JPH0592408U

JPH0592408U - エンジンのブリーザ装置

Info

Publication number: JPH0592408U
Application number: JP3917592U
Authority: JP
Inventors: 馨一谷口
Original assignee: Kubota Corp
Current assignee: Kubota Corp
Priority date: 1992-05-15
Filing date: 1992-05-15
Publication date: 1993-12-17

Abstract

(57)【要約】【構成】エンジンのブリーザ装置を次のようにした。ブ
リーザケース３を有底筒状に形成してヘッドカバー上壁
４から垂設し、このブリーザケース３内を上から順に、
ガス流入室７、ガス流出室８、ガス反転室９の三室に区
画し、ヘッドカバー１内に連通したガス流入室７からガ
ス下降案内管１０を垂設し、その下端開口部１３をブリ
ーザケース底壁１１に向けて開口し、このブリーザケー
ス底壁１１にオイル戻し孔１２をあけ、下側の区画壁６
にガス通過孔１４をあけ、この下側の区画壁６上にスチ
ールウール１５を配置し、ガス流出室８にガス流出口１
６をあけた。【効果】オイルミストの発生量が多くなるエンジン高回
転時にも、オイルミストの多くがガス反転室９で分離除
去され、スチールウール１５の組織内で凝縮するオイル
の量が少なくなるため、後続のブローバイガスによるガ
ス流出口１６からの凝縮オイルの押し出しが抑制され
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、エンジンのブリーザ装置に関する。

【０００２】

【従来技術】

エンジンのブリーザ装置の従来技術として、図３に示すものがある。これは、ヘッドカバー１０１内とクランク室１０２内とを連通し、上記ヘッドカバー１０１にブリーザケース１０３を設けて構成してある。

【０００３】このような構成によれば、クランク室１０２内で発生したブローバイガスは、矢印１０４で示すように、クランク室１０２の内圧でヘッドカバー１０１内を通過してブリーザケース１０３内に流入し、ここでブローバイガスに含まれたオイルミストが分離除去される。

【０００４】ところで、上記従来技術では、ブリーザケース１０３をヘッドカバー上壁１０５から上向きに膨出状に形成し、その内部にスチールウール１０６を収容し、スチールウール１０６のすぐ下側にガス流入口１０７をあけるとともにブリーザケース１０３の上側にガス流出口１０８をあけて構成してある。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

上記従来技術では、次の問題がある。スチールウール１０６のすぐ下側にガス流入口１０７をあけてあるため、オイルミストの発生量が多くなるエンジン高回転時には、比較的多くのオイルミストを含んだブローバイガスがそのままスチールウール１０６の組織内を通過し、スチールウール１０６の組織内の隙間が短時間で凝縮オイルで満たされ、この凝縮オイルが後続のブローバイガスに押されてガス流出口１０８から漏れ出すことがある。そして、ブリーザ装置が図示のようなオープンタイプのものでは、比較的多くの凝縮オイルが大気中に放出され、エンジン周囲を汚染することがある。また、ブリーザ装置がクローズドタイプのものでは、比較的多くの凝縮オイルが吸気管内に流入し、エンジンがオーバーランすることがある。

【０００６】ブリーザケース１０３をヘッドカバー上壁１０４から上向きに膨出状に形成してあるため、エンジンの全高が高くなる。

【０００７】本考案では、エンジン高回転時でも、ガス流出口からの凝縮オイルの漏れ出しを抑制でき、またエンジンの全高を低くできる、エンジンのブリーザ装置を提供することをその課題とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

図２に例示するように、ヘッドカバー１内とクランク室２内とを連通し、上記ヘッドカバー１にブリーザケース３を設けて構成した、エンジンのブリーザ装置において、次のようにしたことを特徴とする。

【０００９】図１（Ａ）に例示するように、上記ブリーザケース３を有底筒状に形成してヘッドカバー上壁４から垂設し、このブリーザケース３内を上下二枚の区画壁５・６で上から順に、ガス流入室７、ガス流出室８、ガス反転室９の三室に区画し、上記ヘッドカバー１内に連通したガス流入室７から上記二枚の区画壁５・６を貫通するガス下降案内管１０を垂設し、このガス下降案内管１０の下端開口部１３をブリーザケース底壁１１に向けて開口し、このブリーザケース底壁１１にオイル戻し孔１２をあけ、上記下側の区画壁６にガス通過孔１４をあけ、この下側の区画壁６上にスチールウール１５を配置し、上記ガス流出室８にガス流出口１６をあけた。

【００１０】

【作用】

図１（Ａ）に示すように、矢印１７のようにガス流入室７に流入したブローバイガスが、矢印１８のようにガス下降案内管１０内を下降して、その下端開口部１３からガス反転室９内に流入し、ここで矢印１９のように上向きに反転する。この際、ブローバイガスに比べて質量の大きなオイルミストは、その大きな下向きの慣性力のため、上向きに反転するブローバイガスから分離される。特に、エンジン高回転時には、クランク室２（図２参照）の内圧増加により、ガス下降案内管１０の下端開口部１３からガス反転室９内に流入するブローバイガスの下降速度は高まり、その分だけガス反転室９でのオイルミストの分離性能も高まる。

【００１１】そして、ガス反転室９で分離されたオイルミストは、ブリーザケース底壁１１上に凝縮して溜まり、この凝縮オイルが矢印２０のようにオイル戻し孔１２からヘッドカバー１内に流れ落ちる。一方、多くのオイルミストが分離除去されたブローバイガスは、ガス反転室９内から矢印２１のようにガス通過孔１４を通過してスチールウール１５の組織内に流入し、その隙間を通過した後、矢印２２のようにガス流出口１６から流出する。この際、スチールウール１５の組織内で凝縮するオイルの量が少くなるため、スチールウール１５の組織内に残存する多くの隙間を後続のブローバイガスが通過し、ガス流出口１６からの凝縮オイルの押し出しが抑制され、凝縮オイルはガス通過孔１４からガス反転室９内に流れ出す。

【００１２】

【考案の効果】

本考案では次の効果を奏する。オイルミストの発生量が多くなるエンジン高回転時にも、オイルミストの多くがガス反転室で分離除去され、スチールウールの組織内で凝縮するオイルの量が少なくなるため、後続のブローバイガスによるガス流出口からの凝縮オイルの押し出しが抑制される。このため、ブリーザ装置がオープンタイプのものでは、大気中に多くの凝縮オイルが大気中に放出されることがなく、エンジン周囲の汚染が抑制される。また、ブリーザ装置がクローズドタイプのものでは、吸気管に多くの凝縮オイルが流入することがなく、エンジンのオーバーランが抑制される。

【００１３】ブリーザケースをヘッドカバー上壁から垂設してあるため、エンジンの全高を低くできる。

【００１４】

【実施例】

本考案の実施例を図面に基づいて説明する。図１は本考案の実施例に係るブリーザ装置を説明する図で、図１（Ａ）は要部縦断面図、図１（Ｂ）は図１（Ａ）のＢ−Ｂ線断面図、図１（Ｃ）は図１（Ａ）のＣ−Ｃ線断面図である。図２は図１のブリーザ装置を備えたエンジンの縦断面図である。

【００１５】図２に示すエンジンの構成は次の通りである。シリンダ２３の下側にクランク室２を設け、シリンダ２３の上側にシリンダヘッド２４を組み付け、シリンダヘッド２４の上側にヘッドカバー１を組み付けてある。ヘッドカバー１内にはロッカアーム２５を収容し、このロッカアーム２５を介して排気または吸気バルブ２６をプッシュロッド２７に連動連結してある。プッシュロッド２７はシリンダヘッド２４に形成した縦向きのプッシュロッド室２８に縦通し、プッシュロッド室底部２９に縦通したタペット３０に載置してある。タペット３０は動弁カム室３１に収容した動弁カム３２で連動するようにしてある。

【００１６】このエンジンは、ブリーザ装置を備えており、その構成は次の通りである。動弁カム室３１をその下側のブローバイガス上昇通路３３を介してクランク室２と連通し、これによりブローバイガス上昇通路３３、動弁カム室３１、プッシュロッド室２８を介して、ヘッドカバー１内とクランク室２内とを連通してある。そして、ヘッドカバー１にブリーザケース３を設けてある。

【００１７】図１（Ａ）に示すように、ブリーザケース３は有底円筒状に形成し、その上縁部にフランジ部３４を設けてある。そして、ヘッドカバー上壁４にブリーザケース挿入孔３５をあけ、ここからブリーザケース３を挿入し、そのフランジ部３４をブリーザケース挿入孔３５の周肉部３６に載置し、ブリーザケース３の上開口部３７を蓋板３８で覆い、この蓋板３８とフランジ部３４とをボルト３９でブリーザケース挿入孔３５の周肉部３６に共締めし、これによりブリーザケース３をヘッドカバー上壁４から垂設してある。

【００１８】そして、ブリーザケース３内を上下二枚の区画壁５・６で上から順に、ガス流入室７、ガス流出室８、ガス反転室９の三室に区画してある。ガス流入室７は、ブリーザケース３の周壁にあけたガス流入口４０を介してヘッドカバー１内と連通してある。蓋板３８からはガス下降案内筒１０を垂設し、これをガス流入室７及び二枚の区画壁５・６に貫通させてある。ガス下降案内筒１０の上部周壁には多数のガス流入孔４１をあけてある。ガス下降案内管１０の下端開口部１３はブリーザケース底壁１１に向けて開口してある。ブリーザケース底壁１１にはオイル戻し孔１２をあけてある。ブリーザケース底壁１１にはオイル戻し孔１２を上側から覆う傾斜状のガス遮蔽板４２（図１（Ｃ）参照）を付設し、このガス遮蔽板４２にその上側からガス下降案内管１０の下端開口部１３を対向させ、この下端開口部１３がオイル戻し孔１２と対向するのを避けてある。

【００１９】下側の区画壁６には多数のガス通過孔４３（図１（Ｂ）参照）をあけ、この下側の区画壁６上にスチールウール１５を載設してある。また、このスチールウール１５よりも高い位置で、ブリーザケース３の周壁にガス流出室８のガス流出口１６をあけ、ここからガス流出ボス４４を導出してある。ヘッドカバー横壁４５にはガス流出パイプ４６を貫通状態でネジ嵌合し、このガス流出パイプ４６をガス流出ボス４４に外嵌してある。ガス流出パイプ４６にはガス導出パイプ４７を接続し、このガス導出パイプ４７を介してガス流出パイプ４６を吸気管４８（図２参照）内と連通してある。

【００２０】このブリーザ装置によれば、矢印１７のようにガス流入室に流入したブローバイガスが、矢印１８のようにガス下降案内管１０内を下降してその下端開口部１３からガス反転室９内に流入し、ここでガス遮蔽板４２に衝突して矢印１９のように上向きに反転する。この際、ブローバイガスに比べて質量の大きなオイルミストは、その大きな下向きの慣性力のため、上向きに反転するブローバイガスから分離される。特に、エンジン高回転時には、クランク室２（図２参照）の内圧増加により、ガス下降案内管１０の下端開口部１３からガス反転室９内に流入するブローバイガスの下降速度は高まり、その分だけガス反転室９でのオイルミストの分離性能も高まる。

【００２１】そして、ガス反転室９で分離されたオイルミストは、ブリーザケース底壁１１上に凝縮して溜まり、この凝縮オイルが矢印２０のようにオイル戻し孔１２からヘッドカバー１内に流れ落ちる。一方、多くのオイルミストが分離除去されたブローバイガスは、ガス反転室９内から矢印２１のようにガス通過孔１４を通過してスチールウール１５の組織内に流入し、その隙間を通過した後、矢印２２のようにガス流出口１６から流出し、吸気管４８（図２参照）内に流入する。この際、スチールウール１５の組織内で凝縮するオイルの量が少くなるため、スチールウール１５の組織内に残存する多くの隙間を後続のブローバイガスが通過し、ガス流出口１６からの凝縮オイルの押し出しが抑制され、凝縮オイルはガス通過孔１４からガス反転室９内に流れ出す。

【００２２】本考案の実施例の内容は以上の通りであるが、本考案は上記実施例に限定されるものではない。例えば、このブリーザ装置はクローズドタイプではなく、オープンタイプのものであってもよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案の実施例に係るブリーザ装置を説
明する図で、図１（Ａ）は要部縦断面図、図１（Ｂ）は
図１（Ａ）のＢ−Ｂ線断面図、図１（Ｃ）は図１（Ａ）
のＣ−Ｃ線断面図である。

【図２】図２は図１のブリーザ装置を備えたエンジンの
縦断面図である。

【図３】図３は従来技術の図２相当図である。

【符号の説明】

１…ヘッドカバー、２…クランク室、３…ブリーザケー
ス、４…ヘッドカバー上壁、５…上側の区画壁、６…下
側の区画壁、７…ガス流入室、８…ガス流出室、９…ガ
ス反転室、１０…ガス下降案内管、１１…ブリーザケー
ス底壁、１２…オイル戻し孔、１３…１０の下端開口
部、１４…ガス通過孔、１５…スチールウール、１６…
ガス流出口。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ヘッドカバー(１)内とクランク室(２)内と
を連通し、上記ヘッドカバー(１)にブリーザケース(３)
を設けて構成した、エンジンのブリーザ装置において、上記ブリーザケース(３)を有底筒状に形成してヘッドカ
バー上壁(４)から垂設し、このブリーザケース(３)内を
上下二枚の区画壁(５)・(６)で上から順に、ガス流入室
(７)、ガス流出室(８)、ガス反転室(９)の三室に区画
し、上記ヘッドカバー(１)内に連通したガス流入室(７)
から上記二枚の区画壁(５)・(６)を貫通するガス下降案
内管(１０)を垂設し、このガス下降案内管(１０)の下端
開口部(１３)をブリーザケース底壁(１１)に向けて開口
し、このブリーザケース底壁(１１)にオイル戻し孔(１
２)をあけ、上記下側の区画壁(６)にガス通過孔(１４)
をあけ、この下側の区画壁(６)上にスチールウール(１
５)を配置し、上記ガス流出室(８)にガス流出口(１６)
をあけたことを特徴とするエンジンのブリーザ装置。