回数，即ち，シフトレジスタが一杯になるまでは，それ までの回数の平均値を使用する，オペレータが実情をみながら補正値を入力する ，または，前回の計測値を使用する等の手段が可能である。 また，遅れ時間による補正値を求めるための平均処理をするのにシフトレジス タを用いて行うように説明したが，その他の手段によっても良く。また，このデ バイディングシャーの機能の安定性によっては平均値を求めないで毎回前回の計 測時間を使用するようにしても良い。 また，遅れ時間に移動する棒材の移動距離を平均処理する例について説明した が，遅れ時間の平均処理を行い，この平均遅れ時間を用いて後の補正演算処理を 行うようにしても良い。また，その他遅れ時間に関連する演算値の平均処理をし て切断信号出力タイミングを補正するようにしても良い。 また，使用するセンサー類はこの考案の使用条件とデバイディングシャーの機 構に適合すれば，また，そのセンサーの特性に制御装置１０の入力回路を対応さ せればどのようなセンサーを使用しても良い。 また，各カウンタ機能類は個別にカウント機能を設けずにカウント内容値を記 録機能１０Ｅの所定番地に記録しカウントはタイムシアリングで行うようにして も良い。

【００１０】

【考案の効果】

本考案は上述したように構成したので以下に記すような優れた効果が得られた 。 切断信号を出力するタイミングが樋の動作遅れ時間を修正して出力されるので ，切断される棒材の長さが仕様通りに切断され精度の良い製品が得られる。 遅れ時間による影響を修正するのに所定回数の計測値を平均化する手段を設け ，この平均値によって得られた時間中に移送される棒材の長さ分短い長さの切断 棒材が得られるタイミングに切断信号を出力するると，各種原因によって遅れ時 間が変動する場合にも切断される棒材の長さが仕様通りに切断され精度の良い製 品が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用したデバイディングシャーの実施
例の概要構成を説明するブロック構成説明図である。

【図２】本考案を適用する従来のデバイディングシャー
の概要構成を説明するブロック構成説明図である。

【符号の説明】

３：樋 ４，６：シリンダ ５：刃 ８：端部検知センサー（ＨＭＤ） １０：制御装置 １３：検知センサー（近接スイッチ）

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 切断信号による樋の回転によって棒材を
   所定長に切断するデバイディングシャーにおいて，樋の
   切断点到達を検知する検知センサーと，切断信号が出力
   されてから該検知センサーが作動するまでの遅れ時間を
   計測する手段と，該計測時間によって前記切断信号を出
   力するタイミングを修正する手段とを備えたことを特徴
   とするデバイディングシャーの切断タイミング修正装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１記載の切断信号が出力されてか
   らの計測時間によって前記切断信号を出力するタイミン
   グを修正するには，樋の切断点到達検知センサーが作動
   するまでの計測時間またはこの計測された遅れ時間に関
   連する所定値を所定回数平均するための平均処理手段を
   備え，該平均処理手段の出力に基づき，上記遅れ時間中
   に移送され棒材の長さ分短い長さの切断棒材が得られる
   タイミングに切断信号を出力するようにしたデバイディ
   ングシャーの切断タイミング修正装置。